説明

冷凍機の運転方法及び製造方法

【課題】密閉型の空気冷媒冷凍機において、冷媒の圧力を適切に維持する。
【解決手段】冷凍機は、冷媒ガスを圧縮した後に除熱し、膨張タービンで膨張させることにより低温ガスを生成する冷媒ガス循環系統と、低温ガスとの熱交換により冷却庫の内部を冷却する中間系統と、冷媒ガス循環系統の内部の冷媒ガスの量を調整するガス量調整部とを備える。ガス量調整部は、冷媒ガス循環系統の圧力が所定圧力を下回ると冷媒ガスを供給する供給系統と、コンプレッサとタービンの回転数が下がるときに体積流量の増加分を系外に排気する排気系統とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気冷媒式冷凍機に代表されるような、気相で循環するガスの顕熱によって冷却を行う冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気冷媒式冷凍機に代表される、気相で循環するガスの潜熱ではなく顕熱を利用することによって冷却を行うガス冷媒式冷凍機が知られている。特許文献1に記載の技術は、その一例である。
【0003】
開放型の冷凍機が知られている。図1は、その一例を示す。開放型空気冷媒冷凍機102は、タービンユニット104、水冷式熱交換器112、排熱回収熱交換器114及びそれらを接続する配管を備える。
【0004】
タービンユニット104は、モータ106、コンプレッサ108及びタービン110を備える。コンプレッサ108とタービン110とはモータ106の回転軸に同軸に結合される。コンプレッサ108の出口側は水冷式熱交換器112の高温側流路の入口に接続される。水冷式熱交換器112の高温側流路の出口は排熱回収熱交換器114の高温側流路の入口に接続される。排熱回収熱交換器114の高温側流路の出口はタービン110の入口に接続される。タービン110の出口は冷凍倉庫116の低温空気供給口に接続される。冷凍倉庫116には低温空気吸入口が設けられ、低温空気吸入口は排熱回収熱交換器114の低温側流路の入口に接続される。排熱回収熱交換器114の低温側流路の出口はコンプレッサ108の入口に接続される。
【0005】
このような開放型空気冷媒冷凍機102において、モータ106が駆動されると、コンプレッサ108は空気を圧縮する。圧縮された空気の温度は、まず水冷式熱交換器112において、次いで排熱回収熱交換器114において下げられる。排熱回収熱交換器114を出た空気は、タービン110で膨張することにより低温の空気となる。この低温の空気は、冷凍倉庫116の内部の冷却対象物が置かれる空間に供給される。
【0006】
冷凍倉庫116の内部には、例えば食品や医薬品が保存される。このような倉庫の内部には通常、空気(大気とほぼ同じ組成の気体)が満たされている。空気冷媒式冷凍機は冷媒の空気をこうした倉庫の内部に直接に供給することができる。倉庫の内部の空気は低温空気吸入口から開放型空気冷媒式冷凍機102に再導入され、排熱回収熱交換器114を介してコンプレッサ108に供給される。
【0007】
このようなタイプの冷凍機において、冷凍倉庫116の内部は、出入口を開けることにより外部の大気と連通する。そのため、大気の湿分が冷凍倉庫116の内部に入り、その湿分はさらに冷凍機の冷媒空気にも入る。この湿分は、冷凍機及び冷凍倉庫の内部における結露と氷結の原因になる。そのため、空気冷媒式冷凍機においては湿分を処理する技術が必要とされ、さまざまな湿分処理手法が提案されている。特許文献2はその一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2977069号公報
【特許文献2】特許第3891668号公報
【特許文献3】特開2007−71507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の結露の問題を回避することができる技術として、特許文献3には、密閉型の空気冷媒冷凍装置が開示されている。この文献によれば、空気冷媒冷凍装置によって冷却された冷媒は、直接に倉庫の内部に供給されず、ブライン冷却器22においてブラインを冷却し、冷却されたブラインにより倉庫の内部が冷却される。
【0010】
本願発明の発明者は、密閉型の空気冷媒冷凍機の開発を進めている。その過程で、以下の問題を認識するに至った。
【0011】
