説明

冊子固定用ファイルおよび冊子ファイリング方法

【目的】 加除が可能で、且つファイリング対象に綴じ孔が存在しなくても良いファイルを提供する。
【構成】 表板(21)、背板(23)および裏板(22)を備え、 前記背板(23)の内側面に冊子(10)を固定する冊子固定構造(30)を備える。 前記背板(23)の内側面における高さ方向の両端に位置する上下固定部材(30)と、その上下固定部材(30)に対して着脱自在な係合部材(40)とを備える。その係合部材(40)は、前記冊子(10)の背表紙(11)に設けられた被係合構造と前記上下固定部材(30)とに係合されることによって当該冊子(10)を表板(21)、背板(23)および裏板(22)の間に固定可能とする。係合部材(40)は、帯板状、複数のワイヤ、上下分離型などがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の紙葉類がひとまとまりとなって形成される一または複数の冊子をファイリングする際に用いるファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類を綴じ込むファイルは、綴じ込み対象となる紙葉における綴じ元側の所定箇所に円形の孔をあけて使用する。
当該ファイルは、表表紙、背表紙および裏表紙を備えるとともに、前記の円形孔を貫通させる丸棒たる綴じ足を備え、その綴じ足を着脱自在とすることで、前記紙葉類の加除を行いやすくしている。
【0003】
加除作業を行いやすくするため、特許文献1には、表表紙と裏表紙とを分離した構造をなすファイル構造に関する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−262249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したようなファイルおよびそのファイルにファイリングされる紙葉類に関しては、紙葉類の印刷面積に制約が生じるという問題点がある。すなわち、ファイリングのための支持棒を貫通させるための綴じ孔が存在することにより、印刷可能な面積が狭まってしまうのである。
本発明が解決しようとする課題は、加除が可能で、且つファイリング対象に綴じ孔が存在しなくても良いファイルを提供することにある。
【0006】
ここで、請求項1から請求項9に記載の発明の目的は、複数枚の紙葉類がひとまとまりとなって形成される一または複数の冊子ごとに加除が可能で、且つファイリングされる当該冊子に綴じ孔が存在しなくてもファイリングが可能なファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、 表板(21)、背板(23)および裏板(22)を備え、 前記背板(23)の内側面に冊子(10)を固定する冊子固定構造(30)を備えた冊子固定用ファイル(20)に係る。
すなわち、前記背板(23)の内側面における高さ方向の両端に位置する上下固定部材(30)と、 その上下固定部材(30)に対して着脱自在な係合部材(40)とを備え、 その係合部材(40)は、前記冊子(10)の背表紙(11)に設けられた被係合構造と前記上下固定部材(30)とに係合されることによって当該冊子(10)を表板(21)、背板(23)および裏板(22)の間に固定可能としたことを特徴とする。
【0008】
(用語説明)
「冊子(10)」とは、複数枚の紙葉類がひとまとまりとなって形成されており、本願発明のファイリング対象および加除の対象となる。
【0009】
(作用)
本請求項に係る冊子固定用ファイルは、表板(21)および裏板(22)を開き、前記背板(23)の内側面と、ファイリング対象である冊子(10)の背表紙(11)とを向かい合わせる。そして、上下固定部材(30)および係合部材(40)を用いて冊子(10)の背表紙(11)に設けられた被係合構造に固定する。係合部材(40)は、上下固定部材(30)に対して着脱自在であるので、加除が可能である。
また、冊子(10)には、その背表紙(11)に被係合構造を設けているが、綴じ孔は不要であるため、印刷面を広く確保することができる。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明を限定したものであり、
前記背板(23)の内側面における幅方向の両端に位置する左右支持部(33)を備えたことを特徴とする。
【0011】
(用語説明)
