説明

冷凍装置の室外ユニット

【課題】低風量要求時において、運転中の室外ファンによって確保される室外熱交換器を通過した通過空気量の、目標値からの低下を抑制できる冷凍装置の室外ユニットの提供。
【解決手段】室外熱交換器23と、複数の室外ファン28a,28bと、低風量要求時において、複数の室外ファンが全て運転している第1運転状態から複数の室外ファンのうち一部の室外ファンが停止し運転継続ファンが運転している第2運転状態へ移行する制御部91とを備える。制御部は、第1運転状態から第2運転状態へ移行するときに、運転継続ファンのファン風量を、仮定トータル風量よりも大きくなるように、決定するファン風量決定部96と、ファン風量決定部によって決定されたファン風量となるように運転継続ファンを運転し、一部の室外ファンを停止する実行部97とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、低外気時に冷房運転を行う場合や低負荷運転時、圧縮機の高低差圧の確保のために、室外ファンに低風量が求められる。この低風量要求時において、室外ファンの風量を低下したり、室外ファンを停止したりする空気調和装置が提案されている。このような空気調和装置の一例として、特許文献1(特開平5−71791号公報)に開示のように、外気温度の低さに応じて室外ファンの回転速度を低下させるように制御するものや、特許文献2(特開平4−236072号公報)に開示のように、室外ファンを停止等するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、室外ファンが複数ある場合、トータルでの室外ファンの吹き出し風量を低下させようとして、一部の室外ファンの停止等を行うと、停止指令を受けて電力供給がオフされてしばらく経ちファン回転数がゼロ近傍になった室外ファンの吹出口から外気が逆流して中に入り、運転中の室外ファンがその空気を吸い込んでしまうことが想定される。このため、運転中の室外ファンによって確保されていた室外熱交換器を通過する通過空気量(通過風量)が目標値よりも低減することが懸念される。
【0004】
そこで、本発明の課題は、低風量要求時において、複数の室外ファンのうち一部の室外ファンを停止した場合に、運転中の室外ファンによって確保される室外熱交換器を通過した通過空気量(通過風量)の、目標値からの低下を抑制できる冷凍装置の室外ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、室外熱交換器と、複数の室外ファンと、制御部とを備える。複数の室外ファンは、室外熱交換器を通過する空気流を生成する。制御部は、低風量が求められる低風量要求時において、複数の室外ファンのトータルの風量であるトータル風量を低下させるために、第1運転状態から第2運転状態へ移行する。第1運転状態とは、複数の室外ファンが全て運転している状態である。第2運転状態とは、複数の室外ファンのうち一部の室外ファンが停止し、残りの運転継続ファンが運転している状態である。また、制御部は、ファン風量決定部と、実行部とを有する。ファン風量決定部は、第1運転状態から第2運転状態へ移行するときに、運転継続ファンのファン風量を、第2運転状態に移行する直前における複数の室外ファンのそれぞれのファン回転数を小さくしたと仮定した場合のトータルの風量である仮定トータル風量よりも大きくなるように、決定する。実行部は、ファン風量決定部によって決定されたファン風量となるように運転継続ファンを運転し、一部の室外ファンを停止する。
【0006】
尚、ここでの複数の室外ファンのトータル風量とは、複数の室外ファンによって生成されると考えられるトータルの吹き出し空気量(トータルの吹き出し風量)を意味するものとする。
【0007】
ここで、低風量要求時における第2運転状態においては、停止を開始した室外ファンの回転数がゼロ近傍になるときに、運転を継続する運転継続ファンが、停止を開始した室外ファンの吹出口から逆流して中に入った空気を吸い込み(ここでは、適宜バイパスという)、運転継続ファンの、室外熱交換器を通過した通過空気の吸い込み量が目標値に対してバイパスした量の分だけ下がることが懸念される。
【0008】
そこで、本発明では、第1運転状態から第2運転状態へ移行するときに、運転継続ファンのファン風量を上述のように決定し、決定したファン風量になるように運転継続ファンを運転し、一部の室外ファンを停止する。ここでは、運転継続ファンのファン風量を、第2運転状態に移行する直前における複数の室外ファンのそれぞれのファン回転数を小さくしたと仮定した場合のトータルの風量である仮定トータル風量よりも大きくなるように決定することで、運転中の室外ファン(運転継続ファン)によって確保される室外熱交換器を通過した通過空気量(通過風量)の、目標値からの低下を抑制できる。
【0009】
本発明の第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、本発明の第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットであって、複数の吹出口をさらに備える。複数の吹出口は、複数の室外ファンのそれぞれに対応するように形成され、複数の室外ファンのそれぞれによって生成された空気流をそれぞれ外に吹き出す。ファン風量決定部は、運転継続ファンのファン風量を、仮定トータル風量に対して、停止した一部の室外ファンに対応する吹出口において外から吹出口に向かうと推定される逆空気流の量だけ大きくなるように、決定する。
【0010】
本発明の第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、バイパスの量の分だけ風量が多くなるように、運転継続ファンのファン風量を決定するので、バイパスが生じたとしても、運転中の運転継続ファンによって確保される室外熱交換器を通過した通過空気量(通過風量)の目標値からの低下を抑制できる。
【0011】
本発明の第3観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、本発明の第1観点又は第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットであって、記憶部をさらに備える。記憶部は、第2運転状態における運転継続ファンのファン風量値を予め記憶する。ファン風量決定部は、第2運転状態における運転継続ファンのファン風量を、記憶部に予め記憶された第2運転状態における運転継続ファンのファン風量値となるように決定する。
