説明

内視鏡用光源装置

【課題】光源装置に設けた接続用孔に対して光源用接続スリーブを多少傾いた状態で差し込んでも光源用接続スリーブの表面が傷つかない内視鏡用光源装置を得る。
【解決手段】光源用接続スリーブ16が挿通可能な貫通差込孔31を備えるスリーブ差込部材30と、一方の端部を貫通差込孔にスライド可能に嵌合する筒状スライド部材35と、を備え、筒状スライド部材が、光源用接続スリーブが嵌合可能でかつ貫通差込孔と同心をなしながら連通する貫通嵌合孔38と、該貫通嵌合孔の内周面に設けた、スリーブ差込部材の先端の外周位置より内径側に突出するストッパ39と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の内視鏡と光源装置の接続部を示している。
内視鏡010は、術者が把持する操作部と、操作部から延びる挿入部と、操作部から挿入部と反対方向に延びる可撓管(ユニバーサルチューブ)と、可撓管の端部に固定したコネクタ部014と、を具備しており、コネクタ部014には金属製の光源用接続スリーブ016が突設してある。
一方、光源装置020のケース021の側壁にはスリーブ差込部材022が固定してある。スリーブ差込部材022に形成した貫通孔023には、金属製の筒状部材である筒状支持部材024が嵌合固定してり、筒状支持部材024には全長に渡って貫通差込孔025が形成してある。
図4に示すように、内視鏡010の光源用接続スリーブ016を筒状支持部材024の貫通差込孔025に差し込むと、光源装置020に内蔵した光源(図示略)で発生した照明光が、光源用接続スリーブ016の開口端部に設けた集光レンズL1を介して光源用接続スリーブ016内に設けたライトガイドファイバLGFに供給されるので、この照明光は挿入部の先端部に設けた照明用レンズから外部に照射される。
【特許文献1】特開2004−057225号公報
【特許文献2】特開2006−204605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光源用接続スリーブ016を筒状支持部材024の貫通差込孔025に差し込み始めた段階(光源用接続スリーブ016の貫通差込孔025に対する嵌合量が小さい状態)では、光源用接続スリーブ016が貫通差込孔025から受ける接触圧力(摩擦力)は大きくないので、仮に光源用接続スリーブ016が貫通差込孔025に対して多少傾いても(同軸状態でなくても)、貫通差込孔025から受ける接触圧力によって光源用接続スリーブ016の表面が傷つくことはない。
しかし、光源用接続スリーブ016の貫通差込孔025に対する嵌合量が大きくなるにつれて光源用接続スリーブ016が貫通差込孔025から受ける接触圧力(摩擦力)は大きくなるので、光源用接続スリーブ016が貫通差込孔025に対して傾いた状態で光源用接続スリーブ016を限界位置まで差し込むと、貫通差込孔025の内壁面から受ける接触圧力によって光源用接続スリーブ016に曲げ応力が加わって、差込み時作業がしづらくなったり、光源用接続スリーブ016の表面が傷くことがある。特に、光源用接続スリーブ016の表面にメッキを施している場合はメッキが剥がれてしまい、光源用接続スリーブ016の洗浄に対する耐性が低下してしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、光源装置に設けた接続用孔に対して光源用接続スリーブを多少傾いた状態で差し込んでも光源用接続スリーブの表面が傷つかない内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内視鏡用光源装置は、内視鏡の端部に設けたコネクタ部に突設した光源用接続スリーブを着脱可能な光源装置において、上記光源装置のケースに固定した、上記光源用接続スリーブが挿通可能でかつ該ケースの内外を連通する貫通差込孔を備えるスリーブ差込部材と、上記ケース内に位置し、一方の端部を上記貫通差込孔にスライド可能に嵌合し、かつ他方の端部が上記ケース内に設けた光源と対向する筒状スライド部材と、を備え、上記筒状スライド部材が、上記光源用接続スリーブが嵌合可能でかつ上記貫通差込孔と同心をなしながら連通する貫通嵌合孔と、該貫通嵌合孔の内周面に設けた、上記スリーブ差込部材の先端の外周位置より内径側に突出するストッパと、を具備することを特徴としている。