第1に、開放型のシステムでは、冷凍倉庫において大気に開放しているため、自然に圧力バランスを取ることができる。ところがクローズドシステムにおいては大気に開放していないため、システム全体の圧力アースがなかった。そのため、システムの冷媒循環系の圧力をコンプレッサやタービン等の機器の最適動作点にアンカーできる保証がなかった。
【0012】
第2に、冷媒空気の体積変動が問題となった。クローズドシステムでは冷媒循環系から冷媒の出入りが無いため、冷媒の体積が温度変化に応じて増減し、圧力もしくは体積流量の変動が発生することが予想された。
【0013】
しかし、本願発明の発明者が実際に試作機を製作してみると、冷媒空気の温度変化による体積変動よりも、コンプレッサの回転数が増減するときの圧力の変化率による影響の方が大きいことが判明した。特に、コンプレッサの回転数がある範囲において上昇するときに、冷媒の体積流量が急速に変化するという現象が見られた。
【0014】
そこで本発明の目的は、密閉型の空気冷媒冷凍機において、冷媒の圧力を適切に維持する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0016】
本発明による冷凍機は、冷媒ガスの温度を下げて低温ガスを生成する冷媒ガス循環系統(2)と、低温ガスとの熱交換により冷却庫の内部を冷却する中間系統(4、6)と、冷媒ガス循環系統の内部の冷媒ガスの量を調整するガス量調整部(34、38)とを備える。
【0017】
本発明による冷凍機において、冷却庫は大気に開放可能な開放口を備える。
【0018】
本発明による冷凍機の運転中、冷媒ガスは冷媒ガス循環系統の内部を常に気相で循環する。
【0019】
本発明による冷凍機において、冷媒ガスは冷凍機の運転時に結露しない程度に除湿されている。例えば、一般的に入手可能な露点が−30℃〜−70℃のガス冷媒が用いられる。
【0020】
本発明による冷凍機において、冷媒ガスは空気、又は窒素である。
【0021】
本発明による冷凍機において、ガス量調整部(34、38)は、冷凍機が設置される施設の冷媒ガス(例:窒素)を供給するラインとの間で冷媒ガス循環系統の内部の冷媒ガスの量を調整する。
【0022】
本発明による冷凍機において、ガス量調整部(34)は、冷媒ガス循環系統の所定位置の圧力が所定圧力を下回ったときに冷媒ガスを冷媒ガス循環系統に供給する。
【0023】
本発明による冷凍機において、冷媒ガス循環系統は、冷媒ガスを圧縮するコンプレッサ(12)と、コンプレッサから吐出された冷媒ガスの温度を下げる熱交換器(20、26)と、熱交換器から導入された冷媒ガスを膨張させて低温ガスを生成するタービン(14)とを備える。コンプレッサと膨張タービンとは回転軸であるシャフトを共有する。
【0024】
本発明による冷凍機において、ガス量調整部(34)は、コンプレッサの回転数が上昇するときに冷媒ガスを冷媒ガス循環系統に供給する。
【0025】
本発明による冷凍機において、ガス量調整部(38)は、コンプレッサの回転数が低下するときに冷媒ガスを冷媒ガス循環系統から排気する。
【0026】
本発明による冷凍機において、ガス量調整部(34)は、ボンベ(46)に充填された冷媒ガスと同種のガスを冷媒ガス循環系等の内部に導入する。
【0027】
本発明による冷凍機は、内部に気体を一定の圧力で蓄積するバッファタンク(48)を備える。ガス量調整部(34、38)は、冷媒ガス循環系統の内部から排気された冷媒ガスをバッファタンクに送り、冷媒ガス循環系統の内部に供給する冷媒バスをバッファタンクから調達する。
【0028】
本発明による冷凍機の運転方法は、閉じた経路を循環する冷媒ガスの温度を下げて低温ガスを生成する冷却ステップと、低温ガスと熱交換することで冷却された中間ガスによって冷却庫の内部を冷却するステップと、冷媒ガス循環系統の内部の冷媒ガスの量を調整する調整ステップとを備える。
【0029】
本発明による冷凍機の運転方法において、調整ステップは、閉じた経路の所定位置の圧力が所定圧力を下回ったときに冷媒ガスを冷媒ガス循環系統に供給するサブステップを含む。
【0030】
本発明による冷凍機の運転方法において、冷却ステップは、冷媒ガスをコンプレッサにより圧縮する圧縮サブステップと、圧縮サブステップにおいて圧縮された冷媒ガスを熱交換により冷却する熱交換サブステップと、熱交換サブステップにおいて冷却された冷媒ガスを膨張タービンによって膨張させるサブステップとを備える。
【0031】
本発明による冷凍機の運転方法は、コンプレッサの回転数を制御する制御情報を取得するステップを備える。調整ステップは、回転数が低下することが制御情報に示されていたとき、冷媒ガスを冷媒ガス循環系統から外部に排気するサブステップを備える。
