説明

冷却および/または暖房装置

本発明は、暖房または冷却されるべき1つ以上のユニット(8a〜8c)の冷却および/または暖房装置(10、60)に関する。前記装置は、流入および帰還導管(14、16;68、70)とそれに接続される複数の回路(12a〜12c;32〜38、74〜78)を含む導管ネットワークとその導管ネットワーク中で熱伝達媒体または冷媒として働く流体の流量を調節または制御するために、通路の開度を調整するように構成される複数の弁(28、88、96)と、各回路に、放熱器または吸熱器(22)、熱交換器等の消費装置とを備える。本発明は、弁(28、88、96)が、その通路の開度を調節する制御ユニット(40)に接続され、かつ弁(28、88、96)が、個々の回路(12a〜12c;32〜8;74〜78)において流体圧のバランス制御を行うように、制御ユニット(40)により調整可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されたタイプの冷却および/または暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような冷却および/または暖房装置は、例えば、欧州特許出願公開第1207355号明細書により、公知であり、主供給ラインを備える少なくとも1つの建物用の導管ネットワークを特徴として備えている。
主供給ラインは、主流入導管と主帰還導管とを備える。
導管ネットワークにおいて、流体は、熱伝達媒体または冷媒として働く。
暖房回路、家庭用水回路および換気回路は分配ユニットに接続されて、それぞれ少なくとも1つの弁と、例えば、放熱器/吸熱器や熱交換器などの少なくとも1つの消費装置とを有する暖房/冷却区域を特徴付けられる。
これらの回路が接続された分配ユニットは、供給ユニットを構成する。
供給ユニットの上流側または下流側に配置される弁は、供給導管と帰還導管との圧力差の作用により制御される。
この差圧弁は、供給ユニットの供給導管と帰還導管との圧力差を安定させるので、供給ユニットの内部の圧力がほぼ一定に保つことができ、複数の供給ユニットが同じように作動するようになる。
【0003】
供給ユニットの内部の個々の回路は、同一または異なって構成されるいわゆる流体回路を形成する。
【0004】
また、欧州特許出願公開第1116921号明細書には、熱伝達媒体および/または冷媒を加熱および/または冷却するための装置と、媒体の熱を外部放出および/または外部の熱の冷媒への吸収を行う数台の熱交換器と、媒体を輸送するために熱交換器および加熱/冷却装置をそれぞれ接続する管路と、熱交換器ごとに割り当てられて熱交換器を流れる媒体の流量を調整するように働く弁とを備える建物用の室内空気調和装置が開示されている。
媒体の圧力を調整する装置は、媒体の圧力を変化させるためにも設けられる。
さらに、圧力センサが弁に割り当てられ、弁を調整するためのアクチュエータが設けられる。
媒体の圧力を調整する装置により、例えば、夜間のセットバックを中央で制御するために、中央制御での目標値を設定することが可能となる。
夜間のセットバックと昼間の設定との間で弁を切り換える信号は、所定の圧力変動の形式で、圧力センサに伝達される。
この目的のために、各圧力センサは媒体の圧力の作用により移動するセンサ素子を特徴として備え、センサ素子は、機械的、流体圧により、空気圧により、あるいは電気的に弁のアクチュエータと連結されて、弁を調整するために作用する。
この場合、弁は、温度調整弁の形式で設けられている。
これは、例えば、夜間のセットバックと昼間の設定との間で、媒体により信号線とは独立して弁を切り替え可能とすることが意図されており、温度目標値が中央で調整されるようになる。
【0005】
さらに、ドイツ特許出願公開第10057416号明細書には、1つ以上の建物内の部屋を暖房するセントラルヒーティングシステムが開示されており、このシステムは、流入導管および帰還導管を特徴として備える導管ネットワークから構成される。
複数の暖房区域は、供給および帰還導管により接続されており、室温を調節/制御するための弁と放熱器の形式の少なくとも1つの消費装置とをそれぞれ備えている。
この場合、各暖房区域は、暖房区域の供給または帰還導管内に配置される流量絞りを特徴として備えている。
これは、各暖房区域の弁において一定の圧力レベルを確保するように意図されている。
【0006】
弁において一定の圧力レベルに調整することを、流体圧のバランス制御という。
流体圧のバランス制御により、許容ノイズレベルを超えることなく動作条件が変化する状態の下で、導管ネットワーク中の水の分配を十分に確保することが可能となる。
