説明

冷凍回路

【課題】室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量よりも小さいときに、冷房運転時に生じる余剰冷媒を収容することができる冷凍回路を提供する。
【解決手段】冷凍回路11は、室内熱交換器51がクロスフィン型熱交換器、室外熱交換器25が積層型熱交換器である。また、室外熱交換器25と膨張弁29との間に、冷媒貯留タンク27が設けられている。室外熱交換器25の容量が室内熱交換器51の容量より小さくなるので、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、この冷凍回路11では、その余剰冷媒が冷媒貯留タンク27に収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍回路に関し、特に、空気調和機に用いられる冷凍回路に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の冷凍回路では、冷房運転時に最適な冷媒量と暖房運転時に最適な冷媒量とが異なるため、冷房運転時に凝縮器として機能する室外熱交換器の容量と、暖房運転時に凝縮器として機能する室内熱交換器の容量とが異なる。通常は、室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量よりも大きく、暖房運転時に室内熱交換器で収容しきれない冷媒はアキュームなどに一時的に貯留される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1(特開平6−143991号公報)に開示されているような小型で高性能なコンデンサが空気調和装置の冷凍回路の室外熱交換器に使用されるようになると、室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量よりも小さくなり、今度は、冷房運転時に室外熱交換器で収容しきれない冷媒(余剰冷媒)が発生し、その量はアキュームなどに貯留可能な量を超えてしまう。
【0004】
本発明の課題は、室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量よりも小さいときに、冷房運転時に生じる余剰冷媒を収容することができる冷凍回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る冷凍回路は、冷房運転時に圧縮機、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器の順に冷媒が流れ、暖房運転時に圧縮機、室内熱交換器、膨張弁および室外熱交換器の順に冷媒が流れる冷凍回路であって、室内熱交換器がクロスフィン型熱交換器、室外熱交換器が積層型熱交換器である。また、室外熱交換器と膨張弁との間に、冷媒貯留タンクが設けられている。
【0006】
積層型熱交換器の容積は、同等の熱交換性能を有するクロスフィン型熱交換器の容積に比べて小さい。例えば、室外熱交換器と室内熱交換器とが共にクロスフィン型熱交換器である冷凍回路に対して、室外熱交換器だけを同等の熱交換性能を有する積層型熱交換器に替えたとき、その積層型熱交換器の容量は、クロスフィン型の室外熱交換器の容積に比べて小さくなるだけでなく、それに接続されているクロスフィン型の室内熱交換器の容量よりも小さくなる。
【0007】
室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量より小さくなることにより、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、この冷凍回路では、その余剰冷媒が冷媒貯留タンクに収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0008】
本発明の第2観点に係る冷凍回路は、冷房運転時に圧縮機、室外熱交換器、膨張弁および室内熱交換器の順に冷媒が流れ、暖房運転時に圧縮機、室内熱交換器、膨張弁および室外熱交換器の順に冷媒が流れる冷凍回路であって、室外熱交換器の容積は、室内熱交換器の容積の100%以下である。また、室外熱交換器と膨張弁との間に、冷媒貯留タンクが設けられている。
【0009】
この冷凍回路では、室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量以下となることにより、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、その余剰冷媒が冷媒貯留タンクに収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0010】
本発明の第3観点に係る冷凍回路は、第1観点または第2観点に係る冷凍回路であって、室外熱交換器が、複数の扁平管とフィンとを有する積層型熱交換器である。複数の扁平管は、間隔をあけて積み重なるように配列されている。フィンは、隣接する扁平管に挟まれている。
