説明

内部補強されたプロテイン含有チューブ状食品用ケーシング

【解決手段】 本発明は、被覆された平らな形状の補強組み入れ物を有するチューブ状食品用ケーシングにおいて、補強組み入れ物の少なくとも一つの層が、少なくとも1種類の造膜性プロテインを含有することを特徴とする、上記食品用ケーシングに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内部補強されたチューブ状食品用ケーシング並びにソーセージ用人造ケーシングとしてのその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維紙、特に麻繊維紙よりなる内部補強材を有する再生セルロースをベースとするチューブ状食品用ケーシングは久しい以前から公知である(G. Effenberger, Wursthullen - Kunstdarm, 第2版,[1991], Holzmann Buchverlag, Bad Worishofen, 第23/24頁)。これらは一般にソーセージ用人造ケーシングとして使用される。これらのケーシングを沢山の方法段階を伴うビスコース法に従って製造した場合には、装置的に非常に複雑であり、そして排気および廃水を多大な費用を掛けて浄化する必要がある。
【0003】
代替え法としてアミンオキシド法が開発された。この場合にはセルロースは(ビスコース法における様に)化学的にもはや誘導できず、水性アミンオキシド、特にN−メチル−モルホリン−N−オキシド(NMMO)−1水和物に純物理的に溶解される。水性アミンオキシドに溶解されたセルロースはビスコース法における様に、チューブ状に成形されるウエブ状繊維材料に塗布できる。こうして塗布されたチューブ状物を次いで希釈された水性アミンオキシドの入った浴に通す。該浴中でセルロースが沈殿される。この様にしてシームレスのケーシングが得られる。
【0004】
長手方向シームのあるケーシングは相応する平らな材料から一般的に公知の方法、例えば接合、シーリング、縫合等によって製造される。この場合、平らな材料自体は大きい直径のチューブ状物を長手方向で切り開きそしてこの切り開いたチューブ状物を平行のウェッブに分割することによって得られる。この様にして製造されたケーシングは表面全体に亙って特に均一な伸び率を示す。
【0005】
平らな繊維材料、例えば外側がコラーゲンで含浸処理されている木綿製チューブ状編製物よりなるソーセージ用人造ケーシングは公知である(ドイツ特許第3,333,387号明細書(C))。
【0006】
特開昭51−079748号公報には、多孔質のウェッブ状担体材料、例えば紙、繊維材料または多孔質フィルムで製造された積層体または水溶性多糖類、蛋白質および/または合成樹脂よりなるフィルムが開示されている。適する多糖類としては特にマンナン、キチン、アルギン酸およびペクチンがある。プロテインの例としてはコラーゲン、ゼラチンおよびカゼインが挙げられ、合成樹脂の例としてはポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドおよびポリビニルピロリドンがある。上記積層体は食品用ケーシング、中でもソーセージケーシングに加工される。このケーシングは改善された燻煙性、高い透明性および満足な強度を示す。しかしながら積層体は支持体材料とフィルムとの間の接合が十分でないという欠点をしばしば有している。
【0007】
積層されたまたは被覆された平らな材料から形成されたチューブ状ケーシングはシームの領域において二倍の肉厚を有している。その際に、互いに重ね合わされたシーム位置は丸めた時に厚い場所(ビーズ状の部分)を生じさせる。シャーリング付けの際に厚いシーム領域は僅かに湾曲した厚みのあるシャーリング付きステックをもたらす。更に、チューブ状ケーシングをプリントする場合には、シームの領域は適切にプリントできないので、プリントされた像がこの領域に達しないように注意しなければならない。
【0008】
