説明

冷凍装置

【課題】互いに冷媒の蒸発圧力が異なる複数の利用側熱交換器が接続される冷媒回路を備えた冷凍装置であって、冷媒回路における圧縮機構の能力に余裕がある場合には、その能力の余裕分を過負荷状態の利用側熱交換器に対して利用できるようにする。
【解決手段】冷媒回路(10)に、冷却運転時に各熱交換器(81,91,101)から流出した冷媒を合流させて圧縮機構(40)の吸入側へ導く利用側流路(52a,52b,52c)を設け、この利用側流路(52a,52b,52c)には、冷却運転時に空調用熱交換器(81)の蒸発圧力が冷蔵用熱交換器及び冷凍用熱交換器(91,101)の蒸発圧力よりも高くなるように調整する圧力調整弁(1)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の利用側熱交換器が接続される冷媒回路を備えた冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の利用側熱交換器が接続される冷媒回路を備えた冷凍装置が知られている。そして、これらの冷凍装置の中には、特許文献1に示すように、各利用側熱交換器に対応する膨張弁の開度を調整して各利用側熱交換器ごとに冷媒の蒸発圧力を異ならせることが可能なものがある。
【0003】
特許文献1の冷凍装置は、コンビニエンスストア等に設置されるものであり、複数の利用側熱交換器として空調用熱交換器(第1利用側熱交換器)と冷蔵用熱交換器(第2利用側熱交換器)と冷凍用熱交換器とを備えている。上記空調用熱交換器はコンビニエンスストアの店内を空調するために用いられ、上記冷蔵用熱交換器は冷蔵ショーケースの庫内を冷却するために用いられ、上記冷凍用熱交換器は冷凍ショーケースの庫内を冷却するために用いられている。
【0004】
そして、この店内の空調と冷蔵・冷凍ショーケースの冷却とを同時に行えるようにするため、この冷凍装置の冷媒回路には、第1から第3の圧縮機が設けられている。第1圧縮機は空調用熱交換器専用であり、第3圧縮機は冷蔵用及び冷凍用熱交換器専用である。又、第2圧縮機は、上記冷媒回路に設けられた四路切換弁の切換動作により、空調用熱交換器専用及び冷蔵用及び冷凍用熱交換器専用のどちらか一方に必要に応じて選択可能に構成されている。このように利用側熱交換器に対して専用の圧縮機を設けることで、互いに蒸発圧力が異なる熱交換器を同時に作動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−115336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、互いに蒸発圧力が異なる第1及び第2利用側熱交換器の一方が低負荷状態であって他方が過負荷状態であるとする。この場合に、低負荷状態の利用側熱交換器を流れる冷媒を吸入する該利用側熱交換器専用の圧縮機は、まだ能力的に余裕があるにもかかわらず、過負荷状態の利用側熱交換器を流れる冷媒を吸入できないという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、互いに冷媒の蒸発圧力が異なる複数の利用側熱交換器が接続される冷媒回路を備えた冷凍装置であって、冷媒回路における圧縮機構の能力に余裕がある場合には、その能力の余裕分を過負荷状態の利用側熱交換器に対して利用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、圧縮機構(40)と熱源側熱交換器(44)と第1利用側熱交換器(81)と第2利用側熱交換器(91,101)とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、上記熱源側熱交換器(44)が凝縮器となって上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)のうち少なくとも1つが蒸発器となる冷却状態と上記熱源側熱交換器(44)及び上記第1利用側熱交換器(81)のうち少なくとも第1利用側熱交換器(81)が凝縮器となって上記第2利用側熱交換器(91,101)が蒸発器となる熱回収状態とに選択的に切換可能な切換機構(41,42)とを備えた冷凍装置を前提としている。
【0009】
そして、上記冷凍装置の冷媒回路(10)は、上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)が共に蒸発器となる冷却状態時に、上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)から流出した冷媒を合流させて上記圧縮機構(40)の吸入側へ導く利用側流路(52a,52b,52c)を備え、上記利用側流路(52a,52b,52c)には、上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)が共に蒸発器となる冷却状態時に、第1利用側熱交換器(81)の蒸発圧力が上記第2利用側熱交換器(91,101)の蒸発圧力よりも高くなるように調整する圧力調整機構(1)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
第1の発明では、上記冷却状態時において、上記利用側流路(52a,52b,52c)によって上記圧縮機構(40)の吸入側に並列に上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)が接続される。これにより、上記圧縮機構(40)を上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)の両方で共用できるようになる。そして、この利用側流路(52a,52b,52c)に圧力調整機構(1)を設けることにより、第1利用側熱交換器(81)の蒸発圧力を上記第2利用側熱交換器(91,101)の蒸発圧力よりも高くすることができるようになる。
【0011】
以上より、第1の発明では、従来の冷凍装置とは違い、各利用側熱交換器(81,91,101)ごとに圧縮機を設けなくても、1つの圧縮機構(40)で上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)の蒸発圧力を異ならせることができるようになる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記利用側流路(52a,52b,52c)は、上記熱回収状態時に上記圧縮機構(40)から第1利用側熱交換器(81)へ吐出される冷媒が流通する高圧流路(52b)を含み、上記高圧流路(52b)には、上記圧力調整機構(1)と、該圧力調整機構(1)をバイパスし且つ上記圧縮機構(40)から上記第1利用側熱交換器(81)への冷媒流れを許容し且つ上記第1利用側熱交換器(81)から上記圧縮機構(40)への冷媒流れを阻止する逆止機構(2)を備えたバイパス流路(3)とが設けられていることを特徴としている。
【0013】
第2の発明では、上記利用側流路(52a,52b,52c)において、上記冷却状態のときに上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)のうち少なくとも1つから流出した冷媒を上記圧縮機構(40)の吸入側へ導き、上記熱回収状態のときに上記利用側流路(52a,52b,52c)の一部が高圧流路(52b)となり、この高圧流路(52b)が上記圧縮機構(40)から吐出された冷媒を上記第1利用側熱交換器(81)へ導く。
【0014】
つまり、上記高圧流路(52b)は、上記冷却状態及び上記熱回収状態の両方において、冷媒が流通する。そして、この高圧流路(52b)に上記圧力調整機構(1)が設けられた場合において、上記熱回収状態のときに、この圧力調整機構(1)が上記圧縮機構(40)から上記第1利用側熱交換器(81)へ向かう冷媒の流れが阻害されやすい。
【0015】
この熱回収状態時における冷媒の流れが阻害されにくくするため、上記高圧流路(52b)に上記逆止機構(2)を備えたバイパス流路(3)が設けられている。上記熱回収状態時に、このバイパス流路(3)を通って上記圧縮機構(40)から上記第1利用側熱交換器(81)へ冷媒が流れる。
【0016】
尚、上記冷却状態時には、上記逆止機構(2)により上記利用側熱交換器(81,91)から流出した冷媒は上記バイパス流路(3)へ流れずに、上記圧力調整機構(1)へ向かって流れる。
【0017】
第3の発明は、上記圧縮機構(40)は、互いに並列に接続された複数の圧縮機(40a,40b,40c)で構成されていることを特徴としている。
