説明

冷凍装置

【課題】圧縮機の起動回数を抑制しつつ、庫内の温度を精度良く制御する。
【解決手段】第1圧縮機、第1凝縮器、第1減圧器、第1蒸発器を第1冷媒配管で環状に接続した第1冷媒回路と、第2圧縮機、第2凝縮器、第2減圧器、第2蒸発器を第2冷媒配管で環状に接続した第2冷媒回路と、第1及び第2蒸発器が庫内を同時に冷却するように配置されている低温貯蔵庫内の温度を検出する温度センサと、検出温度が第1温度に達する都度第1及び第2圧縮機がともに運転されるように制御し、第1温度より低い第2温度に達する都度第1及び第2圧縮機が交互に運転されるように制御する第1制御装置と、第1温度に達する都度第1及び第2圧縮機が交互に運転開始されるとともに第2温度に達するまで運転継続されるように制御する第2制御装置と、検出温度に応じて第1及び第2制御装置の制御を切り替える第1切替装置と、を備えた冷凍装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機、凝縮器、減圧器、及び蒸発器を有する冷媒回路を2基備えた冷凍装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。2基の冷媒回路の夫々において、圧縮機から吐出された冷媒は、凝縮器で冷却されて液化した後に減圧器による減圧を経て蒸発器で蒸発することによって、例えば2つの蒸発器に共通して熱接触している低温貯蔵庫の庫内が冷却される。
【0003】
この冷凍装置は、庫内の温度を検出する温度センサを備えており、2基の冷媒回路夫々の圧縮機を、例えば以下のように制御する。即ち、2基の冷媒回路の一方又は双方の圧縮機を運転すると、温度センサの検出温度は、設定温度範囲の上限値から下限値に下降し、2基の冷媒回路の双方の圧縮機を停止させると、温度センサの検出温度は、設定温度範囲の下限値から上限値まで上昇する。このように、1台又は2台の圧縮機の運転と、2台の圧縮機の停止とを交互に行なうことによって、庫内の温度は設定温度範囲内に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−90917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した冷凍装置では、周囲温度の上昇等により庫内負荷がより大きくなった場合であっても庫内の温度を精度良く制御する(即ち、所定の設定温度範囲内に維持する)ためには、例えば、圧縮機を運転する期間ではこれを2台とも運転するとともに、2台とも停止させる期間をより短くすることによって、圧縮機を2台とも運転する期間の頻度(単位時間当たりの回数)を相対的に高める必要がある。
【0006】
しかし、この場合、圧縮機の起動回数が増えるために、リレー等の電装品の寿命が短くなるのみならず、起動電流を原因とする消費電力が増えるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための発明は、第1圧縮機、第1凝縮器、第1減圧器、第1蒸発器を第1冷媒配管で環状に接続し、冷却作用を得るために前記第1圧縮機から吐出された冷媒を前記第1凝縮器で凝縮させた後に前記第1蒸発器で蒸発させる第1冷媒回路と、第2圧縮機、第2凝縮器、第2減圧器、第2蒸発器を第2冷媒配管で環状に接続し、冷却作用を得るために前記第2圧縮機から吐出された冷媒を前記第2凝縮器で凝縮させた後に前記第2蒸発器で蒸発させる第2冷媒回路と、前記第1蒸発器及び前記第2蒸発器が庫内を同時に冷却するように配置されている低温貯蔵庫の前記庫内の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出温度が第1温度に達する都度、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機がともに運転されるように制御し、前記温度センサの検出温度が前記第1温度より低い第2温度に達する都度、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機が交互に運転されるように制御する第1制御装置と、前記温度センサの検出温度が前記第1温度に達する都度、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機が交互に運転開始されるとともに前記検出温度が前記第2温度に達するまで運転継続されるように制御する第2制御装置と、前記温度センサの検出温度に応じて前記第1制御装置及び前記第2制御装置の制御を切り替える第1切替装置と、を備えたことを特徴とする冷凍装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧縮機の起動回数を抑制しつつ、庫内の温度を精度良く制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態の冷凍装置の一例の正面図である。
【図2】図1の冷凍装置の側面図である。
【図3】本実施の形態の第1冷媒回路及び第2冷媒回路の一例の回路図である。
【図4】本実施の形態の第1冷媒回路及び第2冷媒回路の制御を司る制御回路の一例を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の冷凍装置が第1圧縮機及び第2圧縮機の2台の運転と1台の運転とを交互に繰り返す制御モードAにおけるマイクロコンピュータの処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態の冷凍装置が第1圧縮機及び第2圧縮機の1台の運転と2台の停止とを交互に繰り返す制御モードBにおけるマイクロコンピュータの処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態の冷凍装置が第1圧縮機及び第2圧縮機の一方の1台の運転と他方の1台の運転とを交互に繰り返す制御モードCにおけるマイクロコンピュータの処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】制御モードがAの場合の庫内の温度と第1圧縮機及び第2圧縮機の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【図9】制御モードがAからBへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機及び第2圧縮機の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【図10】制御モードがBからAへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機及び第2圧縮機の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【図11】制御モードがBからCへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機及び第2圧縮機の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【図12】制御モードがAからCへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機及び第2圧縮機の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