【0012】
本発明の第3観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、第2運転状態における運転継続ファンのファン風量値が予め記憶部に記憶されているので、簡易に、第2運転状態における運転継続ファンのファン風量を決定できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1観点及び第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、低風量要求時において、運転中の室外ファン(運転継続ファン)によって確保される室外熱交換器を通過した通過空気量(通過風量)の、目標値からの低下を抑制できる
本発明の第3観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、簡易に、第2運転状態における運転継続ファンのファン風量を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷凍装置としての空気調和装置の冷媒回路の概略構成図。
【図2】制御部の制御ブロック図。
【図3】第1室外ファン及び第2室外ファンのファン回転数を段階的に示したマップ。
【図4】冷房運転時のフローチャート。
【図5】風量低下制御のフローチャート。
【図6】複数の室外ファンのファン回転数を小さくしていき、これらのファン回転数が必要最低回転数に達した後に、一部の室外ファンを停止する場合の、複数の室外ファンのファン回転数と風量(室外熱交換器を通過する通過風量)との関係を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る室外ユニット2を含む冷凍装置の一例としての空気調和装置1の実施形態について説明する。
【0016】
(1)空気調和装置1の概略構成
図1は、本発明の冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置1の冷媒回路10の概略構成図である。
【0017】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、建物内の居室における冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、図1に示すように、主として、1台の室外ユニット2と、並列に接続された複数台(本実施形態では、2台)の室内ユニット4a,4bと、室外ユニット2と室内ユニット4a,4bとを接続する液側冷媒連絡配管6及びガス側冷媒連絡配管7とを備えている。空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4a,4bと、液側冷媒連絡配管6及びガス側冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。以下、これらの構成について説明する。
【0018】
(1−1)室内ユニット4a,4b
室内ユニット4a,4bは、建物の居室内の天井に埋め込まれたり吊り下げられたりして、又は、居室内の壁面に掛けられて設置される。室内ユニット4a,4bは、液側冷媒連絡配管6及びガス側冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されている。
【0019】
次に、室内ユニット4a,4bの構成について説明する。なお、室内ユニット4aと室内ユニット4bとは、同様の構成であるため、以下では、室内ユニット4aの構成についてのみ説明し、室内ユニット4bの構成については、室内ユニット4aの各部を示す添え字「a」の代わりに添え字「b」を付して説明を省略する。
【0020】
室内ユニット4aは、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路10a(室内ユニット4bでは、室内側冷媒回路10b)を有している。室内側冷媒回路10aは、主として、室内膨張弁41aと、室内熱交換器42aとを有している。
【0021】
室内膨張弁41aは、室内側冷媒回路10a内を流れる冷媒の流量調節や減圧等を行うために、室内熱交換器42aの液側に接続された電動膨張弁である。
【0022】
室内熱交換器42aは、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器42aは、空気調和装置1の冷房運転時には、冷媒の蒸発器として機能して居室内の空気を冷却する。また、室内熱交換器42aは、空気調和装置1の暖房運転時には、冷媒の凝縮器として機能して居室内の空気を加熱する。
【0023】
また、室内ユニット4aは、室内ファン43aを有している。室内ファン43aは、室内ユニット4a内に居室内の空気を吸入して、室内熱交換器42aにおいて冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風ファンとして機能する。また、室内ファン43aは、室内ファンモータ43maによって駆動され、室内熱交換器42aに供給する空気の風量を可変することが可能なファンである。
【0024】
また、室内ユニット4aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、室内熱交換器42a内を流れる冷媒の温度(冷房運転時における蒸発温度Te)を検出する室内熱交温度センサ44aと、室内ユニット4a内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度)を検出する室内温度センサ45aとが設けられている。
【0025】
(1−2)室外ユニット2
室外ユニット2は、建物の室外に設置されており、液側冷媒連絡配管6及びガス側冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4a,4bに接続されている。
【0026】
また、室外ユニット2は、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路10cを有している。室外側冷媒回路10cは、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、アキュムレータ25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