【0006】
上記光源用接続スリーブの先端開口部に、上記光源装置に内蔵した光源で発生した光を集光して、上記光源用接続スリーブの内部に設けたライトガイドファイバの端面に導く集光レンズを設け、上記ストッパを、上記光源で発生した照明光が上記光源用接続スリーブの先端部に照射されるのを防止し、かつ上記集光レンズに照射されるのは許容する環状フランジとするのが好ましい。
【0007】
上記ケース内に、上記光源と筒状スライド部材の間に位置する支持部材を固定し、該支持部材に、上記貫通差込孔及び貫通嵌合孔と同心をなし、かつ上記筒状スライド部材の上記スリーブ差込部材と反対側の端部が嵌合可能な貫通支持孔を形成するのが好ましい。
【0008】
さらに、上記支持部材と上記筒状スライド部材の間に、該筒状スライド部材を上記スリーブ差込部材側に付勢する付勢手段を設けるのが好ましい。
【0009】
さらに、上記筒状スライド部材にフランジを突設し、該フランジと上記支持部材の間に、上記付勢手段としての圧縮コイルばねを縮設してもよい。
【0010】
さらに、上記筒状スライド部材が、上記貫通差込孔に対する嵌合量が最大となる初期位置と、該嵌合量が最小となりかつ上記スリーブ差込部材と反対側の端部が上記貫通支持孔に嵌合して該貫通支持孔によって支持される最大スライド位置と、の間をスライド可能であり、上記スリーブ差込部材または上記支持部材に、上記最大スライド位置までスライドした上記筒状スライド部材の位置を保持する保持手段を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光源装置に設けたスリーブ差込部材の貫通差込孔に内視鏡の光源用接続スリーブを差し込むと、光源用接続スリーブが筒状スライド部材の貫通嵌合孔に嵌合し、やがて光源用接続スリーブの先端面が貫通嵌合孔に設けたストッパに当接する。光源用接続スリーブの先端面は光源装置に対する差込量が大きくない段階でストッパに当接するので、仮にここまでの段階で光源用接続スリーブが貫通差込孔及び貫通嵌合孔に対して多少傾いていても(同軸をなしていなくても)、光源用接続スリーブが貫通嵌合孔から大きな接触圧力を受けることはなく、そのため光源用接続スリーブの表面は傷つかない。
光源用接続スリーブを光源装置の内部にさらに差し込むと、光源用接続スリーブによってストッパが押圧された筒状スライド部材がスリーブ差込部材の貫通差込孔に対してスライドする。このように光源用接続スリーブの光源装置に対する差込量が大きくなると、筒状スライド部材と貫通差込孔との間に接触圧力(摩擦力)が生じるが、光源用接続スリーブと貫通嵌合孔の間には接触圧力は生じないので、光源用接続スリーブの表面は傷つかない。
【0012】
請求項2ように構成すると、光源装置の光源で発生した光は光源用接続スリーブに設けた集光レンズに導かれる一方、光源用接続スリーブの先端部に照射されることはないので、光源用接続スリーブが高温化するのを効果的に防止できる。
【0013】
請求項3のように構成すると、光源用接続スリーブの先端部を支持部材の貫通支持孔が支持するので、光源用接続スリーブを光源装置に接続したときの光源用接続スリーブの支持状態が安定する。
【0014】
請求項4のように構成すると、光源用接続スリーブを光源装置から取り外したときに、筒状スライド部材をスリーブ差込部材側に戻すことが可能になる。
【0015】
請求項5のように構成すると、フランジは圧縮コイルばねのリテーナとして機能するだけでなく、筒状スライド部材の表面積を大きくする役割を果たす。そのため、筒状スライド部材に溜まった熱が外部に効率よく排熱されるので、筒状スライド部材が高温化するのを効果的に防止できる。
【0016】
請求項6のように構成すると、光源用接続スリーブを光源装置に最大限差し込んだときに筒状スライド部材が最大スライド位置までスライドすると、付勢手段が筒状スライド部材を初期位置に復帰させようとする。しかし、保持手段が付勢手段の付勢力に抗して筒状スライド部材を最大スライド位置に保持するので、付勢手段の付勢力によって光源用接続スリーブが光源装置から不意に脱出するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明中の前後、上下、及び左右の方向は図中に示した矢線方向に基づいている。