【0018】
第3の発明では、上記冷媒回路の圧縮機構(40)として複数の圧縮機(40a,40b,40c)を用いた場合でも、従来とは違い、全ての圧縮機(40a,40b,40c)を上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)の両方で共用できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記冷却運転時において、従来の冷凍装置とは違い、各利用側熱交換器(81,91,101)ごとに圧縮機を設けなくても、1つの圧縮機構(40)で上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)の蒸発圧力を異ならせることができる。
【0020】
ここで、第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)の一方が低負荷状態で他方が過負荷状態となった場合において、従来の場合には、上述したように低負荷状態の利用側熱交換器(81,91)に対応する圧縮機の運転能力を上げても低負荷側の利用側熱交換器(81,91)を流れる冷媒の吸入量が増えるのみで、過負荷状態の利用側熱交換器(81,91)を流れる冷媒の吸入量を増やすことができなかった。
【0021】
本発明の場合には、上記圧縮機構(40)を上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)の両方で共用しているので、上記圧縮機構(40)の運転能力を上げれば、過負荷状態の利用側熱交換器(81,91)を流れる冷媒の吸入量を増やすことができ、この過負荷状態の利用側熱交換器(81,91)の熱交換能力を大きくすることができる。
【0022】
以上より、互いに冷媒の蒸発圧力が異なる複数の利用側熱交換器が接続される冷媒回路を備えた冷凍装置において、上記圧縮機構(40)の能力に余裕がある場合には、その能力の余裕分を過負荷状態の利用側熱交換器に対して利用することが可能となる。
【0023】
また、上記第2の発明によれば、上記バイパス流路(3)を上記高圧流路(52b)に設けることにより、上記熱回収状態時に、上記圧力調整機構(1)をバイパスして上記圧縮機構(40)から上記第1利用側熱交換器(81)へ冷媒を流すことができる。これにより、上記熱回収状態時における上記高圧流路(52b)の冷媒流れをスムーズにすることができる。
【0024】
また、上記第3の発明によれば、上記冷媒回路の圧縮機構(40)として複数の圧縮機(40a,40b,40c)を用いた場合でも、従来とは違い、全ての圧縮機(40a,40b,40c)を上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)の両方で共用できる。これにより、複数の圧縮機(40a,40b,40c)全体として能力に余裕がある場合には、その能力の余裕分を過負荷状態の利用側熱交換器に対して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図2】図2は、実施形態に係る冷凍装置の冷却運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
【図3】図3は、実施形態に係る冷凍装置の熱回収運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
【図4】図4は、実施形態に係る冷凍装置の第1暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
【図5】図5は、実施形態に係る冷凍装置の第2暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の冷凍装置は、例えばコンビニエンスストア等に設置されて店内の空気調和とショーケース等の冷却とを行うものである。図1に示すように、本実施形態の冷凍装置は、室外ユニット(11)と空調ユニット(12)と冷蔵ユニット(13)と冷凍ユニット(14)とブースタユニット(15)とコントローラ(120)とを備えている。
【0027】
〈室外ユニット、室外回路〉
室外ユニット(11)は、屋外に設置されている。この室外ユニット(11)には室外回路(30)が設けられている。
【0028】
この室外回路(30)は、圧縮機構(40)と第1から第3の油分離器(47a,47b,47c)と第1及び第2の四路切換弁(41,42)と室外熱交換器(熱源側熱交換器)(44)と室外膨張弁(45)とレシーバ(46)と過冷却用熱交換器(65)と4つの閉鎖弁(55,56,57,58)とを備えている。
【0029】
−圧縮機構とその周辺の冷媒配管−
上記圧縮機構(40)は、第1から第3の圧縮機(40a,40b,40c)で構成されている。これらの圧縮機(40a,40b,40c)は、何れも全密閉型のスクロール圧縮機である。各圧縮機(40a,40b,40c)は、固定スクロール及び可動スクロールが噛み合って形成される圧縮室(図示なし)を有している。そして、各圧縮機(40a,40b,40c)は、この圧縮室の吸入位置に開口する吸入ポート(図示なし)と、上記圧縮室の吐出位置に開口する吐出ポート(図示なし)と、上記圧縮室における吸入位置及び吐出位置の間の中間位置に開口する中間ポート(図示なし)を備えている。
【0030】
又、第1圧縮機(40a)は、図示しないインバータを介して電力が供給される。このインバータの出力周波数を変更することにより、上記第1圧縮機(40a)の運転容量が変更可能に構成されている。一方、第2圧縮機(40b)及び第3圧縮機(40c)は、商用電源からの電力がそのまま供給され、何れも運転容量が固定に構成されている。
【0031】
各圧縮機(40a,40b,40c)の吐出側には、吐出配管(50)が接続されている。吐出配管(50)の入口端は三つの分岐入口管に分岐し、各分岐入口管が各圧縮機(40a,40b,40c)の吐出ポートに接続されている。又、吐出配管(50)の出口端は二つの分岐出口管に分岐し、各分岐出口管が各四路切換弁(41,42)の第1ポートに接続されている。この吐出配管(50)の各分岐入口管には、逆止弁(CV1,CV2,CV3)が設けられている。これらの逆止弁(CV1,CV2,CV3)は、圧縮機(40a,40b,40c)から四路切換弁(41,42)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
【0032】
各圧縮機(40a,40b,40c)の吸入ポートには、吸入配管(51)が接続されている。具体的に、吸入配管(51)の出口端は三つの分岐出口管に分岐し、各分岐出口管が各圧縮機(40a,40b,40c)に接続されている。又、吸入配管(51)の入口端は二つの分岐入口管(51a,51b)に分岐し、第1分岐入口管(51a)が冷凍冷蔵側ガス閉鎖弁(58)に接続され、第2分岐入口管(51b)が第2四路切換弁(42)の第2ポートに接続されている。
【0033】
−油分離器とその周辺の冷媒配管−
第1から第3の油分離器(47a,47b,47c)は、該各油分離器(47a,47b,47c)ごとに対応する圧縮機(40a,40b,40c)から吐出される潤滑油混じりの冷媒から潤滑油を分離するためのものである。各油分離器(47a,47b,47c)は、吐出配管(50)における各分岐入口管の途中(各圧縮機(40a,40b,40c)と各逆止弁(CV1,CV2,CV3)との間)に設けられている。
【0034】
各油分離器(47a,47b,47c)は、内部で潤滑油混じりの冷媒から分離した潤滑油を流出する油流出部(図示なし)を有し、各油流出部に油戻し配管(54)が接続されている。具体的に、油戻し配管(54)の入口端は三つの油分岐管に分岐し、各油分岐管が各油分離器(47a,47b,47c)の油流出部に接続されている。又、油戻し配管(54)の出口端は、後述する第2インジェクション配管(39)の途中に接続されている。
【0035】
尚、各油分岐管には、油分離器(47a,47b,47c)から第2インジェクション配管(39)へ向かって順に、逆止弁(CV11,CV12,CV13)とキャピラリチューブ(48a,48b,48c)とが設けられている。各逆止弁(CV11,CV12,CV13)は、油分離器(47a,47b,47c)から第2インジェクション配管(39)へ向かう潤滑油の流通を許容し、逆方向への潤滑油の流通を阻止する。
【0036】
−四路切換弁とその周辺の冷媒配管−
