冷却装置
【課題】内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができる冷却装置を提供すること。
【解決手段】蒸発器13に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させて収容室4の内部を冷却する冷却装置において、除霜制御手段20は、通常除霜処理を行う場合には、蒸発器13への冷媒の供給を停止させるとともにヒータ15を駆動させ、出口空気温度センサS1により検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度センサS2により検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときにヒータ15を駆動停止させる一方、簡易除霜処理を行う場合には、蒸発器13への冷媒の供給を停止させるとともにヒータ15を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させるとともにヒータ15を駆動停止させるものである。
【解決手段】蒸発器13に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させて収容室4の内部を冷却する冷却装置において、除霜制御手段20は、通常除霜処理を行う場合には、蒸発器13への冷媒の供給を停止させるとともにヒータ15を駆動させ、出口空気温度センサS1により検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度センサS2により検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときにヒータ15を駆動停止させる一方、簡易除霜処理を行う場合には、蒸発器13への冷媒の供給を停止させるとともにヒータ15を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させるとともにヒータ15を駆動停止させるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関し、より詳細には、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、通常除霜処理よりも短時間で、かつ収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、一般的なショーケースを一部断面で示した側面図である。図13に示すように、ショーケースは、前面にガラス扉がないオープンショーケース100であり、前面が開口した略直方状の断熱筐体として形成された本体キャビネット100aと、商品陳列棚500が配設された収容室400と、内側ダクト200および外側ダクト300と、内側ダクト200内に設置された蒸発器130とが備えられている。尚、内側ダクト200および外側ダクト300は、収容室400の底壁400a、後壁400bおよび天壁400cを連通する態様で形成されている。蒸発器130は、配管を通じて膨張弁120と冷凍機110とに接続されている。図には明示していないが、冷凍機110は圧縮機と凝縮器とを備える。圧縮機は、供給された冷媒を圧縮するものである。凝縮器は、圧縮機で圧縮された冷媒を冷却して凝縮させるものである。膨張弁120は、凝縮器から供給された冷媒を絞り効果により低圧の状態に断熱膨張させる働きと、内部温度の変化に応じて流量を調整する働きを有するものである。蒸発器130は、膨張弁120で断熱膨張させた冷媒を蒸発させるものである。
【0003】
上記構成を有するオープンショーケース100では、凝縮器で凝縮させた高温高圧の冷媒を、配管を通じて送出し、膨張弁120で低温低圧の状態に断熱膨張させて蒸発器130に送出し、蒸発器130にて冷媒を蒸発させる。蒸発器130にて冷媒を蒸発させることにより、蒸発器130の周囲にある空気から冷媒へと熱の移動が行われて該空気を冷却する。すなわち、蒸発器130の周囲にある空気から熱を奪うことにより空気を冷却する。蒸発器130で蒸発した冷媒は、吸入管を通じて冷凍機110の圧縮機に送出される。
【0004】
蒸発器130によって冷却された空気は、内側ダクト200に設けられた送風ファン(図示せず)を作動させることによって、内側ダクト200を通って吹出口200bから収容室400下方に向けて吹き出されてエアカーテンを形成し、吸込口200aから吸い込まれ再び内側ダクト200を通って蒸発器130に送られる。このようにして内側ダクト200および収容室400を循環する空気は、冷気となって循環しながら収容室400内の商品陳列棚500上に載置された商品を冷却する。
【0005】
上記オープンショーケース100では、冷却運転に伴い蒸発器130の表面に霜が付着し(着霜)、時間の経過とともに成長する。このため定期的にヒータ150を通電して除霜を行っている。この除霜運転は以下の手順により行う。
【0006】
まず、冷媒の供給を停止させ、その後に蒸発器130下部の風上側すなわち空気入口側に設置されているヒータ150を通電して霜を融かし、蒸発器130の上部側、すなわち通過する空気の風下側付近に設置された空気温度センサSが、基準温度以上になったことを検出した時点でヒータ150の通電を停止し、蒸発器130の水切りのため一定時間送風を行い、その後に冷却運転を再開させる。
【0007】
この定期的な除霜は通常30分程度の時間を要するため、この除霜を頻繁に行った場合オープンショーケース100庫内の温度が上昇し、商品鮮度が落ちてしまう。そこで、上記の定期的な除霜(以下、これを「通常除霜」と呼ぶ)の運転と次の運転との間に、時間の短い除霜(以下、これを「簡易除霜」と呼ぶ)を行う除霜方式を備えたオープンショーケース100が特許文献1および特許文献2に開示されている。この簡易除霜は、通常除霜と同様に、冷媒の供給を停止させた後に蒸発器130の下部に設置されたヒータ150を通電することにより行われるが、通常除霜と比べてヒータ150の通電時間が5分程度と短く、ヒータ150の通電を停止させた後に水切りのための送風を行わずにすぐに冷却運転を再開させる。従って、簡易除霜を行うことによって一時的に庫内の温度は上昇するが、短時間であるために通常除霜ほど温度が高くなることがなく、収容室400の商品の鮮度に影響を与えることがない。この簡易除霜を、通常除霜の運転と次の運転との間に数回に分けて行うことによって、蒸発器130に付着した霜を低減させることができ、通常除霜の運転周期を長大化させることが可能になる。
【0008】
【特許文献1】特開平7−190582号公報
【特許文献2】特開2000−81272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したオープンショーケース100では、蒸発器130の風下側の位置、つまり風上側に設置してあるヒータ150よりも遠い位置に設けた空気温度センサSのみにより検出される温度に基づいて通常除霜を行っていたので、次のような問題があった。
【0010】
通常除霜時や簡易除霜時においては、ヒータ150により加熱された空気が送風されることにより蒸発器130に付着した霜が融解されることになる。しかしながら、このようなヒータ150により加熱された空気が送風されることにより蒸発器130に付着した霜が一様に融解されるのではなく、ヒータ150に近接する部分に付着した霜が最も融解されやすく、ヒータ150から最も遠い部分、すなわち蒸発器130の風下側の部分に付着した霜は融解されにくい。また、同じくヒータ150から遠い部分である蒸発器130の両端側上部に付着した霜も融解されにくい。つまり、不均一な着霜が生ずることになる。このような不均一な着霜が生じた状態で、通常除霜を行うと、ヒータ150に近接する部分に付着する霜は積極的に融解され、ヒータ150に加熱された空気が空気温度センサS付近を通過することにより該空気温度センサSにより基準温度以上と検出される結果、上述したようなヒータ150から遠い部分の霜が融解されていなくても除霜が完了したものとして通常除霜が終了してしまう虞れがあった。このように霜が融解せずに融け残ると、残った霜はアイスバンクと呼ばれる非常に融けにくい氷が発生してしまう。
【0011】