===冷凍装置の構成===
図1乃至図4を参照しつつ、本実施の形態の冷凍装置1の構成例について説明する。
尚、図1は、本実施の形態の冷凍装置1の一例の正面図である。図2は、図1の冷凍装置1の側面図である。図3は、本実施の形態の第1冷媒回路100及び第2冷媒回路200の一例の回路図である。図4は、本実施の形態の第1冷媒回路100及び第2冷媒回路200の制御を司る制御回路300の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1乃至図4に例示されるように、冷凍装置1は、略同一の2基の冷媒回路(第1冷媒回路100及び第2冷媒回路200)と、庫内の温度を検出する温度センサ307と、マイクロコンピュータ(第1制御装置、第2制御装置、識別装置、第1切替装置、第2切替装置、判別装置)310、圧縮機リレー(第1制御装置、第2制御装置)305a、305b、及びリレー(第1制御装置、第2制御装置)306a、306bとを備えている。
【0013】
尚、冷凍装置1は、図1及び図2に例示されるように、内箱5、外箱(断熱筐体)2、内扉51a、外扉(断熱扉)3、及び機械室4を更に備えており、同図の例示によれば、第1冷媒回路100及び第2冷媒回路200における後述する蒸発器153や熱交換器109、209等を除く殆どが機械室4に格納されている。
【0014】
内箱5は、例えば鋼板製の略直方体形状の箱であり、冷凍物や生体組織等の貯蔵対象を貯蔵するための例えば2つの貯蔵室51に分かれている。これら2つの貯蔵室51のそれぞれの正面開口には、例えば樹脂製の2つの内扉51aが所定のヒンジ(不図示)を介して開閉可能に設けられている。
【0015】
外箱2は、例えば鋼板製の略直方体形状の箱であり、機械室4及び内箱5を収容している。特に、内箱5と外箱2との間には、所定の断熱材(不図示)が充填されている。また、外箱2の正面開口には、貯蔵室51に対し貯蔵対象を出し入れするための外扉3がヒンジ33を介して開閉可能に取付けられている。外扉3は、内側に所定の断熱材(不図示)が充填された例えば鋼板製の略平板形状の中空体であり、その背面には、外箱2内の気密性を確保するためのパッキン34が設けられ、その正面には、例えば庫内(貯蔵室51内)の所望の温度を設定するためのキーや庫内の現在の温度を表示するためのディスプレイ等を有する操作パネル32が設けられている。
【0016】
尚、図1に例示されるハンドル31は、利用者等が外扉3の開閉操作をするためのものであり、外扉3が外箱2の正面開口を閉じた状態を固定及びこの固定を解除するための所定のロック機構(不図示)を有している。
【0017】
<<<冷媒回路>>>
第1冷媒回路100は、図3に例示されるように、第1圧縮機101と、プレコンデンサ102及びコンデンサ104(第1凝縮器)と、減圧器110(第1減圧器)と、第1蒸発器111とを備えて、第1圧縮機101から吐出された冷媒が再び同圧縮機101に戻るように所定の配管(第1冷媒配管)で環状に構成されている。また、第1冷媒回路100は、気液を分ける分流器107と、減圧器108及び熱交換器109とを更に備えている。更に、第1冷媒回路100は、オイルクーラ101aを第1圧縮機101内のオイル溜りに備え、配管103をプレコンデンサ102及びオイルクーラ101aの間に備え、デハイドレータ106をコンデンサ104及び分流器107の間に備え、緩衝器112を第1圧縮機101の吸込側及び熱交換器109の間に更に備えている。
【0018】
第1圧縮機101は、吸込んだ冷媒を圧縮してプレコンデンサ102に吐出する。
プレコンデンサ102は、第1圧縮機101から吐出される冷媒を放熱させるための例えば銅又はアルミニウム製の管を蛇行させたものである。コンデンサ104は、プレコンデンサ102から出力される冷媒を更に放熱させるための例えば銅又はアルミニウム製の管を蛇行させたものである。これらプレコンデンサ102及びコンデンサ104は、例えば同じ管板に一体に構成されている。尚、プレコンデンサ102及びコンデンサ104の近傍には、ファン105が、同コンデンサ102、104に同時に送風できるように配置構成されている。
【0019】
分流器107は、コンデンサ104から出力される冷媒を、液相の冷媒と、気相の冷媒とに分流し、液相の冷媒を減圧器108(キャピラリチューブ)に出力するとともに、気相の冷媒を熱交換器109の内側管109bに出力する。
【0020】
熱交換器109は、外側管109a及び内側管109bを有する例えば銅又はアルミニウム製の2重管であり、外側管109aにおいて減圧器108で減圧された液相冷媒が蒸発することによって、内側管109bを流れる気相冷媒を冷却する。
【0021】
減圧器110は、熱交換器109の内側管109bで冷却されて液相となった冷媒を減圧して第1蒸発器111に出力する例えばキャピラリチューブである。
【0022】
第1蒸発器111は、減圧器110によって減圧された冷媒を蒸発させるための例えば銅又はアルミニウム製の管であり、内箱5の正面開口を除く外面に熱的に接触するように貼付されている。冷媒が第1蒸発器111で蒸発(気化)する際の冷却作用によって庫内を冷却するようになっている。この蒸発して気相となった冷媒は、熱交換器109の外側管109aにて蒸発した先の冷媒とともに圧縮機101に吸い込まれる。
【0023】
尚、デハイドレータ106は、冷媒中に含まれる水分を除去する。また、緩衝器112は、キャピラリチューブ112a及び膨張タンク112bを有し、第1圧縮機101の吸込側における気相の冷媒を、キャピラリチューブ112aを介して膨張タンク112bに収容することによって、第1冷媒回路100を循環する冷媒の量を適正に保っている。
【0024】
第2冷媒回路200は、前述と同様に、第2圧縮機201と、プレコンデンサ202及びコンデンサ204(第2凝縮器)と、分流器207と、減圧器208及び熱交換器209と、減圧器210(第2減圧器)及び第2蒸発器211とを備えて、第2圧縮機201から吐出された冷媒が再び同圧縮機201に戻るように所定の配管(第2冷媒配管)で環状に構成され、前述と同様の冷媒が封入されている。また、第2冷媒回路200は、前述と同様に、オイルクーラ201aと、配管203と、デハイドレータ206と、緩衝器212とを更に備えている。ここで、熱交換器209は、外側管209a及び内側管209bを有する。また、緩衝器212は、キャピラリチューブ212a及び膨張タンク212bを有する。更に、プレコンデンサ202及びコンデンサ204の近傍には、ファン205が、同コンデンサ202、204に同時に送風できるように配置構成されている。
