説明

冷却装置、および冷却方法

【課題】雰囲気温度が上昇した場合であっても、良好な冷却効果を得ることのできる冷却装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための冷却装置は、熱伝達による冷却が成されるエアーフィンクーラ40の下部側に配置される冷却ファン12と、冷却ファン12により発生させた冷却風に混濁させる水滴を噴出させる微霧ノズル22と、微霧ノズル22から噴出させる水滴を、エアーフィンクーラ40に到達するまでに気化する粒径のものと、エアーフィンクーラ40に衝突付着後に気化する粒径のものにより構成したことを特徴とする。また、前記水滴における粒径の含有割合を制御する粒径制御手段を備えるようにすることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアーフィンクーラ等の熱伝達型の冷却機構を対象とした冷却装置、およびその冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアーフィンクーラのように、非接触で熱交換を行う熱伝達型の冷却機構における冷却装置としては、特許文献1や2に開示されているものが知られている。特許文献1に開示されている冷却装置は、エアーフィンクーラを基点として、下部側に冷却ファン、上部側にルーバーが設けられた構成である。エアーフィンクーラには、温度検出手段が設けられており、冷却ファンとルーバーの双方が、温度検出手段によって検出された温度に基づいて制御されるというものである。特許文献2に開示されている冷却装置は、エアーフィンクーラと、エアーフィンクーラの下部側に設けられた冷却ファンとの間に、移動型の電気ヒーターを設けた構成とされている。このような構成の冷却装置でも、エアーフィンクーラ内を流れる流動物の温度を検出する温度検出手段が設けられており、寒冷地などにおいて、エアーフィンクーラ内の流動物が低温固化した際には電気ヒーターを稼動させ、流動物の温度が上昇した際には冷却ファンを稼動させるように構成している。
【0003】
しかし、このような構成の冷却装置では、いずれもエアーフィンクーラに作用させている流体は、環境雰囲気における空気(単相流)である。このため、雰囲気温度が上昇した場合には、エアーフィンクーラに送られる気流の温度も高くなり、熱交換による冷却効率が低下する。このような事情を鑑みて特許文献3に開示されているような冷却装置が提案されている。
【0004】
特許文献3に開示されている冷却装置は、エアーフィンクーラと、エアーフィンクーラの下部側に設けられた冷却ファンとの間に、微小な水滴(霧)を噴霧する噴霧ノズルを設けたことを特徴とするものである。このような特徴を有する冷却装置によれば、噴霧ノズルから噴射された水滴は、冷却ファンからの冷却風に乗ってエアーフィンクーラへと向う。この際、水滴は、エアーフィンクーラに到達するまでに蒸発し、気化熱により雰囲気温度を降下させる。このため、エアーフィンクーラに作用する冷却風の温度が下がり、熱交換による冷却効率を良好に保つことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−249390号公報
【特許文献2】特開2006−145071号公報
【特許文献3】特開2002−122387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、特許文献3に開示されているような特徴を有する冷却装置であれば、従来に比べて冷却効果を高めることができると考えられる。しかし、冷却風によって運ばれる霧が、エアーフィンクーラに到達する前に蒸発する場合、気化熱により冷却風の温度を低下させることはできるが、気化熱によりエアーフィンクーラから直接熱を奪うことはできない。このため、雰囲気温度が上昇した場合には、十分な冷却効果を得ることができなくなってしまう虞がある。
【0007】
そこで本発明では、上記問題を解消し、雰囲気温度が上昇した場合であっても、良好な冷却効果を得ることのできる冷却装置、および冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するための本発明に係る冷却装置は、熱伝達による冷却が成される冷却対象物の冷却対象面に対向して配置される送風手段と、前記送風手段により発生させた冷却風に混濁させる水滴を噴出させる微霧ノズルと、前記微霧ノズルから噴出させる水滴を、前記冷却対象物に到達するまでに気化する粒径のものと、前記冷却対象物に衝突付着後に気化する粒径のものにより構成したことを特徴とする。
【0009】
また、上記のような特徴を有する冷却装置には、前記水滴における粒径の含有割合を制御する粒径制御手段を備えるようにすると良い。
