説明

冷凍容器用の温度警戒装置

生体標本の温まりに起因する切迫失透を警告するための温度警戒装置において、形状記憶材料を使用した温度警戒装置。温度反応アクチュエータが温まると、標本が失透温度(例えば、−130℃)に近づいてゆくにつれ、形状記憶材料の温度誘発性相変態によって、温度反応アクチュエータが警戒ロッドを伸展させる。温度警戒装置は、液体窒素に浸漬されると、自動的にリセットされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年11月10日に「冷凍容器用の温度警戒装置」(Temperature Alert Device for Cryopreservation)の名称で出願された米国非仮特許出願第12/268016号の継続出願である。前記非仮特許出願を参考文献としてここに援用する。
【0002】
前記出願第12/268016号は、2008年11月10日に「形状記憶シールを備えたガラス化装置」の名称で出願された米国非仮特許出願第12/267794号の一部継続出願である。前記非仮特許出願を参考文献としてここに援用する。
【0003】
前記米国非仮特許出願第12/267794号、それ自体は、2008年11月10日に「形状転換ガラス化装置」(Shape Shifting Vitrification Device)の名称で出願された米国非仮特許出願第12/267708号の一部継続出願継続である。前記非仮特許出願を参考文献として援用する。
【0004】
前記非仮特許出願第12/267708号、それ自体は、「形状記憶ガラス化冷凍容器」(Shape Memory Vitrification Cryocontainer)の名称で2007年11月12日に出願された米国仮特許出願第60/987,110号に対する優先権を主張している。前記仮特許出願を参考文献としてここに援用する。
【0005】
本発明は、生体標本の冷凍保存のための装置の分野に属する。
【背景技術】
【0006】
生命科学では、貴重な(単数又は複数の)細胞の生物活性を長期に亘り休止させることを目的に、冷凍保存技術が実践されている。冷凍保存の成功の1つの要因は、氷の結晶が形成されるという有害効果を低減又は排除することである。冷凍保存時に水が氷へと凍ってゆく自然傾向を阻止するには、高度な方法が必要である。
冷凍保存
【0007】
氷結晶形成を最小限にする1つの方法は、「緩慢凍結」と呼ばれている。緩慢凍結の最初の工程は、浸透性及び非浸透性の凍害保護物質(「CPA」)を含む水溶液(「緩慢凍結媒体」)を用いて、単一細胞又は複数細胞を脱水することである。単一細胞又は複数細胞は、少量の緩慢凍結媒体と共に「生体標本」を構成する。次いで、生体標本は、適した冷凍容器、即ち、極低温温度で使用するのに適した容器に入れられる。ここで使用されている「極低温温度」とは、−80℃より冷たい温度を意味している。緩慢凍結冷凍保存には、生体標本を、室温からその最終的な極低温貯蔵温度まで、即ち、典型的には液体窒素(「LN2」)の大気圧下沸点である−196℃まで冷凍することが伴う。この温度範囲の一部、即ち、大凡−6℃から下へ−30℃までについては、冷凍速度はプログラム可能なフリーザーによって厳密に0.1−0.3℃/分に制御される。−30℃から−196℃までの冷凍は、冷凍容器をLN2に押し込むことによって実現される。緩慢凍結プロセスは完了するまでに2−3時間掛かり、よってその名が付いている。このプロセスにより、氷の結晶は、実際に、単一細胞又は複数細胞を取り囲んでいるCPAの中に形成され、単一細胞又は複数細胞内では最小限になる。緩慢凍結は、胚及び精子の様な含水量の少ない細胞には有効であるが、卵母細胞及び胚盤胞の様な含水量の多い細胞でも巧くいくとは限らない。この欠陥、高い機器費用、及び高時間消費が、ガラス化と呼ばれる代わりの冷凍保存方法の開発をもたらした。
ガラス化
【0008】
ガラス化は、細胞に損傷を負わせる氷の形成を完全に回避しようとしている点で、緩慢凍結とは異なる。緩慢凍結と同様、ガラス化の最初の工程は、「ガラス化媒体」と呼ばれるCPA含有流体を使用して、単一細胞又は複数細胞をできる限り多分に脱水することである。次いで、生体標本(緩慢凍結の場合と同じ定義)は、LN2の様な極低温流体への浸漬によって急速に冷凍される。冷凍速度とCPA濃度を適切に組み合わせることで、細胞内水分は、規則的で損傷を負わせる結晶質の氷の状態というより、むしろ固体で無害のガラス様(ガラス質)の状態を獲得することになる。ガラス化は、水分子をランダムな配列で閉じ込める流体粘度の急激な上昇、と書き表すことができる。しかしながら、ガラス化媒体は、緩慢凍結媒体より高いレベルのCPAを含んでおり、ガラス質状態以外では細胞にとって毒性がある。従って、脱水及び解凍(氷が形成されないので「加温」と呼ばれる)時の細胞のガラス化媒体への曝露時間は、細胞損傷を回避するべく慎重に制御されなくてはならない。ガラス化と緩慢凍結の終点は同じ、つまり、LN2の様なクリオゲン内での長期貯蔵である。
【0009】