【0025】
尚、前述した配管103及び配管203は、図1及び図2の点線で例示されるように、互いに重ねてフレーム管151(第1圧縮機及び第1凝縮器の間の第1冷媒配管、第2圧縮機及び第2凝縮器の間の第2冷媒配管)として、外箱2の正面開口の周囲部分に対し内側から熱的に接触するように取り付けられている。この正面開口の周囲部分は、前述した外扉3を閉じた状態でパッキン34が密着する部分であり、この部分が、圧縮機101、201から吐出された高温の冷媒が流れるフレーム管151によって加温される。これにより、この正面開口の周囲部分の結露が防止されて、外箱2内の気密性が向上する。
【0026】
また、蒸発器153を構成する第1蒸発器111及び第2蒸発器211は、庫内を同時に冷却するように配置されている。つまり、第1蒸発器111及び第2蒸発器211の夫々は、図2に例示されるように、互いに重ならないように内箱5の正面開口を除く外面に対し熱的に接触するように貼付されている。
【0027】
<<<制御回路>>>
温度センサ307は、内箱5の内部又は外部の所定位置に取り付けられて、庫内の温度を検出するセンサである。温度センサ307は、図4に例示されるように、制御基板301と電気的に接続されており、庫内の検出温度を示す信号をマイクロコンピュータ310に出力する。
【0028】
マイクロコンピュータ310は、図4に例示されるように、制御基板301に搭載されており、例えば温度センサ307による検出温度に応じて第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転を制御するべく、CPU311と、ROM312と、RAM(識別装置)313とを備えている。ここで、CPU311は、このような制御に係る処理を実行し、ROM312は、CPU311がこのような処理を実行するためのプログラム等を記憶し、RAM313は、このような処理に必要なデータを記憶する。特に、RAM313は、第1圧縮機101及び第2圧縮機201のうちの一方のみが運転中である場合、運転中の圧縮機を示す情報にフラグ「1」を対応付けるとともに、停止中の圧縮機を示す情報にフラグ「0」を対応付けて記憶する。また、マイクロコンピュータ310は、庫内の検出温度の変化時間や圧縮機101、201の運転時間等を計時するタイマ314(第2タイマ)及びタイマ315(第1タイマ)を更に備えている。尚、制御基板301には、スイッチング電源302から電力が供給される。このスイッチング電源302には、3相の電源ケーブル303を通じて電力が供給される。
【0029】
圧縮機リレー305a及び圧縮機リレー305bは、図4に例示されるように、第1圧縮機101及び第2圧縮機201に夫々設けられており、対応する圧縮機101、201と3相の電源ケーブル303との電気的な接続又は遮断を行なうためのリレーである。
【0030】
リレー306a及びリレー306bは、図4に例示されるように、第1圧縮機101の圧縮機リレー305a及び第2圧縮機201の圧縮機リレー305bに夫々設けられており、マイクロコンピュータ310から出力される制御信号に基づいて、対応する圧縮機リレー305a、305bに前述した接続又は遮断の動作を行わせるためのリレーである。
【0031】
尚、本実施の形態の制御回路300では、手動の電源スイッチ304をオンにした時点で、第1圧縮機101及び第2圧縮機201に対して3相の電源ケーブル303を通じて電力が供給される。また、ファン105、205を夫々回転させるファンモータ105a、205aに対しては、マイクロコンピュータ310により制御される所定のリレー(不図示)を介し、3相の電源ケーブル303を通じて電力が供給される。
【0032】
===冷凍装置の動作===
図5乃至図12を参照しつつ、前述した構成を備えた冷凍装置1が庫内の検出温度に応じて第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転を制御する動作について説明する。
尚、図5は、本実施の形態の冷凍装置1が第1圧縮機101及び第2圧縮機201の2台の運転と1台の運転とを交互に繰り返す制御モード(後述する制御モードA)におけるマイクロコンピュータ310の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0033】
図6は、本実施の形態の冷凍装置1が第1圧縮機101及び第2圧縮機201の1台の運転と2台の停止とを交互に繰り返す制御モード(後述する制御モードB)におけるマイクロコンピュータ310の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図7は、本実施の形態の冷凍装置1が第1圧縮機101及び第2圧縮機201の一方の1台の運転と他方の1台の運転とを交互に繰り返す制御モード(後述する制御モードC)におけるマイクロコンピュータ310の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図8は、制御モードがAの場合の庫内の温度と第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【0036】
図9は、制御モードがAからBへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【0037】
図10は、制御モードがBからAへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【0038】
図11は、制御モードがBからCへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【0039】
図12は、制御モードがAからCへ切り替えられる場合の庫内の温度と第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転状態との関係を示すダイアグラムである。
【0040】
<<<制御モードA>>>
図5に例示されるように、マイクロコンピュータ310は、温度センサ307による検出温度Tが庫内の設定温度範囲の上限値(第1温度)(以後「T1」と称する)より低いか否かを判別する(S100)。検出温度TがT1より低いと判別した場合(S100:YES)、マイクロコンピュータ310は、ステップS100の処理を再度実行する。
【0041】