第1及び第2四路切換弁(切換機構)(41,42)は、第1ポートが第3ポートに連通し且つ第2ポートが第4ポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポートが第4ポートに連通し且つ第2ポートが第3ポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。上記冷凍装置は、この第1及び第2四路切換弁(41,42)の切換動作によって、後述する様々な運転を行うことができる。
【0037】
第1四路切換弁(41)の第1ポートが、上述したように吐出配管(50)の分岐出口管に接続されている。第1四路切換弁(41)の第2ポートが第8冷媒配管(59)を介して第2四路切換弁(42)の第4ポートに接続されている。第1四路切換弁(41)の第3ポートが第9冷媒配管(61)を介して室外熱交換器(44)の一端に接続されている。第1四路切換弁(41)の第4ポートが第10冷媒配管(49)を介して空調側ガス閉鎖弁(56)に接続されている。
【0038】
第2四路切換弁(42)の第1ポートが、上述したように吐出配管(50)の分岐出口管に接続されている。第2四路切換弁(42)の第2ポートが、上述したように吸入配管(51)の第2分岐入口管(51b)に接続されている。第2四路切換弁(42)の第3ポートが封止されている。
【0039】
−室外熱交換器とその周辺の冷媒配管−
室外熱交換器(44)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。この室外熱交換器(44)の近傍に室外ファン(79)が設けられている。この室外熱交換器(44)では、室外ファン(79)によって送られた屋外の空気と該室外熱交換器(44)内を流れる冷媒とを熱交換するように構成されている。
【0040】
この室外熱交換器(44)の他端から延びる第1冷媒配管(31)は、上記レシーバ(46)の頂部に接続されている。尚、この第1冷媒配管(31)には、室外熱交換器(44)からレシーバ(46)へ向かって順に、第1電磁弁(SV1)と逆止弁(CV6)とが設けられている。この逆止弁(CV6)は、室外熱交換器(44)からレシーバ(46)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
【0041】
−レシーバとその周辺の冷媒配管−
レシーバ(46)は、略円筒状の密閉容器であり、上記室外回路(30)を流れる高圧の液冷媒を一時的に貯留するものである。
【0042】
このレシーバ(46)の底部から第2冷媒配管(32)が延びている。この第2冷媒配管(32)の端部は、過冷却用熱交換器(65)が有する高温側流路(66)の入口端に接続されている。この第2冷媒配管(32)の途中から第3冷媒配管(33)が分岐している。
【0043】
この第3冷媒配管(33)の端部は空調側液閉鎖弁(55)に接続されている。この第3冷媒配管(33)の途中には逆止弁(CV8)が設けられている。この逆止弁(CV8)は、レシーバ(46)から空調側液閉鎖弁(55)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
【0044】
この第3冷媒配管(33)における逆止弁(CV8)及び空調側液閉鎖弁(55)の間から第4冷媒配管(34)が分岐している。この第4冷媒配管(34)の端部は第1冷媒配管(31)における逆止弁(CV6)及びレシーバ(46)の間に接続されている。この第4冷媒配管(34)の途中には逆止弁(CV7)が設けられている。この逆止弁(CV7)は、空調側液閉鎖弁(55)からレシーバ(46)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
【0045】
又、このレシーバ(46)の頂部からガス抜き管(51)が延びている。このガス抜き管(51)の端部は、後述する第2インジェクション配管(39)の途中に接続されている。このガス抜き管(51)には第2電磁弁(SV2)が設けられている。
【0046】
−過冷却用熱交換器とその周辺の冷媒配管−
過冷却用熱交換器(65)は、上述した高温側流路(66)の他に低温側流路(67)を備えるプレート式熱交換器であって、高温側流路(66)を流れる冷媒と低温側流路(67)を流れる冷媒とを熱交換させるものである。
【0047】
この高温側流路(66)の出口端から第5冷媒配管(35)が延びている。この第5冷媒配管(35)の端部は冷凍冷蔵側液閉鎖弁(57)に接続されている。この第5冷媒配管(35)の途中から第6冷媒配管(36)が分岐している。この第6冷媒配管(36)の端部が、第1冷媒配管(31)における室外熱交換器(44)と第1電磁弁(SV1)との間に接続されている。
【0048】
第6冷媒配管(36)には、第5冷媒配管(35)から第1冷媒配管(31)へ向かって順に逆止弁(CV9)と室外膨張弁(45)とが設けられている。この逆止弁(CV9)は、第5冷媒配管(35)から第1冷媒配管(31)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。又、室外膨張弁(45)は、開度可変の電子膨張弁である。
【0049】
ここで、第6冷媒配管(36)における逆止弁(CV9)及び室外膨張弁(45)の間から第7冷媒配管(37)が分岐している。この第7冷媒配管(37)の端部は第1冷媒配管(31)における逆止弁(CV6)及びレシーバ(46)の間に接続されている。この第7冷媒配管(37)には逆止弁(CV10)が設けられている。この逆止弁(CV10)は、第6冷媒配管(36)から第1冷媒配管(31)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
【0050】
又、この第5冷媒配管(35)の途中から第1インジェクション配管(38)が分岐している。この第1インジェクション配管(38)の端部は、過冷却用熱交換器(65)における低温側流路(67)の入口端に接続されている。この第1インジェクション配管(38)には過冷却用膨張弁(63)が設けられている。この過冷却用膨張弁(63)は、開度可変の電子膨張弁である。
【0051】
又、過冷却用熱交換器(65)における低温側流路(67)の出口端から第2インジェクション配管(39)が延びている。この第2インジェクション配管(39)の端部は3つの分岐管(39a,39b,39c)に分岐し、各分岐管(39a,39b,39c)が各圧縮機(40a,40b,40c)の中間ポートに接続されている。又、各分岐管(39a,39b,39c)には、それぞれインジェクション用電動弁(64a,64b,64c)が設けられている。このインジェクション用電動弁(64a,64b,64c)は開度可変の電子膨張弁である。
【0052】
−センサ類−
吐出配管(50)の各分岐入口管には、各圧縮機(40a,40b,40c)と各油分離器(47a,47b,47c)の間に、吐出管温度センサ(74a,74b,74c)が一つずつ取り付けられている。この吐出管温度センサ(74a,74b,74c)は、各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出される冷媒の温度を検出するものである。また、吐出配管(50)には、高圧センサ(70)が接続されている。高圧センサ(70)は、各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出される冷媒の圧力を検出するものである。
【0053】
吸入配管(51)には、第1吸入管温度センサ(75)と第2吸入管温度センサ(76)と低圧センサ(71)とが取り付けられている。各吸入管温度センサ(75,76)は、各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入される冷媒の温度を検出するものである。又、低圧センサ(71)は、各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入される冷媒の圧力を検出するものである。
【0054】
第2インジェクション配管(39)には、インジェクション用温度センサ(77)とインジェクション用圧力センサ(73)とが取り付けられている。このインジェクション用温度センサ(77)は、各圧縮機(40a,40b,40c)の中間ポートへインジェクションされる冷媒の温度を検出するものである。又、インジェクション用圧力センサ(73)は、各圧縮機(40a,40b,40c)の中間ポートへインジェクションされる冷媒の圧力を検出するものである。