10℃/分の冷凍速度が可能であったなら、ガラス化は、凍害保護物質を一切用いずに実現することもできよう。60%w/wのCPA濃度を有する極めて有毒なガラス化媒体は、普通の冷凍速度でガラス化させることができる。市販のガラス化媒体は、上記境界の間のCPA処方と最小冷凍可能速度を有している。CPA濃度と最小冷凍可能速度の間の反比例関係は良く知られている。ガラス化媒体の毒性効果を最小限にするためのキーは、そのCPA濃度を最小化することである。従って、素早く冷凍することが望ましく、速ければ速いほど良い。上記に鑑みて、この分野で起こるべくして起こった初期の発見は、生体標本を直接LN2に押し込んで急速冷凍を実現することであった。このプロセスを円滑化し、制御するため、直接の押し込みを可能にする担持装置が作り出された。例を挙げると、電子顕微鏡グリッド、オープンプルストロー(open pulled straw)、クリオループ(Cryoloop)(商標)、ナイロンメッシュ、及びクリオトップ(Cryotop)である。クリオループは、ハンプトンリサーチ(Hampton Research)社の商標である。これらの装置は、生体標本が冷凍用クリオゲン、典型的にはLN2、と直接接触するという点で「開放型担持具」に分類される。開放型担持具は、生体標本の急速加温も可能にした。
【0010】
しかしながら、LN2は無菌ではない。LN2は、細菌種及び真菌種を含んでいるかもしれず、それらは温められると生存能力を持つ。更に、LN2内に長期貯蔵状態に保たれているガラス化された細胞は、前記LN2に人工的に入れられたウイルス性病原体に感染し得ることが報告されている。従って、開放型担持具にはガラス化された生体標本の感染の可能性がある。感染の可能性が、生体標本が冷凍容器内に入れられてLN2内での冷凍前に密封される閉鎖型冷凍容器の開発をもたらした。冷凍容器は、LN2タンクの中での長期貯蔵中に生体標本を、病原体を含んでいるクリオゲンから隔離する貯蔵装置としての役目も果たす。
【0011】
一旦、生体標本がガラス化してしまうと、有害な氷形成は起こり得ない。−196℃のLN2の中への、ガラス化した生体標本の貯蔵はこの安全な状態を維持する。しかしながら、生体標本が、誤ってガラス化媒体のガラス転移温度(「T」)より上まで温められると、失透が起こり得る。ガラス化媒体においては、Tは、水のTがそうであることから、約−130℃であると考えられている。失透は、望まれない、損傷を負わせる氷結晶形成をもたらす。時に、ガラス化冷凍容器は、様々な理由でLN2タンクから取り出され、その後LN2タンクに戻される。この工程中、生体標本の温度がTより上に上昇すれば、失透の危険性がある。従って、このタンク内から外への工程中に生体標本の温度がTより上に温まっているかどうかを知ることが不可欠である。その温まり方がTに近過ぎれば、冷凍容器をLN2の中へ戻して−196℃に再平衡化させる必要がある。
現在のガラス化用冷凍容器の限界
【0012】
米国特許第7,316,896号「卵の凍結及び貯蔵用の用具と方法」(Egg freezing and storing tool and method)(‘896号装置)には、ガラス化用の閉鎖型冷凍容器が記載されている。この装置は、細いプラスチック管(公称外径(OD)が0.25mmで壁厚が0.02mm)を備えている。典型的な生体標本はヒト卵母細胞を含み、それがガラス化媒体を用いて脱水され、管に引き入れられることになる。次いで、無菌容器を作り出すべく加熱シール形成装置を用いて管の両端に熱シールが施される。
【0013】
米国特許出願第2008/0220507号「極低温ガラス化により保存させるべき規定体積の物質を充填するためのキット」(Kit for Packaging Predetermined Volume of Substance to be Preserved by Cryogenic Vitrification)(‘507号装置)には、管内管閉鎖型冷凍容器の概念が記載されている。管は共にプラスチックから製作されている。内側の管は、生体標本が設置される一方の端にチャネルが作成されるように修正が加えられている。そうして、装入される内側の管が外側の管内に設置される。次に、外側の管の装入端が加熱シールされて、無菌の冷凍容器を作り出す。
【0014】
国際特許出願WO07/120829「哺乳類細胞の冷凍保存の方法」(Method of the cryopreservation of mammalian cells)(‘829号装置)には、ガラス化用の極細管の使用が記載されている。‘829号装置の1つの実施形態は、超微細な極細毛細管の石英管である。生体標本は、その様な装置の中に引き入れられてガラス化されることになる。格段に薄い壁断面(10ミクロン)と、プラスチックとの比較における石英の熱伝導率の高さとにより、発明人らは‘829号装置が高い(30,000℃/分より大きい)冷凍速度を有することになるものと主張している。
【0015】
米国特許出願第2008/0038155号「冷凍保存のプロセスにおいて発生細胞試料を取り扱うための用具と方法」(Tool and method for mainipulating a sample of develpmental cells in a process of cryopreservation)(‘155号装置)には、カンチレバー型区間を備えた管状のガラス化担持具が記載されている。生体標本がカンチレバー型区間に載せられ、次に、管状の保護スリーブが担持具に外挿される。