このようなアイスバンクの発生を抑制するために、ヒータ150の通電終了を判断するための上記基準温度を高めに設定することもできるが、これでは内部温度の上昇を招来する虞れがあった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る冷却装置は、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段とを備え、前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る冷却装置は、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段とを備え、前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させ、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったとき、あるいは前記加熱手段の駆動停止後から決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る冷却装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記冷媒温度センサは、前記蒸発器に前記冷媒を導入するための冷媒導入管における前記蒸発器の冷媒入口近傍の温度を検出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る冷却装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記制御手段は、収容室に吹き出される空気温度と、前記空気温度センサにより検出された温度との差を算出する温度差算出手段と、除霜処理毎に除霜が完了してから着霜するまでの安定期間における前記温度差算出手段により算出される差の平均値を算出し安定値として更新・記憶する更新記憶手段と、前記更新記憶手段により記憶される安定値に対する現時点の温度差の偏差を算出する偏差算出手段と、前記偏差算出手段により算出される偏差の時間的変化量を算出する変化量算出手段と、前記偏差算出手段により算出される温度差の偏差、並びに変化量算出手段により算出される時間的変化量に基づきファジィ推論により着霜量を推定し、除霜開始タイミングを求める推論部とを備え、前記除霜開始タイミングにより除霜処理開始指令を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載の冷却装置によれば、制御手段が通常除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときに加熱手段を駆動停止させる一方、簡易除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させるとともに加熱手段を駆動停止させるので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明の請求項2に記載の冷却装置によれば、制御手段が通常除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上となったときに加熱手段を駆動停止させ、かつ冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったとき、あるいは加熱手段の駆動停止後から決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させる一方、簡易除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させるとともに加熱手段を駆動停止させるので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができるという効果を奏する。特に、出口空気温度が第1基準温度以上である場合に加熱手段の駆動を停止させるので、除霜時の温度上昇を抑制することができ、商品へのダメージを最小限にすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷却装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1における冷却装置を適用したオープンショーケースを一部断面で示した側面図である。ここで例示する冷却装置は、内部に収納した商品を冷却した状態で販売するオープンショーケース1に適用するものである。尚、かかる冷却装置は、複数のオープンショーケース1に適用するものであっても良いが、本実施の形態1においては、説明の便宜上、1つのオープンショーケース1に適用する冷却装置について説明することにする。
【0021】
オープンショーケース1は、本体キャビネット1aと、内側ダクト2および外側ダクト3とを備えて構成してある。本体キャビネット1aは、前面が開口した略直方状の断熱筐体であり、内部に収容室4を有するものである。この収容室4には、商品陳列棚5が上下方向に沿って複数段設けてある。内側ダクト2および外側ダクト3は、それぞれ収容室4を画成する底壁4a、後壁4bおよび天壁4cを連通する態様で形成された通風路であり、内側ダクト2の方が収容室4に近接する側に形成してある。換言すると、外側ダクト3は、内側ダクト2よりも外方側に形成してある。内側ダクト2および外側ダクト3のそれぞれの吸込口2a,3aは、収容室4の前方側下端部分、すなわち本体キャビネット1aの前面開口の下縁部分に設けてある一方、内側ダクト2および外側ダクト3のそれぞれの吹出口2b,3bは、収容室4の前方側上端部分、すなわち本体キャビネット1aの前面開口の上縁部分に設けてある。
【0022】
このようなオープンショーケース1に適用される冷却装置は、冷凍機11、膨張弁12および蒸発器13を配管で接続することにより構成してある。冷凍機11は、オープンショーケース1の外部に配設してあり、図には明示しないが、圧縮機と凝縮器とを備えている。圧縮機は、供給された冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒(ガス冷媒)として凝縮器に与えるためのものである。凝縮器は、圧縮機で高温高圧に圧縮された冷媒を放熱(凝縮)させて高温高圧の冷媒(液冷媒)にさせるものである。膨張弁12は、配管を通じて冷凍機11に接続してあり、冷凍機11から供給された冷媒、すなわち凝縮器で凝縮させた冷媒を(液冷媒)を断熱膨張させて低温低圧の冷媒(液冷媒)にさせるものである。
【0023】
蒸発器13は、冷媒導入管14を通じて膨張弁12に接続してあり、内側ダクト2の内部に配設してある。この蒸発器13は、供給された冷媒、すなわち膨張弁12で断熱膨張させた冷媒を蒸発させることにより内側ダクト2の内部を通過する空気を冷却するためのものである。図2に示すように、本実施の形態における蒸発器13は、例えば銅パイプ13aとアルミフィン13bとからなるフィン付コイル型蒸発器であり、上方側部が冷媒入口13cとなっており、下方側部が冷媒出口13dとなっている。つまり、冷媒入口13cは、冷媒導入管14内部と連通している。
【0024】
また、この蒸発器13の下方部分近傍には、ヒータ15が配設してあるとともに、図には明示しない送風ファン16(図3参照)が配設してある。ヒータ15は、後述する除霜制御手段20から指令が与えられることにより通電状態になり、周囲空気を加熱する加熱手段である。送風ファン16は、駆動することにより空気を送出させるものである。
【0025】
上記蒸発器13の冷媒出口13dは冷媒導出管17内部と連通しており、かかる冷媒導出管17は、上記冷凍機11に接続してある。つまり、蒸発器13は、冷媒導出管17を通じて冷凍機11に接続してある。蒸発器13で蒸発させた冷媒(ガス冷媒)は、冷媒導出管17を通過して冷凍機11(圧縮機)に供給されることになる。
【0026】
このような冷却装置では、冷凍機11(圧縮機)から吐出された高温高圧のガス冷媒が凝縮器において凝縮して(放熱して)高温高圧の液冷媒となる。この高温高圧の液冷媒は、膨張弁12に供給され、該膨張弁12にて断熱膨張されて低温低圧の気液2相冷媒となって、冷媒導出管17を通じて蒸発器13の冷媒入口13cに至り、該冷媒入口13cより銅パイプ13a内に進入して蒸発器13に供給されたことになる。蒸発器13に供給された気液2相冷媒は、送風ファン16によって供給された収容室4の内部空気と熱交換し、蒸発して(吸熱して)低温低圧のガス冷媒となることにより収容室4の冷却を行う。蒸発器13を経たガス冷媒、すなわち銅パイプ13a内を通過して冷媒出口13dに至ったガス冷媒は、冷媒導出管17を通じて冷凍機11(圧縮機)に吸入される。
