内皮性機能/機能不全に関連した疾患に罹患している患者の血管作動性ホルモンに基づいた層化
本発明は、急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす方法であり、以下の:(i)上記被験者から体液の試料を採取するステップ;(ii)血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を上記体液試料中で確定するステップ;(iii)以下のカテゴリー:(a)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;(b)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;(c)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者のうちの1つに上記被験者を層化するステップを含む方法に関する。本発明は、本発明による方法における抗体またはその断片の使用にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床的診断の分野に関する。特に本発明は、患者の体液から得られる試料中の血管作動性ホルモンおよびそれらの前駆体およびその断片の濃度の確定、ならびに内皮性機能/機能不全に関連した疾患に罹患している患者の層化に関する。
【背景技術】
【0002】
BNPおよびNT−プロBNP血液濃度の増大は、心不全(HF)患者における重症度および死亡率に関連する。いくつかの研究において、HFに罹患している患者のNT−プロBNPレベルを低減するための薬剤治療の滴定が調べられた(Wasywick, et al. Changes in tissue-Doppler echocardiographic assessment of left ventricular filling during NT-proBNP guided heart failure treatment titration: a pilot study. Heart Lung and Circulation 2009; 18:38-44;Mant, et al. Identification and guided treatment of ventricular dysfunction in general practice using blood B-type natriuretic peptide. British Journal of General Practice 2008; 58:393-9;Davis, et al. Introduction of metoprolol increases plasma B-type cardiac natriuretic peptides in mild, stable heart failure. Circulation 2006; 113:977-85;Beck-da-Silva, et al. BNP-guided therapy not better than expert’s clinical assessment for beta-blocker titration in patients with heart failure. Congestive Heart Failure 2005; 11:248-53;quiz 254-5)。
【0003】
血管作動性バイオマーカーおよびそれらの前駆体およびその断片が、特定の医薬剤に関する陽性作用を示す患者を層化するか否かが調べられてきた。例えば、医薬剤に関するHF患者の層化のためのNT−プロBNPの使用は、ACC会議(オーランド、2009年3月29日開催)でのPRIMA研究で提示された。さらに、クロピドグレル療法からの利益増大を有する患者を同定するためのNT−プロBNP測定の有用性はTang等により精査されたが、しかし、NT−プロBNP亜群はクロピドグレル療法からの超比例的利益を伴って同定され得た(Tang et al. Risk stratification for patients undergoing nonurgent percutaneous coronary intervention using N-terminal pro-B-type natriuretic peptide: a Clopidogrel for the Reduction of Events During Observation (CREDO) substudy. American Heart Journal 2007; 153: 36-41)。Kropp等は、NT−プロBNPが抗精神病薬の耐容性および安全性に関するマーカーとして用いられ得る、という仮説を立てた(Kropp, et al. N-terminal fragment of B-type natriuretic peptide (NT-proBNP), a marker of cardiac safety during antipsychotic treatment. Annals of General Psychiatry 2005; 4: 10)。さらに、他の神経内分泌マーカー、例えばAVP、ET−1、Big−ET−1、[NT−プロ]ANPおよび[NT−プロ]BNPは、将来的に個々の患者のための医学的処置の選択および滴定において価値がある、と意図されている(Kjaer 2000; Videnskab of Praksis 162: 5910-3)。例えば、ベータ遮断薬カルベジロールによる処置前のANPレベル上昇が死亡率の低減を予測し、ANPおよびBNPは慢性安定心不全患者の入院減少を予測する、ということが示されている(Richards et al. Neurohumoral prediction of benefit from carvedilol in ischemic left ventricular dysfunction. Australia-New Zealand Heart Failure Group. Circulation 1999; 99: 786-92)。心臓ペプチドに対比して、より高い血漿レベルのArg−バソプレッシン(AVP)はこの試験においてカルベジロールからの利益を予測しなかった。さらに、同一試験群は、より高い前処置血漿NT−プロBNPおよびアドレノメデュリン(ADM)を示す慢性虚血性左心室機能不全を有する患者における死亡率および心不全をカルベジロールが低減する、ということを明示した(Richards et al. Plasma N-terminal pro-brain natriuretic peptide and adrenomedullin - prognostic utility and prediction of benefit from carvedilol in chronic ischemic left ventricular dysfunction. Journal of the American College of Cardiolog 2001; 37: 1781-7)。しかしながら、中央値の下および上のペプチド濃度によって患者は層化され、カルベジロールの有益な作用は、処置開始後300日まで明らかでなかったが、これは、測定ペプチドの血漿レベル上昇がベータ遮断薬カルベジロールの長期利益を予測するだけである、ということを示す。ACE阻害剤処置(すなわち、エラナプリル)前のANPレベルの顕著な上昇がNYHAクラスIVにおける重症うっ血性心不全患者の死亡率の低減に関連する、ということをSwedberg等は実証した(Swedberg et al. Hormones regulating cardiovascular function in patients with severe congestive heart failure and their relation to mortality. CONSENSUS Trial study group. Circulation 1990; 82: 1730-6)。さらにまた、この試験におけるペプチド濃度より下および上の濃度によって、患者は層化された。6ヵ月後の死亡率に関して、エラナプリルの有益な作用が実証された。
【0004】
特許出願WO 2009/123730では、肺高血圧症の診断および予後のための方法が記載されている。種々のマーカーが示唆されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、体液の試料中の血管作動性ホルモンならびにそれらの前駆体およびその断片のレベルが種々の疾患のための予後または診断と相関するだけでなく、ある種の医薬剤に関する危険群に患者を層化するためにも用いられ得る、という本発明人等の意外な知見に基づいている。言い換えれば、特定の医薬剤の投与が結果に全く作用を及ぼさないか、または逆の(すなわち好ましくない)作用、例えば、上記の医薬剤を摂取しなかった患者と比較した場合、より高い死亡率を有することさえある患者集団が存在する、ということを本発明人等は見出した。このような患者群は、本発明の方法で同定され得る。これは、必要のない、あるいは有害でさえある医薬剤を回避することを可能にする。したがって、層化の本発明の重要な一目的は、患者に有害である医薬剤を回避することである。
【0006】
本発明の状況では、血管作動性ホルモンは、血管の狭窄または拡張を引き起こす分子、例えばペプチドである。
【0007】
血管作動性ホルモン、特に血管作動性ペプチドは、血液、尿または脳脊髄液のような体液中で不安定である。したがって、体液中の血管作動性ペプチドの直接測定は厄介である。しかしながら、血管作動性ペプチドの前駆体または前駆体断片は成熟ホルモンより安定であり、それらの測定は成熟血管作動性ペプチドに関する代用または代理測定として用いられ得る。これは、多数の血管作動性ペプチド、例えばインスリンおよびその安定前駆体断片C−ペプチド(Melani et al. Identification of proinsulin and C-peptide in human serum by a specific immunoassay. PNAS 1970; 67: 148-55)、アルギニン−バソプレッシンおよびその安定前駆体断片コペプチン(Struck et al. Copeptin, a stable peptide derived from the vasopressin precusor, is elevated in serum of sepsis patients. Peptides 2005; 25: 2500-4;Morgenthaler et al. Assay for the the measurement of copeptin, astable peptide derived from the precursor of vasopressin. Clinical Chemistry 2006; 52: 112-9)、アドレノメデュリンおよびその安定前駆体断片MR−プロADM(Struck et al. Identification of an adrenomedullin precursor fragment in plasma of sepsis patients. Peptides 2004; 25: 1369-72;Morgenthaler et al. Measurement of midregional proadrenomedullin in plasma with an immunoluminometric assay. Clinical Chemistry 2005; 51: 1823-9)、動脈ナトリウム利尿性ペプチドおよびその安定前駆体断片MR−プロANP(Morgenthaler et al. Immunoluminometric assay for the midregion of pro-atrial natriuretic peptide in human plasma. Clinical Chemistry 2004; 50: 234-6)、エンドセリン−1およびその安定前駆体断片CT−プロET−1(Struck et al. Proteolytic processing pattern of the endothelin-1 precursor in vivo. Peptides 2005; 26: 2482-6;Papassotiriou et al. Immunoluminometric assay for the measurement of the C-terminal endothelin-1 precursor fragment in human plasma. Clinical Chemistry 2006; 52: 1144-51)、エンケファリンおよびそれらの安定前駆体断片MR−PENK(Ernst et al. Proenkephalin A 119-159, a stable proenkephalin A precursor fragment identified in human circulation. Peptides 2006; 27: 1835-40)、成熟タチキニンサブスタンスPおよびニューロキニンAならびにそれらの安定前駆体断片NT−PTA(Ernst et al. Detection of a stable N-terminal protachykinin A immunoreactivity in human plasma and cerebrospinal fluid. Peptides 2008; 29: 1201-6)、ニューロテンシンおよびその安定前駆体断片プロニューロテンシン1−117(Ernst et al. Proneurotensin 1-117, a stable neurotensin precursor fragment identified in human circulation. Peptides 2006; 27: 1787-93)に関して、既に示されている。
【0008】
内皮性機能不全は、血管の内表面を裏打ちする細胞である内皮細胞により実行される正常性化学的プロセスの生理学的機能不全である。内皮性機能不全は、血管拡張障害(弛緩および収縮因子間の不均衡)、ならびに前炎症性状態および血栓形成促進特性の変化により特性化される(Endemann and Schiffrin, Endothelial Dysfunction. Journal American Society of Nephrology 2004; 15: 1983-92)。それは、心臓血管性疾患、例えば高血圧症、冠動脈疾患、心不全、末梢動脈疾患、糖尿病および慢性腎不全と関連する。さらに、内皮性機能不全は、アテローム硬化症の発症における重要な事象であると考えられ、長年の臨床的に明らかな血管病態に先行する。内皮性機能不全は、卒中および心筋梗塞を含めた血管事象を予測するに際して、予後的意義を有することも示されている。さらに、内皮性機能不全は、炎症および感染(Stenvinkel. Endothelial dysfunction and inflammation - is there a link? Nephrology Dialysis and Transplantation 2001; 16: 1968-71)、敗血症(Vallet. Bench-to-bedside review: Endothelial cell dysfunction in severe sepsis: a role in organ dysfunction? Critical Care 2003; 7: 130-8;Peters et al. Molecular basis of endothelial dysfunction in sepsis. Cardiovascular Research 2003; 60: 49-57)ならびにCOPD(Moro. Endothelial dysfunction in chronic obstructive pulmonary disease. Angiology 2008; 59: 357-64)に関与することが示された。
【0009】
したがって、本発明は、急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす方法であり、以下の:
− 上記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
− 以下のカテゴリー:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに上記被験者を層化するステップ
を含む方法に関する。
【0010】
一実施形態において、本発明の方法は、3つのカテゴリー(i)、(ii)および(iii)を含む系の提供を包含する。さらに好ましい一実施形態では、本発明の方法は、3つのカテゴリー(i)、(ii)および(iii)を含むかおよび/またはそれらからなる上記の系を確立するために用いられる少なくとも2つの閾値の提供を包含する。
【0011】
本発明の状況では、「応答者」という用語は、疾患の治療のために医薬剤を摂取した後、好ましい作用を示す被験者を指す。
【0012】
本発明の状況における「非応答者」という用語は、疾患の治療のために医薬剤を摂取した後、作用を示さない(好ましい作用も好ましくない作用も示さない)被験者を指す。
【0013】
本発明によるいくつかの実施形態では、カテゴリー(i)および(ii)はプールされ、カテゴリー(iii)と区別される、すなわち、被験者は、好ましくない作用を示す被験者と好ましくない作用を示さない被験者に層化される。
【0014】
この実施形態では、本発明の方法は、2つのカテゴリーを含むかおよび/またはそれらからなる系の提供を包含する。さらに好ましい実施形態では、これは、上記二カテゴリー系を確立するために用いられる少なくとも1つの閾値の提供を包含する。最終目的である二カテゴリー系は、医薬剤による有害の提供である。
【0015】
本発明は、急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす方法であり、以下の:
− 上記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を上記体液試料中で確定するステップ;
− 以下のカテゴリー:
(i)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者または非応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに上記被験者を層化するステップ
を含む方法にも関する。
【0016】
特定の一態様では、本発明は、急性または慢性疾患を有する被験者の層化方法であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす方法であり、以下の:
− 上記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を上記体液試料中で確定するステップ;
− 試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片の濃度が、特定の医薬剤を摂取後に好ましくない作用を経験している被験者の危険度に起因すると考えるステップ
を含む方法にも関する。
【0017】
本発明の状況における「上記医薬剤を摂取後に好ましくない作用を示す被験者」は、上記違約剤の投与時に好ましくない作用を経験することが予測される被験者である。
【0018】
好ましくは、本明細書中では、血管作動性ホルモンは異化のものである:
(i)アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、インスリン、プロエンケファリン(PENK)、エンドキニンA、ジノルフィン、グレリン、レラキシンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択されるペプチドホルモン;もしくは
(ii)ブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択される小ペプチドホルモン;もしくは
(iii)セロトニン、プロスタグランジンおよびトロンボキサンからなる群から選択されるホルモン。
【0019】
さらに好ましくは、本明細書中では、血管作動性ホルモンは以下のものである:
アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、エンドキニンA、レラキシンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択されるペプチドホルモン;もしくは
(ii)ブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択される小ペプチドホルモン;もしくは
(iii)セロトニン、プロスタグランジンおよびトロンボキサンからなる群から選択されるホルモン。
【0020】
本明細書の状況における「小」ペプチドホルモンは、13またはそれ未満のアミノ酸残基を含むペプチドホルモン、特にブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、メチオニン−エンケファリンおよびロイシン−エンケファリンである。
【0021】
プロエンケファリン(PENK)は、メチオニン−エンケファリンおよびロイシン−エンケファリンの前駆体ポリペプチドである。
【0022】
特に好ましい一実施形態では、血管作動性ホルモンADMの前駆体断片は、中央領域プロアドレノメデュリン(MR−プロADM)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0023】
特に好ましい別の実施形態では、血管作動性ホルモンANPの前駆体断片は、中央領域プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(MR−プロANP)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0024】
さらに別の特に好ましい実施形態では、血管作動性ホルモンET−1の前駆体断片は、C末端プロエンドセリン−1(CT−プロET−1)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0025】
さらに別の特に好ましい実施形態では、血管作動性ホルモンAVPの前駆体断片は、C末端プロAVP(コペプチン)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0026】
疾患は、例えば以下の:慢性心不全、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症、肺動脈性高血圧症(PAH)、卒中後症状、心筋梗塞後症状、II型糖尿病、癌、アテローム硬化症、感染症、炎症性疾患および術後症状からなる群から選択され得る。
【0027】
疾患は、例えば以下の:慢性心不全、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症、卒中後症状、心筋梗塞後症状、II型糖尿病、癌、アテローム硬化症、感染症、炎症性疾患および術後症状からなる群から選択され得る。
【0028】
特に好ましい一実施形態では、疾患は、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症ならびに肺動脈性高血圧症(PAH)からなる群から選択され得る。
【0029】
特に好ましい一実施形態では、疾患は、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症からなる群から選択され得る。
【0030】
別の特に好ましい実施形態では、疾患は卒中後症状であり、すなわち、虚血性または出血性卒中または一過性虚血性発作(TIA)に罹患した被験者と関連づけられる。
【0031】
心不全(HF)(うっ血性心不全(CHF)とも呼ばれる)は、心臓の構造または機能に伴う問題が、身体の要求を満たすに十分な血流を供給するその能力を損なう場合に起こる心臓症状である。慢性心不全は、通常は安定処置症候を伴う長期的状況である。急性心不全は、増悪されるかまたは非代償性にされた心不全を記述するために用いられる用語であり、患者が、心不全徴候および症候の変化を有して、緊急の治療または入院を要すると特性化され得るエピソードを指す。
【0032】
息切れ(SoB;呼吸困難または息苦しさ)は、被験者における困難なまたは不快な呼吸の感覚あるいは十分な空気を得ることが出来ないという感じに関する。SoBは、多数の異なる原因を有し、中でも、心臓疾患、例えば心臓発作、うっ血性心不全および肺疾患(例えば肺炎)が原因であり得る。
【0033】
急性冠動脈症候群は、急性心筋虚血と互換性の臨床症候の任意の群を網羅するために用いられる包括的用語である。急性心筋虚血は、冠動脈疾患(冠動脈性心疾患とも呼ばれる)に起因する心筋への不十分な血液供給のせいである胸痛である。急性冠動脈症候群(ACS)は、通常は、胸痛と他の特徴の組合せであって、心臓への血流量の突然の低減(心臓虚血)の結果であると解釈される一組の徴候および症候である;これに関する最も一般的な原因は、心外膜冠動脈におけるアテローム硬化性プラークの崩壊である。急性冠動脈症候群の亜型としては、不安定狭心症(UA、心筋損傷と関連しない)、ならびに心筋が損傷される心筋梗塞(心臓発作)の2つの型が挙げられる。これらの型は、非STセグメント上昇型心筋梗塞(NSTEMI)およびSTセグメント上昇型心筋梗塞(STEMI)としての筋電図(ECG/EKG)の出現に従って名づけられる。
【0034】
不整脈は、心臓における異常電気活動が認められる症状の大型で且つ不均質な群のいずれかに関する用語である。心拍は、速過ぎるかまたは遅すぎ、そして規則的または不規則であり得る。不整脈の中には、心停止および突然死を引き起こし得る致命的な医療的緊急事態である。他のものは、例えば心拍の異常自覚(心悸亢進)のような症候を引き起こし、厄介なだけである。これらの心悸亢進は、心房/心室細動、ワイヤ・フフォールト、ならびにペースメーカー/除細動器におけるその他の技術的または機械的問題により引き起こされることも知られている。さらに他のものは、任意の症候に少しも関連しないが、しかし患者が命にかかわる卒中または塞栓を蒙り易くし得る。
【0035】
喘息は、可変性および再発性症候、気流閉塞ならびに気管支痙攣により特性化される気道の一般的慢性炎症性疾患である。症候としては、喘鳴、咳、胸部絞扼感および息切れが挙げられる。個体の中には、数週間または数ヶ月間安定喘息を有し、次いで、急性喘息を突然発症する者もいる。異なる喘息固体は、種々の因子に対して異なって反応する。しかしながら、ほとんどの個体が、いくつかの誘発性作因から喘息の重症増悪を発症し得る。
【0036】
気管支炎は、気管から肺に気流を運ぶ気道である気管支の粘膜の炎症である。気管支炎は、各々が独特の病因、病態および療法を有する2つのカテゴリー、すなわち急性および慢性に分類され得る。急性気管支炎は、呼吸道から咳と一緒に吐き出される(咳き込んで出される)粘液である痰の産生を伴ってまたは伴わずに、咳を発症することを特徴とする。急性気管支炎は、急性ウイルス性疾病、例えば普通の風邪またはインフルエンザの経過中にしばしば起こる。ウイルスは急性気管支炎の約90%を引き起こし、一方、細菌は10%未満を占める。慢性閉塞性肺疾患の一型である慢性気管支炎は、少なくとも2年間、年に3ヶ月以上持続する湿性咳の存在を特徴とする。慢性気管支炎は、吸入刺激原により引き起こされる気道に対する再発性損傷のために、最も高頻度に発症する。喫煙は最も一般的な原因であり、そして空気汚染、ならびに刺激原への職業的曝露、および冷気が後に続く。
【0037】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道が狭くなる肺の2つの一般に共在する疾患である一組である慢性気管支炎および気腫を指す。これは、肺へのおよび肺からの空気の流れを制限して、息切れを引き起こす。喘息に対比して、気流の制限は不十分に可逆性で、通常は長期に亘って漸進的に悪化する。COPDは、肺における異常炎症性応答を誘発する、最も一般的には喫煙からの、有害な粒子または気体により引き起こされる。大型気道における炎症性応答は、慢性気管支炎として知られており、これは、人が規則的に咳き込んで痰を吐く場合に、臨床的に診断される。肺胞において、炎症性応答は、気腫として既知のプロセスである肺の組織の崩壊を引き起こす。COPDの自然の経過は、急性増悪と呼ばれる症候の時折の突然の悪化を特徴とし、このほとんどが感染または空気汚染により引き起こされる。
【0038】
肺炎は、肺の異常炎症性症状である。それはしばしば、肺の実質組織(すなわち、肺胞)の炎症、ならびに流体を充填された異常肺胞(硬化および滲出)を包含するとして特性化される。肺胞は、ガス交換に関与する肺における顕微鏡的空気充填嚢である。肺炎は、種々の原因、例えば、細菌、ウイルス、真菌または寄生生物による感染、ならびに肺に対する化学的または物理的損傷に起因し得る。その原因は、感染性原因が排除された場合、特発性−すなわち、分からない−としても公式に記載されており、肺炎に関連した典型的症候としては、咳、胸痛、発熱および呼吸困難が挙げられる。診断ツールとしては、X線ならびに痰の検査が挙げられる。処置は、肺炎の原因に依っている;細菌性肺炎は抗生物質で処置される。肺炎は、全ての年齢群で起こり、高齢者ならびに慢性的におよび末期的に病んでいる人の間で死亡の主因である。さらに、それは、全世界の5歳以下の小児における死亡の主因である。
【0039】
肺動脈塞栓症(PE)は、血流を通して身体中の他の場所から移動した物質による肺の主動脈またはその分枝の1つの遮断である(塞栓形成)。通常は、これは、静脈血栓塞栓症と呼ばれるプロセスである足の深在静脈からの血栓(血餅)の塞栓形成のためである。小比率は、空気、脂肪または羊水の塞栓形成のためである。肺を通る血流の閉塞およびその結果生じる心臓右心室に掛かる圧力は、PEの症候および徴候をもたらす。PEの危険度は、癌および長期安静のような種々の状況において増大される。肺動脈塞栓症は、呼吸困難、吸気時の胸痛および動悸を包含する。臨床徴候としては、低血液酸素飽和およびチアノーゼ、呼吸促迫および急速な心拍数が挙げられる。PEの重症例は、虚脱、異常低血圧および突然死をもたらし得る。
【0040】
肺動脈性高血圧症(PAH)は、右心室過負荷を、そして最終的には右心室不全および早発性死をもたらす肺血管抵抗性の進行性増大により特性化される症候である。肺動脈性高血圧症(PAH)は、正常肺動脈楔入圧(<15 mmHg)で、安静時25 mmHgより高い、または運動時に30 mmHgより高い平均肺動脈圧の持続性上昇と定義される。ほとんどの場合、最初期症候は、物理的労作時の呼吸困難である。他の症候としては、失神または近失神、疲労および末梢性浮腫が挙げられる。胸部絞扼および狭心症と類似の疼痛は、特に物理的労作時に起こり得る。
【0041】
卒中は、脳血管性疾患に起因する急性限局性神経学的欠損と定義される。卒中の2つの主な型は、虚血性および出血性で、それぞれ約85%および15%を占める(Hickey 2003. The clinical practice of neurological and neurosurgical nursing (5th ed.). Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins)。虚血性卒中が起きると、脳への血液供給は妨げられ、脳細胞はグルコースおよび酸素を奪われる。虚血性卒中の約45%は小型または大型動脈血栓により引き起こされ、20%は塞栓起源であり、そして他は未知の原因を有する(Hickey 2003. The clinical practice of neurological and neurosurgical nursing (5th ed.). Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins)。
【0042】
一過性虚血性発作(TIA)(「ミニ卒中」としても既知である)は、24時間以内に完全に消散する孤立性神経学的症候の突然の開始を特徴とする症候である。TIAは、高齢者集団の0.5〜8%で報告され得る(Bots et al., 1997. Stroke 28(4): 768-73)。TIAを示す患者は、その後の有害事象の危険度が高い。卒中の90日危険度は10%より高いと報告されており、最高危険度は最初の2日以内に生じる(Jonston et al., 2003. Neurology 60: 1429-34)。
【0043】
心筋梗塞(MI)または急性心筋梗塞(AMI)(一般に心臓発作として既知である)は、心臓の部分への血液供給を妨害して、いくつかの心臓細胞を死なせることである。これは、最も一般的には、動脈壁中の脂質(脂肪酸)および白血球(特にマクロファージ)の不安定収集物である脆弱性アテローム硬化性プラークの破裂後の冠動脈の閉塞(遮断)のためである。その結果生じる虚血(血液供給の制限)および酸素不足は、十分な期間中未処置のままであると、心筋組織(心筋層)の損傷または死(梗塞)を引き起こし得る。ECGに基づいて、ST上昇MI(STEMI)または非ST上昇MI(非STEMI)の間で区別がなされる。
【0044】
2型真性糖尿病または2型糖尿病(以前は、非インスリン依存性真性糖尿病(NIDDM)または成人発症型糖尿病と呼ばれた)は、インスリン耐性および相対的インスリン欠乏の状況での高血糖を特徴とする障害である。
【0045】
アテローム硬化症(アテローム硬化性血管性疾患またはASVDとしても知られている)は、コレステロールのような脂肪性物質の構築の結果として動脈壁が厚くなる症状である。それは、大部分がマクロファージ白血球の蓄積による、動脈壁の慢性炎症性応答である動脈血管に影響を及ぼす症候であり、機能性高密度リポタンパク質(HDL)によるマクロファージからの脂肪およびコレステロールの適切な除去を伴わずに、低密度リポタンパク質(コレステロールおよびトリグリセリドを保有する血漿タンパク質)により促進される。それは、一般に、動脈の硬化または肥厚として言及される。それは、動脈内の多数のプラークの形成により引き起こされる。
【0046】
特に好ましい別の実施形態では、疾患は、心筋梗塞後症状であり、すなわち、被験者は心筋梗塞に罹患している。
【0047】