【0016】
‘896号、‘507号、及び‘829号の各装置は、閉鎖型ガラス化冷凍容器の一例である。‘155号装置は、開放型ガラス化冷凍容器の一例である。何れも、装入後は、LN2の中へ押し込まれることによってガラス化を実現する。長期貯蔵中、それらは、LN2から取り出されることがあり、それらには不注意なユーザーによる失透の危険性がある。上記装置は何れも、ユーザーに、冷凍容器についてそれが危険な温度まで温まっていることを警戒させる温度警戒機能を含んでいない。
現在の形状記憶温度警戒装置の限界
【0017】
先行技術では、様々な温度監視装置で、形状記憶材料の形状対温度の関係が利用されてきた。米国特許第4,448,147号「温度警告装置」(Temperature Warning Device)(‘147号装置)は、形状記憶材料から製作されたリアルタイム過剰温度装置を提案している。‘147号装置は、電流搬送用電極用に設計されており、恐らくは、従来型の温度計は用をなさないと推測される。‘147号装置は、−100℃を超える温度の形状記憶変態に限定された形状記憶合金を使用している。
【0018】
米国特許出願第2008/0215037号「温度反応システム」(Temperature Responsive System)(‘037号装置)は、所定温度に達したらユーザーを警戒させる形状記憶装置である。この所定温度で、形状記憶装置は容器を綻ばせ、物質を放出させる。放出された物質は、様々なやり方で、ユーザーを警戒させる。1つのやり方は、放出された物質がもう1つの物質と組み合わさって、色の変化による視覚的警戒を提供することである。もう1つのやり方は、放出された物質に臭気を放たせるというものであり、臭気を嗅ぐことで警戒させる。
【0019】
上で説明されている形状記憶装置温度警戒装置は何れも、−100℃より下の温度では機能しない。失透警戒装置は、この温度より下で機能しなくてはならない。更には、温度警戒装置がLN2の中へ戻され−196℃に再平衡したときに、同装置がリセットされるようにするための手段を提供するのが望ましい。形状記憶温度感知装置は何れもこの機能を有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国非仮特許出願第12/268016号
【特許文献2】米国非仮特許出願第12/267794号
【特許文献3】米国特許出願第12/267708号
【特許文献4】米国仮特許出願第60/987,110号
【特許文献5】米国特許第7,316,896号
【特許文献6】米国特許出願第2008/0220507号
【特許文献7】国際特許出願WO07/120829
【特許文献8】米国特許出願第2008/0038155号
【特許文献9】米国特許第4,448,147号
【特許文献10】米国特許出願第2008/0215037号
【発明の概要】
【0021】
本発明の概要を、本発明を理解するための手引きとして提供する。それは、必ずしも、本発明の最も一般的な実施形態を記述しているのでもなければ、ここに開示されている本発明のあらゆる種類を記述しているわけでもない。
【0022】
本発明は、温度警戒装置を含んでいるガラス化冷凍容器(閉鎖型又は開放型)を備えている。温度警戒装置は、形状記憶材料の固有の材料特性を利用して、ユーザーへの試料の温まりによる失透の危険性の視覚的警戒を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一方向形状記憶を呈する形状記憶材料の結晶状態と温度の関係を示す図である。
【図2】二方向形状記憶を呈する形状記憶材料の結晶状態と温度の関係を示す図である。
【図3】形状記憶材料と非形状記憶付勢ばねを接合することによって作られたアクチュエータを示している。
【図4】二方向形状記憶材料から構成されたアクチュエータを示している。
【図5】冷凍容器及び温度警戒装置の特徴を示している。
【図6】温度警戒装置に取り付けられている装入された冷凍容器の特徴を示している。
【図7】温度警戒装置を利用した冷凍容器検査プロセスを示している。
【図8】RFIDタグとともに使用するように構成された温度警戒装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の詳細な説明では、本発明の様々な実施形態と特徴が開示されている。これらの実施形態と特徴は、例示であり制限を課すものではない。
【0025】
「約」という用語がここで使用されている場合、それは、温度に関する場合を除き、又は特に別途指示の無い限り、所与の値の+/−20%内を意味する。温度に関しては、「約」という用語は所与の値の+/−2℃を意味する。
【0026】
本発明を使用すれば、様々な生体細胞を無菌で冷凍保存(ガラス化)することができる。細胞の1つの分類は、精子、卵母細胞、胚、桑実胚、胚盤胞、及び他の初期胚細胞の様な、哺乳類の発生細胞である。これらの細胞は、生殖補助処置ではごく普通に冷凍保存される。もう1つの分類に、再生医療で使用される幹細胞がある。最も広範な分類は、本発明の利用可能な冷凍速度と協調するガラス化媒体を使用してガラス化させることができるあらゆる細胞である。
形状記憶効果
【0027】
