説明

再生装置および映像制作システム

【課題】映像制作における効率の向上を図る。
【解決手段】この再生装置は、映像信号が記録された記録媒体から映像信号を再生する再生部と、ネットワークを通じて接続された端末装置に、再生された映像信号における任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報をユーザに選択させる第1のGUIデータを供給する第1のGUI供給部と、選択された色変換情報で選択されたシーンの色変換を行った画像をスナップショットとして作成し、このスナップショットをアクセスするために必要なアクセス情報を含むメタデータをネットワークを通じて接続されたサーバ装置に保存するメタデータ処理部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、テープなどの記録媒体から映像信号を再生する再生装置およびこの再生装置を有する映像制作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シネマなどの映像の制作においては、撮影時に撮影後の画調調整を前提とした撮影ガンマ(例えばS−Logガンマなど)が用いられることがある。この種の撮影ガンマは、暗部とハイライトの情報をより多く取り込むことができるように非線形関数で設計されたものである。暗部とハイライトの情報量をより多くとれることによって、ポストプロダクション作業におけるカラーコレクションの自由度を広げることができる。
【0003】
S−Log映像はリニアスペースで処理を行うモニターにそのまま出力すると暗い画となってしまうため、S−Log映像をリニアスペースに変換するビューイングLUTとモニターのガンマ特性を示すモニターLUTを通して表示することで、S−Log映像の色をモニター上で再現している。また、映像制作の場では、監督者がS−Log映像をモニターを通して見て、ポストプロダクションにおけるカラーグレーディングの編集者に自分の意図する色を指示することが行われる。
【0004】
しかし、監督者がS−Log映像を見る環境とカラーグレーディングの編集者がS−Log映像を見る環境との間でビューイングLUTやモニターLUTなどの色変換情報に違いあると、双方のモニターに表示された映像の色の見え方に違いが生じるため、監督者が意図する色が編集作業に正しく反映されない場合が考えられる。
【0005】
特許文献1では、ポストプロダクション処理が施された映像を撮影時にシミュレーションするときに用いたシミュレーション用ガンマ補正パラメータを、記録用の映像信号とともに次工程のポストプロダクション処理に伝達することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4363468号公報(段落0036)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のものは、記録用の映像信号とともにシミュレーション用ガンマ補正パラメータを伝達する方式である。このため、撮影時のタイミングでしかシミュレーション用ガンマ補正パラメータを付加できない。したがって、既に撮影された映像について監督者が色変換情報を決定し、編集環境にその色変換情報を伝達するような用途には不向きである。また、上記の特許文献1に記載のものは、映像信号に1つのシミュレーション用ガンマ補正パラメータしか付加できないなどの制約がある。この点が映像制作における効率向上の壁となり得る。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、映像制作における効率の向上を図ることのできる再生装置および映像制作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本技術に係る再生装置は、映像信号が記録された記録媒体から前記映像信号を再生する再生部と、前記ネットワークを通じて接続された端末装置に、前記再生された映像信号における任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報をユーザに選択させる第1のGUIデータを供給する第1のGUI供給部と、前記選択された色変換情報で前記選択されたシーンの色変換を行った画像をスナップショットとして作成し、このスナップショットをアクセスするために必要なアクセス情報を含むメタデータを前記ネットワークを通じて接続されたサーバ装置に保存するメタデータ処理部とを具備する。
【0010】
本技術によれば、記録媒体に記録後の映像信号に対して、端末装置にて、任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報を選択することができる。また、色変換情報により色変換がされた映像シーンのスナップショットへのアクセス情報を含むメタデータをサーバ装置に保存することによって、サーバ装置にアクセス可能な機器のユーザが随時メタデータを参照することができる。これにより、例えば、映像信号の編集を行うユーザがサーバ装置に保存されたメタデータを参照することで、端末装置のユーザがモニターを通して見ていたスナップショットを再現する環境を編集装置において容易につくることができる。この結果、編集装置での映像信号のカラーグレーディングに、端末装置のユーザの意図を正しく反映させることが可能となる。
【0011】
本技術に係る再生装置は、前記サーバ装置に保存された前記メタデータを前記ネットワークを通じて取得し、取得した前記メタデータに含まれる前記アクセス情報をもとにスナップショットを取得し、このスナップショットを含む第2のGUIデータを作成して前記端末装置に供給する第2のGUI供給部をさらに有するものであってもよい。
【0012】
また、メタデータは、第1のモニターのLUT(Look up Table )を特定する情報を含むようにしてもよい。これにより、編集環境にある第2のモニターのLUTを端末装置の第1のモニターのそれに合わせることによって、端末装置のユーザがモニターを通して見ていたスナップショットを再現する環境を編集装置において容易につくることができる。
【0013】
前記メタデータは、前記端末装置のユーザ名と、ユーザ間の優先度の情報をさらに含み、前記第2のGUI供給部は、複数のユーザの前記メタデータが存在する場合、前記複数のユーザ間の優先度を加味した表示形態の第2のGUIデータを作成するようにしてもよい。
【0014】
前記第2のGUIデータは、ユーザからのコメントを入力可能なコメント入力ボックスを有し、前記再生装置は、前記コメント入力ボックスに入力されたコメントを取得し、前記メタデータへ追加されるように前記コメントを前記サーバ装置にアップロードするコメント処理部をさらに具備するものであってもよい。これによりユーザのコメントをメタデータに付加して、他のユーザとの間でコメントの交換を行うことができる。
【0015】
本技術に係る再生装置は、色変換情報を前記ユーザに作成させる環境を含む第3のGUIデータを前記端末装置に供給する第3のGUI供給部をさらに具備するものであってもよい。
【0016】
本技術に係る再生装置は、前記端末装置で任意のシーンが前記ユーザによって選択されたとき、少なくとも、前記スナップショットへの第1のURLリンクと、前記シーンにあてるように選択された前記色変換情報への第2のURLリンクが予め設けられ、前記映像信号を編集する編集装置に宛てた電子メールの編集および送信のための環境を有する第4のGUIデータを前記端末装置に供給する第4のGUI供給部をさらに具備するものであってもよい。これにより、編集装置において電子メールに設けられたURLリンクを利用してスナップショットおよび色変換情報を容易に取得することができ、編集装置での映像信号のカラーグレーディングに、端末装置のユーザの意図を正しくかつ容易に反映させることが可能となる。
【0017】
