説明

冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置およびその装置を用いた冷媒の回収方法

【課題】冷凍サイクルの保守点検による圧縮機等の交換作業時、冷媒であるフロンの回収を、液溜り現象の発生を抑制した冷媒液溜り防止装置を提供する。
【解決手段】冷凍サイクル200に設けられたアキュムレータ22を加熱する加熱設備300と、冷媒21の回収設備400とを備え、アキュムレータ22の底部22bの外面に接して柔軟に屈曲可能な可撓性材よりなる所定の形状に復元する加熱容器37を設け、回収設備400の運転時、加熱設備300で所定の温度に加熱された流体33によって、加熱容器37が所定の形状に復元し、流体33によってアキュムレータ22内の冷媒21が加熱され、液溜り現象を発生することなく回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷凍機や空気調和機等の冷凍サイクル内の冷媒液溜り防止装置およびその液溜り防止装置を用いた冷媒の回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より冷凍サイクルの点検時に、例えば圧縮機の交換が生じた場合、冷凍サイクル内の冷媒であるフロンを大気中に放出しないように回収を行っている。一般に冷凍サイクルから冷媒を吸引回収する冷媒回収方法では、冷凍サイクルの圧縮機やアキュムレータ内等に冷凍機油に溶解する冷媒や、冷凍機油に溶解せずに滞留する冷媒が蒸発するときに、蒸発潜熱に見合う熱量を前記冷凍機油および滞留する冷媒から奪うため、この冷凍機油および滞留する冷媒の温度が低下し、これに伴い冷凍サイクル内にある気体状の冷媒が圧縮機やアキュムレータ部等で低温凝縮して体積が減少し、冷凍サイクル内の圧力低下が発生するため、冷媒回収機の回収効率が低下する。さらに前記冷凍機油に溶解する冷媒や、滞留する冷媒を蒸発させるための熱源は、アキュムレータ周囲の雰囲気温度のみであるため、熱量が少なく冷媒の蒸発量が減少し、冷媒回収機による冷媒回収時間が長くなる。そこでこの現象の発生を抑制して冷媒回収時間の短縮化をはかるため、圧縮機やアキュムレータを電磁誘導加熱により加熱して、蒸発潜熱に見合う熱量を圧縮機やアキュムレータに供給する技術が示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−306961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に示された技術は、冷媒回収機に特殊な機能である電磁誘導加熱装置本体や、加熱素子である電磁誘導コイルを必要とし、冷媒回収機の入手法が悪く、また高価となるという問題点がある。さらには、電磁誘導加熱を効率良く行うには、電磁誘導コイルを様々な形状寸法を有するアキュムレータに対して、個別の外形形状に合わせることが必要であり、このため価格の上昇や操作作業が煩雑となり、冷媒回収作業の準備時間が長くなるという問題点もある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、一般的な市販されている冷媒の回収設備を使用して安定して冷媒を回収可能となるような、冷媒液溜り防止装置およびその装置を使用した冷媒の回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置は、冷凍サイクルと、該冷凍サイクルに設けられているアキュムレータを加熱する加熱設備と、冷凍サイクル内の冷媒を回収する回収設備とによって構成されており、アキュムレータは冷媒を収納するとともに、両端を床面に対して垂直に設置されており、該アキュムレータの底部と床面との間には、底部外面に接して柔軟に屈曲可能な可撓性材よりなる所定の形状を有する加熱容器が設けられており、回収設備を運転時、加熱容器に移送される加熱設備で所定の温度に加熱された流体によって、アキュムレータの冷媒が加熱され回収されるものである。
【0007】
第2の発明に係る冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置は、冷凍サイクルと、該冷凍サイクルに設けられているアキュムレータを加熱する加熱設備と、冷凍サイクル内の冷媒を回収する回収設備とによって構成されており、アキュムレータは冷媒を収納するとともに、両端を床面に対して水平に設置されており、該アキュムレータの一方端の底部と加熱容器押し付け手段との間には、底部外面に接して柔軟に屈曲可能な可撓性材よりなる所定の形状を有する加熱容器が設けられているおり、回収設備を運転時、加熱容器に移送される加熱設備で所定の温度に加熱された流体によって、アキュムレータの冷媒が加熱され回収されるものである。