【0027】
ところで、送風ファン16が駆動することにより吸込口2aから内側ダクト2に進入した内部空気(収容室4の内部空気)は、蒸発器13の周囲を通過する際に冷却され、その後内側ダクト2の吹出口2bから下方に向けて吹き出されることによりエアカーテンを形成し、吸込口2aから再び内側ダクト2に進入して蒸発器13に送出される。このようにして内側ダクト2および収容室4を循環する内部空気は、冷気となって循環しながら収容室4の商品陳列棚5に載置された商品を冷却することになる。
【0028】
一方、外側ダクト3内にも図示しないファン(以下、外側ファンと称する)が設けてあり、該外側ファンが駆動することにより、外側ダクト3を通過した空気は、吹出口3bから下方に吹き出されてエアカーテンを形成し、吸込口3aから再び外側ダクト3に進入することになる。この外側ダクト3を通過する空気は、蒸発器13等により冷却されない非冷空気であり、吹出口3bから吹き出されて形成されるエアカーテンは、内側ダクト2を循環する冷気により形成されるエアカーテンを保護するためのものである。
【0029】
上記オープンショーケース1において、蒸発器13近傍の風下側の位置には出口空気温度センサS1が設けてあるとともに、冷媒導入管14の冷媒入口13c近傍部分には入口冷媒温度センサS2が設けてある。出口空気温度センサS1は、蒸発器13の風下側の空気温度、すなわち蒸発器13を通過した直後の空気の温度を検出する検出手段である。入口冷媒温度センサS2は、冷媒導入管14における冷媒入口13c近傍の温度、すなわち蒸発器13に供給される直前の冷媒の温度を検出する検出手段である。ここで、入口冷媒温度センサS2は、冷媒導入管14との間に水が溜まるとそれが氷に成長して検出精度を低下させてしまう虞れがあるので、冷媒導入管14との接触面積を小さくして、水が溜まらないようにすることが好ましい。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態1における冷却装置の制御系を示すブロック図である。この図3に示すように、冷却装置は、その制御系の一つとして除霜制御手段20を備えている。除霜制御手段20は、設定記憶部21と、時間計測部22と、通常除霜制御部23と、簡易除霜制御部24とを備えている。
【0031】
設定記憶部21は、種々の情報を予め設定し、かつこれを記憶するものである。より詳細には、蒸発器13の風下側における空気温度の目標温度(第1基準温度)と、蒸発器13に供給される直前の冷媒温度の目標温度(第2基準温度)とを予め設定し、かつこれらを記憶するとともに、後述する通常除霜処理における水切り時間、並びに後述する簡易除霜処理の処理時間を予め設定し、かつ記憶するものである。本実施の形態1では、例えば、第1基準温度を7℃、第2基準温度を0℃としている。ここで、第1基準温度および第2基準温度は、蒸発器13に付着した霜が完全に融解されたと判断するのに必要十分な温度である。また、処理時間は、例えば5分間程度である。
【0032】
時間計測部22は、時間を計測するためのものである。通常除霜制御部23は、通常除霜処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。簡易除霜制御部24は、簡易制御処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。
【0033】
図4は、図3に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図4を参照しながら、冷却装置の動作について説明する。
【0034】
まず、図4に示す通常除霜処理において除霜制御手段20は、通常除霜制御部23を通じて膨張弁12を閉成させ(ステップS101)、該通常除霜制御部23を通じてヒータ15に通電させて駆動させる(ステップS102)。このように膨張弁12を閉成させることにより蒸発器13への冷媒の供給が停止される。また、ステップS102により、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0035】
ヒータ15に通電させた除霜制御手段20は、出口空気温度センサS1を通じて蒸発器13の風下側の空気温度(出口空気温度)を検出するとともに、入口冷媒温度センサS2を通じて蒸発器13に供給される冷媒の温度(入口冷媒温度)を検出する(ステップS103)。
【0036】
そして、除霜制御手段20は、通常除霜制御部23を通じて出口空気温度が設定記憶部21に記憶された第1基準温度以上であるか否かを判断し(ステップS104)、出口空気温度が第1基準温度未満である場合(ステップS104:No)には、上記ステップS103の処理を実施する一方、出口空気温度が第1基準温度以上である場合(ステップS104:Yes)には、入口冷媒温度が設定記憶部21に記憶された第2基準温度以上であるか否かを判断する(ステップS105)。
【0037】
入口冷媒温度が第2基準温度未満である場合(ステップS105:N0)には、上記ステップS103の処理を実施する一方、入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合(ステップS105:Yes)には、通常除霜制御部23を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させる(ステップS106)、これと同時に時間計測部22を通じて時間計測を開始する(ステップS107)。このステップS106においてヒータ15の駆動を停止させることにより霜の融解から融解により生じた水の除去、いわゆる水切りを開始することになる。
【0038】
そして、ステップS108で開始した計測時間が所定時間、すなわち設定記憶部21に記憶された水切り時間を経過したか否かを判断し(ステップS108)、かかる水切り時間を経過している場合(ステップS108:Yes)には、通常除霜制御部23を通じて膨張弁12を開成させて(ステップS109)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対して冷媒の供給が開始される。
【0039】
図5は、図3に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図5を参照しながら、冷却装置の動作についてさらに説明する。
【0040】
まず、図5に示す簡易除霜処理において除霜制御手段20は、簡易除霜制御部24を通じて膨張弁12を閉成させる(ステップS201)。これにより蒸発器13への冷媒の供給が停止されることになる。
【0041】
次に、除霜制御手段20は、簡易除霜制御部24を通じてヒータ15に通電させて駆動させ(ステップS202)、これと同時に時間計測部22を通じて時間計測を開始する(ステップS203)。ここで、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0042】
そして、ステップS203で開始した計測時間が所定時間、すなわち設定記憶部21に記憶された処理時間を経過したか否かを判断し(ステップS204)、かかる処理時間を経過している場合(ステップS204:Yes)には、簡易除霜制御部24を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させるとともに、膨張弁12を開成させて(ステップS205)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対して冷媒の供給が開始される。
【0043】
以上説明したような本発明の実施の形態1における冷却装置では、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させている、つまり、出口空気温度が第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に蒸発器13に付着した霜が完全に融解されたものと判断してヒータ15の駆動を停止させている。より詳細に説明すると、出口空気温度が第1基準温度以上になるということは、少なくともヒータ15により加熱された熱が蒸発器13を通過していることを意味しており、空気の通過が霜で阻害されていないことを意味している。また、入口冷媒温度が第2基準温度以上になるということは、最も霜が融け残りやすい位置でも霜が融けたことを意味している。
【0044】