図1に全体構造を示す本実施形態の電子内視鏡10は医療用の内視鏡であり、操作者が把持する操作部11と、操作部11から延出する可撓性のある挿入部12と、操作部11から挿入部12と反対側に延びるゴム製のユニバーサルチューブ(可撓管)13と、ユニバーサルチューブ13の端部に固定したコネクタ部14と、を備えている。挿入部12の先端面には一対の照明用レンズ(図示略)、対物レンズ、処置具挿通孔(吸引孔)等(いずれも図示略)が設けてあり、挿入部12の先端部内には被写体を撮像する撮像素子が設けてある。
図示するようにコネクタ部14の後端面には共に略円筒形状をなす画像処理用接続スリーブ15と光源用接続スリーブ16が突設してある。図2及び図3に示すように、光源用接続スリーブ16の周面には環状をなすストッパ部材17が突設してある。さらに、光源用接続スリーブ16の後端開口部には集光レンズL1が固定してあり、光源用接続スリーブ16の内部にはライトガイドファイバLGFの後端部が配設してある。このライトガイドファイバLGFの前端部はコネクタ部14、ユニバーサルチューブ13、挿入部12及び操作部11を通って上記一対の照明レンズと対向している。
【0018】
画像処理用接続スリーブ15及び光源用接続スリーブ16は、電子内視鏡10とは別体でありかつ図示を省略したモニタと接続するプロセッサ20のケース20Cと接続可能である。具体的には、前部壁21に形成した画像処理用接続スリーブ差込部材22と光源用接続スリーブ差込部材30にそれぞれ嵌合可能(着脱可能)である。
画像処理用接続スリーブ差込部材22は、前後方向に延びる接続用貫通孔(図示略)を備える筒状部材であり、この接続用貫通孔には画像処理用接続スリーブ15を嵌合可能である。
図2及び図3に示すように、ケース20Cの底板部24には固定部材25が固定してあり、固定部材25の上面の前端部には上下方向に延びる支持板26の下端部が固定してある(支持板26の上端部はケース20Cの天井面に固定してある)。支持板26には正面視円形の貫通孔27が穿設してあり、この貫通孔27に絶縁部材28の後端部が嵌合固定してある。絶縁部材28には絶縁部材28を前後方向に貫通する嵌合孔29が形成してあり、この嵌合孔29に金属製の光源用接続スリーブ差込部材30の後端突部が嵌合固定してある。光源用接続スリーブ差込部材30の前端部は、前部壁21に穿設した正面視円形の貫通孔23を通って前部壁21の前方に突出している。光源用接続スリーブ差込部材30には光源用接続スリーブ差込部材30を前後方向に貫通する断面円形の貫通差込孔31が形成してあり、貫通差込孔31の中央部には環状突条32が突設してある。さらに、貫通差込孔31の前部(環状突条32より前方に位置する部分)には、図示を省略したばね手段によって内周側に移動付勢された一対のクリックストップ部材(保持手段)33が設けてある。
【0019】
光源用接続スリーブ差込部材30の貫通差込孔31の後部(環状突条32より後方に位置する部分)には、金属からなる筒状スライド部材35の前部が前後方向にスライド可能に嵌合している。筒状スライド部材35は、略円筒形状をなす筒状部36と、筒状部36の外周面から径方向外側に突出する環状フランジであるリテーナ部37と、を一体的に備えており、筒状部36には筒状部36を前後方向に貫通する貫通嵌合孔38が形成してある。この貫通嵌合孔38は貫通差込孔31と同心をなしており、その断面形状は光源用接続スリーブ16の後部(ストッパ部材17より後方の部分)の断面形状と略同一(断面円形)である。さらに、貫通嵌合孔38の後端開口部の周縁部には、その内径が光源用接続スリーブ16の後端径より小さい環状フランジであるストッパ39が突設してある。
固定部材25の上面には支持板26の後方に位置させて、上下方向に延びる支持部材40の下端部が固定してある。支持部材40の上部には貫通差込孔31及び貫通嵌合孔38と同軸をなす貫通支持孔41が穿設してある。さらに、貫通支持孔41の後端開口部の周縁部には、その内径が筒状スライド部材35(筒状部36)の後端径より小さい環状フランジであるストッパ42が突設してある。