形状記憶効果は、Ag−Cd、Au−Cd、Cu−Al−Ni、Cu−Zn−Al、Cu−Zn−Si、Cu−Zn−Sn、Cu−Sn、Cu−Zn、Fe−Pt、Fe−Mn−Si、In−Ti、Mn−Cu、Mn−Si、Ni−Ti、Ni−Al、その他の様な或る特定の金属の合金に存在する。このグループの中では、Ni−Tiの合金が、商業的に最も普及している異体であり、ニチノールと呼ばれている。本発明は、広範囲に様々な形状記憶合金で実現することができる。使用される特定の合金は、当業者が選択すればよい。本発明の理解を促すため、この説明の欄ではニチノールの形状記憶材料としての性質を使用して本発明の特徴を説明してゆく。
【0028】
形状記憶効果は、物体が2つの異なる結晶状態で存在し得る現象である。形状記憶効果は、「一方向」又は「二方向」として特徴付けることができる。一方向形状記憶材料では、第1の高温状態にある物体は、剛性を有し、固有の定まった「記憶」形状を備えている。この物体は、冷却されると、容易に変形可能な状態へ変化する。当該物体は、材料を加熱することによって、その変形可能性を喪失させ、その固有の定形状に形態変化させて戻すことができる。材料科学は、これらの物理的状態の間の行き来は、材料の温度誘発性相変化によって引き起こされる現象であることを我々に教えてくれる。
【0029】
二方向形状記憶材料では、低温相は、可鍛性ではなく剛性を有し、それ特有の記憶形状を有している。よって、二方向形状記憶材料から作られた物体は、高温相と低温相の間を行ったり来たりするように物体の温度を上げ下げすることによって2つの異なる形状の間で切り替わらせることができる。
【0030】
図1は、「一方向」形状記憶材料の挙動を示している温度誘発性形状記憶相変化の図である。一方向形状記憶材料は、オーステナイト(図像100)とマルテンサイト(図像120)の2つの結晶構造で存在する。オーステナイト相は、堅さと超弾性の性質を特徴とする。マルテンサイト相は、柔らかく、可鍛性がある。オーステナイト物体の形状は「記憶形状」と呼ばれる。オーステナイト相の物体は、冷却によってマルテンサイトへ変態させることができる。柔らかいマルテンサイトのとき、物体は、変形させることができる。このマルテンサイト物体は、加熱によって変態させてオーステナイトへ戻すことができる。この相変換があると、物体の形状は、(多少の力を加えれば)「記憶形状」に戻るであろう。
【0031】

マルテンサイトからオーステナイトへの変態140は、A(オーステナイト開始)142からA(オーステナイト終了)144までの温度の範囲に亘って起こる。同様に、オーステナイトからマルテンサイトへの変態160は、M(マルテンサイト開始)162からM(マルテンサイト終了)164までの温度の範囲に亘って起こる。オーステナイト変態とマルテンサイト変態は、異なる変態温度帯域内で起こる。この現象は、変態ヒステリシス180と呼ばれ、加熱されてオーステナイトに50%変態している物体と冷却されてマルテンサイトに50%変態復帰している物体の間の温度スプレッドである。全変態温度スパン182は、物体を100%マルテンサイトと100%オーステナイトの間で変態させるのに必要な温度範囲を表している。ニチノールでは、全変態温度スパンは大凡50℃である。典型的な変態温度帯域は15−20℃である。形状記憶材料の重要な特性は、或る物体は、その温度が変態温度の帯域間に在るとき、当該物体の加熱及び冷却の履歴に依って、そのオーステナイト相190かそのマルテンサイト相192の何れかになり得ることである。
【0032】
ニチノールでは、変態温度142、144、162、及び164は、Ni対Ti原子比と、ニチノールの合金形成後の治金加工によって決まる。ニチノールのオーステナイト記憶形状は、材料がオーステナイト相にあるときに治金加工によって作られる。
【0033】
図2は、二方向形状記憶を呈する形状記憶材料での温度誘発性形状記憶相変化の図である。殆どの形状記憶材料は一方向形状記憶を呈するが、それらを鍛えて二方向形状記憶を呈するようにすることができる。これらの材料は、オーステナイト(図像200)とマルテンサイト(図像210)の2つの結晶構造で存在する。二方向形状記憶材料から製作された物体は、相に応じた2つの固有の形状を有することになる。オーステナイト物体は、「オーステナイト形状」を有していることをいう。マルテンサイト物体の形状は、「マルテンサイト形状」と呼ばれる。どちらの形状も、安定していて区別が付く。一方向形状記憶に対し二方向形状記憶には2つの「記憶形状」がある。温度転換220及び240は、形状記憶材料を相の間で切り替え、結果として形状変化を生じさせる。変態ヒステリシス252と全変態温度スパン254は、一方向形状記憶材料の場合と同じ意味を有する。
温度反応形状記憶アクチュエータ
【0034】
図3は、温度反応アクチュエータを作るための一方向形状記憶材料の使用を示している。アイテム300は、自身のオーステナイト相、即ちその記憶形状にある螺旋状のニチノールばねである。ばねの内側は、以下に論じられている付勢ばねを受け入れるために使用されることになる空いた円筒形の空間302になっている。ニチノールばねは、冷却されてマルテンサイトへ変態すれば、より短い長さ320へ圧縮させることができ、圧縮力が取り除かれても、圧縮された状態に保たれることになる。ニチノールばねが熱せられてそのオーステナイト変態が誘発されれば、その形状は記憶形状に復元され、ばねが展開する(アイテム300)。