検出温度TがT1に達した(T1より低くはない)と判別した場合(S100:NO)、マイクロコンピュータ310は、第1圧縮機101及び第2圧縮機201の運転を開始する(S101)。圧縮機101、201が2台とも運転されている間、検出温度TはT1からT2に向かって下降する。尚、ここでは、例えば周囲温度が相対的に高いことに伴って庫内負荷が相対的に大きい場合を想定している。この場合、2台の圧縮機の運転によって、庫内温度はT1からT2に向かって下降するが、後述するように、1台のみの圧縮機の運転では、庫内温度はT2からT1に向かって上昇する。
【0042】
マイクロコンピュータ310は、検出温度Tが庫内の設定温度範囲の下限値(第2温度)(以後「T2」と称する)より高いか否かを判別する(S102)。検出温度TがT2より高いと判別した場合(S102:YES)、マイクロコンピュータ310は、ステップS102の処理を再度実行する。
【0043】
検出温度TがT2に達した(T2より高くはない)と判別した場合(S102:NO)、マイクロコンピュータ310は、タイマ314、315をリセットした後に計時を開始させ(S103)、RAM313においてフラグ「1」が対応付けられた運転中の一方の圧縮機(第1圧縮機101又は第2圧縮機201)を停止させ(S104)、RAM313において、運転中の他方の圧縮機にフラグ「1」を対応付けるとともに、停止中の圧縮機にフラグ「0」を対応付ける(S105)。2台の圧縮機101、201のうちの1台のみが運転されている間、検出温度TはT2からT1に向かって上昇する。
【0044】
マイクロコンピュータ310は、検出温度TがT2より低いか否かを判別する(S106)。検出温度TがT2以上であると判別した場合(S106:NO)、マイクロコンピュータ310は、検出温度TがT1より低いか否かを判別する(S109)。
【0045】
検出温度TがT1より低いと判別した場合(S109:YES)、マイクロコンピュータ310は、前述したステップS103で計時を開始したタイマ315による計時時間tが所定時間Yより長いか否かを判別する(S110)。尚、この所定時間Yは、庫内の温度が設定温度範囲内で安定したか否かを判別するための基準時間であり、具体的には、検出温度TがT1及びT2の間にある時間が所定時間Yより長い場合に、設定温度範囲内で庫内の温度が安定したと判別される。タイマ315による計時時間tが所定時間Y以下であると判別した場合(S110:NO)、マイクロコンピュータ310は、ステップS109の処理を再度実行する。
【0046】
検出温度TがT1に達した(T1より低くはない)と判別した場合(S109:NO)、マイクロコンピュータ310は、前述したステップS103で計時を開始したタイマ314による計時時間tが所定時間Xより短いか否かを判別する(S111)。尚、この所定時間Xは、例えば、故障していない1台の圧縮機(第1圧縮機101又は第2圧縮機201)の運転中に検出温度TがT2からT1まで上昇するのに要する基準時間である。
【0047】
タイマ314による計時時間tが所定時間X以上であると判別した場合(S111:NO)、マイクロコンピュータ310は、ステップS101の処理を再度実行する。
【0048】
タイマ314による計時時間tが所定時間Xより短いと判別した場合(S111:YES)、マイクロコンピュータ310は、フラグ「1」が対応付けられた運転中の圧縮機が故障している旨を例えば操作パネル32のディスプレイを通じて利用者等に報知し(S112)、ステップS101の処理を再度実行する。
【0049】
図8に例示されるように、前述したマイクロコンピュータ310の処理によって、時間tdの間、第1圧縮機101及び第2圧縮機201はともに運転されることにより、検出温度TはT1からT2まで下降する。
【0050】
次の時間tsの間、第2圧縮機201は運転されているが、第1圧縮機101は停止されているため、検出温度TはT2からT1まで上昇する。尚、ここでは、前述したように、運転中の第2圧縮機201にフラグ「1」が対応付けられているとともに、停止中の第1圧縮機101にはフラグ「0」が対応付けられている。
【0051】
次の時間tdの間、第1圧縮機101及び第2圧縮機201はともに運転されることにより、検出温度TはT1からT2まで下降する。
【0052】
次の時間tsの間、第1圧縮機101は運転されているが、第2圧縮機201は停止されているため、検出温度TはT2からT1まで上昇する。尚、ここでは、前述したように、先ず、フラグ「1」が対応付けられた第2圧縮機201が停止され、次に、運転中の第1圧縮機101にフラグ「1」が対応付けられるとともに、停止中の第2圧縮機201にはフラグ「0」が対応付けられる。
【0053】
以下同様に、検出温度TがT1に達する都度、第1圧縮機101及び第2圧縮機201がともに運転され、検出温度TがT2に達する都度、第1圧縮機101及び第2圧縮機201が交互に運転される(制御モードA)。つまり、制御モードAでは、図8に例示されるように、検出温度TがT1及びT2の間で、第1圧縮機101及び第2圧縮機201の双方の運転と一方のみの運転とが交互に繰り返され、当該一方のみの運転には、第1圧縮機101及び第2圧縮機201が交互に割り当てられる。これにより、例えば周囲温度の上昇等により庫内負荷がより大きくなった場合でも、圧縮機101、201が2台とも停止されている期間が無い分、2台とも運転する期間(td)の頻度を抑制することができる。また、1台のみを運転する期間(ts)の頻度を、各圧縮機101、201について同程度に維持できる。よって、圧縮機101、201の起動回数を抑制しつつ庫内の温度を精度良く制御できる上に、同圧縮機101、201間の劣化の偏りを防止できる。これは、冷凍装置1の寿命及びメインテナンス周期の長期化や、起動電流を原因とする消費電力の低減等につながる。尚、本実施の形態では、前述した圧縮機1台のみの運転に対し2台の圧縮機101、201を交互に割り当てるために、RAM313に記憶されるフラグ「0」又は「1」を通じて各圧縮機を識別している。このように1ビットのデータを用いた比較的コストのかからない構成によって、各圧縮機が効果的に識別される。
【0054】
また、制御モードAでは、図5のステップS111:YES及びS112に例示されるように、1台の圧縮機の運転中に検出温度TがT2からT1まで上昇するのに要する時間がその基準時間である所定時間Xよりも短いことを以って、当該1台の圧縮機が故障していると判別されるとともに、これが報知される。例えば、図8におけるT1及びT2の間の温度変化を示す折れ線のうち点線部分の時間ts’が他の部分の時間tsよりも短くなっているが、これは、第1圧縮機101の能力が低下したために同圧縮機101の運転中に庫内の温度上昇がより速くなったことを意味する。これにより、2台の圧縮機101、201のうちの一方が故障した時点でその旨が報知されるため、例えば、2つの冷媒回路100、200の冷却能力が或る程度維持されている間に、報知を受けた利用者等は故障した一方を特定するとともにこれを修理・交換することができる。また、このような故障判別は、2台の圧縮機101、201の夫々に対し圧力センサ等の診断用のセンサを別途設けることなく実現できる。よって、冷凍装置1の製造コストを抑制しつつ、その冷却能力の低下を抑制できる。