また、支持部材40の前面と筒状スライド部材35のリテーナ部37の後面の間には、筒状スライド部材35(筒状部36)の周囲に位置する圧縮コイルばね(付勢手段)S1が縮設してある。この圧縮コイルばねS1の付勢力によって筒状スライド部材35は常に前方に移動付勢されているので、光源用接続スリーブ16を光源用接続スリーブ差込部材30に接続していないとき、筒状スライド部材35は、リテーナ部37が絶縁部材28及び光源用接続スリーブ差込部材30の後端面に接触し、かつ筒状部36の後端部が支持部材40の貫通支持孔41内に位置する初期位置(図2の位置)に位置する。
さらに、図示は省略してあるが、プロセッサ20の底板部24には支持部材40の後方に位置させて、貫通差込孔31、貫通嵌合孔38及び貫通支持孔41と同軸をなす光源(ランプ)が設けてある。
【0020】
次に、電子内視鏡10をプロセッサ20に接続するときのプロセッサ20の動作について説明する。
図1に示すように、術者がプロセッサ20から分離した状態にある電子内視鏡10のコネクタ部14をプロセッサ20の前部壁21に近づけて、画像処理用接続スリーブ15を画像処理用接続スリーブ差込部材22の上記接続用貫通孔に嵌合し、かつ、光源用接続スリーブ16を光源用接続スリーブ差込部材30の貫通差込孔31に嵌合する。すると、図2に示すように光源用接続スリーブ16の後部(環状突条32より後方に位置する部分)は環状突条32の内側を通って初期位置に位置する筒状スライド部材35の貫通嵌合孔38に嵌合する。そして、光源用接続スリーブ16の後端面が筒状スライド部材35のストッパ39に当接した後に光源用接続スリーブ16をさらに後方に押し込むと、圧縮コイルばねS1の付勢力に抗して光源用接続スリーブ16と筒状スライド部材35が一体に光源用接続スリーブ差込部材30に対して後方にスライドする。そして、図3に示すように筒状スライド部材35が、筒状部36の後端が支持部材40のストッパ42に当接する最大スライド位置までスライドすると、光源用接続スリーブ16のストッパ部材17が上記ばね手段の付勢力にこうしてクリックストップ部材33の後方に移動し、一対のクリックストップ部材33がストッパ部材17の直前に位置するので、筒状スライド部材35は最大スライド位置に保持される(初期位置側へのスライドが規制される)。
この状態でプロセッサ20に設けたスイッチ(図示略)をONにすると、上記光源が点灯する。そして、光源で発生した照明光LAが該光源の直前に一体的に設けた集光レンズ(図示略。光源、貫通差込孔31、貫通嵌合孔38及び貫通支持孔41と同軸をなしている)によって集光されながら貫通支持孔41に向かう。すると、図3に示すように照明光LAは支持部材40のストッパ42の内側を通って集光レンズL1に向かうので、筒状部36の後端部や光源用接続スリーブ16の後端部に照明光LAが照射されることはない。従って、この照明光LAは集光レンズL1からライトガイドファイバLGFの後端面に入り、ライトガイドファイバLGFの内部を通って挿入部12の先端部内に設けた上記一対の照明レンズから電子内視鏡10の外部に照射される。
さらに、筒状スライド部材35が最大スライド位置に達したときに画像処理用接続スリーブ15が画像処理用接続スリーブ差込部材22の上記接続用貫通孔に完全に嵌合するので、画像処理用接続スリーブ15、コネクタ部14、操作部11及び挿入部12の内部を通り、かつ挿入部12の先端部内に設けた上記撮像素子と接続する画像信号用ケーブル(図示略)がプロセッサ20内の画像処理装置(図示略)と接続する。従って、撮像素子が被写体を撮像するとプロセッサ20の画像処理装置が当該撮像画像の画像処理を行い、撮像した画像を上記モニタが表示する。
【0021】
術者がプロセッサ20に設けた上記スイッチをOFFにして上記光源を消灯させた後に、コネクタ部14をプロセッサ20に対して前方に移動させると、光源用接続スリーブ16のストッパ部材17が一対のクリックストップ部材33を押し込みながらクリックストップ部材33の前方に移動するので、術者による移動力と圧縮コイルばねS1の付勢力によって筒状スライド部材35が初期位置まで光源用接続スリーブ16と一体にスライドする。そして、筒状スライド部材35が初期位置に達した後は光源用接続スリーブ16が筒状スライド部材35の貫通嵌合孔38に対して前方にスライドするので、光源用接続スリーブ16が貫通差込孔31から完全に脱出する。