刊行物「IKZ−Haustechnik」(Vol.13、p.48 ff.、1999)に記載された流体圧のバランス制御によれば、区域制御弁、流入レギュレータ、差圧レギュレータおよび制御された循環ポンプを用いることにより、システムにおいて水の分配を経済的に行なうことが可能となる。
この方法により、放熱器、熱交換器等のすべての消費装置に対して、例えば温度調整弁を同じ設定にして常時同一の流量となるよう必要なエネルギーが利用できる。
流体圧のバランス制御がなければ、エネルギー消費が増加するのに加えて、以下のような問題が起きる。
すなわち、部屋が所望の温度にならない、システムの構成部品がある時間だけ遅れて加熱される、部分配給モードにおいて室温が変動する、および弁でのノイズが大きくなる。
【0007】
放熱器/吸熱器は、最適な流量の熱伝達媒体または冷媒を受取った際にのみ機能を果たすことができる。
過度に低い流量では、暖房/冷却能力が低下する。
しかし、放熱器/吸熱器に過剰な量の流体を配給しても、暖房能力は比例して増加することはなく、熱放射がわずかに増加するのみである。
【0008】
流体圧のバランス制御を実現するために、弁を事前に調整すること、すなわち弁の通過開度を決定することが公知である。
この場合、弁はスロットルとして作動し、すべての暖房/冷却区域の全ての弁が完全に開放されている最大配給モードにおいて、すべての弁の上流側の圧力レベルが同じになる。
【0009】
しかし、追加の構造対策が必要であるため、流体圧のバランス制御を実現する公知の解決法は費用がかかる。
さらに、例えば流体圧のバランス制御は必要でない場合、部分配給モードにおいて、流量は弁、区域ゲートあるいは流量絞りにより制限される。
【0010】
このため、本発明は、請求項1の前提部に記載されたタイプの冷却および/または暖房装置をさらに発展させるという目的に基づいて、より簡単で効果的な解決法を創出し、特に部分配給モードにおける冷却および/または暖房装置の能力を向上させることにより前述の不都合を回避する。
【発明の開示】
【0011】
この目的は、請求項1の前提部の特性に関連して、その特徴部分に開示される特性により達成される。
【0012】
本発明をさらに優位に発展させるのが、従属請求項の目的である。
【0013】
本発明は、温度制御回路に関連して適用した場合、暖房または冷却すべきユニットの暖房および/または冷却要求を調節するために中央制御ユニットにより、弁、例えば二方向弁または三方向弁を簡単に調整するという考えに基づいて、ソフトウェアをわずかに変更することにより、各回路に既に設置されている弁を用いて要求に応じた流体圧のバランス制御を実現することが可能となる。
【0014】
本発明によれば、弁は、その開度を調整するための制御ユニットに接続される。
ここで、センサが個々の回路に設置されており、センサは、個々の回路間で流体圧のバランス制御が達成されるように、センサから制御ユニットに送信される信号に応じて弁を調整する制御ユニットの制御回路の一部を構成する。
この構成により、例えば、区域ゲートや流量絞り等の流体圧をバランスさせる手段を追加する必要がなくなるという非常に大きな優位性が得られる。
さらに、特に、流体圧のバランス制御に対する要求が比較的低い部分配給モードにおいて、弁はスロットルとして作動しないので、消費装置、即ち放熱器/吸熱器や熱交換器等などの暖房能力が著しく増加する。
【0015】
制御ユニットと連動するセンサを個々の回路中に設けて、制御ユニットとともに流体圧のバランス制御が必要かどうかを判断することにより、流体圧のバランス制御を自動的に行うことができる。
弁に対する制御信号が、センサから得られる情報に基づいて、暖房/冷却要求に応じて流体圧のバランス制御を開始するかまたは弁の開度を単に調整するかに対応づけられる。
【0016】
これに関して、センサは、様々な方法で回路内に配置可能である。
例えば、各1つのセンサを消費装置の上流側および下流側に設ける。
【0017】
センサは、温度センサおよび/または圧力センサの形式で実現可能である。
例えば、流体圧のバランス制御が必要かどうかの判定根拠として温度を用いる場合、放熱器/吸熱器あるいは熱交換器などの上流側及び下流側にセンサを配置することが好ましい。
【0018】
流体圧のバランス制御を開始するときシステムがオーバーシュートするのを避けるために、ある時間間隔で、かつ弁の開度調整の程度に関して所定の増分で、弁が調整される。
【0019】
本発明の優位性を十分発揮するために、弁以外にさらに流量絞りが導管ネットワークの各回路に設けられることはない。