このような構成とすることで、冷却対象物の温度に適した冷却作用を得ることが可能となる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する冷却装置では、前記送風手段は冷却ファンであり、前記微霧ノズルを前記冷却ファンの吸込み側に配置することができる。
このような構成とすることで、水滴が冷却ファンの回転により拡散される。これにより、より広範囲に水滴を噴霧することが可能となる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する冷却装置では、前記送風手段は冷却ファンであり、前記微霧ノズルを前記冷却ファンの噴出側と前記冷却対象物との間に配置することもできる。
このような構成とすることにより、水滴が冷却ファンに付着する虞が無い。
【0012】
また、上記のような特徴を有する冷却装置では、前記微霧ノズルにおける供給口には、水供給口と空気供給口が設けられ、噴出口からは、液滴と空気による二相流が噴出される構成とすると良い。
【0013】
このような構成とすることにより、空気の圧力差によって水滴の噴霧を行うことが可能となる。このため、水を圧送するためのポンプが不要となる。また、このような構成とした場合、空気の噴出圧力の調整によって、噴出させる水滴の粒径を微小なものとすることができる。このため、液体単相による噴霧に比べて水滴の粒径が小さく、気化効率が高い。よって、冷却ファンの吸い込み側に微霧ノズルを配置した場合であっても、冷却ファンに水滴が付着し難い。
【0014】
さらに、前記微霧ノズルは、1つの冷却ファンに対して複数配置することが望ましい。このような構成とすることにより、噴霧される水滴の偏りを抑制することが可能となる。
【0015】
さらにまた、前記冷却対象物はエアーフィンクーラであり、前記冷却ファンを前記エアーフィンクーラに対し、当該エアーフィンクーラ内を流れる流体の流れに沿って上流側から下流側にかけて複数設け、前記微霧ノズルは、下流側に設けた冷却ファンよりも上流側に設けた冷却ファンに数多く配置するように構成することが望ましい。このような構成とすることにより、温度の高い上流側ほど水滴の噴霧量を多くすることが可能となるからである。
【0016】
また、上記問題を解決するための本発明に係る冷却方法は、熱伝達による冷却が成される冷却対象物に対して冷却風を吹き付けることで冷却を成す冷却方法であって、前記冷却風に、前記冷却風が前記冷却対象物に到達する前に気化する粒径の水滴と、前記冷却風が前記冷却対象物に到達後に気化する粒径の水滴と、を混濁させたことを特徴とする。
【0017】
このような特徴を有する冷却方法では、前記冷却対象物をエアーフィンクーラとし、前記エアーフィンクーラ内を流れる流体の流れに沿って上流側と下流側を定め、前記エアーフィンクーラの上流側に、下流側よりも多くの前記水滴を噴霧するようにすると良い。
このようにすることで、温度の高い上流側ほど、多くの水滴を噴霧し、気化熱による冷却効果を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
上記のような特徴を有する冷却装置、および冷却方法によれば、雰囲気温度が上昇した場合であっても、良好な冷却効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る冷却装置の構成を示す側面図である。
【図2】第1の実施形態に係る冷却装置の構成を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態で用いるエアーフィンクーラの構成を示す平面図である。
【図4】実施形態に係る微霧ノズルの一例を示す断面図である。
【図5】実施形態に係る冷却装置を自動制御するための構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態に係る冷却装置の構成を示す側面図である。
【図7】微霧ノズルをノズルヘッダに設ける場合におけるノズルヘッダの配置構成を示す冷却ファンの平面図である。
【図8】ノズルヘッダと微霧ノズルの関係を示す側面図である。
【図9】ストレートタイプのノズルヘッダを用いる場合におけるノズルヘッダの配置構成を示す冷却ファンの平面図である。
【図10】ノズルヘッダとサポート、および微霧ノズルの関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の冷却装置および冷却方法に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態では、本発明に係る冷却装置による冷却対象物として、エアーフィンクーラを例に挙げて説明する。