【0055】
室外ファン(79)の近傍には、室外温度センサ(78)が設けられている。この室外温度センサ(78)は、室外ファン(79)によって室外熱交換器(44)へ送られる室外空気の温度を計測するものである。
【0056】
〈空調ユニット、空調用回路〉
空調ユニット(12)は、売り場等の店内に設置され、この店内の空調を行うものである。この空調ユニット(12)には空調用回路(80)が設けられている。この空調用回路(80)は、第1利用側熱交換器である空調用熱交換器(81)と空調用膨張弁(82)とを備えている。
【0057】
空調用熱交換器(81)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。この空調用熱交換器(81)の近傍に室内ファン(83)が設けられている。この空調用熱交換器(81)では、室内ファン(83)から送られる室内空気と空調用熱交換器(81)内を流れる冷媒とを熱交換するように構成されている。
【0058】
この空調用熱交換器(81)の一端から空調用ガス配管(87a)が延びている。この空調用ガス配管(87a)の端部には、後述する空調用ガス側連絡管(22)が接続される。
【0059】
又、空調用熱交換器(81)の他端から空調用液配管(87b)が延びている。この空調用液配管(87b)の端部に、後述する空調用液側連絡管(21)が接続される。この空調用液配管(87b)の途中に空調用膨張弁(82)が設けられている。この空調用膨張弁(82)は、開度可変の電子膨張弁である。
【0060】
空調用回路(80)の空調用ガス配管(87a)には、ガス冷媒温度センサ(84)が取り付けられている。このガス冷媒温度センサ(84)において、空調用熱交換器(81)が蒸発器として機能している場合には空調用熱交換器(81)から流出した後の冷媒の温度を検出し、空調用熱交換器(81)が凝縮器として機能している場合には空調用熱交換器(81)へ流入しようとする冷媒の温度を検出する。
【0061】
空調用熱交換器(81)が有する伝熱管には、熱交換器温度センサ(85)が取り付けられている。この熱交換器温度センサ(85)は、空調用熱交換器(81)の伝熱管内で相変化しつつある冷媒の温度(即ち、蒸発温度や凝縮温度)を示す物理量として、伝熱管の温度を検出する。
【0062】
室内ファン(83)の近傍には、室内温度センサ(86)が取り付けられている。この室内温度センサ(86)は、室内ファン(83)によって空調用熱交換器(81)へ送られる室内空気の温度を検出する。
【0063】
〈冷蔵ユニット、冷蔵用回路〉
冷蔵ユニット(13)は、冷蔵ショーケースに設置され、その庫内を冷却するものである。この冷蔵ユニット(13)には冷蔵用回路(90)が設けられている。この冷蔵用回路(90)は、第2利用側熱交換器である冷蔵用熱交換器(91)と冷蔵用膨張弁(92)と冷蔵用電磁弁(93)とを備えている。
【0064】
冷蔵用熱交換器(91)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。この冷蔵用熱交換器(91)の近傍に冷蔵用ファン(94)が設けられている。この冷蔵用熱交換器(91)では、冷蔵用ファン(94)から送られる冷蔵ショーケースの庫内空気と冷蔵用熱交換器(91)内を流れる冷媒とを熱交換するように構成されている。
【0065】
この冷蔵用熱交換器(91)の一端から冷蔵用ガス配管(97a)が延びている。この冷蔵用ガス配管(97a)の端部には、後述する冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)の分岐管(24a)が接続される。
【0066】
又、冷蔵用熱交換器(91)の他端から冷蔵用液配管(97b)が延びている。この冷蔵用液配管(97b)の端部には、後述する冷凍冷蔵用液側連絡管(23)の分岐管(23a)が接続される。この冷蔵用液配管(97b)の途中には、冷凍冷蔵用液側連絡管(23)の分岐管(23a)から冷蔵用熱交換器(91)へ向かって順に、冷蔵用電磁弁(93)と冷蔵用膨張弁(92)とが設けられている。この冷蔵用膨張弁(92)は、冷蔵用ガス配管(97a)に取り付けられた感温筒を有する温度自動膨張弁である。
【0067】
冷蔵用ファン(94)の近傍には、冷蔵用庫内温度センサ(95)が取り付けられている。この冷蔵用庫内温度センサ(95)は、冷蔵用ファン(94)によって冷蔵用熱交換器(91)へ送られる庫内空気の温度を検出する。
【0068】
〈冷凍ユニット、冷凍用回路〉
冷凍ユニット(14)は冷凍ショーケースに設置され、その庫内を冷却するものである。この冷凍ユニット(14)には冷凍用回路(100)が設けられている。この冷凍用回路(100)は、冷凍用熱交換器(101)と冷凍用電磁弁(103)と冷凍用膨張弁(102)とを備えている。
【0069】
冷凍用熱交換器(101)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。この冷凍用熱交換器(101)の近傍に冷凍用ファン(104)が設けられている。この冷凍用熱交換器(101)では、冷凍用ファン(104)から送られる冷凍ショーケースの庫内空気と冷凍用熱交換器(101)内を流れる冷媒とを熱交換するように構成されている。
【0070】
この冷凍用熱交換器(101)の一端から冷凍用ガス配管(107a)が延びている。この冷凍用ガス配管(107a)の端部には、後述するブースタ用連絡管(25)が接続されている。
又、冷凍用熱交換器(101)の他端から冷凍用液配管(107b)が延びている。この冷凍用液配管(107b)の端部には、後述する冷凍冷蔵用液側連絡管(23)の分岐管(23b)が接続されている。
【0071】
この冷凍用液配管(107b)の途中には、冷凍冷蔵用液側連絡管(23)の分岐管(23b)から冷凍用熱交換器(101)へ向かって順に、冷凍用電磁弁(103)と冷凍用膨張弁(102)とが設けられている。この冷凍用膨張弁(102)は、冷凍用ガス配管(107a)に取り付けられた感温筒を有する温度自動膨張弁である。
【0072】
冷凍用ファン(104)の近傍には、冷凍用庫内温度センサ(105)が取り付けられている。この冷凍用庫内温度センサ(105)は、冷凍用ファン(104)によって冷凍用熱交換器(101)へ送られる庫内空気の温度を検出する。
【0073】
〈ブースタユニット、ブースタ回路〉
ブースタユニット(15)は、冷凍ショーケースの近傍に設置されている。このブースタユニット(15)にはブースタ回路(110)が収容されている。このブースタ回路(110)は、ブースタ圧縮機(111)とブースタ用油分離器(112)とを備えている。
【0074】
ブースタ圧縮機(111)は全密閉型のスクロール圧縮機である。このブースタ圧縮機(111)は、図示しないインバータを介して電力が供給される。このインバータの出力周波数を変更することにより、ブースタ圧縮機(111)の運転容量が変更可能に構成されている。
【0075】
ブースタ圧縮機(111)の吐出ポートからブースタ用吐出配管(116)が延びている。このブースタ用吐出配管(116)の端部には、後述する冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)の分岐管(24b)が接続されている。このブースタ用吐出配管(116)の途中には、逆止弁(CV14)が設けられている。この逆止弁(CV14)は、ブースタ圧縮機(111)から冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。又、このブースタ用吐出配管(116)におけるブースタ圧縮機(111)と冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)との間にブースタ用油分離器(112)が設けられている。
【0076】
このブースタ用油分離器(112)は、ブースタ圧縮機(111)から吐出される潤滑油混じりの冷媒から潤滑油を分離するためのものである。このブースタ用油分離器(112)は、内部で分離した潤滑油を流出する油流出部(図示なし)を有し、この油流出部からブースタ用油戻し配管(113)が延びている。このブースタ用油戻し配管(113)の端部は、後述するブースタ用吸入配管(117)の途中に接続されている。又、このブースタ用油戻し配管(113)にはキャピラリチューブ(115)が設けられている。
【0077】