本技術の別の側面の映像制作システムは、映像信号が記録された記録媒体から前記映像信号を再生してファイル化する再生部を有する再生装置と、この再生装置とネットワークを通じて接続された端末装置と、前記再生装置より生成された前記映像信号のファイルを保存可能なサーバ装置と、前記サーバ装置に保存された前記映像信号のファイルを取得し前記映像信号の編集を行う編集装置とを有する映像制作システムであって、前記再生装置は、前記端末装置に、前記再生された映像信号における任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報をユーザに選択させる第1のGUIデータを供給するGUI供給部と、前記選択された色変換情報で前記選択されたシーンの色変換を行った画像をスナップショットとして作成し、このスナップショットをアクセスするために必要なアクセス情報を含むメタデータを前記ネットワークを通じて接続されたサーバ装置に保存するメタデータ処理部とを有し、前記端末装置は、前記再生装置より供給された第1のGUIデータを表示するモニターと、前記ユーザからの選択を受け付ける入力部とを具備する。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本技術によれば、映像制作の効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本技術に係る第1の実施形態の映像制作システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の映像制作システムにおけるファイル転送モジュールの構成とVTRの構成の一部を示す図である。
【図3】第1の実施形態の映像制作システムにおける端末装置の外観図である。
【図4】図3の端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】図3の端末装置において表示されるホーム画面を示す図である。
【図6】図3の端末装置において表示されるホーム画面、VTR Setup画面、LUTメニュー画面を示す図である。
【図7】図3の端末装置において表示されるCineon LUT画面を示す図である。
【図8】図3の端末装置において表示されるCustom LUT画面を示す図である。
【図9】図3の端末装置において表示されるMonitor画面を示す図である。
【図10】図3の端末装置において表示されるCassetteメニュー画面、Cassette情報画面、Clip List画面を示す図である。
【図11】図3の端末装置において表示されるDisk Setup画面を示す図である。
【図12】図3の端末装置において表示されるVTR Viewer画面、VTR Viewerのセットアップ画面を示す図である。
【図13】図3の端末装置においてポップアップを表示したVTR Viewer画面、メール送信画面を示す図である。
【図14】図3の端末装置において表示されるSnap-List画面を示す図である。
【図15】図3の端末装置において表示されるSnap-Info画面を示す図である。
【図16】Snap XMLの例を示す図である。
【図17】第1の実施形態の映像制作システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本技術に係る実施形態を詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本技術に係る第1の実施形態の映像制作システムの構成を示すブロック図である。
本実施形態の映像制作システム100は、VTR(Video Tape Recorder)10と、端末装置20と、サーバ装置30と、編集装置40と、これらを接続するローカルエリアネットワーク50ならびにインターネット60とを有する。
【0021】
VTR10は、カメラ(図示せず)により撮影された映像信号および録音された音声信号のテープへの記録、再生、フォーマット変換、ダウンコンバート、ファイルへの変換などを行うことが可能な機器である。VTR10にはオプション機器としてファイル転送モジュール16が搭載されている。ファイル転送モジュール16は、VTR10においてファイルに変換された映像/音声信号をローカルエリアネットワーク50を通じてサーバ装置30に転送することができる。サーバ装置30は、VTR10のファイル転送モジュール16によって転送された映像信号および音声信号のファイルを決められた共有ディレクトリに保存する。
【0022】
映像制作システム100では、監督者がVTR10のテープに収録された映像を見て、その中の任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報を決定し、シーンに関する情報と色変換情報を編集装置40のユーザに伝達することが行われる。端末装置20は、このような映像制作システム100において、監督者等によって利用される機器である。また、ユーザが異なる複数の端末装置20が映像制作システム100に同時に存在することも可能である。端末装置20は、映像制作環境における監督者の活動の場が広範囲に亘ることから携帯型の機器であることが望ましい。
【0023】
VTR10にオプション機器として接続されるファイル転送モジュール16は、端末装置20のユーザとの間でGUI(Graphical User Interface)による対話的なやりとりを通じて、端末装置のユーザより各種のセットアップ情報を取得することができる。
【0024】
ファイル転送モジュール16は、テープ70から再生された映像信号における任意のシーン、このシーンにあてる色変換情報などを端末装置20のユーザに選択させるためのGUIデータ(第1のGUIデータ)を端末装置20に供給する(第1のGUI供給部)。ファイル転送モジュール16は、GUIデータを用いてユーザより選択された色変換情報で、選択されたシーンの色変換を行った画像をスナップショットとして作成する。ファイル転送モジュール16は、作成したスナップショットのファイルをアクセスするために必要なアクセス情報を含むメタデータを作成して、このメタデータをローカルエリアネットワーク50を通じて接続されたサーバ装置30に保存することができる(メタデータ処理部)。
【0025】
ファイル転送モジュール16は、サーバ装置30に保存されたメタデータを取得し、取得したメタデータに含まれるアクセス情報をもとにスナップショットを取得し、このスナップショットを含むGUIデータ(第2のGUIデータ)を作成して端末装置20に供給する(第2のGUI供給部)。このGUIデータ(第2のGUIデータ)は、ユーザからのコメントを入力可能なコメント入力ボックスを有する。ファイル転送モジュール16は、コメント入力ボックスに入力されたコメントを取得し、サーバ装置30に保存されたメタデータへ追加されるようにコメントをサーバ装置30にアップロードする(コメント処理部)。
【0026】
ファイル転送モジュール16は、色変換情報をユーザに作成させる環境を含むGUIデータ(第3のGUIデータ)を端末装置20に供給することができる(第3のGUI供給部)。
【0027】
ファイル転送モジュール16は、端末装置20で任意のシーンがユーザによって選択されたとき、スナップショットへの第1のURLリンクと、シーンにあてるように選択された色変換情報への第2のURLリンクが予め設けられた電子メールの編集および送信のための環境を有するGUIデータ(第4のGUIデータ)を端末装置20に供給することも可能である(第4のGUI供給部)。
【0028】
編集装置40は、サーバ装置30に保存された映像信号のカラーグレーディングなどのポストプロダクションの作業を支援する、例えばパーソナルコンピュータなどの機器である。編集装置40は、サーバ装置30に保存されたメタデータを参照することによって、端末装置20のユーザがモニターを通して見ていたスナップショットを再現する環境を編集装置40において容易につくることができる。
【0029】
また、編集装置40は、端末装置20から届いた電子メールの本文に設定されたスナップショットへの第1のURLリンク、色変換情報への第2のURLリンクを利用してそれらのファイルを取得できる。これにより編集装置40での映像信号のカラーグレーディングにおいて、端末装置20のユーザの意図を正しくかつ容易に反映させることが可能となる。