したがって、違約剤は、例えば、凝血薬、血栓溶解薬、血小板凝集阻害薬、β遮断薬、酸化防止剤、脂質低下物質、利尿薬、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ5型阻害薬、プロスタサイクリン誘導体、可溶性グアニレートシクラーゼ活性化剤、ホルモン療法薬、NO置換剤、アデノシン受容体遮断薬、心臓グリコシド、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗糖尿病薬、抗不整脈薬および抗生物質からなる群から選択され得る。特に好ましい違約剤は、ACE阻害薬、利尿薬およびβ遮断薬である。
【0048】
したがって、医薬剤は、例えば、抗凝血薬、血栓溶解薬、血小板凝集阻害薬、β遮断薬、酸化防止剤、脂質低下物質、利尿薬、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬、カルシウムチャンネル遮断薬、ホルモン療法薬、NO置換剤、アデノシン受容体遮断薬、心臓グリコシド、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗糖尿病薬、抗不整脈薬および抗生物質からなる群から選択され得る。特に好ましい医薬剤は、ACE阻害薬、利尿薬およびβ遮断薬である。
【0049】
医薬剤は、2つ以上の薬剤の組合せ、例えば、β遮断薬/カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ベルニフ(登録商標)、すなわち活性成分:メトプロロール+ニフェジピン)、アンギオテンシンIIアンタゴニスト/利尿薬(例えば、ブロプレス(登録商標)−活性成分:カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド)でもあり得る。
【0050】
カルシウムチャンネル遮断薬は、例えば、ジヒドロピリジン(例えばニカルジピン)、フェニルアルキルアミン(例えばベラパミル)、ベンゾチアゼピン(例えばジルチアゼム)、ミベフラジルおよびフェンジリンからなる群から選択され得る。
【0051】
脂質低下物質は、例えば、スタチン(例えば、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、眼場スタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン)、フィブラート(例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラート、エトフィブラート、ゲムフィブロジル)、胆汁酸封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール)、およびニコチン酸誘導体(例えば、アシピモクス、キサンチノールニコチネート、イノシトールニコチネート)からなる群から選択され得る。
【0052】
酸化防止剤は、例えば、ビタミンA、ビタミンC、オキシプリオノール、スーパーオキシドジムスターゼおよびプロブコールからなる群から選択され得る。
【0053】
ACE阻害薬は、例えば、カプトプリル、エナラプリル、クアナラプリル、ペリドプリル、テモカプリル、ラミプリル、リシノプリルからなる群から選択され得る。
【0054】
ホルモン療法薬は、例えば、β−エストラジオールおよびプロゲステロンからなる群から選択され得る。
【0055】
NO置換剤は、例えば、有機硝酸塩(例えばニトログリセリン)、シドノンイミンおよびL−アルギニンからなる群から選択され得る。
【0056】
抗凝血薬は、例えば、ビタミンKアンタゴニスト(例えば、フェンプロクモン、ワルファリン)、直接トロンビン阻害薬(例えば、レピルジン、デシルジン、アルガトロバン)、ヘパリンからなる群から選択され得る。
【0057】
血栓溶解薬は、例えば、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼおよびウリキナーゼからなる群から選択され得る。
【0058】
血小板凝集阻害薬は、例えば、チクロピジン、クロピドグレル、アセチルサリチル酸からなる群から選択され得る。
【0059】
心臓グリコシドは、例えば、ジゴキシン、ジギトキシン、デスラノシド、クアバインおよびプロシラリジンからなる群から選択され得る。
【0060】
利尿薬は、例えば、ループ利尿薬(例えばフロセミド)、ベンゾチアジアジド利尿薬(例えばメトラゾン)、カリウム保持性利尿薬(例えばスピロノラクトン)、および浸透圧利尿薬(例えばマンニトール)からなる群から選択され得る。
【0061】
アンギオテンシンIIアンタゴニストは、例えば、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、ロサルタン、バルサルタンおよびオルメサルタンからなる群から選択され得る。
【0062】
β遮断薬は、例えば、β遮断薬(例えばナドロール、ペンブトロール)、β1選択性薬(例えばビソプロロール、メトプロロール)、およびα1/βアドレナリン作動性アンタゴニスト(例えばカルベジロール、セリプロロール)からなる群から選択され得る。
【0063】
エンドセリン受容体アンタゴニストは、例えば、選択性エンドセリン受容体A型アンタゴニスト(例えば、シタキセタン、アンブリセンタン、アトラセンタン、BQ−123)、選択性エンドセリン受容体Bアンタゴニスト(例えばサラフォトキシンB)、およびエンドセリン受容体A/Bアンタゴニスト(例えばボセンタン、テゾセンタン)からなる群から選択され得る。
【0064】
ホスホジエステラーゼ5型阻害薬は、例えば、シルデナフィル、シルデンフィル、シトレート、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィルからなる群から選択され得る。
【0065】
プロスタサイクリン誘導体は、例えば、エポプロステノール、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストからなる群から選択され得る。
【0066】
可溶性グアニレートシクラーゼ活性化因子は、例えば、シナシグアト、リオシグアトからなる群から選択され得る。
【0067】
抗不整脈剤は、例えば、キニジン、クラスI抗不整脈薬(例えば、ジソピラミド、リドカイン、プロパフェノン)、クラスII抗不整脈薬(例えばメトプロロール)、クラスIII抗不整脈薬(例えば、アミオダロン、ソタロール)、クラスIV抗不整脈薬(例えば、ベラパミル、ジルチアゼム)からなる群から選択され得る。
【0068】
抗生物質は、例えば、ペニシリン(例えば、フルクロキサシリン、アモキシシリン、アンピシリン、メズロシリン)、セファロスポリン(例えば、セファゾリン、セフロキシム、セフォタキシム、セファクロル、セファレキシン)、βラクタマーゼ阻害薬(例えば、スルバクタム、タゾバクタム)、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン)、アミノグリコシド(例えば、ゲンタミシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン)、マクロライド系抗生物質(例えば、アジトロマイシン、クラリトロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、クリンダマイシン)、リンコサミド(例えばリンコマイシン)、ギラーゼ阻害薬(例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン)、スルホンアミド、トリメトプリム、グリコペプチド抗生物質(例えばバンコマイシン)、ポリペプチド抗生物質(例えばコリスチン、ポリミキシン)、アンフェニコール(例えばクロラムフェニコール)からなる群から選択され得る。
【0069】
抗糖尿病薬は、例えば、インスリン、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、ビグアニド誘導体(例えばメトフォルミン)、スルホニル尿素誘導体(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド)、ピオグリタゾン、レパグリニド、ナテグリニドおよびロシグリタゾンマレイン酸塩からなる群から選択され得る。
【0070】
本発明による方法の特に好ましい一実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はMR−プロADMまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤はスタチンである。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者:>0.9 pmol/LのMR−プロADM;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:0.5〜0.9 pmol/LのMR−プロADM;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:<0.5 pmol/LのMR−プロADM。
【0071】
本発明による方法の特に好ましい別の実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はMR−プロADMまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、この場合、医薬剤はクロピドグレルである。
【0072】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はCT−プロAVPまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、この場合、医薬剤はアセチルサリチル酸である。
【0073】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はCT−プロAVPまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤は利尿薬である。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者、または上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:<4 pmol/LのCT−プロAVP;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:>4 pmol/LのCT−プロAVP。
【0074】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は心筋梗塞であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はMR−プロADMまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤は利尿薬である。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者、または上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:>0.5 pmol/LのMR−プロADM;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:<0.5 pmol/LのMR−プロADM。
【0075】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は心筋梗塞後症状であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はCT−プロAVPまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤はACE阻害薬/アデノシン受容体遮断薬(ARB)である。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者:>19 pmol/LのCT−プロAVP;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:3.6〜19 pmol/LのCT−プロAVP;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:<3.6 pmol/LのCT−プロAVP。
【0076】
上記の本明細書中で引用される閾値は、非常に特定の例証的実施形態に関する値であると理解されるべきである。
【0077】
本明細書中の好ましくない作用は、例えば、死または主要有害心臓事象(MACE)であり得る。好ましくない作用に関する結果は、処置に患者を参加させた後の所定の時間での、例えば救急病棟に入院後のものであり得る。結果は、入院の数日後、数週間後、数ヵ月後、または数年後、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間後、あるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヶ月後であり得る。
【0078】
体液は、好ましくは、血液、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、喀痰および胸水の群から選択される。さらに好ましくは、試料は、全血、血漿または血清から選択され、最も好ましくは、試料は血漿である。
【0079】
本発明は、以下のカテゴリー:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための被験者の体液から得られる試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の濃度を確定するための検体の使用であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす使用にも関する。
【0080】
本発明の状況では、2つ以上の血管作動性ホルモンレベルまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の組合せも用いられ得る。さらに、本発明による被験者の中には、2つ以上の医薬剤の組合せを摂取する者もいる。これらの被験者も、本発明の状況において層化され得る。
【0081】
以下のカテゴリー:
(i)前記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない前記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための方法における、アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、ブラジキニン、レラキシン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスPおよびニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンの群から選択される、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片に特異的な抗体またはその機能性断片の使用であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす使用にも関する。
【0082】
異なる群(カテゴリー)に被験者を層化するための適切な閾値レベルは、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片、医薬剤および疾患の各々の特定の組合せに関して確定されなければならない。これは、例えば、ある変位値、例えば三分位数、四分位数、五分位数に、または適切な百分位数によってさえ、血管作動性ホルモンのそれらのレベルによって患者の参照集団を群分けすることにより実行され得る。ある百分位数より上および下の変位数または群の各々に関して、ハザード比が算定され、例えば、ある医薬剤を摂取した患者と摂取しなかった患者との間の生存率に関して、有害結果、すなわち「好ましくない作用」に関する危険度を比較する。このようなシナリオでは、1より大きいハザード比(HR)は、処置を受けた患者に関する有害結果の危険度が摂取しなかった患者の場合より高いことを示す。1より低いHRは、患者の群におけるある処置の有益作用を示す。およそ1(+/-0.1)のHRは、患者の特定の群に関して、危険度上昇はないが医薬剤からの利益もないことを示す。患者のある変位値間のHRを互いに、ならびに患者の全体集団のHRと比較することにより、危険度上昇を示す患者の変位値、ならびに医薬剤から利益を得るものを同定し、それにより本発明による被験者を層化し得る。
【0083】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の少なくとも2つの閾値レベルは、上記被験者を以下のカテゴリーのうちの1つに層化するために確定されなければならない:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者。
いくつかの場合、好ましくない作用は、高レベル(例えば、第5の五分位数)の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片を有する患者に影響を及ぼすが、一方、他の場合には、低レベルの血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片を有する患者のみが、影響を受ける(例えば、第1五分位数で)。これは、特定の医薬剤、ホルモンおよび疾患によって決まる。しかしながら、上記の説明であれば、違約剤が好ましくない作用を有する患者の群、医薬剤から利益も害も受けない群、ならびに医薬剤から利益を受ける群を同定し得る。例として、ホルモン前駆体断片および医薬剤のいくつかの組合せが、添付の実施例におけるいくつかの疾患に関して列挙される。
【0084】
添付の実施例では、種々の異なる薬剤で処置された、そして種々の血管作動性ホルモン前駆体断片のレベルが測定された種々の臨床試験からの患者に関して、患者群のこのような分析が実証される。
【0085】
しかしながら、本発明は、実施例で実証される医薬剤、疾患および血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片の組合せに限定されないが、しかしより一般的な方法を提供する。
【0086】
本明細書中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片(「マーカーペプチド」とも呼ばれる)のレベルを確定すること(または測定することまたは検出すること)は、以下で例示されるような検出方法および/または診断検定を用いて実施され得る。
【0087】
本明細書中で記述される場合、「検定」または「診断検定」は、診断の分野に当てはめられる任意の型のものであり得る。このような検定は、検出されるべき分析物とある親和力を有する1つ以上の捕捉プローブとの結合を基礎にし得る。捕捉分子と標的分子または当該分子との間の相互作用に関して、親和定数は、好ましくは108 M-1より大きい。
【0088】
本発明の状況では、「捕捉分子」は、標的分子または当該分子、すなわち試料からの分析物(すなわち、本発明の状況では、心臓血管性および/または血管作動性ペプチド(単数または複数))である。したがって、捕捉分子は、標的分子または当該分子と特異的に結合するために、空間的に、ならびに表面特徴、例えば表面電荷、疎水性、親水性、ルイス供与体および/または受容体の存在または非存在に関して、適切に造形されなければならない。それにより、結合は、例えば、イオン、ファンデルワールス、パイ−パイ、シグマ−パイ、疎水性または水素結合相互作用、あるいは捕捉分子と標的分子または当該分子との間の上記相互作用のうちの2つ以上の組合せにより媒介され得る。本発明の状況では、捕捉分子は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、RNA分子、タンパク質、抗体、ペプチドまたは糖タンパク質からなる群から選択され得る。好ましくは、捕捉分子は、抗体、例えば標的または当該分子と十分な親和性を有するその断片、および例えば、組換え抗体または組換え抗体断片、ならびに上記抗体またはその少なくとも12アミノ酸長を有する変異体鎖から得られる断片の化学的および/または生化学的修飾誘導体である。
【0089】
好ましい検出方法は、種々のフォーマットでのイムノアッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光−および蛍光イムノアッセイ、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ルミネックスベースのビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイ検定、ならびに迅速試験フォーマット、例えば免疫クロマトグラフィーストリップ試験を包含する。
【0090】
検定は、均一または不均一検定、競合および非競合検定であり得る。特に好ましい一実施形態では、検定はサンドイッチ検定の形態であって、これは非競合的イムノアッセイであり、個の場合、検出または定量されるべき分子は、第一抗体と、および第二抗体と結合される。第一抗体は、固相、例えばビーズ、ウェルまたは他の容器の表面、チップまたはストリップと結合され、第二抗体は、例えば染料で、放射性同位体、あるいは反応性または触媒的活性部分で標識される抗体である。次いで、分析物と結合される標識抗体の量が、適切な方法により測定される。「サンドイッチ検定」に関与する一般的組成物および手法は、十分に確立されており、当業者に既知である(The Immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD. Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267;Hultschig et al., Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb; 10(1): 4-10. PMID: 16376134)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
【0091】
特に好ましい一実施形態では、検定は、液体反応混合物中の分散としてともに存在する2つの捕捉分子、好ましくは抗体を含み、この場合、第一標識構成成分は第一捕捉分子と結合し、上記第一標識構成成分は蛍光−または化学発光−消光または増幅を基礎にした標識系の一部であり、そして上記マーカー系の第二標識構成成分は第二捕捉分子と結合され、したがって、両捕捉分子と分析物との結合時、測定可能シグナルが発生されて、試料を含む溶液中の形成されたサンドイッチ複合体の検出を可能にする。
【0092】
さらに好ましい上記標識系は、希土類クリプテートまたは希土類キレート化合物を、蛍光染料または化学発光染料、とくにシアニン型の染料と組合せて含む。
【0093】
本発明の状況では、蛍光ベースの検定は、例えば、FAM(5−または6−カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD−700/800、シアニン染料、例えばCY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7、キサンテン、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY染料、例えばBODIPY TMR、オレゴングリーン、クマリン、例えばウンベリフェロン、ベンズイミド、例えばHoechst 33258、フェナントリジン、例えばテキサスレッド、ヤキマイエロー、アレキサ・フルオル、PET、臭化エチジウム、アクリジニウム染料、カルバゾール染料、フェノキサジン染料、ポルフィリン染料、ポリメチン染料等を含む群から選択され得る染料の使用を包含する。
【0094】
本発明の状況では、化学発光ベースの検定は、Kirk-Othmer, Encyclopedia of chemical technology, 4th ed., executive editor, J.I. Kroschwitz; editor, M. Howe-Grant, John Wiley & Sons, 1993, vol.15, p.518-562(p.551-562における引用を含む)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)において化学発光物質に関して記載された物理的原理に基づいた染料の使用を包含する。好ましい化学発光染料は、アクリジニウムエステルである。
【0095】
被験者の試料中の1つ以上の血管作動性ホルモン(またはその断片、あるいは前駆体またはその断片)のレベル、すなわち濃度は、特定の医薬剤に関して異なる危険度群に被験者を層化するために用いられる。例えば、ある閾値より上または他の場合には下の血管作動性ホルモン(またはその断片、あるいは前駆体またはその断片)の濃度は、上記違約剤を摂取した後の被験者における好ましくない作用の危険度を示す。
【0096】
生存分析(Cox回帰およびハザード比)ならびにカプラン・マイヤー推定量は、血管作動性ホルモン(またはその断片、あるいは前駆体またはその断片)を有する患者に関するある医薬剤の危険度の査定または予測(例えばカットオフより上または下)のために用いられ得る。
【0097】
配列
アドレノメデュリンの前駆体ペプチド(プレ−プロ−アドレノメデュリン)のアミノ酸配列は、配列番号1で示される。プロ−アドレノメデュリンは、プレ−プロ−アドレノメデュリンの配列のアミノ酸残基22〜185に関する。プロ−アドレノメデュリン(プロ−ADM)のアミノ酸配列は、配列番号2で示される。プロ−ADM N末端20ペプチド(PAMP)は、プレ−プロADMのアミノ酸残基22〜41に関する。PAMPのアミノ酸配列は、配列番号3で示される。MR−プロ−アドレノメデュリン(MR−プロ−ADM)は、プレ−プロ−ADMのアミノ酸残基45〜92に関する。NR−プロ−ADMのアミノ酸配列は、配列番号4で提供される。成熟アドレノメデュリン(ADM)のアミノ酸配列は、配列番号5で示される。
【0098】
配列番号1(プレ−プロ−ADMのアミノ酸配列):
1 MKLVSVALMY LGSLAFLGAD TARLDVASEF RKKWNKWALS RGKRELRMSS
51 SWPTGLADVK AGPAQTLIRP QDMKGASRSP EDSSPDAARI RVKRYRQSMN
101 NFQGLRSFGC RFGTCTVQKL AHQIYQFTDK DKDNVAPRSK ISPQGYGRRR
151 RRSLPEAGPG RTLVSSKPQA HGAPAPPSGS APHFL
【0099】
配列番号2(プロ−ADMのアミノ酸配列):
1 ARLDVASEFR KKWNKWALSR GKRELRMSSS YPTGLADVKA GPAQTLIRPQ
51 DMKGASRSPE DSSPDAARIR VKRYRQSMNN FQGLRSFGCR FGTCTVQKLA
101 HQIYQFTDKD KDNVAPRSKI SPQGYGRRRR RSLPIAGPGR TLVSSKPQAH
151 GAPAPPSGSA PHFL
【0100】
配列番号3(プロ−ADM N20のアミノ酸配列):
1 ARLDVASEFR KKWNKWALSR
【0101】
配列番号4(MR−プロ−ADMのアミノ酸配列):
1 ELRMSSSYPT GLADVKAGPA QTLIRPQDMK GASRSPEDSS
【0102】
配列番号5(ADMのアミノ酸配列):
1 YRQSMNNFQG LRSFGCRFGT CTVQKLAHQI YQFTDKDKDN VAPRSKISPQ
51 GY
【0103】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)のアミノ酸配列は、配列番号8で示される。153アミノ酸プレ−プロ−ANPの配列は、配列番号6で示される。N末端シグナル配列(25アミノ酸)および2つのC末端アミノ酸(127/128)の切断時に、プロANP(配列番号7)が放出される。ANPは、前駆体プロホルモン プロ−ANPのC末端からの残基99〜126を含む。このプロホルモンは、成熟28アミノ酸ペプチドANP(ANP(1〜28)またはα−ANPとしても既知)と、アミノ末端断片ANP(1〜98)(NT−プロANP、配列番号9)に切断される。中央領域プロANP(MR−プロANP)は、NT−プロANPまたはその任意の断片(プロANPの少なくともアミノ酸残基53〜90(配列番号10)を含む)と定義される。プレ−プロ−ANP(配列番号6)におけるC末端の2つのアルギニン残基(位置152および153)は、プレ−プロ−ANPをコードする遺伝子の別の対立遺伝子中には存在せず、したがって、プレ−プロ−ANPは残基1〜151のみを含み得る。これは、もちろん、プレ−プロ−ANPのそれぞれの断片、特にプロ−ANPに関しても言える。
【0104】
配列番号6(プレ−プロ−ANPのアミノ酸配列):
1 MSSFSTTTVS FLLLLAFQLL GQTRANPMYN AVSNADLMDF KNLLDHLEEK
51 MPLEDEVVPP QVLSEPNEEA GAALSPLPEV PPWTGEVSPA QRDGGALGRG
101 PWDSSDRSAL LKSKLRALLT APRSLRRSSC FGGRMDRIGA QSGLGCNSFR
151 YRR
【0105】
配列番号7(プロ−ANPのアミノ酸配列):
1 NPMYNAVSNA DLMDFKNLLD HLEEKMPLED EVVPPQVLSE PNEEAGAALS
51 PLPEVPPWTG EVSPAQRDGG ALGRGPWDSS DRSALLKSKL RALLTAPRSL
101 RRSSCFGGRM DRIGAQSGLG CNSFRY
【0106】
配列番号8(ANPのアミノ酸配列):
1 SLRRSSCFGG RMDRIGAQSG LGCNSFRY
【0107】
配列番号9(NT−プロANPのアミノ酸配列):
1 NPMYNAVSNA DLMDFKNLLD HLEEKMPLED EVVPPQVLSE PNEEAGAALS
51 PLPEVPPWTG EVSPAQRDGG ALGRGPWDSS DRSALLKSKL RALLTAPR
【0108】
配列番号10(プロANPのアミノ酸53〜90のアミノ酸配列):
1 PIVPPWTGEV SPAQRDGGAL GRGPWDSSDR SALLKSKL
【0109】
バソプレッシンの164アミノ酸前駆体ペプチド(プレ−プロ−バソプレッシン)の配列は、配列番号11で示される。プロ−バソプレッシンは、プレ−プロ−バソプレッシンの配列のアミノ酸残基29〜164に関する。プロ−バソプレッシンのアミノ酸配列は、配列番号12で示される。プロ−バソプレッシンは、成熟バソプレッシン、ニューロフィジンIIおよびC末端プロバソプレッシン(CT−プロAVPまたはコペプチン)に切断される。バソプレッシンは、プレ−プロ−バソプレッシンのアミノ酸残基20〜28に関する。バソプレッシンのアミノ酸配列は、配列番号13で示される。コペプチンは、プレ−プロ−バソプレッシンのアミノ酸残基126〜164に関する。コペプチンのアミノ酸配列は、配列番号14で提供される。ニューロフィジンIIはプレ−プロ−バソプレッシンのアミノ酸残基32〜124を含み、その配列は配列番号15で示される。
【0110】
配列番号11(プレ−プロ−AVPのアミノ酸配列):
1 MPDTMLPACF LGLLAFSSAC YFQNCPRGGK RAMSDLELRQ CLPCGPGGKG
51 RCFGPSICCA DELGCFVGTA EALRCQEENY LPSPCQSGQK ACGSGGRCAA
101 FGVCCNDESC VTEPECREGF HRRARASDRS NATQLDGPAG ALLLRLVQLA
151 GAPEPFEPAQ PDAY
【0111】
配列番号12(プロ−AVPのアミノ酸配列):
1 CYFQNCPRGG KRAMSDLELR QCLPCGPGGK GRCFGPSICC ADELGCFVGT
51 AEALRCQEEN YLPSPCQSGQ KACGSGGRCAAFGVCCNDES CVTEPECREG
101 FHRRARASDR SNATQLDGPA GALLLRLVQL AGAPEPFEPA QPDAY
【0112】
配列番号13(AVPのアミノ酸配列):
1 CYFQNCPRG
【0113】
配列番号14(CT−プレ−プロAVPまたはコペプチンのアミノ酸配列):
1 ASDRSNATQL DGPAGALLLR LVQLAGAPEP FEPAQPDAY
【0114】
配列番号15(ニューロフィジンIIのアミノ酸配列):
1 AMSDLELRQC LPCGPGGKGR CFGPSICCAD ELGCFVGTAE ALRCQEENYL
51 PSPCQSGQKA CGSGGRCAAF GVCCNDESCV TEPECREGFH RRA
【0115】
エンドセリン−1の212アミノ酸前駆体ペプチド(プレ−プロ−エンドセリン−1)の配列は、配列番号16で示される。プロ−ET−1は、プレ−プロ−ET−1の配列のアミノ酸残基18〜212に関する。プロ−ET−1のアミノ酸配列は、配列番号17で示される。プロ−ET−1は、成熟ET−1、big−ET−1およびC末端プロET−1(CT−プロET−1)に切断される。ET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基53〜73に関する。ET−1のアミノ酸配列は、配列番号18で示される。CT−プロET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基168〜212に関する。CT−プロET−1のアミノ酸配列は、配列番号19で提供される。big−ET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基53〜90を含み、その配列は配列番号20で示される。
【0116】
配列番号16(プレ−プロ−ET−1のアミノ酸配列):
1 MDYLLMIFSL LFVACQGAPE TAVLGAELSA VGENGGEKPT PSPPWRLRRS
51 KRCSCSSLMD KECVYFCHLD IIWVNTPEHV VPYGLGSPRS KRALENLLPT
101 KATDRENRCQ CASQKDKKCW NFCQAGKELR AEDIMEKDWN NHKKGKDCSK
151 LGKKCIYQQL VRGRKIRRSS EEHLRQTRSE TMRNSVKSSF HDPKLKGKPS