【0055】
尚、図5の例示では、マイクロコンピュータ310が圧縮機の故障を判別するにあたり、温度センサ307による検出温度TがT2からT1まで上昇するのに要する時間と、基準時間である所定時間Xとを比較するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、マイクロコンピュータ(演算装置、判別装置)310は、1台の圧縮機のみを運転する期間における検出温度の変化の割合(例えば(T1−T2)/ts)を求めて、これを基準となる割合と比較することによって故障を判別するものであってもよい。例えば、単位時間当たりの検出温度の上昇割合が、基準となる上昇割合よりも大きければ、該当する圧縮機は故障していると判別される。図8の例示では、時間ts’(<ts)における検出温度の上昇割合は(T1−T2)/ts’であり、時間tsにおける検出温度の上昇割合は(T1−T2)/tsであるため、より大きな値の前者に該当する第1圧縮機101は故障していると判別される。
【0056】
また、以上のような制御モードAの運転によって少なくとも1台の圧縮機101、201が常時運転されるため、前述したフレーム管151には高温の冷媒が常時流れて、外箱2の正面開口の周囲部分の結露は効果的に防止される。これにより、外箱2内の気密性がより一層向上する。
【0057】
<<<制御モードAからBへの切り替え>>>
前述した図5のステップS106において、検出温度TがT2より低いと判別した場合(S106:YES)、マイクロコンピュータ310は、検出温度TがT4(<T2)より高いか否かを判別する(S107)。
【0058】
検出温度TがT4より高いと判別した場合(S107:YES)、マイクロコンピュータ310は、ステップS107の処理を再度実行する。
【0059】
検出温度TがT4に達した(T4より高くはない)と判別した場合(S107:NO)、マイクロコンピュータ310は、フラグ「1」が対応付けられた運転中の圧縮機を停止させ(S108)、以下述べる制御モードBの処理を実行する。つまり、2台の圧縮機101、201の運転から1台の運転に切り替えられた後であっても、例えば周囲温度の下降等に伴って検出温度TがT2よりも低いT4(第4温度)まで下降してしまった場合、制御モードAから、圧縮機を2台とも停止させる制御モードBに切り替えられる。
【0060】
図6に例示されるように、マイクロコンピュータ310は、温度センサ307による検出温度TがT1より低いか否かを判別する(S200)。検出温度TがT1より低いと判別した場合(S200:YES)、マイクロコンピュータ310は、ステップS200の処理を再度実行する。前述したように、圧縮機101、201が2台とも停止されている間、検出温度TはT4からT1に向かって上昇する。
【0061】
検出温度TがT1に達した(T1より低くはない)と判別した場合(S200:NO)、マイクロコンピュータ310は、タイマ314、315をリセットした後に計時を開始させ(S201)、フラグ「0」が対応付けられた停止中の圧縮機(第1圧縮機101又は第2圧縮機201)の運転を開始し(S202)、この運転中の圧縮機にフラグ「1」を対応付けるとともに、停止中の圧縮機にフラグ「0」を対応付ける(S203)。2台の圧縮機101、201のうちの1台のみが運転されている間、検出温度TはT1からT2に向かって下降する。尚、ここでは、前述したように周囲温度が相対的に低いことに伴って庫内負荷が相対的に小さい場合を想定している。この場合、1台のみの圧縮機の運転によって、庫内温度はT1からT2に向かって下降し、2台の圧縮機の圧縮機の停止によって、庫内温度はT2からT1に向かって上昇する。
【0062】
マイクロコンピュータ310は、検出温度TがT1より高いか否かを判別する(S204)。検出温度TがT1以下であると判別した場合(S204:NO)、マイクロコンピュータ310は、検出温度TがT2より高いか否かを判別する(S206)。
【0063】
検出温度TがT2より高いと判別した場合(S206:YES)、マイクロコンピュータ310は、前述したステップS201で計時を開始したタイマ315による計時時間tが所定時間Yより長いか否かを判別する(S207)。尚、この所定時間Yは、前述したように、庫内の温度が設定温度範囲内で安定したか否かを判別するための基準時間である。この所定時間Yは、前述した所定時間Yと同じであってもよいし、異なっていてもよい。タイマ315による計時時間tが所定時間Y以下であると判別した場合(S207:NO)、マイクロコンピュータ310は、ステップS206の処理を再度実行する。
【0064】
検出温度TがT2に達した(T2より高くない)と判別した場合(S206:NO)、マイクロコンピュータ310は、フラグ「1」が対応付けられた運転中の圧縮機を停止させ(S208)、前述したステップS201で計時を開始したタイマ314による計時時間tが所定時間X’より長いか否かを判別する(S209)。尚、この所定時間X’は、例えば、故障していない1台の圧縮機の運転によって検出温度TがT1からT2まで下降するのに要する基準時間である。
【0065】
タイマ314による計時時間tが所定時間X’以下であると判別した場合(S209:NO)、マイクロコンピュータ310は、ステップS200の処理を再度実行する。
【0066】
タイマ314による計時時間tが所定時間X’より長いと判別した場合(S209:YES)、マイクロコンピュータ310は、フラグ「1」が対応付けられた運転中の圧縮機が故障している旨を例えば操作パネル32のディスプレイを通じて利用者等に報知し(S210)、ステップS200の処理を再度実行する。
【0067】
図9に例示されるように、前述したマイクロコンピュータ310の処理によって、時間tdの間、第1圧縮機101及び第2圧縮機201はともに運転されることにより、検出温度はT1からT2まで下降する(時間td)。
【0068】
次の時間ts’の間、第1圧縮機101は停止されているが、第2圧縮機201は運転されているため、検出温度TはT2からT4まで下降する。つまり、前述したように、2台の圧縮機101、201の運転から1台の運転に切り替えられた後であっても、例えば周囲温度の下降等に伴って検出温度TがT2よりも低いT4まで下降してしまう。尚、ここまでは、制御モードAの処理が行われている。また、ここでは、前述したように、運転中の第2圧縮機201にフラグ「1」が対応付けられているとともに、停止中の第1圧縮機101にはフラグ「0」が対応付けられている。