「左右支持部(33)」は、冊子固定用ファイル(20)における背板(23)の上下方向を補強する役割を担う。換言すれば、冊子固定用ファイル(20)における背板(23)が上下方向を撓ませるような外力に強い構造をなしている場合には、「左右支持部(33)」は必須構成ではなくなる。
【0012】
(作用)
前記背板(23)の内側面における幅方向の両端には左右支持部(33)を備えたので、ファイリング対象となった冊子(10)が安定する。
【0013】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の請求項1または請求項2のいずれかに記載の冊子固定用ファイルを限定したものであり、
前記係合部材(40)は、前記上下固定部材(30)を貫通する帯板状をなしていることを特徴とする。
【0014】
(用語説明)
「帯板状」の係合部材(40)とは、例えば鋼製の板を用いる。幅方向にやや湾曲させていると、長手方向の撓みなどに対する剛性が高まるので好ましい。
【0015】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の冊子固定用ファイルを限定したものである。
すなわち、 係合部材には、幅方向を実質的に変更可能な幅変更機構(40B)を備えたことを特徴とする冊子固定用ファイルに係る。
【0016】
(用語説明)
「幅変更機構」とは、ファイリング対象となる冊子の厚さに対応して、幅寸法を実質的に広くしたり狭めたりできるような機構である。例えば帯板の幅よりも広い長円形をなす板材の中心を帯板に軸支し、回転可能としておく。ファイリング対象となる冊子の厚さが帯板の幅ほどである場合には長円形板材は、帯板の幅方向から突出させない。ファイリング対象となる冊子の厚さが帯板の幅よりも広い場合には、帯板の幅方向から突出させるように位置させる。図4に示すように、平行移動する二本の棒材として形成しても良い。
【0017】
(作用)
係合部材(40B)には幅変更機構を備えているので、ファイリング対象となる冊子(10A,10B)の厚さにバリエーションがあっても、安定してファイリングすることができる。
【0018】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の冊子固定用ファイルを限定したものである。
すなわち、前記係合部材(40B)は、前記上下固定部材(30)を貫通する複数の棒状をなしていることを特徴とする。
【0019】
(用語説明)
「係合部材(40B)」について「複数」とは、一般的には二本である。ファイリング対象となる冊子(10)における被係合構造に対して、その幅方向の両端に位置させれば、係合した際に当該冊子が安定してファイル内に収まるからである。なお、ファイリング対象となる冊子(10)が厚い場合には、係合部材を三本以上とした方がよい場合もある。
棒状の係合部材としては、例えばピアノ線のように剛性の高い材質にて形成することが望ましい。
【0020】
(作用)
上下固定部材(30)を貫通する複数の棒状の係合部材としたので、ファイリング対象となる冊子(10)に対する係合作業が行いやすい場合がある。
【0021】
(請求項6)
請求項6記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の冊子固定用ファイルを限定したものであり、
前記係合部材(40)は、前記上下固定部材(30)における上固定部(31)および下固定部(32)のそれぞれに対して係合する上係合部材および下係合部材(40A,40C)から形成したことを特徴とする。
【0022】
(作用)
たとえば図3または図5に示すように、係合部材(40)が上下に分離されているので、固定作業または取り外し作業がやりやすい場合がある。
【0023】
(請求項7)
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の冊子固定用ファイルを限定したものである。
すなわち、 前記係合部材(40E,40F)は、前記上下固定部材(30)における上固定部(31)または下固定部(32)のいずれかに予め固定されていることを特徴とする。
【0024】
(作用)
係合部材(40E,40F)が予め上下固定部材(30)に固定されているので、紛失しないという利点があり、固定作業または取り外し作業がやりやすい場合がある。
【0025】
(請求項8)
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の冊子固定用ファイルを限定したものである。
すなわち、前記上下固定部材(30)には、前記係合部材(40)の着脱を行うための着脱具(たとえば鍵部材34)を備えたことを特徴とする。