【0008】
第3の発明に係る冷媒の回収方法は、第1または第2の発明による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を用いた冷媒の回収方法であって、次のステップを有するものである。
(1)既設の冷凍サイクルに、流体の加熱設備および冷媒の回収設備を付設するステップ。
(2)冷凍サイクルに設けられているアキュムレータの底部に、偏平に折り畳まれた状態の加熱容器を配置し、加熱設備の配管と結合するステップ。
(3)加熱設備を動作し、所定の温度に加熱した流体の移送圧力で、加熱容器を所定の形状に復元してアキュムレータの底部に密着させるステップ。
(4)所定の温度に加熱した流体によってアキュムレータの冷媒を加熱するとともに、回収設備を動作し、アキュムレータ内の冷媒を回収するステップ。
【発明の効果】
【0009】
第1および第2の発明に係る冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置は、上記のような構成を採用しているので、容易に変形可能な可撓性材の加熱容器を、簡単な作業でアキュムレータに密着させることができ、特殊な機器を準備する必要性がなく、安価でかつ、回収作業準備時間を短縮して、アキュムレータ内の冷媒を液溜り現象を生じることなく回収できるという効果がある。
【0010】
また第3の発明に係る冷媒の回収方法は、第1および第3の発明による冷媒液溜り防止装置を用いているので、上記と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を示す断面図である。
【図2】実施の形態2による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を示す断面図である。
【図3】実施の形態3による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を示す断面図である。
【図4】実施の形態4による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を示す断面図である。
【図5】実施の形態5による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を示す断面図である。
【図6】実施の形態6による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を示す断面図である。
【図7】実施の形態7による冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
ここで、一般の事業所や電車等の車両、商店等に設置されている冷凍機や空気調和機等の冷凍サイクルは、点検時に圧縮機の交換を必要とする場合がある。このような場合において、冷凍システムに使用されている冷媒であるフロンガスを大気中に放出しないよう回収することが必要である。この為、この実施の形態1では、図1に示すように冷媒の低温凝縮による冷媒回収効率の悪化を抑制するための冷媒液溜り防止装置100として、既設冷凍サイクル200に冷媒回収時のみに付設、運転する液体の加熱設備300、および冷媒の回収設備400を設けた構成を採用している。
加熱設備300の各構成要素の内、後述する加熱容器37以外の要素は、セット装置として一般に市販されている設備であり、また、回収設備400も同様に一般に装置として市販されているものである。従って加熱容器37以外の各要素は、汎用性のある市場流通品を採用するので、入手容易で低価格である。
【0013】
冷凍サイクル200は、床面23に固定脚28を介して垂直に取付けられた両端凸状を有するアキュムレータ22内に冷媒21が収納されており、この冷媒21はアキュムレータ22から配管27、圧縮機24を介し、室内熱交換器25、室外熱交換器26を循環している。
前記両端凸状のアキュムレータ22の底部22bには、冷媒21の回収時に後述する加熱容器37が一時的に設置される。また冷媒21の回収時には室外熱交換器26の外部に設けられた接続弁29に接続される回収設備400が設置される。該回収設備400には、回収管44をゲージマニホールド43を介し冷媒21を吸引して回収する冷媒回収機41と、ボンベ42が設けられている。
加熱設備300も冷媒21の回収時に設置されるものであり、油や水等の流体33を収納するタンク32、流体33を所定の温度に加熱調整するヒータ31、および流体33を加熱容器37に送出するポンプ34とを備えた流体加熱装置30が設けられている。また加熱容器37も加熱設備300を構成する要素である。