【0020】
本発明の実施形態によれば、弁は、制御ユニットから制御信号を受信するサーボモータと連動し、サーボモータは、制御信号により決定される位置に弁のアクチュエータを移動させる。
【0021】
この場合、特に、弁は、完全に開放されている場合に、流量絞り/スロットルとして機能しないように操作される。
この方法により、導管ネットワーク中のポンプにより発生しかつ各導管断面により決定される流量を、弁の抵抗を受けることなく、暖房あるいは冷却のために使用することができる。
これにより、部分配給モードにおける冷却および/または暖房装置の能力が、著しく増加する。
測定により、能力が約30パーセント向上することが確認された。
【0022】
制御ユニットは、温度を制御するための第1の制御回路と、回路の流体圧のバランス制御を行うための第2の制御回路とを特徴として備えることが好ましい。
【0023】
この場合、制御ユニットは、その出力側に接続された最小値セレクタを特に備えているので、両方の制御回路から送信される1つ又は複数の弁に対する制御信号が最小値セレクタを経由して制御ユニットに供給され、異なる制御信号を受信される場合に弁を最小値の状態にする。
【0024】
本発明、即ち冷却および/または暖房装置のその他の優位性、特徴および可能な応用は、図面に例示された実施形態に関連して、以下の説明において開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面に例示された実施形態を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。
用語および符号の説明中に示されるそれぞれ割り当てられた参照符号は、明細書、特許請求の範囲、要約および図面において用いられる。
【0026】
図1は、熱源6を収納する地階の機械室4と、暖房する3つの階8a〜8c、即ち1階8a、2階8bおよび3階8cとを備える建物2の概略を示す。
建物2内に設置された3つの部分区域12a〜12cは、セントラルヒーティングシステム10の一部を構成し、第1の暖房回路として機能する。
部分区域12aは1階8aに設置され、部分区域12bは2階8bに設置され、部分区域12cは3階8cに設置される。
【0027】
各部分区域12a〜12cは、互いに個別に延びる流入導管18および帰還導管20を備える。
部分区域12a〜12cは、流入導管および帰還導管を有する垂直配管14および16により、熱源6に接続される。
【0028】
第2の暖房回路として機能する3つの暖房区域32〜36は、暖房される階8a〜8cのそれぞれの部分区域12a〜12cに接続される。
各暖房区域32〜36は、供給導管24により部分区域12a〜12cに割り当てられた流入導管18に接続されるとともに、帰還導管30により部分区域12a〜12cに割り当てられた帰還導管20に接続される。
最初の2つの暖房区域32および34はそれぞれ放熱器22のタイプの消費装置を1つ備えることを特徴としており、図示された第3の暖房区画36では2つの放熱器22が直列に配置されている。
部分区域12a〜12cの流入導管18および帰還導管20は、同じ導管直径である。
【0029】
各暖房区域32〜36の供給導管24に配置された弁28は、室温を調節するように機能し、アクチュエータ26によりそれぞれ作動させることが可能である。
【0030】
個々の暖房区域32〜36間の流体圧のバランス制御を達成する必要がある場合には、1つの温度センサ38が各放熱器22の上流側および下流側にそれぞれ配置される。
温度センサ38は、部分区域12c中の直列に接続された放熱器22にのみ設けられ、この場合、第3の暖房区域36では、この暖房区域36の最初の放熱器22の上流側および最後の放熱器22の下流側に温度センサ38が設けられている。
当然、部分区域12a〜12cの流入導管および帰還導管中にただ1つの温度センサ38を設けても、個々の部分区域12a〜12cの間の流体圧のバランス制御が十分もたらされるであろう。
【0031】
温度センサ38は、制御ユニット40と連動し、暖房区域32〜36または12a〜12cにおける流入温度及び帰還温度をそれぞれ配信する。
【0032】
サーボモータ26は、制御ユニット40により制御される。
温度センサ38、流体圧レギュレータ48を備える制御ユニット40、および弁28付きのサーボモータ26は、セントラルヒーティングシステム10の流体圧をバランス制御させるための制御回路の一部を構成する。
【0033】
