説明

冷却装置、該冷却装置を用いた照明装置、該照明装置を用いた植物育成装置及び冷却方法

【課題】熱源を効率よく冷却するとともに、冷却した後の廃熱を有効に利用することができる冷却装置、該冷却装置を用いた照明装置、該照明装置を用いた植物育成装置及び冷却方法を提供する。
【解決手段】光源ユニット30などの熱源を冷却する冷却ユニット50は、入口管51及び出口管52を有し、入口管51には、室外及び室内からそれぞれ空気を吸気する室外吸気口11及び室内吸気口12を連通してある。また、出口管52には、室外及び室内へそれぞれ空気を排気する室外排気口21及び室内排気口22を連通してある。吸気切替バルブ13は、吸気を室外吸気口11又は室内吸気口12のいずれかに切り替える。排気切替バルブ23は、排気を室外排気口21又は室内排気口22のいずれかに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源を冷却するための冷却装置を備え、該冷却装置を用いた照明装置、該照明装置を植物を育成するために用いた植物育成装置及び冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食料市場、特に生鮮野菜市場の規模が増加しつつある。一方で、気候変動、農業就業人口の減少や農家の高齢化、食料自給率の低下、産地偽装などが顕著になり、食の安全、安心が重大な関心事になってきている。
【0003】
このような状況において、無農薬野菜の提供、野菜等の生産品のトレーサビリティ向上、安定的な生産と供給の実現、食料自給率の向上などを図るため、いわゆる植物工場への期待が高まりつつある。従来の植物工場では、例えば、蛍光灯や高圧ナトリウムランプの光を植物に照射して植物を育成する。
【0004】
一方、植物に光を照射する光源装置からの発熱により栽培室の温度制御が困難になる場合もあった。そこで、例えば、内室と外室との二重構造とし、内室と外室との間に外気を導入し、内室壁を介して導入した空気と内室の空気との熱交換を行うことにより、光源装置で発生する熱の除去を空気調和機以外によっても行うことができる植物栽培室が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−24947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の植物栽培室にあっては、栽培室の外から取り入れた空気を単に栽培室の外へ排出するものであるので、熱交換後の空気を利用するものではない。そこで、熱交換後の廃熱を有効に利用することが望まれていた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、熱源を効率よく冷却するとともに、冷却した後の廃熱を有効に利用することができる冷却装置、該冷却装置を用いた照明装置、該照明装置を用いた植物育成装置及び冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る冷却装置は、室内に設置した熱源を、媒体を用いて冷却する冷却部を備えた冷却装置において、前記冷却部は、少なくとも室内又は室外の温度に応じて、前記熱源を冷却した後の媒体を排出する排出部を制御してなることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、冷却部は、少なくとも室内又は室外の温度に応じて、熱源を冷却した後の媒体を排出する排出部を制御する。すなわち、熱源を冷却した後の媒体(例えば、空気、二酸化炭素、水など)の排出を室内又は室外のいずれかに切り替えるよう制御する。これにより、例えば、室外の温度や室内の温度などの状況に応じて、熱交換後の媒体を室内又は室外に排出して室温調整のための空調ユニット(空調装置)の負荷の低減又は廃熱の有効利用などを図ることができる。
【0010】
本発明に係る冷却装置は、前記排出部は、前記冷却した後の媒体を室内若しくは室外へ排出すべく切り替える第1の切替部を備えてなることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、第1の切替部は、冷却した後の媒体を室内若しくは室外へ排出すべく切り替える。例えば、冷却部からの媒体の温度が室温より低い場合には、媒体を室内に循環させて、例えば、室温を下げるべく空調装置の負荷を低減することができ、あるいは液肥の温度を上げるために利用することができる。また、冷却部からの媒体の温度が室温より高い場合には、媒体を室外に排出して廃熱利用を図ることができる。
【0012】
本発明に係る冷却装置は、室内の温度を検知する第1の温度センサと、室内の温度を設定する設定部とを備え、前記第1の切替部は、少なくとも室内の温度が設定温度よりも低いときは、前記冷却した後の媒体を室内へ排出すべく切り替えてなることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、室内の温度を検知する第1の温度センサと、室内の温度を設定する設定部とを備える。第1の切替部は、少なくとも室内の温度が設定温度よりも低いときは、冷却した後の媒体を室内へ排出すべく切り替える。これにより、迅速に所望の切り替え状態に移行させることができる。
【0014】
本発明に係る冷却装置は、前記冷却部は、室内及び室外の温度に応じて、前記媒体を取り入れる取入部を制御してなることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、冷却部は、室内及び室外の温度に応じて、媒体を取り入れる取入部を制御する。これにより、例えば、室外の温度や室内の温度などの状況に応じて、低い温度の空気を冷却部に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。
【0016】
本発明に係る冷却装置は、前記取入部は、室内又は室外から前記媒体を取り入れるべく切り替える第2の切替部を備えてなることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、第2の切替部は、室内又は室外から媒体を取り入れるべく切り替える。これにより、室外の温度及び室内の温度に応じて、低い温度の空気を冷却部に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。
