説明

内視鏡用オーバーチューブ

【課題】強度を低下させることなく、有効長の異なる内視鏡に対して使用することができるオーバーチューブを提供する。
【解決手段】先端開口と基端開口とを備え、長手軸方向に延び、基端開口から内視鏡が挿入される内視鏡用管路6を有する可撓性のオーバーチューブ本体2と、オーバーチューブ本体の先端側に設けられたバルーン3と、一端がバルーンと連通し、他端がバルーンに空気を送る送気ポンプ8と連通する送気チューブ4と外面に溝部が形成され、この溝部に送気チューブが着脱可能に装着され、溝部と内視鏡用管路との間には、オーバーチューブ本体の基端開口側から長手軸方向へと延設された破断部14が形成され破断部が破断することによって、内視鏡用管路がオーバーチューブ本体の外面と連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡先端の挿入部を体腔内に挿入する際にその挿入を補助する内視鏡用オーバーチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、外科手術等において経口的あるいは経肛門的に体腔内に挿入される内視鏡の挿入補助具である内視鏡用オーバーチューブ(以下、オーバーチューブと称する)が知られている。
【0003】
オーバーチューブは、例えば、先端と基端とが開口している中空状の内視鏡用管路を備えたディスポーザルスライディングチューブであり、その先端側には、送気用管路を通じて送られる空気等の気体により伸縮するシングルバルーンが設けられている。
【0004】
使用の際には、まず、内視鏡先端の挿入部(内視鏡挿入部)をオーバーチューブの基端開口から挿入して、内視鏡挿入部をオーバーチューブの先端開口から突出させる。その後、オーバーチューブ及び内視鏡挿入部の先端を一体的に体腔内に挿入して、その先端を観察や処置等がなされる部位まで到達させる。そして、バルーンを膨らませてオーバーチューブを体腔内に固定して、内視鏡による診断や治療等を行う。
【0005】
例えば、胃切除患者等の胆膵疾患に関して、内視鏡挿入部を経口的に挿入して処置等を行う場合、まず、小腸内視鏡とこのようなオーバーチューブを使用して、これらを一体的に十二指腸まで挿入する。その後、胆管、膵管に対して処置を行うが、小腸内視鏡の有効長が長すぎる(例えば、有効長2000mm)ため、既販品の処置具を使用することができない。このため、小腸内視鏡をオーバーチューブからいったん抜き去り、小腸内視鏡よりも有効長の短い上部消化管汎用内視鏡(例えば、有効長1030mm)に入れ替える。
【0006】
このとき、オーバーチューブの有効長は、例えば1320mmである。つまり、オーバーチューブの有効長は、上部消化管汎用内視鏡の有効長よりも長い。このため、上部消化管汎用内視鏡をオーバーチューブの基端開口から内視鏡用管路内に挿入しても、上部消化管汎用内視鏡の先端がオーバーチューブの先端開口から突出しない。
【0007】
オーバーチューブの長さによらず、1つのオーバーチューブで最適な内視鏡を選択的に使用可能な一例として、特許文献1には、内視鏡が挿通される中空体に、その基端開口から所定の長さのところまでスリットが設けられたオーバーチューブが開示されている。内視鏡挿入部は、通常、中空体の基端開口から挿入されるが、スリットの適当な位置から挿入することにより、比較的短い内視鏡挿入部であっても中空体の先端開口から確実に突出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−35909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されるように、オーバーチューブにスリットを設けた場合、オーバーチューブ自体の強度が低下してしまい、コシが弱くなってしまう。このような強度の低下は、オーバーチューブ全体の力の伝わりやすさに影響し、オーバーチューブの使い易さの低下につながる。
【0010】
また、スリットが設けられていないオーバーチューブの場合、送気用管路を傷付けないように注意を払いながら、オーバーチューブの途中に内視鏡挿入用のポートを鋏などで開ける作業が必要となる。この作業には細心の注意を払う必要があるので、このようなオーバーチューブは使用者にとって煩わしい。
【0011】