【0030】
[VTR10のハードウェア構成]
図2はファイル転送モジュール16の構成とVTR10の構成の一部を示す図である。
VTR10は、テープ再生部11、イコライザ12、オーディオプロセッサ13、ビデオプロセッサ14、システムコントローラ15などを有する。
【0031】
テープ再生部11は、テープ70に記録された映像信号および音声信号の再生を行う。
イコライザ12は、テープ再生部11によってテープ70から再生された信号の周波数特性をテープ70への収録以前の特性に復元する。
オーディオプロセッサ13は、イコライザ12より出力された音声信号のフォーマット変換、ファイル変換などの各種処理を行う。
ビデオプロセッサ14は、イコライザ12より出力された映像信号のフォーマット変換、ファイル変換、ダウンコンバートなどの各種処理を行う。
【0032】
システムコントローラ15は、ファイル転送モジュール16のCPU17との間でコマンド、ステータスの送受信を行う。システムコントローラ15は、ファイル転送モジュール16のCPU17からのコマンドに応じて、テープ再生部11、イコライザ12、オーディオプロセッサ13及びビデオプロセッサ14を制御する。
【0033】
[ファイル転送モジュール16のハードウェア構成]
ファイル転送モジュール16は、CPU(Central Processing Unit)17、PLD(Programmable Logic Device)18、ネットワークI/F19a、ROM(Read Only Memory)19b、RAM(Random Access Memory)19cなどで構成される。
【0034】
PLD18は、VTR10内のオーディオプロセッサ13から供給される音声ファイルとビデオプロセッサ14から供給される映像ファイルをローカルエリアネットワーク50を通じて転送可能な形式に変換する処理などを行う。
【0035】
ネットワークI/F19aは、ローカルエリアネットワーク50との接続用のインタフェースである。
【0036】
ROM19bは、CPU17によって実行されるプログラムなどが格納された記憶部である。
【0037】
RAM19cは、CPU17のためのワーキングスペースとして用いられる記憶部である。
【0038】
CPU17は、ROM19bに記憶されたプログラムに基づき、上記のメタデータ処理部、第1のGUI供給部、第2のGUI供給部、コメント処理部、第3のGUI供給部、第4のGUI供給部としての処理を行う。
【0039】
[端末装置20の構成]
図3は端末装置20の外観図、図4は端末装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
端末装置20は、例えばユーザが片手で持って操作できる程度のサイズを有する携帯機器などである。また、ノート型のパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどであってもよい。端末装置20は、タッチセンサ21が設けられた液晶ディスプレイなどのモニターからなる表示部22を有し、ユーザが指で表示部22の任意の位置にタッチすることで、そのタッチされた位置の座標データがタッチセンサ21によって検出されてCPU23に供給される。
【0040】
端末装置20は、タッチセンサ21、表示部22、CPU23の他、ROM24、RAM25、ストレージ部26、ネットワークI/F27、バス28、GPS(Global Positioning System)受信部29などを有する。ROM24にはCPU23により実行されるプログラムなどが格納されている。CPU23は、ROM24に格納されたプログラムを実行し、RAM25を作業空間として各種の制御および演算処理を実行する。ストレージ部26には例えばユーザデータなどを記憶することが可能である。そして、端末装置20は、ネットワークI/F27を通じてローカルエリアネットワーク50およびインターネット60などに接続可能である。GPS受信部29は、端末装置20の緯度・経度情報を取得する。
【0041】
サーバ装置30および編集装置40はそれぞれ、典型的なコンピュータシステムを用いて構成されたものである。サーバ装置30は、CPU、ROM、RAM、ネットワークI/Fのほか、ハードディスクドライブなどの比較的大容量のストレージを備える。このストレージに、VTR10のファイル転送モジュール16により転送された映像/音声ファイル、Snap XMLファイルなどが蓄積される。編集装置40は、CPU、ROM、RAM、ストレージ、ネットワークI/Fを有する本体と、モニターと、マウスやキーボードなどの入力装置とを備える。本体のストレージには、映像の編集環境を提供する映像編集プログラム、電子電子メールクライアントプログラムなどが導入されている。
【0042】
[映像制作システムの動作]
次に、本実施形態の映像制作システム100の動作を説明する。
動作の説明は端末装置20の表示部22に表示されるGUIとこのGUIに対する操作を中心に行う。順番は以下の通りである。
1.ホーム画面
2.VTR Setup
3.Disk Setup
4.VTR Viewer
5.スナップリストの参照とコメント編集
6.メタデータの電子メール送信
【0043】
[1.ホーム画面]
図5のA−1は、端末装置20において、まだ映像制作システム100を運用するために必要なセットアップが完了していない時点でのホーム画面を示す図である。このホーム画面には、VTR IP入力ボックス201、ウィンドウタイプ選択メニュー202、Open GUIボタン203などが設けられている。このホーム画面において、VTR IPの入力ボックス201は空白であり、ここにVTR10に割り当てられたIPアドレスが設定される。
【0044】
VTR10のIPアドレスを設定するために、図5のA−1に示すように、まずユーザは空白のVTR IP入力ボックス201にタッチする。すると、図5のA−2に示すように、ホーム画面にソフトウェアキーボード204が現れる。ユーザはこのソフトウェアキーボード204へのタッチ操作によってIPアドレスの入力を行う。入力されたIPアドレスはVTR IP入力ボックス201内に表示される。IPアドレスの入力が完了した後、例えばDoneボタン205にタッチすることなどによりVTR10のIPアドレスの設定が完了する。
【0045】
ホーム画面上のウィンドウタイプ選択メニュー202は、ホーム画面からとのウィンドウタイプの画面を呼び出すかを指定するためのメニューである。このウィンドウタイプ選択メニュー202には初期値として"VTR Viewer"がセットされている。ホーム画面にソフトウェアキーボード204が表示されている状態でNextボタン206がタッチされると、図5のA−3に示すように、ソフトウェアキーボード204に代わってウィンドウタイプ設定画面207が表示される。ウィンドウタイプ設定画面207は、ウィンドウタイプ選択メニュー202において選択可能なウィンドウタイプを設定するための画面である。ウィンドウタイプには"VTR Viewer"の他に"VTR Setup"、"Disk Setup"などがある。ユーザはこのウィンドウタイプ設定画面207でウィンドウタイプ選択メニュー202に登録したいウィンドウタイプをタッチ操作などによって選択することができる。ウィンドウタイプ設定画面207でユーザにより選択されたウィンドウタイプにはチェックマークが入ることで、ユーザはチェック済みのウィンドウタイプを確認しながらウィンドウタイプの選択を行うことができる。ウィンドウタイプの選択操作が完了したところでユーザは例えばDoneボタン205をタッチすることによってウィンドウタイプ設定画面207が閉じ、図6のA−4に示す状態になる。
【0046】
映像制作システム100を運用するためには、事前にVTR Setup、Disk Setupを行うことが必要である。次にこれらVTR SetupおよびDisk Setupについて説明する。
【0047】
