説明

冷凍装置

【課題】暖房能力の向上と、エネルギー効率の向上の両立を図ること。
【解決手段】圧縮機(21)と、室内熱交換器(22)と、第1膨張弁(23)と、気液分離器(24)と、第2膨張弁(26)と、室外熱交換器(27)とが順に接続されて二段膨張式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。冷媒回路(20)は、気液分離器(24)の中間圧のガス冷媒が、圧縮機(21)の中間ポートへ流入するガスインジェクション管(2c)と、室外熱交換器(27)で蒸発して圧縮機(21)へ向かう低圧のガス冷媒が、気液分離器(24)から第2膨張弁(26)へ向かう中間圧の液冷媒と熱交換する液ガス熱交換器(25)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関し、特に成績係数(COP)および暖房能力の向上対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、中間圧のガス冷媒を圧縮機へインジェクションする冷媒回路を備えた冷凍装置が知られており、例えば特許文献1に開示されている。具体的に、この冷凍装置の冷媒回路は、圧縮機と、熱源側熱交換器と、第1膨張弁と、気液分離器と、第2膨張弁と、利用側熱交換器とが順に接続されて、二段膨張式の冷凍サイクルを行う。また、冷媒回路には、気液分離器における中間圧のガス冷媒が圧縮機へインジェクションされるインジェクション管が設けられている。この冷凍装置では、中間圧のガス冷媒が圧縮機へインジェクションされることで、暖房運転時には利用側熱交換器の冷媒循環量が増大するため、暖房能力が向上する。そのため、暖房時の成績係数(COP)が向上し、エネルギー効率の高い暖房運転が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−222329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、寒冷地など外気温度が低い地域では、暖房能力を高めつつエネルギー効率の高い暖房運転を行う冷凍装置が望まれている。そこで、上述した特許文献1の冷凍装置において、圧縮機の吸入冷媒の過熱度を増加させるための液ガス熱交換器を設けることが考えられる。液ガス熱交換器は、熱源側熱交換器で蒸発した低圧のガス冷媒と、利用側熱交換器で凝縮した高圧の液冷媒とを熱交換させるものである。この液ガス熱交換器によって、低圧のガス冷媒が過熱され、圧縮機の吸入冷媒の過熱度が増加する。吸入冷媒の過熱度が増加するに伴って、圧縮機の吐出冷媒の温度が上昇する。これにより、利用側熱交換器における冷媒のエンタルピが増大するので、利用側熱交換器による暖房能力(加熱能力)が向上する。
【0005】
ところが、単に特許文献1の冷凍装置に液ガス熱交換器を設けるだけでは、中間圧のガス冷媒が圧縮機へインジェクションされることによる成績係数(COP)の向上効果が低減されてしまうという問題があった。この点について、図11を参照しながら具体的に説明する。
【0006】
圧縮機では、低圧のガス冷媒(同図a点)が、高圧まで圧縮されて吐出される(同図b点)。圧縮機から吐出された高圧冷媒は、利用側熱交換器で室内空気と熱交換して凝縮する(同図c点)。これにより、室内空気が加熱されて、室内の暖房が行われる。利用側熱交換器で凝縮した高圧の液冷媒は、液ガス熱交換器で低圧のガス冷媒と熱交換して過冷却される(同図d点)。過冷却後の高圧の液冷媒は、第1膨張弁で減圧されて中間圧の冷媒となる(同図e点)。第1膨張弁で減圧された中間圧冷媒は、気液分離器に流入して、液冷媒とガス冷媒とに分離する。気液分離器で分離された中間圧の液冷媒(同図f点)は、第2膨張弁で減圧されて低圧の冷媒となる(同図g点)。一方、気液分離器で分離された中間圧のガス冷媒は、インジェクション管によって圧縮機へインジェクションされる(同図i点)。第2膨張弁で減圧された低圧の冷媒は、熱源側熱交換器で蒸発して低圧のガス冷媒となる(同図h点)。この低圧のガス冷媒は、液ガス熱交換器で高圧の液冷媒と熱交換して過熱されて、圧縮機へ吸入される(同図a点)。
【0007】
以上の冷媒流れでは、図11(A)に示すように、利用側熱交換器から流出した高圧の液冷媒が液ガス熱交換器によって過冷却されることで、その後、第1膨張弁で減圧されて気液分離器へ流入する中間圧冷媒においてガス冷媒の割合が減少する。そのため、圧縮機へインジェクションされるガス冷媒の量(インジェクション量)が減少してしまう。そこで、図11(B)に示すように、中間圧(同図e点、f点、i点の圧力)を低下させて、気液分離器へ流入する中間圧冷媒においてガス冷媒の割合を増加させることが考えられる。ところが、この場合、中間圧と低圧の圧力差(例えば、同図f点とg点の圧力差)が小さくなるため、気液分離器から圧縮機へガス冷媒が流れにくくなる。よって、この場合も、圧縮機へインジェクションされるガス冷媒の量(インジェクション量)が減少してしまう。このように、気液分離器から圧縮機へのインジェクション量が減少するため、成績係数(COP)の向上効果を充分に得られない。