【0018】
本発明に係る冷却装置は、室外の温度を検知する第3の温度センサを備え、前記第2の切替部は、室内の温度と室外の温度とを比較し、低い温度を示す側から前記媒体を取り入れるべく切り替えてなることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、第2の切替部は、室内の温度と室外の温度とを比較し、低い温度を示す側から媒体を取り入れるべく切り替える。例えば、室外の温度が室内の温度より高い場合、室内から媒体(例えば、空気など)を取り入れるように切り替える。これにより、外気温よりも低い温度の室内の媒体を冷却部に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。
【0020】
本発明に係る照明装置は、前述のいずれか1つの発明に係る冷却装置を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、冷却装置を備えることにより、照明装置内の光源などの熱源を冷却することができる。
【0022】
本発明に係る植物育成装置は、前述の発明に係る照明装置からの光を、植物に照射するように構成してなることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、照明装置からの光を、植物に照射する。これにより、例えば、室内(育成室内、栽培室内)の熱源である照明装置を効率よく冷却するとともに、熱交換後の廃熱を有効利用して植物を育成することができる。
【0024】
本発明に係る植物育成装置は、植物育成設備を備える植物育成装置において、育成室内に設けられ、入口管及び出口管を有する冷却装置と、該冷却装置の入口管に連通してあり、育成室外及び育成室内からそれぞれ媒体を吸入する第1吸入口及び第2吸入口と、前記冷却装置の出口管に連通してあり、育成室外及び育成室内へそれぞれ媒体を排出する第1排出口及び第2排出口と、吸入を前記第1吸入口又は第2吸入口のいずれかに切り替える吸入切替部と、排出を前記第1排出口又は第2排出口のいずれかに切り替える排出切替部とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、例えば、熱源を冷却する冷却装置は、入口管及び出口管を有し、入口管には、育成室外及び育成室内からそれぞれ媒体(例えば、空気、二酸化炭素、水など)を吸入する第1吸入口及び第2吸入口を連通してある。また、出口管には、育成室外及び育成室内へそれぞれ媒体を排出する第1排出口及び第2排出口を連通してある。吸入切替部は、吸入を第1吸入口又は第2吸入口のいずれかに切り替える。また、排出切替部は、排出を第1排出口又は第2排出口のいずれかに切り替える。これにより、例えば、外気温(育成室外の温度)や室温(育成室内の温度)などの状況に応じて、低い温度の媒体を冷却装置に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。また、状況に応じて熱交換後の媒体の排出を育成室内又は育成室外に排出して室温調整のための空調ユニット(空調装置)の負荷の低減又は廃熱の有効利用などを図ることができる。
【0026】
本発明に係る冷却方法は、室内に設置した熱源を、媒体を用いて冷却する冷却方法において、室内及び室外の温度に応じて、前記媒体を取り入れる取入部を制御するステップと、前記媒体を介して前記熱源を冷却するステップと、室内及び室外の温度に応じて前記熱源を冷却した後の媒体を排出する排出部を制御するステップとを含むことを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、室内及び室外の温度に応じて、媒体を取り入れる取入部を制御する。これにより、例えば、室外の温度や室内の温度などの状況に応じて、低い温度の媒体を冷却部に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。また、室外の温度や室内の温度などの状況に応じて、熱交換後の媒体を室内又は室外に排出して室温調整のための空調ユニット(空調装置)の負荷の低減又は廃熱の有効利用などを図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、室外の温度や室内の温度などの状況に応じて、熱交換後の媒体を室内又は室外に排出して室温調整のための空調ユニット(空調装置)の負荷の低減又は廃熱の有効利用などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態に係る植物栽培装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】本実施の形態の冷却ユニットの構成の一例を示す裏面図である。
【図3】冷却ユニットの構成の他の例を示す裏面図である。
【図4】冷却ユニットの構成の他の例を示す裏面図である。
【図5】外気温及び室温による吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図6】排気温度を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第1閾値を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図8】外気温の変動を考慮した吸気及び排気の切り替え制御の一例を示す説明図である。