【0011】
この冷凍回路では、第1観点または第2観点に係る冷凍回路と同様に、室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量よりも小さくなるので、冷凍回路内の冷媒量が低減される。なお、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、その余剰冷媒は冷媒貯留タンクに収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0012】
本発明の第4観点に係る冷凍回路は、第1観点または第2観点に係る冷凍回路であって、室外熱交換器が、扁平管とフィンとを有する積層型熱交換器である。扁平管は、蛇行形状に成形されている。フィンは、扁平管の互いに隣接する面の間に挟まれている。
【0013】
この冷凍回路では、第1観点または第2観点に係る冷凍回路と同様に、室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量よりも小さくなるので、冷凍回路内の冷媒量が低減される。なお、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、その余剰冷媒は冷媒貯留タンクに収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0014】
本発明の第5観点に係る冷凍回路は、第2観点に係る冷凍回路であって、室外熱交換器および室内熱交換器がともにクロスフィン型熱交換器である。室外熱交換器の伝熱管径は、室内熱交換器の伝熱管径よりも細い。
【0015】
この冷凍回路では、第2観点に係る冷凍回路と同様に、室外熱交換器の容量が室内熱交換器の容量よりも小さくなるので、冷凍回路内の冷媒量が低減される。なお、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、その余剰冷媒は冷媒貯留タンクに収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0016】
本発明の第6観点に係る冷凍回路は、第1観点または第2観点に係る冷凍回路であって、バイパス路がさらに設けられている。バイパス路は、冷媒貯留タンク内に溜まる冷媒のガス成分を圧縮機、或いは、圧縮機の吸込側の冷媒配管へ導く。
【0017】
この冷凍回路では、暖房運転時、つまり室外熱交換器が蒸発器として機能するとき、冷媒が室外熱交換器の入口手前の冷媒貯留タンクで液とガスとに分離され、ガス成分はバイパス路へ向う。その結果、蒸発に寄与しないガス成分は室外熱交換器に入らなくなり、その分、室外熱交換器を流れる冷媒量が減少し、室外熱交換器での冷媒の圧力損失が抑制される。
【0018】
本発明の第7観点に係る冷凍回路は、第6観点に係る冷凍回路であって、バイパス路が流量調整機構を有している。
【0019】
圧縮機の運転周波数が高いときには、冷媒貯留タンクから気液混合冷媒がバイパス路を経て圧縮機の吸込側に戻り、圧縮機に吸い込まれる可能性がある。しかし、この冷凍回路では、バイパス路に流量調整機構が設けられているので、気液混合冷媒の液成分が減圧されて蒸発する。その結果、圧縮機の吸込側の冷媒配管に液成分が戻ることは防止される。
【0020】
また、この冷凍回路では、流量調整機構を通った冷媒が、室外熱交換器で蒸発して圧縮機に向う冷媒と合流するので、流量調整機構が電動膨張弁である場合、弁開度を制御することによって圧縮機に吸い込まれる直前の冷媒状態を、より最適に調整することが可能になる。さらに、この冷凍回路では、流量調整機構が電動膨張弁である場合、弁開度を制御することによって圧縮機に戻る冷媒量を増減させることができるので、室内熱交換器側の負荷に応じて冷凍回路の冷媒循環量を制御することも可能である。
【0021】
本発明の第8観点に係る冷凍回路は、第1観点または第2観点に係る冷凍回路であって、冷媒貯留タンクが、気液分離器である。この冷凍回路では、気液分離器が液冷媒を溜める冷媒貯留機能に加えて、液冷媒とガス冷媒を分離する機能を担うので、冷媒貯留容器と気液分離器とを併設する必要がなく冷凍回路が簡素化される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1観点から第5観点のいずれか1つに係る冷凍回路では、その余剰冷媒が冷媒貯留タンクに収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0023】
本発明の第6観点に係る冷凍回路では、蒸発に寄与しないガス成分が室外熱交換器に入らなくなり、その分、室外熱交換器を流れる冷媒量が減少し、室外熱交換器での冷媒の圧力損失が抑制される。
【0024】