その結果、エネルギー効率の高い暖房運転を行うことができない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、中間圧の気液分離器から圧縮機へガスインジェクションする冷媒回路を備えた冷凍装置において、暖房能力を高めつつ、エネルギー効率の高い暖房運転を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、圧縮機構(21)と、利用側熱交換器(22)と、第1膨張弁(23)と、気液分離器(24)と、第2膨張弁(26)と、熱源側熱交換器(27)とが順に接続されて二段膨張式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えた冷凍装置を対象としている。そして、上記冷媒回路(20)は、上記気液分離器(24)のガス冷媒が、上記圧縮機構(21)における圧縮途中の箇所へ流入するガスインジェクション管(2c)と、上記熱源側熱交換器(27)で蒸発して上記圧縮機構(21)へ向かうガス冷媒が、上記気液分離器(24)から上記第2膨張弁(26)へ向かう液冷媒と熱交換する液ガス熱交換器(25)とを備えているものである。
【0010】
上記第1の発明では、暖房サイクルで冷媒が循環する場合、利用側熱交換器(22)が凝縮器(放熱器)として機能し、熱源側熱交換器(27)が蒸発器として機能する。この場合、利用側熱交換器(22)で凝縮した高圧の液冷媒が第1膨張弁(23)で減圧されて中間圧の冷媒となり、気液分離器(24)で中間圧の液冷媒とガス冷媒とに分離する。分離した中間圧の液冷媒は、液ガス熱交換器(25)へ流れる。また、熱源側熱交換器(27)で蒸発した低圧のガス冷媒は、液ガス熱交換器(25)で中間圧の液冷媒と熱交換して過熱され、その後、圧縮機(21)へ吸入される。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の液ガス温度差が、上記利用側熱交換器(22)の必要加熱能力に応じた上記圧縮機構(21)の吸入冷媒の必要過熱度から求められる上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の必要液ガス温度差以上となるように、且つ、上記ガスインジェクション管(2c)の冷媒流量が、上記冷凍サイクルの成績係数が最適となる流量となるように、上記冷凍サイクルの中間圧を設定する中間圧設定部(41)と、上記冷凍サイクルの中間圧が上記中間圧設定部(41)の設定値となるように、上記第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)の少なくとも一方を制御する弁制御部(45)とを備えているものである。
【0012】
上記第2の発明では、利用側熱交換器(22)の必要加熱能力(必要暖房能力)を満たすために必要な圧縮機構(21)の吸入冷媒の過熱度が定められる。そして、液ガス熱交換器(25)における中間圧の液冷媒と低圧のガス冷媒との温度差(液ガス温度差)が、必要過熱度を満たすために必要な温度差(必要液ガス温度差)以上となるように、冷凍サイクルの中間圧が設定される。さらに、気液分離器(24)から圧縮機(21)へ流入する中間圧のガス冷媒の量(ガスインジェクション量)が成績係数が最適となる量となるように、冷凍サイクルの中間圧は設定される。そして、実際の冷凍サイクルの中間圧が設定された値となるように、第1膨張弁(23)や第2膨張弁(26)の開度が調節される。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記中間圧設定部(41)は、上記圧縮機構(21)の吸入冷媒の必要過熱度に応じて予め定められた上記冷凍サイクルの成績係数が最大となる上記冷凍サイクルの中間圧の仮設定値を設定する仮設定部(42)と、上記仮設定部(42)による仮設定値の設定後、上記圧縮機構(21)の吸入冷媒の過熱度が上記必要過熱度に達すると、上記液ガス熱交換器(25)におけるガス冷媒の入口温度および出口温度から、上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の必要熱交換量を算出し、該必要熱交換量から、上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の必要液ガス温度差を算出し、実際の上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の液ガス温度が、上記必要液ガス温度差よりも大きい場合は上記仮設定部(42)の仮設定値を上記冷凍サイクルの中間圧の設定値とし、上記必要液ガス温度差以下である場合は該必要液ガス温度差に応じて予め定められた中間圧を上記冷凍サイクルの中間圧の設定値とする決定部(43)とを備えている。また、上記弁制御部(45)は、上記仮設定部(42)によって仮設定値が設定されると、上記冷凍サイクルの中間圧が上記仮設定値となるように上記第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)の少なくとも一方を制御し、上記決定部(43)によって設定値が決定されると、上記冷凍サイクルの中間圧が上記設定値となるように上記第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)の少なくとも一方を制御する。
【0014】