【図9】第2閾値を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図10】設定温度を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図11】排気温度を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図12】排気温度を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【図13】冷暖房時を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の冷却装置を例えば植物を育成する植物育成(栽培)装置に用いた場合について、その実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る植物栽培装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る植物栽培装置は、所要の大きさの栽培室100を備えている。なお、栽培室100は、内部に人が入って作業できるだけの十分な大きさ、広さを有している。
【0031】
栽培室100には、縦、横、高さが適宜の寸法を有する栽培棚(不図示)を設けてあり、1又は複数段の載置板が水平に配され、載置板には栽培する植物を入れたトレー1を載置してある。なお、図1の例では、トレー1が1個だけ例示されているが、トレー1の数は1個に限定されるものではなく、複数設けることもできる。
【0032】
トレー1には、培養液タンク2から往路管3を介してポンプ5で吸引された培養液が供給され、トレー1に供給された培養液は、復路管4を経由して培養液タンク2に戻されるようになっている。これにより、養液栽培を行うことができる。なお、培養液タンク2内の培養液の水質を浄化する水質浄化装置(不図示)、培養液に肥料などを供給する肥料供給装置(不図示)などを設けることもできる。
【0033】
栽培室100には、栽培室内(以下、「室内」という)を空調する空調ユニットとしての空調制御機71、室内の二酸化炭素濃度を所要の値に制御して供給するための二酸化炭素供給装置72を設けている。空調制御機71には、栽培室内温度(以下、「室温」という)や湿度を設定するための設定部としての操作パネル60を設けている。なお、操作パネル60に代えてリモコンなどの遠隔操作端末を用いてもよい。なお、栽培室100内に加湿器(不図示)などを設けることもできる。
【0034】
操作パネル60を操作することにより、例えば、昼間は設定温度Tを25℃、湿度を60%、作動時間を12時間とし、夜間は設定温度Tを5℃、湿度を90%、作動時間を12時間などのように室温、湿度、時間などを設定することができる。二酸化炭素供給装置72は、栽培室100内部の二酸化炭素濃度を、例えば、1800ppm〜2000ppmに設定することができる。
【0035】
冷却ユニット50(冷却装置)は、室内に設置した熱源からの熱を冷却する冷却部を備え、例えば、鉄などの熱伝導性がある金属製であって、長さが120cm、幅が60cm、高さ(厚み)が1cmの直方体状をなしている。冷却ユニット50は、面積の広い面(長さと幅で画定される面である上面及び下面)を水平にして配置されている。長手方向の一端には入口管51を連接してあり、他端には出口管52を連接してある。冷却ユニット50の内部には、ヒートパイプなどの熱交換のための部材(冷却部)が配設され、冷却ユニット50内を流れる媒体により熱源である光源ユニット30からの熱を奪うことで光源ユニット30(特に後述するLED)を冷却することができる。冷却ユニット50を流れる媒体としては、熱源から発生する熱と熱交換可能なものであればよく、空気や二酸化炭素などの気体や、水などの液体を用いても構わない。本実施の形態では、空気を用いて説明する。
【0036】
入口管51には、吸入切替部(第2の切替部)としての吸気切替バルブ13を介して、第1吸入口としての室外吸気口11及び第2吸入口としての室内吸気口12を連通している。室外吸気口11、室内吸気口12及び吸気切替バルブ13は、冷却装置の取入部を構成する。また、入口管51の中途には、所要の流量(例えば、1分当たり4立方メートル)で空気を流すためのファン64を介装してある。また、入口管51の、ファン64と冷却ユニット50との間には、冷却ユニット50に霧状の液体(水分)を供給する噴霧ユニット65を設けている。なお、ファン64に代えてブロワでもよい。
【0037】
噴霧ユニット65は、例えば、40μm以下の霧状の水分(ミスト)を生成することができる。噴霧ユニット65を設けることにより、冷却ユニット50に取り入れる空気の温度を、例えば、10℃程度下げることができる。なお、噴霧ユニット65を設けなくてもよい。
【0038】
出口管52には、排出切替部(第1の切替部)としての排気切替バルブ23を介して、第1排出口としての室外排気口21及び第2排出口としての室内排気口22を連通している。室外排気口21、室内排気口22及び排気切替バルブ23は、冷却装置の排出部を構成する。また、出口管52には、冷却ユニット50から排気された空気の排気温度T3を検出する排気温度センサとしての温度センサ63を設けている。なお、温度センサ63は、排気温度T3を検出することができるのであれば、出口管52の内部に設けてもよく、あるいは出口管52の外側に設けてもよい。
【0039】
冷却ユニット50の下面には、光源ユニット30を配置している。光源ユニット30は、冷却ユニット50の下面の面積より小さい矩形状の基板(例えば、アルミ製、ガラスエポキシ製など)、及び基板に実装した所要の波長の光を発光するLEDなどを備える。なお、光源ユニット30は、複数枚の基板で構成されている。LEDは、例えば、波長が430nm、660nm、700nmのそれぞれ付近に発光ピークを有する。なお、LEDの発光ピークの波長は、上述の例に限定されるものではない。これにより、光源ユニット30の発光面が、トレー1に収められた植物の方向へ向くように配置している。
【0040】
光源ユニット30の基板は、冷却ユニット50の下面に密着した状態で取り付けられている。これにより、LEDから発生した熱は基板を通じて冷却ユニット50に伝わる。冷却ユニット50の内部を流れる空気により、光源ユニット30で発生した熱が冷却され、熱交換されて暖められた空気が出口管52を介して排出される。
【0041】
例えば、光源ユニット30のLEDの消費電力を620W、発熱量を450Wとした場合、冷却ユニット50の入口側から40℃の空気を流量が1分当たり4立方メートルの割合で入れたとき、排気の温度は5℃上昇して、約300Wの熱量を奪うことができる。なお、これらの数値は一例である。
【0042】