【0069】
次の時間tnの間、第1圧縮機101及び第2圧縮機201はともに停止されているため、検出温度TはT4からT1まで上昇する。尚、ここからは、制御モードBの処理が行われる。
【0070】
次の時間tsの間、第2圧縮機201は停止されているが、第1圧縮機101は運転されているため、検出温度TはT1からT2まで下降する。尚、ここでは、前述したように、先ず、フラグ「1」が対応付けられた第2圧縮機201が停止され、次に、運転中の第1圧縮機101にフラグ「1」が対応付けられるとともに、停止中の第2圧縮機201にはフラグ「0」が対応付けられる。
【0071】
次の時間tnの間、第1圧縮機101及び第2圧縮機201はともに停止されているため、検出温度TはT2からT1まで上昇する。
【0072】
次の時間tsの間、第1圧縮機101は停止されているが、第2圧縮機201は運転されているため、検出温度TはT1からT2まで下降する。尚、ここでは、前述したように、先ず、フラグ「1」が対応付けられた第1圧縮機101が停止され、次に、運転中の第2圧縮機201にフラグ「1」が対応付けられるとともに、停止中の第1圧縮機101にはフラグ「0」が対応付けられる。
【0073】
以下同様に、検出温度TがT1に達する都度、第1圧縮機101及び第2圧縮機201のいずれか一方が交互に運転開始され、検出温度TがT2に達するまでの間継続される(制御モードB)。つまり、制御モードBでは、図9に例示されるように、検出温度TがT1及びT2の間で、第1圧縮機101及び第2圧縮機201の一方のみの運転と双方の停止とが交互に繰り返され、当該一方のみの運転時には、第1圧縮機101及び第2圧縮機201が交互に割り当てられる。これにより、冷凍装置1を制御モードAで運転中に例えば周囲温度の下降等により庫内負荷がより小さくなった場合でも、制御モードBの運転に切り替えることによって、庫内の温度を精度良く制御できる。また、1台のみを運転する期間(ts)の頻度を、各圧縮機101、201について同程度に維持できる。よって、圧縮機101、201の起動回数を抑制しつつ庫内の温度を精度良く制御できる上に、同圧縮機101、201間の劣化の偏りを防止できる。これは、冷凍装置1の寿命及びメインテナンス周期の長期化や、起動電流を原因とする消費電力の低減等につながる。
【0074】
また、制御モードBでは、図6のステップS209:YES及びS210に例示されるように、1台の圧縮機の運転中に検出温度TがT1からT2まで下降するのに要する時間がその基準時間である所定時間X’よりも長いことを以って、当該1台の圧縮機が故障していると判別されるとともに、これが報知される。例えば、図9におけるT1及びT2の間の温度変化を示す折れ線のうち点線部分の時間ts”が他の部分の時間tsよりも長くなっているが、これは、第2圧縮機201の能力が低下したために同圧縮機201の運転中に庫内の温度降下がより遅くなったことを意味する。これにより、2台の圧縮機101、201のうちの一方が故障した時点でその旨が報知されるため、例えば、2つの冷媒回路100、200の冷却能力が或る程度維持されている間に、報知を受けた利用者等は故障した一方を特定するとともにこれを修理・交換することができる。また、このような故障判別は、2台の圧縮機101、201の夫々に対し圧力センサ等の診断用のセンサを別途設けることなく実現できる。よって、冷凍装置1の製造コストを抑制しつつ、その冷却能力の低下を抑制できる。
【0075】
尚、図6の例示では、マイクロコンピュータ310が圧縮機の故障を判別するにあたり、温度センサ307による検出温度TがT1からT2まで下降するのに要する時間と、基準時間である所定時間X’とを比較するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、マイクロコンピュータ(演算装置、判別装置)310は、1台の圧縮機のみを運転する期間における検出温度の変化の割合(例えば(T1−T2)/ts)を求めて、これを基準となる割合と比較することによって故障を判別するものであってもよい。例えば、単位時間当たりの検出温度の下降割合が、基準となる下降割合よりも小さければ、該当する圧縮機は故障していると判別される。図9の例示では、時間ts”(>ts)における検出温度の上昇割合は(T1−T2)/ts”であり、時間tsにおける検出温度の下降割合は(T1−T2)/tsであるため、より小さな値の前者に該当する第2圧縮機201は故障していると判別される。
【0076】
<<<制御モードBからAへの切り替え>>>
前述した図6のステップS204において、検出温度TがT1より高いと判別した場合(S204:YES)、マイクロコンピュータ310は、検出温度TがT3(>T1)より低いか否かを判別する(S205)。
【0077】
検出温度TがT3より低いと判別した場合(S205:YES)、マイクロコンピュータ310は、ステップS205の処理を再度実行する。
【0078】
検出温度TがT3に達した(T3より低くはない)と判別した場合(S205:NO)、マイクロコンピュータ310は、制御モードAの処理を実行する。つまり、2台の圧縮機101、201の停止から1台の運転に切り替えられた後であっても、例えば周囲温度の上昇等に伴って検出温度TがT1よりも高いT3(第3温度)まで上昇してしまった場合、制御モードBから、圧縮機を2台とも運転する制御モードAに切り替えられる。
【0079】
図10に例示されるように、最初の時間(ts”+tn+ts’)の間、冷凍装置1の運転は制御モードBで行われるが、そのうちの時間ts’の間では、第2圧縮機201が運転されているにもかかわらず、検出温度TはT3まで上昇している。そこで、これ以後、冷凍装置1の運転は制御モードAで行われる。これにより、冷凍装置1を制御モードBで運転中に例えば周囲温度の上昇等により庫内負荷がより大きくなった場合でも、制御モードAの運転に切り替えることによって、庫内の温度を精度良く制御できる。
【0080】
<<<制御モードBからCへの切り替え>>>
前述した図6のステップS207において、タイマ315による計時時間tが所定時間Yより長いと判別した場合(S207:YES)、マイクロコンピュータ310は、以下述べる制御モードCの処理を実行する。つまり、検出温度TがT1及びT2の間にある時間が所定時間Yより長いことを以って、庫内の温度が設定温度範囲内で安定したと判別される。
【0081】
図7に例示されるように、マイクロコンピュータ310は、タイマ315をリセットした後に計時を開始させ(S300)、フラグ「1」が対応付けられた運転中の一方の圧縮機を停止させるとともに、フラグ「0」が対応付けられた停止中の他方の圧縮機の運転を開始する(S301)。次に、マイクロコンピュータ310は、運転が開始された圧縮機にフラグ「1」を対応付けるとともに、停止された圧縮機にフラグ「0」を対応付ける(S302)。