【0035】
アイテム340は、鋼、真鍮、アルミニウム、又は他の非形状記憶材料の様な従来のばね材料から製作された、通常は圧縮されている螺旋状の付勢ばねを示している。
【0036】
アイテム360に示されている様に、付勢ばね362がニチノールばね364の内側に(又はその逆に)入れ子にされ、それぞれのばねの端366、368が接合されれば、温度反応アクチュエータが形成される。ニチノールばねがそのマルテンサイト相にあれば、アクチュエータは、付勢ばねによって短い長さ370に潰されるであろう。アクチュエータが、オーステナイト終了温度より上に熱せられれば、ニチノールばねは展開し、アクチュエータ380は長い長さ382に展開するであろう。
【0037】
短い長さから長い長さへの変態は、アクチュエータがそのオーステナイト開始温度からそのオーステナイト終了温度へ熱せられるにつれ漸増的に進行してゆく。こうして、加熱されると、アクチュエータの長さはAとAの間の温度に較正されることになる。アクチュエータは、そのマルテンサイト終了温度より下に冷却することによって、その短い長さにリセットさせることができる。よって、アクチュエータは、加温と冷却のサイクルが交互に起こる間、繰り返し、温度を監視するのに使用することができる。
【0038】
図4は、温度反応アクチュエータを作るための二方向形状記憶材料の使用を示している。アイテム400は、相対的に長い長さ402を有している、そのオーステナイト形状の二方向ニチノールばねである。ばねの内側は空いた円筒形の空間404になっている。オーステナイトばねをそのマルテンサイト終了温度より下に冷却すると、そのマルテンサイト変態が誘発される。これにより、結果的に、ばねは、相対的に短い長さ408を有する、そのマルテンサイト形状406へ変形する。ばねがその後そのオーステナイト終了温度より上に熱せられると、その長さはその長い長さに復帰する。
冷凍容器用の温度警戒装置
【0039】
図5は、ユーザーに失透の危険性を警戒させるための温度警戒装置の冷凍容器への適用を示している。温度警戒装置520を備えた例示的な冷凍容器500の略管状の要素の縦断面が示されている。冷凍容器は、2つの開口端504を有する管502を備えている。約2mmのOD506と3−6cmの長さ508が適している。
【0040】
温度警戒装置520は、円筒形の基部522、形状記憶アクチュエータ524、及び警戒ロッド526を備えている。「ロッド」がここで使用されている場合、それは、形状記憶アクチュエータに取り付けるか又は動作可能に係合させる(例えば、取り付ける)ことができる、タブ又は円筒の様な、何らかの物理的表示器を意味する。円筒形の基部は、肩部528、座ぐり部530、チャンバ532、及びスロット534を備えている。アクチュエータは、536で円筒形の基部に取り付けられ、538で警戒ロッドに取り付けられている。アクチュエータと警戒ロッドは共に、チャンバ内で略直線的に自由に動ける。加温又は冷却によるアクチュエータの変態運動は、警告ロッドを出口540に対し入れ子式に伸展させたり引っ込ませたりする。この付勢的な出し入れはかなり強硬である。スロットは、アクチュエータを環境に曝し、アクチュエータへの熱伝達を高める働きをする。スロットの数と寸法は、構造的完全性を危うくすることなしに熱伝達を最大化するように選択されている。警戒ロッドは、警戒色542の帯を有する外部面を備えている。0.5−1cmのOD544が適している。3−8cmの長さ546が適している。
【0041】
警戒色は、失透の脅威の高まりに対応させることができる。緑は、約−150℃での初期的な表示に対応していてもよいであろう。青と橙は、約−150℃より上の中間的な高まりの表示に対応することになろう。赤は、約−130℃の最終的な表示に対応することになろう。
【0042】
失透を警告するための代表的な警戒プロトコルは、「失透閾温度」を識別するというものである。この温度より下では、生体標本は比較的安全である。それより上になると、失透の危険性は急速に高まる。自然な失透閾温度は、水のガラス転移温度である約−130℃である。ガラス化媒体は、僅かに異なる失透閾温度を有していてもよい。形状記憶アクチュエータは、一方向形状記憶ばねと付勢ばねを備えている。形状記憶ばねは、約−150℃又はそれより冷たいオーステナイト開始温度を有している。アクチュエータは、この温度で伸展し始め、オーステナイト終了温度に達するまで伸展し続ける。オーステナイト終了温度は、失透閾温度である約−130℃であるのが望ましい。
【0043】
図6は、冷凍容器管600を装入して、温度警戒装置と組み立てるプロセスを示している。端610にシールを施す前に、シリンジ(図示せず)を冷凍容器管の開口602に取り付けた。シリンジは、生体標本604を冷凍容器管の他端の中へ引き入れる真空を作り出した。生体標本は、ガラス化媒体606と冷凍保存されることになっている1つ又はそれ以上の細胞608とから構成した。次いで、無菌シール610を作成するべく、生体標本を入れた冷凍容器管の端に熱シールを施した。
【0044】