本発明の第7観点に係る冷凍回路では、圧縮機の吸込側の冷媒配管に液成分が戻ることは防止される。また、圧縮機に吸い込まれる直前の冷媒状態をより最適に調整することが可能になる。さらに、室内熱交換器側の負荷に応じて冷凍回路の冷媒循環量を制御することも可能である。
【0025】
本発明の第8観点に係る冷凍回路では、気液分離器が液冷媒を溜める冷媒貯留機能に加えて、液冷媒とガス冷媒を分離する機能を担うので、冷媒貯留容器と気液分離器とを併設する必要がなく冷凍回路が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷凍回路を使用した空気調和装置の構成図。
【図2】室内熱交換器の正面図。
【図3】室外熱交換器の外観斜視図。
【図4】冷凍回路における室外熱交換器容積/室内熱交換器容積比を能力別に表したグラフ。
【図5】気液分離器の簡略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0028】
(1)空気調和装置
(1−1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍回路を使用した空気調和装置の構成図である。図1において、空気調和装置1は、冷房運転及び暖房運転が可能な空気調和装置であり、室外機3と、室内機5と、室外機3と室内機5とを接続するための液冷媒連絡配管7及びガス冷媒連絡配管9とを備えている。
【0029】
(1−2)室内機
室内機5は、室内熱交換器51と、室内ファン53とを有している。室内熱交換器51は、クロスフィン型熱交換器であり、室内空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を蒸発又は凝縮させ、室内の空気を冷却又は加熱することができる。
【0030】
(1−2−1)室内熱交換器
図2は、室内熱交換器の正面図である。図2において、室内熱交換器51は、伝熱フィン511と伝熱管513とを備えている。伝熱フィン511は、薄いアルミニウム製の平板であり、一枚の伝熱フィン511には複数の貫通孔が形成されている。伝熱管513は、伝熱フィン511の貫通孔に挿入される直管513aと、隣り合う直管513aの端部同士を連結する第1U字管513b及び第2U字管513cとから成る。
【0031】
直管513aは、伝熱フィン511の貫通孔に挿入された後、拡管機によって拡管加工され、伝熱フィン511と密着する。直管513aと第1U字管513bとは一体に形成されており、第2U字管513cは、直管513aが伝熱フィン511の貫通孔に挿入され拡管加工された後、溶接などによって直管513aの端部に連結される。
【0032】
(1−2−2)室内ファン
室内ファン53は、回転することによって室内空気を取り込んで室内熱交換器51に送風し、室内熱交換器51と室内空気との熱交換を促進する。
【0033】
(1−3)室外機
図1において、室外機3は、主に、圧縮機21、四路切換弁23、室外熱交換器25、冷媒貯留タンク27、膨張弁29、液側閉鎖弁37、ガス側閉鎖弁39、アキュームレータ31、及びバイパス路33を有している。さらに、室外機3は室外ファン41も有している。
【0034】
(1−3−1)圧縮機、四路切換弁およびアキュームレータ
圧縮機21は、ガス冷媒を吸入して圧縮する。圧縮機21の吸込口手前には、アキュームレータ31が配置されており、圧縮機21に液冷媒が直に吸い込まれないようになっている。
【0035】
四路切換弁23は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換える。冷房運転時、四路切換弁23は、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器25のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁39とを接続する。つまり、図1の四路切換弁23内の実線で示された状態である。
【0036】
また、暖房運転時、四路切換弁23は、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁39とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器25のガス側とを接続する。つまり、図1の四路切換弁23内の点線で示された状態である。
【0037】
(1−3−2)室外熱交換器
室外熱交換器25は、積層型熱交換器であって、室外空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮又は蒸発させることができる。なお、室外ファン41が、この室外熱交換器25に対面するように配置されており、回転することによって室外空気を取り込んで室外熱交換器25に送風し、室外熱交換器25と室外空気との熱交換を促進する。
【0038】
