説明

冷凍機凝縮ユニット

【課題】複数共通の圧縮機側モジュールの凝縮器を液溜側モジュールにしっかりと固定、保持することのできる冷凍機凝縮ユニットが要求されている。
【解決手段】冷凍機凝縮ユニットは、平面視略U字状の凝縮器6および圧縮機を有する3台共通の圧縮機側モジュール2,2,2と、3台の圧縮機側モジュール2,2,2からの液冷媒を収容する液溜が配備された第2基台フレーム40の上面に3台の圧縮機側モジュール2,2,2が横並びに隙間を有して設置される液溜側モジュール1と、隣合う圧縮機側モジュール2,2の凝縮器6,6間に架け渡される懸架部材73と、隣合う圧縮機側モジュール2,2の第1基台フレーム37,37の前部に立設される前柱部材65と、隣合う圧縮機側モジュール2,2のそれぞれの凝縮器6,6に懸架部材73を固定するビスおよび雌ネジ穴と、前柱部材65を懸架部材73に固定するビスおよび雌ネジ穴とを具備して成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機と凝縮器と液溜とを備える冷凍機凝縮ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷凍機凝縮ユニットとしては、例えば下記の特許文献1に記載されたユニットが知られている。この文献記載の冷凍機凝縮ユニットは圧縮機、凝縮器、および液溜が冷媒配管で連結されており、冷凍機凝縮ユニット以外の膨張弁および蒸発器に配管接続されることにより、冷媒回路を有する冷凍機を構成する。
一般に、冷凍機は顧客ニーズに応じた異なる冷凍機容量のものが製作されているが、冷凍機凝縮ユニットの配管仕様、箱体パネル仕様は冷凍機容量ごとに個別に設計されている。そのために、ロット数が少なくなり、コスト高になっていた。また、構造設計、配管振動試験、応力試験などを容量ごとに実施することが必要で多大な手間がかかるために、開発コストが高くなり、開発期間が長くなっていた。
そこで、このたび本発明者らは、圧縮機および凝縮器が配備された複数共通の圧縮機側モジュールと、複数の圧縮機側モジュールからの液冷媒を収容する液溜が配備されていてこれら複数の圧縮機側モジュールが上面に設置される液溜側モジュールとを備える冷凍機凝縮ユニットを開発したのである。
【0003】
【特許文献1】特開2008−249240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように開発した冷凍機凝縮ユニットにおいて、複数の圧縮機側モジュールを液溜側モジュールの上面に単に設置しただけでは、機械的強度が高くならないので、複数の圧縮機側モジュールの特に凝縮器を液溜側モジュールにしっかりと固定して保持しなければならない。また、このような冷凍機凝縮ユニットの場合、メンテナンス、点検、修理などのサービスをユニットの前面側から受けることが多い。従って、ユニットの前面側から部品の組立、分解などの作業を行なえるようにしておくことが望ましい。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、複数共通の圧縮機側モジュールが液溜側モジュールの上面に設置される場合に、複数共通の圧縮機側モジュールの凝縮器を液溜側モジュールにしっかりと固定、保持することのできる冷凍機凝縮ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る冷凍機凝縮ユニットは、第1基台フレームの左右側辺から背面にかけて配置される平面視略U字状の凝縮器および圧縮機を有する複数共通の圧縮機側モジュールと、複数の圧縮機側モジュールからの液冷媒を収容する液溜が配備された第2基台フレームの上面に複数の圧縮機側モジュールが横並びに隙間を有して設置される液溜側モジュールと、隣合う圧縮機側モジュールの凝縮器間に架け渡される懸架部材と、隣合う圧縮機側モジュールの第1基台フレームの前部に立設される前柱部材と、隣合う圧縮機側モジュールのそれぞれの凝縮器に懸架部材を固定する懸架部材固定手段と、前柱部材を懸架部材に固定する前柱部材固定手段とを具備して成るものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る冷凍機凝縮ユニットによれば、隣合う圧縮機側モジュールの凝縮器間に架け渡された懸架部材が、これらの凝縮器に懸架部材固定手段により固定される。