【0082】
マイクロコンピュータ310は、前述したステップS300で計時を開始したタイマ315による計時時間tが所定時間Yに達したか否かを判別する(S303)。
【0083】
タイマ315による計時時間tが所定時間Yに達したと判別した場合(S303:NO)、マイクロコンピュータ310は、ステップS300の処理を再度実行する。
【0084】
図11の最初の時間帯ts”において検出温度TがT2に達することなくT1から緩やかに下降している間、第2圧縮機201の運転は、その運転時間が所定時間Yに達するまで(つまり、ts”=Yとなるまで)継続される。尚、ここでは、前述したように、運転中の第2圧縮機201にフラグ「1」が対応付けられているとともに、停止中の第1圧縮機101にはフラグ「0」が対応付けられている。
【0085】
第2圧縮機201の運転時間が所定時間Yに達すると、第2圧縮機201が停止されると同時に第1圧縮機101の運転が開始される。尚、ここでは、前述したように、先ず、フラグ「1」が対応付けられた第2圧縮機201が停止され、次に、運転中の第1圧縮機101にフラグ「1」が対応付けられるとともに、停止中の第2圧縮機201にはフラグ「0」が対応付けられる。
【0086】
以後、第1圧縮機101及び第2圧縮機201が所定時間Yごとに交互に運転される。これにより、1台のみを運転する期間の頻度を、各圧縮機101、201について同程度に維持できる。これは、冷凍装置1の寿命及びメインテナンス周期の長期化につながる。
【0087】
また、制御モードCでは2台の圧縮機101、201が交互に運転されるため、例えば前述した検出温度の変化等によって、故障した圧縮機の特定が容易となる。尚、制御モードCにおける各圧縮機101、201の運転時間は、前述した所定時間Yに限定されるものではなく、例えばこれと異なっていてもよい。
【0088】
一方で、ステップS303においてタイマ315による計時時間tが所定時間Yに達していないと判別した場合、マイクロコンピュータ310は、温度センサ307による検出温度Tが、先ず、T1より低いか否か(S304)、次に、T2より高いか否か(S305)を判別する。そして、検出温度TがT1に達したと判別した場合(S304:NO)、マイクロコンピュータ310は、図5のステップS100の処理を実行する。これは即ち、いずれか一方の圧縮機の運転だけでは冷凍能力が足りなくなったので、モードAに切り替えるものである。また、検出温度TがT2に達したと判別した場合(S305:NO)、マイクロコンピュータ310は、図6のステップS200の処理を実行する。これは即ち、いずれか一方の圧縮機の運転だけで冷凍能力が十分に足りているので、モードBに切り替えるものである。
【0089】
<<<制御モードAからCへの切り替え>>>
前述した図5のステップS110において、タイマ315による計時時間tが所定時間Yより長いと判別した場合(S110:YES)、マイクロコンピュータ310は、以下述べる制御モードCの処理を実行する。つまり、検出温度TがT1及びT2の間にある時間が所定時間Yより長いことを以って、庫内の温度が設定温度範囲内で安定したと判別される。
制御モードCの運転におけるマイクロコンピュータ310の処理の手順は、前述と同様である(図7参照)。
【0090】
図12の最初の時間帯ts”において検出温度TがT1に達することなくT2から緩やかに上昇している間、第1圧縮機101の運転は、その運転時間が所定時間Yに達するまで(つまり、ts”=Yとなるまで)継続される。尚、ここでは、前述したように、運転中の第1圧縮機101にフラグ「1」が対応付けられているとともに、停止中の第2圧縮機201にはフラグ「0」が対応付けられている。
【0091】
第1圧縮機101の運転時間が所定時間Yに達すると、第1圧縮機101が停止されると同時に第2圧縮機201の運転が開始される。尚、ここでは、前述したように、先ず、フラグ「1」が対応付けられた第1圧縮機101が停止され、次に、運転中の第2圧縮機201にフラグ「1」が対応付けられるとともに、停止中の第1圧縮機101にはフラグ「0」が対応付けられる。
【0092】
以後、第1圧縮機101及び第2圧縮機201が所定時間Yごとに交互に運転される。これにより、1台のみを運転する期間の頻度を、各圧縮機101、201について同程度に維持できる。これは、冷凍装置1の寿命及びメインテナンス周期の長期化につながる。
【0093】
また、制御モードCでは2台の圧縮機101、201が交互に運転されるため、例えば前述した検出温度の変化等によって、故障した圧縮機の特定が容易となる。尚、制御モードCにおける各圧縮機101、201の運転時間は、前述した所定時間Yに限定されるものではなく、例えばこれと異なっていてもよい。
【0094】
尚、以上述べたA、B、Cの制御モードについて、現在その何れが行なわれているかは、例えばRAM313において各モードに予め対応付けられたフラグ(例えば0、1、2)として記憶されている。マイクロコンピュータ310は、適時このフラグを参照するようになっている。
【0095】
===その他の実施の形態===
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
【0096】
前述した実施の形態では、第1圧縮機101及び第2圧縮機201の何れが運転中であるかを識別するために、RAM313において運転中の圧縮機を示す情報にフラグ「1」が対応付けられるとともに、停止中の圧縮機を示す情報にフラグ「0」が対応付けられて記憶されるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、圧縮機101、201に夫々設けられている圧縮機リレー305a、305b及びリレー306a、306bが接続又は遮断の何れの状態であるかを検出するための所定の手段を通じて、圧縮機101、201の運転状態を識別するものであってもよい。
【0097】
前述した実施の形態では、圧縮機101、201の故障を報知する手段として、操作パネル32のディスプレイが用いられたが、これに限定されるものではない。このような報知手段は、要するに、利用者等に何れの圧縮機が故障しているかを報知するための手段であれば、如何なるものであってもよい。
【0098】
前述した実施の形態では、2基の冷媒回路として、図3に例示される第1冷媒回路100及び第2冷媒回路200が用いられたが、これに限定されるものではない。各冷媒回路は、要するに、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を冷媒配管で環状に接続し、冷却作用を得るために圧縮機から吐出された冷媒を凝縮器で凝縮させた後に蒸発器で蒸発させる冷媒回路であれば、如何なるものであってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 冷凍装置 2 外箱 3 外扉 4 機械室 5 内箱