しかしながら積層されたまたは被覆された平らな材料は簡単にかつ経済的に製造できる。これらはシームのあるケーシングに難なく加工できる。ケーシングを製造する際のこの長所はシームに関連する短所を補って余りある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故に本発明の課題は、上述の短所をもはや有さないかまたは非常に僅かな程度でしか有さない食品用ケーシングを開発することである。これは簡単に、経済的にかつ環境に優しく製造できるべきである。その性質、特に水蒸気および酸素遮蔽性は広い範囲で調整できるべきであり、そうすればこのケーシングは沢山の色々な食品に使用できる。このものは例えば菌類によって生成されるセルロース分解酵素(セルラーゼ)に対してあまり過敏でなであるべきでなく、できる限り耐性さえ有するべきである。更にケーシングは(ビスコース法の場合に常に生じる様な)反応ガスおよび解膨潤水(de-swelling water)が生じる化学的な再生なしに製造できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、チューブ状物に成形される繊維材料に外側からおよび/または内側から均一に適用されるプロテインをベースとする被覆物によって解決された。別の解決法は、平らな繊維材料の両側にプロテインをベースとする被覆物を適用することを本質としている。
【0011】
従って本発明の対象は、被覆された平らな形状の補強組み入れ物を有するチューブ状食品用ケーシングにおいて、少なくとも一つの層が、少なくとも1種類の造膜性プロテインを含有することを特徴とする、上記食品用ケーシングに関する。
【0012】
平らな形状の組み入れ物は、場合によっては含浸処理されている補強されたフリースまたは紡糸フリースであるのが特に有利である。平らな形状の組み入れ物はプロテイン含有層を適用後にも片面または両面を含浸処理してもよい。この場合、被覆された平らな材料またはそれから形成されたチューブ状ケーシングを含浸処理してもよい。かゝる含浸処理によって、例えばソーセージエマルジョン接着性が調整できるかまたは耐かび性が向上され得る。この含浸物は適用可能な着色剤、香気物質、香料および/または調味料を含有していてもよい(例えば燻煙液)。別の実施態様においては組み入れ物は織製物、ループ形成編製物(loop-formingly knitted fabric)、ループ・ドローイング編製物(loop-drawing knitted fabric)またはレイド・ファブリック(laid fabric)または多孔質フィルムである。平らな形状の組み入れ物は天然繊維および/または合成繊維よりなる。特に有利な材料は木綿、再生セルロース(レイヨンステープル)、絹、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン(特にポリプロピレン)、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル並びに対応するコポリマーである。種々の材料の混合物も使用できる(例えばレイヨンステープルとポリエステルとの混紡)。これら全ての組み入れ物は含浸処理されていてもよい。含浸処理は例えば被覆物の接合性を改善する粘着性付与剤によって達成できる。この含浸処理剤は僅かな量で使用される。即ち、平らな形状の組み入れ物の小さな隙間を満たすには十分でない量である。
【0013】
“平らな形状”とは、比較的に薄いが自己支持性がありそしてチューブ状物を形成できる材料を意味する。厚さおよび面積重量はケーシングの後での用途にも依存している。一般に面積重量は3〜1,000g/m、好ましくは10〜130g/m、特に好ましくは12〜75g/mである。平らな形状の組み入れ物が繊維紙である場合には、該組み入れ物は17〜29g/mの重量を有しているのが特に好ましい。要求次第で支持材料は延伸性があるかまたは実質的に延伸性がない。延伸性がない平らな形状の組み入れ物は、特に高い直径不変性が重要なケーシングに有用である。場合によっては組み入れ物は2つ以上の同じかまたは異なる種類の層、例えば繊維材料で連結されている繊維紙で構成されている。
【0014】
組み入れ物はチューブ状物に成形され、その際に長手方向縁部は多かれ少なかれ重なり合っていてもよい。しかしながらケーシングの直径次第で重なり合う幅は一般に数ミリメーターだけの幅である。1〜6mm、特に好ましくは1.5〜4mmの幅の重なり合い領域を有しているのが有利である。
【0015】