上記第3の発明では、必要過熱度に応じて、成績係数が最大となる中間圧の仮設定値が設定される。仮設定値が設定されると、実際の中間圧が仮設定値となるように、第1膨張弁(23)や第2膨張弁(26)の開度が調節される。そして、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度が必要過熱度に達すると、液ガス熱交換器(25)における液冷媒とガス冷媒との必要熱交換量が、液ガス熱交換器(25)におけるガス冷媒の入口温度と出口温度の温度差に基づいて算出される。続いて、必要熱交換量を満たすために必要な液ガス熱交換器(25)における必要液ガス温度差が算出される。そして、実際の液ガス温度差が必要液ガス温度差よりも大きい場合は、上述した仮設定値が中間圧の設定値となる。また、実際の液ガス温度差が必要液ガス温度差以下である場合は、必要液ガス温度差に応じた中間圧が設定値となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の冷凍装置によれば、気液分離器(24)の中間圧のガス冷媒が、圧縮機(21)における圧縮途中の箇所へ流入するガスインジェクション管(2c)と、熱源側熱交換器(27)で蒸発して圧縮機(21)へ向かう低圧のガス冷媒が、気液分離器(24)から第2膨張弁(26)へ向かう中間圧の液冷媒と熱交換する液ガス熱交換器(25)とを備えるようにした。したがって、充分な量のガス冷媒を圧縮機(21)へインジェクションさせることができると共に、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度を充分に獲ることができる。これによって、冷凍サイクルの成績係数(COP)の向上と、暖房能力の向上の両立を充分に図ることができる。その結果、必要暖房能力を満たしつつ、エネルギー効率の高い暖房運転が可能となる。
【0016】
また、第2の発明の冷凍装置によれば、実際の液ガス温度差が、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度が必要過熱度を満たすための必要液ガス温度差以上となるように、且つ、ガスインジェクション管(2c)によってインジェクションされるガス冷媒が、冷凍サイクルの成績係数が最適となる流量となるように、中間圧の設定値を決定するようにした。したがって、必要暖房能力を満たし、且つ、冷凍サイクルの成績係数が最適となる中間圧を設定することができる。これによって、必要能力を満たし、且つ、エネルギー効率の高い暖房運転を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒回路図である。
【図2】図2は、実施形態に係る暖房運転時の冷媒回路における冷媒挙動を示すモリエル線図である。
【図3】図3は、コントローラの制御動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、仮中間圧Pm1の決定動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、仮設定部のテーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、仮設定部のテーブルの一例を示す図である。
【図7】図7は、中間圧とCOPとの関係を説明するための図である。
【図8】図8は、中間圧設定値Pmの決定動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、液ガス熱交換器における液冷媒とガス冷媒の温度関係を説明するための図である。
【図10】図10は、中間圧とCOPおよび液ガス温度差との関係を説明するための図である。
【図11】図11は、従来の空気調和装置に係る冷媒回路における冷媒挙動を示すモリエル線図であり、(B)は(A)よりも中間圧が低い状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の空気調和装置(10)は、暖房運転を行うものであり、本発明に係る冷凍装置を構成している。
【0020】
空気調和装置(10)は、冷媒が循環して二段膨張式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。冷媒回路(20)は、冷媒の圧縮機構である圧縮機(21)と、利用側熱交換器である室内熱交換器(22)と、第1膨張弁(23)と、気液分離器(24)と、液ガス熱交換器(25)と、第2膨張弁(26)と、熱源側熱交換器である室外熱交換器(27)とが配管接続されて閉回路に構成されている。
【0021】
圧縮機(21)は、冷媒を吸入して圧縮する圧縮室(図示せず)を有しており、例えばスクロール型やロータリー型の回転式圧縮機である。圧縮機(21)の吐出側は、吐出側配管(2b)を介して室内熱交換器(22)のガス側端に接続されている。室内熱交換器(22)の液側端は、第1膨張弁(23)を介して気液分離器(24)に接続されている。
【0022】
液ガス熱交換器(25)は、液側流路(25a)とガス側流路(25b)を有している。液ガス熱交換器(25)の液側流路(25a)は、一端が気液分離器(24)に接続され、他端が第2膨張弁(26)を介して室外熱交換器(27)の液側端に接続されている。液ガス熱交換器(25)のガス側流路(25b)は、一端が室外熱交換器(27)のガス側端に接続され、他端が吸入側配管(2a)を介して圧縮機(21)の吸入側に接続されている。