【0026】
(用語説明)
「着脱具」とは、たとえば各種のストッパ部材である。
【0027】
(作用)
上下固定部材(30)に着脱具を備えているので、固定時には冊子(10)が安定しており、差し替え時には固定作業または取り外し作業がやりやすい。
【0028】
(請求項9)
請求項9記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の冊子固定用ファイルを限定したものである。
すなわち、 前記係合部材(40)は、冊子(10)を固定した際に前記背板(23)の表面に位置する表面表出部(たとえば背折り返し部43)を備えたことを特徴とする。
【0029】
(作用)
係合部材(40)には表面表出部(43)を備えているので、その表面表出部(43)を目印として用いることができる。たとえば、差し替え時期や冊子のタイトルを表面表出部(43)に示したり、その表面表出部(43)にシールなどを貼付することができる。
【0030】
(請求項10)
請求項10記載の発明は、 表板、背板および裏板を備え、 前記背板の内側面に冊子を固定する冊子固定構造を備えるとともに、 前記背板の内側面における高さ方向の両端に位置する上下固定部材と、 その上下固定部材に対して着脱自在な係合部材と、を備えた冊子固定用ファイルを用い、 前記冊子の背表紙に設けられた被係合構造と前記上下固定部材とを係合して当該冊子を表板、背板および裏板の間に固定することとした冊子ファイリング方法に係る。
【0031】
(請求項11)
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の冊子ファイリング方法を限定したものである。
すなわち、 前記係合部材によって上下固定部材の係合状態を外す係合解除手順と、 その係合解除手順にてフリーとなった冊子を冊子固定用ファイルから外す冊子取り外し手順とからなる差し替え手順を備える。
【発明の効果】
【0032】
請求項1から請求項9に記載の発明によれば、加除が可能で、且つファイリング対象に綴じ孔が存在しなくても良い冊子固定用ファイルを提供することができた。
また、請求項10および請求項11に記載の発明によれば、ファイリング対象に綴じ孔が存在しなくても良い冊子固定用ファイルによって、冊子の加除が可能な冊子ファイリング方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本願発明の実施の形態について、図面を参照させながら説明する。ここで使用する図面は、図1から図11である。
【0034】
(第一の実施形態)
図1に示す第一の実施形態は、表板(21)、背板(23)および裏板(22)を備え、 前記背板(23)の内側面に冊子(10)を固定する冊子固定構造(30)を備えた冊子固定用ファイル(20)である。
ファイリング対象および加除の対象となる冊子(10)は、複数枚の紙葉類がひとまとまりとなって形成されており、背表紙の部分が二重構造となっていて、この部分が前記の冊子固定用ファイル(20)に対する被係合構造となる。
【0035】
前記の冊子固定用ファイル(20)は、前記背板(23)の内側面における高さ方向の両端に位置する上下固定部材(30)と、前記背板(23)の内側面における幅方向の両端に位置する左右支持部(33)とで、四角枠を形成している。この四角枠の内側に、冊子(10)を二冊、固定する。 「左右支持部(33)」は、冊子固定用ファイル(20)における背板(23)の上下方向を補強する役割を担う。冊子固定用ファイル(20)を縦置きとした場合にも、ファイリング対象となった冊子(10)が安定する。
また、背板(23)の内側面における高さ方向の両端に位置する上下固定部材(30)と、その上下固定部材(30)に対して着脱自在な係合部材(40)とを備える。上下固定部材(30)における上固定部(31)および下固定部(32)には、四角枠の内外を貫通する固定用孔をそれぞれ二つずつ備えている。
【0036】
係合部材(40)は、前記冊子(10)の背表紙(11)に設けられた被係合構造と前記上下固定部材(30)とに係合されることによって当該冊子(10)を表板(21)、背板(23)および裏板(22)の間に固定可能としている。すなわち、ファイリング対象となる冊子(10)の厚さよりも短い幅の帯板状をなしており、その一端に上折り返し部(41)を備え、その上折り返し部(41)とは反対側の端部付近に鍵孔(42)を備えている。