図3は、室外熱交換器の外観斜視図である。図3において、室外熱交換器25は、扁平管251、波形フィン253及びヘッダ255を有している。
【0039】
扁平管251は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で成形されており、伝熱面となる平面部251aと、冷媒が流れる複数の内部流路(図示せず)を有している。扁平管251は、平面部251aを上下に向けた状態で複数段配列されている。
【0040】
波形フィン253は、波形に折り曲げられたアルミニウム製またはアルミニウム合金製のフィンである。波形フィン253は、上下に隣接する扁平管251に挟まれた通風空間に配置され、谷部および山部が扁平管251の平面部251aと接触している。なお、谷部と山部と平面部251aとはロウ付け溶接されている。
【0041】
ヘッダ255は、上下方向に複数段配列された扁平管251の両端に連結されている。ヘッダ255は、扁平管251を支持する機能と、冷媒を扁平管251の内部流路に導く機能と、内部流路から出てきた冷媒を集合させる機能とを有している。
【0042】
図3正面視において、右側のヘッダ255(以後、第1ヘッダとよぶ)の入口255aから流入した冷媒は、最上段の扁平管251の各内部流路へほぼ均等に分配され左側のヘッダ255(以後、第2ヘッダとよぶ)に向って流れる。第2ヘッダに達した冷媒は、2段目の扁平管251の各内部流路へ均等に分配され第1ヘッダへ向って流れる。以降、奇数段目の扁平管251内の冷媒は、第2ヘッダへ向って流れ、偶数段目の扁平管251内の冷媒は、第1ヘッダに向って流れる。そして、最下段で且つ偶数段目の扁平管251内の冷媒は、第1ヘッダに向って流れ、第1ヘッダで集合し出口255bから流出する。
【0043】
室外熱交換器25が蒸発器として機能するとき、扁平管251内を流れる冷媒は、波形フィン253を介して通風空間を流れる空気流から吸熱する。室外熱交換器25が凝縮器として機能するときは、扁平管251内を流れる冷媒は、波形フィン253を介して通風空間を流れる空気流へ放熱する。本実施形態では、室外熱交換器25を上記のような積層型熱交換器としたことによって、室外熱交換器25の容量が、室内熱交換器51の容量よりも小さくなっている。
【0044】
図4は、冷凍回路における室外熱交換器容積/室内熱交換器容積比を能力別に表したグラフである。図4において、◇はパッケージエアコンの通常タイプ(クロスフィン型室外熱交換器)、◆はパッケージエアコンの室外熱交換器細径タイプ(積層型室外熱交換器)、△はルームエアコンの通常タイプ(クロスフィン型室外熱交換器)、▲はルームエアコンの室外熱交換器細径タイプ(積層型室外熱交換器)を示している。
【0045】
図4に示すように、室外熱交換器と室内熱交換器とが共にクロスフィン型熱交換器である組合せに対して、室外熱交換器だけを同等の熱交換性能を有する積層型熱交換器に替えたとき、室外熱交換器容量/室内熱交換器容積比が1.0を下回っている。これは、積層型熱交換器の容量がクロスフィン型の室外熱交換器の容積に比べて小さくなるだけでなく、それに接続されているクロスフィン型の室内熱交換器の容量よりも小さくなる、ことを意味している。それゆえ、冷房運転時に余剰冷媒が発生する。そこで、本実施形態の冷凍回路11では、その余剰冷媒を冷媒貯留タンク27に収容している。
【0046】
なお、室外熱交換器容量/室内熱交換器容積比が0.3〜0.9のときに、余剰冷媒を収容する冷媒貯留タンク27を用いることが好ましいが、室外熱交換器容量/室内熱交換器容積比が1.0の場合でも冷媒貯留タンク27を用いることによって、安定した冷媒制御が可能となる。
【0047】
(1−3−3)冷媒貯留タンク
冷媒貯留タンク27は、余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。例えば、室内熱交換器51が凝縮器として機能する暖房運転時に室内熱交換器51に収容することができる液冷媒量が1100cc、室外熱交換器25が凝縮器として機能する冷房運転時に室外熱交換器25に収容することができる液冷媒量が800ccである場合、冷房運転時に室外熱交換器25に収容しきれずに余った液冷媒300ccは、冷媒貯留タンク27に一時的に収容される。
【0048】
また、例えば暖房運転時、冷媒貯留タンク27に入る直前の冷媒には、膨張弁29を通過するときに発生したガス成分が含まれているが、冷媒貯留タンク27に入った後、液冷媒とガス冷媒とに分離され、下部側に液冷媒、上部側にガス冷媒が貯留される。
【0049】
(1−3−4)膨張弁
膨張弁29は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、冷媒貯留タンク27と液側閉鎖弁37の間の配管に接続され、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、冷媒を膨張させる機能を有している。