【0027】
圧縮機21は、冷媒を圧縮する。圧縮機21は、運転容量を可変することが可能なスクロール圧縮機であり、圧縮機用モータ21mによって駆動される。
【0028】
四路切換弁22は、冷媒の流れ方向を切り換えるための切換機構としての弁であり、第1状態(図1の四路切換弁22の実線を参照)と、第2状態(図1の四路切換弁22の破線を参照)とを採ることができる。第1状態では、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とが接続されると共に圧縮機21の吸入側と室内熱交換器42a,42bのガス側とが接続されている。すなわち、四路切換弁22が第1状態を採る場合は、冷媒回路10が冷房運転の状態となっている。第2状態では、圧縮機21の吐出側と室内熱交換器42a,42bのガス側(具体的には、ガス側冷媒連絡配管7)とが接続されると共に圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ25)と室外熱交換器23のガス側とが接続されている。すなわち、四路切換弁22が第2状態を採る場合は、冷媒回路10が暖房運転の状態となっている。
【0029】
室外熱交換器23は、伝熱管と多数の伝熱フィンとにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が液側冷媒連絡配管6に接続されている。室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する。
【0030】
室外膨張弁24は、膨張機構であり、室外側冷媒回路10c内を流れる冷媒の圧力や流量の調節を行うために、室外熱交換器23の液側に接続された電動膨張弁である。
【0031】
アキュムレータ25は、圧縮機21と四路切換弁22との間に接続されており、室内ユニット4a,4bの運転負荷に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。
【0032】
液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、外部の機器・配管(具体的には、液側冷媒連絡配管6及びガス側冷媒連絡配管7)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁26は、室外熱交換器23に接続されている。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。
【0033】
また、室外ユニット2は、複数(ここでは、2台)の室外ファンを有している。尚、以下では、2台の室外ファンを、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bと表すことにする。第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bは、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出する。すなわち、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bは、室外熱交換器23を通過する空気流を発生させる。また、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bは、室外熱交換器23に供給する外気の量を可変することが可能なファンであり、それぞれ、第1室外ファンモータ28ma及び第2室外ファンモータ28mbによって駆動されるプロペラファンである。
【0034】
尚、室外ユニット2の本体ケーシングには、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれに対応するように複数の吹出口が形成されている。各吹出口からは、複数の室外ファンのそれぞれによって生成された空気流が外(居室内)に吹き出される。
【0035】
また、室外ユニット2には、各種のセンサ29〜35が設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21に吸入される冷媒の吸入圧力P1を検出する吸入圧力センサ29と、圧縮機21に吸入される冷媒の吸入温度を検出する吸入温度センサ30と、圧縮機21から吐出される冷媒の吐出圧力P2を検出する吐出圧力センサ31と、冷媒から吐出される冷媒の吐出温度を検出する吐出温度センサ32と、室外熱交換器23内を流れる冷媒の温度(冷房運転時における凝縮温度)を検出する室外熱交温度センサ33と、室外ユニット2が設置される外部の空気である外気温度を検出する外気温度センサ34と、複数の室外ファン28a,28bによって生成される、室外熱交換器23を通過する空気量(風量)を検出する風量センサ35(図2を参照)とが設けられている。
【0036】
(2)制御ユニット9の構成
図2は、制御ユニット9の制御ブロック図である。図3は、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数を段階的に示したファン回転数マップである。
【0037】
制御ユニット9は、図2に示すように、制御部91と、記憶部92とを有する。
【0038】
制御部91は、マイクロコンピュータ等から構成されており、室内制御部93と室外制御部94とを有する。
【0039】
室内制御部93は、各種のセンサ44a,44b、45a,45bと接続されており、各種のセンサ44a,44b、45a,45bの検出信号、室外制御部94から送られてくる制御信号、室内ユニット4a,4bの操作を行うためのリモコン(図示せず)から送られてくる制御信号に基づいて、室内ユニット4a,4bを構成する各種の機器の動作を制御する。具体的には、室内制御部93は、室内ファン43a,43bを駆動するための室内ファンモータ43ma,43mbの回転数、室内膨張弁41a,41bの開度等の制御を行う。
【0040】