[2.VTR Setup]
図6のA−4に示したホーム画面上のウィンドウタイプ選択メニュー202で"VTR Setup"が選択され、Open GUIボタン203がタッチされると、図6のB−1に示すVTR Setup画面に切り替わる。このVTR Setup画面にはLUTボタン211、Monitorボタン212、Cassetteボタン213、Versionボタン214が設けられている。LUTボタン211がタッチされると、図6のB−2に示すLUTメニュー画面に表示が切り替わる。
【0048】
ここで、LUT(Look up Table)について説明する。
例えばS−Logなどの撮影ガンマを用いて撮影されてVTRに記録された映像(S−Log映像)は、サーバ装置のハードディスクドライブなどに記録する際にそのまま記録されるか、Cineonスペースに変換されて記録される。撮影ガンマは、暗部とハイライトの情報をより多く取り込むことができるように非線形関数で設計されたものである。暗部とハイライトの情報量をより多くとれることによって、ポストプロダクション作業におけるカラーコレクションの自由度を広げることができる。S−Log映像はリニアスペースで処理を行うモニターにそのまま出力すると暗い画となってしまうため、S−Log映像を、リニアスペースに変換するビューイングLUTとモニターのガンマ特性を示すモニターLUTを通して表示することで、S−Log映像の色の見え方をモニター上で可及的に再現できる。また、S−Log映像からシネオンスペースに変換された映像(Cineon−Log映像)をモニターに出力する場合も同様にCineon−Log映像をCineonペースからリニアスペースに変換するビューイングLUTとモニターLUTを通してモニターに表示すればよい。
【0049】
図6のB−2に示したLUTメニューの説明に戻る。本映像制作システム100においては複数(例えば8個)のビューイングLUTのファイルをサーバ装置30などに登録しておくことができる。図6のB−2に示したようにLUTメニューには、既に登録されているビューイングLUTを選択するLUT選択メニュー215と、LUT選択メニュー215で選択されたLUTのガンマカーブを表示するガンマカーブ表示領域216と、Cineonボタン217、Customボタン218が設けられている。なお、同図に表示されているガンマカーブは、S−Log映像をモニターのITU709カラースペースに変換するビューイングLUTである。Cineonボタン217がタッチされると、Cineon−Log映像をモニターのITU709カラースペースに変換するビューイングLUTを作成するための図7のB−3に示すCineon画面に切り替わる。一方、Customボタン218がタッチされた場合には、ユーザカスタマイズにより新規のビューイングLUTを作成するための図8のB−4に示すCustom LUT画面に切り替わる。
【0050】
Cineon LUT画面(第3のGUIデータ)には、Cineon−Log映像をモニターのITU709カラースペースに変換するCineon−Log映像用のビューイングLUTのガンマカーブを表示するガンマカーブ表示領域219と、ブラックポイントの入力ボックス220、ホワイトポイントの入力ボックス221、ガンマ値の入力ボックス222、そしてSetボタン223が設けられている。ユーザによって各入力ボックス220,221,222に入力された値が、ガンマカーブ表示領域219のガンマカーブの形状に反映される。ユーザはガンマカーブ表示領域219のガンマカーブの形状を確認して最終的なガンマカーブを決定した後、Setボタン223にタッチすることで、Cineon−Log映像用のビューイングLUTのファイルが作成されサーバ装置30などに登録される。なお、LUTのファイルの置き場所はサーバ装置30以外であってもよい。例えば、VTR10にメモリカードに対して読み書きが可能な機器が接続されている場合には、そのメモリカードにLUTのファイルを置いてもよい。
【0051】
ここで、Cineon−Log映像用のビューイングLUTのファイルの作成は実際にはVTR10のファイル転送モジュール16によって行われる。すなわち、ファイル転送モジュール16はCineon LUT画面に対する端末装置20のユーザからの入力データを端末装置20からローカルエリアネットワーク50を通じて取得し、CPU17で演算処理を行ってCineon−Log映像用のビューイングLUTを作成し、ファイル化してサーバ装置30、その他のストレージになどに転送し保存させる。
【0052】
このようにしてCineon−Log映像用のビューイングLUTを適宜作成してサーバ装置などに登録しておくことができる。作成して登録することのできるCineon−Log映像用のビューイングLUTは複数であってもよい。
【0053】
図8のB−4はCustom LUT画面(第3のGUIデータ)を示す図である。
このCustom LUT画面には、ユーザカスタマイズのビューイングLUTを作成するための環境としてガンマカーブ設定領域224、ポイント数選択メニュー225、Setボタン226、スライダ227が設けられている。ガンマカーブ設定領域224には、ユーザカスタマイズのビューイングLUTのガンマカーブのスプライン曲線が表示される。ポイント数選択メニュー225でユーザは、ガンマカーブを決めるためのスプライン曲線上のポイント数を自由に選択することができる。ポイント数選択メニュー225でポイント数が選択されると、スプライン曲線上に選択ポイント数分の操作ポイントが現れる。ユーザは例えば、位置を変更したい操作ポイントにタッチしてその操作ポイントを移動させるようにドラッグ操作を行ったり、スライダ227を操作したりすることによって所望のガンマカーブを作成することができる。所望のガンマカーブを決定したところでユーザがSetボタン226にタッチすることで、ユーザカスタマイズのビューイングLUTのファイルが作成されてサーバ装置30などに登録される。
【0054】
ここでも、ユーザカスタマイズのビューイングLUTを作成する処理は実際にはVTR10のファイル転送モジュール16によって行われる。ファイル転送モジュール16はCustom LUT画面に対する端末装置20のユーザからの入力データを端末装置20からローカルエリアネットワーク50を通じて取得し、CPU17で演算処理を行ってユーザカスタマイズのビューイングLUTを作成し、ファイル化してサーバ装置30などに転送する。このようにしてユーザカスタマイズのビューイングLUTを作成してサーバ装置などに登録しておくことができる。なお、作成して登録することのできるユーザカスタマイズのビューイングLUTは複数であってもよい。
【0055】
次に、図6のB−1のVTR Setup画面でMonitorボタン212がタッチされた場合を説明する。Monitorボタン212がタッチされると、端末装置20のモニターLUTを設定するためのMonitor画面に切り替わる。
【0056】
図9のB−5はMonitor画面を示す図である。Monitor画面には、Colorラジオボタン228、映像レンジチェックボックス229、LUT選択メニュー230、LUTのガンマカーブ表示領域231などが設けられている。ラジオボタン228は、カラースペースを"RGB4:4:4"と"YCbCr4:2:2"との間で選択するラジオボタンである。映像レンジチェックボックス229は、"Pro(H→F)"と"Post(F→H)"の2つのチェックボックスで構成される。"Pro(H→F)"は映像レンジを限定レンジからフルレンジに変換してからビューイングLUTによる変換を行いたい場合にチェックされるボックスである。"Post(F→H)"はビューイングLUTによる変換を行った後に映像レンジをフルレンジから限定レンジに戻したい場合にチェックされるボックスである。LUT選択メニュー230は端末装置20で使用するモニターLUTの選択メニューである。LUTのガンマカーブ表示領域231には、LUT選択メニュー230で選択されたモニターLUTのガンマカーブが表示される。
【0057】