【0050】
(1−3−5)バイパス路と流量調整弁
冷媒貯留タンク27で分離されたガス冷媒は、バイパス路33を通って圧縮機21の吸い込み側へ流れる。また、冷媒貯留タンク27で分離された液冷媒は、室外熱交換器25へ流れる。なお、バイパス路33の途中には、流量調整弁35が接続されている。本実施形態では、流量調整弁35は電動膨張弁である。
【0051】
(1−3−6)閉鎖弁および冷媒連絡配管
液側閉鎖弁37及びガス側閉鎖弁39は、それぞれ、液冷媒連絡配管7及びガス冷媒連絡配管9に接続されている。液冷媒連絡配管7は、室内機5の室内熱交換器51の液側と室外機3の液側閉鎖弁37との間を接続している。ガス冷媒連絡配管9は、室内機5の室内熱交換器51のガス側と室外機3のガス側閉鎖弁39との間を接続している。
【0052】
その結果、冷房運転時に圧縮機21、室外熱交換器25、膨張弁29および室内熱交換器51の順に冷媒が流れ、暖房運転時に圧縮機21、室内熱交換器51、膨張弁29および室外熱交換器25の順に冷媒が流れる冷凍回路11が形成されている。
【0053】
(2)暖房運転時の冷媒の流れ
図1において、暖房運転時、四路切換弁23は、圧縮機21の吐出側とガス側閉鎖弁39とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器25のガス側とを接続する。また、膨張弁29は開度を絞る。その結果、室外熱交換器25が冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室内熱交換器51が冷媒の凝縮器として機能する。
【0054】
このような状態の冷凍回路11において、低圧の冷媒は、圧縮機21に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁23、ガス側閉鎖弁39及びガス冷媒連絡配管9を通って、室内熱交換器51に入る。室内熱交換器51に入った高圧の冷媒は、そこで室内空気と熱交換を行って凝縮する。これにより、室内空気は加熱される。
【0055】
なお、室内熱交換器51の容量は室外熱交換器25の容量より大きいので、暖房運転時ではほとんどの液冷媒が凝縮器(室内熱交換器51)に収容される。室内熱交換器51で凝縮した高圧の冷媒は、液冷媒連絡配管7及び液側閉鎖弁37を通って、膨張弁29に至る。
【0056】
冷媒は、膨張弁29によって低圧に減圧され、その後、冷媒貯留タンク27に入る。冷媒貯留タンク27に入る直前の冷媒には、膨張弁29を通過するときに発生したガス成分が含まれているが、冷媒貯留タンク27に入った後、液冷媒とガス冷媒とに分離され、下部側に液冷媒、上部側にガス冷媒が貯留される。
【0057】
また、流量調整弁35は開いているので、ガス冷媒はバイパス路33を通って圧縮機21の吸い込み側へ向う。液冷媒は、室外熱交換器25に送られ、そこで、室外ファン41によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器25の入口からはガス冷媒がほとんど入らないので、室外熱交換器25を流れる冷媒量が減り、その分、圧力損失が抑制される。
【0058】
室外熱交換器25で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁23を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0059】
(3)冷房運転時の冷媒の流れ
図1において、冷房運転時、四路切換弁23が、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器25のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側とガス側閉鎖弁39とを接続する。また、膨張弁29は開度を絞る。その結果、室外熱交換器25が冷媒の凝縮器として機能し、且つ、室内熱交換器51が冷媒の蒸発器として機能する。
【0060】
このような状態の冷媒回路において、低圧の冷媒は、圧縮機21に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁23を通じて、室外熱交換器25に送られる。
【0061】
室外熱交換器25に送られた高圧の冷媒は、そこで室外空気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器25において凝縮器した高圧の冷媒は、冷媒貯留タンク27に送られる。なお、室外熱交換器25の容量は室内熱交換器51の容量より小さいので、冷房運転時では凝縮器(室外熱交換器25)が全ての液冷媒を収容することができない。それゆえ、室外熱交換器25に収容しきれない液冷媒は冷媒貯留タンク27に溜まり、冷媒貯留タンク27は液冷媒で満たされる。なお、流量調整弁35は閉じているので、液冷媒はバイパス路33へ流れない。