【0021】
冷却対象物となるエアーフィンクーラ40は、被冷却物である流体を挿通させるためのパイプライン42と、このパイプライン42の外周に複数、並列に配置された冷却フィン44を有する熱交換器である。実施形態で使用するエアーフィンクーラ40は、図3に示すように、複数のパイプライン42を並列配置した構成としている。
【0022】
本実施形態に係る冷却装置10は、上述したエアーフィンクーラ40のような冷却対象物を冷却するための冷却ファン12と、微霧ノズル22とを基本として構成される。
【0023】
冷却ファン12は、エアーフィンクーラ40(冷却対象物)に冷却風を送るための送風機である。冷却ファン12は、ケーシング14とファン18、およびモータ20を基本として構成される。ケーシング14は、詳細を後述するファン18、およびモータ20を収容、固定するための枠体である。図1に示す例ではケーシング14に、冷却風の無用な拡散を防ぐためのフード16も設けている。ファン18は、回転により送風を成す羽であり、その具体的形状等については、種々選択が可能であり、種々既知の構成の羽を採用することができる。モータ20は、ファン18を回転させるための駆動源であり、図示しない電源に接続されている。
【0024】
微霧ノズル22は、霧を噴出する役割を担う。本実施形態の場合、微霧ノズル22は、冷却ファン12の下部側(吸込み側)に設けられ、冷却ファン12の吸込み流に乗って冷却ファン12からエアーフィンクーラ40へと噴出される。このような構成とすることで、微霧ノズル22から噴出された水滴が冷却ファン12の回転によって拡散される。これにより、水滴の偏り(例えば水滴の分布の偏り)が無くなり、微霧ノズル22からの直接の噴霧に比べ、広範囲への噴霧が可能となる。
【0025】
本実施形態に係る微霧ノズル22には図4に詳細を示すように、2つの供給口24a,26aと、1つの噴出口28aが設けられている。具体的には、供給口として、噴霧する水滴を構成する水を供給するための水供給口24aと、微霧ノズル22内に圧力差を作り出して、噴出する水滴の粒径を調整する空気を供給するための空気供給口26aとが設けられている。また、噴出口28aからは、霧状となった水(水滴)が噴出される。微霧ノズル22の形態について一例としては、図4に示すように、水供給口24aが設けられたノズル24と、噴出口28aを有するディフューザ28、および空気供給口26aが設けられたチャンバ26とを基本として構成される。チャンバ26は、ノズル24とディフューザ28との間に配置されており、空気供給口26aから供給された空気は、チャンバ26で圧縮されてディフューザ28へと流れ出る。これに対し、ノズル24からチャンバ26へと流入する水は、ディフューザ28へと流出する際に、チャンバ26内とディフューザ28内との圧力差により微霧(微小水滴)へと拡散されることとなる。
【0026】
このような構成の微霧ノズル22では、空気と水の割合により、噴出される水滴(微霧)の粒径φを異ならせることができる。具体的には、空気:水の割合が、6:4である場合には、噴出される水滴の粒径φが0<φ≦30μm程度となる。一方、空気:水の割合が、4:6となった場合には、噴出される水滴の粒径φは、30<φ≦90μm程度となる。このような粒径の水滴では、例えば粒径φが0より大きく、30μm以下の水滴は、微霧ノズル22から噴霧された後、エアーフィンクーラ40に到達する前に、空気中で気化されることとなる。一方、粒径φが30μmより大きく、90μm以下の場合水滴は、微霧ノズル22から噴霧された後、エアーフィンクーラ40に付着した後に気化される。このような空気と水の割合の調整は、例えば次のような構成により実現することができる。すなわち、微霧ノズル22におけるノズル24の水供給口24aの前段に、図示しない調整弁(粒径制御手段)を設けるようにすれば良い。空気の供給量(噴出圧力)を一定としておき、供給する(噴出させる)水の量を調整することで、上記のように空気と水の割合を制御することが可能となる。
【0027】
微霧ノズル22は、1つの冷却ファン12に対して、複数設けるようにすることが望ましい。冷却対象物の温度により、噴霧された水滴の気化時間は異なる。このため、気化時間に応じて最適な数の微霧ノズル22を配置することで、液滴の滴下を防ぎつつ、効果的に冷却効率の向上を図ることが可能となる。このため、図1、2に示すように、エアーフィンクーラ40の上流側から下流側に亙って複数の冷却ファン12を配置する場合には、上流側に配置される冷却ファン12に設ける微霧ノズル22の数を、下流側に配置される冷却ファン12に設ける微霧ノズル22の数より多くすると良い。熱交換により冷却が行われるエアーフィンクーラ40内を流れる流体は、上流側ほど温度が高い。このため、エアーフィンクーラ40の上流側の方が下流側に比べて、微霧ノズル22から噴霧された水滴の気化時間が早い。よって、設置する微霧ノズル22の数を増やして水滴の噴霧量を増やすことで、冷却効率を向上しつつ、水滴の滴り等を防止することができる。