そして、隣合う圧縮機側モジュールの第1基台フレームの前部に立設された前柱部材が、前柱部材固定手段により懸架部材に固定される。これにより、隣合う圧縮機側モジュールの凝縮器は懸架部材および前柱部材を介して液溜側モジュールの上面に固定される。従って、複数共通の圧縮機側モジュールを液溜側モジュールにしっかりと固定、保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る冷凍機凝縮ユニットを示す図であって、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、図2は前記冷凍機凝縮ユニットの冷媒回路構成図、図3は前記冷凍機凝縮ユニットの圧縮機側モジュールの分解斜視図、図4は前記冷凍機凝縮ユニットの液溜側モジュールの平面図である。
各図において、この実施形態に係る冷凍機凝縮ユニットは、1台の液溜側モジュール1と、液溜側モジュール1の上面に設置されて連結される3台の圧縮機側モジュール2,2,2とから成っている。これら3台の圧縮機側モジュール2,2,2はいずれも互いに互換性のある共通の構造を有している。
【0009】
各圧縮機側モジュール2は平板状の第1基台フレーム37を備えている。第1基台フレーム37上には、圧縮機3、アキュムレータ27、オイル分離器4、オイルレギュレータ36、および凝縮器6が配備される。凝縮器6は平面視略U字状に形成されていて第1基台フレーム37の左右側辺から背面にかけて配置されるようになっている。そして、アキュムレータ27の吸込側には冷媒配管26が接続されている。アキュムレータ27の吐出側は冷媒配管48により圧縮機3の吸込側と接続されている。圧縮機3の吐出側と凝縮器6とはオイル分離器4を介して配管接続されている。凝縮器6内の冷媒は送風機5からの送風により冷却される。圧縮機3にはオイルレギュレータ36が配管接続されている。また、圧縮機3には、後で詳述する液溜側モジュール1の熱交換部28からの冷媒を流入させる戻り配管29が接続されている。
【0010】
液溜側モジュール1は、図4および図5に示すように、長方枠状の第2基台フレーム40を備えている。この第2基台フレーム40は平板状の底板38上に立設されている。底板38上には3台の圧縮機側モジュール2,2,2からの液冷媒を収容する液溜10が配備されている。第2基台フレーム40上には3台の圧縮機側モジュール2,2,2が左右方向(図1中の矢印L方向)に横並びに隙間S(図6参照)を有して設置される。各圧縮機側モジュール2はそれぞれの第1基台フレーム37が第2基台フレーム40の上面にビスなどで固定される。第2基台フレーム40の前面は前面パネル60で被われ、左右側面は側面パネル61で被われ、背面は背面パネル(図示省略)で被われる。左右外側の圧縮機側モジュール2,2の側面は通風性のよい格子板50,50で被われる。各圧縮機側モジュール2における送風機5上方の開口はベルマウス46で被われる。
【0011】
そして、3台の圧縮機側モジュール2,2,2の凝縮器6,6,6につながるそれぞれの冷媒配管7,7,7は、三方管である2つの合流管部8,8を介して冷媒配管9と連結される。この冷媒配管9は液溜側モジュール1の液溜10につながっている。また、アキュムレータ27,27,27につながるそれぞれの冷媒配管26,26,26は、三方管である2つの分配管部25,25を介して冷媒配管24と連結される。また、液溜10からの冷媒配管11は分配管部12,12を介して3本並列の冷媒配管13,13,13に接続され、更に合流管部14,14を介して冷媒配管17に接続される。冷媒配管13,13,13の途中には、熱交換部28,28,28が設けられている。各熱交換部28は、熱交換部28下流側の冷媒配管13から分岐した戻り配管29の冷媒と、冷媒配管13の冷媒とを熱交換させるものである。この熱交換部28では、戻り配管29の絞り弁49で絞られた冷媒により冷媒配管13内の冷媒の過冷却度が大きくされるとともに、戻り配管29の冷媒は圧縮機3に戻される。
【0012】