【0023】
室内熱交換器(22)および室外熱交換器(27)は、冷媒が送り込まれた空気と熱交換する空気熱交換器である。液ガス熱交換器(25)は、液側流路(25a)を流れる液冷媒とガス側流路(25b)を流れるガス冷媒とが熱交換するものである。つまり、液ガス熱交換器(25)は、室外熱交換器(27)で蒸発して圧縮機(21)へ向かうガス冷媒が、気液分離器(24)から第2膨張弁(26)へ向かう液冷媒と熱交換するものである。第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)は、開度が調整自在な電動弁で構成されている
気液分離器(24)は、第1膨張弁(23)から流入した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離するものである。気液分離器(24)と圧縮機(21)の間には、ガスインジェクション管(2c)が接続されている。具体的に、ガスインジェクション管(2c)の流入端は気液分離器(24)のガス層と連通し、流出端は圧縮機(21)の中間ポート(図示せず)に接続されている。圧縮機(21)の中間ポートは、冷媒が圧縮途中の圧縮室と連通している。つまり、ガスインジェクション管(2c)は、気液分離器(24)のガス冷媒が、圧縮機(21)における圧縮途中の箇所へ流入する。
【0024】
また、冷媒回路(20)には、各種センサが設けられている。具体的に、液ガス熱交換器(25)における液側流路(25a)の入口側配管には第1温度センサ(31)が、ガス側流路(25b)の出口側配管(即ち、吸入側配管(2a))には第2温度センサ(32)がそれぞれ設けられている。室内熱交換器(22)の出口側配管には、第3温度センサ(33)が設けられている。吸入側配管(2a)には、さらに圧力センサ(34)が設けられている。第1〜第3温度センサ(31〜33)は冷媒の温度を検出するものであり、圧力センサ(34)は冷媒の圧力を検出するものである。
【0025】
また、空気調和装置(10)は、コントローラ(40)を備えている。コントローラ(40)は、圧縮機(21)の容量制御を行う一方、中間圧設定部(41)および弁制御部(45)を有している。中間圧設定部(41)は、必要な暖房能力に基づいて冷凍サイクルにおける中間圧の設定値を決定するように構成されている。中間圧設定部(41)は仮設定部(42)と決定部(43)を有している。弁制御部(45)は、冷凍サイクルにおける中間圧が中間圧設定部(41)の設定値となるように、第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)の少なくとも一方を開度制御するように構成されている。詳細な中間圧設定部(41)の決定動作については後述する。
【0026】
また、本実施形態の冷媒回路(20)には、冷媒としてHFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン)から成る単一冷媒が充填されている。なお、HFO−1234yfの化学式は、CF−CF=CHで表される。つまり、この冷媒は、分子式がC(但し、m及びnは1以上5以下の整数で、m+n=6の関係が成立する。)で示され且つ分子構造中に二重結合を1個有する冷媒から成る単一冷媒の一種である。
【0027】
−運転動作−
次に、上述した空気調和装置(10)の暖房運転の動作について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0028】
圧縮機(21)では、吸入側配管(2a)から流入した低圧のガス冷媒(図2のA点)が、高圧まで圧縮されて吐出される(同図B点)。圧縮機(21)から吐出された高圧冷媒は、室内熱交換器(22)において室内空気と熱交換して凝縮する(同図C点)。これにより、室内空気が加熱されて、室内の暖房が行われる。
【0029】
室内熱交換器(22)で凝縮した高圧冷媒は、第1膨張弁(23)で減圧されて中間圧の冷媒となる(同図D点)。第1膨張弁(23)で減圧された中間圧冷媒は、気液分離器(24)に流入して、液冷媒とガス冷媒とに分離する。気液分離器(24)で分離された中間圧の液冷媒は、液ガス熱交換器(25)の液側流路(25a)へ流入し(同図E点)、気液分離器(24)で分離された中間圧のガス冷媒は、ガスインジェクション管(2c)を流れて圧縮機(21)の中間ポートへ流入する(同図I点)。
【0030】
液ガス熱交換器(25)では、液側流路(25a)へ流入した中間圧の液冷媒が、ガス側流路(25b)を流れる低圧のガス冷媒と熱交換して過冷却される(同図F点)。液ガス熱交換器(25)で過冷却された中間圧の液冷媒は、第2膨張弁(26)で減圧されて低圧冷媒となる(同図G点)。第2膨張弁(26)で減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器(27)において室外空気と熱交換して蒸発する(同図H点)。室外熱交換器(27)で蒸発した低圧のガス冷媒は、液ガス熱交換器(25)のガス側流路(25b)へ流入し、上述したように液側流路(25a)を流れる中間圧の液冷媒と熱交換する。これにより、同図H点の低圧ガス冷媒は、過熱されて同図A点の冷媒となり、再び圧縮機(21)へ吸入される。つまり、液ガス熱交換器(25)では、液側流路(25a)を流れる液冷媒がガス側流路(25b)を流れるガス冷媒よりも高温である。圧縮機(21)へ吸入された冷媒は、圧縮されて最終的に高圧(同図B点)まで昇圧されるが、その圧縮途中においてガスインジェクション管(2c)から流入した中間圧のガス冷媒と混合する(同図I点)。