チューブ状物に成形された組み入れ物は次いで外側から、内側からまたは両側から均一に被覆され、その際に層あるいは被覆物は少なくとも1部が造膜性プロテインよりなる。組み入れ物は、チューブ状物に加工される前に片面または両面を同様に被覆してもよい。“造膜性”とは、プロテインが連続し密着した被覆物を形成し得ることを意味する。この場合、特に有利なプロテインはゼラチンまたはコラーゲンである。非常に適するプロテインはカゼイン(ミルクプロテイン)、大豆プロテイン、グルテン(小麦プロテイン)、ゼイン(コーンプロテイン)、アルデイン(ピーナッツプロテイン)、えんどう豆プロテイン、綿実プロテインまたは魚プロテインもある。プロテイン、特にゼラチンは無機系または有機系充填物と混合するのが有利である。この場合に特に適する無機系充填物はチョーク、石灰石粉末、カルサイト、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドロマイトおよび/または他の混合炭酸塩である。特に適する有機系充填物は微細粉砕されたセルロース粉末、ふすま、天然および/または熱可塑性澱粉(TPS)あるいは澱粉誘導体である。誘導体でない澱粉の中では、天然および/または熱可塑性コーン澱粉および/または馬鈴薯澱粉が特に有利である。澱粉誘導体は、例えば澱粉エステル、澱粉アセテート、澱粉マレエート、澱粉プロピオナート、澱粉ブチラート、澱粉ラウロエートおよび/または澱粉オレエート;澱粉キサントゲナート、澱粉リン酸塩、澱粉硫酸塩および/または澱粉硝酸塩;澱粉エーテル類、例えば澱粉メチルエーテル、澱粉エチルエーテル、澱粉プロピルエーテル、澱粉ブチルエーテル、澱粉アルケニルエーテル、澱粉ヒドロキシエチルエーテルおよび/または澱粉ヒドロキシプロピルエーテル;グラフトされた澱粉、特に無水マレイン酸または無水コハク酸でグラフトされた澱粉および/または酸化された澱粉、例えばジアルデヒド澱粉、カルボキシ澱粉および/または過硫酸塩で分解された澱粉がある。他の多糖類、特に植物性粉末および/または繊維、例えば綿、カポック、亜麻、リネン、麻、ジュート、ケナフ、カラムシ、 サイザル、ピート、藁、小麦、ポテト、馬鈴薯類、トマト類、にんじん類、パイナップル、リンゴ、オレンジ類、トウヒ、松またはコルクから得られるものを含有していてもよい。
【0016】
しかしながら、プロテイン含有の層あるいは被覆物が再生セルロースまたは沈降セルロースを含有していないが、該層あるいは被覆物を規準として5重量%より少ない二次的な量で微粉末化セルロース繊維を含有しているのが有利である。
【0017】
ゼラチンは骨蛋白質または皮蛋白質(一般に牛革および牛骨から得られる)を加水分解することによって得られ、その際に三重らせん構造が大部分崩壊される。分子量は約15,000〜250,000g/モルであり、分子量分布はガウス曲線に相当する。ゼラチンは十分に水溶性である。コラーゲン繊維はその中には一般に含まれていない。
【0018】
プロテインはコラーゲンまたは、好ましくはコラーゲン繊維と混合した脱アミドコラーゲンでもよい。この繊維は好ましくは0.1〜4.0cmの長さを有している。該繊維の割合はプロテインの総重量を規準として一般に80重量%まで、好ましくは約20〜50重量%である。
【0019】
プロテインの割合はケーシングの全被覆物重量を規準として一般に2.5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30〜75重量%である。
【0020】
プロテインの他に被覆物は別の天然および/または合成ポリマーを含有していてもよい。これは特にポリアクリレート、ポリ酢酸ビニルおよび/または酢酸ビニルの単位を持つ(コ)ポリマーがあり、その際に酢酸ビニル単位の大部分が多かれ少なかれ鹸化されていてもよい。これらのポリマーは持続的に可塑性化する性質も有している。“主要な可塑剤”とも記されたかゝる化合物には例えばアルギナート、ポリビニルピロリドン類、ビニルピロリドン四元コポリマー((R)Gafquat)、 ビニルピロリドン、無水マレイン酸、メチルビニルエーテルまたは分岐した多糖類(例えばカラゲナン)の単位よりなるコポリマーがある。別のポリマーの割合はケーシングの乾燥重量を規準として一般に50重量%まで、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは6〜25重量%である。
【0021】