201 RIRYVTHNRA HW
【0117】
配列番号17(プロ−ET−1のアミノ酸配列):
1 APETAVLGAE LSAVGENGGE KPTPSPPWRL RRSKRCSCSS LMDKECVYFC
51 HLDIIWVNTP EHVVPYGLGS PRSKRALENL LPTKATDREN RCQCASQKEK
101 KCWNFCQAGK ELRAEDIMEK DWNNHKKGKD CSKLGKKCIY QQLVRGRKIR
151 RSSEEHLRQT RSETMRNSVK SSFHDPKLKG KPSRERYVTH NRAHW
【0118】
配列番号18(ET−1のアミノ酸配列):
1 CSCSSLMDKE CVYFCHLDII W
【0119】
配列番号19(CT−プロ−ET−1のアミノ酸配列):
1 RSSEEHLRQT RSETMRNSVK SSFHDPKLKG KPSRERYVTH NRAHW
【0120】
配列番号20(Big−ET−1のアミノ酸配列):
1 CSCSSLMDKE CVYFCHLDII WVNTPEHVVP YGLGSPRS
【0121】
脳性ナトリウム利尿ペプチドの134アミノ酸前駆体ペプチド(プレ−プロ−BNP)の配列は、配列番号21で示される。プロ−BNPは、プレ−プロ−BNPのアミノ酸残基27〜134に関する。プロ−BNPの配列は、配列番号22で示される。プロ−BNPは、N末端プロ−BNP(NT−プロ−BNP)および成熟BNPに切断される。NT−プロ−BNPはアミノ酸残基27〜102を含み、その配列は配列番号23で示される。配列番号24は、プレ−プロ−BNPペプチドのアミノ酸残基103〜134を含むBNPの配列を示す。
【0122】
配列番号21(プレ−プロ−BNPのアミノ酸配列):
1 MDPQTAPSRA LLLLLFLHLA FLGGRSHPLG SPGSASDLET SGLQEQRNHL
51 QGKLSELQVE QTSLEPLQES PRPTGVWKSREVATEGIRGH RKMVLYTLRA
101 PRSPKMVQGS GCFGRKMDRI SSSSGLGCKV LRRH
【0123】
配列番号22(プロ−BNPのアミノ酸配列):
1 HPLGSPGSAS DLETSGLQEQ RNHLQGKLSE LQVEQTSLEP LQESPRPTGV
51 WKSREVATEG IRGHRKMVLY TLRAPRSPKM VQGSGCFGRK MDRISSSSGL
101 GCKVLRRH
【0124】
配列番号23(NT−プロ−BNPのアミノ酸配列):
1 HPLGSPGSAS DLETSGLQEQ RNHLQGKLSE LQVEQTSLEP LQESPRPTGV
【0125】
配列番号24(BNPのアミノ酸配列):
1 SPKMVQGSGC FGRKMDRISS SSGLGCKVLR RH
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1〜8は、「うっ血性心不全試験の評価におけるバイオマーカー」(「BACH」)からの、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症に罹患している患者に関する生存率を示す。
【0127】
図1:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤AC阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=974)、薬剤処置なしn=506(死亡=64)、薬剤処置ありn=441(死亡=42);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.03 0.657 nmol/L;n=188)、薬剤処置なしn=135(死亡=2)、薬剤処置ありn=53(死亡=2);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.658〜1.89 nmol/L;n=570)、薬剤処置なしn=271(死亡=31)、薬剤処置ありn=299(死亡=23);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.90〜14.6 nmol/L;n=189)、薬剤処置なしn=100(死亡=31)、薬剤処置ありn=89(死亡=17)。
【0128】
【図2】図2:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤スタチン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1330)、薬剤処置なしn=887(死亡=57)、薬剤処置ありn=443(死亡=22);B:第1MR−プロANP 五分位数(3.9〜54.6 pmol/L;n=259)、薬剤処置なしn=234(死亡=1)、薬剤処置ありn=25(死亡=1);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(54.7〜431 pmol/L;n=805)、薬剤処置なしn=501(死亡=28)、薬剤処置ありn=304(死亡=8);D:第5MR−プロADM 五分位数(431.1〜2510 pmol/L;n=266)、薬剤処置なしn=152(死亡=28)、薬剤処置ありn=144(死亡=13)。
【0129】
【図3】図3:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=943)、薬剤処置なしn=588(死亡=59)、薬剤処置ありn=355(死亡=47);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.71〜5.44 pmol/L;n=188)、薬剤処置なしn=159(死亡=8)、薬剤処置ありn=29(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(5.45〜43.2 pmol/L;n=566)、薬剤処置なしn=354(死亡=26)、薬剤処置ありn=212(死亡=19);D:第5CT−プロAVP 五分位数(43.3〜1050 pmol/L;n=189)、薬剤処置なしn=75(死亡=25)、薬剤処置ありn=114(死亡=26)。
【0130】
【図4】図4:マーカーBNPおよび医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=892)、薬剤処置なしn=666(死亡=59)、薬剤処置ありn=226(死亡=11);B:第1BNP 五分位数(3〜65 pg/mL;n=183)、薬剤処置なしn=152(死亡=4)、薬剤処置ありn=31(死亡=2);C:第2〜第4BNP 五分位数(65〜904 pg/mL;n=537)、薬剤処置なしn=378(死亡=27)、薬剤処置ありn=159(死亡=7);D:第5BNP 五分位数(904〜7850 pg/mL;n=172)、薬剤処置なしn=136(死亡=28)、薬剤処置ありn=36(死亡=2)。
【0131】
【図5】図5:マーカーCT−プロET−1および医薬剤β遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=895)、薬剤処置なしn=432(死亡=39)、薬剤処置ありn=463(死亡=31);B:第1CT−プロET−1 五分位数(6.92〜67 pmol/L;n=184)、薬剤処置なしn=121(死亡=0)、薬剤処置ありn=63(死亡=1);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(67〜182 pmol/L;n=542)、薬剤処置なしn=249(死亡=21)、薬剤処置ありn=293(死亡=18);D:第5CT−プロET−1 五分位数(182〜709 pmol/L;n=169)、薬剤処置なしn=62(死亡=18)、薬剤処置ありn=107(死亡=12)。
【0132】
【図6】図6:マーカーNT−プロBNPおよび医薬剤ワルファリン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=875)、薬剤処置なしn=651(死亡=53)、薬剤処置ありn=224(死亡=15);B:第1NT−プロBNP 五分位数(3〜280 pg/mL;n=174)、薬剤処置なしn=159(死亡=4)、薬剤処置ありn=15(死亡=1);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(280〜7080 pg/mL;n=535)、薬剤処置なしn=374(死亡=26)、薬剤処置ありn=161(死亡=7);D:第5NT−プロBNP 五分位数(7080〜112000 pg/mL;n=166)、薬剤処置なしn=118(死亡=23)、薬剤処置ありn=48(死亡=7)。
【0133】
【図7】図7:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびCT−プロET−1、ならびに医薬剤AC阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1330)、薬剤処置なしn=739(死亡=51)、薬剤処置ありn=591(死亡=28);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=560;中央値MR−プロADM濃度0.875 nmol/L;中央値CT−プロET−1濃度88.2 pmol/L)、薬剤処置なしn=396(死亡=6)、薬剤処置ありn=164(死亡=3);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはCT−プロET−1に関する第2〜第4 五分位数(n=167)、薬剤処置なしn=89(死亡=6)、薬剤処置ありn=78(死亡=5);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=603)、薬剤処置なしn=254(死亡=39)、薬剤処置ありn=349(死亡=20)。
【0134】
【図8】図8:マーカーCT−プロET−1、ならびに医薬剤組合せ:ACE阻害薬およびβ遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=607)、薬剤処置なしn=344(死亡=43)、薬剤処置ありn=263(死亡=27);B:第1CT−プロET−1 五分位数(6.9〜67 pmol/L;n=137)、薬剤処置なしn=101(死亡=1)、薬剤処置ありn=36(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(67〜182 pmol/L;n=353)、薬剤処置なしn=194(死亡=26)、薬剤処置ありn=159(死亡=11);D:第5CT−プロET−1 五分位数(182〜709 pmol/L;n=117)、薬剤処置なしn=49(死亡=16)、薬剤処置ありn=68(死亡=14)。
【0135】
【図9】図9〜13は、「疾患の重症度を導くためのコペプチン、ならびに管理、浸透圧状態およびストレス」(「COSMOS」)からの、虚血性卒中、出血性卒中または一過性虚血性発作に罹患している患者に関する生存率を示す。
【0136】
図9:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=418)、薬剤処置なしn=279(死亡=13)、薬剤処置ありn=139(死亡=24);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.9〜3.93 pmol/L;n=87)、薬剤処置なしn=67(死亡=1)、薬剤処置ありn=20(死亡=0);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(3.93〜32.9 pmol/L;n=247)、薬剤処置なしn=170(死亡=6)、薬剤処置ありn=77(死亡=8);D:第5CT−プロAVP 五分位数(32.9〜778 pmol/L;n=84)、薬剤処置なしn=42(死亡=6)、薬剤処置ありn=42(死亡=16)。
【0137】
【図10】図10:マーカーCT−プロET−1および医薬剤スタチン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=415)、薬剤処置なしn=310(死亡=26)、薬剤処置ありn=105(死亡=9);B:第1CT−プロET−1 五分位数(1〜51.4 pmol/L;n=85)、薬剤処置なしn=75(死亡=3)、薬剤処置ありn=10(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(51.4〜93.1 pmol/L;n=252)、薬剤処置なしn=178(死亡=10)、薬剤処置ありn=74(死亡=4);D:第5CT−プロET−1 五分位数(93.1〜571 pmol/L;n=78)、薬剤処置なしn=57(死亡=13)、薬剤処置ありn=21(死亡=3)。
【0138】
【図11】図11:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤スタチン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=417)、薬剤処置なしn=312(死亡=26)、薬剤処置ありn=105(死亡=9);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.05〜0.47 nmol/L;n=93)、薬剤処置なしn=80(死亡=3)、薬剤処置ありn=13(死亡=2);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜0.91 nmol/L;n=245)、薬剤処置なしn=176(死亡=8)、薬剤処置ありn=69(死亡=5);D:第5MR−プロADM 五分位数(0.91〜5.49 nmol/L;n=79)、薬剤処置なしn=56(死亡=15)、薬剤処置ありn=23(死亡=2)。
【0139】
【図12】図12:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤アセチルサリチル酸;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=449)、薬剤処置なしn=240(死亡=22)、薬剤処置ありn=209(死亡=20);B:第1MR−プロANP 五分位数(22.3〜69.5 pmol/L;n=91)、薬剤処置なしn=40(死亡=0)、薬剤処置ありn=51(死亡=0);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(69.5〜250 pmol/L;n=272)、薬剤処置なしn=148(死亡=12)、薬剤処置ありn=124(死亡=6);D:第5MR−プロANP 五分位数(250〜1540 pmol/L;n=86)、薬剤処置なしn=52(死亡=10)、薬剤処置ありn=34(死亡=14)。
【0140】
【図13】図13:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびCT−プロET−1、ならびに抗高血圧薬の薬剤処置;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=432)、薬剤処置なしn=164(死亡=8)、薬剤処置ありn=268(死亡=30);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=176;中央値MR−プロADM濃度0.67 nmol/L;中央値CT−プロET−1濃度69.1 pmol/L)、薬剤処置なしn=101(死亡=1)、薬剤処置ありn=75(死亡=4);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはCT−プロET−1に関する第2〜第4 五分位数(n=89)、薬剤処置なしn=32(死亡=1)、薬剤処置ありn=61(死亡=8);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=163)、薬剤処置なしn=31(死亡=6)、薬剤処置ありn=132(死亡=18)。
【0141】
【図14】図14〜21は、「レスター急性心筋梗塞ペプチド試験」(「LAMP」)からの心筋梗塞に罹患している患者に関する生存率を示す。図22〜34は、「LAMP試験」からの急性心筋梗塞に罹患している患者に関する主要心臓事象率を示す。
【0142】
図14:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1160)、薬剤処置なしn=869(死亡=56)、薬剤処置ありn=291(死亡=24);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.04〜0.47 nmol/L;n=229)、薬剤処置なしn=209(死亡=5)、薬剤処置ありn=20(死亡=3);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜1.18 nmol/L;n=700)、薬剤処置なしn=542(死亡=15)、薬剤処置ありn=158(死亡=7);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.18〜6.75 nmol/L;n=231)、薬剤処置なしn=118(死亡=36)、薬剤処置ありn=113(死亡=14)。
【0143】
【図15】図15:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1464)、薬剤処置なしn=990(死亡=55)、薬剤処置ありn=474(死亡=37);B:第1MR−プロANP 五分位数(4.9〜65 pmol/L;n=300)、薬剤処置なしn=250(死亡=1)、薬剤処置ありn=50(死亡=2);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(65〜264 pmol/L;n=871)、薬剤処置なしn=612(死亡=21)、薬剤処置ありn=259(死亡=14);D:第5MR−プロANP 五分位数(264〜1630 pmol/L;n=293)、薬剤処置なしn=128(死亡=33)、薬剤処置ありn=165(死亡=21)。
【0144】
【図16】図16:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤硝酸塩;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1161)、薬剤処置なしn=667(死亡=58)、薬剤処置ありn=494(死亡=23);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.31〜4.6 pmol/L;n=231)、薬剤処置なしn=162(死亡=1)、薬剤処置ありn=69(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(4.6〜42.1 pmol/L;n=698)、薬剤処置なしn=380(死亡=19)、薬剤処置ありn=318(死亡=11);D:第5CT−プロAVP 五分位数(42.1〜1040 pmol/L;n=232)、薬剤処置なしn=125(死亡=38)、薬剤処置ありn=107(死亡=10)。
【0145】
【図17】図17:マーカーCT−プロET−1および医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1459)、薬剤処置なしn=1207(死亡=77)、薬剤処置ありn=252(死亡=16);B:第1CT−プロET−1 五分位数(4.6〜56.6 pmol/L;n=295)、薬剤処置なしn=252(死亡=6)、薬剤処置ありn=43(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(56.6〜118 pmol/L;n=877)、薬剤処置なしn=723(死亡=23)、薬剤処置ありn=154(死亡=7);D:第5CT−プロET−1 五分位数(118〜671 pmol/L;n=287)、薬剤処置なしn=232(死亡=48)、薬剤処置ありn=55(死亡=7)。
【0146】
【図18】図18:マーカーNT−プロBNPおよび医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1174)、薬剤処置なしn=1026(死亡=78)、薬剤処置ありn=148(死亡=7);B:第1NT−プロBNP 五分位数(0.3〜204 pg/mL;n=223)、薬剤処置なしn=200(死亡=3)、薬剤処置ありn=23(死亡=1);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(204〜3160 pg/mL;n=713)、薬剤処置なしn=618(死亡=34)、薬剤処置ありn=95(死亡=4);D:第5NT−プロBNP 五分位数(3160〜11800 pg/mL;n=238)、薬剤処置なしn=208(死亡=41)、薬剤処置ありn=30(死亡=2)。
【0147】
【図19】図19:マーカーCT−プロAVP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=647)、薬剤処置なしn=511(死亡=43)、薬剤処置ありn=136(死亡=10);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.31〜4.6 pmol/L;n=159)、薬剤処置なしn=141(死亡=1)、薬剤処置ありn=18(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(4.6〜42.1 pmol/L;n=364)、薬剤処置なしn=285(死亡=13)、薬剤処置ありn=79(死亡=3);D:第5CT−プロAVP 五分位数(42.1〜1040 pmol/L;n=124)、薬剤処置なしn=85(死亡=29)、薬剤処置ありn=39(死亡=5)。
【0148】
【図20】図20:マーカー組合せ:CT−プロAVPおよびMR−プロADM、ならびに医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1161)、薬剤処置なしn=870(死亡=56)、薬剤処置ありn=291(死亡=24);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=362;中央値CT−プロAVP濃度10.75 nmol/L;中央値MR−プロADM濃度0.72 pmol/L)、薬剤処置なしn=326(死亡=2)、薬剤処置ありn=36(死亡=1);C:それぞれの中央値を上回るCT−プロAVPまたはMR−プロADMに関する第2〜第4 五分位数(n=437)、薬剤処置なしn=343(死亡=15)、薬剤処置ありn=94(死亡=7);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=362)、薬剤処置なしn=201(死亡=39)、薬剤処置ありn=161(死亡=16)。
【0149】
【図21】図21:マーカー組合せ:CT−プロAVPおよびMR−プロANP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=646)、薬剤処置なしn=511(死亡=43)、薬剤処置ありn=135(死亡=10);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=239;中央値CT−プロAVP濃度10.75 nmol/L;中央値MR−プロANP濃度117 pmol/L)、薬剤処置なしn=223(死亡=3)、薬剤処置ありn=16(死亡=1);C:それぞれの中央値を上回るCT−プロAVPまたはMR−プロANPに関する第2〜第4 五分位数(n=210)、薬剤処置なしn=161(死亡=6)、薬剤処置ありn=49(死亡=2);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=197)、薬剤処置なしn=127(死亡=34)、薬剤処置ありn=70(死亡=7)。
【0150】
【図22】図22:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1160)、薬剤処置なしn=869(MACE=116)、薬剤処置ありn=291(MACE=67);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.04〜0.47 nmol/L;n=229)、薬剤処置なしn=209(MACE=16)、薬剤処置ありn=20(MACE=6);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜1.18 nmol/L;n=700)、薬剤処置なしn=542(MACE=51)、薬剤処置ありn=158(MACE=28);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.18〜6.75 nmol/L;n=231)、薬剤処置なしn=118(MACE=49)、薬剤処置ありn=113(MACE=33)。
【0151】
【図23】図23:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1160)、薬剤処置なしn=1015(MACE=162)、薬剤処置ありn=145(MACE=21);B:第1MR−プロANP 五分位数(14.5〜59.6 pmol/L;n=230)、薬剤処置なしn=215(MACE=5)、薬剤処置ありn=15(MACE=1);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(59.6〜283 pmol/L;n=698)、薬剤処置なしn=600(MACE=72)、薬剤処置ありn=98(MACE=14);D:第5MR−プロANP 五分位数(283〜1650 pmol/L;n=232)、薬剤処置なしn=200(MACE=85)、薬剤処置ありn=32(MACE=6)。
【0152】
【図24】図24:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤ACE阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1463)、薬剤処置なしn=399(MACE=74)、薬剤処置ありn=1064(MACE=128);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.3〜3.6 pmol/L;n=293)、薬剤処置なしn=75(MACE=3)、薬剤処置ありn=218(MACE=20);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(3.6〜18.7 pmol/L;n=880)、薬剤処置なしn=226(MACE=25)、薬剤処置ありn=654(MACE=66);D:第5CT−プロAVP 五分位数(18.7〜441 pmol/L;n=290)、薬剤処置なしn=98(MACE=46)、薬剤処置ありn=192(MACE=42)。
【0153】
【図25】図25:マーカーCT−プロET−1および医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1459)、薬剤処置なしn=1207(MACE=164)、薬剤処置ありn=252(MACE=38);B:第1CT−プロET−1 五分位数(4.6〜56.6 pmol/L;n=295)、薬剤処置なしn=252(MACE=9)、薬剤処置ありn=43(MACE=8);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(56.6〜118 pmol/L;n=877)、薬剤処置なしn=723(MACE=75)、薬剤処置ありn=154(MACE=16);D:第5CT−プロET−1 五分位数(118〜671 pmol/L;n=287)、薬剤処置なしn=232(MACE=80)、薬剤処置ありn=55(MACE=14)。
【0154】
【図26】図26:マーカーNT−プロBNPおよび医薬剤β遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1174)、薬剤処置なしn=234(MACE=64)、薬剤処置ありn=940(MACE=128);B:第1NT−プロBNP 五分位数(0.3〜204 pg/mL;n=224)、薬剤処置なしn=31(MACE=1)、薬剤処置ありn=193(MACE=14);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(204〜3160 pg/mL;n=712)、薬剤処置なしn=123(MACE=25)、薬剤処置ありn=589(MACE=71);D:第5NT−プロBNP 五分位数(3160〜11800 pg/mL;n=238)、薬剤処置なしn=80(MACE=38)、薬剤処置ありn=158(MACE=43)。
【0155】
【図27】図27:マーカーMR−プロADM、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=647)、薬剤処置なしn=511(MACE=80)、薬剤処置ありn=136(MACE=37);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.035〜0.47 nmol/L;n=113)、薬剤処置なしn=104(MACE=8)、薬剤処置ありn=9(MACE=3);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜1.18 nmol/L;n=406)、薬剤処置なしn=333(MACE=37)、薬剤処置ありn=73(MACE=14);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.18〜6.75 nmol/L;n=128)、薬剤処置なしn=74(MACE=35)、薬剤処置ありn=54(MACE=20)。
【0156】
【図28】図28:マーカーMR−プロANP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=788)、薬剤処置なしn=592(MACE=76)、薬剤処置ありn=196(MACE=47);B:第1MR−プロANP 五分位数(4.9〜65 pmol/L;n=172)、薬剤処置なしn=154(MACE=3)、薬剤処置ありn=18(MACE=2);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(65〜264 pmol/L;n=455)、薬剤処置なしn=357(MACE=41)、薬剤処置ありn=98(MACE=20);D:第5MR−プロANP 五分位数(264〜1630 pmol/L;n=161)、薬剤処置なしn=81(MACE=32)、薬剤処置ありn=80(MACE=25)。
【0157】
【図29】図29:マーカーCT−プロAVP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および血栓溶解薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=788)、薬剤処置なしn=559(MACE=72)、薬剤処置ありn=229(MACE=30);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.3〜3.6 pmol/L;n=178)、薬剤処置なしn=127(MACE=4)、薬剤処置ありn=51(MACE=6);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(3.6〜18.7 pmol/L;n=475)、薬剤処置なしn=328(MACE=33)、薬剤処置ありn=147(MACE=17);D:第5CT−プロAVP 五分位数(18.7〜441 pmol/L;n=135)、薬剤処置なしn=104(MACE=35)、薬剤処置ありn=31(MACE=7)。
【0158】
【図30】図30:マーカーCT−プロET−1、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=339)、薬剤処置なしn=238(MACE=35)、薬剤処置ありn=56(MACE=12);B:第1CT−プロET−1 五分位数(3.7〜65.4 pmol/L;n=80)、薬剤処置なしn=75(MACE=3)、薬剤処置ありn=5(MACE=1);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(65.4〜136 pmol/L;n=200)、薬剤処置なしn=170(MACE=14)、薬剤処置ありn=30(MACE=4);D:第5CT−プロET−1 五分位数(136〜468 pmol/L;n=59)、薬剤処置なしn=38(MACE=18)、薬剤処置ありn=21(MACE=7)。
【0159】
【図31】図31:マーカーNT−プロBNP、ならびに医薬剤組合せ:β遮断薬および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=371)、薬剤処置なしn=154(MACE=41)、薬剤処置ありn=271(MACE=49);B:第1NT−プロBNP 五分位数(0.3〜204 pg/mL;n=50)、薬剤処置なしn=28(MACE=1)、薬剤処置ありn=22(MACE=2);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(204〜3160 pg/mL;n=202)、薬剤処置なしn=81(MACE=15)、薬剤処置ありn=121(MACE=26);D:第5NT−プロBNP 五分位数(3160〜11800 pg/mL;n=119)、薬剤処置なしn=45(MACE=25)、薬剤処置ありn=74(MACE=21)。
【0160】