栽培室100の外側には栽培室外温度(以下、「外気温」という)T1を検出する温度センサ61、栽培室100内部の室温T2を検出する温度センサ62を設けている。
【0043】
制御部40は、例えば、サーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置で構成することができ、温度センサ61〜63で検出した室温T1、外気温T2、排気温度T3を取得する。また、制御部40は、操作パネル60で設定された設定温度Tを取得する。制御部40は、取得した各温度T1、T2、T3、Tに基づいて、吸気切替バルブ13を切り替えるとともに、排気切替バルブ23を切り替える。なお、制御部40は、栽培室100の外側に設けてもよく、あるいは内部に設けてもよい。
【0044】
これにより、例えば、外気温や室温などの状況(温度)に応じて、空気を取り入れる取入部を制御することができるため、より低い温度を示す側の空気を冷却ユニット50に取り入れて熱源である光源ユニット30を効率よく冷却することができる。また、状況に応じて熱交換後の排気を室内又は栽培室外(以下、「室外」という)に排気するなど、冷却ユニット50を冷却した後の空気を排出する排出部を制御することができるため、室温調整のための空調制御機71(空調ユニット)の負荷の低減又は廃熱の有効利用などを図ることができる。
【0045】
図2は本実施の形態の冷却ユニット50の構成の一例を示す裏面図である。図2に示すように、冷却ユニットの下面である底板53に光源ユニット30の基板のLEDを実装していない面を密着させて固定してある。図2において、点線で示した部分が光源ユニット30である。なお、基板はビス等(不図示)で底板53に固定することができる。また、基板と底板53との間にグリース等を注入して熱伝導性を高めることもできる。
【0046】
なお、冷却ユニット50の構成は、上述の例に限定されるものではなく、他の構成を用いることもできる。図3は冷却ユニット50の構成の他の例を示す裏面図である。図2の例との違いは、底板53に基板の寸法より若干小さい寸法の開口部54を形成してある。図3の例では、光源ユニット30は、6枚の基板を配置した構成となっている。開口部54は、各基板に対応した位置に形成してある。これにより、冷却ユニット50の内部を流れる空気が直接基板に当たるので、基板から直接熱を奪うことができ、冷却効率を向上させることができる。なお、基板の数に応じて開口部54の大きさや数や形を変更することができる。
【0047】
図3の例の場合、開口部54には、冷却用の空気が外部に漏れないように弾性のあるシール部材などで密閉すればよい。また、基板の底板53への取り付けは、図2の例と同様に、ビス等で固定すればよい。
【0048】
図4は冷却ユニット50の構成の他の例を示す裏面図である。図4の例は、基板と底板53とを共用とした構成である。すなわち、冷却ユニット50の底板53に直接パターニングを行ってLEDを実装する構成である。このような構成にすることで、冷却ユニット50と光源ユニット30との組み立て工程が簡略化でき、コスト低減を図ることが可能となる。
【0049】
上述のいずれの構成においても、冷却ユニット50の外部(外周)には、発泡ウレタン等の断熱材で覆うことが望ましい。これにより、熱交換効率を向上させることができる。
【0050】
次に、本実施の形態の植物栽培装置の動作について説明する。図5は外気温及び室温による吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。制御部40は、外気温T1を検出し(S11)、栽培室内の室温T2を検出する(S12)。
【0051】
制御部40は、外気温T1が室温T2より高いか否かを判定し(S13)、外気温T1が室温T2より高い場合(S13でYES)、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室内からの吸気及び室内への排気に切り替え(S14)、処理を終了する。これにより、外気温よりも低い温度の室内の空気を冷却ユニット50に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。
【0052】
外気温T1が室温T2より高くない場合(S13でNO)、すなわち、室温T2が外気温T1以上である場合、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室外からの吸気及び室外への排気に切り替え(S15)、処理を終了する。これにより、室温よりも低い温度の外気を冷却ユニット50に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。なお、ステップS14、S15を終了した後、ステップS11以降の処理を続けてもよい。
【0053】
図6は排気温度を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。排気温度は、冷却ユニット50から排気された空気の排気温度T3である。制御部40は、外気温T1を検出し(S21)、栽培室内の室温T2を検出する(S22)。
【0054】
制御部40は、外気温T1が室温T2より高いか否かを判定し(S23)、外気温T1が室温T2より高い場合(S23でYES)、排気温度T3を検出し(S24)、室温T2が排気温度T3より高いか否かを判定する(S25)。
【0055】
室温T2が排気温度T3より高い場合(S25でYES)、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室内からの吸気及び室内への排気に切り替え(S26)、処理を終了する。
【0056】
室温T2が排気温度T3より高くない場合(S25でNO)、制御部40は、吸気切替バルブ13を室内からの吸気に切り替え、排気切替バルブ23を室外への排気に切り替え(S27)、処理を終了する。
【0057】
外気温T1が室温T2より高くない場合(S23でNO)、制御部40は、排気温度T3を検出し(S28)、室温T2が排気温度T3より高いか否かを判定する(S29)。
【0058】