この冷凍機凝縮ユニットは、図2中の2点鎖線で示した、ユニット外の膨張弁20および蒸発器21との間に配管接続されて冷媒回路を構成する。この場合、冷凍機凝縮ユニットの冷媒配管17は、膨張弁20につながれた冷媒配管19と連結管部18により連結される。また、冷凍機凝縮ユニットの冷媒配管24は、連結管部23で、ユニット外の蒸発器21につながれた冷媒配管22と連結される。
尚、図2では1つの圧縮機側モジュール2の詳細構成のみを示して残り2つの圧縮機側モジュール2の詳細構成を省略しているが、これら残り2つの圧縮機側モジュール2の詳細構成も、示した圧縮機側モジュール2のものと同じである。
【0013】
凝縮器6は、図5に示すように、その一端部が冷媒出入り口となるヘッダー部6Aとなり、他端部が冷媒管を曲げ返した折り返し部6Bになっていて、前後3列の冷媒管配列となっている。凝縮器6の折り返し部6Bの最後列(最外側)の外側面と、折り返し部6Bの最前列(最内側)の外側面における上下数箇所に、雌ネジ穴付きの板金片(図示省略)がそれぞれ溶接付けされている。ヘッダー部6A近傍の冷媒管の側面には、上下数箇所で、雌ネジ穴付きの板金片が溶接付けされている。凝縮器6の両側の後コーナー部には、上下数箇所で、雌ネジ穴付きの板金片がそれぞれ溶接付けされている。一方、第1基第フレーム37の両側の前コーナー部には前リブ部70,70が立設され、両側の後コーナー部には後リブ部71,71が立設されている。これらの前リブ部70,70と後リブ部71,71にはそれぞれ雌ネジ穴が形成されている。
【0014】
そして、この冷凍機凝縮ユニットは、3つの凝縮器6,6,6を固定して保持する部材を備えている。これらの部材は、右柱部材62、左柱部材63、連絡部材64、前柱部材65、および後柱部材66である。
右柱部材62は、図6に示すように、平面視でコの字を崩した形状であって上下長尺に形成されている。凝縮器6の折り返し部6Bの雌ネジ穴に対向する位置で右柱部材62の後端部および前端部には、それぞれ上下数箇所にビス挿通穴(図示省略)が設けられている。
左柱部材63は平面視でコの字を左右逆向きにして崩した形状であって上下長尺に形成されている。凝縮器6のヘッダー部6Aの雌ネジ穴に対向する位置で左柱部材63の後端部には、上下数箇所にビス挿通穴(図示省略)が設けられている。
連絡部材64は平面視で略凹の字形状であって上下長尺に形成されている。この連絡部材64の前面には多数の通風穴68が上下方向に列設されている。通風穴68,68,68,・・・は例えば四角形状に形成されていて上下所定間隔で配置されている。また、連絡部材64の前面の上下数箇所に雌ネジ穴が形成されている。
前柱部材65は平面視で略ヘの字の形状であって上下長尺に形成されている。この前柱部材65の前面には多数の通風穴67,67,67,・・・が形成されている。通風穴67,67,67,・・・は例えば連絡部材64の通風穴68と同様に形成されていてそれぞれ通風穴68,68,68,・・・と同じ高さ位置に配置されている。そして、前柱部材65の前面には、連絡部材64の雌ネジ穴と対面する位置にビス挿通穴(図示省略)が設けられている。
後柱部材66は平面視でヘの字を前後逆向きにした形状であって上下長尺に形成されている。この後柱部材66の前面には多数の通風穴69,69,69,・・・が上下方向に列設されている。通風穴69,69,69,・・・も例えば連絡部材64の通風穴68と同様の形状および高さ配置で形成されている。
【0015】
ここで、上記した各部材62,63,64,65,66を凝縮器6,6,6に固定する態様を説明する。まず、或る凝縮器6の折り返し部6Bの最後列の外側面に右柱部材62の後端側面があてがわれて、折り返し部6Bの板金片の雌ネジ穴にビス72が螺止される。また、折り返し部6Bの最前列の外側面に右柱部材62の前端側面があてがわれて、折り返し部6Bの板金片の雌ネジ穴にビス72が螺止される。これにより、右柱部材62が凝縮器6の折り返し部6Bに固定される。そして、隣の凝縮器6のヘッダー部6Aの前部外側面に、左柱部材63の後端側面があてがわれて、ヘッダー部6Aの板金片の雌ネジ穴にビス72が螺止される。これにより、左柱部材63が凝縮器6のヘッダー部6Aに固定される。
【0016】
次に、図7に示すように、右柱部材62前面に連絡部材64の右端部があてがわれて、右柱部材62前面の上下複数の雌ネジ穴にビス72が螺止される。これにより、連絡部材64の右端部が右柱部材62に固定される。