又、ブースタ圧縮機(111)の吸入ポートからブースタ用吸入配管(117)が延びている。このブースタ用吸入配管(117)の端部には、後述するブースタ用連絡管(25)が接続されている。このブースタ用吸入配管(117)の途中からブースタ用バイパス配管(114)が分岐している。このブースタ用バイパス配管(114)の端部は、ブースタ用吐出配管(116)の途中(ブースタ用油分離器(112)と逆止弁(CV14)との間)に接続されている。
【0078】
又、このブースタ用バイパス配管(114)には逆止弁(CV15)が設けられている。この逆止弁(CV15)は、ブースタ用吸入配管(117)からブースタ用吐出配管(116)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
【0079】
〈コントローラ〉
コントローラ(120)は、上述した各センサ(48a,48b,48c,...)の検出値が入力される。そして、これら検出値に基づいて、上記コントローラ(120)は、各圧縮機(14a,14b,14c)と各ファン(79,83,94,104)の駆動制御、各種の弁(SV1,SV2,41,42,45,63,...)の切換や開度調節、及びインバータの運転周波数の調節を行いながら、上記冷凍装置における様々な運転の制御を行う。
【0080】
〈冷媒回路、連絡管〉
−冷媒回路−
冷凍装置は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えている。そして、この冷媒回路(10)は、室外回路(30)と冷蔵用回路(90)と冷凍用回路(100)とブースタ回路(110)との間を冷凍冷蔵用液側連絡管(23)と冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)とブースタ用連絡管(25)とで接続し、室外回路(30)と空調用回路(80)との間を空調用液側連絡管(21)及び空調用ガス側連絡管(22)で接続してなる。
【0081】
−冷凍冷蔵用液側連絡管−
上記室外回路(30)の冷凍冷蔵側液閉鎖弁(57)から冷凍冷蔵用液側連絡管(23)が延びている。この冷凍冷蔵用液側連絡管(23)の端部が二つに分岐して、一方の分岐管(23a)が冷蔵用回路(90)の冷蔵用液配管(97b)に接続されて他方の分岐管(23b)が冷凍用回路(100)の冷凍用液配管(107b)に接続されている。
【0082】
−冷凍冷蔵用ガス側連絡管−
上記室外回路(30)の冷凍冷蔵側ガス閉鎖弁(58)から冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)が延びている。この冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)の端部が二つに分岐して、一方の分岐管(24a)が冷蔵用回路(90)の冷蔵用ガス配管(97a)に接続されて他方の分岐管(24b)がブースタ回路(110)のブースタ用吐出配管(116)に接続されている。
【0083】
−ブースタ用連絡管−
上記冷凍用回路(100)の冷凍用ガス配管(107a)からブースタ用連絡管(25)が延びている。このブースタ用連絡管(25)の端部がブースタ回路(110)のブースタ用吸入配管(117)に接続されている。
【0084】
−空調用液側連絡管−
上記室外回路(30)の空調側液閉鎖弁(55)から空調用液側連絡管(21)が延びている。この空調用液側連絡管(21)の端部が上記空調用回路(80)の空調用液配管(87b)に接続されている。
【0085】
−空調用ガス側連絡管−
上記室外回路(30)の空調側ガス閉鎖弁(56)から空調用ガス側連絡管(22)が延びている。この空調用ガス側連絡管(22)の端部が上記空調用回路(80)の空調用ガス配管(87a)に接続されている。
【0086】
ここで、この空調用ガス側連絡管(22)には、圧力調整弁(圧力調整機構)(1)と該圧力調整弁(1)をバイパスするバイパス配管(バイパス流路)(3)とが設けられている。尚、この圧力調整弁(1)の動作については、詳しく後述する。又、上記バイパス配管(3)にはバイパス用逆止弁(逆止機構)(2)が設けられている。このバイパス用逆止弁(2)は、空調用熱交換器(81)から第1四路切換弁(41)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
【0087】
〈利用側流路、高圧流路〉
上記冷媒回路(10)は、利用側流路(52a,52b,52c)を備えている。この利用側流路(52a,52b,52c)は、後述する冷却運転時に各熱交換器(81,91,101)から流出した冷媒を合流させた後で全ての圧縮機(40a,40b,40c)の各吸入ポートへ導くものである。尚、この利用側流路(52a,52b,52c)は、冷蔵用熱交換器(91)及び冷凍用熱交換器(101)から各圧縮機(40a,40b,40c)へ至るまでの第1流路(52a)と、上記空調用熱交換器(81)から上記第1流路(52a)へ至るまでの第2流路(52b,52c)とで構成されている。
【0088】
そして、この第2流路(52b,52c)の一部が高圧流路(52b)を構成する。この高圧流路(52b)は、後述する熱回収運転と第1及び第2暖房運転のときに、各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出された冷媒を空調用熱交換器(81)へ導くものである。
【0089】
−運転動作−
この冷凍装置において行われる運転のうち、冷却運転、熱回収運転、第1暖房運転、及び第2暖房運転について説明する。なお、後述するように、これらの運転の何れにおいても、冷蔵ユニット(13)及び冷凍ユニット(14)では庫内空気の冷却が行われる。
【0090】
〈冷却運転〉
この冷凍装置の冷却運転について、図2を参照しながら説明する。図2では、この冷却運転時の冷媒の流れを太線と矢印で示している。尚、第1及び第2インジェクション(38,39)を通過する冷媒の流れと油戻し配管(54)を流れる潤滑油の流れの図示は省略する。この冷却運転では、上記冷媒回路(10)において、室外熱交換器(44)が凝縮器として動作し、空調用熱交換器(81)、冷蔵用熱交換器(91)、及び冷凍用熱交換器(101)が蒸発器として動作することにより冷凍サイクルが行われる。
【0091】
空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度は例えば5℃に、冷蔵用熱交換器(91)における冷媒の蒸発温度は例えば−5℃に、冷凍用熱交換器(101)における冷媒の蒸発温度は例えば−20℃に、それぞれ設定される。
【0092】
この冷却運転では、第1四路切換弁(41)及び第2四路切換弁(42)が共に第1状態に設定され、室外膨張弁(45)が全閉状態に設定され、空調用膨張弁(82)、過冷却用膨張弁(63)、各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)の開度が適宜調節される。更に、第1電磁弁(SV1)が開放され、第2電磁弁(SV2)が閉鎖される。
【0093】
各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出された冷媒は、各圧縮機(40a,40b,40c)に対応する油分離器(47a,47b,47c)で潤滑油が分離された後で合流し、第1四路切換弁(41)を通過する。この冷媒が上記第9冷媒配管(61)を通って上記室外熱交換器(44)へ流入する。この冷媒は、室外ファン(79)から送られる屋外の空気へ放熱して凝縮した後で上記室外熱交換器(44)を流出し、第1冷媒配管(31)を通ってレシーバ(46)へ流入する。
【0094】
レシーバ(46)へ流入した冷媒は、その一部がレシーバ(46)に貯留されて残りがレシーバ(46)を流出する。そして、この冷媒は、第2冷媒配管(32)を通って過冷却用熱交換器(65)の高温側流路(66)へ流入する途中で、その一部が分流して第3冷媒配管(33)を通った後で空調側液閉鎖弁(55)を通じて室外回路(30)から流出する。
【0095】
一方、過冷却用熱交換器(65)の高温側流路(66)へ流入した冷媒は、後述する過冷却用熱交換器(65)の低温側流路(67)を流れる冷媒で冷却された後に高温側流路(66)から流出する。この冷却により冷媒の過冷却度が大きくなる。この冷媒は、第5冷媒配管(35)と上記冷凍冷蔵側液閉鎖弁(57)とを通過して上記室外回路(30)から流出する途中で、その一部が第1インジェクション配管(38)へ分流する。この分流した冷媒は、第1インジェクション配管(38)を通過する際に上記過冷却用膨張弁(63)によって減圧される。この過冷却用膨張弁(63)の開度は、例えば、上記第2インジェクション配管(39)を流れる冷媒の過熱度が一定になるように調整される。尚、この過熱度は、インジェクション用温度センサ(77)及びインジェクション用圧力センサ(73)の検出値に基づいて演算される。