次に、図6のB−1のVTR Setup画面でCassetteボタン213がタッチされた場合を説明する。Cassetteボタン213がタッチされるとCassetteメニューに表示が切り替わる。
【0058】
図10のB−6はCassetteメニュー画面を示す図である。
Cassetteメニューの画面にはUpdateボタン232が設けられている。Updateボタン232がユーザによりタッチされると、端末装置20からVTR10のファイル転送モジュール16に対し、VTR10にセットされたテープ70のカセットに関する情報の取得リクエストが送られることによって、VTR10から端末装置20にカセットID、タイトルなどの情報が応答される。
【0059】
図10のB−7はVTR10から応答されたカセットID、タイトルなどの情報を表示するCassette情報画面を示す図である。Cassette情報画面には、カセットID233、タイトル234などの情報とともにClip Listボタン235が表示される。Clip Listボタン235がユーザによりタッチされると、端末装置20からVTR10にClip Listリクエストが送られ、VTR10からClip Listが応答として送られてくる。
【0060】
図10のB−8はClip List画面を示す図である。Clip List236は、カセットに収録されているシーン毎の映像であるクリップ毎の情報の一覧である。クリップ毎の情報は、クリックID、フォーマット、開始タイムコード、終了タイムコード、長さなどを含む。
【0061】
[3.Disk Setup]
次に、Disk Setupについて説明する。ここでDiskとはサーバ装置30における共有ディレクトリのことである。図5のA−1に示したホーム画面上のウィンドウタイプ選択メニュー202で"Disk Setup"が選択され、Open GUIボタン203がタッチされると、図11のC−1に示すDisk Setup画面に切り替わる。このDisk Setup画面にはTypeラジオボタン237、IP入力ボックス238、Dir入力ボックス239、Option入力ボックス240、Mountボタン241が設けられている。
【0062】
Typeラジオボタン237は、NFSv3(Network File System version 3)、NFSv2(Network File System version 2)、CIFS(Common Internet File System)などのネットワークファイル共有システムの種類をユーザに選択させるためのものである。IP入力ボックス238は、サーバ装置30のIPアドレスが入力されるボックスである。Dir入力ボックス239は、サーバ装置30におけるデータ保存場所のディレクトリが入力される。Option入力ボックス240はマウントオプションが入力される。各入力ボックス237−240への入力は、各々の入力ボックスにユーザがタッチすることによって表示されるソフトウェアキーボードを用いて行われる。
【0063】
Typeラジオボタン237、IP入力ボックス238、Dir入力ボックス239、Option入力ボックス240などに必要な情報が入力された後、ユーザによってMountボタン241がタッチされると、サーバ装置30のマウントが完了し、以後ローカルエリアネットワーク50を通じてVTR10からサーバ装置30の特定のディレクトリにアクセスすることが可能になる。これにより、VTR10からサーバ装置30の特定のディレクトリにクリップ単位の映像/音声のファイル、Snap XMLファイルなどを転送できるようになる。
【0064】
図11のC−2は、サーバ装置30のマウントが完了した以後のDisk Setup画面を示す図である。このマウント完了後のDisk Setup画面には、サーバ装置30のIPアドレス242、ディレクトリィ243、ディスクの空き容量244などが表示されるとともに、File Listボタン245、Snap Listボタン246、Unmountボタン247などが設けられている。
【0065】
File Listボタン245がユーザによりタッチされると、サーバ装置30の特定のディレクトリに保存されているクリップに関する情報の一覧がFile Listとして表示される。ユーザがこのFile Listの中で見たいクリップを指定すると、クリップビューワが起動され、指定したクリップを見ることができる。
【0066】
Snap Listボタン246がユーザによってタッチされた場合の動作はあとで説明する。
Unmountボタン247がユーザによってタッチされた場合は、表示中のサーバ装置30のディレクトリがアンマウントされる。また、例えばメモリカードなど、サーバ装置30以外のストレージにネットワークの共有ディレクトリを設定する場合には、改めてDisk Setup画面で必要な情報を設定してマウントを行えばよい。
【0067】
[4.VTR Viewer]
次に、VTR Viewerについて説明する。VTR Viewerは、VTR10のテープ70に記録された映像をクリップ単位で見ることができるビューワである。図5のA−1に示したホーム画面上のウィンドウタイプ選択メニュー202で"VTR Viewer"が選択され、Open GUIボタン203がタッチされると、図12のD−1に示すVTR Viewer画面(第1のGUIデータ)に切り替わる。このVTR Viewer画面には、映像が表示されるビューワ領域248と、再生中のクリップの映像フォーマット249、カセットID250、タイムコード251、ビューワ操作ボタン252、LUT選択メニュー253、映像レンジチェックボックス254、Setupボタン255などが設けられている。
【0068】
ビューワ操作ボタン252は、ビューワ領域248に表示されるクリップの再生、停止、送り、戻り、スキップ送り、スキップ戻り、早送り、早戻りなどの複数の操作ボタンで構成される。ビューワ操作ボタン252がユーザによってタッチされると、タッチされたボタンの種類に応じたコマンドがVTR10に送られ、VTR10にてそのコマンドが実行されることで、端末装置20にて表示される映像の時刻が変更される。
【0069】
LUT選択メニュー253は、ビューワ領域248でユーザが見ているクリップに適用したいビューイングLUTを選択するためのメニューである。このLUT選択メニュー253に候補として表示されるビューイングLUTとは、S−Log映像用のビューイングLUT、Cineon−Log映像用のビューイングLUT、ユーザカスタマイズのビューイングLUTなどである。ユーザはビューワ領域248でユーザが見ているクリップに対して、自分の意図する色が得られるようにビューイングLUTを適宜選択することができる。映像レンジチェックボックス254は、"Pro(H→F)"と"Post(F→H)"の2つのチェックボックスで構成される。"Pro(H→F)"は映像レンジを限定レンジからフルレンジに変換してからビューイングLUTによる変換を行いたい場合にチェックされるボックスである。"Post(F→H)"はビューイングLUTによる変換を行った後に映像レンジをフルレンジから限定レンジに戻したい場合にチェックされるボックスである。ユーザは自分の意図する色が得られるように、2つのチェックボックスに対して個別にチェックを入れることができる。ここで選択されたビューイングLUTと映像レンジの情報が本技術でいうところの「色変換情報」である。なお、本技術において、色変換情報はビューイングLUTあるいは映像レンジの情報のいずれか一方であってもよい。
【0070】
Setupボタン255がユーザによりタッチされると、VTR Viewerに関する設定を行うためのセットアップ画面に切り替えられる。