室外制御部94は、各種のセンサ29〜35と接続されており、各種のセンサ29〜35の検出信号や室内制御部93から送られる制御信号に基づいて、室外ユニット2を構成する各種の機器の動作の制御を行う。具体的には、室外制御部94は、圧縮機21を駆動するための圧縮機用モータ21mの回転数、室外膨張弁24の開度、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bを駆動するための第1室外ファンモータ28ma及び第2室外ファンモータ28mbのファン回転数等の制御を行う。
【0041】
ここで、室外制御部94は、ファン制御部95を有している。上述した第1室外ファンモータ28ma及び第2室外ファンモータ28mbのファン回転数の制御は、このファン制御部95が行っている。具体的には、ファン制御部95は、ファン風量決定部96と、実行部97とを有している。
【0042】
ファン風量決定部96は、記憶部92に記憶されるファン回転数マップに基づいて、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数を決定する。具体的には、ファン風量決定部96は、ファン回転数マップに示されたファン回転数になるように、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数を決定する。
【0043】
実行部97は、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bの運転/停止を実行する。具体的には、実行部97は、ファン風量決定部96によって決定されたファン回転数となるように、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bを運転する。尚、ファン風量決定部96によって決定された室外ファンのファン回転数が0の場合は、実行部97は、その室外ファンを停止する。
【0044】
記憶部92は、RAMやROM等のメモリから成る。記憶部92には、図3に示すファン回転数マップが記憶されている。ファン回転数マップでは、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれのファン回転数、これらの室外ファン28a,28bのトータルのファン回転数であるトータル回転数及び平均のファン回転数である平均回転数が示されている。また、記憶部92には、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数と、これらのそれぞれのファン回転数に対応するファン風量値(吹き出し風量値)との関係を示すマップや関数式が記憶されている。
【0045】
尚、本実施形態では、予め、記憶部92に、ファン回転数とファン風量値(吹き出し風量値)との関係が記憶されているので、ファン回転数を決定すれば、このファン回転数に対応して吹出口から吹き出されると考えられるファン風量値(吹き出し風量値)を決定できる。すなわち、ファン風量決定部96は、ファン回転数を決定することで、ファン風量値(吹き出し風量値)を決定していることになる。
【0046】
(3)空気調和装置1の動作
以下、空気調和装置1の動作ついて説明する。なお、以下の動作は、制御部91が行う。空気調和装置1の動作としては、主として、居室の空調負荷(すなわち、室内ユニット4a,4bの負荷、例えば、設定温度と室内温度との差に基づくもの等)に応じて、室外ユニット2及び室内ユニット4a,4bを動作させる、冷房運転や暖房運転がある。以下、各種の運転について説明する。
【0047】
(3−1)暖房運転
まず、図1を用いて、空気調和装置1の暖房運転時の動作を説明する。
【0048】
暖房運転時は、四路切換弁22が第2状態を採る。すなわち、圧縮機21の吐出側が室内熱交換器42a,42bのガス側に接続され、且つ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。この状態において、室内ファン43a,43b、圧縮機21、第1室外ファン28a、及び、第2室外ファン28bが起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁27及びガス側冷媒連絡配管7を経由して、室内ユニット4a,4bに送られる。室内ユニット4a,4bに送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器42a,42bにおいて、室内空気と熱交換を行って凝縮されて高圧の液冷媒となる。そして、高圧の液冷媒は、室内膨張弁41a,41bを通過する際に、室内膨張弁41a,41bの開度に応じて減圧される。室内膨張弁41a,41bを通過した冷媒は、液側冷媒連絡配管6を経由して室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、液側閉鎖弁26を経由して室外膨張弁24でさらに減圧された後に室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bによって供給される室外空気と熱交換を行う。このとき、低圧の気液二相状態の冷媒は、蒸発されて低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由してアキュムレータ25に流入する。アキュムレータ25に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
【0049】
(3−2)冷房運転
図4は、冷房運転時のフローチャートである。次は、空気調和装置1の冷房運転時の動作について図1や図4を用いて説明する。
【0050】
ここで、例えば、低外気時等の低風量が求められる低風量要求時に冷房運転を行うと、室外熱交換器の凝縮能力が高まり、圧縮機の吐出側の圧力と圧縮機の吸入側の圧力との差(高低差圧)を所定値以上に維持することが困難になる場合がある。圧縮機の高低差圧の維持が困難になると、圧縮機の信頼性の確保の問題が懸念される。
【0051】