室温T2が排気温度T3より高い場合(S29でYES)、制御部40は、吸気切替バルブ13を室外からの吸気に切り替え、排気切替バルブ23を室外への排気に切り替え(S30)、処理を終了する。
【0059】
室温T2が排気温度T3より高くない場合(S29でNO)、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室外からの吸気及び室内への排気に切り替え(S31)、処理を終了する。なお、ステップS26、S27、S30、S31を終了した後、ステップS21以降の処理を続けてもよい。
【0060】
これにより、外気温T1が室温T2よりも高く、冷却ユニット50からの排気された空気の排気温度T3が室温T2より低い場合には、排気を室内に循環させて、例えば、室温を下げるべく空調制御機71の負荷を低減することができ、あるいは液肥の温度を上げるために利用するなど冷却ユニット50からの排気された空気の熱を有効活用することができる。また、冷却ユニット50から排気された空気の排気温度T3が室温T2より高い場合には、排気を室外に排出して廃熱利用を図ることができる。そして、外気温T1が室温T2よりも低く、冷却ユニット50からの排気された空気の排気温度T3が室温T2より低い場合には、排気を室外に排出して廃熱利用を図ることができる。そしてまた、冷却ユニット50から排気された空気の排気温度T3が室温T2より高い場合には、排気を室内に循環させて空調制御機71の負荷を低減したり、その他に廃熱を利用したりすることができる。また、同時に、室温及び外気温を検出しているため、より温度の低い空気を冷却ユニット50に取り入れることができ、光源ユニット30を効率よく冷却することができる。
【0061】
上述の例では、室温T2自身を用いる構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、制御部40は、外気温T1が室温T2に所定の第1閾値αを減算して得られた温度(T2−α)より高くなった場合、室内から吸気し室内へ排気するように制御することもできる。第1閾値αは、例えば、0から20程度の値とすることができる。光源ユニット30からの発熱により、栽培室100内部の温度は上昇する。このため、そのような上昇分を予め減算して吸気及び排気の切替のための温度を設定しておくことにより、最適な温度で吸気及び排気の切り替えを行うことができる。すなわち、光源ユニット30などの発熱源による室温の温度上昇を予め補正することができる。以下、第1閾値αを用いる処理手順について説明する。
【0062】
図7は第1閾値を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。制御部40は、外気温T1を検出し(S41)、栽培室内の室温T2を検出する(S42)。
【0063】
制御部40は、外気温T1が室温T2に第1閾値αを減算して得られた温度(T2−α)より高いか否かを判定し(S43)、外気温T1が温度(T2−α)より高い場合(S43でYES)、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室内からの吸気及び室内への排気に切り替え(S44)、処理を終了する。これにより、外気温よりも低い温度の室内の空気を冷却ユニット50に取り入れて熱源を効率よく冷却することができる。
【0064】
外気温T1が温度(T2−α)より高くない場合(S43でNO)、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室外からの吸気及び室外への排気に切り替え(S45)、処理を終了する。これにより、光源ユニット30などの発熱源による室温の温度上昇を予め補正して、最適な温度で吸気及び排気の切り替えを行うことができる。
【0065】
また、天候などに応じて外気温T1は昼間だけ、あるいは夜間においても変動する場合がある。図8は外気温の変動を考慮した吸気及び排気の切り替え制御の一例を示す説明図である。図8において、横軸が室温T2であり、縦軸は外気温T1である。また、図8において、下側の斜め線は、T2−αの直線を表し、上側の斜め線は、T2−α+β(ただし、α≧β)の直線を表す。
【0066】
すなわち、制御部40は、外気温T1が室温T2に所定の第1閾値αを減算して得られた温度(T2−α)より高い場合、室内から吸気し室内へ排気するように切り替える。また、制御部40は、外気温T1が前記得られた温度(T2−α)に第1閾値αより小さい第2閾値βを加算して得られた温度(T2−α+β)より低い場合、室外から吸気し室外へ排気するように切り替える。第2閾値βを第1閾値αより小さくすることで、例えば、外気の温度が少々変動(例えば、2℃〜5℃など)する場合、吸気と排気とが頻繁に切り替わることで、切り替え動作のチャタリングを防止することができ、また、バルブの不要な動作回数の増加を抑えて長寿命を図ることができる。以下、第2閾値βを用いる処理手順について説明する。
【0067】
図9は第2閾値を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。制御部40は、外気温T1を検出し(S51)、栽培室内の室温T2を検出する(S52)。
【0068】
制御部40は、外気温T1が室温T2に第1閾値αを減算して得られた温度(T2−α)より高いか否かを判定し(S53)、外気温T1が温度(T2−α)より高い場合(S53でYES)、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室内からの吸気及び室内への排気に切り替え(S54)、処理を終了する。
【0069】
外気温T1が温度(T2−α)より高くない場合(S53でNO)、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室外からの吸気及び室外への排気に切り替える(S55)。制御部40は、外気温T1が温度(T2−α)に第1閾値αより小さい第2閾値βを加算して得られた温度(T2−α+β)より高いか否かを判定する(S56)。
【0070】