造膜性プロテインが例えばゼラチンの場合の様に水溶性である場合には、追加的に少なくとも1種類の架橋剤が必要とされる。適する架橋剤にはエポキシド化された亜麻仁油、長鎖アルキル残基(一般にC10〜C18−アルキル基)を持つジケトン類、カラメル、タンニン、ジエポキシド、シトラール、アジリジン、少なくとも2つのカルボアルデヒド基を持つ化合物(例えばグリオキサールまたはグルタルジアルデヒド)および/またはポリアミン−ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂、アクリルアミド、ビス−アクリルアミドおよびアクリルメチロール並びにそれらの任意の混合物、例えばアクリル酸アミド−メチロールとビスアクリル酸アミド−ジメチロールとの混合物がある。
【0022】
一つの特に有利な実施態様においては、ケーシングは2枚の重なり合ったプロテイン含有被覆物を有している。例えば第一の被覆物は平らな形状の組み入れ物材料の空隙に充填されていてもよい。その上に、他のプロテインまたはプロテインの別の混合物を含有する連続する別の被覆物を次の段階で適用する。該プロテイン混合物は好ましくはコラーゲン繊維を含有している。
【0023】
被覆物は更に染料および/または顔料を含有していてもよい。この場合、染料および/または顔料の割合は、ケーシングの乾燥重量を規準として一般に0.5〜12.0重量%、好ましくは1.0〜6.0重量%である。
【0024】
場合によっては、ケーシングは追加的に、ソーセージエマルジョンに適用できる香気物質、フレーバーおよび/または調味料を含有している。これらには特に乾燥燻煙または燻煙液がある。
【0025】
ケーシングが積み重ねた状態でおよび巻き付けた状態で付着し合うのを避けるために、通例の添加物を二次的な量(即ちケーシングの乾燥重量を規準として最高約10重量%)で含有していてもよい。かゝる添加物には例えば珪酸アルミニウム、特にカオリン、炭酸カルシウム、二酸化珪素、PVC−顔料、ワックスまたは油脂がある。他の添加物は所望の程度のソーセージエマルジョン接合性を保証するために役立ち得る。プロテインの割合がこの目的にとって十分でない場合には、通例の内部含浸処理を例えば分離作用を達成するために40%の(R)Aquapelを含有する組成物で行ってもよい。
【0026】
本発明のケーシングは更に少なくとも1種類の第二の可塑剤、特にグリセリンも含有するのが有利である。
【0027】
プロテイン含有層あるいは被覆物に加えて、本発明のケーシングは別の層を有していてもよい。これらには一般に再生されたまたは沈降セルロースは含まれない。追加的に特にポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンクロライド(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン/ビニルアルコール−コポリマー(EVA)、エチレン/アクリル酸−コポリマー、ポリビニルアルコール−コポリマー(EVA)、エチレン/アクリル酸−コポリマー、ポリビニルアルコール(PVOH)、合成ゴム、ラテックス、シリコーンまたはそれらの任意の混合物をベースとする層が存在していてもよい。この追加層も通例の添加物、特に染料および/または顔料を含有していてもよい。これらの別の層はチューブ状支持材料にまたは平らな材料の上に連続した層として形成される。1つ以上のこれらの別の層はプロテイン含有層より前に適用することができる。例えばウェッブ状支持材料に最初にポリアクリレート層を適用し、次いでゼラチン層を適用してもよい。追加層の種類、数および厚さを適切に選択することによって本発明のケーシングの酸素および水蒸気透過性は広い範囲で調整することができ、その結果該ケーシングは色々な種類の食品のために使用することができる。
【0028】
追加のPVDC層はケーシングに特に高い水蒸気遮蔽性および酸素遮蔽性を付与し、ソーセージの干からびおよび酸化によるソーセージエマルジョン(例えば生ソーセージの場合)の変色を防止する。PVDC−層は外側層を形成するのに特に有利である。
【0029】
被覆物の厚さは、ケーシングがソーセージの成熟に必要とされる水蒸気透過性および酸素透過性を有するように選択する。一般に乾燥後の被覆物の重量は10〜200g/m、好ましくは20〜120g/m、特に好ましくは30〜100g/mである。
【0030】