【0022】
以上説明したように、光源用接続スリーブ16をプロセッサ20に接続するときの初期段階、即ち光源用接続スリーブ16の後端面が筒状スライド部材35のストッパ39に接触するまでの段階では、光源用接続スリーブ16のプロセッサ20に対する差込量が比較的小さい。そのため、仮にここまでの段階で光源用接続スリーブ16の軸線が貫通差込孔31及び貫通嵌合孔38の軸線に対して多少傾いていても、貫通差込孔31及び貫通嵌合孔38の内周面から光源用接続スリーブ16の外周面に大きな接触圧力が及ぶことはないので光源用接続スリーブ16の表面は傷つかない。しかも、光源用接続スリーブ16が貫通差込孔31に対して斜めに入り貫通嵌合孔38に素直に入らない場合は、筒状スライド部材35が光源用接続スリーブ16によって押されて貫通差込孔31に対してスライドする。このように筒状スライド部材35が光源用接続スリーブ16の押込力を逃がしながら光源用接続スリーブ16を貫通嵌合孔38に対して案内するので、光源用接続スリーブ16には所定以上の力が加わることがなく、円滑な差込動作が行える。
そして光源用接続スリーブ16をプロセッサ20の内部にさらに差し込むと、光源用接続スリーブ16によってストッパ39が押圧された筒状スライド部材35が光源用接続スリーブ16と一緒に最大スライド位置までスライドする。しかし、このとき筒状スライド部材35が支持部材40(貫通支持孔41)に対して相対スライドするものの、光源用接続スリーブ16と筒状スライド部材35は相対スライドしないので、仮に光源用接続スリーブ16の軸線が貫通支持孔41の軸線に対して多少傾いていても、貫通差込孔31及び貫通嵌合孔38の内周面から光源用接続スリーブ16の外周面に大きな接触圧力が及ぶことはなく、光源用接続スリーブ16の表面は傷つかない。
【0023】
また、筒状スライド部材35が最大スライド位置に達した状態で照明光LAを光源用接続スリーブ16の後端部側に照射すると、支持部材40のストッパ42によって照明光LAが筒状部36の後端部や光源用接続スリーブ16の後端部に照射されるのを防止するので、光源用接続スリーブ16や筒状スライド部材35が高温化するのを効果的に防止できる。
さらに、リテーナ部37は筒状スライド部材35の表面積を大きくする役割を果たすので、筒状スライド部材35に溜まった熱は効率よく外部に放熱される。従って、筒状スライド部材35の高温化をより効果的に防止できる。
さらに、筒状スライド部材35が最大スライド位置に達すると、光源用接続スリーブ16の前部と後部が光源用接続スリーブ差込部材30と支持部材40によって両持ち支持されるので、光源用接続スリーブ16の支持状態は安定する。そのため、光源に設けた上記集光レンズと光源用接続スリーブ16の同軸状態が確実に保持されるので、光源で発生した照明光LAをライトガイドファイバLGFに効率よく供給できる。
【0024】
本実施形態では光源用接続スリーブ差込部材30にクリックストップ部材33を設けているが、クリックストップ部材(保持手段)33を支持部材40の貫通支持孔41に設け、筒状スライド部材35(筒状部36)の後部にストッパ部材17に相当する部材を突設してもよい。
本実施形態では電子内視鏡10を医療用の内視鏡として実施しているが、医療用以外の内視鏡(工業用内視鏡)として実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の電子内視鏡及びプロセッサの全体図である。
【図2】プロセッサに画像処理用接続スリーブ及び光源用接続スリーブの一部を接続したときの、プロセッサ、コネクタ部、画像処理用接続スリーブ及び光源用接続スリーブの一部を破断して示す拡大側面図である。
【図3】プロセッサに画像処理用接続スリーブ及び光源用接続スリーブを完全に接続したときの図2と同様の拡大側面図である。