そこで、空気調和装置1では、図4に示すように、冷房運転時に、冷媒の吐出圧力P2から冷媒の吸入圧力P1を減算した圧力P(すなわち、高低差圧P)が閾値B以下(P≦B)であるか否かを判定している(ステップS103)。具体的には、まず、室内ユニット4a,4bの負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4a,4bの制御(通常制御)を行う(ステップS101)。次に、冷房運転時において蒸発器として機能する室内熱交換器42a,42b内を流れる冷媒の温度(すなわち、蒸発温度Te)が安定しているかを確認するために、目標蒸発温度Te1から蒸発温度Teを減算した値ΔTeの絶対値が閾値A以下(|ΔTe|≦A)であるか否かを判定する(ステップS102)。ここで、蒸発温度Teは、上述したように、室内熱交温度センサ44a,44bによって検出される。尚、蒸発温度Teは、吸入圧力センサ29によって検出される冷媒の吸入圧力P1を冷媒の飽和温度に換算することによって得てもよい。また、安定とは、数値の変化にブレがなくなることを意味する。値ΔTeの絶対値が閾値A以下(|ΔTe|≦A)であると判定した場合は、ステップS103において、高低差圧Pが閾値B以下(P≦B)であるか否かを判定する。他方、値ΔTeの絶対値が閾値A以下(|ΔTe|≦A)でないと判定した場合は、ステップS102を繰り返す。そして、ステップS103において、高低差圧Pが閾値B以下(P≦B)であると判定した場合に、後述する風量低下制御(ステップS104)を行っている。なお、高低差圧Pが閾値B以下でない(P>B)と判定した場合は、ステップS101に戻って室内ユニット4a,4bの負荷に応じて室外ユニット2及び室内ユニット4a,4bの制御を行っている。
【0052】
以下、空気調和装置1の冷房運転時における動作を、図1を用いて簡単に説明する。
【0053】
冷房運転時は、四路切換弁22が第1状態を採る。すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、且つ、圧縮機21の吸入側が室内熱交換器42a,42bのガス側に接続された状態となっている。この状態において、室内ファン43a,43b、圧縮機21、第1室外ファン28a、及び、第2室外ファン28bを起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入され圧縮されて高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られて、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bによって供給される室外空気と熱交換を行う。このとき、高圧のガス冷媒は、室外空気と熱交換を行うことによって凝縮されて高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、室外膨張弁24(ここでは、室外膨張弁24は全開状態にある)を通過した後、液側閉鎖弁26及び液側冷媒連絡配管6を経由して、室内ユニット4a,4bに送られる。室内ユニット4a,4bに送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁41a,41bを通過する際に減圧され、室内熱交換器42a,42bに送られる。室内熱交換器42a,42bに送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内空気と熱交換を行うことによって、蒸発されて低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス側冷媒連絡配管7を経由して室外ユニット2に送られ、ガス側閉鎖弁27及び四路切換弁22を経由して、アキュムレータ25に流入する。アキュムレータ25に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。
【0054】
(4)風量低下制御
図5は、風量低下制御のフローチャートである。風量低下制御とは、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのトータルのファン回転数であるトータル回転数(すなわち、トータルの風量であるトータル風量(吹き出し風量))を低下する制御である。本実施形態では、上述したように、高低差圧が確保できないと圧縮機の信頼性の問題が懸念されるため、高低差圧Pが閾値B以下である場合は、室外熱交換器23の凝縮能力を抑制するために風量低下制御を行っている。すなわち、低風量が求められる低風量要求時において、風量低下制御を行っている。以下、図5を用いて風量低下制御について説明する。
【0055】
まず、ステップS111では、実行部97が、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれのファン回転数を、同じ量だけ小さくしていく。
【0056】
具体的には、ファン風量決定部96が、記憶部92に記憶されるファン回転数マップに基づいて、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのトータル風量(具体的には、これらの複数の室外ファンによって生成され室外熱交換器23を通過する通過空気量(通過風量))が略線形的に低下するように、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数を決定している。より具体的には、図3に示すように、例えば、現在の第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数がいずれも700rpmである場合は、ファン風量決定部96は、次に、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数がいずれも600rpmになるように決定する。
【0057】
そして、実行部97が、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれのファン回転数が、ファン風量決定部96によって決定されたファン回転数となるように、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bを運転している。
【0058】
ステップS112では、実行部97が、ステップS111において小さくされた第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれのファン回転数が、必要最低回転数(本実施形態では、400rpm)になったか否かを判定する。なったと判定する場合は、ステップS113へ移行し、他方、なっていないと判定する場合は、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれのファン回転数が必要最低回転数になるまでステップS111の処理を行う。尚、ステップS111を実行する前の複数の室外ファン28a,28bのファン回転数が異なるように運転されている場合は、先に一方の室外ファンのファン回転数が必要最低回転数に達することになるが、他方の室外ファンのファン回転数が必要最低回転数になるまで、その一方の室外ファンは必要最低回転数で運転されることになる。