【0032】
本発明による冷凍機の運転方法において、調整ステップは、回転数が増加することが制御情報に示されていたとき、冷媒ガスを冷媒ガス循環系統に供給するサブステップを備える。
【0033】
本発明による冷凍機の製造方法は、冷凍機の冷媒として用いられる空気である冷媒空気を空気入口から導入し、導入された冷媒空気の温度を下げて低温空気を生成し、低温空気を空気出口から冷却庫の内部に供給することにより冷却庫の内部を冷却する開放型冷凍機を用意するステップと、冷却庫から空気入口と空気出口とを取り外し、熱交換器の低温側ガス通路の一端に空気出口を接続し、他端に空気入口を接続することにより、大気と直接的に連通しない閉鎖型冷媒ガス循環系統を形成するステップと、熱交換器の高温側ガス通路に、冷却庫を冷却するために用いられる二次系の冷媒が循環する二次系循環系統を接続するステップと、閉鎖型冷媒ガス循環系統の内部の冷媒ガスの量を調整するガス給排気系統を設置するステップとを備える。
【0034】
本発明による冷凍機の製造方法において、開放型冷凍機は、冷媒ガスをコンプレッサによって圧縮し、続いて温度を下げ、続いて膨張タービンにおいて膨張させることにより低温空気を生成する。ガス給排気系統は、コンプレッサの回転数が低下するときに閉鎖型冷媒ガス循環系統の内部の冷媒ガスの量を減らす。
【発明の効果】
【0035】
本発明により、密閉型の空気冷媒冷凍機において、冷媒の圧力を適切に維持する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】公知の空気冷媒冷凍機(オープン型)を示す。
【図2】実施の形態における冷凍機(クローズド型)を示す。
【図3】起動時に供給ラインから供給される窒素の量を示す。
【図4】実施の形態における冷凍機(クローズド型)を示す。
【図5】実施の形態における冷凍機(クローズド型)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。図2は、空気冷媒式の冷凍装置の構成を示す。冷凍装置2は、タービンユニット8、水冷式熱交換器20、排熱回収熱交換器26及びそれらの間を接続する配管を備える。
【0038】
タービンユニット8は、モータ10、コンプレッサ12及び膨張タービン14を備える。コンプレッサ12と膨張タービン14とはモータ10の回転軸に結合されて同軸に回転する。コンプレッサ12の出口側は配管18の一端に接続される。配管18の他端は水冷式熱交換器20の高温側流路の入口に接続される。その高温側流路の出口は配管24の一端に接続される。配管24の他端は排熱回収熱交換器26の高温側流路の入口に接続される。その高温側流路の出口は配管28の一端に接続される。配管28の他端は膨張タービン14の入口に接続される。膨張タービン14の出口は配管30の一端に接続される。配管30の他端は熱交換器4の低温側流路の入口に接続される。その低温側流路の出口は配管32の一端に接続される。配管32の他端は排熱回収熱交換器26の低温側流路の入口に接続される。その低温側流路の出口は配管16の一端に接続される。配管16の他端はコンプレッサ12の入口に接続される。
【0039】
配管16には、供給ライン34、排気ライン38及び排気ライン42が接続される。供給ライン34には定圧弁36が設置される。排気ライン38には電磁弁40が設置される。排気ライン42には電磁弁40よりも応答速度の速い逃がし弁44が設置される。
【0040】
定圧弁36は、配管16の内部の減圧を抑制するために、配管16の圧力が1気圧よりも若干高めに設定された所定の圧力(ゲージ圧で0.001〜0.0025MPa程度)を下回ったときに開けられる。定圧弁36が開けられると、冷媒空気が外部の供給源から圧力差により配管16に導入される。この冷媒空気は、冷媒ガスは冷凍機の運転時に結露しない程度に除湿されており、大気に比べて露点が低い。例えば、一般的に入手可能な露点が−30℃〜−70℃のガス冷媒が用いられる。こうした定圧弁36の動作により、冷媒循環系の圧力の基準点を提供する圧力アースが実現され、コンプレッサ12やタービン14等を最適な動作点で運転する制御が可能となる。温度変化により冷媒空気の体積流量が減少した場合にも、定圧弁36を介して冷媒空気が配管16に導入されることにより補償することができる。
【0041】