【0028】
本実施形態のように、気流中に微小液滴(水滴)を懸濁した混相流によるミスト冷却は、単相流による冷却に比べて著しい伝熱促進をもたらすことが知られている。また、気流中における水滴の気化による冷却効果には限界があり、水滴径(噴霧する水の量)の制御により、冷却フィン44への水滴の付着を促すことで、冷却フィン44上での気化による冷却効果を得ることができ、冷却効果を飛躍的に向上させることができる。さらに、水滴付着による冷却フィン44(エアーフィンクーラ40)表面への液膜の形成は、冷却効果を得るための伝熱促進に効果的であるとして知られているが、錆の発生や作業環境を考慮すると、液膜形成後の液滴の滴下を抑制する必要がある。
【0029】
このため、環境条件を好適に保ち、錆等の不具合発生抑制を図り、かつ効果的な冷却を促すためには、mc=meとすることが望ましい。ここで、mcはエアーフィンクーラ40(冷却フィン44)に衝突捕集される水滴の質量(水の質量)であり、meは、エアーフィンクーラ40(冷却フィン44)から水滴が蒸発拡散する質量流束である。
【0030】
これらを考慮し、微霧ノズル22から噴出させる噴霧水量は、微霧ノズル22からエアーフィンクーラ40に到達するまでに気化することで冷却効果を得る、空気冷却のための噴霧水量maと、冷却フィン44に衝突捕集される噴霧水量mcに基づいて定めれば良い。なお、噴霧水量mcについては、微霧ノズル22から噴出された水滴のうち、エアーフィンクーラ40に衝突捕集される水量の割合x%も考慮する必要がある。
【0031】
よって、微霧ノズル22から噴出させる噴霧水量の総量は、
【数1】


として求めることができる。
【0032】
なお、1つの冷却ファン12に対して微霧ノズル22を複数配置する場合には、図2に示すように、ファン18の中心を基点として、放射状に配置することが望ましい。このような配置形態とすることで、噴霧された水滴の分布に偏りが生じないからである。
【0033】
このような基本構成を有する冷却装置10を自動化する場合、次のような構成とすると良い。すなわち、温度検出手段32と、流量制御手段(粒径制御手段)34、及び噴霧量制御手段30を備えるようにすれば良い。具体的には、温度検出手段32とは、エアーフィンクーラ40内を流れる流体の温度を検出するための手段であれば良い。具体的には、熱電対など、検出温度を電気信号として出力可能な手段であると良い。温度検出手段32は、その温度検出部をエアーフィンクーラ40の内部に配置すると共に、詳細を後述する噴霧量制御手段30に対して検出信号を出力可能に接続する。温度検出部の配置位置は、エアーフィンクーラ40を構成するパイプライン42内部、あるいはパイプライン42外周部とすることができるが、望ましくはパイプライン42内部における上流側とすると良い。冷却前の流体温度に基づいて噴霧量(噴霧水量および水滴の粒径)の調整を行うことが望ましいからである。
【0034】
流量制御手段34は、ノズル24に供給する水の量を調整するための手段であり、例えば、比例制御弁など、電気信号に基づいて通水量を制御可能な手段であれば良い。流量制御手段34は、微霧ノズル22におけるノズル24の前段における給水経路に配置すると共に、噴霧量制御手段30に対して電気的に接続する。このような構成とすることで、噴霧量制御手段30からの出力信号に応じて、ノズル24に供給する水の通水量を調整することが可能となる。
【0035】
噴霧量制御手段30は、前述した温度検出手段32によって検出された温度(温度を示す電気信号)に基づいて、微霧ノズル22から噴霧される微霧の粒径および水量を定め、流量制御手段34に対して制御信号を出力する役割を担う。なお、微霧(水滴)の粒径割合については、複数の微霧ノズル22単位で、粒径の大小等を定めるようにすれば良い。噴霧量制御手段30は、少なくとも記憶部38と、演算部36を備えている。記憶部38は、詳細を後述する演算部36による演算に用いる各種データを記憶する役割を担う。記憶部38には、例えば、検出温度に基づく流量制御手段34の制御割合や、検出温度に応じた微霧の粒径(小粒径と大粒径)の混合割合などが記憶されている。演算部36は、温度検出手段32によって検出された温度に相当する電気信号に基づいて、記憶部38から流量制御手段34の制御割合を導き出し、制御割合に応じた制御をするための制御信号を算出する。なお、算出された制御信号は、流量制御手段34へと出力される。