【0096】
上記過冷却用膨張弁(63)で減圧された後で上記過冷却用熱交換器(65)の低温側流路(67)へ流入した冷媒は、上述した高温側流路(66)を流れる冷媒から吸熱して蒸発した後に低温側流路(67)から流入する。この冷媒は、第2インジェクション配管(39)を通過する際に、各油分離器(47a,47b,47c)から油戻し配管(54)を通過した潤滑油と合流する。そして、この潤滑油と合流した冷媒が、再び分流して各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)通過する際に減圧される。そして、この減圧された冷媒は各圧縮機(40a,40b,40c)の中間ポートから該圧縮機(40a,40b,40c)の圧縮室へインジェクションされる。
【0097】
冷凍冷蔵側液閉鎖弁(57)を通じて室外回路(30)から流出した冷媒は、冷凍冷蔵用液側連絡管(23)を通過する際に分流し、一方が冷蔵用回路(90)へ流れ、他方が冷凍用回路(100)へ流れる。又、空調側液閉鎖弁(55)を通じて室外回路(30)から流出した冷媒は、空調用液側連絡管(21)を通過して空調用回路(80)へ流入する。
【0098】
−冷蔵用回路の冷媒流れ−
冷蔵用回路(90)へ流入した冷媒は、冷蔵用液配管(97b)を通って冷蔵用熱交換器(91)へ流入する途中で、冷蔵用膨張弁(92)によって所望の圧力まで減圧される。尚、この冷蔵用膨張弁(92)の開度は、冷蔵用熱交換器(91)から流出する冷媒の過熱度が一定になるように調整される。そして、冷蔵用熱交換器(91)へ流入した冷媒は、冷蔵用ファン(94)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発した後で冷蔵用熱交換器(91)を流出する。ここで、庫内空気は、この冷媒の蒸発によって熱が奪われることで冷却されて冷蔵ショーケースの庫内へ供給される。冷蔵用熱交換器(91)を流出した冷媒は、冷蔵用ガス配管(97a)を通って冷蔵用回路(90)を流出する。
【0099】
−冷凍用回路及びブースタ回路の冷媒流れ−
冷凍用回路(100)へ流入した冷媒は、冷凍用液配管(107b)を通って冷凍用熱交換器(101)へ流入する途中で、冷凍用膨張弁(102)によって所望の圧力まで減圧される。尚、この冷凍用膨張弁(102)の開度は、冷凍用熱交換器(101)から流出する冷媒の過熱度が一定になるように調整される。そして、冷凍用熱交換器(101)へ流入した冷媒は、冷凍用ファン(104)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発した後で冷凍用熱交換器(101)を流出する。ここで、庫内空気は、この冷媒の蒸発によって熱が奪われることで冷却されて冷凍ショーケースの庫内へ供給される。この冷凍用熱交換器(101)を流出した冷媒は、冷凍用ガス配管(107a)を通って冷凍用回路(100)を流出する。
【0100】
冷凍用回路(100)を流出した冷媒は、ブースタ用連絡配管(25)を通ってブースタ回路(110)へ流入する。この冷媒は、ブースタ用吸入配管(117)を通ってブースタ圧縮機(111)へ吸入されて圧縮される。ここで、このブースタ圧縮機(111)により、冷凍用回路(100)を流出した冷媒の圧力を冷蔵用回路(90)から流出した冷媒の圧力まで昇圧する。
【0101】
この圧縮された冷媒は、ブースタ用吐出配管(116)を通過する際にブースタ用油分離器(112)によって潤滑油が分離された後に、ブースタ回路(110)から流出する。尚、この分離された潤滑油は、ブースタ用油戻し配管(113)を通過する際にキャピラリチューブ(115)で減圧された後に、ブースタ用吸入配管(117)を流れる冷媒と合流する。
【0102】
−空調用回路の冷媒流れ−
空調用回路(80)へ流入した冷媒は、空調用液配管(87b)を通って空調用熱交換器(81)へ流入する途中で、空調用膨張弁(82)によって所望の圧力まで減圧される。尚、この膨張弁の開度は、空調用熱交換器(81)から流出する冷媒の過熱度が一定になるように調整される。そして、空調用熱交換器(81)へ流入した冷媒は、室内ファン(83)によって供給された室内空気から吸熱して蒸発した後で空調用熱交換器(81)を流出する。ここで、室内空気は、この冷媒の蒸発によって熱が奪われることで冷却されてコンビニエンスストアの店内等へ供給される。これにより、店内の冷房が行われる。そして、この空調用熱交換器(81)を流出した冷媒は、空調用ガス配管(87a)を通って空調用回路(80)を流出する。
【0103】
−各ガス側連絡管から室外回路の圧縮機までの流れ−
冷蔵用回路(90)及びブースタ回路(110)から流出した冷媒は、冷凍冷蔵用ガス側連絡管(24)で合流した後で、冷凍冷蔵側ガス閉鎖弁(58)を通じて室外回路(30)の第1分岐入口管(51a)へ流入する。
【0104】
一方、空調用回路(80)から流出した冷媒は、空調用ガス側連絡管(22)を通過する際に上記圧力調整弁(1)によって減圧される。そして、この減圧された冷媒は、第10冷媒配管(49)と第1四路切換弁(41)と第8冷媒配管(59)と第2四路切換弁(42)と第2分岐入口管(51b)とを順に通過した後で、上記第1分岐入口管(51a)を流れる冷媒に合流する。この合流した冷媒が各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入される。
【0105】
各圧縮機(40a,40b,40c)において、各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入された冷媒は、その圧縮途中で各圧縮機(40a,40b,40c)の中間ポートを通じて冷媒がインジェクションされた後で所定の圧力まで圧縮される。そして、この圧縮された冷媒が各圧縮機(40a,40b,40c)から再び吐出される。
【0106】
上記冷凍装置では、このように冷媒が上記冷媒回路(10)を循環することによって冷却運転が行われ、冷蔵ショーケース及び冷凍ショーケースの内部を冷却するとともに店内を冷房することができる。
【0107】
尚、この冷却運転では、上記空調用膨張弁(82)を全閉にすることで上記冷蔵用熱交換器(91)及び冷凍用熱交換器(101)のみを蒸発器とする運転が可能である。又、上記冷蔵用電磁弁(93)及び上記冷凍用電磁弁(103)を閉設定にすることで上記空調用熱交換器(81)のみを蒸発器とする運転が可能である。
【0108】
〈熱回収運転〉
次に、この冷凍装置の熱回収運転について、図3を参照しながら説明する。図3では、この熱回収運転時の冷媒の流れを太線と矢印で示している。尚、第1及び第2インジェクション(38,39)を通過する冷媒の流れと油戻し配管(54)を流れる潤滑油の流れの図示は、省略する。この熱回収運転では、上記空調用熱交換器(81)が凝縮器として動作し、冷蔵用熱交換器(91)及び冷凍用熱交換器(101)が蒸発器として動作することにより冷凍サイクルが行われる。上記室外熱交換器(44)は、蒸発器としても凝縮器としても動作しない。
【0109】
尚、この運転の場合でも、上述した冷却運転と同様に、冷蔵用熱交換器(91)における冷媒の蒸発温度は例えば−5℃に、冷凍用熱交換器(101)における冷媒の蒸発温度は例えば−20℃に、それぞれ設定される。
【0110】
この熱回収運転では、第1四路切換弁(41)が第2状態に設定され、第2四路切換弁(42)が第1状態に設定され、室外膨張弁(45)が全閉状態に設定され、空調用膨張弁(82)、過冷却用膨張弁(63)、各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)の開度が適宜調節される。更に、第1電磁弁(SV1)が開放され、第2電磁弁(SV2)が閉鎖される。
【0111】
各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出された冷媒は、各圧縮機(40a,40b,40c)に対応する油分離器(47a,47b,47c)で潤滑油が分離された後で合流し、第1四路切換弁(41)及び第10冷媒配管(49)を通った後で空調側ガス閉鎖弁(56)を通じて上記室外回路(30)から流出する。