装入し、シールを施した後、アイテム620に示されている様に、次に冷凍容器管の開口端602が円筒形の基部626の座ぐり部622内に設置される。肩部628に熱シールを施すことによって無菌シールが作成される。警戒装置の警戒ロッド632は、装入が、ニチノールばねのオーステナイト終了温度より優に上の室温で行われているため、開口から露出長さ634だけ外に伸展している。適した露出長さは約1.5cmである。
【0045】
次いで、冷凍容器が液体窒素に入れられ、生体標本がガラス化される。ニチノールばねはそのマルテンサイト終了温度より下で変態するため、警戒ロッドは一杯に引っ込んでいる。冷凍容器が液体窒素から取り出され、温まり始めれば、その結果、ニチノールばねが伸展し、警戒ロッドが伸展し、そして切迫した失透の警告が与えられることになる。冷凍容器が液体窒素槽に戻されれば、その結果、警戒ロッドは引っ込むであろう。
温度警戒装置に適したニチノール等級
【0046】
冷凍容器がLN2(−196℃)貯蔵庫から取り出されて温まってゆくとき、失透の危険性は、約−130℃である水のTで始まる。警戒プロトコルは、安全な(−196℃と−130℃の間の)温度で警戒を起動し、漸増的に強くなって約−130℃で最高点に達する警告を提供するべきである。アクチュエータは、そのオーステナイト開始温度からそのオーステナイト終了温度までの変態運動を有する。従って、ニチノールから構成されているアクチュエータについては、相応するオーステナイト開始温度は約−150℃であり、相応するオーステナイト終了温度は約−130℃である。これらの温度での変態を実現するのに、標準的なニチノール合金は、鉄又はクロムの様な第3の元素を添加することによって改質することができる。
【0047】
LN2に浸漬されると温度警戒がリセットされるようにするためには、マルテンサイト終了温度は約−196℃より上でなくてはならない。適したマルテンサイト開始温度は、約−180℃ということになろう。リセットするのに液体ヘリウムが使用される場合は、少なくとも−269℃という、より低いマルテンサイト終了温度が使用され得る。
生体標本に適した材料
【0048】
ヒト生殖細胞の様な生体標本は、冷凍容器の様々な構成要素と接触するかもしれない。ヒト生殖細胞は、或る特定の材料に不都合な反応を示す。その様な反応を引き起こさない材料は、「非胎児毒性」と呼ばれる。よって、管、円筒形の基部、及び警戒ロッドとして適切な材料には、極低温用役に適した非胎児毒性材料が含まれる。サーリン(Surlyn)8921の様なアイオノマー樹脂が適している。我々の試験により、ニチノールは規格化された試験に照らして非胎児毒性であり、従って同様に適していることが示されている。ニチノールは、極低温温度で使用することができる。
検査中の切迫失透を警告する方法
【0049】
図7は、どの様にして温度警戒装置がユーザーに、冷凍容器が長期貯蔵庫から検査のために取り出された後の失透の危険性を警戒させることができるかを示している。アイテム700を参照すると、冷凍容器702は、長期貯蔵庫から検査のために取り出され、LN2 706の小容器704に入れられている。これらの容器は一般に「ゴブレット」と呼ばれている。ゴブレットにはLN2が最上に近いレベル708まで充填されている。LN2は、周囲熱を吸収してゆくとボイルオフし、蒸気710になる。
【0050】
アイテム720に示されている様に、検査が進行するにつれ、ゴブレットの中のLN2のレベル722はLN2ボイルオフのせいで落ちてゆく。温度警戒装置724は、アクチュエータを取り巻くボイルオフした窒素蒸気726が依然として−150℃より冷たいために、警戒を起動していない。蒸気は、主として、ゴブレットの壁728を介して周囲熱を吸収することによって温まる。生体標本を収容している冷凍容器の遠位端730は、かなり少量のLN2になお浸漬されており、安全な状況である。
【0051】
アイテム740は、LN2レベル742の更なる下降を示している。アクチュエータを取り巻く蒸気744の温度は、変態運動746を表出させ、警戒ロッド746を伸展させるに足るほどに温かい。ゴブレットの壁からの加熱に加え、蒸気は、雰囲気がボイルオフしたLN2蒸気と混ざり合う渦流750によっても温められる可能性がある。警戒ロッドは、一部が円筒形のチャンバから外に出て、警戒を合図する。しかしながら、冷凍容器の遠位端752は、依然として、LN2に浸漬されていて、生体標本は失透の危機にはない。従って、警戒746は、失透の危険性の「早期警告」を余裕を持たせて提供している。検査ゴブレットで溢れている部屋では、それぞれのゴブレットを覗き込んでLN2レベルを観測するのは負担である。ユーザーは、一瞥して、それぞれのゴブレットのLN2レベルを視覚的に推し測ることができ、必要に応じて介入することができる。
【0052】
アイテム760は、LN2のボイルオフが更に進んで生体標本がLN2 762に殆ど浸漬されない状態に陥っていることを示している。蒸気764の温度は、アクチュエータの変態運動がその限界に到ってしまうほどに上昇している。警戒ロッド766は一杯に伸展していて768、冷凍容器は今や最高警戒にある。技術者は、ゴブレットにLN2を補充するか又は冷凍容器を長期貯蔵庫に戻すかの緊急処置を取るべきことを知る。
【0053】