ケーシングは一般に約6〜20重量%、好ましくは約8〜12重量%の水分含有量を有している。本発明のケーシングは予め加湿し(約20〜30重量%の湿分割合)そしてこの状態でソーセージ製造業者に譲渡するかまたはソーセージ製造業者自身によって充填前に水に漬けられる。驚くべきことに本発明のケーシングは予めの加湿または水漬けなしでも問題なく充填できることが判った。
【0031】
本発明の食品用ケーシングは300〜1500g/md、好ましくは700〜1200g/mdの水蒸気透過性(DIN53122に従う)を有している。その酸素透過性は、8〜10重量%の水分含有量および約15重量%の可塑剤含有量を有する5cmの大きさの破片について測定して一般に700〜1500cm/md(DIN53380に従う;65%の相対湿度)である。
【0032】
水透過性は40barのもとで一般に約10〜100L/md、特に約12〜20L/mdである。
【0033】
被覆物の組成および厚さ次第でケーシングは燻煙透過性も有し得る。ケーシングの伸び率も同様に被覆物の種類および厚さによって決まるが、その他に平らな形状の補強組み入れ物の種類および厚さによっても決まる。例えば伸び率は0.1〜25%、好ましくは1〜5%(長手方向および横方向のそれぞれ)の間で変動し得る。
【0034】
本発明のケーシングを製造する方法および装置自体は当業者に知られている。この場合、予め決められた幅を有するウェッブ状支持材料をチューブ状物に例えばいわゆる型ショルダー(form shoulder)によって成形する。このチューブ状物にその形状を維持しそして乾燥収縮を避けるために支持用空気を満たすかまたは直径支持リングによってそれの円筒形を保持することができる。次いでこの支持材料にプロテイン含有物質を内側および/または外側からシームレスの状態に例えば環状間隙式ノズルによって被覆する。この被覆材料(少なくとも第一の被覆物のそれ)は平らな形状の組み入れ物に浸透し、それによって該組み入れ物の(重なり合った)長手方向縁部を互いに強固に連結する。支持材料のシーム領域ではケーシングは他の領域におけるよりもかなり厚い。
【0035】
ケーシングは場合によっては長手方向で2つ以上のウェッブに裁断し、次いで接合、シーリング、縫合または当業者に熟知される他の方法によって閉じて、相応する小さい直径のチューブ状物を得る。長手方向シームを持つ得られたケーシングは同様に食品用ケーシング、特に人造ソーセージケーシングと同様に使用できる。
【0036】
特に有利な一つの実施態様においては、ウェッブ様支持材料にその片面または両面に例えばスプレー、ドクターブレードでの適用、ロール塗布、広い間隙のあるダイを用いての適用または当業者にとって同様な他の被覆法によって被覆する。被覆された平らなこの材料を、必要な場合にはプリントする。場合によってはこの被覆された平らな材料を切断して適当な幅のウェッブとし、このウェッブを自体公知の方法でチューブ状ケーシングに成形しそして重なり合った長手方向縁部同志を例えば接合、縫合、シーリングまたは溶着によって固定する。シームの接合のためには、例えばホットメルト、反応性接着剤またはプロテインを使用することができる。
【0037】
本発明のケーシングは、ペースト状食品、特にソーセージエマルジョンを慣用の詰め込み装置を用いて詰め込むことができる。ソーセージケーシングとして用いる場合には、シャーリング付き状態(いわゆるシャーリング付きステック状物)でまたは個別切り離し物の状態で使用するのが有利である。この場合、個別切り離し物は一方の端で例えば金属製または合成樹脂クリップで、糸で結ぶことによってまたは縫い付けることによって閉じられている。この切り離し物を個別に充填装置の充填管に差し込み、エマルジョンソーセージを充填しそして閉じる。次いで後加工を通例の通り湯掻き、燻蒸、熟成等によって行うことができる。
【0038】
従って本発明の一つは本発明のケーシングを人造ソーセージケーシングとして、特に生ミートソーセージ、湯掻いたエマルジョンソーセージまたは調理したミートソーセージ用ケーシング、またはチーズ用ケーシングとして用いることである。
【0039】
以下の実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。百分率は他に指摘がないかまたはない様から明らかでない限り、重量%である。
【実施例1】
【0040】
19g/mの重量を有する麻繊維で製造された繊維フリースを、重なり合った長手方向縁部を有する直径40mmのチューブ状物に加工する(=直径40)。このチューブ状物をその外側で、環状被覆システムによって以下の混合物で被覆する:
50.0kgの水、
5.0kgの微細粉砕したチョーク、
30.0kgのゼラチン、
1.0kgのエポキシド化亜麻仁油((R)Edenol B316 Spezial:製造元 Henkel KgaA)、
1.5kgのCMC(カルボキシメチルセルロース−Na−塩)、
3.0Lのイソプロパノール。
【0041】
被覆後にケーシングを膨らました状態で熱い空気で乾燥し、次いで平らな状態で置きそして巻き取る。その後に、被覆物の重量を60g/mと測定した。このケーシングは問題なしにシャーリングを付けることができそして自動充填装置でソーセージエマルジョンを充填できた。
【0042】
サラミエマルジョンを充填したケーシングは10日の間に約20%の重量損失を示した。
【実施例2】
【0043】
102g/mの重量を有する木綿/ポリエステル混紡織物で、重なり合った長手方向縁部を有する直径60mmのチューブ状物に加工しそしてその外側を環状ドクターナイフによって以下の混合物で被覆する:
75.0kgの水、
7.5kgのセルロース(粉末状)、
45.0kgのゼラチン、
0.7kgのグリオキサール、
1.5kgの(R)Edenol B316 Spezial、
1.25kgのCMC(カルボキシメチルセルロース−Na−塩)および
4.5Lのイソプロパノール。
【0044】
被覆されたケーシングを膨らました状態で熱い空気で乾燥し、次いで平らな状態で置きそして巻き取る。乾燥後に被覆物の重量は80g/mと測定された。
【実施例3】
【0045】
58g/mの重量を有する木綿/ポリエステル混紡の平らな形状の支持材料で、重なり合った長手方向縁部を有する直径40mmのチューブ状物に加工し(=直径40)そしてその外側から以下の混合物で被覆する:
30.0kgのDAC(脱アミドコラーゲン)、
3.0kgのセルロース(粉末状)、
5.0kgのグリセリンおよび
1.0kgの(R)Edenol B316 Spezial。
そして実施例1と同様に乾燥する。その後にこのケーシングは150g/mの重量および60mmの充填直径を有している。次いでこれに生のソーセージエマルジョンを充填する。充填の際に5%の伸びが測定された。
【実施例4】
【0046】
21g/mの重量を有する麻繊維の繊維フリースで、重なり合った長手方向縁部を有する直径40mmのチューブ状物に加工する(=直径40)。このケーシングに次いでその外側を環状形状塗装システムによって以下の混合物で被覆する:
50.0kgの水、
5.0kgの微細粉砕したふすま(最大200μm)、
30.0kgのゼラチン、
0.5kgのグリオキサール、
1.0kgの(R)Edenol B316 Spezial、
1.5kgのCMC(カルボキシメチルセルロース−Na−塩)および
2.0kgのイソプロパノール。
【0047】
実施例1に記載された通り乾燥する。次いでその上にブチルアクリレ―トを別の層として塗布しそして乾燥した。得られるケーシングに生ソーセージエマルジョンを充填した。重量損失は5%であった。
【実施例5】
【0048】
102g/mの重量を有する木綿/ポリエステル混紡織物で、重なり合った長手方向縁部を有する直径75mmのチューブ状物に加工しそしてその外側に環状ドクターナイフによって以下の混合物を塗布した:
50.0kgの水、
5.0kgの微細粉砕したチョーク、
30.0kgのゼラチン、
0.5kgのグリオキサール、
0.0kgの(R)Edenol B316 Spezial、
1.5kgのCMC(カルボキシメチルセルロース−Na−塩)および
3.0Lのイソプロパノール。
【0049】
実施例1に記載された通り乾燥する。次いでその上に以下の組成の別の層を塗布する。
69.0kgの水、
1.8kgのグリセリン、
4.5kgのKPS−ワックス、
1.2kgの、イソトリデシル−ポリエチレングリコールエーテル((R)Genapol X-080)の20%濃度水溶液、
43.5kgのPVDC分散物(約55%の固形分含有量:(R)Ixan 554)。
そして得られたチューブ状物を再度乾燥した。このケーシングに生ソーセージエマルジョンを充填した。重量損失は2%であった。
【実施例6】
【0050】
40g/mの重量を有する木綿/ポリエステル混紡の繊維フリースに以下の混合物をドクターブレート塗装によって被覆する:
30.0kgのDAC(脱アミドコラーゲン)、
3.0kgのセルロース(粉末状)、
5.0kgのグリセリンおよび
1.0kgの(R)Edenol B316 Spezial。
【0051】
乾燥後にこうして被覆された繊維フリースは78g/mの重量を有している。この繊維フリースを152mmの幅で裁断してウェッブとし、これを次いでチューブ状物に加工した。重なり合った長手方向縁部を互いに縫合する。このようにして製造されたソーセージケーシングに生のソーセージエマルジョンを充填する。このものは48mmの充填直径を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆された平らな形状の補強組み入れ物を有するチューブ状食品用ケーシングにおいて、補強組み入れ物の少なくとも一方の側に、少なくとも1種類の造膜性プロテインを含有する被覆物が設けられていることを特徴とする、上記食品用ケーシング。
【請求項2】
平らな形状の組み入れ物が補強されたフリースまたは紡糸フリース、織製物、ループ形成編製物(loop-formingly knitted fabric)、ループ・ドローイング編製物(loop-drawing knitted fabric)またはレイド・ファブリック(laid fabric)または多孔質フリースフィルムである、請求項1に記載の食品用ケーシング。
【請求項3】
平らな形状の組み入れ物が含浸処理されている、請求項1または2に記載の食品用ケーシング。
【請求項4】
平らな形状の組み入れ物が天然繊維および/または合成繊維よりなり、特に木綿、再生セルロース、絹、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル、相応するコポリマーまたはそれらの混合物よりなる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項5】
平らな形状の組み入れ物が3〜400g/m、好ましくは10〜130g/m、特に好ましくは12〜75g/mの重量を有する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項6】
プロテインがゼラチンおよびコラーゲンを包含する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項7】
プロテインの割合がケーシングの総重量を規準として2.5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30〜75重量%である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項8】
被覆物が少なくとも1種類のプロテインの他に別の天然および/または合成ポリマーを含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項9】
別の天然または合成ポリマーがポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、および/または酢酸ビニルの単位および/または鹸化された酢酸ビニル(ビニルアルコール)の単位を有する(コ)ポリマーである、請求項8に記載の食品用ケーシング。
【請求項10】
別の天然または合成ポリマーが主要な可塑剤として作用する、請求項1〜9のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項11】
別の天然または合成ポリマーがアルギナート;ポリビニルピロリドン;ビニルピロリドン四元コポリマー、ビニルピロリドン、無水マレイン酸またはメチルビニルエーテルの単位を持つコポリマー;または架橋した多糖類である請求項10に記載の食品用ケーシング。
【請求項12】
別の天然および/または合成ポリマーの少なくとも1種類の割合がケーシングの乾燥重量を規準として50重量%まで、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは6〜25重量%である、請求項8に記載の食品用ケーシング。
【請求項13】
プロテインを架橋させそしてそれによって水溶性を低減または相殺させる少なくとも1種類の化合物を含有する請求項1〜10のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項14】