31 ハンドル 32 操作パネル 33 ヒンジ 34 パッキン
51 貯蔵室 51a 内扉 100 第1冷媒回路 101 第1圧縮機
101a オイルクーラ 102、202 プレコンデンサ
103、203 配管 104、204 コンデンサ 105、205 ファン
105a、205a ファンモータ 106、206 デハイドレータ
107、207 分流器 108、110、208、210 減圧器
109、209 熱交換器 109a、209a 外側管
109b、209b 内側管 111 第1蒸発器 112、212 緩衝器
112a、212a キャピラリチューブ 112b、212b 膨張タンク
151 フレーム管 153 蒸発器 200 第2冷媒回路
201 第2圧縮機 211 第2蒸発器 300 制御回路
301 制御基板 302 スイッチング電源 303 電源ケーブル
304 電源スイッチ 305a、305b 圧縮機リレー
306a、306b リレー 307 温度センサ
310 マイクロコンピュータ 311 CPU 312 ROM
313 RAM 314、315 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧縮機、第1凝縮器、第1減圧器、第1蒸発器を第1冷媒配管で環状に接続し、冷却作用を得るために前記第1圧縮機から吐出された冷媒を前記第1凝縮器で凝縮させた後に前記第1蒸発器で蒸発させる第1冷媒回路と、
第2圧縮機、第2凝縮器、第2減圧器、第2蒸発器を第2冷媒配管で環状に接続し、冷却作用を得るために前記第2圧縮機から吐出された冷媒を前記第2凝縮器で凝縮させた後に前記第2蒸発器で蒸発させる第2冷媒回路と、
前記第1蒸発器及び前記第2蒸発器が庫内を同時に冷却するように配置されている低温貯蔵庫の前記庫内の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出温度が第1温度に達する都度、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機がともに運転されるように制御し、前記温度センサの検出温度が前記第1温度より低い第2温度に達する都度、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機が交互に運転されるように制御する第1制御装置と、
前記温度センサの検出温度が前記第1温度に達する都度、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機が交互に運転開始されるとともに前記検出温度が前記第2温度に達するまで運転継続されるように制御する第2制御装置と、
前記温度センサの検出温度に応じて前記第1制御装置及び前記第2制御装置の制御を切り替える第1切替装置と、
を備えたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機が交互に運転される場合、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の何れが運転中であるのかを識別する識別装置、を備え、
前記第1制御装置は、前記温度センサの検出温度が前記第2温度に達する都度、前記識別装置の識別結果に基づいて、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機が交互に運転されるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記第2制御装置は、前記温度センサの検出温度が前記第1温度に達する都度、前記識別装置の識別結果に基づいて、前記温度センサの検出温度が前記第2温度に達するまでの期間、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機が交互に運転されるように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記第1切替装置は、前記温度センサの検出温度が前記第1温度より高い第3温度に達した場合、前記第2制御装置の制御から前記第1制御装置の制御へ切り替え、前記温度センサの検出温度が前記第2温度より低い第4温度に達した場合、前記第1制御装置の制御から前記第2制御装置の制御へ切り替える
ことを特徴とする請求項3に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の運転が交互に開始されると、前記温度センサの検出温度が前記第1温度及び前記第2温度の間の温度である時間を夫々計時する第1タイマと、
前記第1タイマの計時時間が所定時間を超えた場合、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の運転を切り替える第2切替装置と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の何れか一方が運転される場合、前記温度センサの検出温度が前記第1温度及び前記第2温度の一方から他方へ達するまでの時間を計時する第2タイマと、
前記第2タイマの計時結果に応じて前記何れか一方の圧縮機が故障であるか否かを判別する判別装置と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機の何れか一方が運転される場合、前記温度センサの検出温度の変化の割合を求める演算装置と、
前記演算装置の演算結果に応じて前記何れか一方の圧縮機が故障であるか否かを判別する判別装置と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記低温貯蔵庫は、断熱筐体と、前記断熱筐体の開口を開閉するための断熱扉とを有し、
前記第1圧縮機及び前記第1凝縮器の間の前記第1冷媒配管と、前記第2圧縮機及び前記第2凝縮器の間の前記第2冷媒配管とは、前記断熱筐体の開口の周囲に対し前記断熱筐体の内側から熱的に接触するように配置される
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−83441(P2013−83441A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−23040(P2013−23040)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2008−243064(P2008−243064)の分割
【原出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(592031097)パナソニックヘルスケア株式会社 (28)