【図32】図32:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびMR−プロANP、ならびに医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1161)、薬剤処置なしn=1015(MACE=162)、薬剤処置ありn=146(MACE=22);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=429;中央値MR−プロADM濃度0.72 nmol/L;中央値MR−プロANP濃度117 pmol/L)、薬剤処置なしn=383(MACE=19)、薬剤処置ありn=46(MACE=5);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはMR−プロANPに関する第2〜第4 五分位数(n=303)、薬剤処置なしn=271(MACE=36)、薬剤処置ありn=32(MACE=4);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=429)、薬剤処置なしn=361(MACE=107)、薬剤処置ありn=68(MACE=13)。
【0161】
【図33】図33:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびCT−プロAVP、ならびに医薬剤ACE阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1163)、薬剤処置なしn=209(MACE=60)、薬剤処置ありn=954(MACE=124);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=362;中央値MR−プロADM濃度0.72 nmol/L;中央値CT−プロAVP濃度10 75 pmol/L)、薬剤処置なしn=57(MACE=2)、薬剤処置ありn=305(MACE=18);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはCT−プロAVPに関する第2〜第4 五分位数(n=439)、薬剤処置なしn=66(MACE=16)、薬剤処置ありn=373(MACE=46);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=362)、薬剤処置なしn=86(MACE=42)、薬剤処置ありn=276(MACE=60)。
【0162】
【図34】図34:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびMR−プロANP、ならびに医薬剤組合せ:β遮断薬および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=365)、薬剤処置なしn=151(MACE=40)、薬剤処置ありn=214(MACE=48);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=75;中央値MR−プロADM濃度0.72 nmol/L;中央値MR−プロANP濃度117 pmol/L)、薬剤処置なしn=45(MACE=1)、薬剤処置ありn=30(MACE=4);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはMR−プロANPに関する第2〜第4 五分位数(n=89)、薬剤処置なしn=36(MACE=9)、薬剤処置ありn=53(MACE=13);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=201)、薬剤処置なしn=70(MACE=30)、薬剤処置ありn=131(MACE=31)。
【実施例】
【0163】
実施例1:バイオマーカーの測定
B.R.A.H.M.S KRYPTOR (B.R.A.H.M.S AG, Henningsdorf/Berlin, Germany)で新規の全自動サンドイッチイムノアッセイ系を用いて、MR−プロANPおよびMR−プロADMを検出した(Caruhel et al. 2009, Clin Biochem 42: 725-8)。このランダムアクセス分析器は、2つの蛍光体、ユーロピウム・クリプテートおよびXL665間の非放射電熱に基づいて、高感度時間分解増幅クリプテート発光(TRACE)技法を用いる。両自動検定は、本来、サンドイッチ化学発光検定を基礎にしており、これは、他で詳細に記載されており(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6;Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、他の研究においても用いられた(Khan et al. 2008. J Am Coll Cardiol 51: 1857-64;Khan et al. 2007. J Am Coll Cardiol 49: 1525-32;van Haehling et al. 2009. J Am Coll Cardiol. 印刷中;Gegenhuber et al. 2006. Clin Chem 52: 827-31)。
【0164】
MR−プロANP検出に関しては、患者の血清14 μlを14分間インキュベートした。測定範囲は0〜10000 pmol/L、検出限界 2.1 pmol/Lおよび定量限界 4.5 pmol/Lであった。検定内CVは1.2%、実験室間CVは5.4%であった。この検定は、参照検定と同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0165】
MR−プロADM検出に関しては、血清26 μlを29分間インキュベートした。測定範囲は0〜100 nmol/Lであり、検出限界および定量限界はそれぞれ0.05および0.23 nmol/Lであった。検定内CVは1.9%、実験室間CVは9.8%であった。この検定は、他で詳細に記載されたものと同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0166】
CT−プロAVP(コペプチン)レベルを、1.7 pmol/Lという低い検出限界で、化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した(Morgenthaler et al. 2006. Clin Chem 52: 112-9)。健常個体359名(男性153名、女性206名)において、中央値CT−プロAVPレベルは4.2 pmol/Lで、1.0〜13.8 pmol/Lの範囲であった。試料>2.25 pmol/Lに関しては、実験室間CVは<20%、検定内CVは<10%であった。
【0167】
CT−プロET−1レベルを、0.4 pmol/Lという低い検出限界で、化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した(Papassotiriou et al. 2006. Clin Chem 52: 1144-51)。健常個体326名(男性150名、女性176名)において、CT−プロET−1値はガウス分布に従って、平均(SD)44.3(10.6) pmol/Lで、10.5〜77.4 pmol/Lの範囲であった。検定内不正確さ(CV)は<5%、実験室間CVは<10%であった。
【0168】
BNPを、Beckman Coulter計器計測(Brea, CA)用にフォーマットされたTriage二部位イムノアッセイ試薬(Biosite, San Diego, CA)で測定した。実験室における性能は、定量限界5.0 ng/Lで、1.5%の実行不正確さ(CV)および3.0%の全体的不正確さ(CV)を包含した。
【0169】
NTプロBNPを、EleeSys 2010分析器(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)で電気化学発光により測定した。実験室における性能は、定量限界10.0 ng/Lで、1.5%の実行不正確さ(CV)および3.0%の全体的不正確さ(CV)を包含した。
【0170】
実施例2:臨床試験
本発明は、以下の臨床試験からの患者および試料に基づいている:
I)卒中後患者(COSMOS試験)
試験設定、含入/除外判定基準
バーゼル大学病院の救急および神経学および神経外科クリニックで、試験を設定した。少なくとも3日以内の発病で、世界保健機構判定基準による虚血性または出血性卒中あるいは一過性虚血性発作(TIA)で救急病棟に入院している全ての連続患者が、試験に含まれた。インフォームド・コンセントのない患者は、除外された。
【0171】
ベースラインデータ収集
この試験に含まれない全適格患者のデータにアクセスすることは、選択バイアスを回避するために重要である。したがって、試験に含まれるか否かにかかわらず、全ての適格患者におけるベースラインデータ、ならびに含入および除外判定基準に関する情報を収集する。これにより、参加に同意した適格患者のベースラインデータと同意しなかった者のデータとの比較が可能になる。患者のベースラインデータ収集は、研究者が収集し、以下のものを含入する:
a)年齢
b)性別
c)BMI
d)病歴項目:入院に先立つ実病歴;一過性虚血性発作を有する患者におけるABCDスコア(Rothwell et al. 2005. A simple score (ABCD) to identify individuals at high early risk of stroke after transient ischaemic attack. Lancet 366: 29-36);家族歴;チャールソン指数によっても査定される関連同時罹患率(Goldstein et al. 2004. Charlson Index comorbidity adjustment for ischemic stroke outcome studies. Stroke 35: 1941-5)(すなわち、高血圧症、既往卒中、既往TIA、虚血性心疾患、心房細動、真性糖尿病、腎臓および肝臓の機能不全、うっ血性心不全、異脂肪血症、);低ナトリウム血症の危険との同時罹患(重症甲状腺機能低下、糖質コルチコイド欠乏、新生物、HIV感染);喫煙歴(箱数−年数)および状態(箱/日);最新薬剤処置;アルコール消費(グラスおよびグラム/日);発症から入院までの時間。
【0172】
e)居住場所:すなわち、自立的生活:家族的団体および/または職業的介護の支持がある場合またはない場合、家庭でまたは高齢者家庭で生活していると定義される(家族的団体は、配偶者および/または患者と一緒に生活しているその他の重要な人々からなる)、非自立的生活:病院以外の看護ホーム長期滞在病棟と定義される。
【0173】
f)臨床項目:身体検査、例えば神経学的状態、NIHSS(卒中の重症度を査定するため)およびグラスゴー昏睡尺度(GCS;Adams et al. 1999. Baseline NIH Stroke Scale score strongly predicts outcome after stroke: A report of the Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment (TOAST). Neurology 53: 126-31)、血圧、脈拍、体重、容積状態(例えば、皮膚の張り、頸静脈拡張、聴診、利用可能な場合には、流体取込みおよび損失の流れ図)、体温;神経外科患者においては、慣例的臨床管理内での脳内圧(実施される場合)。
【0174】
g)低ナトリウム血症の臨床症候は、神経学的患者におけるナトリウム不均衡の入院時に且つ症例において評価される。脳内外科手術を受けている患者において、臨床症候を毎日評価する。具体的には、頭痛、食欲不振、悪心、嘔吐、筋肉痙攣および疼痛、発作、錯乱、鈍麻または嗜眠発症の存在をモニタリングする。
【0175】
h)慣例的/標準的実験室試験:慣例的血液採取、例えば:ヘマトクリット、血中尿素窒素、重炭酸塩、総タンパク質、アルブミン、尿酸血清および尿電解質、尿および血清浸透圧、クレアチニン、脂質、TSH、fT4、T3および基礎コルチゾール。全血液試料採取は、任意の食物摂取または(実行可能な場合)喫煙の前に実行される。代替的には、影響を及ぼす因子がモニタリングされる。
【0176】
i)画像処理:神経頭蓋のコンピューター断層撮影またはMRI(T1、T2、拡散強調像シーケンス。コントラストありまたはなし)、支持された場合は、磁気共鳴血管造影法または慣用的脳血管造影法。造影剤適用の時点を記録する。
【0177】
卒中患者は、以下のような虚血性病変の血管領域に基づいても分類される:全体的前方循環症候群(TACS)、部分的前方循環症候群(PACS)、小窩性循環症候群(LACS)、後方循環症候群(POCS)。
【0178】
j)さらなる研究:卒中患者は、神経超音波検査、心エコー検査、標準12誘導心電図検査および24時間心電図検査を有し、次に、短期処置(TOAST)卒中亜型分類において、Org10172の試みに従って卒中の病因により分類され、これは、大型動脈アテローム硬化症、心塞栓、小動脈閉塞、他の病因、ならびに徐々に害する病因間で異なる。
【0179】
インフォームド・コンセント陳述
本試験は、バーゼル倫理委員会(Ethikkommission beider Basel)により認可される。これは試験的および観察的試験であり;唯一の試験関連介入は、慣例的に実施される血液標本採取中に得られる血漿7.5 mlについての断言である、ということに留意することは重要である。したがって、患者は、科学的目的のための彼等のデータの使用に同意するというインフォームド・コンセント書を提供するよう求められる。急性CNS病変(含入のための前提条件)の後遺症のために「インフォームド・コンセント」が実行可能でない患者では、患者に最も近い親族が同意書に署名して、患者の推定意志を記述し得る。近親者が容易に応じられない場合には、治療医(試験に関与してはならない)は、彼の見地から試験に含入することに関して異論はない、ということを証言しなければならない。これらのインフォームド・コンセント手順後にのみ、患者は試験に含入され得る。
【0180】
試験の間中の参加者の管理
ステップ1. 救急病棟または神経学的病棟における適格患者は全て、試験に含まれる。
ステップ2. ベースラインデータを収集する。
ステップ3. 入院中、カルテ審査により、臨床項目、例えば、体重、血圧、脈拍、容積状態および体温を退院まで査定する。
− 流体処置および薬剤
− 低ナトリウム血症の潜在的症候、すなわち、頭痛、悪心、嘔吐、筋肉痙攣および疼痛、食欲不振、意識障害、発作
− 慣例的に実施される実験室試験(ヘモグラム、血漿グルコース、血清モル浸透圧濃度、尿モル浸透圧濃度、尿中ナトリウム、ヘマトクリット)は、血液標本採取が病棟で慣例的に行なわれる時点で試料採取される。
ステップ4. 全患者において、入院5日目に、NIHSS、バーセル指数および等級尺度による臨床検査が実施される(Collin et al. 1988. The Barthel ADL Index: a reliability study. International Disability Study 10: 61-3;Bonita and Beaglehole. 1988. Modification of Ranking Scale: Recovery of motor function after stroke. Stroke 19: 1497-1500)。
将来的居住場所(すなわち、非自立対自立生活)が査定される。
ステップ5. 虚血性発作患者では、罹患率および死亡率に関する電話での追跡調査(バーセル指数および等級尺度により査定)が、3ヵ月後に得られる。好ましくない結果は、バーセル指数<85または変法等級尺度3〜6と定義される。
【0181】
II)心筋梗塞(MI)後患者(レスター急性心筋梗塞ペプチド試験(「LAMP」))
試験集団:
試験は、レスター王立診療所の冠動脈疾患集中治療室に入院した急性心筋梗塞(AMI)患者連続983名を包含した。正常の2倍より高い血漿クレアチニンキナーゼMB上昇または>0.1の心臓トロポニンIレベルを、以下のうちの少なくとも1つとともに患者が示した場合に、急性心筋梗塞を診断した:20分以上継続する胸痛、または新規の病理学的Q波またはSTセグメントおよびT波変化からなる診断的連続心電図変化。急性心筋梗塞は、STセグメント上昇型心筋梗塞(STEMI)または非STセグメント心筋梗塞(NSTEMI)に細分類された。
【0182】
試験は、ヘルシンキ宣言に応じており、地域倫理委員会により認可された。全患者から、インフォームド・コンセント書を得た。
【0183】
除外判定基準は、前月における既知の悪性腫瘍または外科手術であった。HF患者において近年認可されたMDRD(腎疾患における食事療法の変法)試験から得られる簡易式から、概算糸球体濾過率(eGFR)を算定した(Smilde et al. 2006 Drawbacks and prognostic value of formulas estimating renal function in patients with chronic heart failure and systolic dysfunction. Ciculation 114. 1572-80)。
【0184】
血漿試料:
胸痛開始後、3〜5日に1回、血液試料を採取した。15分間安静にした後、20 mlの血液を、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびアプロチニンを含有する試験管中に収集した。単一バッチで盲検方式で検定するまで、全血漿試料を−70℃で保存した。元の983名患者コホートからの132名患者亜群において、入院から退院まで5日間、毎日、血液試料採取を実施した。
【0185】
心エコー法:
Sonos5500機器(Philips Medical Systems, Reigate, UK)を用いて、患者で経胸壁心エコー法を実施した。ディスク式複葉法を用いて、左心室駆出率を算定した(Schiller et al. 1989. Recommendations for quantitation of the left ventricule by two-dimensional echocardiography. American Society of Echocardiography committee on standards, subcommittee on quantitation of two-dimensional echocardiograms. J Am Soc Echocardiogr 2: 358-67)。
【0186】
III)うっ血性心不全(CHF)に罹患している患者および慢性閉塞性肺疾患(COPD)(うっ血性心不全試験の査定におけるバイオマーカー(「BACH」))に罹患している患者
【0187】
試験集団
本試験は、それぞれの登録機関の治験審査委員会(IRB)により認可された。15のセンターからの合計1,641名の患者が2007年3月から2008年2月までに登録された。これらのセンターには、米国からの8つ、欧州からの6つ、ならびにニュージーランドからの1つが含まれた。試験に適格であるためには、患者は、救急病棟に運ばれた時に主な愁訴として息切れを報告しなければならなかった。18歳未満または同意を提示できない患者は、試験から除外した。急性心筋梗塞歴があると確定された患者も、除外した。
【0188】
試験に登録された各患者に関して、ANP、ADMおよび他の検査マーカーの結果を知らされていない医者が、救急病棟に割り当てて、2つの別々のリッカート尺度アンケートにより、患者が急性心不全または肺炎を有する確率を査定した。医者は、0〜100%の臨床的確実性の値を割り当てた。
【0189】
診断の確証
実際の診断を確定するために、2名の心臓学者が患者に関する全ての医学的記録を再検討し、独立して、うっ血性心不全、肺炎のための、あるいは他の根底にある疾患のための呼吸困難として診断を分類した。両方の心臓学者は、互いに、検査マーカー、ならびに救急医の予備診断を知らされていなかった。彼等は、入院した患者に関する胸部X線撮影データ、放射性核種血管造影、心エコー、病歴、カテーテル処置データおよび入院経過を含む救急病棟症例報告を利用した。心臓学的再検討者の間の診断的不一致の事象では、彼等は、共通の結論に達するよう求められた。彼等が共通の結論を得られない場合、第三群の心臓学裁定者がエンドポイント委員会により割り当てられ、データを再検討し、診断が最も正確なものであるか否かを確定するよう求められた。
【0190】
肺炎という結論に達するために、Fine et al. 1990およびLeroy et al. 1995から改訂された肺炎判定基準が満たされなければならない。さらに、肺炎の診断は全て、その症例に割り当てられるエンドポイント委員会呼吸器科医により立証されなければならない。
【0191】
2つのエンドポイントのために用いられるマーカーの測定
メリーランド大学メディカルセンターの割当コア実験室で、マーカーを測定した。B.R.A.H.M.S KRYPTOR (B.R.A.H.M.S AG, Henningsdorf/Berlin, Germany)で新規の全自動サンドイッチイムノアッセイ系を用いて、MR−プロANPおよびMR−プロADMを検出した(Caruhel et al. 2009, Clin Biochem 42: 725-8)。このランダムアクセス分析器は、2つの蛍光体、ユーロピウム・クリプテートおよびXL665間の非放射電熱に基づいて、高感度時間分解増幅クリプテート発光(TRACE)技法を用いる。両自動検定は、本来、サンドイッチ化学発光検定を基礎にしており、これは、他で詳細に記載されており(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6;Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、他の研究においても用いられた(Khan et al. 2008. J Am Coll Cardiol 51: 1857-64;Khan et al. 2007. J Am Coll Cardiol 49: 1525-32;van Haehling et al. 2009. J Am Coll Cardiol. 印刷中;Gegenhuber et al. 2006. Clin Chem 52: 827-31)。
【0192】
MR−プロANP検出に関しては、患者の血清14 μlを14分間インキュベートした。測定範囲は0〜10000 pmol/L、検出限界 2.1 pmol/Lおよび定量限界 4.5 pmol/Lであった。検定内CVは1.2%、実験室間CVは5.4%であった。この検定は、参照検定と同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0193】
MR−プロADM検出に関しては、血清26 μlを29分間インキュベートした。測定範囲は0〜100 nmol/Lであり、検出限界および定量限界はそれぞれ0.05および0.23 nmol/Lであった。検定内CVは1.9%、実験室間CVは9.8%であった。この検定は、他で詳細に記載されたものと同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0194】
全ての試験に関するデータの分析:
生存率、すなわち、試験に登録後の所定時間に生存している患者の割合を、特定の血管作動性ホルモンと特定医薬剤の異なる組合せに関して、経時的に添付の図面にプロットする。彼等のそれぞれのホルモンレベルに従って、患者は五分位数に層化された。特定の医薬剤を摂取した患者に関するデータを、医薬剤を摂取しなかった患者とは別個にプロットする。いくつかの症例に関して、適切である2つ以上の五分位数がプールされた。特定の血管作動性ホルモンと特定医薬剤との種々の組合せに関して、ハザード比(HR)を算定した。HRは、特定五分位数に関しても算定され、および/または五分位数をプールされ、各組合せに関して全体的HRと比較された。
【0195】
表1は、BACH試験からの患者(息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および/または肺塞栓症に罹患している患者)に関する結果の一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、例えばカルシウムチャンネル遮断薬、利尿薬およびスタチンの投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。これに対比して、高レベルの血管作動性ホルモンでは、例えば、抗生物質の投与は好ましくない作用を有し、一方、低レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0196】
表2は、COSMOS試験からの患者(虚血性または出血性卒中、あるいはTIAに罹患している患者)に関する結果の一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、スタチン、抗凝血薬およびプラビックスの投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。これに対比して、高レベルの血管作動性ホルモンでは、アセチルサリチル酸、血栓溶解薬、利尿薬およびステロイドの投与は好ましくない作用を有し、一方、低レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0197】
表3は、LAMP試験からの患者(心筋梗塞に罹患している患者)に関する結果を、好ましくない作用(結果)としての死と比較した一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、医薬剤(ホルモンがプロANPである場合は、血栓溶解薬以外)の投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0198】
表4は、LAMP試験からの患者(心筋梗塞に罹患したことがある患者)に関する結果を、好ましくない作用(結果)としてのMACEと比較した一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、医薬剤(ホルモンがプロANPである場合は、血栓溶解薬以外)の投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床的診断の分野に関する。特に本発明は、患者の体液から得られる試料中の血管作動性ホルモンおよびそれらの前駆体およびその断片の濃度の確定、ならびに内皮性機能/機能不全に関連した疾患に罹患している患者の層化に関する。
【背景技術】
【0002】
BNPおよびNT−プロBNP血液濃度の増大は、心不全(HF)患者における重症度および死亡率に関連する。いくつかの研究において、HFに罹患している患者のNT−プロBNPレベルを低減するための薬剤治療の滴定が調べられた(Wasywick, et al. Changes in tissue-Doppler echocardiographic assessment of left ventricular filling during NT-proBNP guided heart failure treatment titration: a pilot study. Heart Lung and Circulation 2009; 18:38-44;Mant, et al. Identification and guided treatment of ventricular dysfunction in general practice using blood B-type natriuretic peptide. British Journal of General Practice 2008; 58:393-9;Davis, et al. Introduction of metoprolol increases plasma B-type cardiac natriuretic peptides in mild, stable heart failure. Circulation 2006; 113:977-85;Beck-da-Silva, et al. BNP-guided therapy not better than expert’s clinical assessment for beta-blocker titration in patients with heart failure. Congestive Heart Failure 2005; 11:248-53;quiz 254-5)。
【0003】
血管作動性バイオマーカーおよびそれらの前駆体およびその断片が、特定の医薬剤に関する陽性作用を示す患者を層化するか否かが調べられてきた。例えば、医薬剤に関するHF患者の層化のためのNT−プロBNPの使用は、ACC会議(オーランド、2009年3月29日開催)でのPRIMA研究で提示された。さらに、クロピドグレル療法からの利益増大を有する患者を同定するためのNT−プロBNP測定の有用性はTang等により精査されたが、しかし、NT−プロBNP亜群はクロピドグレル療法からの超比例的利益を伴って同定され得た(Tang et al. Risk stratification for patients undergoing nonurgent percutaneous coronary intervention using N-terminal pro-B-type natriuretic peptide: a Clopidogrel for the Reduction of Events During Observation (CREDO) substudy. American Heart Journal 2007; 153: 36-41)。Kropp等は、NT−プロBNPが抗精神病薬の耐容性および安全性に関するマーカーとして用いられ得る、という仮説を立てた(Kropp, et al. N-terminal fragment of B-type natriuretic peptide (NT-proBNP), a marker of cardiac safety during antipsychotic treatment. Annals of General Psychiatry 2005; 4: 10)。さらに、他の神経内分泌マーカー、例えばAVP、ET−1、Big−ET−1、[NT−プロ]ANPおよび[NT−プロ]BNPは、将来的に個々の患者のための医学的処置の選択および滴定において価値がある、と意図されている(Kjaer 2000; Videnskab of Praksis 162: 5910-3)。例えば、ベータ遮断薬カルベジロールによる処置前のANPレベル上昇が死亡率の低減を予測し、ANPおよびBNPは慢性安定心不全患者の入院減少を予測する、ということが示されている(Richards et al. Neurohumoral prediction of benefit from carvedilol in ischemic left ventricular dysfunction. Australia-New Zealand Heart Failure Group. Circulation 1999; 99: 786-92)。心臓ペプチドに対比して、より高い血漿レベルのArg−バソプレッシン(AVP)はこの試験においてカルベジロールからの利益を予測しなかった。さらに、同一試験群は、より高い前処置血漿NT−プロBNPおよびアドレノメデュリン(ADM)を示す慢性虚血性左心室機能不全を有する患者における死亡率および心不全をカルベジロールが低減する、ということを明示した(Richards et al. Plasma N-terminal pro-brain natriuretic peptide and adrenomedullin - prognostic utility and prediction of benefit from carvedilol in chronic ischemic left ventricular dysfunction. Journal of the American College of Cardiolog 2001; 37: 1781-7)。しかしながら、中央値の下および上のペプチド濃度によって患者は層化され、カルベジロールの有益な作用は、処置開始後300日まで明らかでなかったが、これは、測定ペプチドの血漿レベル上昇がベータ遮断薬カルベジロールの長期利益を予測するだけである、ということを示す。ACE阻害剤処置(すなわち、エラナプリル)前のANPレベルの顕著な上昇がNYHAクラスIVにおける重症うっ血性心不全患者の死亡率の低減に関連する、ということをSwedberg等は実証した(Swedberg et al. Hormones regulating cardiovascular function in patients with severe congestive heart failure and their relation to mortality. CONSENSUS Trial study group. Circulation 1990; 82: 1730-6)。さらにまた、この試験におけるペプチド濃度より下および上の濃度によって、患者は層化された。6ヵ月後の死亡率に関して、エラナプリルの有益な作用が実証された。
【0004】
特許出願WO 2009/123730では、肺高血圧症の診断および予後のための方法が記載されている。種々のマーカーが示唆されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、体液の試料中の血管作動性ホルモンならびにそれらの前駆体およびその断片のレベルが種々の疾患のための予後または診断と相関するだけでなく、ある種の医薬剤に関する危険群に患者を層化するためにも用いられ得る、という本発明人等の意外な知見に基づいている。言い換えれば、特定の医薬剤の投与が結果に全く作用を及ぼさないか、または逆の(すなわち好ましくない)作用、例えば、上記の医薬剤を摂取しなかった患者と比較した場合、より高い死亡率を有することさえある患者集団が存在する、ということを本発明人等は見出した。このような患者群は、本発明の方法で同定され得る。これは、必要のない、あるいは有害でさえある医薬剤を回避することを可能にする。したがって、層化の本発明の重要な一目的は、患者に有害である医薬剤を回避することである。
【0006】