【0062】
冷媒貯留タンク27を出た液冷媒は、膨張弁29に送られて低圧に減圧される。膨張弁29で減圧された低圧の冷媒は、液側閉鎖弁37及び液冷媒連絡配管7を通って、室内熱交換器51に入る。
【0063】
室内熱交換器51に入った低圧の冷媒は、そこで室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却される。室内熱交換器51において蒸発した低圧の冷媒は、ガス冷媒連絡配管9、ガス側閉鎖弁39及び四路切換弁23を通じて、再び、圧縮機21に吸入される。
【0064】
(4)特徴
(4−1)
冷凍回路11は、室内熱交換器51がクロスフィン型熱交換器、室外熱交換器25が積層型熱交換器である。また、室外熱交換器25と膨張弁29との間に、冷媒貯留タンク27が設けられている。室外熱交換器25の容量が室内熱交換器51の容量より小さくなるので、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、この冷凍回路では、その余剰冷媒が冷媒貯留タンク27に収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0065】
(4−2)
冷凍回路11は、室外熱交換器25の容積は、室内熱交換器51の容積の100%以下である。また、室外熱交換器25と膨張弁29との間に、冷媒貯留タンク27が設けられている。室外熱交換器25の容量が室内熱交換器51の容量以下となることにより、冷房運転時に余剰冷媒が発生するが、その余剰冷媒が冷媒貯留タンクに収容されるので、冷媒制御に支障をきたすことは防止される。
【0066】
(4−3)
冷凍回路11では、バイパス路33が設けられている。バイパス路33は、冷媒貯留タンク27内に溜まる冷媒のガス成分を圧縮機21、或いは、圧縮機21の吸込側の冷媒配管へ導く。暖房運転時、つまり室外熱交換器25が蒸発器として機能するとき、冷媒が室外熱交換器25の入口手前の冷媒貯留タンク27で液とガスとに分離され、ガス成分はバイパス路へ向う。その結果、蒸発に寄与しないガス成分は室外熱交換器25に入らなくなり、その分、室外熱交換器25を流れる冷媒量が減少し、室外熱交換器25での冷媒の圧力損失が抑制される。
【0067】
(4−4)
圧縮機21の運転周波数が高いときには、冷媒貯留タンク27から気液混合冷媒がバイパス路33を経て圧縮機21の吸込側に戻り、圧縮機21に吸い込まれる可能性があるが、バイパス路33に流量調整弁35が設けられているので、気液混合冷媒の液成分が減圧されて蒸発する。その結果、圧縮機21の吸込側の冷媒配管に液成分が戻ることは防止される。
【0068】
(4−5)
また、流量調整弁35を通った冷媒が、室外熱交換器25で蒸発して圧縮機21に向う冷媒と合流するので、流量調整弁35が電動膨張弁である場合、弁開度を制御することによって圧縮機21に吸い込まれる直前の冷媒状態を、より最適に調整することが可能になる。
【0069】
(4−6)
さらに、流量調整弁35が電動膨張弁である場合、弁開度を制御することによって圧縮機21に戻る冷媒量を増減させることができるので、室内熱交換器51側の負荷に応じて冷凍回路11の冷媒循環量を制御することも可能である。
【0070】
(5)変形例
ここでは、冷媒貯留タンク27が気液分離器である変形例について説明する。図5は、気液分離器の簡略断面図である。図5において、気液分離器は、サイクロン方式であって、円筒容器271、第1接続管273、第2接続管275、及び第3接続管277を有している。
【0071】
第1接続管273は、円筒容器271の円周側壁の接線方向に連結されており、円筒容器271の内部と膨張弁29とを連絡する。第2接続管275は、円筒容器271の底壁に連結されており、円筒容器271の内部と室外熱交換器25とを連絡する。第3接続管277は、円筒容器271の天井壁に連結されており、円筒容器271の内部とバイパス路33とを連絡する。
【0072】
暖房運転時、膨張弁29で減圧され気液混合状態となった冷媒は、第1接続管273から円筒容器271内に流入し、その円周側壁の内周面271bに沿って渦を巻くように流れ、そのとき、その内周面271bに液冷媒が付着し液冷媒とガス冷媒とが効率よく分離される。
【0073】
液冷媒は重力によって降下し下部に溜まり、第2接続管275を通って室外熱交換器25に向う。他方、ガス冷媒は旋回しながら上昇し、第3接続管277を通ってバイパス路33へ流れる。
【0074】
冷房運転時、室外熱交換器25において凝縮して飽和液となった高圧の冷媒は、第2接続管275から円筒容器271内に流入し、円筒容器271は液冷媒で満たされる。液冷媒は、第1接続管273を通って膨張弁29に向う。他方、円筒容器271内の液冷媒の一部は第3接続管277を通ってバイパス路33へ流れる。
【0075】