【0036】
このような構成の冷却装置10では、まず、温度検出手段32により、エアーフィンクーラ40内の流体の温度が検出される。検出された温度は、電気信号として噴霧量制御手段30に入力される。噴霧量制御手段30は、入力された検出温度に応じた流量制御手段34への制御信号を導き出し、これを制御信号として流量制御手段34へと出力する。噴霧量制御手段30からの制御信号を受けた流量制御手段34は、制御信号に基づいて流路の開閉を行い、ノズル24に供給する水の通水量を制御する。
【0037】
このような制御を行うことにより、エアーフィンクーラ40内の流体温度に応じた噴霧量制御が可能となる。これにより、高い冷却効率を実現しつつ、エアーフィンクーラ40からの水滴の滴りを防ぎ、錆の発生などの劣化を防ぐことも可能となる。
【0038】
次に、本発明の冷却装置に係る第2の実施形態について、図6を参照して説明する。本実施形態に係る冷却装置の殆どの構成は、上述した第1の実施形態に係る冷却装置と同様である。よって、その機能を同一とする箇所には、図面に同一符号を付して、詳細な説明を省略することとする。
【0039】
本実施形態に係る冷却装置10aと、第1の実施形態に係る冷却装置10との相違点は、微霧ノズル22の配置形態にある。具体的には、第1の実施形態に係る冷却装置10における微霧ノズル22は、冷却ファン12の吸込み側(下部側)に配置されていた。これに対し、本実施形態に係る冷却装置10aにおける微霧ノズル22は、エアーフィンクーラ40と冷却ファン12を構成するファン18との間に設けられている。このような構成とすることで、冷却ファン12を構成するファン18に水滴が付着することを防止することができる。
【0040】
なお、第1の実施形態のように、微霧ノズル22を冷却ファン12の吸込み側に配置された場合であっても、冷却ファン12を構成するファン18に付着した水滴は、遠心力の作用により外周側へ弾き飛ばされることとなる。このため、ファン18の中心に回転軸を持つモータ20に水滴が付着するようなことは無い。
【0041】
また、微霧ノズル22を冷却ファン12の吸込み側に配置した場合において、ファン18自体に水滴が付着することを嫌う場合であっても、次のような理由から問題を解消することができる。すなわち、本実施形態のように、気液混層流により水滴を噴出する微霧ノズル22を採用した場合、空気の噴出圧力の調整によって、噴出させる水滴の粒径を微小なものとすることができる。このため、液体単相による水滴の噴霧に比べて水滴が小さく、気化効率が高い。よって、上述したような粒径調整を行うことによって、冷却ファン12に水滴が到達する前に気化させることが可能となり、ファン18に水滴を付着させないことが可能となるのである。この場合には、エアーフィンクーラ40に付着した水滴が気化することによる冷却効果は期待することができなくなるが、冷却状態や使用状況、作業環境等を考慮の上、微霧ノズル22からの噴霧状態を適宜選択することに支障は無い。
【0042】
このような構成であっても、上述した第1の実施形態に係る冷却装置10と同様に、高い冷却効果を得ることができると共に、液滴の滴下等、作業環境の改善を図ることが可能となる。
【0043】
上記実施形態では、微霧ノズルの形態を単体とし、複数の微霧ノズルを配管により接続するように示している。しかしながら、図7、図8に示すように微霧ノズル22をノズルヘッダ21に設けるように構成し、配管の簡略化を図るようにしても良い。なお、図7は、冷却ファン12に対するノズルヘッダ21の配置形態を示す平面図であり、図8は、ノズルヘッダ21と微霧ノズル22との関係を示す側面図である。
【0044】
また、図7では、平面形態が円環状のノズルヘッダ21を同芯円上に配置するように示したが、ノズルヘッダ21の配置形態としては、図9に示すように、ストレートタイプのものを放射状に配置するようにしても良い。なお、図10は、ノズルヘッダ21と微霧ノズルの関係を示す断面図である。
【0045】
また、上記実施形態では、微霧ノズル22に対して、水と空気の両方を供給することで、微霧(水滴)を精製していた。しかしながら、微霧の形成に関してはこうした手段に限らず、水の供給のみによって精製しても良い。すなわち、ノズル24に対して水を圧送し、水がディフューザ28から放出される際の圧力差を利用して、水を微小水滴として拡散放出するようにすれば良いのである。このような手段を採用する場合には、空気の供給経路を排除する替わりに、水を圧送するためのポンプを設けるようにすれば良い。このような構成とした場合、冷却ファン12の周囲に設ける配管類が単純化され、メンテナンス性の向上を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上記実施形態では、冷却対象物としてエアーフィンクーラを例に挙げて説明した。しかしながら、本発明に係る冷却装置における冷却対象物はエアーフィンクーラに限定されるものでは無い。例えば、ロータリーキルンなど、内部からの熱伝達により外部の冷却を行うことが可能な加熱炉などであれば、本発明に係る冷却装置の冷却対象物として適用することが可能であり、本発明に係る冷却方法を実施することができる。