そこで、本発明は、強度を低下させることなく、有効長の異なる内視鏡に対して使用することができる内視鏡用オーバーチューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、先端開口と基端開口とを備え、長手軸方向に延び、前記基端開口から内視鏡が挿入される内視鏡用管路を有する可撓性のオーバーチューブ本体と、前記オーバーチューブ本体の先端側に設けられたバルーンと、一端が前記バルーンと連通し、他端が前記バルーンに空気を送る送気ポンプと連通する送気チューブとを具備し、前記オーバーチューブ本体の外面には、前記長手軸方向に延びた溝部が形成され、前記溝部に前記送気チューブが着脱可能に装着され、前記溝部と前記内視鏡用管路との間に、前記オーバーチューブ本体の基端開口側から前記長手軸方向へと延設された破断部が形成され、前記破断部が破断することによって、前記内視鏡用管路が前記オーバーチューブ本体の外面と連通する内視鏡用オーバーチューブである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、強度を低下させることなく、有効長の異なる内視鏡に対して使用することができる内視鏡用オーバーチューブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態のオーバーチューブを示す長手軸方向の縦断面図である。
【図2】図2は、把持部に保持された送気チューブの接続部分の、図1のA−A線に沿った横断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B線に沿ったオーバーチューブの横断面図である。
【図4】図4は、オーバーチューブから第1の内視鏡を取り出して、第1の内視鏡よりも有効長の短い第2の内視鏡をオーバーチューブ内に挿入する前の破断及び切断を示す図である。
【図5】図5は、第2の内視鏡をオーバーチューブに挿入する前に切断されたオーバーチューブを示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施形態のオーバーチューブの図2のB−B線に沿った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のオーバーチューブ1を示す縦断面図である。オーバーチューブ1は、内視鏡100の挿入部(内視鏡挿入部)の体腔内への挿入を補助するために、内視鏡挿入部と共に体腔内に挿入される内視鏡挿入補助具である。
【0017】
オーバーチューブ1は、長手軸方向に延びた細長い円筒状のオーバーチューブ本体2と、膨張及び収縮可能なバルーン3と、バルーン3を膨張/収縮させるための空気等の気体の連通路となる送気チューブ4と、使用者に把持される手元側の把持部5とを有している。以下の説明では、オーバーチューブ1の内視鏡挿入部が挿入される側を基端側、基端側と対向している側を先端側と称する。基端及び先端、あるいは基端部及び先端部との用語も同様に使用される。
【0018】
オーバーチューブ本体2は、可撓性を有するディスポーザルチューブであり、例えば、生体適合性のシリコーンゴム素材で形成されている。オーバーチューブ本体2の内部には、基端開口と先端開口とを備え、オーバーチューブ本体2の内部を長手軸方向に貫通している内視鏡用管路6が設けられている。内視鏡用管路6は、オーバーチューブ本体2内に挿入される内視鏡100の外径よりもわずかに大きな外径を有している。内視鏡用管路6の内面には、親水潤滑コーティングが施され、挿入される内視鏡挿入部との滑り性が確保されている。
【0019】
オーバーチューブ本体2の外面には、長さの異なる複数の内視鏡を挿入するときの長さ合わせの指標7が形成されている。指標7は、オーバーチューブ本体2に刻まれていてもよいし、プリントされていてもよい。
【0020】
指標7は、例えば、オーバーチューブ1に挿入されるいくつかの種類(長さ、機能等)の内視鏡に対してそれぞれ予め設定されたオーバーチューブ1の長さ又は破断位置を表示するマーク(絵表示)、文字及び記号を含むシンボルであるか、あるいは、オーバーチューブ本体2の基端開口から先端開口へと所定の間隔で、例えば数センチメートル毎に均等な間隔で振られた目盛である。もしくは、指標7は、複数の内視鏡に対するオーバーチューブ本体2の長さを定めることが可能な他の指標であってもよい。
【0021】
バルーン3は、オーバーチューブ本体2の先端側で、オーバーチューブ本体2の外面に配設されている。バルーン3には、送気チューブ4が連通しており、送気ポンプ8から送気チューブ4を介して送気/吸引される空気により、バルーン3が径方向に膨張/収縮可能である。バルーン3及び送気チューブ4もまた、例えば、生体適合性のシリコーンゴム素材で形成されている。
【0022】
把持部5は、使用者の手元側、即ちオーバーチューブ本体2の基端側に配設されている。把持部5は、使用者が把持しやすいように比較的硬質の素材で形成されている。把持部5の内部にもまた、基端開口と先端開口を備え把持部5の内部を貫通している内視鏡用管路が延設されている。
【0023】
オーバーチューブ本体2の内視鏡用管路6及び把持部5の内視鏡用管路は、一直線状に配設されて連通している。使用の際、内視鏡挿入部は、把持部5の基端開口から先端開口、オーバーチューブ本体2の基端開口から先端開口へと挿通されて、オーバーチューブ本体2の先端開口から突出する。
【0024】
把持部5には、送気接続部9と流体接続部10とが突設されている。図1では、送気接続部9には、送気チューブ4の基端が接続されており、送気チューブ4は、送気接続部9に接続されるチューブを介して送気ポンプ8に接続される。また、流体接続部10には、体腔内に注水したり送気したりする不図示の流体供給機構が接続される。