【0031】
以上のように、室内熱交換器(22)から流出した高圧の液冷媒が第1膨張弁(23)で減圧されて気液分離器(24)へ流入するため、中間圧をそれ程低下させなくても気液分離器(24)において中間圧のガス冷媒の割合を充分に確保することができる。さらには、中間圧をそれ程低下させなくてもよいことから、中間圧と低圧との圧力差を充分に確保することができる。これにより、気液分離器(24)から圧縮機(21)へ充分な量のガス冷媒をインジェクションすることができる。したがって、成績係数(COP)を向上させることができる。
【0032】
また、室外熱交換器(27)から流出した低圧のガス冷媒が液ガス熱交換器(25)で過熱されるため、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHを増大させることができる。これにより、圧縮機(63)の吐出冷媒の温度が上昇するため、室内熱交換器(22)における冷媒のエンタルピを増大させることができる。したがって、暖房能力が向上する。
【0033】
以上により、暖房能力を高めつつ、成績係数の高い暖房運転が可能となる。よって、必要暖房能力を満たしつつ、エネルギー効率の高い運転を行うことができる。
【0034】
−中間圧設定値の決定−
次に、中間圧設定部(41)による中間圧設定値Pm(以下、単なる設定値Pmともいう。)の決定動作について、図3〜図10を参照しながら説明する。
【0035】
中間圧設定部(41)は、図3に示すフローチャートに従って中間圧設定値Pmを決定する。具体的には、先ず、ステップST1において仮中間圧Pm1が決定される。続いて、弁制御部(45)によって、冷凍サイクルの中間圧が仮中間圧Pm1となるように第1膨張弁(23)や第2膨張弁(26)が開度制御される(ステップST2)。そして、中間圧設定部(41)において、過熱度SHが目標値に達したことが確認されると(ステップST3)、中間圧設定値Pmが決定される(ステップST4)。続いて、弁制御部(45)によって、冷凍サイクルの中間圧が中間圧設定値Pmとなるように第1膨張弁(23)や第2膨張弁(26)が開度制御される(ステップST5)。なお、冷凍サイクルの中間圧は、図2に示すD点、E点、F点およびI点の冷媒の圧力である。
【0036】
〈仮設定部の動作〉
上述した仮中間圧Pm1の決定(ステップST1)は、中間圧設定部(41)の仮設定部(42)によって行われる。仮設定部(42)は、図4に示すフローチャートに従って仮中間圧Pm1を設定する。この仮中間圧Pm1は、冷凍サイクルの中間圧の仮設定値である。先ず、仮設定部(42)には、必要暖房能力が入力される(ステップST11)。この必要暖房能力は、室内熱交換器(22)による必要な加熱能力である。
【0037】
続いて、仮設定部(42)は、図5に示すようなテーブルに基づいて、必要暖房能力に応じた必要過熱度SHを設定する(ステップST12)。ここで、必要過熱度SHは、圧縮機(21)の吸入冷媒(即ち、図2に示すA点の冷媒)の過熱度SHの目標値である。暖房能力は、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHに応じて変化する。例えば、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHが増加すると、圧縮機(21)の吐出冷媒(即ち、図2に示すB点の冷媒)の温度が上昇して、室内熱交換器(22)へ流れる冷媒のエンタルピが増大する。これによって、室内熱交換器(22)による暖房能力(加熱能力)が増大する。図5に示すテーブルでは、必要暖房能力を満たすために必要な吸入冷媒の過熱度SHが設定されている。
【0038】
続いて、仮設定部(42)は、図6に示すようなテーブルに基づいて、必要過熱度SHに応じて冷凍サイクルの成績係数(COP)が最大となる仮中間圧Pm1を設定する(ステップST13)。ここでいう冷凍サイクルの成績係数(COP)は、圧縮機(21)の入力に対する室内熱交換器(22)による暖房能力(加熱能力)であり、図2においてAB間のエンタルピ差に対するBC間のエンタルピ差である。図6に示すテーブルでは、冷凍サイクルの成績係数(COP)が最大となる中間圧が、暖房能力と過熱度SHに応じて設定されている。
【0039】
本実施形態の冷媒回路(20)のように、気液分離器(24)の中間圧のガス冷媒が圧縮機(21)へインジェクションされると、そのインジェクションされた分だけ室内熱交換器(22)の冷媒循環量が増大するため、室内熱交換器(22)による暖房能力が増大し、その結果、冷凍サイクルの成績係数が向上する(インジェクション効果)。つまり、ガスインジェクション量が多いほど、暖房能力が増大し冷凍サイクルの成績係数が向上する。ここで、図7に示すように、冷凍サイクルの中間圧が上昇するに従って、気液分離器(24)におけるガス冷媒の割合が減少するため、ガスインジェクション管(2c)から圧縮機(21)へ流入するガス冷媒の量(ガスインジェクション量)が減少する。また、冷凍サイクルの中間圧が低下するに従って、気液分離器(24)におけるガス冷媒の割合は増大するが、中間圧と低圧との圧力差が小さくなるため、ガスインジェクション量が減少する。このことから、ガスインジェクション量が最大となる中間圧を設定することにより、冷凍サイクルの成績係数が最大となる。つまり、ステップST13では、図7に示すように、冷凍サイクルの成績係数が最大となる、即ちガスインジェクション量が最大となる仮中間圧Pm1が設定される。なお、図5,6に示す各テーブルは、予め仮設定部(42)に記憶されている。