前記流体加熱装置30によって、例えば40℃に加熱された流体33である油は、ポンプ34によって導入管35を介して加熱容器37に送出され、この加熱された流体33によってアキュムレータ22が加熱され、その結果、アキュムレータ22内の冷媒21が加熱される。熱交換され温度低下した流体33は排出管36を通り流体加熱装置30で再加熱される。
【0014】
加熱容器37は流体33である油または水が漏洩せず、かつ柔軟に屈曲可能な可撓性材質である、例えばゴム製あるいは防水性布が用いられている。この加熱容器37は偏平に折り畳まれた状態でアキュムレータ22の底部22bと床面23の隙間に挿入された後、導入管35、排出管36を接続し流体加熱装置30を動作させると、流体33の移送圧力によって風船のように膨らんで、予め成型された図1に示すような上に凹状の形状に復元する。すなわち加熱容器37は適用されるアキュムレータ22の形状(この場合、アキュムレータ22の底部22bの形状)と、床面23の形状に倣うように予め成型されており、前述のように偏平に畳まれた状態でアキュムレータ22の底部22bと床面23の隙間に挿入後、流体33の移送圧力によって膨らみ、加熱容器37の上部37aがアキュムレータ22の底部22bの形状に、および加熱容器37の底部37bが床面23の形状に倣う形状で配置される。尚、加熱容器37には成型された形状を復元、保持するよう適宜、骨材が設けられる。そして流体加熱装置30から所定の温度である、例えば40℃に温度調整された流体33、例えば油が加熱容器37の内部を循環し、冷媒21を加熱後、排出管36を介して流体加熱装置30に戻される。
【0015】
このように、実施の形態1による冷媒液溜り防止装置100は、既設の冷凍サイクル200に加熱設備300および回収設備400を付設した構成であって、加熱設備300に設けられた加熱容器37が流体33を漏洩しない、かつ予め成型された形状に容易に復元可能な柔軟な材質が形成されており、この加熱容器37が偏平に折り畳まれた状態で所定の位置に配置後、流体33の移送圧力によって、予め成型された元の形状に復元してアキュムレータ22の底部22bに密着して、移送される流体33の熱がアキュムレータ22に効率よく供給できる。従って冷媒21の回収時に回収設備400の運転によって発生するアキュムレータ22内部での低温凝縮を抑制可能となり回収時間が短縮され、かつ市販品を使用しているので冷媒回収作業のコストが低減されるという効果がある。
【0016】
尚、上記実施の形態1による図1では、加熱容器37をアキュムレータ22の底部22bに設ける例を示したが、図1に示す圧縮機24の所望の個所に加熱容器を設けるとともに、流体加熱装置30から該圧縮機24に設けた加熱容器に加熱された流体33を送出する構成としてもよい。この場合の加熱容器は、必ずしも偏平に折り畳んだ状態で圧縮機24を設置している床面との隙間に挿入して設ける必要はなく、圧縮機24の所望の個所の形状に予め成型した状態そのもので付着して設けてもよい。
以上のように、この実施の形態1では加熱容器37をアキュムレータ22に設ける場合、およびアキュムレータ22と圧縮機24に設ける場合について述べたが、さらには状況に応じて圧縮機24のみに設けた冷媒液溜り防止装置100であっても前述した効果が得られる。
【0017】
次に前述した冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置100を用いて冷凍サイクル内の冷媒を回収する方法について述べる。
例えば、一般的なビルマルチエアコンの室外機において、圧縮機24が寿命等により交換の必要性が生じた場合、冷媒21であるフロンを大気中に放出せず圧縮機24の交換を行う必要がある。この場合、この実施の形態1による冷媒液溜り防止装置100を用いることによって、アキュムレータ22内に冷媒21の液溜り現象を発生させることなく、短時間の回収準備作業で容易に回収を行え、その結果、省エネ化が達成可能となる。回収方法のステップは以下のとおりである。
(1)既設の冷凍サイクル200に、流体、例えば油の加熱設備300および冷媒の回収設備400を付設する。
(2)冷凍サイクル200に設けられているアキュムレータ22の底部22bに偏平に折り畳まれた状態の加熱容器37を配置し、前記加熱設備300の導入管35、排出管36と結合する。
(3)前記加熱設備300を動作し、所定の温度、例えば40℃に加熱した油の移送圧力で、前記加熱容器37を所定の形状に復元し、アキュムレータ22の底部22bに密着させる。
(4)前記回収設備400を動作し、液溜りを発生することなく前記アキュムレータ22内の冷媒21を回収する。
【0018】
実施の形態2.