【0025】
図2は、把持部5に保持された送気チューブ4の送気接続部9の図1のA−A線に沿った横断面図である。送気チューブ4の基端側には、環状の第1の取着部材11が設けられており、また、把持部材5の外面には、第1の取着部材11を受ける形状に形成された第2の取着部材12が設けられている。送気チューブ4は、第1の取着部材11を第2の取着部材12に取り付けることによって、把持部5で保持される。このとき、送気チューブ4は、後述する溝部13に嵌め込まれた状態で保持される。
【0026】
図3は、図1のB−B線に沿ったオーバーチューブ本体2の横断面図である。オーバーチューブ本体2は、その外面の一部にオーバーチューブ本体2の長手軸方向全体にわたって延び径方向に窪んだ略U字状の溝部13を有している。そして、このU字状の溝部13中に、送気チューブ4が嵌め込まれて着脱可能に装着されている。
【0027】
溝部13の径方向の深さは、送気チューブ4を装着した状態で露出している送気チューブ4の外面がオーバーチューブ本体2の外面と一様となるように設定されている。図3では、送気チューブ4を溝部13に装着した状態でこれらの間に隙間があるように示されているが、実際には、ほぼ隙間なく密着する。従って、体腔内に挿入されたときに、この隙間に体腔内の生体粘膜等が挟み込まれることはない。
【0028】
オーバーチューブ本体2の内視鏡用管路6と溝部13との間には、図3に示すように、オーバーチューブ本体2の基端開口側から長手軸方向へと延設された破断部14が形成されている。破断部14は、オーバーチューブ本体2の長手軸方向全体にわたって形成されている。破断部14は、使用者がこの破断部14に対して図3に矢印で示す方向に手で力を加えて引き裂くことにより径方向に破断して、内視鏡用管路6と溝部13とを連通させるように構成されている。
【0029】
破断部14は、内視鏡用管路6と溝部13との間で周囲よりも薄肉に形成された部分、あるいは、内視鏡用管路6と溝部13との間で複数の小さな貫通孔が形成された部分である。このように、破断部14は、その機械的強度が破断部14の周囲よりも劣るように形成されている。
【0030】
以上のように構成されたオーバーチューブ1の使用手順について説明する。
まず、第1の有効長を有する第1の内視鏡(例えば、小腸内視鏡)の内視鏡挿入部を、把持部5の基端開口から内視鏡用管路6へと挿入して、把持部5の先端開口からオーバーチューブ本体2の基端開口を通って内視鏡用管路6へと挿通させる。
【0031】
そして、内視鏡挿入部が挿通されたオーバーチューブ1を、例えば、経口的に、オーバーチューブ本体2の先端側から体腔内へと挿入していく。このとき、必要に応じて、オーバーチューブ本体2の外面に潤滑剤を塗布して、体腔内でのオーバーチューブ1の滑りを良くする。
【0032】
そして、体腔内の所望の位置で、送気ポンプ8から送られた空気によりバルーン3を膨張させて、オーバーチューブ1を体腔内で固定位置決めする。そして、オーバーチューブ本体2の内視鏡用管路6内の内視鏡挿入部を体腔内へと進行させて、所望の観察、処置等を行う。
【0033】
続いて、第1の有効長を有する第1の内視鏡に代わって、第1の有効長よりも短い第2の有効長を有する第2の内視鏡(例えば、上部消化管汎用内視鏡)を挿入する。まず、バルーン3を膨張させた状態で、第1の内視鏡の内視鏡挿入部を、体腔内からオーバーチューブ本体2の内視鏡用管路6を経てオーバーチューブ1の外部にゆっくりと引き抜く。このとき、オーバーチューブ1の体腔内での位置は、上述の固定位置決めされた位置を保っている。
【0034】
次に、送気チューブ4の基端側の第1の取着部材11を把持部5の第2の取着部材12から取り外して、送気チューブ4を径方向外側に持ち上げる。そして、送気チューブ4をオーバーチューブ本体2の溝部13から径方向に取り外して、オーバーチューブ本体2の長手軸方向の所望の位置まで取り出す。これにより、オーバーチューブ本体2に形成された破断部14が、オーバーチューブ本体2の溝部13から送気チューブ4が取り外された長手軸方向の長さにわたって外面に露出した状態となる。
【0035】
そして、この状態から、オーバーチューブ本体2を両手で把持して破断部14を図3に矢印で示す方向に引き裂く。これにより、破断部14は径方向に裂けて、内視鏡用管路6がオーバーチューブ本体2の外面と連通する。
【0036】
上述したように、オーバーチューブ本体2の外面には、指標7が形成されている。この指標7は、破断部14をオーバーチューブ本体2の長手軸方向においてどこまで引き裂けばよいかを示している。指標7として、第2の内視鏡を挿入した際に破断部14を長手軸方向のどの位置まで引き裂くべきかを示すマークがつけられている場合には、そのマークがある位置まで、また、指標7として、オーバーチューブ本体2に目盛がつけられている場合には、第2の内視鏡の有効長を考慮してオーバーチューブ本体2が適切な長さとなる位置まで、破断部14を引き裂く。