電磁弁40の開度はコントローラにより制御される。その制御について以下に説明する。膨張タービン14の回転数は、回転数指令に応答して制御される。その回転数指令により、膨張タービン14の回転数を下げる制御が行われているとき、電磁弁40はその回転数指令に応答して開けられる。膨張タービン14の回転数を下げる制御が終わると、電磁弁40は閉じられる。
【0042】
電磁弁40の制御方法としては、冷媒循環系統の所定位置での冷媒空気の圧力を検出し、その圧力に応じて開度を制御する方法、モータ10の回転数変化や目標回転数を用いて制御する方法を採用することができる。例えば冷媒空気の圧力変化に応答して電磁弁40の開度を制御することにより、温度上昇によって冷媒空気の体積流量が増加したときに、あまった冷媒空気を排気ライン38より排気して補償することができる。
【0043】
逃がし弁44は、配管16の圧力が所定の圧力を上回ったときに、配管16の内部の空気冷媒を外部に放出する。
【0044】
熱交換器4の高温側流路と熱交換器6の低温側流路とを含む2次系の循環経路を第1のブラインが循環する。熱交換器6の高温側流路には第2のブラインが流され、第2のブラインは図示しない倉庫の内部の空気と熱交換する。
【0045】
このような構成を備えた冷凍装置2は、以下のように動作する。冷媒循環系(配管16、18、24、28、30、32を含む経路)には、運転時に温度が最低になる部分の温度よりも露点の低い冷媒空気が充填されている。モータ10が駆動されると、コンプレッサ12と膨張タービン14が回転する。コンプレッサ12は、配管16の冷媒空気を吸収して圧縮し、配管18に吐出する。圧縮された冷媒空気は、水冷式熱交換器20においてより低温の冷却水と熱交換することによって除熱される。除熱された冷媒空気は、排熱回収熱交換器26において配管32から流入する冷媒空気と熱交換する。排熱回収熱交換器26から出た冷媒空気は膨張タービン14において膨張して低温の冷媒空気となり、配管30に供給される。配管30の冷媒空気は熱交換器4、6を介して図示しない倉庫の内部を冷却する。熱交換器4から出た冷媒空気は排熱回収熱交換器26に導入され、配管24から導入された冷媒空気と熱交換した後、配管16に流入する。
【0046】
倉庫は通常、出入口を開けることにより外気と連通する。そのため倉庫の内部には外気の湿分が流入する。本実施の形態における冷凍装置の冷媒は、外気の湿分から遮断されている。そのため、大気より露点の低い冷媒で運転できる。この意味で、本実施の形態における冷凍装置はクローズドサイクルである。
【0047】
冷凍装置2を常温から立ち上げるとき、コンプレッサ12の回転数が上昇する。このとき、冷媒空気が圧縮され、冷媒循環系の内部の冷媒空気が不足傾向になる。配管16の冷媒空気の圧力が低下する。この圧力変化に応答して、定圧弁36が開き、供給ライン36から配管16に冷媒空気が供給される。その結果、コンプレッサ12、タービン14を最適な動作点で運転するために最適な量の冷媒空気が確保される。
【0048】
膨張タービン14の回転数を下げる制御が行われると、その回転数指令を搬送する信号に応答して、電磁弁40が開けられ、排気ライン38から配管16の冷媒空気が外部に排気される。この動作により、コンプレッサ12による冷媒空気の圧縮率が下がることによって圧力が上昇傾向にある冷媒空気の圧力が下げられる。
【0049】
供給ライン34と排気ライン38とは、共通の配管として冷媒循環系統に接続されてもよい。
【0050】
冷凍装置2の条件によっては、電磁弁40を開けても冷媒循環系統の圧力の上昇が十分に抑制されない場合がある。そのような場合には、配管16の内部の冷媒空気の圧力が所定の圧力を上回ると、逃がし弁44を介して冷媒空気が系外に逃がされる。
【0051】
以上のような動作により、次の問題が解決される。
(1)膨張タービン14の回転数が上がると、コンプレッサ12の圧縮比が高くなり、システム内の循環が足りなくなり(体積流量の不足)、負圧となって機器、配管への負担となる。
(2)膨張タービン14の回転数が下がると、コンプレッサ12の圧縮比が低くなり、システム内の循環があまり(体積流量の増加)、正圧となって機器、配管への負担となる。
(3)冷媒の温度が下がると、システム内の冷媒空気が足りなくなり(体積流量の不足)、負圧となって機器、配管への負担となる。
(4)冷媒の温度が上がると、システム内の冷媒空気があまり(体積流量の増加)、正圧となって機器、配管への負担となる。