図12のD−2はVTR Viewerのセットアップ画面を示す図である。VTR Viewerのセットアップ画面には、Mode選択メニュー256、波形タイプ選択メニュー257、オーバレイモード選択メニュー258、オーバレイアルファレベル選択メニュー259、優先度選択メニュー260が設けられている。ここで優先度はユーザ間での優先度である。優先度は例えば"1"から"5"の5段階に切り替えることが可能である。また、VTR Viewerのセットアップ画面には、カメラ番号入力ボックス261、シーン番号入力ボックス262、テイク番号入力ボックス263、ユーザ名入力ボックス264、コメント入力ボックス265などが設けられている。ここで、カメラ番号入力ボックス261、シーン番号入力ボックス262、テイク番号入力ボックス263にそれぞれ入力される情報は撮影ログ情報として用いられる。
【0071】
図13のD−3に示すように、ビューワ領域248上でユーザが指を使って3点を同時にタッチするなどの所定の操作が行われると、端末装置20からVTR10のファイル転送モジュール16にスナップショットリクエストが送られる。このスナップショットリクエストには、以下のメタデータが含まれている。
・緯度・経度
・タイムコード
・ビューイングLUTの名前
・ビューイングLUTの置き場所
・モニターLUTの名前
・モニターLUTの置き場所、
・映像レンジの情報
・端末装置のIPアドレス
・ユーザの優先度
・撮影ログ(カメラ名、シーン番号、テイク番号)
・端末装置のユーザ名
・コメント
【0072】
VTR10のファイル転送モジュール16(メタデータ処理部)は、上記のメタデータを含むスナップショットリクエストを受けたとき、このスナップショットリクエストに含まれるメタデータ中のビューイングLUTの名前および置き場所をもとにビューイングLUTのファイルを取得する。ファイル転送モジュール16は、取得したビューイングLUTのファイルと映像レンジの情報をもとに、スナップショットリクエストに含まれるタイムコードに対応するフレームのビットマップ形式あるいはJPEG形式の画像データであるスナップショットのファイルを作成する。ファイル転送モジュール16は、端末装置20から取得したスナップショットリクエストに含まれる上記の各メタデータとVTR10内で管理されている各種メタデータ、さらにはスナップショットの置き場所の情報(アクセス情報)をXML形式で記述したSnap XMLのファイルを作成し、上記のスナップショットのファイルとともにサーバ装置30の共有ディレクトリに転送する。この後、ファイル転送モジュール16はSnap XMLファイルの転送完了を端末装置20に通知する。
【0073】
図16はSnap XMLの例を示す図である。
同図に示すように、Snap XMLには、日時がセットされるdate要素、緯度がセットされるatitude要素、経度がセットされるongitude要素、タイムコードがセットされるTC要素、スナップショットの置き場所の情報がセットされるproxy要素、VTR10に関する情報がセットされるvtrinfo要素、端末装置20のモニターに関する情報がセットされるmoninfo要素、端末装置20のIPアドレスがセットされるremoteip要素、優先度がセットされるpriority要素、カメラ名がセットされるcamera要素、シーン番号がセットされるscene要素、テイク番号がセットされるtake要素、ユーザ名がセットされるname要素、コメントがセットされるcomment要素が設けられている。vtrinfo要素は子要素として、VTR10の名前がセットされるvtrname要素、VTR10の識別番号がセットされるvtrserial要素、映像フォーマットの情報がセットされるvtrformat要素、VTR10にセットされているテープ70のカセットのIDがセットされるcassetteid要素、カセットのタイトルがセットされるcassettetitle要素などを有する。moninfo要素は子要素として、モニターLUTの名前がセットされるlut要素、モニターLUTの置き場所がセットされるlutfile要素、映像レンジの情報がセットされるpre要素およびpost要素などを有する。なお、図16のSnap XMLの例では、ビューイングLUTに関する要素が含まれていないが、ビューイングLUTに関する要素を導入してもかまわない。
【0074】
[5.スナップリストの参照とコメント編集]
次に、スナップリストの参照とコメント編集について説明する。
図11のC−2に示したDisk Setup画面でSnap Listボタン246がユーザによってタッチされると、図14のE−1に示すようにSnap List画面が表示される。Snap List画面にはカセットIDのリスト270が表示される。ここでカセットIDは、サーバ装置30に保存されたSnap XMLファイルをVTR10が取得し、取得した全てのSnap XMLファイルの中から検索されたものである。
【0075】
カセットIDのリスト270の中からユーザは1つのカセットIDをタッチして選択することができる。1つのカセットIDが選択されると、図14のE−2に示すようにSnap-List画面(第2のGUIデータ)に切り替わる。Snap-List画面には、選択されたカセットIDに紐付けられたスナップショット毎の、スナップショットの低解像度画像、タイムコード、ビューイングLUT、作成日時、ユーザ名などがスナップショット情報271a,271b,271cとして表示される。
【0076】
図14のE−2に示すSnap-List画面は同一シーンに3つのスナップショットが存在する場合の例である。この例では、3つのスナップショットのユーザ名がそれぞれ別であることから、これらのスナップショットは別々の端末装置20のユーザからのスナップショットリクエストに基づいて生成されたものであることが分かる。また、Snap-List画面は、同一シーンについて、3人のユーザ間で互いに異なるビューイングLUTが選択された場合を示している。
【0077】
さらに、Snap-List画面ではユーザの優先度の上下関係が一目で分かるような表示形態が採用される。例えば、各スナップショット情報271a,271b,271cの表示領域のバックグランドは、優先度の高いユーザほど明るい色とされている。また、優先度の高いユーザのスナップショット情報ほど画面上で上の位置に配置するようにしてもよい。
【0078】
図14のE−2に示すSnap-List画面で1つのスナップショット情報(例えば271a)の表示領域をタッチするなどして1つのスナップショットが選択されると、図15のE−3に示すように、そのスナップショットの詳細データを表示するSnap-Info画面(第2のGUIデータ)に切り替わる。
【0079】
図15のE−3に示すように、Snap-Info画面には、スナップショットの画像272、映像フォーマット273、タイムコード274、ビューイングLUTの名前275、映像レンジに関する情報276、スナップショット作成日時277、緯度278、経度279、端末装置20のIPアドレス280、VTRの名前281、カセットID282、ユーザ優先度283、カメラ名284、シーン番号285、テイク番号286、ユーザ名287などが表示される。また、Snap-Info画面には、コメント入力ボックス288が設けられており、スナップショット作成者であるユーザのコメントがここに表示される。また、このコメントの入力ボックスにタッチすることでソフトウェアキーボードが表示される。ユーザはこのソフトウェアキーボードのタッチ操作によってコメント入力ボックス288のコメントに対する修正、削除、追加などの編集を行うことができる。さらに、Snap-Info画面にはEditボタン289が設けられている。このEditボタン289がユーザによりタッチされると、コメント入力ボックス288の編集結果がファイル転送モジュール16に送信される。
【0080】
[6.メタデータの電子メール送信]
端末装置20は、ファイル転送モジュール16からのSnap XMLファイルの転送完了の通知を受けると、図13のD−4に示すように、VTR Viewer画面に編集装置40への電子メール送信を促すポップアップ266を表示する。このポップアップ266でユーザが編集装置40に電子メール送信を行うことを同意する操作を行うと、電子メール送信画面(第4のGUIデータ)に切り替わる。
【0081】