【0037】
図4は、かくして破断部14を引き裂いた状態のオーバーチューブ1を示す縦断面図である。破断部14を引き裂いた後、図4に示すC−C線に沿ってのような、オーバーチューブ本体2の引き裂かれた破断部14よりも基端側を鋏などで径方向に切断する。図5は、かくして切断した状態のオーバーチューブ1を示す縦断面図である。
【0038】
そして、図5に示すオーバーチューブ本体2の内視鏡用管路6の新たな基端開口から、長さの短い第2の内視鏡を挿入する。オーバーチューブ本体2の長さは、引き裂いて切断した分だけ短くなっているため、第1の内視鏡よりも短い第2の内視鏡であっても、内視鏡挿入部の先端がオーバーチューブ1の内視鏡用管路6の先端開口から突出することができる。
【0039】
なお、切断しなくても、引き裂かれた破断部14から内視鏡用管路6に内視鏡挿入部を挿通することが可能であるが、オーバーチューブ本体2を切断したほうが、内視鏡の挿入をよりスムーズに行うことができる。
【0040】
本実施形態では、破断部14は、オーバーチューブ本体2の内部に形成されている。このため、オーバーチューブ本体2の外面にスリットを設けた場合のような、強度的に劣る部分が外面にない。そして、オーバーチューブ本体2の溝部13中に送気チューブ4が嵌め込まれてオーバーチューブ1全体がほぼ円筒形の外面となっているため、オーバーチューブ1全体としての強度は低下しない。また、スリットを設けた場合のような、オーバーチューブ1全体で力が伝わりにくくなるといった問題も生じない。
【0041】
また、送気チューブ4とオーバーチューブ本体2の内視鏡用管路6とが別体であり、オーバーチューブ本体2を径方向に破断して長手軸方向に切断する前に送気チューブ4をオーバーチューブ本体2から取り外しているため、送気チューブ4は破断及び切断により影響されない。従って、送気チューブ4を傷付けることなく、オーバーチューブ本体2を引き裂くことができる。
【0042】
また、有効長の短い内視鏡を挿入する際にオーバーチューブ本体2の全長を短くすることにより、内視鏡用管路6に挿入される内視鏡挿入部の操作性を向上させることができる。
【0043】
さらに、このオーバーチューブ1は、送気チューブ4が溝部13に装着されているとき、これらが密着して隙間がないため、オーバーチューブ本体2の外面には、生体粘膜が挟み込まれるような部分が存在しないという効果を奏する。
【0044】
第1の変形例として、破断部14は、オーバーチューブ本体2の長手軸方向全体にわたって形成されているのではなく、オーバーチューブ本体2の中間の、オーバーチューブ本体2の基端開口から第2の内視鏡が挿入されたときに破断されるべき位置まで形成されることができる。つまり、破断部14を引き裂いたとき、破断部14は、所望の位置で止まってそれ以上先端側に裂けないように形成される。この場合には、指標7の有無にかかわらず、また、指標7を見なくても、破断されるべき位置までオーバーチューブ本体2の破断部14を確実に引き裂くことができる。
【0045】
また、第2の変形例として、破断部14は、オーバーチューブ本体2の長手軸方向全体にわたって形成されているのではなく、第2の内視鏡が挿入されたときに破断されるべき位置でオーバーチューブ本体2の外面に径方向に形成されることができる。この場合、破断部14は、挿入されうる複数の内視鏡に対する破断されるべき位置にそれぞれ対応する複数の位置でオーバーチューブ本体2の外面に径方向に形成されることができる。このような破断部によっても、異なる有効長の内視鏡を挿入して使用可能なオーバーチューブを提供することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図6を参照して説明する。以下では、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の参照符号を付してその説明は省略する。
【0047】
第2の実施形態では、破断部14は、オーバーチューブ本体2の外面に設けられている。また、オーバーチューブ本体2の内部には、内視鏡用管路6と、第1の実施形態での溝部13に対応する送気チューブ用管路15とが設けられている。内視鏡用管路6と送気チューブ用管路15とは、オーバーチューブ本体2の内部で長手軸方向に連通している。送気チューブ4は、送気チューブ用管路15中の長手軸方向の挿入/挿出により、オーバーチューブ本体2に対して着脱可能である。
【0048】
第2の実施形態のオーバーチューブ1の使用手順について説明する。第1の有効長を有する第1の内視鏡のオーバーチューブ1への挿入、オーバーチューブ1及び第1の内視鏡の体腔内への挿入、第1の内視鏡の取り出しの手順は、第1の実施形態と同様であるので、第1の有効長よりも短い第2の有効長を有する第2の内視鏡の挿入以後の手順について説明する。
【0049】