次に実施の形態2について説明する。
図2に示すように、前述した実施の形態1と同形状である両端が突出した形状の鏡板もしくは球殻を有する両端凸状を有するアキュムレータ22が床面23に水平に配置されているとともに、加熱容器37が押し付け手段38と拘束手段38aとによって、アキュムレータ22の一方端の底部22bに配置されている。上記押し付け手段38は金属材、木材、樹脂材等がまた拘束手段38aには金属材、樹脂材あるいは皮、布等のベルト材が使用される。これ以外は前述した実施の形態1と同様であるので説明を省略する。また、冷凍サイクル200のアキュムレータ22以外の機器および回収設備400の図示は省略している。
この構成によれば、床面23から離れた位置に設置されている水平置きのアキュムレータ22であっても、押し付け手段38との間に挿入された加熱容器37が、流体33の移送圧力によって膨らみ、この加熱容器37がアキュムレータ22に押し付けられアキュムレータ22の底部22bに密着させることができる。尚、図2では加熱容器37をアキュムレータ22の一方端の底部22bにのみ装着した例を示したが、両側の底部22bに配置されてもよく、この場合には一方端のみ装着時の2倍の熱量を与えることができる。
【0019】
実施の形態3.
前述した実施の形態2の図2においては、アキュムレータ22に対して加熱容器37を押し付け手段38で押し付ける構成を示したが、この実施の形態3では図3に示すように加熱容器37の底部37bに、剛性の大きな金属製、木材製、樹脂製等を用い、加熱容器37と一体的に構成された底部拘束手段38bを設けてもよい。この構成によれば加熱容器37と底部拘束手段38bとが一体化されているので、アキュムレータ22への取付け作業が容易となる。尚、加熱容器37は、上記実施の形態2と同様に流体33の移送圧力によって膨らむものである。
【0020】
実施の形態4.
前述した実施の形態1〜3は、両端凸状を有するアキュムレータ22であったが、この実施の形態4は図4に示すように、両端が窪んだ凹状の鏡板もしくは球殻を有する形状のアキュムレータ22aが実施の形態1と同様に床面23に垂直に取付けられたものである。これ以外は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。冷凍サイクル200のアキュムレータ22a以外の機器および回収設備400の図示は省略している。
図4に示すように、加熱容器37は偏平に折り畳まれた状態で両端凹状のアキュムレータ22a、床面23との間の隙間に挿入された後、流体33の移送圧力によって元の形状である上に凸状に膨らむ。この構成によればアキュムレータ22aに加熱容器37がより密着し易くなり、加熱容器37からアキュムレータ22aに効率よく熱を伝達することができる。
【0021】
実施の形態5.
前述した実施の形態4は、両端凹状のアキュムレータ22aが床面23に垂直に配置されたものであったが、この実施の形態5は図5に示すように、アキュムレータ22aが床面に水平に配置されているものであり、かつ前述した実施の形態2の図2と同様に加熱容器37をアキュムレータ22aに対して押し付ける押し付け手段38と拘束手段38aが設けられたものであり、アキュムレータ22a以外の冷凍サイクル200、回収設備400は図示省略している。この構成によれば水平設置のアキュムレータ22aであっても、加熱容器37がアキュムレータ22aに押し付けられることができる。尚、アキュムレータ22aの両側に加熱容器37を配置してもよい。
【0022】
実施の形態6.
前述した実施の形態5では、アキュムレータ22aに対して加熱容器37を押し付け手段38と拘束手段38aで押し付ける構成であったが、この実施の形態6では、図6に示すように前述した実施の形態3と同様に、加熱容器37には一体的に構成された底部拘束手段38bが設けられているものである。尚、加熱容器37はアキュムレータ22aの両側に配置してもよい。この構成によれば加熱容器37をアキュムレータ22aに取付け作業が容易となる。
【0023】
実施の形態7.