外気温T1が温度(T2−α+β)より高い場合(S56でYES)、温度(T2−α)より低い外気温T1が、温度(T2−α)より高くなり、さらに温度(T2−α+β)より高くなったとして、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室内からの吸気及び室内への排気に切り替え(S57)、処理を終了する。これにより、温度(T2−α)を境にして吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23が頻繁に切り替わることを防止することができる。
【0071】
外気温T1が温度(T2−α+β)より高くない場合(S56でNO)、制御部40は、温度(T2−α)より低い外気温T1が、温度(T2−α)より高くなったものの、温度(T2−α+β)を超えていないとして、あるいは、一旦温度(T2−α+β)より高くなった外気温T1が、温度(T2−α+β)より低くなったとして、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室外からの吸気及び室外への排気に切り替え(S58)、処理を終了する。
【0072】
上述の例では、室温T2を検出し、その結果に応じて吸気及び排気の切り替えの判定に用いる構成であるが、室温を操作パネル60で設定した時点での室温T2が、設定温度と異なる状況がある。以下の例では、このような状況でも、効率よく吸気と排気を切り替える方法について説明する。
【0073】
すなわち、制御部40は、外気温T1が操作パネル60で設定した設定温度Tより低い場合、室外から吸気し室外へ排気するように切り替える。例えば、室温T2が外気温T1より低い場合に、設定温度Tを外気温T1より高い温度に設定するときは、室温設定の当初は、室温T2が外気温T1より低いため、室内から吸気するとともに室内へ排気される事態になるため、これを避けるために外気温T1、室温T2及び設定温度Tを比較することにより、吸気及び排気を正しく行うことができる。
【0074】
より具体的には、制御部40は、外気温T1、室温T2に加えて設定温度Tを検出する。そして、制御部40は、T>T1>T2である場合、室温T2が設定温度Tになるまでの間、室内から吸気し室内へ排気するように切り替える。すなわち、少なくとも室温T2が設定温度Tよりも低いときは、室内へ排気するように切り替えることにより、迅速に所望の切り替え状態に移行させることができる。
【0075】
また逆に、制御部40は、外気温T1が操作パネル60で設定した設定温度Tより高い場合、室内から吸気し室内へ排気するように切り替える。例えば、室温T2が外気温T1より高い場合に、設定温度Tを外気温T1より低い温度に設定するときは、室温設定の当初は、室温T2が外気温T1より高いため、室外から吸気するとともに室外へ排気される事態になるため、これを避けるために外気温T1、室温T2及び設定温度Tを比較することにより、吸気及び排気を正しく行うことができる。
【0076】
より具体的には、制御部40は、外気温T1、室温T2に加えて設定温度Tを検出する。そして、制御部40は、T2>T1>Tである場合、室温T2が外気温T1より低くなるまでの間、室外から吸気し室外へ排気するように切り替える。これにより、迅速に所望の切り替え状態に移行させることができる。以下、設定温度Tを用いる処理手順について説明する。
【0077】
図10は設定温度を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。制御部40は、外気温T1を検出し(S71)、栽培室内の室温T2を検出する(S72)。制御部40は、外気温T1が室温T2より高いか否かを判定し(S73)、外気温T1が室温T2より高い場合(S73でYES)、設定温度Tを検出する(S74)。
【0078】
制御部40は、設定温度Tが室温T2より高いか否かを判定し(S75)、設定温度Tが室温T2より高い場合(S75でYES)、室内の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室内へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S76)、処理を終了する。
【0079】
設定温度Tが室温T2より高くない場合(S75でNO)、制御部40は、室内の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室外へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S77)、処理を終了する。
【0080】
外気温T1が室温T2より高くない場合(S73でNO)、制御部40は、設定温度Tを検出する(S78)。制御部40は、設定温度Tが室温T2より高いか否かを判定し(S79)、設定温度Tが室温T2より高い場合(S79でYES)、室外の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室内へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S80)、処理を終了する。
【0081】
設定温度Tが室温T2より高くない場合(S79でNO)、制御部40は、室外の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室外へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S81)、処理を終了する。
【0082】
上述の例では、外気温T1、室温T2及び設定温度Tを比較することにより吸気及び排気を制御した構成であるが、冷却ユニット50からの排気された空気の排気温度T3と室温T2とを比較することで排気をより正しく行うことができる。
【0083】
すなわち、制御部40は、室温T2が設定温度Tよりも高い場合は、排気温度T3に応じて、室内に排気するか、室外へ排気するか切り替える。例えば、室温T2が設定温度Tよりも高い場合は、室温T2と排気温度T3を比較し、排気温度T3が室温T2よりも低ければ室内へ排気するように切り替える。また、排気温度T3が室温T2よりも高ければ室外へ排出するように切り替える。このように制御を行うことで、室温T2を設定温度Tに近づくように冷却ユニット50の廃熱を利用して室温T2の調整を行うことができ、空調制御機71の負荷を軽減することができる。以下、排気温度T3を用いる処理手順について説明する。