【0059】
ステップS113では、実行部97が、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのいずれか一方の室外ファンを停止する。すなわち、停止させる一方のファンへの電力供給をオフ状態にする。ステップS113では、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bが運転している、すなわち、複数の室外ファンが全て運転している第1運転状態から、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのうち一方の室外ファンが停止し、他方の室外ファンが運転している第2運転状態へ移行することになる。尚、以下の説明では、第2運転状態において、第1室外ファン28aの運転が継続され、第2室外ファン28bが停止状態にある場合を例に挙げて説明する。そして、停止される一方の第2室外ファン28aとは別の、運転が継続される第1室外ファン28aを、適宜、運転継続ファンという。
【0060】
ここで、第1室外ファン及び第2室外ファンのファン回転数を必要最低回転数よりも低くした状態で運転すれば、第1室外ファン及び第2室外ファンのトータル風量(吹き出し風量)を低下することができるが、第1室外ファン及び第2室外ファンを必要最低回転数よりも低いファン回転数で運転すると、軸受に問題が生じたり騒音の問題が生じたりすることが懸念される。そこで、本実施形態では、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bを運転したとしても騒音の問題等が生じないような運転可能なファン回転数として必要最低回転数を設定し、両室外ファン28a,28bのファン回転数が必要最低回転数になった場合に、一方の室外ファンを停止して、両室外ファンのトータル回転数、すなわち、トータル風量(吹き出し風量)をさらに小さくするようにしている。
【0061】
以上のように、本実施形態の第1運転状態から第2運転状態への移行条件は、複数の室外ファン28a、28b(第1室外ファン28a及び第2室外ファン28b)の全てのファン回転数が必要最低回転数に達したことである。
【0062】
尚、第1運転状態から第2運転状態へ移行すると、電力供給をオフされてしばらく時間が経過することによりファン回転数がゼロ近傍になった第2室外ファンの吹出口から、運転中の第1室外ファンが空気を吸い込んでしまうこと(ここでは、適宜、バイパスという)が想定される。このため、運転中の第1室外ファン(運転継続ファン)によって確保されていた室外熱交換器を通過する通過空気量(通過風量)が目標値よりも下がることが想定される。実際に、2つの室外ファンが運転している状態から一方の室外ファンを停止した状態にする(具体的には、2つの室外ファンのファン回転数を小さくしていき、これらのファン回転数が必要最低回転数に達した後に、一方の室外ファンを停止する)と、図6に示すように、線形的に低下していた通過風量(風量センサによって検出される室外熱交換器を通過する通過風量)が急に低下することがわかっている。
【0063】
そこで、本実施形態では、運転継続ファンのファン回転数を仮定トータル回転数よりも大きくなるように決定できるファン回転数マップを、記憶部92に記憶している。
【0064】
ここで、仮定トータル回転数とは、図3の()内に記載した回転数のことを言う。上述したように、第1運転状態においては、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数が必要最低回転数に達するまでに第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数を小さくしてきたが(尚、このような制御を、ここでは、第1運転状態における必要最低回転数前制御という)、この場合と同様(すなわち、第1運転状態における必要最低回転数前制御と同様)にして、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数を必要最低回転数からさらに小さくしたと仮定した場合の第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのトータルのファン回転数のことを、仮定トータル回転数という。すなわち、本実施形態では、第1運転状態における必要最低回転数前制御において、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれのファン回転数を100rpmずつ小さくしている(トータルでは、200rpmずつ)が、これと同様にして、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのそれぞれのファン回転数を、必要最低回転数からさらに100rpmずつ小さくしたと仮定した場合のトータルのファン回転数が仮定トータル回転数になる。例えば、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数が必要最低回転数である状態(トータル回転数が、800rpmの状態)において、第1運転状態における必要最低回転数前制御と同様にして第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bのファン回転数を小さくしたと仮定した場合の仮定トータル回転数は、600rpmになる。
【0065】
そして、ファン回転数マップでは、運転継続ファンのファン回転数が、上記の仮定トータル回転数に対して、停止した第2室外ファン28bに対応する吹出口において外から吹出口に向かうと推定される逆空気流の量(ここでは、適宜、バイパス量という)だけ大きくなるような、ファン回転数に設定されている。具体的には、例えば、上述のように仮定トータル回転数が600rpmとなるような場合、運転継続ファンのファン回転数は、600rpmに対して、バイパス量の分に相当するファン回転数が加算されて、750rpmに設定されている。尚、バイパス量は、基本的には、第1室外ファン28a及び第2室外ファン28bの機種、配置位置等によって異なるものであり、机上計算、シミュレーション、実験等によって決定されて推定されるものとする。また、バイパス量の分に相当するファン回転数とは、バイパス量の分だけ空気量を生成できるようなファン回転数をいい、机上計算、シミュレーション、実験等によって、予め決定されているものとする。