上述した従来の通常除霜では、出口空気温度のみで判断をしていたため、霜は空気の通過を阻害しない程度に融けていることの判断は行い得たが、完全に霜が融解されていない場合もあり、この場合、融け残った霜が次の除霜処理までの間に成長し、蒸発器13の冷却能力を低下させてしまう虞れがあった。
【0045】
このように本発明の実施の形態1における冷却装置によれば、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させ、簡易除霜処理において、予め決められた処理時間が経過した時点で強制的に終了させているので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができる。特に、簡易除霜処理を行うことにより、通常除霜処理の回数を低減させることができ、これにより収容室4に収納される商品に与えるダメージを小さいものにすることができる。
【0046】
<実施の形態2>
図6は、本発明の実施の形態2における冷却装置の制御系を示すブロック図である。尚、以下の説明において、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0047】
この図6に示すように、冷却装置は、その制御系の一つとして除霜制御手段30を備えている。除霜制御手段30は、設定記憶部31と、時間計測部32と、通常除霜制御部33と、簡易除霜制御部34とを備えている。
【0048】
設定記憶部31は、種々の情報を予め設定し、かつこれを記憶するものである。より詳細には、蒸発器13の風下側における空気温度の目標温度(第1基準温度)と、蒸発器13に供給される直前の冷媒温度の目標温度(第2基準温度)を予め設定し、かつこれらを記憶するとともに、後述する通常除霜処理における水切り時間、並びに後述する簡易除霜処理の処理時間を予め設定し、かつ記憶するものである。本実施の形態2では、例えば、第1基準温度を7℃、第2基準温度を0℃としている。ここで、第1基準温度および第2基準温度は、蒸発器13に付着した霜が完全に融解されたと判断するのに必要十分な温度である。また、処理時間は、例えば5分間程度である。
【0049】
時間計測部32は、時間を計測するためのものである。通常除霜制御部33は、通常除霜処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。簡易除霜制御部34は、簡易制御処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。
【0050】
図7は、図6に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図7を参照しながら、冷却装置の動作について説明する。
【0051】
まず、図7に示す通常除霜処理において除霜制御手段30は、通常除霜制御部33を通じて膨張弁12を閉成させ(ステップS301)、該通常除霜制御部33を通じてヒータ15に通電させて駆動させる(ステップS302)。このように膨張弁12を閉成させることにより蒸発器13への冷媒の供給が停止される。また、ステップS302により、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0052】
ヒータ15に通電させた除霜制御手段30は、出口空気温度センサS1を通じて蒸発器13の風下側の空気温度(出口空気温度)を検出する(ステップS303)。
【0053】
そして、除霜制御手段30は、通常除霜制御部33を通じて出口空気温度が設定記憶部31に記憶された第1基準温度以上であるか否かを判断し(ステップS304)、出口空気温度が第1基準温度未満である場合(ステップS304:No)には、上記ステップS303の処理を実施する一方、出口空気温度が第1基準温度以上である場合(ステップS304:Yes)には、通常除霜制御部33を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させる(ステップS305)。
【0054】
ヒータ15の駆動を停止させた除霜制御手段30は、入口冷媒温度センサS2を通じて蒸発器13に供給される冷媒の温度(入口冷媒温度)を検出し(ステップS306)、その後通常除霜制御部33を通じて入口冷媒温度が設定記憶部31に記憶された第2基準温度以上であるか否かを判断し(ステップS307)、入口冷媒温度が第2基準温度未満である場合(ステップS307:No)には、上記ステップS306の処理を実施する一方、入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合(ステップS307:Yes)には、膨張弁12を開成させて(ステップS308)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対して冷媒の供給が開始される。
【0055】
図8は、図6に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図8を参照しながら、冷却装置の動作についてさらに説明する。
【0056】
まず、図8に示す簡易除霜処理において除霜制御手段30は、簡易除霜制御部34を通じて膨張弁12を閉成させる(ステップS401)。これにより蒸発器13への冷媒の供給が停止されることになる。
【0057】
次に、除霜制御手段30は、簡易除霜制御部34を通じてヒータ15に通電させて駆動させ(ステップS402)、これと同時に時間計測部32を通じて時間計測を開始する(ステップS403)。ここで、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0058】
そして、ステップS403で開始した計測時間が所定時間、すなわち設定記憶部31に記憶された処理時間を経過したか否かを判断し(ステップS404)、かかる処理時間を経過している場合(ステップS404:Yes)には、簡易除霜制御部34を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させるとともに、膨張弁12を開成させて(ステップS405)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対しての冷媒の供給が開始される。
【0059】
以上説明したような本発明の実施の形態2における冷却装置では、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させている。これは、上述したように少なくともヒータ15により加熱された熱が蒸発器13を通過していることを意味しており、空気の通過が霜で阻害されていないことを意味している。そして、ヒータ15の駆動停止後に入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に膨張弁12を開成させている。これは、ヒータ15の駆動を停止させても送風ファン16により暖かい空気を送風させることができ、これにより、蒸発器13、特に冷媒導入管14に付着した霜が融解されることになる。
【0060】
つまり、通常除霜処理においては、出口空気温度が第1基準温度以上である場合にヒータ15の駆動を停止させているので、上述した実施の形態1に比して、ヒータ15の駆動を早く停止させることができる。また、入口冷媒温度が第2基準温度以上となるまで膨張弁12を閉成させているので、最も霜が融け残りやすい位置に付着した霜も完全に融解されたことになる。
【0061】
このように本発明の実施の形態2における冷却装置によれば、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させ、入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に膨張弁12を開成させ、簡易除霜処理において、予め決められた処理時間が経過した時点で強制的に終了させているので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができる。特に、出口空気温度が第1基準温度以上である場合にヒータ15の駆動を停止させるので、上記実施の形態1の場合に比して、除霜時の温度上昇を抑制することができ、商品へのダメージを最小限にすることが可能になる。また、簡易除霜処理を行うことにより、通常除霜処理の回数を低減させることができ、これによっても収容室4に収納される商品に与えるダメージを小さいものにすることができる。