本発明の状況では、血管作動性ホルモンは、血管の狭窄または拡張を引き起こす分子、例えばペプチドである。
【0007】
血管作動性ホルモン、特に血管作動性ペプチドは、血液、尿または脳脊髄液のような体液中で不安定である。したがって、体液中の血管作動性ペプチドの直接測定は厄介である。しかしながら、血管作動性ペプチドの前駆体または前駆体断片は成熟ホルモンより安定であり、それらの測定は成熟血管作動性ペプチドに関する代用または代理測定として用いられ得る。これは、多数の血管作動性ペプチド、例えばインスリンおよびその安定前駆体断片C−ペプチド(Melani et al. Identification of proinsulin and C-peptide in human serum by a specific immunoassay. PNAS 1970; 67: 148-55)、アルギニン−バソプレッシンおよびその安定前駆体断片コペプチン(Struck et al. Copeptin, a stable peptide derived from the vasopressin precusor, is elevated in serum of sepsis patients. Peptides 2005; 25: 2500-4;Morgenthaler et al. Assay for the the measurement of copeptin, astable peptide derived from the precursor of vasopressin. Clinical Chemistry 2006; 52: 112-9)、アドレノメデュリンおよびその安定前駆体断片MR−プロADM(Struck et al. Identification of an adrenomedullin precursor fragment in plasma of sepsis patients. Peptides 2004; 25: 1369-72;Morgenthaler et al. Measurement of midregional proadrenomedullin in plasma with an immunoluminometric assay. Clinical Chemistry 2005; 51: 1823-9)、動脈ナトリウム利尿性ペプチドおよびその安定前駆体断片MR−プロANP(Morgenthaler et al. Immunoluminometric assay for the midregion of pro-atrial natriuretic peptide in human plasma. Clinical Chemistry 2004; 50: 234-6)、エンドセリン−1およびその安定前駆体断片CT−プロET−1(Struck et al. Proteolytic processing pattern of the endothelin-1 precursor in vivo. Peptides 2005; 26: 2482-6;Papassotiriou et al. Immunoluminometric assay for the measurement of the C-terminal endothelin-1 precursor fragment in human plasma. Clinical Chemistry 2006; 52: 1144-51)、エンケファリンおよびそれらの安定前駆体断片MR−PENK(Ernst et al. Proenkephalin A 119-159, a stable proenkephalin A precursor fragment identified in human circulation. Peptides 2006; 27: 1835-40)、成熟タチキニンサブスタンスPおよびニューロキニンAならびにそれらの安定前駆体断片NT−PTA(Ernst et al. Detection of a stable N-terminal protachykinin A immunoreactivity in human plasma and cerebrospinal fluid. Peptides 2008; 29: 1201-6)、ニューロテンシンおよびその安定前駆体断片プロニューロテンシン1−117(Ernst et al. Proneurotensin 1-117, a stable neurotensin precursor fragment identified in human circulation. Peptides 2006; 27: 1787-93)に関して、既に示されている。
【0008】
内皮性機能不全は、血管の内表面を裏打ちする細胞である内皮細胞により実行される正常性化学的プロセスの生理学的機能不全である。内皮性機能不全は、血管拡張障害(弛緩および収縮因子間の不均衡)、ならびに前炎症性状態および血栓形成促進特性の変化により特性化される(Endemann and Schiffrin, Endothelial Dysfunction. Journal American Society of Nephrology 2004; 15: 1983-92)。それは、心臓血管性疾患、例えば高血圧症、冠動脈疾患、心不全、末梢動脈疾患、糖尿病および慢性腎不全と関連する。さらに、内皮性機能不全は、アテローム硬化症の発症における重要な事象であると考えられ、長年の臨床的に明らかな血管病態に先行する。内皮性機能不全は、卒中および心筋梗塞を含めた血管事象を予測するに際して、予後的意義を有することも示されている。さらに、内皮性機能不全は、炎症および感染(Stenvinkel. Endothelial dysfunction and inflammation - is there a link? Nephrology Dialysis and Transplantation 2001; 16: 1968-71)、敗血症(Vallet. Bench-to-bedside review: Endothelial cell dysfunction in severe sepsis: a role in organ dysfunction? Critical Care 2003; 7: 130-8;Peters et al. Molecular basis of endothelial dysfunction in sepsis. Cardiovascular Research 2003; 60: 49-57)ならびにCOPD(Moro. Endothelial dysfunction in chronic obstructive pulmonary disease. Angiology 2008; 59: 357-64)に関与することが示された。
【0009】
したがって、本発明は、急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす方法であり、以下の:
− 上記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
− 以下のカテゴリー:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに上記被験者を層化するステップ
を含む方法に関する。
【0010】
一実施形態において、本発明の方法は、3つのカテゴリー(i)、(ii)および(iii)を含む系の提供を包含する。さらに好ましい一実施形態では、本発明の方法は、3つのカテゴリー(i)、(ii)および(iii)を含むかおよび/またはそれらからなる上記の系を確立するために用いられる少なくとも2つの閾値の提供を包含する。
【0011】
本発明の状況では、「応答者」という用語は、疾患の治療のために医薬剤を摂取した後、好ましい作用を示す被験者を指す。
【0012】
本発明の状況における「非応答者」という用語は、疾患の治療のために医薬剤を摂取した後、作用を示さない(好ましい作用も好ましくない作用も示さない)被験者を指す。
【0013】
本発明によるいくつかの実施形態では、カテゴリー(i)および(ii)はプールされ、カテゴリー(iii)と区別される、すなわち、被験者は、好ましくない作用を示す被験者と好ましくない作用を示さない被験者に層化される。
【0014】
この実施形態では、本発明の方法は、2つのカテゴリーを含むかおよび/またはそれらからなる系の提供を包含する。さらに好ましい実施形態では、これは、上記二カテゴリー系を確立するために用いられる少なくとも1つの閾値の提供を包含する。最終目的である二カテゴリー系は、医薬剤による有害の提供である。
【0015】
本発明は、急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす方法であり、以下の:
− 上記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を上記体液試料中で確定するステップ;
− 以下のカテゴリー:
(i)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者または非応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに上記被験者を層化するステップ
を含む方法にも関する。
【0016】
特定の一態様では、本発明は、急性または慢性疾患を有する被験者の層化方法であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす方法であり、以下の:
− 上記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を上記体液試料中で確定するステップ;
− 試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片の濃度が、特定の医薬剤を摂取後に好ましくない作用を経験している被験者の危険度に起因すると考えるステップ
を含む方法にも関する。
【0017】
本発明の状況における「上記医薬剤を摂取後に好ましくない作用を示す被験者」は、上記違約剤の投与時に好ましくない作用を経験することが予測される被験者である。
【0018】
好ましくは、本明細書中では、血管作動性ホルモンは異化のものである:
(i)アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、インスリン、プロエンケファリン(PENK)、エンドキニンA、ジノルフィン、グレリン、レラキシンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択されるペプチドホルモン;もしくは
(ii)ブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択される小ペプチドホルモン;もしくは
(iii)セロトニン、プロスタグランジンおよびトロンボキサンからなる群から選択されるホルモン。
【0019】
さらに好ましくは、本明細書中では、血管作動性ホルモンは以下のものである:
アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、エンドキニンA、レラキシンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択されるペプチドホルモン;もしくは
(ii)ブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択される小ペプチドホルモン;もしくは
(iii)セロトニン、プロスタグランジンおよびトロンボキサンからなる群から選択されるホルモン。
【0020】
本明細書の状況における「小」ペプチドホルモンは、13またはそれ未満のアミノ酸残基を含むペプチドホルモン、特にブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、メチオニン−エンケファリンおよびロイシン−エンケファリンである。
【0021】
プロエンケファリン(PENK)は、メチオニン−エンケファリンおよびロイシン−エンケファリンの前駆体ポリペプチドである。
【0022】
特に好ましい一実施形態では、血管作動性ホルモンADMの前駆体断片は、中央領域プロアドレノメデュリン(MR−プロADM)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0023】
特に好ましい別の実施形態では、血管作動性ホルモンANPの前駆体断片は、中央領域プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(MR−プロANP)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0024】
さらに別の特に好ましい実施形態では、血管作動性ホルモンET−1の前駆体断片は、C末端プロエンドセリン−1(CT−プロET−1)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0025】
さらに別の特に好ましい実施形態では、血管作動性ホルモンAVPの前駆体断片は、C末端プロAVP(コペプチン)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である。
【0026】
疾患は、例えば以下の:慢性心不全、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症、肺動脈性高血圧症(PAH)、卒中後症状、心筋梗塞後症状、II型糖尿病、癌、アテローム硬化症、感染症、炎症性疾患および術後症状からなる群から選択され得る。
【0027】
疾患は、例えば以下の:慢性心不全、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症、卒中後症状、心筋梗塞後症状、II型糖尿病、癌、アテローム硬化症、感染症、炎症性疾患および術後症状からなる群から選択され得る。
【0028】
特に好ましい一実施形態では、疾患は、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症ならびに肺動脈性高血圧症(PAH)からなる群から選択され得る。
【0029】
特に好ましい一実施形態では、疾患は、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症からなる群から選択され得る。
【0030】
別の特に好ましい実施形態では、疾患は卒中後症状であり、すなわち、虚血性または出血性卒中または一過性虚血性発作(TIA)に罹患した被験者と関連づけられる。
【0031】
心不全(HF)(うっ血性心不全(CHF)とも呼ばれる)は、心臓の構造または機能に伴う問題が、身体の要求を満たすに十分な血流を供給するその能力を損なう場合に起こる心臓症状である。慢性心不全は、通常は安定処置症候を伴う長期的状況である。急性心不全は、増悪されるかまたは非代償性にされた心不全を記述するために用いられる用語であり、患者が、心不全徴候および症候の変化を有して、緊急の治療または入院を要すると特性化され得るエピソードを指す。
【0032】
息切れ(SoB;呼吸困難または息苦しさ)は、被験者における困難なまたは不快な呼吸の感覚あるいは十分な空気を得ることが出来ないという感じに関する。SoBは、多数の異なる原因を有し、中でも、心臓疾患、例えば心臓発作、うっ血性心不全および肺疾患(例えば肺炎)が原因であり得る。
【0033】
急性冠動脈症候群は、急性心筋虚血と互換性の臨床症候の任意の群を網羅するために用いられる包括的用語である。急性心筋虚血は、冠動脈疾患(冠動脈性心疾患とも呼ばれる)に起因する心筋への不十分な血液供給のせいである胸痛である。急性冠動脈症候群(ACS)は、通常は、胸痛と他の特徴の組合せであって、心臓への血流量の突然の低減(心臓虚血)の結果であると解釈される一組の徴候および症候である;これに関する最も一般的な原因は、心外膜冠動脈におけるアテローム硬化性プラークの崩壊である。急性冠動脈症候群の亜型としては、不安定狭心症(UA、心筋損傷と関連しない)、ならびに心筋が損傷される心筋梗塞(心臓発作)の2つの型が挙げられる。これらの型は、非STセグメント上昇型心筋梗塞(NSTEMI)およびSTセグメント上昇型心筋梗塞(STEMI)としての筋電図(ECG/EKG)の出現に従って名づけられる。
【0034】
不整脈は、心臓における異常電気活動が認められる症状の大型で且つ不均質な群のいずれかに関する用語である。心拍は、速過ぎるかまたは遅すぎ、そして規則的または不規則であり得る。不整脈の中には、心停止および突然死を引き起こし得る致命的な医療的緊急事態である。他のものは、例えば心拍の異常自覚(心悸亢進)のような症候を引き起こし、厄介なだけである。これらの心悸亢進は、心房/心室細動、ワイヤ・フフォールト、ならびにペースメーカー/除細動器におけるその他の技術的または機械的問題により引き起こされることも知られている。さらに他のものは、任意の症候に少しも関連しないが、しかし患者が命にかかわる卒中または塞栓を蒙り易くし得る。
【0035】
喘息は、可変性および再発性症候、気流閉塞ならびに気管支痙攣により特性化される気道の一般的慢性炎症性疾患である。症候としては、喘鳴、咳、胸部絞扼感および息切れが挙げられる。個体の中には、数週間または数ヶ月間安定喘息を有し、次いで、急性喘息を突然発症する者もいる。異なる喘息固体は、種々の因子に対して異なって反応する。しかしながら、ほとんどの個体が、いくつかの誘発性作因から喘息の重症増悪を発症し得る。
【0036】
気管支炎は、気管から肺に気流を運ぶ気道である気管支の粘膜の炎症である。気管支炎は、各々が独特の病因、病態および療法を有する2つのカテゴリー、すなわち急性および慢性に分類され得る。急性気管支炎は、呼吸道から咳と一緒に吐き出される(咳き込んで出される)粘液である痰の産生を伴ってまたは伴わずに、咳を発症することを特徴とする。急性気管支炎は、急性ウイルス性疾病、例えば普通の風邪またはインフルエンザの経過中にしばしば起こる。ウイルスは急性気管支炎の約90%を引き起こし、一方、細菌は10%未満を占める。慢性閉塞性肺疾患の一型である慢性気管支炎は、少なくとも2年間、年に3ヶ月以上持続する湿性咳の存在を特徴とする。慢性気管支炎は、吸入刺激原により引き起こされる気道に対する再発性損傷のために、最も高頻度に発症する。喫煙は最も一般的な原因であり、そして空気汚染、ならびに刺激原への職業的曝露、および冷気が後に続く。
【0037】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道が狭くなる肺の2つの一般に共在する疾患である一組である慢性気管支炎および気腫を指す。これは、肺へのおよび肺からの空気の流れを制限して、息切れを引き起こす。喘息に対比して、気流の制限は不十分に可逆性で、通常は長期に亘って漸進的に悪化する。COPDは、肺における異常炎症性応答を誘発する、最も一般的には喫煙からの、有害な粒子または気体により引き起こされる。大型気道における炎症性応答は、慢性気管支炎として知られており、これは、人が規則的に咳き込んで痰を吐く場合に、臨床的に診断される。肺胞において、炎症性応答は、気腫として既知のプロセスである肺の組織の崩壊を引き起こす。COPDの自然の経過は、急性増悪と呼ばれる症候の時折の突然の悪化を特徴とし、このほとんどが感染または空気汚染により引き起こされる。
【0038】
肺炎は、肺の異常炎症性症状である。それはしばしば、肺の実質組織(すなわち、肺胞)の炎症、ならびに流体を充填された異常肺胞(硬化および滲出)を包含するとして特性化される。肺胞は、ガス交換に関与する肺における顕微鏡的空気充填嚢である。肺炎は、種々の原因、例えば、細菌、ウイルス、真菌または寄生生物による感染、ならびに肺に対する化学的または物理的損傷に起因し得る。その原因は、感染性原因が排除された場合、特発性−すなわち、分からない−としても公式に記載されており、肺炎に関連した典型的症候としては、咳、胸痛、発熱および呼吸困難が挙げられる。診断ツールとしては、X線ならびに痰の検査が挙げられる。処置は、肺炎の原因に依っている;細菌性肺炎は抗生物質で処置される。肺炎は、全ての年齢群で起こり、高齢者ならびに慢性的におよび末期的に病んでいる人の間で死亡の主因である。さらに、それは、全世界の5歳以下の小児における死亡の主因である。
【0039】
肺動脈塞栓症(PE)は、血流を通して身体中の他の場所から移動した物質による肺の主動脈またはその分枝の1つの遮断である(塞栓形成)。通常は、これは、静脈血栓塞栓症と呼ばれるプロセスである足の深在静脈からの血栓(血餅)の塞栓形成のためである。小比率は、空気、脂肪または羊水の塞栓形成のためである。肺を通る血流の閉塞およびその結果生じる心臓右心室に掛かる圧力は、PEの症候および徴候をもたらす。PEの危険度は、癌および長期安静のような種々の状況において増大される。肺動脈塞栓症は、呼吸困難、吸気時の胸痛および動悸を包含する。臨床徴候としては、低血液酸素飽和およびチアノーゼ、呼吸促迫および急速な心拍数が挙げられる。PEの重症例は、虚脱、異常低血圧および突然死をもたらし得る。
【0040】
肺動脈性高血圧症(PAH)は、右心室過負荷を、そして最終的には右心室不全および早発性死をもたらす肺血管抵抗性の進行性増大により特性化される症候である。肺動脈性高血圧症(PAH)は、正常肺動脈楔入圧(<15 mmHg)で、安静時25 mmHgより高い、または運動時に30 mmHgより高い平均肺動脈圧の持続性上昇と定義される。ほとんどの場合、最初期症候は、物理的労作時の呼吸困難である。他の症候としては、失神または近失神、疲労および末梢性浮腫が挙げられる。胸部絞扼および狭心症と類似の疼痛は、特に物理的労作時に起こり得る。
【0041】
卒中は、脳血管性疾患に起因する急性限局性神経学的欠損と定義される。卒中の2つの主な型は、虚血性および出血性で、それぞれ約85%および15%を占める(Hickey 2003. The clinical practice of neurological and neurosurgical nursing (5th ed.). Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins)。虚血性卒中が起きると、脳への血液供給は妨げられ、脳細胞はグルコースおよび酸素を奪われる。虚血性卒中の約45%は小型または大型動脈血栓により引き起こされ、20%は塞栓起源であり、そして他は未知の原因を有する(Hickey 2003. The clinical practice of neurological and neurosurgical nursing (5th ed.). Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins)。
【0042】
一過性虚血性発作(TIA)(「ミニ卒中」としても既知である)は、24時間以内に完全に消散する孤立性神経学的症候の突然の開始を特徴とする症候である。TIAは、高齢者集団の0.5〜8%で報告され得る(Bots et al., 1997. Stroke 28(4): 768-73)。TIAを示す患者は、その後の有害事象の危険度が高い。卒中の90日危険度は10%より高いと報告されており、最高危険度は最初の2日以内に生じる(Jonston et al., 2003. Neurology 60: 1429-34)。
【0043】
心筋梗塞(MI)または急性心筋梗塞(AMI)(一般に心臓発作として既知である)は、心臓の部分への血液供給を妨害して、いくつかの心臓細胞を死なせることである。これは、最も一般的には、動脈壁中の脂質(脂肪酸)および白血球(特にマクロファージ)の不安定収集物である脆弱性アテローム硬化性プラークの破裂後の冠動脈の閉塞(遮断)のためである。その結果生じる虚血(血液供給の制限)および酸素不足は、十分な期間中未処置のままであると、心筋組織(心筋層)の損傷または死(梗塞)を引き起こし得る。ECGに基づいて、ST上昇MI(STEMI)または非ST上昇MI(非STEMI)の間で区別がなされる。
【0044】
2型真性糖尿病または2型糖尿病(以前は、非インスリン依存性真性糖尿病(NIDDM)または成人発症型糖尿病と呼ばれた)は、インスリン耐性および相対的インスリン欠乏の状況での高血糖を特徴とする障害である。
【0045】
アテローム硬化症(アテローム硬化性血管性疾患またはASVDとしても知られている)は、コレステロールのような脂肪性物質の構築の結果として動脈壁が厚くなる症状である。それは、大部分がマクロファージ白血球の蓄積による、動脈壁の慢性炎症性応答である動脈血管に影響を及ぼす症候であり、機能性高密度リポタンパク質(HDL)によるマクロファージからの脂肪およびコレステロールの適切な除去を伴わずに、低密度リポタンパク質(コレステロールおよびトリグリセリドを保有する血漿タンパク質)により促進される。それは、一般に、動脈の硬化または肥厚として言及される。それは、動脈内の多数のプラークの形成により引き起こされる。
【0046】
特に好ましい別の実施形態では、疾患は、心筋梗塞後症状であり、すなわち、被験者は心筋梗塞に罹患している。
【0047】
したがって、違約剤は、例えば、凝血薬、血栓溶解薬、血小板凝集阻害薬、β遮断薬、酸化防止剤、脂質低下物質、利尿薬、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ5型阻害薬、プロスタサイクリン誘導体、可溶性グアニレートシクラーゼ活性化剤、ホルモン療法薬、NO置換剤、アデノシン受容体遮断薬、心臓グリコシド、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗糖尿病薬、抗不整脈薬および抗生物質からなる群から選択され得る。特に好ましい違約剤は、ACE阻害薬、利尿薬およびβ遮断薬である。
【0048】
したがって、医薬剤は、例えば、抗凝血薬、血栓溶解薬、血小板凝集阻害薬、β遮断薬、酸化防止剤、脂質低下物質、利尿薬、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬、カルシウムチャンネル遮断薬、ホルモン療法薬、NO置換剤、アデノシン受容体遮断薬、心臓グリコシド、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗糖尿病薬、抗不整脈薬および抗生物質からなる群から選択され得る。特に好ましい医薬剤は、ACE阻害薬、利尿薬およびβ遮断薬である。
【0049】
医薬剤は、2つ以上の薬剤の組合せ、例えば、β遮断薬/カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ベルニフ(登録商標)、すなわち活性成分:メトプロロール+ニフェジピン)、アンギオテンシンIIアンタゴニスト/利尿薬(例えば、ブロプレス(登録商標)−活性成分:カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド)でもあり得る。
【0050】
カルシウムチャンネル遮断薬は、例えば、ジヒドロピリジン(例えばニカルジピン)、フェニルアルキルアミン(例えばベラパミル)、ベンゾチアゼピン(例えばジルチアゼム)、ミベフラジルおよびフェンジリンからなる群から選択され得る。
【0051】
脂質低下物質は、例えば、スタチン(例えば、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、眼場スタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン)、フィブラート(例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラート、エトフィブラート、ゲムフィブロジル)、胆汁酸封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール)、およびニコチン酸誘導体(例えば、アシピモクス、キサンチノールニコチネート、イノシトールニコチネート)からなる群から選択され得る。
【0052】
酸化防止剤は、例えば、ビタミンA、ビタミンC、オキシプリオノール、スーパーオキシドジムスターゼおよびプロブコールからなる群から選択され得る。
【0053】
ACE阻害薬は、例えば、カプトプリル、エナラプリル、クアナラプリル、ペリドプリル、テモカプリル、ラミプリル、リシノプリルからなる群から選択され得る。
【0054】
ホルモン療法薬は、例えば、β−エストラジオールおよびプロゲステロンからなる群から選択され得る。
【0055】
NO置換剤は、例えば、有機硝酸塩(例えばニトログリセリン)、シドノンイミンおよびL−アルギニンからなる群から選択され得る。
【0056】
抗凝血薬は、例えば、ビタミンKアンタゴニスト(例えば、フェンプロクモン、ワルファリン)、直接トロンビン阻害薬(例えば、レピルジン、デシルジン、アルガトロバン)、ヘパリンからなる群から選択され得る。
【0057】
血栓溶解薬は、例えば、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、レテプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼおよびウリキナーゼからなる群から選択され得る。
【0058】
血小板凝集阻害薬は、例えば、チクロピジン、クロピドグレル、アセチルサリチル酸からなる群から選択され得る。
【0059】
心臓グリコシドは、例えば、ジゴキシン、ジギトキシン、デスラノシド、クアバインおよびプロシラリジンからなる群から選択され得る。
【0060】
利尿薬は、例えば、ループ利尿薬(例えばフロセミド)、ベンゾチアジアジド利尿薬(例えばメトラゾン)、カリウム保持性利尿薬(例えばスピロノラクトン)、および浸透圧利尿薬(例えばマンニトール)からなる群から選択され得る。
【0061】
アンギオテンシンIIアンタゴニストは、例えば、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、ロサルタン、バルサルタンおよびオルメサルタンからなる群から選択され得る。
【0062】
β遮断薬は、例えば、β遮断薬(例えばナドロール、ペンブトロール)、β1選択性薬(例えばビソプロロール、メトプロロール)、およびα1/βアドレナリン作動性アンタゴニスト(例えばカルベジロール、セリプロロール)からなる群から選択され得る。
【0063】
エンドセリン受容体アンタゴニストは、例えば、選択性エンドセリン受容体A型アンタゴニスト(例えば、シタキセタン、アンブリセンタン、アトラセンタン、BQ−123)、選択性エンドセリン受容体Bアンタゴニスト(例えばサラフォトキシンB)、およびエンドセリン受容体A/Bアンタゴニスト(例えばボセンタン、テゾセンタン)からなる群から選択され得る。
【0064】
ホスホジエステラーゼ5型阻害薬は、例えば、シルデナフィル、シルデンフィル、シトレート、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィルからなる群から選択され得る。
【0065】
プロスタサイクリン誘導体は、例えば、エポプロステノール、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストからなる群から選択され得る。
【0066】
可溶性グアニレートシクラーゼ活性化因子は、例えば、シナシグアト、リオシグアトからなる群から選択され得る。
【0067】
抗不整脈剤は、例えば、キニジン、クラスI抗不整脈薬(例えば、ジソピラミド、リドカイン、プロパフェノン)、クラスII抗不整脈薬(例えばメトプロロール)、クラスIII抗不整脈薬(例えば、アミオダロン、ソタロール)、クラスIV抗不整脈薬(例えば、ベラパミル、ジルチアゼム)からなる群から選択され得る。
【0068】
抗生物質は、例えば、ペニシリン(例えば、フルクロキサシリン、アモキシシリン、アンピシリン、メズロシリン)、セファロスポリン(例えば、セファゾリン、セフロキシム、セフォタキシム、セファクロル、セファレキシン)、βラクタマーゼ阻害薬(例えば、スルバクタム、タゾバクタム)、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン)、アミノグリコシド(例えば、ゲンタミシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン)、マクロライド系抗生物質(例えば、アジトロマイシン、クラリトロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、クリンダマイシン)、リンコサミド(例えばリンコマイシン)、ギラーゼ阻害薬(例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン)、スルホンアミド、トリメトプリム、グリコペプチド抗生物質(例えばバンコマイシン)、ポリペプチド抗生物質(例えばコリスチン、ポリミキシン)、アンフェニコール(例えばクロラムフェニコール)からなる群から選択され得る。
【0069】
抗糖尿病薬は、例えば、インスリン、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、ビグアニド誘導体(例えばメトフォルミン)、スルホニル尿素誘導体(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド)、ピオグリタゾン、レパグリニド、ナテグリニドおよびロシグリタゾンマレイン酸塩からなる群から選択され得る。
【0070】
本発明による方法の特に好ましい一実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はMR−プロADMまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤はスタチンである。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者:>0.9 pmol/LのMR−プロADM;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:0.5〜0.9 pmol/LのMR−プロADM;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:<0.5 pmol/LのMR−プロADM。
【0071】
本発明による方法の特に好ましい別の実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はMR−プロADMまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、この場合、医薬剤はクロピドグレルである。