【0066】
よって、ステップS113では、複数の室外ファン28a,28bのうち一方の室外ファンを停止すると共に、運転継続ファンを、そのファン回転数が上述のファン回転数マップから導出されたファン回転数となるように、運転している。尚、運転継続ファンのファン回転数は、第1運転状態における複数の室外ファン28a,28bのトータル風量の略線形的な低下に繋がっていくように(すなわち、バイパスが生じることによって室外熱交換器23を通過する通過空気量が急に低下して図6の点線に示すような線形上(すなわち
目標値)から大きく外れることなくその線形上を変動するように)、設定されている。
【0067】
以上のように、ファン風量決定部96は、第1運転状態から第2運転状態へ移行するときに(具体的には、第1運転状態から第2運転状態に移行する前に)、上述したようなファン回転数マップに基づいて、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数を決定している。つまり、ファン風量決定部96は、運転継続ファンの第2運転状態におけるファン回転数を、仮定トータル回転数よりも大きくなるように(具体的には、仮定トータル回転数に対して、バイパス量の分だけ大きくなるように)、決定していることになる。
【0068】
そして、ステップS114において、運転継続ファンのファン回転数を、さらに小さくしていく。具体的には、ファン風量決定部96が、運転継続ファンによって生成され且つ室外熱交換器23を通過する通過空気量(通過風量)が、第1運転状態における複数の室外ファン28a,28bのトータル風量の略線形的な低下と繋がるように、ファン回転数マップに基づいて運転継続ファンのファン回転数を決定している。そして、実行部97が、運転継続ファンのファン回転数がファン風量決定部96によって決定されたファン回転数となるように、運転継続ファンを運転している。
【0069】
そして、ステップS115において、運転継続ファンのファン回転数が必要最低回転数になったか否かを判定する。なったと判定する場合は、風量低下制御を終了し、ステップS102へ移行する。他方、なっていないと判定する場合は、運転継続ファンのファン回転数が必要最低回転数になるまで待機する。
【0070】
(5)特徴
(5−1)
本実施形態の空気調和装置1では、高低差圧Pが閾値B以下であるような、室外ファン(第1室外ファン28a及び第2室外ファン28b)の低風量が求められる低風量要求時において、制御部91(具体的には、ファン制御部95)は、まず、複数の室外ファン(第1室外ファン28a及び第2室外ファン28b)が運転している第1運転状態から、一方の室外ファン(ここでは、第2室外ファン28b)を停止し、他方の室外ファン(ここでは、第1室外ファン28a)の運転を継続する第2運転状態に移行する。
【0071】
ここで、上述したように、第1運転状態から第2運転状態へ移行すると、電力供給がオフされた第2室外ファンのファン回転数がゼロ近傍になるときに、運転中の第1室外ファンによって確保されていた室外熱交換器を通過する通過空気量(通過風量)が目標値よりも下がることが想定される。
【0072】
そこで、本実施形態では、風量低下制御において、第1運転状態(具体的には、複数の室外ファン28a,28bのそれぞれのファン回転数がどちらも必要最低回転数に達した状態)から第2運転状態へ移行するときに、まず、ファン風量決定部96が、運転継続ファンの第2運転状態におけるファン回転数を決定している。ここで、運転継続ファンとは、
複数の室外ファン28a,28bのうち停止される一方の室外ファンではない他方の運転が継続される室外ファンのことである。具体的には、ファン風量決定部96は、上述したように、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数を、第1運転状態において複数の室外ファン28a,28bのそれぞれのファン回転数が所定回転数(具体的には、必要最低回転数)に達する前と同様にして、複数の室外ファン28a,28bのファン回転数をさらに小さくしたと仮定した場合の仮定トータル回転数よりも大きくなるように、決定している。
【0073】
つまり、本実施形態では、一方の室外ファンが停止された第2運転状態において、複数の室外ファン28a,28bの運転が継続していると仮定しこれらのファン回転数を所定回転数(具体的には、必要最低回転数)に達する前と同じようにして小さくしたと仮定した場合の仮定トータル回転数よりも大きくなるように、運転継続ファンのファン回転数を決定している。
【0074】
尚、本実施形態では、予め、記憶部92に、ファン回転数とファン風量値(吹き出し風量値)との関係が記憶されているので、ファン回転数を決定すれば、ファン風量値(吹き出し風量値)を決定できる。
【0075】
以上のように、本実施形態では、バイパスが生じたとしても、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数を仮定トータル回転数よりも大きくしているので、運転継続ファンによって確保される室外熱交換器を通過した通過空気量(通過風量)の、目標値からの低下を抑制できる。また、複数の室外ファン28a,28bのトータル回転数(トータル風量)を低減していくこともできる。
【0076】
(5−2)
本実施形態では、ファン風量決定部96は、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数を、記憶部92に記憶されているファン回転数マップに基づいて決定している。すなわち、ファン風量決定部96は、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数を、記憶部92に予め記憶された第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数となるように、決定している。ここで、上述したように、ファン回転数マップでは、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数が、仮定トータル回転数に対して、バイパス量の分に相当する分のファン回転数だけ大きくなるような、ファン回転数に設定されている。