【0040】
また、気液分離器(24)の中間圧のガス冷媒は圧縮機(21)における圧縮途中の冷媒よりも温度が低いため、中間圧のガス冷媒が圧縮機(21)へインジェクションされることで、圧縮機(21)の吐出冷媒の温度が低下する。これにより、圧縮機(21)の入力および室内熱交換器(22)による暖房能力の何れも減少するが、圧縮機(21)の入力の減少率の方が高いため、冷凍サイクルの成績係数が向上する。
【0041】
以上のようにして仮中間圧Pm1が設定されると、上述したように冷凍サイクルの中間圧が仮中間圧Pm1となるように第1膨張弁(23)や第2膨張弁(26)が開度制御される(ステップST2)。そして、中間圧設定部(41)において、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SH(吸入過熱度SH)が必要過熱度SHに達したか否かが判定される(ステップST3)。必要過熱度SHに達すると、中間圧設定値Pmの決定動作(ステップST4)へ移行する。なお、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHは、第2温度センサ(32)の検出温度から、圧力センサ(34)の検出圧力の相当飽和温度を差し引いた値である。
【0042】
〈決定部の動作〉
中間圧設定値Pmの決定(ステップST4)は、中間圧設定部(41)の決定部(43)によって行われる。決定部(43)は、図8に示すフローチャートに従って中間圧設定値Pmを設定する。
【0043】
先ず、第3温度センサ(33)によって室外熱交換器(27)の出口温度が測定され、第2温度センサ(32)によって液ガス熱交換器(25)の低温側の出口温度が測定され、これら測定値が決定部(43)に入力される(ステップST41)。この決定部(43)に入力された2つの出口温度の差から、現在の液ガス熱交換器(25)における熱交換量が把握される。なお、ここでは、液ガス熱交換器(25)において、液側流路(25a)を高温側と、ガス側流路(25b)を低温側ともいう。
【0044】
続いて、決定部(43)は、現在の暖房能力と必要暖房能力との差から暖房能力の不足分を算出し、その暖房能力の不足分を賄うための液ガス熱交換器(25)での必要熱交換量Qを算出する(ステップST42)。つまり、必要熱交換量Qは、液ガス熱交換器(25)においてガス冷媒が必要過熱度SHまで過熱されるために必要な熱交換量である。例えば、必要暖房能力を満たすために必要な圧縮機(21)の吐出冷媒の温度(目標吐出温度)が設定され、吐出冷媒がその目標吐出温度となるために必要な過熱度SH(必要過熱度SH)が設定される。
【0045】
続いて、決定部(43)は、液ガス熱交換器(25)における熱交換量が必要熱交換量Qとなるために必要な液冷媒とガス冷媒の温度差(以下、必要液ガス温度差ΔTminという。)を、下記の式に基づいて算出する(ステップST43)。つまり、必要液ガス温度差ΔTminは、液ガス熱交換器(25)においてガス冷媒が必要過熱度SHまで過熱されるために必要な液冷媒とガス冷媒の温度差である。
【0046】
ΔTmin=Q/KA
ここに、Kは液ガス熱交換器(25)の熱通過率(熱交換器性能)を示し、Aは液ガス熱交換器(25)の伝熱面積を示す。
【0047】
続いて、決定部(43)は、実際の液ガス温度差ΔTが必要液ガス温度差ΔTminよりも大きいか否かを判定する(ステップST44)。実際の液ガス温度差ΔTは、第1温度センサ(31)によって測定された液ガス熱交換器(25)の高温側の入口温度と、第2温度センサ(32)によって測定された液ガス熱交換器(25)の低温側の出口温度との温度差である。つまり、液ガス温度差ΔTは、液ガス熱交換器(25)における液冷媒の入口温度とガス冷媒の出口温度との温度差である。図9に示すように、液ガス熱交換器(25)において、液側流路(25a)の液冷媒は入口側から出口側へ向かうに従って温度が低下する一方、ガス側流路(25b)のガス冷媒は入口側から出口側へ向かうに従って温度が上昇する。そして、液側流路(25a)の液冷媒とガス側流路(25b)のガス冷媒の温度差は入口側から出口側に亘って一定である。
【0048】
実際の液ガス温度差ΔTが必要液ガス温度差ΔTminよりも大きい場合、決定部(43)は中間圧設定値Pmを上述した仮中間圧Pm1に決定する(ステップST46)。この場合は、図10に示す「ケース1」に該当し、ここでは必要液ガス温度差ΔTminを必要液ガス温度差ΔTmin1とする。冷凍サイクルの中間圧は上述したステップST2によって仮中間圧Pm1となっている。したがって、実際の液ガス温度差ΔTは冷凍サイクルの中間圧が仮中間圧Pm1のときの値である(図10に示すJ点)。実際の液ガス温度差ΔTが必要液ガス温度差ΔTmin1よりも大きいということは、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHが必要過熱度SHを満たしており、室内熱交換器(22)による暖房能力が必要暖房能力を満たしていることとなる。よって、この場合は、仮中間圧Pm1がそのまま中間圧設定値Pmとして設定される。これにより、必要暖房能力を満たしつつ、冷凍サイクルの成績係数が最大となる中間圧が設定される。