【0047】
また、実施形態で示した冷却装置においては、冷却ファンは、冷却対象物であるエアーフィンクーラの下部側に配置する構成として示したが、これは本発明に係る冷却装置の一例であり、冷却ファンと冷却対象物との関係は、冷却対象物の冷却対象面に冷却ファンからの送風(冷却風)が到達するように、冷却対象面に冷却ファンが対向して配置されていれば良い。
【符号の説明】
【0048】
10,10a………冷却装置、12………冷却ファン、14………ケーシング、16………フード、18………ファン、20………モータ、21………ノズルヘッダ、22………微霧ノズル、23………サポート、24………ノズル、24a………水供給口、26………チャンバ、26a………空気供給口、28………ディフューザ、28a………噴出口、30………噴霧量制御手段、32………温度検出手段、34………流量制御手段、36………演算部、38………記憶部、40………エアーフィンクーラ、42………パイプライン、44………冷却フィン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達による冷却が成される冷却対象物の冷却対象面に対向して配置される送風手段と、
前記送風手段により発生させた冷却風に混濁させる水滴を噴出させる微霧ノズルと、
前記微霧ノズルから噴出させる水滴を、前記冷却対象物に到達するまでに気化する粒径のものと、前記冷却対象物に衝突付着後に気化する粒径のものにより構成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記水滴における粒径の含有割合を制御する粒径制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記送風手段は冷却ファンであり、
前記微霧ノズルを前記冷却ファンの吸込み側に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記送風手段は冷却ファンであり、
前記微霧ノズルを前記冷却ファンの噴出側と前記冷却対象物との間に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記微霧ノズルにおける供給口には、水供給口と空気供給口が設けられ、噴出口からは、液滴と空気による二相流が噴出される構成としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記微霧ノズルは、1つの冷却ファンに対して複数配置したことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却対象物はエアーフィンクーラであり、
前記冷却ファンを前記エアーフィンクーラに対し、当該エアーフィンクーラ内を流れる流体の流れに沿って上流側から下流側にかけて複数設け、
前記微霧ノズルは、下流側に設けた冷却ファンよりも上流側に設けた冷却ファンに数多く配置したことを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項8】
熱伝達による冷却が成される冷却対象物に対して冷却風を吹き付けることで冷却を成す冷却方法であって、
前記冷却風に、前記冷却風が前記冷却対象物に到達する前に気化する粒径の水滴と、
前記冷却風が前記冷却対象物に到達後に気化する粒径の水滴と、を混濁させたことを特徴とする冷却方法。
【請求項9】
前記冷却対象物をエアーフィンクーラとし、
前記エアーフィンクーラ内を流れる流体の流れに沿って上流側と下流側を定め、
前記エアーフィンクーラの上流側に、下流側よりも多くの前記水滴を噴霧することを特徴とする請求項8に記載の冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−64578(P2013−64578A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204857(P2011−204857)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(394010193)宇部テクノエンジ株式会社 (37)
【出願人】(593124059)西部石油株式会社 (1)