別の温度レギュレータ46、サーボモータ26および弁28を有する制御ユニット40とともに、別の公知のセンサ42が設けられており、通常、階8a〜8cの部屋の温度を調節するための制御回路を構成する。
【0034】
例えば、弁28の大部分が開放されていると、セントラルヒーティングシステム10では、通常、熱伝達媒体の流速が異なる。
セントラルヒーティングシステム10においては、実質的に一定の流速は、流体圧のバランス制御回路により調整される。
流速が実質的に一定であるため、セントラルヒーティングシステム10の導管ネットワークの内部において、特に各暖房区域32の供給導管24および帰還導管30の内部、したがって弁28において、圧力変動が防止される。
結果として、互いに動作する弁28のヒステリシスは変化しない。
これにより、室温が等時的に制御されるという効果がもたらされる。
【0035】
図2は、温度制御と連動する流体圧のバランス制御の概略シーケンスを示すものであり、概要をより理解しやすく説明するために1つの部屋8および回路74〜78の制御のみを示している。
【0036】
温度制御は従来の方法で行われる。
すなわち、温度センサ42のような種類のセンサが温度レギュレータ46と連動する。
部屋8内の実際の温度Tistは、温度センサ42により温度レギュレータ46に送られる。
部屋8に対する所望の計画温度Tsollは、予め調整してあり、制御ユニット40に記憶されている。
計画温度Tsollは、制御ユニット40のメモリにより、温度レギュレータ46で利用可能である。
計画値/実際値の比較により、弁28のサーボモータ26に割り当てられた制御信号50がもたらされる。
例えば、暖房中に計画温度Tsollが実際の温度Tistより高い場合には、熱伝達媒体の流量およびそれによる部屋8の放熱器22の熱放射が増加するように、弁28を開放する必要がある。
【0037】
温度レギュレータ46に加えて、別の流体圧レギュレータ48が、階8a〜8cの流体圧のバランス制御、および階8aから階8cの間と同様に後述する回路74〜78の流体圧のバランス制御ために設けられる。
この場合、流入導管および帰還導管の各温度センサ38は、温度センサ38から送信される温度に基づき放熱器22の上流側と下流側の熱伝達媒体間の温度差または消費装置の上流側と下流側の熱伝達媒体間の温度差を決定する装置52に割り当てられる。
この温度差は、実際の差分温度Tist diffに相当する。
【0038】
計画差分温度Tsoll diffは、弁28の開度位置と流入導管温度の関数として放熱器22または消費装置の流入導管と帰還導管との間の予め調整された温度差に基づいて決定される。
計画値Tsoll diffには、ある許容範囲がある。
許容範囲は、動作状態にある消費装置の数、したがって動作中の放熱器22の数が増加するのに比例して減少する。
また、許容範囲は、動作状態にある消費装置の数、したがって動作中の放熱器22の数が減少するのに比例して増加する。
参照符号54は、流体圧レギュレータ48の流体圧のバランス制御信号を示す。
【0039】
差分温度の値Tist diffが許容範囲の値Tsoll diffの範囲内にあれば、制御信号54は、弁28の流路断面が100%開放される値に対応する。
差分温度の値Tist diffが許容範囲の値Tsoll dillの範囲外にあれば、制御信号54は、流体圧のバランス制御を確保する値、即ち、温度レギュレータ46の制御信号50の値よりも小さい値に対応する。
【0040】
このように、流体圧のバランス制御を達成するための流体圧レギュレータ48の制御信号54の値は、弁28の開放断面の100%に対応するか、あるいは温度レギュレータ46の制御信号50の値よりも小さいかのいずれかになる。
【0041】
次に、制御信号50および54は最小値セレクタ44に入力されて、制御信号50または54の低い方の値56のみが弁28のサーボモータ26に供給される。
【0042】
制御ユニット40は、オーバーシューティングを防止しながらシステムが過渡状態に入ることができるように、流体圧のバランス制御が徐々に調整されることを確実に行う。
【0043】
図3は、本発明の別の実施形態を概略的に示す。
この場合、弁96は区域ゲートとして機能し、さらに弁96は、流体圧のバランス制御を達成するために、図示しないサーボモータにより、これまで説明した弁28と同じように制御される。
ここで、参照符号88は、回路74中の弁であり、三方向弁のタイプのものが用いられる。
【0044】
図3は、中央式冷却および暖房システム60の一部を構成する供給ユニット58を示す。