【図4】従来の内視鏡のコネクタ部、画像処理用接続スリーブ、光源用接続スリーブ、及びプロセッサの図2と同様の拡大側面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 電子内視鏡(内視鏡)
11 操作部
12 挿入部
13 ユニバーサルチューブ(可撓管)
14 コネクタ部
15 画像処理用接続スリーブ
16 光源用接続スリーブ
17 ストッパ部材
20 プロセッサ(光源装置)
20C ケース
21 前部壁
22 画像処理用接続スリーブ差込部材
23 貫通孔
24 底板部
25 固定部材
26 支持板
27 貫通孔
28 絶縁部材
29 嵌合孔
30 光源用接続スリーブ差込部材
31 貫通差込孔
32 環状突条
33 クリックストップ部材(保持手段)
35 筒状スライド部材
36 筒状部
37 リテーナ部
38 貫通嵌合孔
39 ストッパ
40 支持部材
41 貫通支持孔
42 ストッパ
L1 集光レンズ
LGF 導光ファイバ
S1 圧縮コイルばね(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の端部に設けたコネクタ部に突設した光源用接続スリーブを着脱可能な光源装置において、
上記光源装置のケースに固定した、上記光源用接続スリーブが挿通可能でかつ該ケースの内外を連通する貫通差込孔を備えるスリーブ差込部材と、
上記ケース内に位置し、一方の端部を上記貫通差込孔にスライド可能に嵌合し、かつ他方の端部が上記ケース内に設けた光源と対向する筒状スライド部材と、を備え、
上記筒状スライド部材が、上記光源用接続スリーブが嵌合可能でかつ上記貫通差込孔と同心をなしながら連通する貫通嵌合孔と、該貫通嵌合孔の内周面に設けた、上記スリーブ差込部材の先端の外周位置より内径側に突出するストッパと、を具備することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡用光源装置において、
上記光源用接続スリーブの先端開口部に、上記光源装置に内蔵した光源で発生した光を集光して、上記光源用接続スリーブの内部に設けたライトガイドファイバの端面に導く集光レンズを設け、
上記ストッパを、上記光源で発生した照明光が上記光源用接続スリーブの先端部に照射されるのを防止し、かつ上記集光レンズに照射されるのは許容する環状フランジとした内視鏡用光源装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の内視鏡用光源装置において、
上記ケース内に、上記光源と筒状スライド部材の間に位置する支持部材を固定し、
該支持部材に、上記貫通差込孔及び貫通嵌合孔と同心をなし、かつ上記筒状スライド部材の上記スリーブ差込部材と反対側の端部が嵌合可能な貫通支持孔を形成した内視鏡用光源装置。
【請求項4】
請求項3記載の内視鏡用光源装置において、
上記支持部材と上記筒状スライド部材の間に、該筒状スライド部材を上記スリーブ差込部材側に付勢する付勢手段を設けた内視鏡用光源装置。
【請求項5】
請求項4記載の内視鏡用光源装置において、
上記筒状スライド部材にフランジを突設し、
該フランジと上記支持部材の間に、上記付勢手段としての圧縮コイルばねを縮設した内視鏡用光源装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の内視鏡用光源装置において、
上記筒状スライド部材が、上記貫通差込孔に対する嵌合量が最大となる初期位置と、該嵌合量が最小となりかつ上記スリーブ差込部材と反対側の端部が上記貫通支持孔に嵌合して該貫通支持孔によって支持される最大スライド位置と、の間をスライド可能であり、
上記スリーブ差込部材または上記支持部材に、上記最大スライド位置までスライドした上記筒状スライド部材の位置を保持する保持手段を設けた内視鏡用光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−240465(P2009−240465A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89330(P2008−89330)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】