ユーザーが、冷凍容器を長期貯蔵庫から取り出し、それをLN2の入っていないゴブレットに入れることもあり得る。この筋書きでは、冷凍容器には、以上に説明されている、その「早期警告」機能を有しないかもしれない。しかしながら、アクチュエータのオーステナイト開始温度は水のTよりも温かいので、冷凍容器はTより十分手前で警戒を起動し、Tに近づくにつれ漸増的に強い警戒を提供するであろう。
【0054】
警戒があった後、冷凍容器がLN2に戻されると、温度警戒装置はリセットされる。このクリオゲンの冷凍効果は変態運動を誘発し、警戒ロッドを円筒形のチャンバの中へ引っ込める。この温度警戒装置を用いた場合、検査手順は、冷凍容器がLN2に再浸漬される前の警戒ロッドの位置を記録するように改変されてもよい。これにより、検査中に生体標本が安全に取り扱われたことが記録として残る。
【0055】
温度警戒装置は、失透の危険性の視覚的警戒を提供する。変態運動は、警戒を知らせるのに異なるやり方で使用することもできる。一例として、点滅灯、警報音、RFIDタグを用いる様な無線式が挙げられよう。
【0056】
図8は、RFIDタグを含むために修正を加えられた温度警戒装置を示している。警戒装置800は、修正が加えられた円筒形の基部802、形状記憶アクチュエータ804、及びRFIDタグ806を備えている。温度警戒装置が冷たいとき810、形状記憶アクチュエータは、潰れていて、RFIDタグは修正が加えられた円筒形の基部の中へ引き込まれている。修正が加えられた円筒形の基部は、RFIDタグを外部のRFID読取り機830から電磁的に遮蔽しており、よって、RFIDタグは読取り機には「見えて」いない。しかしながら、温度警戒装置が温かくなると820、形状記憶アクチュエータは展開し、RFIDタグ822はチャンバから出て、RFID読取り機に「見えて」くる。その時、警告音が鳴らされてもよい。
設計考察
【0057】
ここに記載されている温度警戒装置は、開放型及び閉鎖型のガラス化冷凍容器に使用することができる。本発明の早期警告特性は、アクチュエータと生体標本の間の距離に関係付けられている。この距離は、異なるサイズのゴブレットを利用するかもしれないユーザーの必要性に合わせて変更することができる。温度警戒装置を製作するのに、一方向ニチノールを付勢ばね無しで使用したアクチュエータを使うこともできる。これらのアクチュエータは、自動リセット特性を持たないことになる。それらは、アクチュエータがマルテンサイトに変態した後に、警戒ロッドを円筒形のチャンバの中へ押し戻すことによってリセットさせることができる。
結論
【0058】
本開示は、1つ又はそれ以上の異なる代表的な実施形態に関連付けて説明してきたが、当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、また本開示の要素に等価物を置き換えることができることが理解頂けるであろう。更に、本開示の本質的な範囲又は教示から逸脱することなく、特定の状況に適合させるべく多くの修正を加えることができる。従って、本開示は、本発明を実施するための考えられている最良の形態として開示されている特定の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
100、200 オーステナイト結晶構造
120、210 マルテンサイト結晶構造
140、220 マルテンサイトからオーステナイトへの変態
142 オーステナイト開始
144 オーステナイト終了
160、240 オーステナイトからマルテンサイトへの変態
162 マルテンサイト開始
164 マルテンサイト終了
180、252 変態ヒステリシス
182、254 全変態温度スパン
190 オーステナイト相
192 マルテンサイト相
300 記憶形状にある螺旋状のニチノールばね
302 円筒形空間
320 ニチノールばねの圧縮又は変形
340 非形状記憶ばね材料の付勢ばね
360 マルテンサイト相の螺旋ばね形状記憶アクチュエータ
362 付勢ばね
364 ニチノールばね
366、368 ばね端
370、382 アクチュエータの全長
380 オーステナイト相の螺旋ばね形状記憶アクチュエータ
384 アクチュエータ収縮力
400 オーステナイト形状の二方向ニチノールばね
402、408 ばねの長さ
404 円筒形の空間
406 マルテンサイト形状の二方向ニチノールばね
500 冷凍容器
502 管
504 開口端
506 OD(外径)
508 長さ
520 温度警戒装置
522 円筒形の基部
524 形状記憶アクチュエータ
526 警戒ロッド
528 肩部
530 座ぐり部
532 チャンバ
534 スロット
536、538 取り付け点
540 出口
542 警戒色
544 OD(外径)
546 長さ
600 冷凍容器管
602 開口端
604 生体標本
606 ガラス化媒体
608 細胞
610 無菌シール
620 冷凍容器
622 座ぐり部
626 円筒形の基部
628 肩部
632 警戒ロッド
634 露出長さ
702 冷凍容器
704 ゴブレット
706 LN2
708、722、742、762 LNレベル
710、726、744、764 窒素蒸気
724 温度警戒装置
728 ゴブレットの壁
730、752 冷凍容器の遠位端
746 警戒
748、766 警戒ロッド
750 渦流
768 一杯に伸展した状態
800 警戒装置