続いて、左柱部材63前面に連絡部材64の左端部があてがわれて、左柱部材63前面の上下複数の雌ネジ穴にビス72が螺止される。これにより、連絡部材64の左端部が左柱部材63に固定される。このようにして、隣合う圧縮機側モジュール2,2の凝縮器6,6に、右柱部材62、左柱部材63、および連絡部材64が架け渡されて着脱可能に固定される。すなわち、右柱部材62と左柱部材63と連絡部材64とからなる構成が、隣合う圧縮機側モジュール2,2の凝縮器6,6間に架け渡される懸架部材73となる。また、この場合のビス72と雌ネジ穴からなる構成が、本発明に言う懸架部材固定手段の一例である。
【0017】
そして、図8に示すように、前柱部材65が、隣合う第1基台フレーム37,37の前リブ部70,70にまたがる状態で立てられ、前柱部材65の下端部が前リブ部70,70の雌ネジ穴にビス72,72でそれぞれ螺止されて固定される。このように立設された前柱部材65は連絡部材64の前面と対面する。そこで、ビス72が前柱部材65のビス挿通穴に通されて連絡部材64の雌ネジ穴に螺止される。これにより、前柱部材65が連絡部材64に着脱可能に固定される。すなわち、この場合のビス72と連絡部材64の雌ネジ穴からなる構成が、本発明に言う前柱部材固定手段の一例である。
【0018】
次に、後柱部材66が、隣合う第1基台フレーム37,37の後リブ部71,71にまたがる状態で立てられ、後柱部材66の下端部が後リブ部71,71の雌ネジ穴にビス72,72でそれぞれ螺止されて固定される。このように立設された後柱部材66は、図9に示すように、隣合う凝縮器6,6の後コーナー部のそれぞれと対面する。そこで、ビス72が後柱部材66のビス挿通穴に通されて各凝縮器6の後コーナー部の雌ネジ穴に螺止される。これにより、後柱部材66が隣合う凝縮器6,6の後部に着脱可能に固定される。すなわち、この場合のビス72と凝縮器6,6の雌ネジ穴からなる構成が、本発明に言う後柱部材固定手段の一例である。
【0019】
続いて、液溜側モジュール1の第2基台フレーム40の4隅に隅柱部材75,75,75,75((図1参照))がビス留めなどで立設され、前柱部材65,65間、および前柱部材65と隅柱部材75の間に、前面パネル45がビス留めされ、前後の隅柱部材75,75間に格子板50がビス留めされ、後柱部材66,66間、および後柱部材65と隅柱部材75の間に、格子板(図示省略)がビス留めされる。その後、各凝縮器6上方の開口がベルマウス板46で被われてユニット全体のケーシングが完成する。この場合、隣合う圧縮機側モジュール2,2間の隙間S、すなわち右柱部材62と左柱部材63の対面部間の隙間幅は30mmに設定されている。また、前柱部材65の通風穴67および連絡部材64の通風穴68を通して、隣合う圧縮機側モジュール2,2間の隙間Sと前柱部材65の前方空間74が連通している。
【0020】
上記のように構成された冷凍機凝縮ユニットの動作を説明する。各圧縮機側モジュール2において、圧縮機3から吐出された高温・高圧のガス冷媒はオイル分離器4を経て凝縮器6で冷却されて液冷媒となり冷媒配管7を流れる。このとき、背面の格子板、後柱部材66の通風穴69、または側面の格子板50から流入した外部空気が凝縮器6を通過して冷却する。また、前方空間74の外部空気も前柱部材65の通風穴67から流入し圧縮機側モジュール2,2間の隙間Sを通って凝縮器6を通過する。そして、それぞれの冷媒配管7からの液冷媒は合流管部8,8で合流して冷媒配管9を流れ、液溜10に流入する。そして、液溜10からの液冷媒は冷媒配管11を通り分配管部12,12で冷媒配管13,13,13に分配されてそれぞれ熱交換部28,28,28に流入する。各熱交換部28における冷媒配管13の液冷媒は、下流側で戻り配管29に流入して絞り弁49で絞られた冷媒により冷やされて過冷却度を大きくされる。そして、冷媒配管13,13,13の液冷媒は合流管部14,14で合流して冷媒配管17に至る。冷媒配管17の液冷媒は、冷凍機凝縮ユニット外の冷媒配管19に流出して膨張弁20に至る。膨張弁20において冷媒が絞られて気液二相となり蒸発器21に流入する。蒸発器21において冷媒は受熱してガス冷媒となり冷媒配管22を流れる。冷媒配管22のガス冷媒は、冷凍機凝縮ユニットの冷媒配管24に流入し、分配管部25,25で圧縮機側モジュール2,2,2に向かう冷媒配管26,26,26に分配される。そして、各圧縮機側モジュール2の冷媒配管26を流れるガス冷媒はそれぞれのアキュムレータ27に流入したのち冷媒配管48を経て圧縮機3の吸込側に戻る。このような冷凍サイクル動作が繰り返し行なわれる。