まず、オーバーチューブ本体2を把持して破断部14を手で図6に矢印で示す方向に引き裂く。これにより、破断部14は径方向に裂けて、送気チューブ用管路15がオーバーチューブ本体2の外面と連通する。
【0050】
次に、送気チューブ4をオーバーチューブ本体2から径方向に取り外す。その後、第1の実施形態と同様に、内視鏡用管路6に長さの短い第2の内視鏡を挿入する。
【0051】
本実施形態においても、強度を低下させることなく、有効長の異なる内視鏡を挿入することができる内視鏡用オーバーチューブを提供することができる。
【0052】
また、上記手順の他にも、破断部14をさらに薄肉に形成した場合には、送気チューブ4をオーバーチューブ本体2から径方向に取り出すと同時に破断部14を引き裂くことができる。このように、第2の実施形態では、1つの動作で破断部14を破断させることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態並びに変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態並びに変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな改良及び変更が可能であることが当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0054】
1…オーバーチューブ、2…オーバーチューブ本体、3…バルーン、4…送気チューブ、5…把持部、6…内視鏡用管路、7…指標、8…送気ポンプ、9…送気接続部、10…流体接続部、11…第1の取着部材、12…第2の取着部材、13…溝部、14…破断部、15…送気チューブ用管路、100…内視鏡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端開口と基端開口とを備え、長手軸方向に延び、前記基端開口から内視鏡が挿入される内視鏡用管路を有する可撓性のオーバーチューブ本体と、
前記オーバーチューブ本体の先端側に設けられたバルーンと、
一端が前記バルーンと連通し、他端が前記バルーンに空気を送る送気ポンプと連通する送気チューブと、を具備し、
前記オーバーチューブ本体の外面には、前記長手軸方向に延びた溝部が形成され、前記溝部に前記送気チューブが着脱可能に装着され、
前記溝部と前記内視鏡用管路との間に、前記オーバーチューブ本体の基端開口側から前記長手軸方向へと延設された破断部が形成され、
前記破断部を破断することによって、前記内視鏡用管路が前記オーバーチューブ本体の外面と連通する内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項2】
前記オーバーチューブ本体の外面には、前記破断部を破断する際の破断位置を示す指標が設けられている請求項1に記載の内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項3】
前記指標は、前記内視鏡用管路に挿入される複数の内視鏡に応じて設定され、前記オーバーチューブ本体の外面に付けられたシンボルである請求項2に記載の内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項4】
前記指標は、前記オーバーチューブ本体の外面に振られた目盛である請求項2に記載の内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項5】
前記破断部は、破断したときに、前記オーバーチューブ本体の長手軸方向の中間の所定の位置で破断が止まり、それ以上引き裂けないように形成されている請求項1に記載の内視鏡用オーバーチューブ。
【請求項6】
先端開口と基端開口とを備え、長手軸方向に延び、前記基端開口から内視鏡が挿入される内視鏡用管路を有する可撓性のオーバーチューブ本体と、
前記オーバーチューブ本体の先端側に設けられたバルーンと、
一端が前記バルーンと連通し、他端が前記バルーンに空気を送る送気ポンプと連通する送気チューブと、を具備し、
前記オーバーチューブ本体の内部には、前記送気チューブを装着する送気チューブ用管路が長手軸方向に延びており、
前記送気チューブ用管路は、前記内視鏡用管路と長手軸方向で連通しており、
前記オーバーチューブ本体の外面には、前記オーバーチューブ本体の基端開口側から前記長手軸方向へと延設された破断部が形成され、
前記破断部が破断することによって、前記送気チューブ用管路及び内視鏡用管路が前記オーバーチューブ本体の外面と連通する内視鏡用オーバーチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−85812(P2013−85812A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230655(P2011−230655)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】