平易にするために、1つの供給ユニット58だけが示されているが、冷却および暖房システム60は、図に示す供給ユニット58と同じように設計された数個の供給ユニット58からなり、それぞれの供給ユニット58が1つの建物に供給する。
【0045】
主供給ライン62は、主流入導管64および主帰還導管66を特徴として備えている。
分配ユニット72は、供給導管68および帰還導管70により、主供給ライン62に接続される。
分配ユニット72は、供給ユニット58の一部を構成する。
【0046】
さらに、供給ユニット58は、例えば、3つの回路74、76および78、即ち、換気回路74、暖房回路76および家庭用水回路78を備える。
3つの回路74、76および78のそれぞれは、流入導管80、ポンプ82および帰還導管84を特徴として備えている。
3つの回路74、76および78は、異なる流体回路を形成する。
しかし、3つの回路74、76および78は公知であるので、より詳細な説明は不必要であろう。
以下に、暖房回路76のみを例として説明する。
【0047】
暖房回路76として具体的に図示されているように、暖房回路は注入回路の形式で設けられ、複数の放熱器22を備えている。
弁28は、供給導管86中の各放熱器22に配置される。
放熱器22の供給導管86は暖房回路76の流入導管80に接続され、帰還導管90は暖房回路の帰還導管84に接続される。
【0048】
暖房回路76の流入導管80および帰還導管84は、機械的なスライド弁94が一体化されたバイパス92により互いに接続される。
スライド弁の位置は事前に調整されない、即ち、弁は完全に開放されており調整されていない。
【0049】
流量を調節するための、したがって流入温度を調節するための別の弁96が、バイパス92の下流側の暖房回路76の帰還導管84中に配置される。
前述の実施形態による流体圧のバランス制御は、弁96を調節/制御することにより、個々の回路74〜78間で達成される。
前述の制御ユニットと同じように実現される制御ユニット40と連動する温度センサ38は、この目的のために、流入導管80の内部および帰還導管84の内部に配置される。
【0050】
別の弁28も、必ずしも必要ではないが、流体圧のバランス制御を達成するために、供給導管86および帰還導管90中にセンサを備える。
回路74、76および78間において流体圧のバランス制御が達成されれば十分である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】複数階の建物中における本発明による暖房装置の概略回路図を示す。
【図2】従来の温度制御と関連した本発明による流体圧のバランス制御の概略シーケンスを示す。
【図3】各弁が区域ゲートとして機能を果たす本発明の別の実施形態を示す。
【符号の説明】
【0052】
2 建物
4 機械室
6 熱源
8 部屋
8a〜8c 階
10 セントラルヒーティングシステム
12a〜12c 部分区域
14 垂直流入導管
16 垂直帰還導管
18 部分区域の流入導管
20 部分区域の帰還導管
22 放熱器
24 暖房区域の供給導管
26 サーボモータ
28 弁
30 暖房区域の帰還導管
32 第1の暖房区域
34 第2の暖房区域
36 第3の暖房区域
38 温度センサ
40 制御ユニット
42 追加センサ
44 最小値セレクタ
46 温度レギュレータ
48 流体圧バランスレギュレータ
50 温度レギュレータのサーボモータ用制御信号
52 温度差を決定する装置
54 流体圧のバランス用制御信号
56 最小値セレクタ用制御信号
58 供給ユニット
60 中央式冷却および/または暖房装置
62 主供給ライン
64 主流入導管
66 主帰還導管
68 供給導管
70 帰還導管
72 分配ユニット
74 換気回路
76 暖房回路
78 家庭用水回路
80 回路流入導管
80a 回路流入導管の部分区域
82 ポンプ
84 回路帰還導管中の弁
86 放熱器の供給導管
88 弁
90 放熱器の帰還導管
92 バイパス
94 スライド弁
96 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の暖房または冷却ユニット(8a〜8c)と、流入導管および帰還導管(14、16;68、70)を有する導管ネットワークと、流入導管および帰還導管(14、16;68、70)に接続される複数の回路(12a〜12c;32〜38;74〜78)と、該回路(12a〜12c;32〜38;74〜78)を流れる流量を調整するために、各回路に設けられた少なくとも1つの弁(28、88、96)と、導管ネットワークにおいて熱伝達媒体または冷媒として働く流体と、各回路(12a〜12c;32〜38;74〜78)に設けられた少なくとも1つの消費装置(22)とを備える冷却および/または暖房装置(10、60)であって、