【0084】
図11及び図12は排気温度を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。制御部40は、外気温T1を検出し(S91)、栽培室内の室温T2を検出する(S92)。制御部40は、外気温T1が室温T2より高いか否かを判定し(S93)、外気温T1が室温T2より高い場合(S93でYES)、設定温度Tを検出する(S94)。
【0085】
制御部40は、設定温度Tが室温T2より高いか否かを判定し(S95)、設定温度Tが室温T2より高い場合(S95でYES)、室内の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室内へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S96)、処理を終了する。
【0086】
設定温度Tが室温T2より高くない場合(S95でNO)、制御部40は、排気温度T3を検出し(S97)、室温T2が排気温度T3より高いか否かを判定する(S98)。室温T2が排気温度T3より高い場合(S98でYES)、制御部40は、室内の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室内へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S99)、処理を終了する。
【0087】
室温T2が排気温度T3より高くない場合(S98でNO)、制御部40は、室内の空気を冷却ユニット50に取り入れ、室外へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S100)、処理を終了する。
【0088】
制御部40は、外気温T1が室温T2より高くない場合(S93でNO)、設定温度Tを検出する(S101)。制御部40は、設定温度Tが室温T2より高いか否かを判定し(S102)、設定温度Tが室温T2より高い場合(S102でYES)、室外の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室内へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S103)、処理を終了する。
【0089】
設定温度Tが室温T2より高くない場合(S102でNO)、制御部40は、排気温度T3を検出し(S104)、室温T2が排気温度T3より高いか否かを判定する(S105)。室温T2が排気温度T3より高い場合(S105でYES)、制御部40は、室外の空気を冷却ユニット50に取り入れ、設定温度Tと室温T2が等しくなるまで室内へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S106)、処理を終了する。
【0090】
室温T2が排気温度T3より高くない場合(S105でNO)、制御部40は、室外の空気を冷却ユニット50に取り入れ、室外へ排出するように排気切替バルブ23を切り替え(S107)、処理を終了する。
【0091】
上述の例では、外気温T1、室温T2などを検出して、吸気及び排気の切り替えを行う構成であったが、これに限定されるものではなく、冷房時か暖房時かに応じて切り替えることもできる。
【0092】
すなわち、制御部40は、冷房時に、室外から吸気し室外へ排気するように切り替え、暖房時に、室内から吸気し室内へ排気するように切り替える。冷房時には、室外から吸気し室外へ排気することにより、光源ユニット30などの熱源を室外に放出するとともに、冷却のための空気を外気から取り入れることにより、空調制御機71の負荷を低減することができる。すなわち、冷房時には、冷却ユニット50で熱交換により暖められた空気を室外へ排出できるように制御できればよい。そのため、室内の空気を取り込むようにしてもよい。また、暖房時には、室内の空気を取り込み、冷却ユニット50で熱交換により暖められた空気を室内へ排気することで廃熱を利用して空調制御機71の負荷を低減することができる。すなわち、暖房時には、冷却ユニット50から排気された暖かい空気を室内へ排気できるように制御できればよい、そのため、外気を取り入れるようにしてもよい。以下、冷暖房時を考慮した処理手順について説明する。
【0093】
図13は冷暖房時を考慮した吸気及び排気の切り替え処理手順を示すフローチャートである。制御部40は、外気温T1を検出し(S111)、栽培室内の室温T2を検出する(S112)。制御部40は、外気温T1が室温T2より高いか否かを判定し(S113)、外気温T1が室温T2より高い場合(S113でYES)、空調制御機71の設定が冷房であるか否かを判定する(S114)。
【0094】
空調制御機71の設定が冷房である場合(S114でYES)、制御部40は、少なくとも排気切替バルブ23を室外に切り替え(S115)、処理を終了する。空調制御機71の設定が冷房でない場合(S114でNO)、制御部40は、少なくとも排気切替バルブ23を室内に切り替え(S116)、処理を終了する。
【0095】
外気温T1が室温T2より高くない場合(S113でNO)、制御部40は、空調制御機71の設定が冷房であるか否かを判定する(S117)。
【0096】
空調制御機71の設定が冷房である場合(S117でYES)、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室外に切り替え(S118)、処理を終了する。空調制御機71の設定が冷房でない場合(S117でNO)、制御部40は、吸気切替バルブ13及び排気切替バルブ23を室内に切り替え(S119)、処理を終了する。
【0097】
また、上述の例の他に、少なくとも室温T2が一定の温度以上になれば、室外から吸気し、室外へ排出するように制御したり、逆に少なくとも外気温T1が一定の温度以上になれば、室内から吸気し、室内へ排出するように制御したりしてもよい。このような構成とすることで、少なくとも室内又は室外の温度を検出すれば制御を行うことができるため、より簡単な構成で廃熱の有効利用を図ることができる。