係合部材(40)は、上下固定部材(30)における上固定部(31)の貫通孔を貫通させ、続いてファイリング対象となる冊子(10)における二重構造となった背表紙の部分を貫通させ、下固定部(32)の貫通孔を貫通させて固定する。
【0037】
図2には、冊子(10)、係合部材(40)、上下固定部材(30)の関係を断面図にて示している。下固定部(32)には、バネ(35)を介して回動可能となった鍵部材(34)が備えられている。この鍵部材(34)が、冊子(10)の背表紙を貫通してきた係合部材(40)における鍵孔(42)と係合する。それによって冊子(10)が冊子固定用ファイル(20)に固定される。
上下固定部材(30)の枠体内における背板(23)の内側面には、冊子(10)の背表紙を貫通した係合部材(40)を上下固定部材(30)の貫通孔に貫通させる際のガイドとして、係合部材支持部(36)および複数の背表紙支持部(37)を設けている。また、背表紙支持部(37)は、係合部材(40)を伴った冊子(10)の背表紙を支持する機能も発揮する。
冊子(10)を差し替えるには、鍵部材(34)を押し下げて鍵孔(42)との係合を解除し、係合部材(40)の上折り返し部(41)を持って引き抜く。
【0038】
係合部材(40)を上下固定部材(30)に対して着脱自在とするための構造として、本実施形態では、係合部材(40)における鍵孔(42)と、それに対応する下固定部(32)における鍵部材(34)を採用した。しかし、下固定部(32)側から係合部材(40)を挿入するとともに、上固定部(31)に鍵部材(34)を備えることとしてもよい。
また、着脱自在とする構造を上固定部(31)および下固定部(32)の両方に設けることとしても良い。
【0039】
(図3)
図3には、第二の実施形態を示している。この実施形態に示すのは、第一の実施形態と異なり、左右支持部(33)を備えず、上下固定部材を分離型上下固定部材(30A)としている。これは、冊子固定用ファイル(20)における背板(23)の強度を高めるとともに、ファイリング対象である冊子(10)の背表紙(11)の強度を高めるなどの工夫によって、左右支持部(33)を省略できるようにしたものである。
また、第一の実施形態にて採用した帯板状の係合部材(40)ではなく、上下に二枚とした短板型係合部材(40A)を採用した。冊子(10)が頻繁に着脱する必要のあるものである場合には、便利である。
なお、図示例では左右支持部(図1では33)を省略しているが、必要に応じて設けることとしても良い。
【0040】
(図4)
図4には、第三の実施形態を示している。この実施形態に示すのは、前述の実施形態と異なり、冊子の厚さの違いに対応できるものである。
図に示すように、ファイリング対象が厚い冊子(10A)と薄い冊子(10B)となっている。一方、この実施形態における係合部材は、幅調整係合部材(40B)である。この幅調整係合部材(40B)は、平行移動する二本の棒材として形成している。
平行移動させることで幅調整係合部材(40B)の実質的な幅を調整し、厚い冊子(10A)にも薄い冊子(10B)にも対応できる。
【0041】
(図5)
図5には、第四の実施形態を示している。この実施形態も、第三の実施形態と同じく、冊子の厚さの違いに対応できる。
すなわち、この実施形態における係合部材をピン型係合部材(40C)とし、上下固定部材は、幅方向に複数の貫通孔を備えたピン受け型上下固定部材(30B)としている。 ピン型係合部材(40C)をピン受け型上下固定部材(30B)のどの貫通孔に係合させるかを選択することで、厚い冊子(10A)にも薄い冊子(10B)にも対応できる。
なお、図示例では左右支持部(図1では33)を省略しているが、必要に応じて設けることとしても良い。
【0042】
(図6)
図6には、第一の実施形態のバリエーションである第五の実施形態を示している。
この実施形態における係合部材は、冊子(10)をファイリングした際に背板(23)の上端を跨ぐ背折り返し部(43)を備えた背名札型係合部材(40D)としている。図6(a)に示すように、例えばこの背折り返し部(43)に、シール状の名札(43A)を貼付すれば、この冊子固定用ファイル(20)が本棚などに並べられていても、冊子固定用ファイル(20)を開くことなく、どんな冊子(10)が存在するのかを確認することができる。
【0043】
(図7)
図7には、第六の実施形態を示している。
この実施形態における係合部材は、Ω字形をなす金属ワイヤ製のΩ型係合部材(40E)としている。そして、そのΩ型係合部材(40E)の両端部を回動可能に支持する係合ワイヤ支持部(31A)を、上下固定部材における上固定部としている。また、下固定部は係合ワイヤ支持部(31A)と向き合う位置でΩ型係合部材(40E)を固定する係合ワイヤ固定部(32A)としている。