弁(28、88、96)は、弁(28、88、96)の通路の開度を調整するための制御ユニット(40)に接続され、センサ(38)は個々の回路(12a〜12c;32−38;74〜78)に設けられ、さらに該センサ(38)は、個々の回路(12a〜12c;32〜38;74〜78)の間の流体圧のバランス制御が達成されるように、前記センサ(38)から制御ユニットに送信される信号に応じて弁(28、88、96)を調整する制御ユニット(40)の制御回路の一部を構成することを特徴とする冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項2】
前記センサ(38)は、温度センサまたは圧力センサからなることを特徴とする請求項1に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項3】
各センサ(38)が消費装置(22)の上流側に設けられ、さらにもう1つのセンサ(38)が消費装置(22)の下流側に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項4】
前記流体圧のバランス制御は、ある時間間隔で、かつ弁(28、88、96)の通路の開度調整の程度に関して所定の増分で、制御ユニット(40)により調整されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項5】
前記回路(12a〜12c;32〜38;74〜78)に設けられた前記弁(28、88、96)は、該弁(28、88、96)の所定の調整範囲において回路(12a〜12c;32〜38;74〜78)の流量絞りとしてのみ機能することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項6】
前記導管ネットワークに設けられた前記弁(28、88、96)は、該弁(28、88、96)の所定の調整範囲において導管ネットワークの流量絞りとしてのみ機能することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項7】
前記弁(28、88、96)は、前記制御ユニット(40)からの制御信号(56)を受信して弁(28、88、96)のアクチュエータを該制御信号(56)に基づいて決定される位置に移動させるサーボモータ(26)と連動することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項8】
前記弁(28、88、96)は、その通路が完全に開放されている場合に、流量絞り/スロットルとして機能しないように設計されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項9】
前記制御ユニット(40)は、温度を調節するための第1の制御回路(42、46)と、回路の流体圧のバランス制御を調節するための第2の制御回路(38、48、52)とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。
【請求項10】
前記制御ユニット(40)は、制御回路(42、46;38、48、52)の出力に接続される最小値セレクタ(44)を備え、前記第1及び第2制御回路(42、46;38、48、52)から送信される1つ又は複数の弁(28、88、96)に対する制御信号(50、54)が最小値セレクタ(44)を経由して制御ユニット(40)に供給され、かつ別の制御信号を受信したときには弁(28、88、96)を最小値の状態に設定することを特徴とする請求項9に記載の冷却および/または暖房装置(10、60)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−532851(P2007−532851A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506776(P2007−506776)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051516
【国際公開番号】WO2005/098318
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(598011053)
【氏名又は名称原語表記】ALBERT BAUER
【Fターム(参考)】