図13のD−5は電子メール送信画面を示す図である。電子メール送信画面には、電子メールの文面267とともにソフトウェアキーボード268などが表示される。電子メールの文面267には以下の情報がはじめから記載されている。
・日時
・端末装置の緯度・経度
・映像フォーマット
・カセットID
・タイムコード
・スナップショットの共有ディレクトリ
・スナップショットの置き場所
・スナップショットへの第1のURLリンク
・ビューイングLUTの名前
・ビューイングLUTへの第2のURLリンク
・映像レンジの情報
・撮影ログ(カメラ名、シーン番号、テイク番号)
・コメント
【0082】
この電子メール送信画面で、ユーザは必要に応じて、各項目の情報やコメントを編集することができる。最後に電子メール送信画面のSendボタン269がタッチされることで、電子メールが編集装置40に送られる。
【0083】
この電子メールを受信した編集装置40のユーザは、この電子メールの文面を確認して、映像のカラーグレーディングなどの編集作業に反映させることができる。電子メールの文面には、スナップショットへの第1のURLリンク、ビューイングLUTへの第2のURLリンクが設定されているので、編集者はそれらのURLリンクを使ってスナップショットのファイルとビューイングLUTのファイルをダウンロードすることができる。これにより、監督者が決めた色に関する情報を編集環境に速やかに伝達することができ、カラーグレーディングなどの編集作業の効率化を図ることができる。
【0084】
[動作の説明]
次に、この映像制作システム100において、端末装置20からファイル転送モジュール16にスナップショットリクエストが送られた後の動作を図17を参照して説明する。
【0085】
VTR10のファイル転送モジュール16は、スナップショットリクエストを受けると(ステップS1)、このスナップショットリクエストに含まれるビューイングLUTの名前および置き場所などのアクセス情報をもとにビューイングLUTのファイルを取得する。ファイル転送モジュール16は、取得したビューイングLUTのファイルと映像レンジの情報をもとに、スナップショットリクエストに含まれるタイムコードに対応するフレームのビットマップ形式あるいはJPEG形式の画像データであるスナップショットのファイルを作成する(ステップS2)。
【0086】
次に、ファイル転送モジュール16は、スナップショットリクエストに含まれる上記の各情報とVTR10の各種情報、さらにはスナップショットの置き場所の情報を記述したSnap XMLのファイルを作成し、上記のスナップショットのファイルとともにサーバ装置30の共有ディレクトリに転送する(ステップS3)。この後、ファイル転送モジュール16(メタデータ処理部)はSnap XMLファイルの転送完了を端末装置20に通知する(ステップS4)。
【0087】
端末装置20では、Snap XMLファイルの転送完了通知を受けた後、ポップアップ266が表示される。このポップアップ266に対して電子メール送信を行うことを同意する操作が行われると、電子メール送信画面に切り替わる。この電子メール送信画面で必要に応じてコメントの編集などが行われた後、電子メールが編集装置40へと送られる(ステップS5)。
【0088】
編集装置40においてユーザは電子メールを受信すると、この受信した電子メールに設定されたURLリンクを使ってスナップショットのファイルとビューイングLUTのファイルを取得する(ステップS6,S7)。その一方で、編集装置40のユーザはサーバ装置30に蓄積されたメタデータから端末装置20のモニターに設定されているモニターLUTを確認して、編集装置40のモニターに同じモニターLUTを設定することができる。これにより、端末装置20のモニターでの見え方と同じスナップショットが編集装置40のモニターに再現される。すなわち、端末装置20のユーザの意図する色が編集環境に正しく伝達される。
【0089】
次に、図11のC−2に示したDisk Setup画面でSnap Listボタン246がユーザによってタッチされた場合の動作を図17を参照して説明する。
Snap Listボタン246がユーザによってタッチされると、Snap Listリクエストがファイル転送モジュール16に送られる(ステップS8)。
【0090】
ファイル転送モジュール16は、Snap Listリクエストを受けると、サーバ装置30から、すべてのスナップショットのファイルとSnap XMLのファイルを取得する(ステップS9,S10)。ファイル転送モジュール16は、取得したスナップショットのファイルとSnap XMLのファイルからカセットIDのリストを生成して端末装置20に送信する(ステップS11)。
【0091】
端末装置20は、カセットIDのリストの中からユーザにより選択されたカセットIDをファイル転送モジュール16に送信する(ステップS12)。ファイル転送モジュール16は、取得したカセットIDに紐付けられたすべてのスナップショットのファイルとSnap XMLのファイルからSnap Listデータを生成して端末装置20に送信する(ステップS13)。
【0092】
端末装置20は、Snap Listデータをもとに表示されたSnap-List画面でユーザにより選択された1つのスナップショットを示す情報をファイル転送モジュール16に送信する(ステップS14)。ファイル転送モジュール16は、選択されたスナップショットの詳細データを端末装置20に送信する(ステップS15)。
【0093】
端末装置20は、スナップショットの詳細データをもとに表示されたSnap-Info画面のコメント入力ボックス288のコメントに対してユーザによる編集が行われた後、コメントの編集結果をファイル転送モジュール16に送信する(ステップS16)。ファイル転送モジュール16(コメント処理部)は、端末装置20から送られてきたコメントの編集結果を含むSnap XMLファイルの更新リクエストをサーバ装置30に送信する。そしてサーバ装置30は、このSnap XMLファイルの更新リクエストに応じて既に保存されているSnap XMLファイルのコメントを更新する。
【0094】
以上説明したように、本実施形態によれば以下のような効果を有する。
1.テープ70に記録後の映像信号に対して、端末装置20にて、任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報を選択することができる。
【0095】
2.色変換情報により色変換がされた映像シーンのスナップショットへのアクセス情報を含むメタデータをサーバ装置に保存することによって、サーバ装置にアクセス可能な機器にて随時メタデータを参照することができる。これにより、例えば、編集装置40のユーザがサーバ装置30に保存されたメタデータを参照することで、端末装置20のユーザがモニターを通して見ていたスナップショットを再現する環境を編集装置において容易につくることができる。この結果、編集装置での映像信号のカラーグレーディングに、端末装置のユーザの意図を正しく反映させることが可能となる。
【0096】
3.Snap-List画面に、同一のシーンに関して複数のユーザのスナップショットが表示される場合に、ユーザ間の優先度の上下関係が一目で分かるような形態で各スナップショットの表示領域が表示される。このため、どのユーザが意図する色を編集作業に反映させるかという意思決定を、ユーザ間の優先度を考慮して迅速に行うことが可能になる。
【0097】
4.端末装置20から届いた電子メールの本文に設定されたスナップショットのファイルへの第1のURLリンク、色変換情報のファイルへの第2のURLリンクを利用してそれらのファイルを取得できる。これにより編集装置40での映像信号のカラーグレーディングにおいて、端末装置20のユーザの意図を正しくかつ容易に反映させることが可能となる。
【0098】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)映像信号が記録された記録媒体から前記映像信号を再生する再生部と、