前述した実施の形態1のような床面23に対して垂直に配置された両端凸状のアキュムレータ22は、加熱容器37が装着された場合にアキュムレータ22の底部22bと加熱容器37との間に僅かな空隙が存在することがあり、熱伝達性能を劣化させる。
このような現象を防止するため、この実施の形態7では上記空隙が生じないよう密着促進剤39であるグリースもしくは水を配置して、熱伝達性能低下を抑制するものである。 図7に示すように、密着促進剤39は、加熱容器37とアキュムレータ22との接する部分に相当する加熱容器37の上部37a、もしくはアキュムレータ22の底部22bに配置され、加熱容器37とアキュムレータ22との間に隙間発生をなくしている。密着促進剤39は、加熱容器37の上部37aがカップ状をなしているので、漏洩することはない。またこの発明による冷媒液溜り防止装置100を使用した冷媒回収作業が数時間程度であり、密着促進剤39の密封構造の必要性や、寿命に対する配慮は特に必要とするものではない。
【符号の説明】
【0024】
21 冷媒、22,22a アキュムレータ、22b,22c 底部、23 床面、
24 圧縮機、30 流体加熱装置、33 流体、37 加熱容器、37a 上部、
37b 底部、38 押し付け手段、39 密着促進剤、41 冷媒回収機、
100 冷媒液溜り防止装置、200 冷媒サイクル、300 加熱設備、
400 回収設備。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置であって、前記冷凍サイクルと、該冷凍サイクルに設けられているアキュムレータを加熱する加熱設備と、前記冷凍サイクル内の冷媒を回収する回収設備とによって構成されており、前記アキュムレータは冷媒を収納するとともに、両端を床面に対して垂直に設置されており、該アキュムレータの底部と前記床面との間には、前記底部外面に接して柔軟に屈曲可能な可撓性材よりなる所定の形状を有する加熱容器が設けられており、前記回収設備を運転時、前記加熱容器に移送される前記加熱設備で所定の温度に加熱された流体によって、前記アキュムレータの冷媒が加熱され回収されることを特徴とする冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項2】
冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置であって、前記冷凍サイクルと、該冷凍サイクルに設けられているアキュムレータを加熱する加熱設備と、前記冷凍サイクル内の冷媒を回収する回収設備とによって構成されており、前記アキュムレータは冷媒を収納するとともに、両端を床面に対して水平に設置されており、該アキュムレータの一方端の底部と加熱容器押し付け手段との間には、前記底部外面に接して柔軟に屈曲可能な可撓性材よりなる所定の形状を有する加熱容器が設けられているおり、前記回収設備を運転時、前記加熱容器に移送される前記加熱設備で所定の温度に加熱された流体によって、前記アキュムレータの冷媒が加熱され回収されることを特徴とする冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項3】
前記加熱容器は予め前記所定の形状に成型されており、偏平に折り畳まれた状態で前記アキュムレータの底部と、前記床面との間に挿入された後、前記流体の移送圧力によって前記予め成型された所定の形状に復元されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項4】
前記加熱容器は予め前記所定の形状に成型されており、偏平に折り畳まれた状態で前記アキュムレータの一方端の底部と、前記加熱容器押し付け手段との間に挿入された後、前記流体の移送圧力によって前記予め成型された所定の形状に復元されていることを特徴とする請求項2に記載の冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項5】
前記加熱容器の材質が、ゴムまたは防水性布であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項6】
前記アキュムレータの両端の形状が凸形または凹形であり、前記加熱容器の所定の形状が前記アキュムレータの端部の形状である凸形または凹形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項7】
前記加熱容器が前記アキュムレータの底部外面に接する部分に、密着促進剤が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項8】
前記密着促進剤がグリースまたは水であることを特徴とする請求項7に記載の冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクルの冷媒液溜り防止装置を用いた冷媒の回収方法であって、次のステップを有することを特徴とする。
(1)既設の冷凍サイクルに、流体の加熱設備および冷媒の回収設備を付設するステップ。
(2)冷凍サイクルに設けられているアキュムレータの底部に、偏平に折り畳まれた状態の加熱容器を配置し、前記加熱設備の配管と結合するステップ。
(3)前記加熱設備を動作し、所定の温度に加熱した流体の移送圧力で、前記加熱容器を所定の形状に復元してアキュムレータの底部に密着させるステップ。
(4)前記所定の温度に加熱した流体によって前記アキュムレータの冷媒を加熱するとともに、前記回収設備を動作し、前記アキュムレータ内の冷媒を回収するステップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−32860(P2013−32860A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167909(P2011−167909)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)