【0062】
この実施の形態2では、ステップS307およびステップS308において、入口冷媒温度が第2基準温度以上であるか否かにより膨張弁12を開成させていたが、本発明はこれに限定されず、予め決められた時間が経過したか否かによって膨張弁を開成させて蒸発器に対する冷媒の供給を開始させても良い。
【0063】
<実施の形態3>
図9は、本発明の実施の形態3における冷却装置の制御系を示すブロック図である。尚、以下の説明において、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0064】
この図9に示すように、冷却装置は、その制御系の一つとして除霜制御手段20′を備えている。除霜制御手段20′は、設定記憶部21と、時間計測部22と、通常除霜制御部23と、簡易除霜制御部24と、除霜開始判断手段40とを備えている。
【0065】
除霜開始判断手段40は、除霜開始タイミングを求めて除霜開始指令を与えるものであり、図10に示すように、空気温度差算出部41と、偏差算出部42と、変化量算出部43と、除霜後経過時間計測部44と、時間差算出部45と、除霜間隔算出部46と、ファジィ推論部47と、メンバシップ関数48と、ルール部49とを備えている。
【0066】
空気温度差算出部41は、吹出空気温度センサS3により検出される温度(吹出空気温度T1)と、出口空気温度センサS1により検出される温度(出口空気温度T2)との差(T1−T2)を算出するものである。ここで、吹出空気温度センサS3は、収容室4において、内側ダクト2の吹出口2b近傍に配設してあり、吹出口2bから吹き出される空気の温度(吹出空気の温度)を検出するものである。
【0067】
偏差算出部42は、空気温度差算出部41を通じて算出された温度差(T1−T2)について、当該オープンショーケース1の安定値T0に対する偏差ΔTを算出するものである。ここで、安定値T0とは、当該オープンショーケース1の通常除霜時において求めた固有の値である。すなわち、通常除霜を開始すると、吹出空気温度および出口空気温度が一旦上昇してから下降して安定する。通常、安定するまで約2時間を要し、その後着霜が始まるまでの約1時間が一定に保持される。この間における温度差(T1−T2)を通常除霜の度に取り込みその移動平均を安定値T0としている。
【0068】
変化量算出部43は、偏差算出部42を通じて算出された偏差ΔTの時間的変化量dTを算出するものである。
【0069】
除霜後経過時間計測部44は、前回の通常除霜を行ってから経過時間tpを計測するものである。
【0070】
時間差算出部45は、除霜後経過時間計測部44を通じて計測された経過時間tpと、除霜間隔基準値t0との時間差Δtを算出するものである。尚、除霜間隔基準値t0は、毎回の除霜間隔の移動平均を用いている。
【0071】
除霜間隔算出部46は、外気温度センサS4により検出される外気空気温度T3と、外気湿度センサS5により検出される外気湿度Hとから外気エンタルピを算出して最適除湿間隔値taを算出するものである。ここで、外気温度センサS4および外気湿度センサS5は、オープンショーケース1の周囲に設置してある。
【0072】
尚、上記時間差算出部45においては、除霜が初回の場合には、除霜間隔算出部46を通じて算出された最適除湿間隔値taを除霜間隔基準値t0として時間差Δtを算出する。
【0073】
ファジィ推論部47は、入力された各データ、すなわち偏差ΔT、時間的変化量dT、時間差Δtに基づくファジィ推論により除霜の有無を判定するものである。具体的には、ファジィ推論部47は、入力された各データと、ルール部49に定められたルールとに基づいて除霜の有無を判定し、簡易除霜が必要な場合には、簡易除霜開始指令を簡易除霜制御部24に与える一方、通常除霜が必要な場合には、通常除霜開始指令を通常除霜制御部23に与えるものである。
【0074】
メンバシップ関数48は、ファジィ推論部47へ入力される各データ、すなわち偏差ΔT、時間的変化量dT、時間差Δtに対して霜がどれくらいついているか、あるいは除霜するまでにどの位の余裕があるかといった、余裕度または無理度を判断するために用いられる。
【0075】
ルール部49は、ファジィ推論部47にて除霜の有無を判定するためのルールを定めたものである。具体的には、図11に示すようなオープンショーケース1についての専門技術者が有する除霜制御に関するノウハウをルール化したものであり、偏差ΔTが大きくなれば除霜開始、偏差ΔTが小さくても時間差Δtが大きくなれば除霜開始、時間的変化量dTが大きくなれば除霜開始等々を定めたものである。
【0076】
図12は、図9に示した除霜制御手段が実施する除霜開始判断処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図12を参照しながら、冷却装置の動作について説明する。
【0077】
除霜開始判断処理において除霜制御手段20′における除霜開始判断手段40は、吹出温度センサS3を通じて吹出空気温度T1を検出するとともに、出口空気温度センサS1を通じて出口空気温度T2を検出する(ステップS501)。
【0078】
吹出空気温度T1および出口空気温度T2を検出した除霜開始判断手段40は、空気温度差算出部41を通じて温度差(T1−T2)を算出し(ステップS502)、その後、偏差算出部42を通じて空気温度差算出部41で算出された温度差(T1−T2)についてオープンショーケース1の安定値T0に対する偏差ΔTを算出する(ステップS503)。
【0079】
偏差ΔTを算出した除霜開始判断手段40は、変化量算出部43を通じて偏差算出部42で算出された偏差ΔTの時間的変化量dTを算出する(ステップS504)。時間的変化量dTを算出した除霜開始判断手段40は、除霜後経過時間計測部44を通じて前回の通常除霜を行ってからの経過時間tpを計測し(ステップS505)、時間差算出部45を通じて除霜後経過時間計測部44で計測された経過時間tpと、除霜間隔基準値t0との時間差Δtを算出する(ステップS506)。
【0080】
そして、除霜開始判断手段40は、ファジィ推論部47を通じて入力された偏差ΔT、時間的変化量dT、時間差Δtに基づくファジィ推論により除霜の有無を判定し(ステップS507)、今回の処理を終了して手順をリターンさせる。
【0081】
このように本発明の実施の形態3における冷却装置によれば、除霜開始判断手段40により簡易除霜と通常除霜との開始タイミングをファジィ制御にて実施することが可能になり、簡易除霜処理と通常除霜処理とを必要最低限にすることができる。従って、収容室4の内部温度を上昇させる回数を低減させることができるので、商品に与えるダメージを最低限にすることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明の冷却装置は、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1における冷却装置を適用したオープンショーケースを一部断面で示した側面図である。
【図2】図2は、図1に示した蒸発器を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1における冷却装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2における冷却装置の制御系を示すブロック図である。
【図7】図7は、図6に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図6に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3における冷却装置の制御系を示すブロック図である。
【図10】図10は、図9に示した除霜開始判断手段を示すブロック図である。
【図11】図11は、ルール部に定められたルールの一例を示す図表である。
【図12】図12は、図9に示した除霜制御手段が実施する除霜開始判断処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】図13は、一般的なショーケースを一部断面で示した側面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 オープンショーケース
4 収容室
11 冷凍機
13 蒸発器
15 ヒータ
16 送風ファン
20,30 除霜制御手段
21,31 設定記憶部