【0072】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はCT−プロAVPまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、この場合、医薬剤はアセチルサリチル酸である。
【0073】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は虚血性卒中であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はCT−プロAVPまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤は利尿薬である。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者、または上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:<4 pmol/LのCT−プロAVP;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:>4 pmol/LのCT−プロAVP。
【0074】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は心筋梗塞であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はMR−プロADMまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤は利尿薬である。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者、または上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:>0.5 pmol/LのMR−プロADM;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:<0.5 pmol/LのMR−プロADM。
【0075】
本発明による方法の特に好ましいさらに別の実施形態では、疾患は心筋梗塞後症状であり、確定されるべきホルモン前駆体断片はCT−プロAVPまたはその断片(少なくとも12アミノ酸長を有する)であって、ここで、医薬剤はACE阻害薬/アデノシン受容体遮断薬(ARB)である。この場合、患者は、好ましくは、以下の閾値を用いて、上記カテゴリーに層化される:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者:>19 pmol/LのCT−プロAVP;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者:3.6〜19 pmol/LのCT−プロAVP;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者:<3.6 pmol/LのCT−プロAVP。
【0076】
上記の本明細書中で引用される閾値は、非常に特定の例証的実施形態に関する値であると理解されるべきである。
【0077】
本明細書中の好ましくない作用は、例えば、死または主要有害心臓事象(MACE)であり得る。好ましくない作用に関する結果は、処置に患者を参加させた後の所定の時間での、例えば救急病棟に入院後のものであり得る。結果は、入院の数日後、数週間後、数ヵ月後、または数年後、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12週間後、あるいは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヶ月後であり得る。
【0078】
体液は、好ましくは、血液、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、喀痰および胸水の群から選択される。さらに好ましくは、試料は、全血、血漿または血清から選択され、最も好ましくは、試料は血漿である。
【0079】
本発明は、以下のカテゴリー:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための被験者の体液から得られる試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の濃度を確定するための検体の使用であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす使用にも関する。
【0080】
本発明の状況では、2つ以上の血管作動性ホルモンレベルまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の組合せも用いられ得る。さらに、本発明による被験者の中には、2つ以上の医薬剤の組合せを摂取する者もいる。これらの被験者も、本発明の状況において層化され得る。
【0081】
以下のカテゴリー:
(i)前記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない前記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための方法における、アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、ブラジキニン、レラキシン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスPおよびニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンの群から選択される、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片に特異的な抗体またはその機能性断片の使用であって、上記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす使用にも関する。
【0082】
異なる群(カテゴリー)に被験者を層化するための適切な閾値レベルは、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片、医薬剤および疾患の各々の特定の組合せに関して確定されなければならない。これは、例えば、ある変位値、例えば三分位数、四分位数、五分位数に、または適切な百分位数によってさえ、血管作動性ホルモンのそれらのレベルによって患者の参照集団を群分けすることにより実行され得る。ある百分位数より上および下の変位数または群の各々に関して、ハザード比が算定され、例えば、ある医薬剤を摂取した患者と摂取しなかった患者との間の生存率に関して、有害結果、すなわち「好ましくない作用」に関する危険度を比較する。このようなシナリオでは、1より大きいハザード比(HR)は、処置を受けた患者に関する有害結果の危険度が摂取しなかった患者の場合より高いことを示す。1より低いHRは、患者の群におけるある処置の有益作用を示す。およそ1(+/-0.1)のHRは、患者の特定の群に関して、危険度上昇はないが医薬剤からの利益もないことを示す。患者のある変位値間のHRを互いに、ならびに患者の全体集団のHRと比較することにより、危険度上昇を示す患者の変位値、ならびに医薬剤から利益を得るものを同定し、それにより本発明による被験者を層化し得る。
【0083】
本発明による方法の好ましい一実施形態では、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の少なくとも2つの閾値レベルは、上記被験者を以下のカテゴリーのうちの1つに層化するために確定されなければならない:
(i)上記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
(ii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない上記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
(iii)上記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者。
いくつかの場合、好ましくない作用は、高レベル(例えば、第5の五分位数)の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片を有する患者に影響を及ぼすが、一方、他の場合には、低レベルの血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片を有する患者のみが、影響を受ける(例えば、第1五分位数で)。これは、特定の医薬剤、ホルモンおよび疾患によって決まる。しかしながら、上記の説明であれば、違約剤が好ましくない作用を有する患者の群、医薬剤から利益も害も受けない群、ならびに医薬剤から利益を受ける群を同定し得る。例として、ホルモン前駆体断片および医薬剤のいくつかの組合せが、添付の実施例におけるいくつかの疾患に関して列挙される。
【0084】
添付の実施例では、種々の異なる薬剤で処置された、そして種々の血管作動性ホルモン前駆体断片のレベルが測定された種々の臨床試験からの患者に関して、患者群のこのような分析が実証される。
【0085】
しかしながら、本発明は、実施例で実証される医薬剤、疾患および血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片の組合せに限定されないが、しかしより一般的な方法を提供する。
【0086】
本明細書中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片(「マーカーペプチド」とも呼ばれる)のレベルを確定すること(または測定することまたは検出すること)は、以下で例示されるような検出方法および/または診断検定を用いて実施され得る。
【0087】
本明細書中で記述される場合、「検定」または「診断検定」は、診断の分野に当てはめられる任意の型のものであり得る。このような検定は、検出されるべき分析物とある親和力を有する1つ以上の捕捉プローブとの結合を基礎にし得る。捕捉分子と標的分子または当該分子との間の相互作用に関して、親和定数は、好ましくは108 M-1より大きい。
【0088】
本発明の状況では、「捕捉分子」は、標的分子または当該分子、すなわち試料からの分析物(すなわち、本発明の状況では、心臓血管性および/または血管作動性ペプチド(単数または複数))である。したがって、捕捉分子は、標的分子または当該分子と特異的に結合するために、空間的に、ならびに表面特徴、例えば表面電荷、疎水性、親水性、ルイス供与体および/または受容体の存在または非存在に関して、適切に造形されなければならない。それにより、結合は、例えば、イオン、ファンデルワールス、パイ−パイ、シグマ−パイ、疎水性または水素結合相互作用、あるいは捕捉分子と標的分子または当該分子との間の上記相互作用のうちの2つ以上の組合せにより媒介され得る。本発明の状況では、捕捉分子は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、RNA分子、タンパク質、抗体、ペプチドまたは糖タンパク質からなる群から選択され得る。好ましくは、捕捉分子は、抗体、例えば標的または当該分子と十分な親和性を有するその断片、および例えば、組換え抗体または組換え抗体断片、ならびに上記抗体またはその少なくとも12アミノ酸長を有する変異体鎖から得られる断片の化学的および/または生化学的修飾誘導体である。
【0089】
好ましい検出方法は、種々のフォーマットでのイムノアッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光−および蛍光イムノアッセイ、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ルミネックスベースのビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイ検定、ならびに迅速試験フォーマット、例えば免疫クロマトグラフィーストリップ試験を包含する。
【0090】
検定は、均一または不均一検定、競合および非競合検定であり得る。特に好ましい一実施形態では、検定はサンドイッチ検定の形態であって、これは非競合的イムノアッセイであり、個の場合、検出または定量されるべき分子は、第一抗体と、および第二抗体と結合される。第一抗体は、固相、例えばビーズ、ウェルまたは他の容器の表面、チップまたはストリップと結合され、第二抗体は、例えば染料で、放射性同位体、あるいは反応性または触媒的活性部分で標識される抗体である。次いで、分析物と結合される標識抗体の量が、適切な方法により測定される。「サンドイッチ検定」に関与する一般的組成物および手法は、十分に確立されており、当業者に既知である(The Immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD. Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267;Hultschig et al., Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb; 10(1): 4-10. PMID: 16376134)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
【0091】
特に好ましい一実施形態では、検定は、液体反応混合物中の分散としてともに存在する2つの捕捉分子、好ましくは抗体を含み、この場合、第一標識構成成分は第一捕捉分子と結合し、上記第一標識構成成分は蛍光−または化学発光−消光または増幅を基礎にした標識系の一部であり、そして上記マーカー系の第二標識構成成分は第二捕捉分子と結合され、したがって、両捕捉分子と分析物との結合時、測定可能シグナルが発生されて、試料を含む溶液中の形成されたサンドイッチ複合体の検出を可能にする。
【0092】
さらに好ましい上記標識系は、希土類クリプテートまたは希土類キレート化合物を、蛍光染料または化学発光染料、とくにシアニン型の染料と組合せて含む。
【0093】
本発明の状況では、蛍光ベースの検定は、例えば、FAM(5−または6−カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD−700/800、シアニン染料、例えばCY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7、キサンテン、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY染料、例えばBODIPY TMR、オレゴングリーン、クマリン、例えばウンベリフェロン、ベンズイミド、例えばHoechst 33258、フェナントリジン、例えばテキサスレッド、ヤキマイエロー、アレキサ・フルオル、PET、臭化エチジウム、アクリジニウム染料、カルバゾール染料、フェノキサジン染料、ポルフィリン染料、ポリメチン染料等を含む群から選択され得る染料の使用を包含する。
【0094】
本発明の状況では、化学発光ベースの検定は、Kirk-Othmer, Encyclopedia of chemical technology, 4th ed., executive editor, J.I. Kroschwitz; editor, M. Howe-Grant, John Wiley & Sons, 1993, vol.15, p.518-562(p.551-562における引用を含む)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)において化学発光物質に関して記載された物理的原理に基づいた染料の使用を包含する。好ましい化学発光染料は、アクリジニウムエステルである。
【0095】
被験者の試料中の1つ以上の血管作動性ホルモン(またはその断片、あるいは前駆体またはその断片)のレベル、すなわち濃度は、特定の医薬剤に関して異なる危険度群に被験者を層化するために用いられる。例えば、ある閾値より上または他の場合には下の血管作動性ホルモン(またはその断片、あるいは前駆体またはその断片)の濃度は、上記違約剤を摂取した後の被験者における好ましくない作用の危険度を示す。
【0096】
生存分析(Cox回帰およびハザード比)ならびにカプラン・マイヤー推定量は、血管作動性ホルモン(またはその断片、あるいは前駆体またはその断片)を有する患者に関するある医薬剤の危険度の査定または予測(例えばカットオフより上または下)のために用いられ得る。
【0097】
配列
アドレノメデュリンの前駆体ペプチド(プレ−プロ−アドレノメデュリン)のアミノ酸配列は、配列番号1で示される。プロ−アドレノメデュリンは、プレ−プロ−アドレノメデュリンの配列のアミノ酸残基22〜185に関する。プロ−アドレノメデュリン(プロ−ADM)のアミノ酸配列は、配列番号2で示される。プロ−ADM N末端20ペプチド(PAMP)は、プレ−プロADMのアミノ酸残基22〜41に関する。PAMPのアミノ酸配列は、配列番号3で示される。MR−プロ−アドレノメデュリン(MR−プロ−ADM)は、プレ−プロ−ADMのアミノ酸残基45〜92に関する。NR−プロ−ADMのアミノ酸配列は、配列番号4で提供される。成熟アドレノメデュリン(ADM)のアミノ酸配列は、配列番号5で示される。
【0098】
配列番号1(プレ−プロ−ADMのアミノ酸配列):
1 MKLVSVALMY LGSLAFLGAD TARLDVASEF RKKWNKWALS RGKRELRMSS
51 SWPTGLADVK AGPAQTLIRP QDMKGASRSP EDSSPDAARI RVKRYRQSMN
101 NFQGLRSFGC RFGTCTVQKL AHQIYQFTDK DKDNVAPRSK ISPQGYGRRR
151 RRSLPEAGPG RTLVSSKPQA HGAPAPPSGS APHFL
【0099】
配列番号2(プロ−ADMのアミノ酸配列):
1 ARLDVASEFR KKWNKWALSR GKRELRMSSS YPTGLADVKA GPAQTLIRPQ
51 DMKGASRSPE DSSPDAARIR VKRYRQSMNN FQGLRSFGCR FGTCTVQKLA
101 HQIYQFTDKD KDNVAPRSKI SPQGYGRRRR RSLPIAGPGR TLVSSKPQAH
151 GAPAPPSGSA PHFL
【0100】
配列番号3(プロ−ADM N20のアミノ酸配列):
1 ARLDVASEFR KKWNKWALSR
【0101】
配列番号4(MR−プロ−ADMのアミノ酸配列):
1 ELRMSSSYPT GLADVKAGPA QTLIRPQDMK GASRSPEDSS
【0102】
配列番号5(ADMのアミノ酸配列):
1 YRQSMNNFQG LRSFGCRFGT CTVQKLAHQI YQFTDKDKDN VAPRSKISPQ
51 GY
【0103】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)のアミノ酸配列は、配列番号8で示される。153アミノ酸プレ−プロ−ANPの配列は、配列番号6で示される。N末端シグナル配列(25アミノ酸)および2つのC末端アミノ酸(127/128)の切断時に、プロANP(配列番号7)が放出される。ANPは、前駆体プロホルモン プロ−ANPのC末端からの残基99〜126を含む。このプロホルモンは、成熟28アミノ酸ペプチドANP(ANP(1〜28)またはα−ANPとしても既知)と、アミノ末端断片ANP(1〜98)(NT−プロANP、配列番号9)に切断される。中央領域プロANP(MR−プロANP)は、NT−プロANPまたはその任意の断片(プロANPの少なくともアミノ酸残基53〜90(配列番号10)を含む)と定義される。プレ−プロ−ANP(配列番号6)におけるC末端の2つのアルギニン残基(位置152および153)は、プレ−プロ−ANPをコードする遺伝子の別の対立遺伝子中には存在せず、したがって、プレ−プロ−ANPは残基1〜151のみを含み得る。これは、もちろん、プレ−プロ−ANPのそれぞれの断片、特にプロ−ANPに関しても言える。
【0104】
配列番号6(プレ−プロ−ANPのアミノ酸配列):
1 MSSFSTTTVS FLLLLAFQLL GQTRANPMYN AVSNADLMDF KNLLDHLEEK
51 MPLEDEVVPP QVLSEPNEEA GAALSPLPEV PPWTGEVSPA QRDGGALGRG
101 PWDSSDRSAL LKSKLRALLT APRSLRRSSC FGGRMDRIGA QSGLGCNSFR
151 YRR
【0105】
配列番号7(プロ−ANPのアミノ酸配列):
1 NPMYNAVSNA DLMDFKNLLD HLEEKMPLED EVVPPQVLSE PNEEAGAALS
51 PLPEVPPWTG EVSPAQRDGG ALGRGPWDSS DRSALLKSKL RALLTAPRSL
101 RRSSCFGGRM DRIGAQSGLG CNSFRY
【0106】
配列番号8(ANPのアミノ酸配列):
1 SLRRSSCFGG RMDRIGAQSG LGCNSFRY
【0107】
配列番号9(NT−プロANPのアミノ酸配列):
1 NPMYNAVSNA DLMDFKNLLD HLEEKMPLED EVVPPQVLSE PNEEAGAALS
51 PLPEVPPWTG EVSPAQRDGG ALGRGPWDSS DRSALLKSKL RALLTAPR
【0108】
配列番号10(プロANPのアミノ酸53〜90のアミノ酸配列):
1 PIVPPWTGEV SPAQRDGGAL GRGPWDSSDR SALLKSKL
【0109】
バソプレッシンの164アミノ酸前駆体ペプチド(プレ−プロ−バソプレッシン)の配列は、配列番号11で示される。プロ−バソプレッシンは、プレ−プロ−バソプレッシンの配列のアミノ酸残基29〜164に関する。プロ−バソプレッシンのアミノ酸配列は、配列番号12で示される。プロ−バソプレッシンは、成熟バソプレッシン、ニューロフィジンIIおよびC末端プロバソプレッシン(CT−プロAVPまたはコペプチン)に切断される。バソプレッシンは、プレ−プロ−バソプレッシンのアミノ酸残基20〜28に関する。バソプレッシンのアミノ酸配列は、配列番号13で示される。コペプチンは、プレ−プロ−バソプレッシンのアミノ酸残基126〜164に関する。コペプチンのアミノ酸配列は、配列番号14で提供される。ニューロフィジンIIはプレ−プロ−バソプレッシンのアミノ酸残基32〜124を含み、その配列は配列番号15で示される。
【0110】
配列番号11(プレ−プロ−AVPのアミノ酸配列):
1 MPDTMLPACF LGLLAFSSAC YFQNCPRGGK RAMSDLELRQ CLPCGPGGKG
51 RCFGPSICCA DELGCFVGTA EALRCQEENY LPSPCQSGQK ACGSGGRCAA
101 FGVCCNDESC VTEPECREGF HRRARASDRS NATQLDGPAG ALLLRLVQLA
151 GAPEPFEPAQ PDAY
【0111】
配列番号12(プロ−AVPのアミノ酸配列):
1 CYFQNCPRGG KRAMSDLELR QCLPCGPGGK GRCFGPSICC ADELGCFVGT
51 AEALRCQEEN YLPSPCQSGQ KACGSGGRCAAFGVCCNDES CVTEPECREG
101 FHRRARASDR SNATQLDGPA GALLLRLVQL AGAPEPFEPA QPDAY
【0112】
配列番号13(AVPのアミノ酸配列):
1 CYFQNCPRG
【0113】
配列番号14(CT−プレ−プロAVPまたはコペプチンのアミノ酸配列):
1 ASDRSNATQL DGPAGALLLR LVQLAGAPEP FEPAQPDAY
【0114】
配列番号15(ニューロフィジンIIのアミノ酸配列):
1 AMSDLELRQC LPCGPGGKGR CFGPSICCAD ELGCFVGTAE ALRCQEENYL
51 PSPCQSGQKA CGSGGRCAAF GVCCNDESCV TEPECREGFH RRA
【0115】
エンドセリン−1の212アミノ酸前駆体ペプチド(プレ−プロ−エンドセリン−1)の配列は、配列番号16で示される。プロ−ET−1は、プレ−プロ−ET−1の配列のアミノ酸残基18〜212に関する。プロ−ET−1のアミノ酸配列は、配列番号17で示される。プロ−ET−1は、成熟ET−1、big−ET−1およびC末端プロET−1(CT−プロET−1)に切断される。ET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基53〜73に関する。ET−1のアミノ酸配列は、配列番号18で示される。CT−プロET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基168〜212に関する。CT−プロET−1のアミノ酸配列は、配列番号19で提供される。big−ET−1は、プレ−プロ−ET−1のアミノ酸残基53〜90を含み、その配列は配列番号20で示される。
【0116】
配列番号16(プレ−プロ−ET−1のアミノ酸配列):
1 MDYLLMIFSL LFVACQGAPE TAVLGAELSA VGENGGEKPT PSPPWRLRRS
51 KRCSCSSLMD KECVYFCHLD IIWVNTPEHV VPYGLGSPRS KRALENLLPT
101 KATDRENRCQ CASQKDKKCW NFCQAGKELR AEDIMEKDWN NHKKGKDCSK
151 LGKKCIYQQL VRGRKIRRSS EEHLRQTRSE TMRNSVKSSF HDPKLKGKPS
201 RIRYVTHNRA HW
【0117】
配列番号17(プロ−ET−1のアミノ酸配列):
1 APETAVLGAE LSAVGENGGE KPTPSPPWRL RRSKRCSCSS LMDKECVYFC
51 HLDIIWVNTP EHVVPYGLGS PRSKRALENL LPTKATDREN RCQCASQKEK
101 KCWNFCQAGK ELRAEDIMEK DWNNHKKGKD CSKLGKKCIY QQLVRGRKIR
151 RSSEEHLRQT RSETMRNSVK SSFHDPKLKG KPSRERYVTH NRAHW
【0118】
配列番号18(ET−1のアミノ酸配列):
1 CSCSSLMDKE CVYFCHLDII W
【0119】
配列番号19(CT−プロ−ET−1のアミノ酸配列):
1 RSSEEHLRQT RSETMRNSVK SSFHDPKLKG KPSRERYVTH NRAHW
【0120】
配列番号20(Big−ET−1のアミノ酸配列):
1 CSCSSLMDKE CVYFCHLDII WVNTPEHVVP YGLGSPRS
【0121】
脳性ナトリウム利尿ペプチドの134アミノ酸前駆体ペプチド(プレ−プロ−BNP)の配列は、配列番号21で示される。プロ−BNPは、プレ−プロ−BNPのアミノ酸残基27〜134に関する。プロ−BNPの配列は、配列番号22で示される。プロ−BNPは、N末端プロ−BNP(NT−プロ−BNP)および成熟BNPに切断される。NT−プロ−BNPはアミノ酸残基27〜102を含み、その配列は配列番号23で示される。配列番号24は、プレ−プロ−BNPペプチドのアミノ酸残基103〜134を含むBNPの配列を示す。
【0122】
配列番号21(プレ−プロ−BNPのアミノ酸配列):
1 MDPQTAPSRA LLLLLFLHLA FLGGRSHPLG SPGSASDLET SGLQEQRNHL
51 QGKLSELQVE QTSLEPLQES PRPTGVWKSREVATEGIRGH RKMVLYTLRA
101 PRSPKMVQGS GCFGRKMDRI SSSSGLGCKV LRRH
【0123】
配列番号22(プロ−BNPのアミノ酸配列):
1 HPLGSPGSAS DLETSGLQEQ RNHLQGKLSE LQVEQTSLEP LQESPRPTGV
51 WKSREVATEG IRGHRKMVLY TLRAPRSPKM VQGSGCFGRK MDRISSSSGL
101 GCKVLRRH
【0124】
配列番号23(NT−プロ−BNPのアミノ酸配列):
1 HPLGSPGSAS DLETSGLQEQ RNHLQGKLSE LQVEQTSLEP LQESPRPTGV
【0125】
配列番号24(BNPのアミノ酸配列):
1 SPKMVQGSGC FGRKMDRISS SSGLGCKVLR RH
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1〜8は、「うっ血性心不全試験の評価におけるバイオマーカー」(「BACH」)からの、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症に罹患している患者に関する生存率を示す。
【0127】
図1:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤AC阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=974)、薬剤処置なしn=506(死亡=64)、薬剤処置ありn=441(死亡=42);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.03 0.657 nmol/L;n=188)、薬剤処置なしn=135(死亡=2)、薬剤処置ありn=53(死亡=2);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.658〜1.89 nmol/L;n=570)、薬剤処置なしn=271(死亡=31)、薬剤処置ありn=299(死亡=23);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.90〜14.6 nmol/L;n=189)、薬剤処置なしn=100(死亡=31)、薬剤処置ありn=89(死亡=17)。
【0128】
【図2】図2:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤スタチン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1330)、薬剤処置なしn=887(死亡=57)、薬剤処置ありn=443(死亡=22);B:第1MR−プロANP 五分位数(3.9〜54.6 pmol/L;n=259)、薬剤処置なしn=234(死亡=1)、薬剤処置ありn=25(死亡=1);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(54.7〜431 pmol/L;n=805)、薬剤処置なしn=501(死亡=28)、薬剤処置ありn=304(死亡=8);D:第5MR−プロADM 五分位数(431.1〜2510 pmol/L;n=266)、薬剤処置なしn=152(死亡=28)、薬剤処置ありn=144(死亡=13)。
【0129】
【図3】図3:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=943)、薬剤処置なしn=588(死亡=59)、薬剤処置ありn=355(死亡=47);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.71〜5.44 pmol/L;n=188)、薬剤処置なしn=159(死亡=8)、薬剤処置ありn=29(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(5.45〜43.2 pmol/L;n=566)、薬剤処置なしn=354(死亡=26)、薬剤処置ありn=212(死亡=19);D:第5CT−プロAVP 五分位数(43.3〜1050 pmol/L;n=189)、薬剤処置なしn=75(死亡=25)、薬剤処置ありn=114(死亡=26)。
【0130】
【図4】図4:マーカーBNPおよび医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=892)、薬剤処置なしn=666(死亡=59)、薬剤処置ありn=226(死亡=11);B:第1BNP 五分位数(3〜65 pg/mL;n=183)、薬剤処置なしn=152(死亡=4)、薬剤処置ありn=31(死亡=2);C:第2〜第4BNP 五分位数(65〜904 pg/mL;n=537)、薬剤処置なしn=378(死亡=27)、薬剤処置ありn=159(死亡=7);D:第5BNP 五分位数(904〜7850 pg/mL;n=172)、薬剤処置なしn=136(死亡=28)、薬剤処置ありn=36(死亡=2)。
【0131】
【図5】図5:マーカーCT−プロET−1および医薬剤β遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=895)、薬剤処置なしn=432(死亡=39)、薬剤処置ありn=463(死亡=31);B:第1CT−プロET−1 五分位数(6.92〜67 pmol/L;n=184)、薬剤処置なしn=121(死亡=0)、薬剤処置ありn=63(死亡=1);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(67〜182 pmol/L;n=542)、薬剤処置なしn=249(死亡=21)、薬剤処置ありn=293(死亡=18);D:第5CT−プロET−1 五分位数(182〜709 pmol/L;n=169)、薬剤処置なしn=62(死亡=18)、薬剤処置ありn=107(死亡=12)。
【0132】
【図6】図6:マーカーNT−プロBNPおよび医薬剤ワルファリン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=875)、薬剤処置なしn=651(死亡=53)、薬剤処置ありn=224(死亡=15);B:第1NT−プロBNP 五分位数(3〜280 pg/mL;n=174)、薬剤処置なしn=159(死亡=4)、薬剤処置ありn=15(死亡=1);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(280〜7080 pg/mL;n=535)、薬剤処置なしn=374(死亡=26)、薬剤処置ありn=161(死亡=7);D:第5NT−プロBNP 五分位数(7080〜112000 pg/mL;n=166)、薬剤処置なしn=118(死亡=23)、薬剤処置ありn=48(死亡=7)。