【0112】
上記室外回路(30)を流出した冷媒は、上記空調用ガス側連絡管(22)へ流入する。この冷媒は、上記記圧力調整弁(1)を通過せずに上記バイパス配管(3)及び上記バイパス用逆止弁(2)を通過した後で、上記空調用回路(80)へ流入する。尚、上記圧力調整弁(1)は、上記室外回路(30)から上記空調用回路(80)への冷媒流れを阻止するように構成されている。このため、この熱回収運転では、上記記圧力調整弁(1)をバイパスするように冷媒が流れる。
【0113】
上記空調用回路(80)へ流入した冷媒は、上記空調用ガス配管(87a)を通って空調用熱交換器(81)へ流入する。この冷媒は、室内ファン(83)によって供給された室内空気へ放熱して凝縮した後で、上記空調用熱交換器(81)を流出する。この室内空気は、冷媒の凝縮によって加熱されてコンビニエンスストアの店内等へ供給される。これにより、店内の暖房が行われる。そして、この空調用熱交換器(81)を流出した冷媒は、空調用膨張弁(82)及び空調用液配管(87b)を通過した後で空調用回路(80)を流出する。
【0114】
上記空調用回路(80)を流出した冷媒は、上記空調用液側連絡管(21)を通じて上記空調側液閉鎖弁(55)から上記室外回路(30)へ流入する。この冷媒は、上記第4冷媒配管(34)及び逆止弁(CV7)を通過して上記レシーバ(46)へ流入する。
【0115】
このレシーバ(46)から上記冷蔵用回路(90)及び上記冷凍用回路(100)を経て上記各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入されるまでの冷媒の流れは、上述した冷却運転の場合と同じ流れであるため、説明を省略する。
【0116】
上記冷凍装置では、このように冷媒が上記冷媒回路(10)を循環することによって熱回収運転が行われる。この熱回収運転により、上記室外熱交換器(44)を用いずに冷蔵ショーケース及び冷凍ショーケースの内部を冷却するとともに店内を暖房することができる。
【0117】
〈第1暖房運転〉
この冷凍装置の第1暖房運転について、図4を参照しながら説明する。図4では、この第1暖房運転時の冷媒の流れを太線と矢印で示している。尚、第1及び第2インジェクション(38,39)を通過する冷媒の流れと油戻し配管(54)を流れる潤滑油の流れの図示は、省略する。この第1暖房運転では、上記空調用熱交換器(81)及び上記室外熱交換器(44)が凝縮器として動作し、冷蔵用熱交換器(91)及び冷凍用熱交換器(101)が蒸発器として動作することにより冷凍サイクルが行われる。上述した熱回収運転との違いは、上記室外熱交換器(44)が凝縮器として動作することである。この第1暖房運転は、例えば店内の暖房負荷が上述した熱回収運転時における暖房負荷よりも小さい場合に行われる運転である。
【0118】
この熱回収運転では、第1四路切換弁(41)及び第2四路切換弁(42)が共に第2状態に設定され、室外膨張弁(45)が全閉状態に設定され、空調用膨張弁(82)、過冷却用膨張弁(63)、各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)の開度が適宜調節される。更に、第1電磁弁(SV1)が開放され、第2電磁弁(SV2)が閉鎖される。
【0119】
各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出された冷媒は、各圧縮機(40a,40b,40c)に対応する油分離器(47a,47b,47c)で潤滑油が分離された後で合流する。この合流した冷媒は再び分流し、各四路切換弁(41,42)を通過する。
【0120】
第1四路切換弁(41)を通過した冷媒は、第10冷媒配管(49)を通った後で空調側ガス閉鎖弁(56)を通じて上記室外回路(30)から流出する。上記室外回路(30)から流出した冷媒が上記空調用回路(80)を経て上記室外回路(30)のレシーバ(46)へ戻るまでの流れは、上述した熱回収運転の場合と同じ流れであるため、説明は省略する。
【0121】
一方、上記第2四路切換弁(42)を通過した冷媒は、上記第8冷媒配管(59)と第1四路切換弁(41)と第9冷媒配管(61)とを順に通過した後で、上記室外熱交換器(44)へ流入する。この冷媒は、室外ファン(79)から送られる屋外の空気へ放熱して凝縮した後で上記室外熱交換器(44)を流出する。この冷媒は第1冷媒配管(31)を通過する際に、上記空調用回路(80)を経て上記室外回路(30)のレシーバ(46)へ戻る冷媒と合流する。
【0122】
この合流した冷媒が、レシーバ(46)から上記冷蔵用回路(90)及び上記冷凍用回路(100)を経て上記各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入されるまでの冷媒の流れは、上述した冷却運転の場合と同じ流れであるため、説明を省略する。
【0123】
上記冷凍装置では、このように冷媒が上記冷媒回路(10)を循環することによって第1暖房運転が行われる。この第1暖房運転により、上記室外熱交換器(44)を凝縮器として動作させつつ、冷蔵ショーケース及び冷凍ショーケースの内部を冷却するとともに店内を暖房することができる。
【0124】
〈第2暖房運転〉
この冷凍装置の第2暖房運転について、図5を参照しながら説明する。図5では、この第2暖房運転時の冷媒の流れを太線と矢印で示している。尚、第1及び第2インジェクション(38,39)を通過する冷媒の流れと油戻し配管(54)を流れる潤滑油の流れの図示は省略する。この第2暖房運転では、上記空調用熱交換器(81)が凝縮器として動作し、冷蔵用熱交換器(91)と冷凍用熱交換器(101)と室外熱交換器(44)とが蒸発器として動作することにより冷凍サイクルが行われる。上述した熱回収運転との違いは、上記室外熱交換器(44)が蒸発器として動作することである。この第2暖房運転は、例えば店内の暖房負荷が上述した熱回収運転時における暖房負荷よりも大きい場合に行われる運転である。
【0125】
尚、この運転の場合でも、上述した冷却運転と同様に、冷蔵用熱交換器(91)における冷媒の蒸発温度は例えば−5℃に、冷凍用熱交換器(101)における冷媒の蒸発温度は例えば−20℃に、それぞれ設定される。
【0126】
この第2暖房運転では、第1四路切換弁(41)が第2状態に設定され、第2四路切換弁(42)が第1状態に設定され、室外膨張弁(45)、空調用膨張弁(82)、過冷却用膨張弁(63)、各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)の開度が適宜調節される。更に、第1電磁弁(SV1)が開放され、第2電磁弁(SV2)が閉鎖される。尚、上記室外膨張弁(45)の開度は、上記室外熱交換器(44)を通過した冷媒の過熱度が所定の値となるように調整される。この過熱度の算出に際して、上記第2吸入管温度センサ(76)及び低圧センサ(71)の検出値が用いられる。
【0127】
各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出された冷媒は、各圧縮機(40a,40b,40c)に対応する油分離器(47a,47b,47c)で潤滑油が分離された後で合流し、第1四路切換弁(41)及び第10冷媒配管(49)を通った後で空調側ガス閉鎖弁(56)を通じて上記室外回路(30)から流出する。この室外回路(30)から流出した冷媒が上記空調用回路(80)を経て上記室外回路(30)のレシーバ(46)へ戻るまでの流れは、上述した熱回収運転の場合と同じ流れであるため、説明は省略する。
【0128】
上記レシーバ(46)から流出した冷媒は、第2冷媒配管(32)を通って過冷却用熱交換器(65)の高温側流路(66)を通過した後で2つに分流し、一方が第5冷媒配管(35)へ流入した後で冷凍冷蔵側液閉鎖弁(57)を通じて上記室外回路(30)を流出し、他方が第6冷媒配管(36)及び室外膨張弁(45)を通過する。この室外膨張弁(45)の通過の際に、冷媒は減圧する。
【0129】
ここで、上記室外回路(30)を流出してから上記冷蔵用回路(90)及び上記冷凍用回路(100)を経て上記各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入されるまでの冷媒の流れは、上述した冷却運転の場合と同じ流れであるため、説明を省略する。
【0130】