【0077】
以上のように、本実施形態では、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数が、仮定トータル回転数にバイパス量に相当するファン回転数が加算された値となっている、ファン回転数マップを用いて、第2運転状態における運転継続ファンのファン回転数を決定できる。よって、簡易に、運転継続ファンによって確保される室外熱交換器を通過した通過空気量(通過風量)の、目標値からの低下を抑制できる。
【0078】
(6)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0079】
(6−1)変形例A
上記実施形態では、高低差圧Pが閾値B以下であるような、室外ファン(第1室外ファン28a及び第2室外ファン28b)の低風量が求められる低風量要求時として、低外気時における冷房運転を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。
【0080】
上記実施形態に記載の風量低下制御は、高低差圧Pが閾値B以下であるような状況下において適用可能であるため、例えば、サーモオフ後の起動時、通常制御時に室内ユニットの運転台数が減少し圧縮機の回転数が減少する時、暖房運転時の低圧が上がりすぎた時等にも適用できる。
【0081】
(6−2)変形例B
上記実施形態以外では、上述したような一連の風量低下制御を終えてから、ステップS102に戻っているが、これに限られるものではなく、風量低下制御の途中でステップS102に戻ってもよい。例えば、風量低下制御において、複数の室外ファン28a,28bのトータル回転数や平均回転数を1段階小さくした時点で、ステップS102及びステップS103の判定を行ってもよい。そして、この判定によって、まだ高低差圧Pが閾値B以下である場合に、風量低下制御に戻って、風量低下制御において、複数の室外ファン28a,28bのトータル回転数や平均回転数をさらに1段階小さくしてもよい。そして、このような制御を繰り返してもよい。
【0082】
(6−3)変形例C
上記実施形態では、室外ユニット2に2台の室外ファン28a,28bが搭載されていることを前提に説明したが、室外ユニット2には、3台以上の室外ファンが搭載されていてもよい。この場合、3台以上の室外ファンが全て運転している第1運転状態から、3台以上の室外ファンのうち一部の室外ファンが停止している第2運転状態へ移行したとしても上述したようなバイパスの問題が生じるため、停止された一部の室外ファンを除く残りの運転継続ファンのファン風量(吹き出し風量)を、上述と同様に(すなわち、仮定トータル風量よりも大きくなるように)、決定できる。
【0083】
(6−4)変形例D
上記実施形態では、本発明に係る冷凍装置として空気調和装置に限定して説明したが、これに限られるものではなく、ヒートポンプ式の給湯装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、複数の室外ファンを備える種々の冷凍装置の室外ユニットに適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 空気調和装置(冷凍装置)
2 室外ユニット
23 室外熱交換器
28a 第1室外ファン(室外ファン)
28b 第2室外ファン(室外ファン)
91 制御部
92 記憶部
96 ファン風量決定部
97 実行部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開平5−71791号公報
【特許文献2】特開平4−236072号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外熱交換器(23)と、
前記室外熱交換器を通過する空気流を生成する複数の室外ファン(28a,28b)と、
低風量が求められる低風量要求時において、前記複数の室外ファンのトータルの風量であるトータル風量を低下させるために、前記複数の室外ファンが全て運転している第1運転状態から、前記複数の室外ファンのうち一部の室外ファンが停止し残りの運転継続ファンが運転している第2運転状態へ移行する制御部(91)と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1運転状態から前記第2運転状態へ移行するときに、前記運転継続ファンのファン風量を、前記第2運転状態に移行する直前における前記複数の室外ファンのそれぞれのファン回転数を小さくしたと仮定した場合のトータルの風量である仮定トータル風量よりも大きくなるように、決定するファン風量決定部(96)と、
前記ファン風量決定部によって決定されたファン風量となるように前記運転継続ファンを運転し、前記一部の室外ファンを停止する実行部(97)と、
を有する、冷凍装置の室外ユニット(2)。
【請求項2】
前記複数の室外ファンのそれぞれに対応するように形成され、前記複数の室外ファンのそれぞれによって生成された空気流をそれぞれ外に吹き出すための複数の吹出口、
をさらに備え、
前記ファン風量決定部は、前記運転継続ファンのファン風量を、前記仮定トータル風量に対して、停止した一部の室外ファンに対応する吹出口において外から前記吹出口に向かうと推定される逆空気流の量だけ大きくなるように、決定する、
請求項1に記載の冷凍装置の室外ユニット。
【請求項3】
前記第2運転状態における前記運転継続ファンのファン風量値を予め記憶する記憶部(92)、
をさらに備え、
前記ファン風量決定部は、前記第2運転状態における前記運転継続ファンのファン風量を、前記記憶部に予め記憶された前記第2運転状態における前記運転継続ファンのファン風量値となるように決定する、
請求項1又は2に記載の冷凍装置の室外ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76544(P2013−76544A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218264(P2011−218264)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】