【0044】
この実施形態では、冊子(10)の背表紙(11)に対する挿入作業において、Ω型係合部材(40E)が係合ワイヤ支持部(31A)と一体であるため、作業が行いやすい場合がある。すなわち、図7(a)に示すように、Ω型係合部材(40E)を垂直に立て、持ち上げた冊子(10)を降ろしていけば背表紙(11)にΩ型係合部材(40E)を挿入することができる。また、挿入後は、図7(b)に示すように、冊子(10)とΩ型係合部材(40E)とを倒し、係合ワイヤ固定部(32A)に固定すればよい。
なお、図示例では左右支持部(図1では33)を省略しているが、必要に応じて設けることとしても良い。
【0045】
(図8および図9)
図8および図9には、第七の実施形態を示している。
この実施形態における係合部材は、太めの金属ワイヤ製の棒型係合部材(40F)としている。その棒型係合部材(40F)の一端部を回動可能に支持する係合棒支持部(31B)を、上下固定部材における上固定部としている。また、下固定部は係合棒支持部(31B)と向き合う位置で棒型係合部材(40F)を固定する係合棒固定部(32B)としている。
【0046】
この実施形態では、薄い冊子(10B)をファイリング対象とする場合を図示している。すなわち、図8(a)に示すように、棒型係合部材(40F)を立てつつ持ち上げた冊子(10B)を降ろしていけば、棒型係合部材(40F)が背表紙(11)に挿入できる。挿入後は、図8(b)に示すように、冊子(10)と棒型係合部材(40F)とを倒し、図9に示すように係合棒固定部(32B)に固定すればよい。
なお、図示は省略しているが、厚い冊子にも対応できるように、係合棒支持部(31B)および係合棒固定部(32B)は、棒型係合部材(40F)の挿入孔をいくつか用意している。また、図示例では左右支持部(図1では33)を省略しているが、必要に応じて設けることとしても良い。
【0047】
例えば、棒型係合部材(40F)における係合棒支持部(31B)に対応する端部をL字形に曲げておき、係合棒支持部(31B)に挿入したら90度回転させることによって、係合棒支持部(31B)に対して回動可能とするとともに、必要に応じて係合棒支持部(31B)から外すことができるようにしても良い。
【0048】
(図10)
図10には、第八の実施形態を示している。この第八の実施形態は、第七の実施形態のハイブリッド型ともいえる実施形態である。
すなわち、上固定部としては、幅調整棒支持部(31C)を備え、係合部材としての幅調整棒型係合部材(40G)とともに、ファイリング対象である冊子(10)の厚さに応じた調整が可能である。下固定部としては、上固定部と同じようにファイリング対象である冊子(10)の厚さに応じた調整が可能な幅調整棒固定部(32C)を備えている。その幅調整棒固定部(32C)は、棒状をなす幅調整棒型係合部材(40G)の端部を固定する。
なお、図示例では左右支持部(図1では33)を省略しているが、必要に応じて設けることとしても良い。
【0049】
(図11)
図11に示す実施形態は、図1に示す実施形態のバリエーションである。
すなわち、係合部材(40)における下固定部(32)側の端部の形状を山形にしている。この形状を選択することによって、冊子(10)の背表紙(11)に対する挿入作業が行いやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本願発明は、ファイルの製造業、ファイリング(冊子の差し替え)の代行サービス業などにおいて、利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第一の実施形態を示す組み立て斜視図である。
【図2】第一の実施形態を示す断面図である。
【図3】第二の実施形態を示す組み立て斜視図である。
【図4】第三の実施形態を示す組み立て斜視図である。
【図5】第四の実施形態を示す組み立て斜視図である。
【図6】第五の実施形態の主要部を示す斜視図である。
【図7】第六の実施形態を示す組み立て斜視図である。
【図8】第七の実施形態を示す組み立て斜視図である。
【図9】第七の実施形態を示す斜視図である。
【図10】第八の実施形態を示す組み立て斜視図である。
【図11】第一の実施形態のバリエーションを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10 冊子(ファイリング対象) 10A 厚い冊子