(5)冷媒空気の圧力がコンプレッサ12、タービン14の作動点からずれることにより性能が低下する。
【0052】
このような構成を備えた冷凍装置2において、空気冷媒に代えて他のガス冷媒、例えば窒素を冷媒として用いることができる。そうした冷凍装置2は、窒素の供給ラインを備えた施設の内部に設置されることで好適に使用される。その場合、供給ライン34と排気ライン38を施設内の窒素の供給ラインに接続することにより、冷媒窒素の量を制御することができる。
【0053】
図3は、冷媒として窒素を用い、常温から冷凍装置2の起動を行った場合の、供給ライン34から供給される窒素の量を示す表である。常温でタービン回転数0の時の冷媒窒素の体積は4.2mである。回転数が0から13500[rpm]まで上昇するときは、窒素は供給されない。回転数が13500から15000まで上昇するとき、42.9秒の時間内に0.924mの窒素が供給された。
【0054】
これに対し、回転数が0から20000まで上昇したときの冷媒の温度低下による体積流量の減少分に応じて供給された窒素の供給量は、185.9秒で1.981であった。このデータからも、コンプレッサ12の回転数が所定範囲内で上昇しているときの体積流量の変動分が大きく、本実施の形態で説明したような冷媒量の補償が必要とされることが分かる。
【0055】
図4は、冷凍装置の実施の第2形態を示す。図2に示された冷凍装置に対して、除湿冷媒ガスを封入したボンベ46が取り付けられている。ボンベ46には冷凍装置2の冷媒と同種のガス(大気と類似の組成のガスや、窒素を主成分とするガス)が蓄積されている。このガスは、冷媒循環系統の内部で結露しないように除湿されている。ボンベ46は、必要に応じて新しいボンベに交換される。このボンベ46から供給ライン34を介して配管16に冷媒が供給される。定圧弁36の制御は図2を参照して説明した場合と同じである。排気ライン38は、電磁弁40が開けられたとき、配管16の冷媒を大気に放出する。
【0056】
こうした冷凍装置2は、冷媒と同種のガスを供給する施設が無い場所においても、容易に設置することができる。
【0057】
図5は、冷凍装置の実施の第3形態を示す。図2に示された冷凍装置に対して、バッファタンク48とボンベ52が付加されている。バッファタンク48は、供給ライン34と排気ライン38に接続される。排気ライン38を介して冷媒循環系統から排気された冷媒はバッファタンク48に蓄積される。バッファタンク48に蓄積された冷媒は、定圧弁36が開けられると冷媒循環系統に供給される。バッファタンク48の内部の圧力は一定に保たれる。バッファタンク48の内部の冷媒が減少すると弁50が開き、除湿冷媒ガスを貯蔵するボンベ52からバッファタンク48に冷媒が供給される。
【0058】
このような冷凍装置2によれば、排気された除湿冷媒が必要に応じて再利用されるため、冷媒を貯蔵したボンベをコンスタントに取り替える必要がない。
【0059】
図1に示したようなオープン型の冷凍システムを改造することによって、以上の実施の形態で説明したクローズド型の冷凍機にすることができる。以下、その手順を示す。
【0060】
まず、図1における冷凍装置102から冷凍倉庫116に低温空気を導入するための空気出口と、冷凍倉庫116から空気を冷凍装置102の内部に再導入するための取り込み口である空気入口が、冷凍倉庫102から外される。以下、図2を参照して、空気出口と空気入口は、それぞれ熱交換器4の低温側流路の入口と出口に接続される。冷凍倉庫は、図2の熱交換器4、6を含む二次系の循環系統を媒介して、配管30から供給される低温冷媒と間接的に熱的に接続される。
【0061】
配管16に、定圧弁36を備える供給ライン34、電磁弁40を備える排気ライン38、逃がし弁44を備える排気ライン42が接続される。電磁弁40を制御するためのコントローラが設置され、膨張タービン14の回転数指令を伝送する信号線に接続される。
【0062】
こうした手順により、オープン型の冷凍装置がクローズド型の冷凍装置に改修される。
【符号の説明】
【0063】
2 冷凍装置
4 熱交換器
6 熱交換器
8 タービンユニット
10 モータ
12 コンプレッサ
14 膨張タービン
16 配管
18 配管
20 水冷式熱交換器
22 冷却水
24 配管
26 排熱回収熱交換器
28 配管
30 配管
32 配管
34 供給ライン
36 定圧弁
38 排気ライン
40 電磁弁
42 排気ライン
44 弁
46 ボンベ
48 バッファタンク
50 弁