【0133】
【図7】図7:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびCT−プロET−1、ならびに医薬剤AC阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1330)、薬剤処置なしn=739(死亡=51)、薬剤処置ありn=591(死亡=28);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=560;中央値MR−プロADM濃度0.875 nmol/L;中央値CT−プロET−1濃度88.2 pmol/L)、薬剤処置なしn=396(死亡=6)、薬剤処置ありn=164(死亡=3);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはCT−プロET−1に関する第2〜第4 五分位数(n=167)、薬剤処置なしn=89(死亡=6)、薬剤処置ありn=78(死亡=5);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=603)、薬剤処置なしn=254(死亡=39)、薬剤処置ありn=349(死亡=20)。
【0134】
【図8】図8:マーカーCT−プロET−1、ならびに医薬剤組合せ:ACE阻害薬およびβ遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=607)、薬剤処置なしn=344(死亡=43)、薬剤処置ありn=263(死亡=27);B:第1CT−プロET−1 五分位数(6.9〜67 pmol/L;n=137)、薬剤処置なしn=101(死亡=1)、薬剤処置ありn=36(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(67〜182 pmol/L;n=353)、薬剤処置なしn=194(死亡=26)、薬剤処置ありn=159(死亡=11);D:第5CT−プロET−1 五分位数(182〜709 pmol/L;n=117)、薬剤処置なしn=49(死亡=16)、薬剤処置ありn=68(死亡=14)。
【0135】
【図9】図9〜13は、「疾患の重症度を導くためのコペプチン、ならびに管理、浸透圧状態およびストレス」(「COSMOS」)からの、虚血性卒中、出血性卒中または一過性虚血性発作に罹患している患者に関する生存率を示す。
【0136】
図9:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=418)、薬剤処置なしn=279(死亡=13)、薬剤処置ありn=139(死亡=24);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.9〜3.93 pmol/L;n=87)、薬剤処置なしn=67(死亡=1)、薬剤処置ありn=20(死亡=0);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(3.93〜32.9 pmol/L;n=247)、薬剤処置なしn=170(死亡=6)、薬剤処置ありn=77(死亡=8);D:第5CT−プロAVP 五分位数(32.9〜778 pmol/L;n=84)、薬剤処置なしn=42(死亡=6)、薬剤処置ありn=42(死亡=16)。
【0137】
【図10】図10:マーカーCT−プロET−1および医薬剤スタチン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=415)、薬剤処置なしn=310(死亡=26)、薬剤処置ありn=105(死亡=9);B:第1CT−プロET−1 五分位数(1〜51.4 pmol/L;n=85)、薬剤処置なしn=75(死亡=3)、薬剤処置ありn=10(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(51.4〜93.1 pmol/L;n=252)、薬剤処置なしn=178(死亡=10)、薬剤処置ありn=74(死亡=4);D:第5CT−プロET−1 五分位数(93.1〜571 pmol/L;n=78)、薬剤処置なしn=57(死亡=13)、薬剤処置ありn=21(死亡=3)。
【0138】
【図11】図11:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤スタチン;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=417)、薬剤処置なしn=312(死亡=26)、薬剤処置ありn=105(死亡=9);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.05〜0.47 nmol/L;n=93)、薬剤処置なしn=80(死亡=3)、薬剤処置ありn=13(死亡=2);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜0.91 nmol/L;n=245)、薬剤処置なしn=176(死亡=8)、薬剤処置ありn=69(死亡=5);D:第5MR−プロADM 五分位数(0.91〜5.49 nmol/L;n=79)、薬剤処置なしn=56(死亡=15)、薬剤処置ありn=23(死亡=2)。
【0139】
【図12】図12:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤アセチルサリチル酸;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=449)、薬剤処置なしn=240(死亡=22)、薬剤処置ありn=209(死亡=20);B:第1MR−プロANP 五分位数(22.3〜69.5 pmol/L;n=91)、薬剤処置なしn=40(死亡=0)、薬剤処置ありn=51(死亡=0);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(69.5〜250 pmol/L;n=272)、薬剤処置なしn=148(死亡=12)、薬剤処置ありn=124(死亡=6);D:第5MR−プロANP 五分位数(250〜1540 pmol/L;n=86)、薬剤処置なしn=52(死亡=10)、薬剤処置ありn=34(死亡=14)。
【0140】
【図13】図13:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびCT−プロET−1、ならびに抗高血圧薬の薬剤処置;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=432)、薬剤処置なしn=164(死亡=8)、薬剤処置ありn=268(死亡=30);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=176;中央値MR−プロADM濃度0.67 nmol/L;中央値CT−プロET−1濃度69.1 pmol/L)、薬剤処置なしn=101(死亡=1)、薬剤処置ありn=75(死亡=4);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはCT−プロET−1に関する第2〜第4 五分位数(n=89)、薬剤処置なしn=32(死亡=1)、薬剤処置ありn=61(死亡=8);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=163)、薬剤処置なしn=31(死亡=6)、薬剤処置ありn=132(死亡=18)。
【0141】
【図14】図14〜21は、「レスター急性心筋梗塞ペプチド試験」(「LAMP」)からの心筋梗塞に罹患している患者に関する生存率を示す。図22〜34は、「LAMP試験」からの急性心筋梗塞に罹患している患者に関する主要心臓事象率を示す。
【0142】
図14:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1160)、薬剤処置なしn=869(死亡=56)、薬剤処置ありn=291(死亡=24);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.04〜0.47 nmol/L;n=229)、薬剤処置なしn=209(死亡=5)、薬剤処置ありn=20(死亡=3);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜1.18 nmol/L;n=700)、薬剤処置なしn=542(死亡=15)、薬剤処置ありn=158(死亡=7);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.18〜6.75 nmol/L;n=231)、薬剤処置なしn=118(死亡=36)、薬剤処置ありn=113(死亡=14)。
【0143】
【図15】図15:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1464)、薬剤処置なしn=990(死亡=55)、薬剤処置ありn=474(死亡=37);B:第1MR−プロANP 五分位数(4.9〜65 pmol/L;n=300)、薬剤処置なしn=250(死亡=1)、薬剤処置ありn=50(死亡=2);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(65〜264 pmol/L;n=871)、薬剤処置なしn=612(死亡=21)、薬剤処置ありn=259(死亡=14);D:第5MR−プロANP 五分位数(264〜1630 pmol/L;n=293)、薬剤処置なしn=128(死亡=33)、薬剤処置ありn=165(死亡=21)。
【0144】
【図16】図16:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤硝酸塩;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1161)、薬剤処置なしn=667(死亡=58)、薬剤処置ありn=494(死亡=23);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.31〜4.6 pmol/L;n=231)、薬剤処置なしn=162(死亡=1)、薬剤処置ありn=69(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(4.6〜42.1 pmol/L;n=698)、薬剤処置なしn=380(死亡=19)、薬剤処置ありn=318(死亡=11);D:第5CT−プロAVP 五分位数(42.1〜1040 pmol/L;n=232)、薬剤処置なしn=125(死亡=38)、薬剤処置ありn=107(死亡=10)。
【0145】
【図17】図17:マーカーCT−プロET−1および医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1459)、薬剤処置なしn=1207(死亡=77)、薬剤処置ありn=252(死亡=16);B:第1CT−プロET−1 五分位数(4.6〜56.6 pmol/L;n=295)、薬剤処置なしn=252(死亡=6)、薬剤処置ありn=43(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(56.6〜118 pmol/L;n=877)、薬剤処置なしn=723(死亡=23)、薬剤処置ありn=154(死亡=7);D:第5CT−プロET−1 五分位数(118〜671 pmol/L;n=287)、薬剤処置なしn=232(死亡=48)、薬剤処置ありn=55(死亡=7)。
【0146】
【図18】図18:マーカーNT−プロBNPおよび医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1174)、薬剤処置なしn=1026(死亡=78)、薬剤処置ありn=148(死亡=7);B:第1NT−プロBNP 五分位数(0.3〜204 pg/mL;n=223)、薬剤処置なしn=200(死亡=3)、薬剤処置ありn=23(死亡=1);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(204〜3160 pg/mL;n=713)、薬剤処置なしn=618(死亡=34)、薬剤処置ありn=95(死亡=4);D:第5NT−プロBNP 五分位数(3160〜11800 pg/mL;n=238)、薬剤処置なしn=208(死亡=41)、薬剤処置ありn=30(死亡=2)。
【0147】
【図19】図19:マーカーCT−プロAVP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=647)、薬剤処置なしn=511(死亡=43)、薬剤処置ありn=136(死亡=10);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.31〜4.6 pmol/L;n=159)、薬剤処置なしn=141(死亡=1)、薬剤処置ありn=18(死亡=2);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(4.6〜42.1 pmol/L;n=364)、薬剤処置なしn=285(死亡=13)、薬剤処置ありn=79(死亡=3);D:第5CT−プロAVP 五分位数(42.1〜1040 pmol/L;n=124)、薬剤処置なしn=85(死亡=29)、薬剤処置ありn=39(死亡=5)。
【0148】
【図20】図20:マーカー組合せ:CT−プロAVPおよびMR−プロADM、ならびに医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1161)、薬剤処置なしn=870(死亡=56)、薬剤処置ありn=291(死亡=24);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=362;中央値CT−プロAVP濃度10.75 nmol/L;中央値MR−プロADM濃度0.72 pmol/L)、薬剤処置なしn=326(死亡=2)、薬剤処置ありn=36(死亡=1);C:それぞれの中央値を上回るCT−プロAVPまたはMR−プロADMに関する第2〜第4 五分位数(n=437)、薬剤処置なしn=343(死亡=15)、薬剤処置ありn=94(死亡=7);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=362)、薬剤処置なしn=201(死亡=39)、薬剤処置ありn=161(死亡=16)。
【0149】
【図21】図21:マーカー組合せ:CT−プロAVPおよびMR−プロANP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=646)、薬剤処置なしn=511(死亡=43)、薬剤処置ありn=135(死亡=10);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=239;中央値CT−プロAVP濃度10.75 nmol/L;中央値MR−プロANP濃度117 pmol/L)、薬剤処置なしn=223(死亡=3)、薬剤処置ありn=16(死亡=1);C:それぞれの中央値を上回るCT−プロAVPまたはMR−プロANPに関する第2〜第4 五分位数(n=210)、薬剤処置なしn=161(死亡=6)、薬剤処置ありn=49(死亡=2);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=197)、薬剤処置なしn=127(死亡=34)、薬剤処置ありn=70(死亡=7)。
【0150】
【図22】図22:マーカーMR−プロADMおよび医薬剤利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1160)、薬剤処置なしn=869(MACE=116)、薬剤処置ありn=291(MACE=67);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.04〜0.47 nmol/L;n=229)、薬剤処置なしn=209(MACE=16)、薬剤処置ありn=20(MACE=6);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜1.18 nmol/L;n=700)、薬剤処置なしn=542(MACE=51)、薬剤処置ありn=158(MACE=28);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.18〜6.75 nmol/L;n=231)、薬剤処置なしn=118(MACE=49)、薬剤処置ありn=113(MACE=33)。
【0151】
【図23】図23:マーカーMR−プロANPおよび医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1160)、薬剤処置なしn=1015(MACE=162)、薬剤処置ありn=145(MACE=21);B:第1MR−プロANP 五分位数(14.5〜59.6 pmol/L;n=230)、薬剤処置なしn=215(MACE=5)、薬剤処置ありn=15(MACE=1);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(59.6〜283 pmol/L;n=698)、薬剤処置なしn=600(MACE=72)、薬剤処置ありn=98(MACE=14);D:第5MR−プロANP 五分位数(283〜1650 pmol/L;n=232)、薬剤処置なしn=200(MACE=85)、薬剤処置ありn=32(MACE=6)。
【0152】
【図24】図24:マーカーCT−プロAVPおよび医薬剤ACE阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1463)、薬剤処置なしn=399(MACE=74)、薬剤処置ありn=1064(MACE=128);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.3〜3.6 pmol/L;n=293)、薬剤処置なしn=75(MACE=3)、薬剤処置ありn=218(MACE=20);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(3.6〜18.7 pmol/L;n=880)、薬剤処置なしn=226(MACE=25)、薬剤処置ありn=654(MACE=66);D:第5CT−プロAVP 五分位数(18.7〜441 pmol/L;n=290)、薬剤処置なしn=98(MACE=46)、薬剤処置ありn=192(MACE=42)。
【0153】
【図25】図25:マーカーCT−プロET−1および医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1459)、薬剤処置なしn=1207(MACE=164)、薬剤処置ありn=252(MACE=38);B:第1CT−プロET−1 五分位数(4.6〜56.6 pmol/L;n=295)、薬剤処置なしn=252(MACE=9)、薬剤処置ありn=43(MACE=8);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(56.6〜118 pmol/L;n=877)、薬剤処置なしn=723(MACE=75)、薬剤処置ありn=154(MACE=16);D:第5CT−プロET−1 五分位数(118〜671 pmol/L;n=287)、薬剤処置なしn=232(MACE=80)、薬剤処置ありn=55(MACE=14)。
【0154】
【図26】図26:マーカーNT−プロBNPおよび医薬剤β遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1174)、薬剤処置なしn=234(MACE=64)、薬剤処置ありn=940(MACE=128);B:第1NT−プロBNP 五分位数(0.3〜204 pg/mL;n=224)、薬剤処置なしn=31(MACE=1)、薬剤処置ありn=193(MACE=14);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(204〜3160 pg/mL;n=712)、薬剤処置なしn=123(MACE=25)、薬剤処置ありn=589(MACE=71);D:第5NT−プロBNP 五分位数(3160〜11800 pg/mL;n=238)、薬剤処置なしn=80(MACE=38)、薬剤処置ありn=158(MACE=43)。
【0155】
【図27】図27:マーカーMR−プロADM、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=647)、薬剤処置なしn=511(MACE=80)、薬剤処置ありn=136(MACE=37);B:第1MR−プロADM 五分位数(0.035〜0.47 nmol/L;n=113)、薬剤処置なしn=104(MACE=8)、薬剤処置ありn=9(MACE=3);C:第2〜第4MR−プロADM 五分位数(0.47〜1.18 nmol/L;n=406)、薬剤処置なしn=333(MACE=37)、薬剤処置ありn=73(MACE=14);D:第5MR−プロADM 五分位数(1.18〜6.75 nmol/L;n=128)、薬剤処置なしn=74(MACE=35)、薬剤処置ありn=54(MACE=20)。
【0156】
【図28】図28:マーカーMR−プロANP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=788)、薬剤処置なしn=592(MACE=76)、薬剤処置ありn=196(MACE=47);B:第1MR−プロANP 五分位数(4.9〜65 pmol/L;n=172)、薬剤処置なしn=154(MACE=3)、薬剤処置ありn=18(MACE=2);C:第2〜第4MR−プロANP 五分位数(65〜264 pmol/L;n=455)、薬剤処置なしn=357(MACE=41)、薬剤処置ありn=98(MACE=20);D:第5MR−プロANP 五分位数(264〜1630 pmol/L;n=161)、薬剤処置なしn=81(MACE=32)、薬剤処置ありn=80(MACE=25)。
【0157】
【図29】図29:マーカーCT−プロAVP、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および血栓溶解薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=788)、薬剤処置なしn=559(MACE=72)、薬剤処置ありn=229(MACE=30);B:第1CT−プロAVP 五分位数(0.3〜3.6 pmol/L;n=178)、薬剤処置なしn=127(MACE=4)、薬剤処置ありn=51(MACE=6);C:第2〜第4CT−プロAVP 五分位数(3.6〜18.7 pmol/L;n=475)、薬剤処置なしn=328(MACE=33)、薬剤処置ありn=147(MACE=17);D:第5CT−プロAVP 五分位数(18.7〜441 pmol/L;n=135)、薬剤処置なしn=104(MACE=35)、薬剤処置ありn=31(MACE=7)。
【0158】
【図30】図30:マーカーCT−プロET−1、ならびに医薬剤組合せ:硝酸塩および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=339)、薬剤処置なしn=238(MACE=35)、薬剤処置ありn=56(MACE=12);B:第1CT−プロET−1 五分位数(3.7〜65.4 pmol/L;n=80)、薬剤処置なしn=75(MACE=3)、薬剤処置ありn=5(MACE=1);C:第2〜第4CT−プロET−1 五分位数(65.4〜136 pmol/L;n=200)、薬剤処置なしn=170(MACE=14)、薬剤処置ありn=30(MACE=4);D:第5CT−プロET−1 五分位数(136〜468 pmol/L;n=59)、薬剤処置なしn=38(MACE=18)、薬剤処置ありn=21(MACE=7)。
【0159】
【図31】図31:マーカーNT−プロBNP、ならびに医薬剤組合せ:β遮断薬および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=371)、薬剤処置なしn=154(MACE=41)、薬剤処置ありn=271(MACE=49);B:第1NT−プロBNP 五分位数(0.3〜204 pg/mL;n=50)、薬剤処置なしn=28(MACE=1)、薬剤処置ありn=22(MACE=2);C:第2〜第4NT−プロBNP 五分位数(204〜3160 pg/mL;n=202)、薬剤処置なしn=81(MACE=15)、薬剤処置ありn=121(MACE=26);D:第5NT−プロBNP 五分位数(3160〜11800 pg/mL;n=119)、薬剤処置なしn=45(MACE=25)、薬剤処置ありn=74(MACE=21)。
【0160】
【図32】図32:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびMR−プロANP、ならびに医薬剤カルシウムチャンネル遮断薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1161)、薬剤処置なしn=1015(MACE=162)、薬剤処置ありn=146(MACE=22);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=429;中央値MR−プロADM濃度0.72 nmol/L;中央値MR−プロANP濃度117 pmol/L)、薬剤処置なしn=383(MACE=19)、薬剤処置ありn=46(MACE=5);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはMR−プロANPに関する第2〜第4 五分位数(n=303)、薬剤処置なしn=271(MACE=36)、薬剤処置ありn=32(MACE=4);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=429)、薬剤処置なしn=361(MACE=107)、薬剤処置ありn=68(MACE=13)。
【0161】
【図33】図33:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびCT−プロAVP、ならびに医薬剤ACE阻害薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=1163)、薬剤処置なしn=209(MACE=60)、薬剤処置ありn=954(MACE=124);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=362;中央値MR−プロADM濃度0.72 nmol/L;中央値CT−プロAVP濃度10 75 pmol/L)、薬剤処置なしn=57(MACE=2)、薬剤処置ありn=305(MACE=18);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはCT−プロAVPに関する第2〜第4 五分位数(n=439)、薬剤処置なしn=66(MACE=16)、薬剤処置ありn=373(MACE=46);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=362)、薬剤処置なしn=86(MACE=42)、薬剤処置ありn=276(MACE=60)。
【0162】
【図34】図34:マーカー組合せ:MR−プロADMおよびMR−プロANP、ならびに医薬剤組合せ:β遮断薬および利尿薬;実線は薬剤処置なしを意味し、破線は薬剤処置を意味する;A:全体集団(n=365)、薬剤処置なしn=151(MACE=40)、薬剤処置ありn=214(MACE=48);B:中央値より低い両バイオマーカーに関する第1 五分位数(n=75;中央値MR−プロADM濃度0.72 nmol/L;中央値MR−プロANP濃度117 pmol/L)、薬剤処置なしn=45(MACE=1)、薬剤処置ありn=30(MACE=4);C:それぞれの中央値を上回るMR−プロADMまたはMR−プロANPに関する第2〜第4 五分位数(n=89)、薬剤処置なしn=36(MACE=9)、薬剤処置ありn=53(MACE=13);D:それぞれの中央値を上回る両バイオマーカーに関する第5 五分位数(n=201)、薬剤処置なしn=70(MACE=30)、薬剤処置ありn=131(MACE=31)。
【実施例】
【0163】
実施例1:バイオマーカーの測定
B.R.A.H.M.S KRYPTOR (B.R.A.H.M.S AG, Henningsdorf/Berlin, Germany)で新規の全自動サンドイッチイムノアッセイ系を用いて、MR−プロANPおよびMR−プロADMを検出した(Caruhel et al. 2009, Clin Biochem 42: 725-8)。このランダムアクセス分析器は、2つの蛍光体、ユーロピウム・クリプテートおよびXL665間の非放射電熱に基づいて、高感度時間分解増幅クリプテート発光(TRACE)技法を用いる。両自動検定は、本来、サンドイッチ化学発光検定を基礎にしており、これは、他で詳細に記載されており(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6;Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、他の研究においても用いられた(Khan et al. 2008. J Am Coll Cardiol 51: 1857-64;Khan et al. 2007. J Am Coll Cardiol 49: 1525-32;van Haehling et al. 2009. J Am Coll Cardiol. 印刷中;Gegenhuber et al. 2006. Clin Chem 52: 827-31)。
【0164】
MR−プロANP検出に関しては、患者の血清14 μlを14分間インキュベートした。測定範囲は0〜10000 pmol/L、検出限界 2.1 pmol/Lおよび定量限界 4.5 pmol/Lであった。検定内CVは1.2%、実験室間CVは5.4%であった。この検定は、参照検定と同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0165】
MR−プロADM検出に関しては、血清26 μlを29分間インキュベートした。測定範囲は0〜100 nmol/Lであり、検出限界および定量限界はそれぞれ0.05および0.23 nmol/Lであった。検定内CVは1.9%、実験室間CVは9.8%であった。この検定は、他で詳細に記載されたものと同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0166】
CT−プロAVP(コペプチン)レベルを、1.7 pmol/Lという低い検出限界で、化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した(Morgenthaler et al. 2006. Clin Chem 52: 112-9)。健常個体359名(男性153名、女性206名)において、中央値CT−プロAVPレベルは4.2 pmol/Lで、1.0〜13.8 pmol/Lの範囲であった。試料>2.25 pmol/Lに関しては、実験室間CVは<20%、検定内CVは<10%であった。
【0167】
CT−プロET−1レベルを、0.4 pmol/Lという低い検出限界で、化学発光サンドイッチイムノアッセイで測定した(Papassotiriou et al. 2006. Clin Chem 52: 1144-51)。健常個体326名(男性150名、女性176名)において、CT−プロET−1値はガウス分布に従って、平均(SD)44.3(10.6) pmol/Lで、10.5〜77.4 pmol/Lの範囲であった。検定内不正確さ(CV)は<5%、実験室間CVは<10%であった。
【0168】
BNPを、Beckman Coulter計器計測(Brea, CA)用にフォーマットされたTriage二部位イムノアッセイ試薬(Biosite, San Diego, CA)で測定した。実験室における性能は、定量限界5.0 ng/Lで、1.5%の実行不正確さ(CV)および3.0%の全体的不正確さ(CV)を包含した。
【0169】
NTプロBNPを、EleeSys 2010分析器(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)で電気化学発光により測定した。実験室における性能は、定量限界10.0 ng/Lで、1.5%の実行不正確さ(CV)および3.0%の全体的不正確さ(CV)を包含した。
【0170】
実施例2:臨床試験
本発明は、以下の臨床試験からの患者および試料に基づいている:
I)卒中後患者(COSMOS試験)
試験設定、含入/除外判定基準
バーゼル大学病院の救急および神経学および神経外科クリニックで、試験を設定した。少なくとも3日以内の発病で、世界保健機構判定基準による虚血性または出血性卒中あるいは一過性虚血性発作(TIA)で救急病棟に入院している全ての連続患者が、試験に含まれた。インフォームド・コンセントのない患者は、除外された。
【0171】
ベースラインデータ収集
この試験に含まれない全適格患者のデータにアクセスすることは、選択バイアスを回避するために重要である。したがって、試験に含まれるか否かにかかわらず、全ての適格患者におけるベースラインデータ、ならびに含入および除外判定基準に関する情報を収集する。これにより、参加に同意した適格患者のベースラインデータと同意しなかった者のデータとの比較が可能になる。患者のベースラインデータ収集は、研究者が収集し、以下のものを含入する:
a)年齢
b)性別
c)BMI