22,32 時間計測部
23,33 通常除霜制御部
24,34 簡易除霜制御部
S1 出口空気温度センサ
S2 入口冷媒温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関し、より詳細には、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、通常除霜処理よりも短時間で、かつ収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、一般的なショーケースを一部断面で示した側面図である。図13に示すように、ショーケースは、前面にガラス扉がないオープンショーケース100であり、前面が開口した略直方状の断熱筐体として形成された本体キャビネット100aと、商品陳列棚500が配設された収容室400と、内側ダクト200および外側ダクト300と、内側ダクト200内に設置された蒸発器130とが備えられている。尚、内側ダクト200および外側ダクト300は、収容室400の底壁400a、後壁400bおよび天壁400cを連通する態様で形成されている。蒸発器130は、配管を通じて膨張弁120と冷凍機110とに接続されている。図には明示していないが、冷凍機110は圧縮機と凝縮器とを備える。圧縮機は、供給された冷媒を圧縮するものである。凝縮器は、圧縮機で圧縮された冷媒を冷却して凝縮させるものである。膨張弁120は、凝縮器から供給された冷媒を絞り効果により低圧の状態に断熱膨張させる働きと、内部温度の変化に応じて流量を調整する働きを有するものである。蒸発器130は、膨張弁120で断熱膨張させた冷媒を蒸発させるものである。
【0003】
上記構成を有するオープンショーケース100では、凝縮器で凝縮させた高温高圧の冷媒を、配管を通じて送出し、膨張弁120で低温低圧の状態に断熱膨張させて蒸発器130に送出し、蒸発器130にて冷媒を蒸発させる。蒸発器130にて冷媒を蒸発させることにより、蒸発器130の周囲にある空気から冷媒へと熱の移動が行われて該空気を冷却する。すなわち、蒸発器130の周囲にある空気から熱を奪うことにより空気を冷却する。蒸発器130で蒸発した冷媒は、吸入管を通じて冷凍機110の圧縮機に送出される。
【0004】
蒸発器130によって冷却された空気は、内側ダクト200に設けられた送風ファン(図示せず)を作動させることによって、内側ダクト200を通って吹出口200bから収容室400下方に向けて吹き出されてエアカーテンを形成し、吸込口200aから吸い込まれ再び内側ダクト200を通って蒸発器130に送られる。このようにして内側ダクト200および収容室400を循環する空気は、冷気となって循環しながら収容室400内の商品陳列棚500上に載置された商品を冷却する。
【0005】
上記オープンショーケース100では、冷却運転に伴い蒸発器130の表面に霜が付着し(着霜)、時間の経過とともに成長する。このため定期的にヒータ150を通電して除霜を行っている。この除霜運転は以下の手順により行う。
【0006】
まず、冷媒の供給を停止させ、その後に蒸発器130下部の風上側すなわち空気入口側に設置されているヒータ150を通電して霜を融かし、蒸発器130の上部側、すなわち通過する空気の風下側付近に設置された空気温度センサSが、基準温度以上になったことを検出した時点でヒータ150の通電を停止し、蒸発器130の水切りのため一定時間送風を行い、その後に冷却運転を再開させる。
【0007】
この定期的な除霜は通常30分程度の時間を要するため、この除霜を頻繁に行った場合オープンショーケース100庫内の温度が上昇し、商品鮮度が落ちてしまう。そこで、上記の定期的な除霜(以下、これを「通常除霜」と呼ぶ)の運転と次の運転との間に、時間の短い除霜(以下、これを「簡易除霜」と呼ぶ)を行う除霜方式を備えたオープンショーケース100が特許文献1および特許文献2に開示されている。この簡易除霜は、通常除霜と同様に、冷媒の供給を停止させた後に蒸発器130の下部に設置されたヒータ150を通電することにより行われるが、通常除霜と比べてヒータ150の通電時間が5分程度と短く、ヒータ150の通電を停止させた後に水切りのための送風を行わずにすぐに冷却運転を再開させる。従って、簡易除霜を行うことによって一時的に庫内の温度は上昇するが、短時間であるために通常除霜ほど温度が高くなることがなく、収容室400の商品の鮮度に影響を与えることがない。この簡易除霜を、通常除霜の運転と次の運転との間に数回に分けて行うことによって、蒸発器130に付着した霜を低減させることができ、通常除霜の運転周期を長大化させることが可能になる。
【0008】
【特許文献1】特開平7−190582号公報
【特許文献2】特開2000−81272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したオープンショーケース100では、蒸発器130の風下側の位置、つまり風上側に設置してあるヒータ150よりも遠い位置に設けた空気温度センサSのみにより検出される温度に基づいて通常除霜を行っていたので、次のような問題があった。
【0010】
通常除霜時や簡易除霜時においては、ヒータ150により加熱された空気が送風されることにより蒸発器130に付着した霜が融解されることになる。しかしながら、このようなヒータ150により加熱された空気が送風されることにより蒸発器130に付着した霜が一様に融解されるのではなく、ヒータ150に近接する部分に付着した霜が最も融解されやすく、ヒータ150から最も遠い部分、すなわち蒸発器130の風下側の部分に付着した霜は融解されにくい。また、同じくヒータ150から遠い部分である蒸発器130の両端側上部に付着した霜も融解されにくい。つまり、不均一な着霜が生ずることになる。このような不均一な着霜が生じた状態で、通常除霜を行うと、ヒータ150に近接する部分に付着する霜は積極的に融解され、ヒータ150に加熱された空気が空気温度センサS付近を通過することにより該空気温度センサSにより基準温度以上と検出される結果、上述したようなヒータ150から遠い部分の霜が融解されていなくても除霜が完了したものとして通常除霜が終了してしまう虞れがあった。このように霜が融解せずに融け残ると、残った霜はアイスバンクと呼ばれる非常に融けにくい氷が発生してしまう。
【0011】
このようなアイスバンクの発生を抑制するために、ヒータ150の通電終了を判断するための上記基準温度を高めに設定することもできるが、これでは内部温度の上昇を招来する虞れがあった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る冷却装置は、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段とを備え、前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る冷却装置は、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段とを備え、前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させ、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったとき、あるいは前記加熱手段の駆動停止後から決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る冷却装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記冷媒温度センサは、前記蒸発器に前記冷媒を導入するための冷媒導入管における前記蒸発器の冷媒入口近傍の温度を検出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る冷却装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記制御手段は、収容室に吹き出される空気温度と、前記空気温度センサにより検出された温度との差を算出する温度差算出手段と、除霜処理毎に除霜が完了してから着霜するまでの安定期間における前記温度差算出手段により算出される差の平均値を算出し安定値として更新・記憶する更新記憶手段と、前記更新記憶手段により記憶される安定値に対する現時点の温度差の偏差を算出する偏差算出手段と、前記偏差算出手段により算出される偏差の時間的変化量