【0021】
以上に説明したように、この実施形態1の冷凍機凝縮ユニットによれば、共通構成の圧縮機側モジュール2が3台用いられ、これらの第1基台フレーム37が液溜側モジュール1の第2基台フレーム40に連結されるので、所望の冷凍機容量に応じた冷凍機凝縮ユニットを共通構成の圧縮機側モジュール2で製作することができ、冷凍機凝縮ユニットの製造コストダウンが可能となり、開発コストおよび開発期間を低減できるという効果がある。
【0022】
特に、この冷凍機凝縮ユニットによれば、隣合う凝縮器6,6の前部間に懸架部材73が架け渡され、この架け渡された懸架部材73が、凝縮器6,6のそれぞれの前部にビス72および雌ネジ穴によって固定される。そして、隣合う第1基台フレーム37,37の前リブ部70,70に立設された前柱部材65が、ビス72および雌ネジ穴によって懸架部材73の連絡部材64に着脱可能に固定される。これにより、隣合う凝縮器6,6は懸架部材73および前柱部材65を介して液溜側モジュール1の第2基台フレーム40の上面に固定される。従って、3台共通の圧縮機側モジュール2,2,2を液溜側モジュール1にしっかりと固定、保持することができる。また、前柱部材65,65の存在により前面パネル45の設置も容易になるのである。そして、前柱部材65、連絡部材64、左右柱部材63,62は凝縮器6の前端部に配備されるので、冷凍機凝縮ユニットのサービスが主に行なわれるユニット前面側から、各部材の組立作業、分解作業などを容易に行なうことができる。
【0023】
また、隣合う第1基台フレーム37,37の後部に後柱部材66が立設され、この後柱部材66が隣合う凝縮器6,6のそれぞれの後部にビス72および雌ネジ穴によって固定されるので、冷凍機凝縮ユニットの後部側の機械強度を高めることができ、後面へのパネル設置も容易になる。
【0024】
そして、隣合う圧縮機側モジュール2,2間の隙間Sと前柱部材65の前方空間74とを連通する通風穴67,68が前柱部材65および連絡部材64に形成されているので、冷凍機凝縮ユニットの前方空間74の外部空気を前柱部材65および連絡部材64の通風穴67,68から圧縮機側モジュール2,2間の隙間Sに流入させて凝縮器6に送ることができる。これにより、例えば通風穴のない前柱部材を用いて後方空間および側方空間からのみ外部空気を取り入れる場合と比べて、凝縮器6への通風量を多くすることができ、凝縮器6の熱交換効率を高めることができる。
【0025】
ところで、隣合う圧縮機側モジュール2,2間の隙間Sの幅(mm)と、凝縮器6の通風量の風量減少率(%)との間には、図10のグラフに示すような関係があることが、本発明らの数々の試験から明らかになった。この場合、設置された冷凍機凝縮ユニットの背面に建物などの壁がない場合(図中◆印のプロット)とある場合(図中■印のプロット)の、それぞれの関係が得られている。これらの関係によれば、隙間Sの幅が90mm以下になると風量減少率が低下し始め、20mm以上40mm以下の範囲でかなり低くなっていることが判る。また、機凝縮ユニットの背面に壁がない場合のほうが、壁がある場合よりも全体的に風量減少率が低いことが判る。
そして、この実施形態の冷凍機凝縮ユニットでは、隣合う圧縮機側モジュール2,2間の隙間Sの幅が30mmに設定されているので、風量減少率をかなり低く抑えることができ、凝縮器6の熱交換効率の高いユニットを実現できたのである。
【0026】
尚、上記の実施形態では、液溜側モジュール1の上面に3台の圧縮機側モジュール2,2,2を配置したものを例示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、液溜側モジュールの上面に2台または4台以上の共通構成の圧縮機側モジュールを配置したものも、本発明に含まれる。
また、上記では、前柱部材65および後柱部材66を使用した例を示したが、例えば後柱部材を省略して前柱部材と懸架部材を用いる場合であっても、相応の効果を得ることができる。