前記ネットワークを通じて接続された端末装置に、前記再生された映像信号における任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報をユーザに選択させる第1のGUIデータを供給する第1のGUI供給部と、
前記選択された色変換情報で前記選択されたシーンの色変換を行った画像をスナップショットとして作成し、このスナップショットをアクセスするために必要なアクセス情報を含むメタデータを前記ネットワークを通じて接続されたサーバ装置に保存するメタデータ処理部とを具備する再生装置。
(2)前記(1)に記載の再生装置であって、
前記サーバ装置に保存された前記メタデータを前記ネットワークを通じて取得し、取得した前記メタデータに含まれる前記アクセス情報をもとにスナップショットを取得し、このスナップショットを含む第2のGUIデータを作成して前記端末装置に供給する第2のGUI供給部
をさらに具備する再生装置。
(3)前記(1)または(2)に記載の再生装置であって、
前記メタデータは、前記端末装置のモニターのLUT(Look up Table )を特定する情報をさらに含む
再生装置。
(4)前記(2)または(3)に記載の再生装置であって、
前記メタデータは、前記端末装置のユーザ名と、ユーザ間の優先度の情報をさらに含み、
前記第2のGUI供給部は、複数のユーザの複数の前記メタデータが存在する場合、前記複数のユーザ間の優先度を加味した表示形態の第2のGUIデータを作成する
再生装置。
(5)前記(2)ないし(4)のいずれかに記載の再生装置であって、
前記第2のGUIデータは、ユーザからのコメントを入力可能なコメント入力ボックスを有し、
前記再生装置は、
前記コメント入力ボックスに入力されたコメントを取得し、前記メタデータへ追加されるように前記コメントを前記サーバ装置にアップロードするコメント処理部を
さらに具備する再生装置。
(6)前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の再生装置であって、
新たな色変換情報を前記ユーザに作成させる環境を含む第3のGUIデータを前記端末装置に供給する第3のGUI供給部
をさらに具備する再生装置。
(7)前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の再生装置であって、
前記端末装置で任意のシーンが前記ユーザによって選択されたとき、少なくとも、前記スナップショットへの第1のURLリンクと、前記シーンにあてるように選択された前記色変換情報への第2のURLリンクが予め設けられ、前記映像信号を編集する編集装置に宛てた電子メールの編集および送信のための環境を有する第4のGUIデータを前記端末装置に供給する第4のGUI供給部
をさらに具備する再生装置。
(8)前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の再生装置であって、
前記色変換情報は、少なくともビューイングLUTを含む
再生装置。
【符号の説明】
【0099】
10…VTR
11…テープ再生部
12…イコライザ
13…オーディオプロセッサ
14…ビデオプロセッサ
15…システムコントローラ
16…ファイル転送モジュール
20…端末装置
21…タッチセンサ
22…表示部
30…サーバ装置
40…編集装置
50…ローカルエリアネットワーク
70…テープ
100…映像制作システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号が記録された記録媒体から前記映像信号を再生する再生部と、
前記ネットワークを通じて接続された端末装置に、前記再生された映像信号における任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報をユーザに選択させる第1のGUIデータを供給する第1のGUI供給部と、
前記選択された色変換情報で前記選択されたシーンの色変換を行った画像をスナップショットとして作成し、このスナップショットをアクセスするために必要なアクセス情報を含むメタデータを前記ネットワークを通じて接続されたサーバ装置に保存するメタデータ処理部と
を具備する再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の再生装置であって、
前記サーバ装置に保存された前記メタデータを前記ネットワークを通じて取得し、取得した前記メタデータに含まれる前記アクセス情報をもとにスナップショットを取得し、このスナップショットを含む第2のGUIデータを作成して前記端末装置に供給する第2のGUI供給部
をさらに具備する再生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の再生装置であって、
前記メタデータは、前記端末装置のモニターのLUT(Look up Table )を特定する情報をさらに含む
再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の再生装置であって、
前記メタデータは、前記端末装置のユーザ名と、ユーザ間の優先度の情報をさらに含み、
前記第2のGUI供給部は、複数のユーザの複数の前記メタデータが存在する場合、前記複数のユーザ間の優先度を加味した表示形態の第2のGUIデータを作成する
再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の再生装置であって、
前記第2のGUIデータは、ユーザからのコメントを入力可能なコメント入力ボックスを有し、
前記再生装置は、
前記コメント入力ボックスに入力されたコメントを取得し、前記メタデータへ追加されるように前記コメントを前記サーバ装置にアップロードするコメント処理部を
さらに具備する再生装置。
【請求項6】
請求項5に記載の再生装置であって、
新たな色変換情報を前記ユーザに作成させる環境を含む第3のGUIデータを前記端末装置に供給する第3のGUI供給部
をさらに具備する再生装置。
【請求項7】
請求項6に記載の再生装置であって、
前記端末装置で任意のシーンが前記ユーザによって選択されたとき、少なくとも、前記スナップショットへの第1のURLリンクと、前記シーンにあてるように選択された前記色変換情報への第2のURLリンクが予め設けられ、前記映像信号を編集する編集装置に宛てた電子メールの編集および送信のための環境を有する第4のGUIデータを前記端末装置に供給する第4のGUI供給部
をさらに具備する再生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の再生装置であって、
前記色変換情報は、少なくともビューイングLUTを含む
再生装置。
【請求項9】
映像信号が記録された記録媒体から前記映像信号を再生してファイル化する再生部を有する再生装置と、この再生装置とネットワークを通じて接続された端末装置と、前記再生装置より生成された前記映像信号のファイルを保存可能なサーバ装置と、前記サーバ装置に保存された前記映像信号のファイルを取得し前記映像信号の編集を行う編集装置とを有する映像制作システムであって、
前記再生装置は、
前記端末装置に、前記再生された映像信号における任意のシーンとこのシーンにあてる色変換情報をユーザに選択させる第1のGUIデータを供給するGUI供給部と、
前記選択された色変換情報で前記選択されたシーンの色変換を行った画像をスナップショットとして作成し、このスナップショットをアクセスするために必要なアクセス情報を含むメタデータを前記ネットワークを通じて接続されたサーバ装置に保存するメタデータ処理部とを有し、
前記端末装置は、
前記再生装置より供給された第1のGUIデータを表示するモニターと、
前記ユーザからの選択を受け付ける入力部とを具備する
映像制作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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