を算出する変化量算出手段と、前記偏差算出手段により算出される温度差の偏差、並びに変化量算出手段により算出される時間的変化量に基づきファジィ推論により着霜量を推定し、除霜開始タイミングを求める推論部とを備え、前記除霜開始タイミングにより除霜処理開始指令を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載の冷却装置によれば、制御手段が通常除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときに加熱手段を駆動停止させる一方、簡易除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させるとともに加熱手段を駆動停止させるので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明の請求項2に記載の冷却装置によれば、制御手段が通常除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上となったときに加熱手段を駆動停止させ、かつ冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったとき、あるいは加熱手段の駆動停止後から決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させる一方、簡易除霜処理を行う場合には、蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに冷媒の供給を開始させるとともに加熱手段を駆動停止させるので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができるという効果を奏する。特に、出口空気温度が第1基準温度以上である場合に加熱手段の駆動を停止させるので、除霜時の温度上昇を抑制することができ、商品へのダメージを最小限にすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷却装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1における冷却装置を適用したオープンショーケースを一部断面で示した側面図である。ここで例示する冷却装置は、内部に収納した商品を冷却した状態で販売するオープンショーケース1に適用するものである。尚、かかる冷却装置は、複数のオープンショーケース1に適用するものであっても良いが、本実施の形態1においては、説明の便宜上、1つのオープンショーケース1に適用する冷却装置について説明することにする。
【0021】
オープンショーケース1は、本体キャビネット1aと、内側ダクト2および外側ダクト3とを備えて構成してある。本体キャビネット1aは、前面が開口した略直方状の断熱筐体であり、内部に収容室4を有するものである。この収容室4には、商品陳列棚5が上下方向に沿って複数段設けてある。内側ダクト2および外側ダクト3は、それぞれ収容室4を画成する底壁4a、後壁4bおよび天壁4cを連通する態様で形成された通風路であり、内側ダクト2の方が収容室4に近接する側に形成してある。換言すると、外側ダクト3は、内側ダクト2よりも外方側に形成してある。内側ダクト2および外側ダクト3のそれぞれの吸込口2a,3aは、収容室4の前方側下端部分、すなわち本体キャビネット1aの前面開口の下縁部分に設けてある一方、内側ダクト2および外側ダクト3のそれぞれの吹出口2b,3bは、収容室4の前方側上端部分、すなわち本体キャビネット1aの前面開口の上縁部分に設けてある。
【0022】
このようなオープンショーケース1に適用される冷却装置は、冷凍機11、膨張弁12および蒸発器13を配管で接続することにより構成してある。冷凍機11は、オープンショーケース1の外部に配設してあり、図には明示しないが、圧縮機と凝縮器とを備えている。圧縮機は、供給された冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒(ガス冷媒)として凝縮器に与えるためのものである。凝縮器は、圧縮機で高温高圧に圧縮された冷媒を放熱(凝縮)させて高温高圧の冷媒(液冷媒)にさせるものである。膨張弁12は、配管を通じて冷凍機11に接続してあり、冷凍機11から供給された冷媒、すなわち凝縮器で凝縮させた冷媒を(液冷媒)を断熱膨張させて低温低圧の冷媒(液冷媒)にさせるものである。
【0023】
蒸発器13は、冷媒導入管14を通じて膨張弁12に接続してあり、内側ダクト2の内部に配設してある。この蒸発器13は、供給された冷媒、すなわち膨張弁12で断熱膨張させた冷媒を蒸発させることにより内側ダクト2の内部を通過する空気を冷却するためのものである。図2に示すように、本実施の形態における蒸発器13は、例えば銅パイプ13aとアルミフィン13bとからなるフィン付コイル型蒸発器であり、上方側部が冷媒入口13cとなっており、下方側部が冷媒出口13dとなっている。つまり、冷媒入口13cは、冷媒導入管14内部と連通している。
【0024】
また、この蒸発器13の下方部分近傍には、ヒータ15が配設してあるとともに、図には明示しない送風ファン16(図3参照)が配設してある。ヒータ15は、後述する除霜制御手段20から指令が与えられることにより通電状態になり、周囲空気を加熱する加熱手段である。送風ファン16は、駆動することにより空気を送出させるものである。
【0025】
上記蒸発器13の冷媒出口13dは冷媒導出管17内部と連通しており、かかる冷媒導出管17は、上記冷凍機11に接続してある。つまり、蒸発器13は、冷媒導出管17を通じて冷凍機11に接続してある。蒸発器13で蒸発させた冷媒(ガス冷媒)は、冷媒導出管17を通過して冷凍機11(圧縮機)に供給されることになる。
【0026】
このような冷却装置では、冷凍機11(圧縮機)から吐出された高温高圧のガス冷媒が凝縮器において凝縮して(放熱して)高温高圧の液冷媒となる。この高温高圧の液冷媒は、膨張弁12に供給され、該膨張弁12にて断熱膨張されて低温低圧の気液2相冷媒となって、冷媒導出管17を通じて蒸発器13の冷媒入口13cに至り、該冷媒入口13cより銅パイプ13a内に進入して蒸発器13に供給されたことになる。蒸発器13に供給された気液2相冷媒は、送風ファン16によって供給された収容室4の内部空気と熱交換し、蒸発して(吸熱して)低温低圧のガス冷媒となることにより収容室4の冷却を行う。蒸発器13を経たガス冷媒、すなわち銅パイプ13a内を通過して冷媒出口13dに至ったガス冷媒は、冷媒導出管17を通じて冷凍機11(圧縮機)に吸入される。
【0027】
ところで、送風ファン16が駆動することにより吸込口2aから内側ダクト2に進入した内部空気(収容室4の内部空気)は、蒸発器13の周囲を通過する際に冷却され、その後内側ダクト2の吹出口2bから下方に向けて吹き出されることによりエアカーテンを形成し、吸込口2aから再び内側ダクト2に進入して蒸発器13に送出される。このようにして内側ダクト2および収容室4を循環する内部空気は、冷気となって循環しながら収容室4の商品陳列棚5に載置された商品を冷却することになる。
【0028】
一方、外側ダクト3内にも図示しないファン(以下、外側ファンと称する)が設けてあり、該外側ファンが駆動することにより、外側ダクト3を通過した空気は、吹出口3bから下方に吹き出されてエアカーテンを形成し、吸込口3aから再び外側ダクト3に進入することになる。この外側ダクト3を通過する空気は、蒸発器13等により冷却されない非冷空気であり、吹出口3bから吹き出されて形成されるエアカーテンは、内側ダクト2を循環する冷気により形成されるエアカーテンを保護するためのものである。
【0029】
上記オープンショーケース1において、蒸発器13近傍の風下側の位置には出口空気温度センサS1が設けてあるとともに、冷媒導入管14の冷媒入口13c近傍部分には入口冷媒温度センサS2が設けてある。出口空気温度センサS1は、蒸発器13の風下側の空気温度、すなわち蒸発器13を通過した直後の空気の温度を検出する検出手段である。入口冷媒温度センサS2は、冷媒導入管14における冷媒入口13c近傍の温度、すなわち蒸発器13に供給される直前の冷媒の温度を検出する検出手段である。ここで、入口冷媒温度センサS2は、冷媒導入管14との間に水が溜まるとそれが氷に成長して検出精度を低下させてしまう虞れがあるので、冷媒導入管14との接触面積を小さくして、水が溜まらないようにすることが好ましい。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態1における冷却装置の制御系を示すブロック図である。この図3に示すように、冷却装置は、その制御系の一つとして除霜制御手段20を備えている。除霜制御手段20は、設定記憶部21と、時間計測部22と、通常除霜制御部23と、簡易除霜制御部24とを備えている。