一方、上記室外膨張弁(45)を通過した冷媒が、第1冷媒配管(31)を経て上記室外熱交換器(44)へ流入する。この冷媒は、室外ファン(79)から送られる屋外の空気から吸熱して蒸発した後で上記室外熱交換器(44)を流出し、上記第9冷媒配管(61)と第1四路切換弁(41)と第8冷媒配管(59)と第2四路切換弁(42)と第2分岐入口管(51b)とを順に通過する。そして、この冷媒は、上記冷蔵用回路(90)及び上記冷凍用回路(100)から上記第1分岐入口管(51a)を経て各圧縮機(40a,40b,40c)へ向かう冷媒に合流する。そして、この合流した冷媒が各圧縮機(40a,40b,40c)へ吸入される。
【0131】
上記冷凍装置では、このように冷媒が上記冷媒回路(10)を循環することによって第2暖房運転が行われる。この第2暖房運転により、上記室外熱交換器(44)を蒸発器として動作させつつ、冷蔵ショーケース及び冷凍ショーケースの内部を冷却するとともに店内を暖房することができる。
【0132】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記冷却運転時において、従来の冷凍装置とは違い、各利用側熱交換器(81,91,101)ごとに圧縮機を設けなくても、1つの圧縮機構(40)で空調用熱交換器(81)の蒸発圧力を上記冷蔵用熱交換器(91)及び冷凍用熱交換器(101)の蒸発圧力よりも高くすることができる。
【0133】
これにより、例えば全ての熱交換器(81,91,101)のうちの1つ又は2つが低負荷状態で、残りが過負荷状態となった場合において、従来の場合、低負荷状態の利用側熱交換器(81,91,101)に対応する圧縮機の運転能力を上げても低負荷側の利用側熱交換器(81,91,101)を流れる冷媒の吸入量が増えるのみで、過負荷状態の利用側熱交換器(81,91,101)を流れる冷媒の吸入量を増やすことができなかった。
【0134】
本実施形態の場合には、上記圧縮機構(40)を全ての熱交換器(81,91,101)で共用しているので、上記圧縮機構(40)の運転能力を上げれば、過負荷状態の利用側熱交換器(81,91,101)を流れる冷媒の吸入量を増やすことができ、この過負荷状態の利用側熱交換器(81,91,101)の熱交換能力を大きくすることができる。
【0135】
以上より、互いに冷媒の蒸発圧力が異なる複数の利用側熱交換器が接続される冷媒回路を備えた冷凍装置において、上記圧縮機構(40)の能力に余裕がある場合には、その能力の余裕分を過負荷状態の利用側熱交換器に対して利用することが可能となる。
【0136】
また、本実施形態によれば、上記バイパス流路(3)を上記高圧流路(52b)に設けることにより、上記熱回収状態時に、上記圧力調整弁(1)をバイパスして複数の圧縮機(40a,40b,40c)から上記空調用熱交換器(81)へ冷媒を流すことができる。これにより、上記熱回収状態時における上記高圧流路(52b)の冷媒流れをスムーズにすることができる。
【0137】
また、本実施形態によれば、上記冷媒回路の圧縮機構(40)として複数の圧縮機(40a,40b,40c)を用いた場合でも、従来とは違い、全ての圧縮機(40a,40b,40c)を上記空調用熱交換器(81)、冷蔵用熱交換器(91)及び冷凍用熱交換器(101)で共用することができる。これにより、複数の圧縮機(40a,40b,40c)全体として能力に余裕がある場合には、その能力の余裕分を過負荷状態の利用側熱交換器に対して利用することができる。
【0138】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0139】
本実施形態では、圧力調整弁(1)及びバイパス配管(3)が空調用ガス側連絡管(22)に設けられていたが、これに限定される必要はなく、上記利用側流路(52a,52b,52c)の高圧流路(52b)であれば、どの位置に配置してもよい。例えば、上記空調ユニット(12)内の空調用ガス配管(87a)でもよいし、上記室外ユニット(11)内の第10冷媒配管(49)でもよい。
【0140】
このような位置に圧力調整弁(1)及びバイパス配管(3)を配置した場合でも、上記熱回収状態時に、上記圧力調整弁(1)をバイパスして複数の圧縮機(40a,40b,40c)から上記空調用熱交換器(81)へ冷媒をスムーズに流すことができる。
【0141】
本実施形態では、上記圧縮機構(40)が複数の圧縮機(40a,40b,40c)で構成されていたが、これに限定される必要はなく、上記圧縮機構(40)が、1台の圧縮機で構成されていてもよい。この場合であっても、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0142】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上説明したように、本発明は、複数の利用側熱交換器が接続される冷媒回路を備えた冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0144】
1 圧力調整弁(圧力調整機構)
2 バイパス用逆止弁(逆止機構)
3 バイパス配管(バイパス流路)
10 冷媒回路
40 圧縮機構
41 第1四路切換弁(切換機構)
42 第2四路切換弁(切換機構)
44 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
45 室外膨張弁
81 空調用熱交換器(第1利用側熱交換器)
82 空調用膨張弁
91 冷蔵用熱交換器(第2利用側熱交換器)
92 冷蔵用膨張弁
101 冷凍用熱交換器(第2利用側熱交換器)
102 冷凍用膨張弁
120 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構(40)と熱源側熱交換器(44)と第1利用側熱交換器(81)と第2利用側熱交換器(91,101)とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、
上記熱源側熱交換器(44)が凝縮器となって上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)のうち少なくとも1つが蒸発器となる冷却状態と上記熱源側熱交換器(44)及び上記第1利用側熱交換器(81)のうち少なくとも第1利用側熱交換器(81)が凝縮器となって上記第2利用側熱交換器(91,101)が蒸発器となる熱回収状態とに選択的に切換可能な切換機構(41,42)とを備えた冷凍装置であって、
上記冷媒回路(10)は、上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)が共に蒸発器となる冷却状態時に、上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)から流出した冷媒を合流させて上記圧縮機構(40)の吸入側へ導く利用側流路(52a,52b,52c)を備え、
上記利用側流路(52a,52b,52c)には、上記第1及び第2利用側熱交換器(81,91,101)が共に蒸発器となる冷却状態時に、第1利用側熱交換器(81)の蒸発圧力が上記第2利用側熱交換器(91,101)の蒸発圧力よりも高くなるように調整する圧力調整機構(1)が設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記利用側流路(52a,52b,52c)は、上記熱回収状態時に上記圧縮機構(40)から第1利用側熱交換器(81)へ吐出される冷媒が流通する高圧流路(52b)を含み、
上記高圧流路(52b)には、上記圧力調整機構(1)と、該圧力調整機構(1)をバイパスし且つ上記圧縮機構(40)から上記第1利用側熱交換器(81)への冷媒流れを許容し且つ上記第1利用側熱交換器(81)から上記圧縮機構(40)への冷媒流れを阻止する逆止機構(2)を備えたバイパス流路(3)とが設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記圧縮機構(40)は、互いに並列に接続された複数の圧縮機(40a,40b,40c)で構成されていることを特徴とする冷凍装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−163302(P2012−163302A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25806(P2011−25806)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)