そして、前柱部材、後柱部材、連絡部材に形成される通風穴の開口形状および開口位置は通風に支障を生じさせない限り、上記の実施形態に限定されない。
また、上記では、懸架部材固定手段、前柱部材固定手段、および後柱部材固定手段をビスと雌ネジ穴で構成したが、本発明はこれらの構成に限定されない。ビスと雌ネジ穴に替えて、例えばボルトとナットの組合せ、係止フックと係合穴の組合せなどによっても実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態1に係る冷凍機凝縮ユニットを示す図であって、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は平面図である。
【図2】前記冷凍機凝縮ユニットの冷媒回路構成図である。
【図3】前記冷凍機凝縮ユニットの圧縮機側モジュールの分解斜視図である。
【図4】前記冷凍機凝縮ユニットの液溜側モジュールの平面図である。
【図5】前記冷凍機凝縮ユニットの分解斜視図である。
【図6】前記圧縮機側モジュール間に左右柱部材を固定した態様を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図7】図6からの続きで前記左右柱部材間に連絡部材を固定した態様を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図8】図7からの続きで前柱部材と後柱部材を固定した態様を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図9】図8に対応した斜視図である。
【図10】前記圧縮機側モジュール間の隙間幅と風量減少率の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 液溜側モジュール、2 圧縮機側モジュール、3 圧縮機、6 凝縮器、6A ヘッダー部、6B 折り返し部、10 液溜、37 第1基台フレーム、40 第2基台フレーム、62 右柱部材、63 左柱部材、64 連絡部材、65 前柱部材、66 後柱部材、67 通風穴、68 通風穴、72 ビス、73 懸架部材、74 前方空間、S 隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基台フレームの左右側辺から背面にかけて配置される平面視略U字状の凝縮器および圧縮機を有する複数共通の圧縮機側モジュールと、
前記複数の圧縮機側モジュールからの液冷媒を収容する液溜が配備された第2基台フレームの上面に前記複数の圧縮機側モジュールが横並びに隙間を有して設置される液溜側モジュールと、
隣合う圧縮機側モジュールの凝縮器間に架け渡される懸架部材と、
前記隣合う圧縮機側モジュールの第1基台フレームの前部に立設される前柱部材と、
前記隣合う圧縮機側モジュールのそれぞれの凝縮器に前記懸架部材を固定する懸架部材固定手段と、
前記前柱部材を前記懸架部材に固定する前柱部材固定手段と
を具備して成ることを特徴とする冷凍機凝縮ユニット。
【請求項2】
隣合う圧縮機側モジュールの第1基台フレームの後部に立設される後柱部材と、前記隣合う圧縮機側モジュールのそれぞれの凝縮器の後部に前記後柱部材を固定する後柱部材固定手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍機凝縮ユニット。
【請求項3】
隣合う圧縮機側モジュール間の隙間と前柱部材の前方空間とを連通する通風穴が、前記前柱部材に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷凍機凝縮ユニット。
【請求項4】
隣合う圧縮機側モジュール間の隙間幅が20mm以上40mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷凍機凝縮ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−159923(P2010−159923A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2502(P2009−2502)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)