52 ボンベ
102 開放型空気冷媒冷凍機
104 タービンユニット
106 モータ
108 コンプレッサ
110 タービン
112 水冷式熱交換器
114 排熱回収熱交換器
116 冷凍倉庫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた経路を循環する冷媒ガスの温度を下げて低温ガスを生成する冷却ステップと、
前記低温ガスと熱交換することで冷却された中間ガスによって冷却庫の内部を冷却するステップと、
前記冷媒ガス循環系統の内部の前記冷媒ガスの量を調整する調整ステップ
とを具備する冷凍機の運転方法。
【請求項2】
請求項1に記載された冷凍機の運転方法であって、
前記調整ステップは、前記閉じた経路の所定位置の圧力が所定圧力を下回ったときに前記冷媒ガスを前記冷媒ガス循環系統に供給するサブステップを含む
冷凍機の運転方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された冷凍機の運転方法であって、
前記冷却ステップは、
前記冷媒ガスをコンプレッサにより圧縮する圧縮サブステップと、
前記圧縮サブステップにおいて圧縮された前記冷媒ガスを熱交換により冷却する熱交換サブステップと、
前記熱交換サブステップにおいて冷却された前記冷媒ガスを膨張タービンによって膨張させるサブステップ
とを備える冷凍機の運転方法。
【請求項4】
請求項3に記載された冷凍機の運転方法であって、
更に、前記コンプレッサの回転数を制御する制御情報を取得するステップ
を具備し、
前記調整ステップは、前記回転数が低下することが前記制御情報に示されていたとき、前記冷媒ガスを前記冷媒ガス循環系統から外部に排気するサブステップ
を備える冷凍機の運転方法。
【請求項5】
請求項4に記載された冷凍機の運転方法であって、
前記調整ステップは、前記回転数が増加することが前記制御情報に示されていたとき、前記冷媒ガスを前記冷媒ガス循環系統に供給するサブステップ
を備える冷凍機の運転方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載された冷凍機の運転方法であって、
前記冷媒ガスは窒素である
冷凍機の運転方法。
【請求項7】
請求項6に記載された冷凍機の運転方法であって、
前記調整ステップにおいて、前記冷凍機が設置される施設の窒素を供給するラインとの間で前記冷媒ガス循環系統の内部の前記冷媒ガスの量が調整される
冷凍機の運転方法。
【請求項8】
冷凍機の冷媒として用いられるガスである冷媒ガスをガス入口から導入し、導入された前記冷媒ガスの温度を下げて低温冷媒ガスを生成し、前記低温冷媒ガスを冷媒ガス出口から冷却庫の内部に供給することにより前記冷却庫の内部を冷却する開放型冷凍機を用意するステップと、
前記冷却庫から前記冷媒ガス入口と前記冷媒ガス出口とを取り外し、熱交換器の低温側ガス通路の一端に前記冷媒ガス出口を接続し、他端に前記冷媒ガス入口を接続することにより、大気と直接的に連通しない閉鎖型冷媒ガス循環系統を形成するステップと、
前記熱交換器の高温側ガス通路に、冷却庫を冷却するために用いられる二次系の冷媒が循環する二次系循環系統を接続するステップと、
前記閉鎖型冷媒ガス循環系統の内部の前記冷媒ガスの量を調整するガス給排気系統を設置するステップ
とを具備する
冷凍機の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載された冷凍機の製造方法であって、
前記開放型冷凍機は、前記冷媒ガスをコンプレッサによって圧縮し、続いて温度を下げ、続いて膨張タービンにおいて膨張させることにより前記低温冷媒ガスを生成し、
前記ガス給排気系統は、前記コンプレッサの回転数が低下するときに前記閉鎖型冷媒ガス循環系統の内部の前記冷媒ガスの量を減らす
冷凍機の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−137291(P2012−137291A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95053(P2012−95053)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【分割の表示】特願2007−91622(P2007−91622)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)