【0049】
この「ケース1」の場合、実際の液ガス温度差ΔTが必要液ガス温度差ΔTmin1よりも大きいため、室内熱交換器(22)による暖房能力が必要以上になっていることになる。そこで、仮に、図10に示すM点のように、中間圧設定値Pmを、必要液ガス温度差ΔTmin1に応じた値(仮中間圧Pm1よりも小さい値)に設定したとすると、必要暖房能力は満たされるが、冷凍サイクルの成績係数が低下する。そうなると、エネルギー効率の悪い運転を行うこととなる。これに対し、本実施形態では、最適なエネルギー効率で運転が暖房運転が行われる。
【0050】
実際の液ガス温度差ΔTが必要液ガス温度差ΔTmin以下である場合、決定部(43)は、液ガス温度差ΔTが必要液ガス温度差ΔTminより大きくなるまで仮中間圧Pm1をPm1+αの値に変更することを繰り返して(ステップST45)、その変更後の仮中間圧Pm1を中間圧設定値Pmとして設定する(ステップST46)。この場合は、図10に示す「ケース2」や「ケース3」に該当し、ここでは必要液ガス温度差ΔTminをそれぞれ必要液ガス温度差ΔTmin2、ΔTmin3とする。冷凍サイクルの中間圧は上述したステップST2によって仮中間圧Pm1となっている。したがって、実際の液ガス温度差ΔTは冷凍サイクルの中間圧が仮中間圧Pm1のときの値である(図10に示すJ点)。実際の液ガス温度差ΔTが必要液ガス温度差ΔTmin2やΔTmin31よりも小さいということは、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHが必要過熱度SHを満たしておらず、室内熱交換器(22)による暖房能力が必要暖房能力を満たしていないこととなる。よって、この場合、仮設定部(42)で設定された仮中間圧Pm1をそのまま中間圧設定値Pmとすると、冷凍サイクルの成績係数は最大となるが、必要暖房能力を満たさない中間圧が設定されることとなる。つまり、能力が不足した暖房運転が行われることとなる。
【0051】
そこで、本実施形態では、図10に示すK点(ケース2の場合)やL点(ケース3の場合)のように、中間圧設定値Pmが、必要液ガス温度差ΔTmin2やΔTmin3に応じた値に決定される。つまり、中間圧設定値Pmが、仮設定部(42)で設定された仮中間圧Pm1よりも大きい値(Pm1+α)に決定される。これにより、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHが必要過熱度SHを満たし、室内熱交換器(22)による暖房能力が必要暖房能力を満たす中間圧が設定される。そして、中間圧設定値Pmが仮設定部(42)で設定された仮中間圧Pm1よりも大きい値に設定されることで、冷凍サイクルの成績係数が最大ではなくなるが、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHが必要過熱度SHを満たす範囲の中で冷凍サイクルの成績係数が最大となる中間圧が設定される。これにより、必要暖房能力を満たしつつ、冷凍サイクルの成績係数が最適となる中間圧が設定される。
【0052】
以上のように、本実施形態の中間圧設定部(41)は、実際の液ガス温度差ΔTが、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHが必要過熱度SHを満たすための必要液ガス温度差ΔTmin以上となるように、且つ、ガスインジェクション量が、冷凍サイクルの成績係数が最適となる流量となるように、中間圧設定値Pmを決定する。
【0053】
−実施形態の効果−
本実施形態の冷媒回路(20)は、気液分離器(24)の中間圧のガス冷媒が、圧縮機(21)における圧縮途中の箇所へ流入するガスインジェクション管(2c)と、室外熱交換器(27)で蒸発して圧縮機(21)へ向かう低圧のガス冷媒が、気液分離器(24)から第2膨張弁(26)へ向かう中間圧の液冷媒と熱交換する液ガス熱交換器(25)とを備えている。したがって、充分な量のガス冷媒を圧縮機(21)へインジェクションさせることができると共に、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHを充分に獲ることができる。これによって、冷凍サイクルの成績係数(COP)の向上と、暖房能力の向上の両立を充分に図ることができる。
【0054】