d)病歴項目:入院に先立つ実病歴;一過性虚血性発作を有する患者におけるABCDスコア(Rothwell et al. 2005. A simple score (ABCD) to identify individuals at high early risk of stroke after transient ischaemic attack. Lancet 366: 29-36);家族歴;チャールソン指数によっても査定される関連同時罹患率(Goldstein et al. 2004. Charlson Index comorbidity adjustment for ischemic stroke outcome studies. Stroke 35: 1941-5)(すなわち、高血圧症、既往卒中、既往TIA、虚血性心疾患、心房細動、真性糖尿病、腎臓および肝臓の機能不全、うっ血性心不全、異脂肪血症、);低ナトリウム血症の危険との同時罹患(重症甲状腺機能低下、糖質コルチコイド欠乏、新生物、HIV感染);喫煙歴(箱数−年数)および状態(箱/日);最新薬剤処置;アルコール消費(グラスおよびグラム/日);発症から入院までの時間。
【0172】
e)居住場所:すなわち、自立的生活:家族的団体および/または職業的介護の支持がある場合またはない場合、家庭でまたは高齢者家庭で生活していると定義される(家族的団体は、配偶者および/または患者と一緒に生活しているその他の重要な人々からなる)、非自立的生活:病院以外の看護ホーム長期滞在病棟と定義される。
【0173】
f)臨床項目:身体検査、例えば神経学的状態、NIHSS(卒中の重症度を査定するため)およびグラスゴー昏睡尺度(GCS;Adams et al. 1999. Baseline NIH Stroke Scale score strongly predicts outcome after stroke: A report of the Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment (TOAST). Neurology 53: 126-31)、血圧、脈拍、体重、容積状態(例えば、皮膚の張り、頸静脈拡張、聴診、利用可能な場合には、流体取込みおよび損失の流れ図)、体温;神経外科患者においては、慣例的臨床管理内での脳内圧(実施される場合)。
【0174】
g)低ナトリウム血症の臨床症候は、神経学的患者におけるナトリウム不均衡の入院時に且つ症例において評価される。脳内外科手術を受けている患者において、臨床症候を毎日評価する。具体的には、頭痛、食欲不振、悪心、嘔吐、筋肉痙攣および疼痛、発作、錯乱、鈍麻または嗜眠発症の存在をモニタリングする。
【0175】
h)慣例的/標準的実験室試験:慣例的血液採取、例えば:ヘマトクリット、血中尿素窒素、重炭酸塩、総タンパク質、アルブミン、尿酸血清および尿電解質、尿および血清浸透圧、クレアチニン、脂質、TSH、fT4、T3および基礎コルチゾール。全血液試料採取は、任意の食物摂取または(実行可能な場合)喫煙の前に実行される。代替的には、影響を及ぼす因子がモニタリングされる。
【0176】
i)画像処理:神経頭蓋のコンピューター断層撮影またはMRI(T1、T2、拡散強調像シーケンス。コントラストありまたはなし)、支持された場合は、磁気共鳴血管造影法または慣用的脳血管造影法。造影剤適用の時点を記録する。
【0177】
卒中患者は、以下のような虚血性病変の血管領域に基づいても分類される:全体的前方循環症候群(TACS)、部分的前方循環症候群(PACS)、小窩性循環症候群(LACS)、後方循環症候群(POCS)。
【0178】
j)さらなる研究:卒中患者は、神経超音波検査、心エコー検査、標準12誘導心電図検査および24時間心電図検査を有し、次に、短期処置(TOAST)卒中亜型分類において、Org10172の試みに従って卒中の病因により分類され、これは、大型動脈アテローム硬化症、心塞栓、小動脈閉塞、他の病因、ならびに徐々に害する病因間で異なる。
【0179】
インフォームド・コンセント陳述
本試験は、バーゼル倫理委員会(Ethikkommission beider Basel)により認可される。これは試験的および観察的試験であり;唯一の試験関連介入は、慣例的に実施される血液標本採取中に得られる血漿7.5 mlについての断言である、ということに留意することは重要である。したがって、患者は、科学的目的のための彼等のデータの使用に同意するというインフォームド・コンセント書を提供するよう求められる。急性CNS病変(含入のための前提条件)の後遺症のために「インフォームド・コンセント」が実行可能でない患者では、患者に最も近い親族が同意書に署名して、患者の推定意志を記述し得る。近親者が容易に応じられない場合には、治療医(試験に関与してはならない)は、彼の見地から試験に含入することに関して異論はない、ということを証言しなければならない。これらのインフォームド・コンセント手順後にのみ、患者は試験に含入され得る。
【0180】
試験の間中の参加者の管理
ステップ1. 救急病棟または神経学的病棟における適格患者は全て、試験に含まれる。
ステップ2. ベースラインデータを収集する。
ステップ3. 入院中、カルテ審査により、臨床項目、例えば、体重、血圧、脈拍、容積状態および体温を退院まで査定する。
− 流体処置および薬剤
− 低ナトリウム血症の潜在的症候、すなわち、頭痛、悪心、嘔吐、筋肉痙攣および疼痛、食欲不振、意識障害、発作
− 慣例的に実施される実験室試験(ヘモグラム、血漿グルコース、血清モル浸透圧濃度、尿モル浸透圧濃度、尿中ナトリウム、ヘマトクリット)は、血液標本採取が病棟で慣例的に行なわれる時点で試料採取される。
ステップ4. 全患者において、入院5日目に、NIHSS、バーセル指数および等級尺度による臨床検査が実施される(Collin et al. 1988. The Barthel ADL Index: a reliability study. International Disability Study 10: 61-3;Bonita and Beaglehole. 1988. Modification of Ranking Scale: Recovery of motor function after stroke. Stroke 19: 1497-1500)。
将来的居住場所(すなわち、非自立対自立生活)が査定される。
ステップ5. 虚血性発作患者では、罹患率および死亡率に関する電話での追跡調査(バーセル指数および等級尺度により査定)が、3ヵ月後に得られる。好ましくない結果は、バーセル指数<85または変法等級尺度3〜6と定義される。
【0181】
II)心筋梗塞(MI)後患者(レスター急性心筋梗塞ペプチド試験(「LAMP」))
試験集団:
試験は、レスター王立診療所の冠動脈疾患集中治療室に入院した急性心筋梗塞(AMI)患者連続983名を包含した。正常の2倍より高い血漿クレアチニンキナーゼMB上昇または>0.1の心臓トロポニンIレベルを、以下のうちの少なくとも1つとともに患者が示した場合に、急性心筋梗塞を診断した:20分以上継続する胸痛、または新規の病理学的Q波またはSTセグメントおよびT波変化からなる診断的連続心電図変化。急性心筋梗塞は、STセグメント上昇型心筋梗塞(STEMI)または非STセグメント心筋梗塞(NSTEMI)に細分類された。
【0182】
試験は、ヘルシンキ宣言に応じており、地域倫理委員会により認可された。全患者から、インフォームド・コンセント書を得た。
【0183】
除外判定基準は、前月における既知の悪性腫瘍または外科手術であった。HF患者において近年認可されたMDRD(腎疾患における食事療法の変法)試験から得られる簡易式から、概算糸球体濾過率(eGFR)を算定した(Smilde et al. 2006 Drawbacks and prognostic value of formulas estimating renal function in patients with chronic heart failure and systolic dysfunction. Ciculation 114. 1572-80)。
【0184】
血漿試料:
胸痛開始後、3〜5日に1回、血液試料を採取した。15分間安静にした後、20 mlの血液を、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびアプロチニンを含有する試験管中に収集した。単一バッチで盲検方式で検定するまで、全血漿試料を−70℃で保存した。元の983名患者コホートからの132名患者亜群において、入院から退院まで5日間、毎日、血液試料採取を実施した。
【0185】
心エコー法:
Sonos5500機器(Philips Medical Systems, Reigate, UK)を用いて、患者で経胸壁心エコー法を実施した。ディスク式複葉法を用いて、左心室駆出率を算定した(Schiller et al. 1989. Recommendations for quantitation of the left ventricule by two-dimensional echocardiography. American Society of Echocardiography committee on standards, subcommittee on quantitation of two-dimensional echocardiograms. J Am Soc Echocardiogr 2: 358-67)。
【0186】
III)うっ血性心不全(CHF)に罹患している患者および慢性閉塞性肺疾患(COPD)(うっ血性心不全試験の査定におけるバイオマーカー(「BACH」))に罹患している患者
【0187】
試験集団
本試験は、それぞれの登録機関の治験審査委員会(IRB)により認可された。15のセンターからの合計1,641名の患者が2007年3月から2008年2月までに登録された。これらのセンターには、米国からの8つ、欧州からの6つ、ならびにニュージーランドからの1つが含まれた。試験に適格であるためには、患者は、救急病棟に運ばれた時に主な愁訴として息切れを報告しなければならなかった。18歳未満または同意を提示できない患者は、試験から除外した。急性心筋梗塞歴があると確定された患者も、除外した。
【0188】
試験に登録された各患者に関して、ANP、ADMおよび他の検査マーカーの結果を知らされていない医者が、救急病棟に割り当てて、2つの別々のリッカート尺度アンケートにより、患者が急性心不全または肺炎を有する確率を査定した。医者は、0〜100%の臨床的確実性の値を割り当てた。
【0189】
診断の確証
実際の診断を確定するために、2名の心臓学者が患者に関する全ての医学的記録を再検討し、独立して、うっ血性心不全、肺炎のための、あるいは他の根底にある疾患のための呼吸困難として診断を分類した。両方の心臓学者は、互いに、検査マーカー、ならびに救急医の予備診断を知らされていなかった。彼等は、入院した患者に関する胸部X線撮影データ、放射性核種血管造影、心エコー、病歴、カテーテル処置データおよび入院経過を含む救急病棟症例報告を利用した。心臓学的再検討者の間の診断的不一致の事象では、彼等は、共通の結論に達するよう求められた。彼等が共通の結論を得られない場合、第三群の心臓学裁定者がエンドポイント委員会により割り当てられ、データを再検討し、診断が最も正確なものであるか否かを確定するよう求められた。
【0190】
肺炎という結論に達するために、Fine et al. 1990およびLeroy et al. 1995から改訂された肺炎判定基準が満たされなければならない。さらに、肺炎の診断は全て、その症例に割り当てられるエンドポイント委員会呼吸器科医により立証されなければならない。
【0191】
2つのエンドポイントのために用いられるマーカーの測定
メリーランド大学メディカルセンターの割当コア実験室で、マーカーを測定した。B.R.A.H.M.S KRYPTOR (B.R.A.H.M.S AG, Henningsdorf/Berlin, Germany)で新規の全自動サンドイッチイムノアッセイ系を用いて、MR−プロANPおよびMR−プロADMを検出した(Caruhel et al. 2009, Clin Biochem 42: 725-8)。このランダムアクセス分析器は、2つの蛍光体、ユーロピウム・クリプテートおよびXL665間の非放射電熱に基づいて、高感度時間分解増幅クリプテート発光(TRACE)技法を用いる。両自動検定は、本来、サンドイッチ化学発光検定を基礎にしており、これは、他で詳細に記載されており(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6;Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、他の研究においても用いられた(Khan et al. 2008. J Am Coll Cardiol 51: 1857-64;Khan et al. 2007. J Am Coll Cardiol 49: 1525-32;van Haehling et al. 2009. J Am Coll Cardiol. 印刷中;Gegenhuber et al. 2006. Clin Chem 52: 827-31)。
【0192】
MR−プロANP検出に関しては、患者の血清14 μlを14分間インキュベートした。測定範囲は0〜10000 pmol/L、検出限界 2.1 pmol/Lおよび定量限界 4.5 pmol/Lであった。検定内CVは1.2%、実験室間CVは5.4%であった。この検定は、参照検定と同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2004. Clin Chem 50: 234-6)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0193】
MR−プロADM検出に関しては、血清26 μlを29分間インキュベートした。測定範囲は0〜100 nmol/Lであり、検出限界および定量限界はそれぞれ0.05および0.23 nmol/Lであった。検定内CVは1.9%、実験室間CVは9.8%であった。この検定は、他で詳細に記載されたものと同一抗体対を用い(Morgenthaler et al. 2005. Clin Chem 51: 1823-9)、2つの検定系間の相関はr=0.99であった。
【0194】
全ての試験に関するデータの分析:
生存率、すなわち、試験に登録後の所定時間に生存している患者の割合を、特定の血管作動性ホルモンと特定医薬剤の異なる組合せに関して、経時的に添付の図面にプロットする。彼等のそれぞれのホルモンレベルに従って、患者は五分位数に層化された。特定の医薬剤を摂取した患者に関するデータを、医薬剤を摂取しなかった患者とは別個にプロットする。いくつかの症例に関して、適切である2つ以上の五分位数がプールされた。特定の血管作動性ホルモンと特定医薬剤との種々の組合せに関して、ハザード比(HR)を算定した。HRは、特定五分位数に関しても算定され、および/または五分位数をプールされ、各組合せに関して全体的HRと比較された。
【0195】
表1は、BACH試験からの患者(息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および/または肺塞栓症に罹患している患者)に関する結果の一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、例えばカルシウムチャンネル遮断薬、利尿薬およびスタチンの投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。これに対比して、高レベルの血管作動性ホルモンでは、例えば、抗生物質の投与は好ましくない作用を有し、一方、低レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0196】
表2は、COSMOS試験からの患者(虚血性または出血性卒中、あるいはTIAに罹患している患者)に関する結果の一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、スタチン、抗凝血薬およびプラビックスの投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。これに対比して、高レベルの血管作動性ホルモンでは、アセチルサリチル酸、血栓溶解薬、利尿薬およびステロイドの投与は好ましくない作用を有し、一方、低レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0197】
表3は、LAMP試験からの患者(心筋梗塞に罹患している患者)に関する結果を、好ましくない作用(結果)としての死と比較した一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、医薬剤(ホルモンがプロANPである場合は、血栓溶解薬以外)の投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0198】
表4は、LAMP試験からの患者(心筋梗塞に罹患したことがある患者)に関する結果を、好ましくない作用(結果)としてのMACEと比較した一覧である。低レベルの血管作動性ホルモンでは、医薬剤(ホルモンがプロANPである場合は、血栓溶解薬以外)の投与は好ましくない作用を有し、一方、高レベルでは、これらの薬剤の投与は陽性作用を有する。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼし、以下の:
(i)前記被験者から体液試料を採取するステップ;
(ii)前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
(iii)以下のカテゴリー:
− 前記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
− 前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない前記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
− 前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに前記被験者を層化するステップ
を含む方法。
【請求項2】
急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼし、以下の:
− 前記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
− 以下のカテゴリー:
(iii)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない前記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者または非応答者;
(iv)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに前記被験者を層化するステップ
を含む方法。
【請求項3】
急性または慢性疾患を有する被験者の層化方法であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼし、以下の:
− 前記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
− 試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片の濃度が、特定の医薬剤を摂取後に好ましくない作用を経験している被験者の危険度に起因すると考えるステップ
を含む方法。
【請求項4】
特定の医薬剤を摂取後に好ましくない作用を回避するための請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記血管作動性ホルモンが、アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、レラキシン、エンドキニンAまたはその断片あるいは前駆体また断片(少なくとも12アミノ酸残基長を有する)からなる群から選択されるペプチドホルモンであるか、もしくはブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択されるホルモンであるか、もしくはセロトニン、プロスタグランジンおよびトロンボキサンからなる群から選択されるホルモンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
血管作動性ホルモン アドレノメデュリンの前駆体断片が中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
血管作動性ホルモン ANPの前駆体断片が中央領域プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(MR−proANP)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
血管作動性ホルモン エンドセリン−1の前駆体断片がC末端プロエンドセリン−1(CT−proET−1)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
血管作動性ホルモン Arg−バソプレッシンの前駆体断片がC末端プロAVP(コペプチン)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記疾患が、慢性心不全、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症、肺動脈性高血圧症(PAH)、卒中後症状、心筋梗塞後症状、II型糖尿病、癌、アテローム硬化症、感染症、炎症性疾患および術後症状からなる群から選択される、請求項1〜9記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬剤が、抗凝血薬、血栓溶解薬、血小板凝集阻害薬、β遮断薬、酸化防止剤、脂質低下物質、利尿薬、ACE阻害薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体アンタゴニスト、5型ホスホジエステラーゼ阻害薬、プロスタサイクリン誘導体、可溶性グアニレートシクラーゼ活性化因子、ホルモン治療薬、NO置換剤、アデノシン受容体遮断薬、心臓グリコシド、アンギオテンシン−IIアンタゴニスト、抗糖尿病薬、抗不整脈薬および抗生物質からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記医薬剤が、ACE阻害薬、利尿薬およびβ遮断薬からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記好ましくない作用が、死または主要有害心臓事象(MACE)である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記体液が、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、喀痰および胸水の群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
以下のカテゴリー:
− 疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための、被験者の体液から得られる試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の濃度を測定するための検体の使用であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす、使用。
【請求項16】
以下のカテゴリー:
− 疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための方法における、アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、エンドキニンA、エンドキニンA/B、エンドキニンC、ブラジキニン、レラキシン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスPおよびニューロキニンA(サブスタンスK)、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンの群から選択される、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片に特異的な抗体またはその機能性断片の使用であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす使用。
【請求項1】
急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼし、以下の:
(i)前記被験者から体液試料を採取するステップ;
(ii)前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
(iii)以下のカテゴリー:
− 前記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
− 前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない前記疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
− 前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに前記被験者を層化するステップ
を含む方法。
【請求項2】
急性または慢性疾患を有する被験者の層化のための方法であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼし、以下の:
− 前記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
− 以下のカテゴリー:
(iii)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない前記疾患の治療のための医薬剤に対する応答者または非応答者;
(iv)前記医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちの1つに前記被験者を層化するステップ
を含む方法。
【請求項3】
急性または慢性疾患を有する被験者の層化方法であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼし、以下の:
− 前記被験者から体液の試料を採取するステップ;
− 前記体液試料中における、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基の長さを有するその断片の濃度を測定するステップ;
− 試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体またはその断片の濃度が、特定の医薬剤を摂取後に好ましくない作用を経験している被験者の危険度に起因すると考えるステップ
を含む方法。
【請求項4】
特定の医薬剤を摂取後に好ましくない作用を回避するための請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記血管作動性ホルモンが、アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)およびカルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、レラキシン、エンドキニンAまたはその断片あるいは前駆体また断片(少なくとも12アミノ酸残基長を有する)からなる群から選択されるペプチドホルモンであるか、もしくはブラジキニン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスP、ニューロキニンA(サブスタンスK)、エンドキニンA/B、エンドキニンC、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片からなる群から選択されるホルモンであるか、もしくはセロトニン、プロスタグランジンおよびトロンボキサンからなる群から選択されるホルモンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
血管作動性ホルモン アドレノメデュリンの前駆体断片が中央領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
血管作動性ホルモン ANPの前駆体断片が中央領域プロ心房性ナトリウム利尿ペプチド(MR−proANP)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
血管作動性ホルモン エンドセリン−1の前駆体断片がC末端プロエンドセリン−1(CT−proET−1)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
血管作動性ホルモン Arg−バソプレッシンの前駆体断片がC末端プロAVP(コペプチン)または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記疾患が、慢性心不全、息切れ(SOB)、急性冠動脈症候群、急性心不全(AHF)、不整脈、喘息増悪、気管支炎、胸痛、インフルエンザ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎および肺塞栓症、肺動脈性高血圧症(PAH)、卒中後症状、心筋梗塞後症状、II型糖尿病、癌、アテローム硬化症、感染症、炎症性疾患および術後症状からなる群から選択される、請求項1〜9記載のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬剤が、抗凝血薬、血栓溶解薬、血小板凝集阻害薬、β遮断薬、酸化防止剤、脂質低下物質、利尿薬、ACE阻害薬、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリン受容体アンタゴニスト、5型ホスホジエステラーゼ阻害薬、プロスタサイクリン誘導体、可溶性グアニレートシクラーゼ活性化因子、ホルモン治療薬、NO置換剤、アデノシン受容体遮断薬、心臓グリコシド、アンギオテンシン−IIアンタゴニスト、抗糖尿病薬、抗不整脈薬および抗生物質からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記医薬剤が、ACE阻害薬、利尿薬およびβ遮断薬からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記好ましくない作用が、死または主要有害心臓事象(MACE)である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記体液が、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、喀痰および胸水の群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
以下のカテゴリー:
− 疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための、被験者の体液から得られる試料中の血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片の濃度を測定するための検体の使用であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす、使用。
【請求項16】
以下のカテゴリー:
− 疾患の治療のための医薬剤に対する応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示さない疾患の治療のための医薬剤に対する非応答者;
− 医薬剤を摂取した後に好ましくない作用を示す被験者
のうちのいずれかに、急性または慢性疾患を有する被験者を層化するための方法における、アドレノメデュリン(ADM)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、アルギニン−バソプレッシン(AVP)、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド(DNP)、ウロジラチン、アンギオテンシンII、ウロコルチン、ウロコルチン−2(ストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチン−3(ストレスコピン)、ウロテンシン−II、ウロテンシンII関連タンパク質(URP)、神経ペプチドY(NPY)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドI(CGRP I)、カルシトニン遺伝子関連ペプチドII(CGRP II)、エンドキニンA、エンドキニンA/B、エンドキニンC、ブラジキニン、レラキシン、アペリン、ニューロテンシン、サブスタンスPおよびニューロキニンA(サブスタンスK)、メチオニン−エンケファリン、ロイシン−エンケファリンの群から選択される、血管作動性ホルモンまたはその断片あるいは前駆体または少なくとも12アミノ酸残基長を有するその断片に特異的な抗体またはその機能性断片の使用であって、前記疾患が内皮性機能/機能不全に影響を及ぼす使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2012−526271(P2012−526271A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509026(P2012−509026)
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056081
【国際公開番号】WO2010/128071
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(508093584)ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056081
【国際公開番号】WO2010/128071
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(508093584)ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (27)
【Fターム(参考)】
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