10B 薄い冊子
11 背表紙
20 冊子固定用ファイル 21 表板
22 裏板 23 背板
30 上下固定部材 30A 分離型上下固定部材
30B ピン受け型上下固定部材
31 上固定部 31A 係合ワイヤ支持部
31B 係合棒支持部 31C 幅調整棒支持部
32 下固定部 32A 係合ワイヤ固定部
32B 係合棒固定部 32C 幅調整棒固定部
33 左右支持部
34 鍵部材 35 バネ
36 係合部材支持部 37 係合部材支持突起
40 係合部材 40A 短板型係合部材
40B 幅調整係合部材 40C ピン型係合部材
40D 背名札型係合部材 40E Ω型係合部材
40F 棒型係合部材 40G 幅調整棒型係合部材
41 上折り返し部 42 鍵孔
43 背折り返し部 43A 名札

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表板、背板および裏板を備え、 前記背板の内側面に冊子を固定する冊子固定構造を備えた冊子固定用ファイルであって、
前記背板の内側面における高さ方向の両端に位置する上下固定部材と、
その上下固定部材に対して着脱自在な係合部材とを備え、
その係合部材は、前記冊子の背表紙に設けられた被係合構造と前記上下固定部材とに係合されることによって当該冊子を表板、背板および裏板の間に固定可能としたことを特徴とする冊子固定用ファイル。
【請求項2】
前記背板の内側面における幅方向の両端に位置する左右支持部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冊子固定用ファイル。
【請求項3】
前記係合部材は、前記上下固定部材を貫通する帯板状をなしていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の冊子固定用ファイル。
【請求項4】
係合部材には、幅方向を実質的に変更可能な幅変更機構を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の冊子固定用ファイル。
【請求項5】
前記係合部材は、前記上下固定部材を貫通する複数の棒状をなしていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の冊子固定用ファイル。
【請求項6】
前記係合部材は、前記上下固定部材における上固定部および下固定部のそれぞれに対して係合する上係合部材および下係合部材から形成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の冊子固定用ファイル。
【請求項7】
前記係合部材は、前記上下固定部材における上固定部または下固定部のいずれかに予め固定されていることを特徴とする請求項1から請求項6に記載の冊子固定用ファイル。
【請求項8】
前記上下固定部材には、前記係合部材の着脱を行うための着脱具を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の冊子固定用ファイル。
【請求項9】
前記係合部材は、冊子を固定した際に前記背板の表面に位置する表面表出部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の冊子固定用ファイル。
【請求項10】
表板、背板および裏板を備え、 前記背板の内側面に冊子を固定する冊子固定構造を備えるとともに、 前記背板の内側面における高さ方向の両端に位置する上下固定部材と、 その上下固定部材に対して着脱自在な係合部材と、を備えた冊子固定用ファイルを用い、
前記冊子の背表紙に設けられた被係合構造と前記上下固定部材とを係合して当該冊子を表板、背板および裏板の間に固定することとした冊子ファイリング方法。
【請求項11】
前記係合部材によって上下固定部材の係合状態を外す係合解除手順と、
その係合解除手順にてフリーとなった冊子を冊子固定用ファイルから外す冊子取り外し手順とからなる差し替え手順を備えた請求項10に記載の冊子ファイリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−273068(P2008−273068A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120230(P2007−120230)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(399109687)第一法規株式会社 (3)
【Fターム(参考)】