また、本実施形態の中間圧設定部(41)は、実際の液ガス温度差ΔTが、圧縮機(21)の吸入冷媒の過熱度SHが必要過熱度SHを満たすための必要液ガス温度差ΔTmin以上となるように、且つ、ガスインジェクション管(2c)によってインジェクションされるガス冷媒が、冷凍サイクルの成績係数が最適となる流量となるように、中間圧設定値Pmを決定する。したがって、必要暖房能力を満たし、且つ、冷凍サイクルの成績係数が最適となる中間圧を設定することができる。これによって、必要能力を満たし、且つ、エネルギー効率の高い暖房運転を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、冷媒としてHFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン)から成る単一冷媒が用いられている。このHFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン)は、低温時において性能が低下する。つまり、この種の冷媒は、低温時に密度が極端に低下するため、冷媒回路(20)における冷媒循環量が不足してしまう。その結果、外気温度が比較的低いときには、必要暖房能力を満たすのが困難となる。ところが、本実施形態によれば、上述したように必要暖房能力を充分に満たすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明は、二段膨張式の冷凍サイクルを行う冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 空気調和装置(冷凍装置)
20 冷媒回路
21 圧縮機(圧縮機構)
22 室内熱交換器(利用側熱交換器)
23 第1膨張弁
24 気液分離器
25 液ガス熱交換器
26 第2膨張弁
27 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
41 中間圧設定部
42 仮設定部
43 決定部
45 弁制御部
2c ガスインジェクション管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構(21)と、利用側熱交換器(22)と、第1膨張弁(23)と、気液分離器(24)と、第2膨張弁(26)と、熱源側熱交換器(27)とが順に接続されて二段膨張式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えた冷凍装置であって、
上記冷媒回路(20)は、上記気液分離器(24)のガス冷媒が、上記圧縮機構(21)における圧縮途中の箇所へ流入するガスインジェクション管(2c)と、上記熱源側熱交換器(27)で蒸発して上記圧縮機構(21)へ向かうガス冷媒が、上記気液分離器(24)から上記第2膨張弁(26)へ向かう液冷媒と熱交換する液ガス熱交換器(25)とを備えている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の液ガス温度差が、上記利用側熱交換器(22)の必要加熱能力に応じた上記圧縮機構(21)の吸入冷媒の必要過熱度から求められる上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の必要液ガス温度差以上となるように、且つ、上記ガスインジェクション管(2c)の冷媒流量が、上記冷凍サイクルの成績係数が最適となる流量となるように、上記冷凍サイクルの中間圧を設定する中間圧設定部(41)と、
上記冷凍サイクルの中間圧が上記中間圧設定部(41)の設定値となるように、上記第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)の少なくとも一方を制御する弁制御部(45)とを備えている
ことを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記中間圧設定部(41)は、
上記圧縮機構(21)の吸入冷媒の必要過熱度に応じて予め定められた上記冷凍サイクルの成績係数が最大となる上記冷凍サイクルの中間圧の仮設定値を設定する仮設定部(42)と、
上記仮設定部(42)による仮設定値の設定後、上記圧縮機構(21)の吸入冷媒の過熱度が上記必要過熱度に達すると、上記液ガス熱交換器(25)におけるガス冷媒の入口温度および出口温度から、上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の必要熱交換量を算出し、該必要熱交換量から、上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の必要液ガス温度差を算出し、実際の上記液ガス熱交換器(25)の液冷媒とガス冷媒の液ガス温度が、上記必要液ガス温度差よりも大きい場合は上記仮設定部(42)の仮設定値を上記冷凍サイクルの中間圧の設定値とし、上記必要液ガス温度差以下である場合は該必要液ガス温度差に応じて予め定められた中間圧を上記冷凍サイクルの中間圧の設定値とする決定部(43)とを備え、
上記弁制御部(45)は、上記仮設定部(42)によって仮設定値が設定されると、上記冷凍サイクルの中間圧が上記仮設定値となるように上記第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)の少なくとも一方を制御し、上記決定部(43)によって設定値が決定されると、上記冷凍サイクルの中間圧が上記設定値となるように上記第1膨張弁(23)および第2膨張弁(26)の少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−53764(P2013−53764A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190430(P2011−190430)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)