架橋剤がエポキシド化された亜麻仁油、(C10〜C18)−アルキル残基を持つジケテン、カラメル、タンニン、ジエポキシド、シトラール、アジリジン、グリオキサール、グルタルジアルデヒドおよび/またはポリアミン−ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂である、請求項13に記載の食品用ケーシング。
【請求項15】
染料および/または顔料を含有する、請求項1〜14のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項16】
染料および/または顔料の割合がケーシングの乾燥重量を規準として0.5〜12.0重量%、好ましくは1.0〜6.0重量%である、請求項15に記載の食品用ケーシング。
【請求項17】
プロテインを含有していない少なくとも1つの別の層を追加的に有する、請求項1〜16のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項18】
別の層がポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVOH)、合成ゴム、ラテックス、シリコーンまたはそれらの任意の混合物をベースとする層である、請求項1〜17のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項19】
内部および/または外部で、特にソーセージエマルジョン接合性を調整するのにまたは耐かび性の改善に役立つ剤および/または適用可能な着色剤、香気物質、香料および/または調味料を含有する剤で含浸処理する、請求項1〜18のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項20】
食品用ケーシングが長手方向シームを有し、特に接合シーム、シールまたは溶着シームまたは縫合シームを有する、請求項1〜19のいずれか一つに記載の食品用ケーシング。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか一つに記載の食品用ケーシングを製造する方法において、所定の幅を有する平らな形状の支持体材料をチューブ状物に成形し、このチューブ状物をその形状を維持するために支持用空気で満たすかまたは直径支持用リングによってそれの円筒形に保持しそしてプロテイン含有被覆物を内側および/または外側からシームレス状態でもたらすことを特徴とする、上記方法。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか一つに記載の食品用ケーシングを製造する方法において、平らな形状の支持体材料にプロテイン含有被覆物を片面または両面に適用し、被覆された支持体材料を場合によっては適当な幅に切断し、そして重なり合ったそれの長手方向縁部が好ましくは縫合、接合、シーリングまたは溶着によって互いに確り結合されたチューブ状物を形成することを特徴とする、上記方法。
【請求項23】
ソーセージ用人造ケーシングとしての、特に生ミートソーセージ、湯掻いたエマルジョンソーセージまたは調理したミートソーセージのためのケーシング、またはチーズ用ケーシングとしての、請求項1〜20のいずれか一つに記載の食品ケーシングの用途。
【請求項24】
いわゆるシャーリング付きステックとしてのシャーリングの付いた状態でまたは個々の切り離し状態で使用され、その際に個々の切り離し物が一方の末端を金属製またはプラスチック製クリップで、糸で結ぶことによってまたは縫い付けることによって閉じられていることを特徴とする、請求項23に従うソーセージケーシング。

【公表番号】特表2007−514424(P2007−514424A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544235(P2006−544235)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012769
【国際公開番号】WO2005/063027
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(505277510)カレ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (3)