【0098】
図1の例で示すように、噴霧ユニット65を備える場合には、制御部40は、外気温T1が所定の温度以上である場合、噴霧ユニット65を作動させて、冷却ユニット50に霧状の液体を供給する。所定の温度は、例えば、30℃などにすることができる。夏場のように外気温T1が高い場合には、冷却ユニット50に取り入れる空気に霧状にした水分を加えることにより、光源ユニット30などの熱源の冷却効率を高めることができる。また、外気温T1と室温T2とがともに高温の場合でも、光源ユニット30を効率よく冷却することができる。
【0099】
上述の実施の形態では、培養液タンク2を栽培室100の内部に設ける構成であったが、培養液タンク2を外部に設けることもできる。この場合、冷却ユニット50からの排気を栽培室100の外へ出すときに培養液タンク2の回りに排気管を巻いておき、廃熱を利用して液肥の温度を上げることができる。
【0100】
上述の実施の形態では、冷却ユニット50は、光源ユニット30を冷却する構成であったが、これに限定されるものではなく、本実施の形態の冷却ユニットは他の熱源を冷却することもできる。
【0101】
また、植物の光合成を促進させるために用いている二酸化炭素の濃度は、常に一定の量を保つ必要がある。すなわち、外気を室内に取り混んだ場合には、室内の二酸化炭素濃度が変動するため植物の育成に影響を及ぼす。そのため、外気を室内に取り込む場合には、室内に二酸化炭素の濃度を検出する検出センサを設け、濃度の値が略一定となるように二酸化炭素供給装置72と併せて制御を行うとよい。
【0102】
また、本発明の冷却装置は、熱源として光源ユニットを冷却する冷却装置として説明したが、これに限定されるものではなく、室内に設置した照明装置の電源回路を冷却するための冷却装置として用いたり、室内の空気を循環させるためのファンの電源回路を冷却するための冷却装置として用いたりしてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 トレー
2 培養液タンク
11 室外吸気口(第1吸入口、取入部)
12 室内吸気口(第2吸入口、取入部)
13 吸気切替バルブ(吸入切替部、第2の切替部、取入部)
21 室外排気口(第1排出口、排出部)
22 室内排気口(第2排出口、排出部)
23 排気切替バルブ(排出切替部、第1の切替部、排出部)
30 光源ユニット(熱源)
40 制御部
50 冷却ユニット(冷却装置)
51 入口管
52 出口管
60 操作パネル(設定部)
61、62 温度センサ
63 温度センサ(排気温度センサ)
64 ファン
65 噴霧ユニット
71 空調制御機(空調ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置した熱源を、媒体を用いて冷却する冷却部を備えた冷却装置において、
前記冷却部は、
少なくとも室内又は室外の温度に応じて、前記熱源を冷却した後の媒体を排出する排出部を制御してなることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記排出部は、
前記冷却した後の媒体を室内若しくは室外へ排出すべく切り替える第1の切替部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
室内の温度を検知する第1の温度センサと、
室内の温度を設定する設定部と
を備え、
前記第1の切替部は、
少なくとも室内の温度が設定温度よりも低いときは、前記冷却した後の媒体を室内へ排出すべく切り替えてなることを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却部は、
室内及び室外の温度に応じて、前記媒体を取り入れる取入部を制御してなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記取入部は、
室内又は室外から前記媒体を取り入れるべく切り替える第2の切替部を備えてなることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
室外の温度を検知する第3の温度センサを備え、
前記第2の切替部は、
室内の温度と室外の温度とを比較し、低い温度を示す側から前記媒体を取り入れるべく切り替えてなることを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の冷却装置を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項7に記載の照明装置からの光を、植物に照射するように構成してなることを特徴とする植物育成装置。
【請求項9】
植物育成設備を備える植物育成装置において、
育成室内に設けられ、入口管及び出口管を有する冷却装置と、
該冷却装置の入口管に連通してあり、育成室外及び育成室内からそれぞれ媒体を吸入する第1吸入口及び第2吸入口と、
前記冷却装置の出口管に連通してあり、育成室外及び育成室内へそれぞれ媒体を排出する第1排出口及び第2排出口と、
吸入を前記第1吸入口又は第2吸入口のいずれかに切り替える吸入切替部と、
排出を前記第1排出口又は第2排出口のいずれかに切り替える排出切替部と
を備えることを特徴とする植物育成装置。
【請求項10】
室内に設置した熱源を、媒体を用いて冷却する冷却方法において、
室内及び室外の温度に応じて、前記媒体を取り入れる取入部を制御するステップと、
前記媒体を介して前記熱源を冷却するステップと、
室内及び室外の温度に応じて前記熱源を冷却した後の媒体を排出する排出部を制御するステップと
を含むことを特徴とする冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−97881(P2011−97881A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255374(P2009−255374)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】