以上のように、変形例に係る冷凍回路11では、冷媒貯留タンク27がサイクロン方式の気液分離器であるので、冷媒が気液分離器の内周面271bに沿って旋回する間にその内周面に液冷媒が付着し、気液分離が効率よく行われる。
【0076】
また、気液分離器が液冷媒を溜める冷媒貯留機能に加えて、液冷媒とガス冷媒を分離する機能を担うので、冷媒貯留容器と気液分離器とを併設する必要がなく冷凍回路が簡素化される。
【0077】
(6)その他の実施形態
(6−1)
上記実施形態では、室外熱交換器25が、複数の扁平管251と波形フィン253とを有する積層型熱交換器であって、複数の扁平管251が間隔をあけて積み重なるように配列され、波形フィン253が隣接する扁平管251に挟まれている。
【0078】
しかし、室外熱交換器25は、上記のような構成に限定されることはなく、例えば、扁平管が蛇行形状に成形され、フィンが扁平管の互いに隣接する面の間に挟まれている、という構成でも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0079】
(6−2)
また、冷房運転時に室外熱交換器25を水で冷却するような冷凍装置の場合、室外熱交換器25および室内熱交換器51がともにクロスフィン型熱交換器であって、室外熱交換器25の伝熱管径が室内熱交換器51の伝熱管径よりも細い、という構成でも、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明によれば、簡素で高性能な冷凍回路が提供されるので、空気調和装置に限らず、ヒートポンプ式給湯機にも有用である。
【符号の説明】
【0081】
11 冷凍回路
21 圧縮機
25 室外熱交換器
27 冷媒貯留タンク
29 膨張弁
33 バイパス路
35 流量調整弁(流量調整機構)
51 室内熱交換器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開平6−143991号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷房運転時に圧縮機(21)、室外熱交換器(25)、膨張弁(29)および室内熱交換器(51)の順に冷媒が流れ、暖房運転時に前記圧縮機(21)、前記室内熱交換器(51)、前記膨張弁(29)および前記室外熱交換器(25)の順に冷媒が流れる冷凍回路であって、
前記室内熱交換器(51)がクロスフィン型熱交換器、前記室外熱交換器(25)が積層型熱交換器であり、
前記室外熱交換器(25)と前記膨張弁(29)との間に、冷媒貯留タンク(27)が設けられている、
冷凍回路(11)。
【請求項2】
冷房運転時に圧縮機(21)、室外熱交換器(25)、膨張弁(29)および室内熱交換器(51)の順に冷媒が流れ、暖房運転時に前記圧縮機(21)、前記室内熱交換器(51)、前記膨張弁(29)および前記室外熱交換器(25)の順に冷媒が流れる冷凍回路であって、
前記室外熱交換器(25)の容積は、前記室内熱交換器(51)の容積の100%以下であり、
前記室外熱交換器(25)と前記膨張弁(29)との間に、冷媒貯留タンク(27)が設けられている、
冷凍回路(11)。
【請求項3】
前記室外熱交換器(25)が、
間隔をあけて積み重なるように配列された複数の扁平管と、
隣接する前記扁平管に挟まれたフィンと、
を有する積層型熱交換器である、
請求項1又は請求項2に記載の冷凍回路(11)。
【請求項4】
前記室外熱交換器(25)が、
蛇行形状に成形された扁平管と、
前記扁平管の互いに隣接する面の間に挟まれたフィンと、
を有する積層型熱交換器である、
請求項1又は請求項2に記載の冷凍回路(11)。
【請求項5】
前記室外熱交換器(25)および前記室内熱交換器(51)がともにクロスフィン型熱交換器であり、
前記室外熱交換器(25)の伝熱管径が、前記室内熱交換器(51)の伝熱管径よりも細く設定されている、
請求項2に記載の冷凍回路(11)。
【請求項6】
前記冷媒貯留タンク(27)内に溜まる冷媒のガス成分を前記圧縮機(21)、或いは、前記圧縮機(21)の吸込側の冷媒配管へ導くバイパス路(33)がさらに設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の冷凍回路(11)。
【請求項7】
前記バイパス路(33)は流量調整機構(35)を有する、
請求項6に記載の冷凍回路(11)。
【請求項8】
前記冷媒貯留タンク(27)が、気液分離器である、
請求項1又は請求項2に記載の冷凍回路(11)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−77983(P2012−77983A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222719(P2010−222719)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)