802 円筒形の基部
804 形状記憶アクチュエータ
806、822 RFIDタグ
810 温度警戒装置が冷たい状態
820 温度警戒装置が温かい状態
830 RFID読取り機
オーステナイト開始温度
オーステナイト終了温度
マルテンサイト開始温度
マルテンサイト終了温度
転移温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
失透の危機を警告するための温度警戒装置において、
a.形状記憶要素と、
b.チャンバと、
c.少なくとも部分的に前記チャンバ内にある警戒ロッドと、を備えており、
前記警戒ロッドは、前記チャンバの温度が第1閾加温温度より上になれば、前記警戒ロッドが少なくとも部分的に前記チャンバから押し出されるように、動作可能に前記形状記憶要素と係合されている、温度警戒装置。
【請求項2】
前記形状記憶要素はばねである、請求項1に記載の温度警戒装置。
【請求項3】
前記チャンバの前記温度が冷凍閾値より下になったとき、前記警戒ロッドを前記チャンバの中へ引き込んで位置をリセットするようなアクチュエータを形成するべく、前記形状記憶ばねに取り付けられている付勢ばねを更に備えている、請求項2に記載の温度警戒装置。
【請求項4】
前記形状記憶ばねは、−196度を超えているか又はそれに等しいマルテンサイト終了温度と、−130℃未満か又はそれに等しいオーステナイト終了温度を有するニチノール合金である、請求項3に記載の温度警戒装置。
【請求項5】
前記形状記憶ばねは、二方向形状記憶合金を備えており、前記形状記憶ばねのマルテンサイト相の記憶形状は、前記形状記憶ばねのオーステナイト相の記憶形状より短い、請求項2に記載の温度警戒装置。
【請求項6】
前記警戒ロッドはタブ又は円筒である、請求項1に記載の温度警戒装置。
【請求項7】
前記温度警戒装置が第2閾温度まで温められたときに、前記チャンバの前記警戒ロッドの最大移動量に達する、請求項1に記載の温度警戒装置。
【請求項8】
前記第2閾温度は約−130℃である、請求項7に記載の温度警戒装置。
【請求項9】
前記警戒ロッドはRFIDタグを備えている、請求項1に記載の温度警戒装置。
【請求項10】
生体標本のガラス化のため冷凍容器において、
a.生体標本を保持するための管と、
b.温度警戒装置と、を備えており、
前記温度警戒装置は、前記温度警戒装置が、約−150℃で初期的な表示を、約−150℃より上で中間的な表示を、そして約−130℃で最終的な表示を提供するような形状記憶アクチュエータを備えている、冷凍容器。
【請求項11】
前記温度警戒装置は、液体窒素に浸漬されると自動的にリセットされることになる、請求項10に記載の冷凍容器。
【請求項12】
前記温度警戒装置は、警戒ロッドを更に備えており、温度についての前記表示は、前記警戒ロッドの前記管に対する直線移動量の度合いに対応している、請求項10に記載の冷凍容器。
【請求項13】
検査中の生体標本の失透の危険性を低減するための方法において、
a.前記試料を保持している冷凍容器であって、該冷凍容器が第1閾温度より上に温まったときに反応するように構成されている温度警戒装置を備えている冷凍容器を、極低温流体が入っているゴブレットに入れる段階と、
b.前記温度警戒装置を監視して前記反応を検知する段階と、
c.前記監視によって前記反応が検知されたとき、失透の危険性を低減する特定の措置を取る段階と、から成る方法。
【請求項14】
前記第1閾温度は、−150℃から−130℃の範囲にある、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応は、色を露出させることである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記反応は、RFID読取り機を始動させることである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記特定の措置は、追加の極低温流体を前記ゴブレットに足すことである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記特定の措置は、前記冷凍容器を長期貯蔵庫に移すことである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記極低温流体は液体窒素である、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−503618(P2011−503618A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534133(P2010−534133)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/083177
【国際公開番号】WO2009/064755
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(508064322)ヴァンス プロダクツ インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】VANCE PRODUCTS INCORPORATED
【Fターム(参考)】