【0031】
設定記憶部21は、種々の情報を予め設定し、かつこれを記憶するものである。より詳細には、蒸発器13の風下側における空気温度の目標温度(第1基準温度)と、蒸発器13に供給される直前の冷媒温度の目標温度(第2基準温度)とを予め設定し、かつこれらを記憶するとともに、後述する通常除霜処理における水切り時間、並びに後述する簡易除霜処理の処理時間を予め設定し、かつ記憶するものである。本実施の形態1では、例えば、第1基準温度を7℃、第2基準温度を0℃としている。ここで、第1基準温度および第2基準温度は、蒸発器13に付着した霜が完全に融解されたと判断するのに必要十分な温度である。また、処理時間は、例えば5分間程度である。
【0032】
時間計測部22は、時間を計測するためのものである。通常除霜制御部23は、通常除霜処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。簡易除霜制御部24は、簡易制御処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。
【0033】
図4は、図3に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図4を参照しながら、冷却装置の動作について説明する。
【0034】
まず、図4に示す通常除霜処理において除霜制御手段20は、通常除霜制御部23を通じて膨張弁12を閉成させ(ステップS101)、該通常除霜制御部23を通じてヒータ15に通電させて駆動させる(ステップS102)。このように膨張弁12を閉成させることにより蒸発器13への冷媒の供給が停止される。また、ステップS102により、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0035】
ヒータ15に通電させた除霜制御手段20は、出口空気温度センサS1を通じて蒸発器13の風下側の空気温度(出口空気温度)を検出するとともに、入口冷媒温度センサS2を通じて蒸発器13に供給される冷媒の温度(入口冷媒温度)を検出する(ステップS103)。
【0036】
そして、除霜制御手段20は、通常除霜制御部23を通じて出口空気温度が設定記憶部21に記憶された第1基準温度以上であるか否かを判断し(ステップS104)、出口空気温度が第1基準温度未満である場合(ステップS104:No)には、上記ステップS103の処理を実施する一方、出口空気温度が第1基準温度以上である場合(ステップS104:Yes)には、入口冷媒温度が設定記憶部21に記憶された第2基準温度以上であるか否かを判断する(ステップS105)。
【0037】
入口冷媒温度が第2基準温度未満である場合(ステップS105:N0)には、上記ステップS103の処理を実施する一方、入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合(ステップS105:Yes)には、通常除霜制御部23を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させる(ステップS106)、これと同時に時間計測部22を通じて時間計測を開始する(ステップS107)。このステップS106においてヒータ15の駆動を停止させることにより霜の融解から融解により生じた水の除去、いわゆる水切りを開始することになる。
【0038】
そして、ステップS108で開始した計測時間が所定時間、すなわち設定記憶部21に記憶された水切り時間を経過したか否かを判断し(ステップS108)、かかる水切り時間を経過している場合(ステップS108:Yes)には、通常除霜制御部23を通じて膨張弁12を開成させて(ステップS109)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対して冷媒の供給が開始される。
【0039】
図5は、図3に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図5を参照しながら、冷却装置の動作についてさらに説明する。
【0040】
まず、図5に示す簡易除霜処理において除霜制御手段20は、簡易除霜制御部24を通じて膨張弁12を閉成させる(ステップS201)。これにより蒸発器13への冷媒の供給が停止されることになる。
【0041】
次に、除霜制御手段20は、簡易除霜制御部24を通じてヒータ15に通電させて駆動させ(ステップS202)、これと同時に時間計測部22を通じて時間計測を開始する(ステップS203)。ここで、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0042】
そして、ステップS203で開始した計測時間が所定時間、すなわち設定記憶部21に記憶された処理時間を経過したか否かを判断し(ステップS204)、かかる処理時間を経過している場合(ステップS204:Yes)には、簡易除霜制御部24を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させるとともに、膨張弁12を開成させて(ステップS205)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対して冷媒の供給が開始される。
【0043】
以上説明したような本発明の実施の形態1における冷却装置では、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させている、つまり、出口空気温度が第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に蒸発器13に付着した霜が完全に融解されたものと判断してヒータ15の駆動を停止させている。より詳細に説明すると、出口空気温度が第1基準温度以上になるということは、少なくともヒータ15により加熱された熱が蒸発器13を通過していることを意味しており、空気の通過が霜で阻害されていないことを意味している。また、入口冷媒温度が第2基準温度以上になるということは、最も霜が融け残りやすい位置でも霜が融けたことを意味している。
【0044】
上述した従来の通常除霜では、出口空気温度のみで判断をしていたため、霜は空気の通過を阻害しない程度に融けていることの判断は行い得たが、完全に霜が融解されていない場合もあり、この場合、融け残った霜が次の除霜処理までの間に成長し、蒸発器13の冷却能力を低下させてしまう虞れがあった。
【0045】
このように本発明の実施の形態1における冷却装置によれば、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上で、かつ入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させ、簡易除霜処理において、予め決められた処理時間が経過した時点で強制的に終了させているので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができる。特に、簡易除霜処理を行うことにより、通常除霜処理の回数を低減させることができ、これにより収容室4に収納される商品に与えるダメージを小さいものにすることができる。
【0046】
<実施の形態2>
図6は、本発明の実施の形態2における冷却装置の制御系を示すブロック図である。尚、以下の説明において、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0047】
この図6に示すように、冷却装置は、その制御系の一つとして除霜制御手段30を備えている。除霜制御手段30は、設定記憶部31と、時間計測部32と、通常除霜制御部33と、簡易除霜制御部34とを備えている。
【0048】
設定記憶部31は、種々の情報を予め設定し、かつこれを記憶するものである。より詳細には、蒸発器13の風下側における空気温度の目標温度(第1基準温度)と、蒸発器13に供給される直前の冷媒温度の目標温度(第2基準温度)を予め設定し、かつこれらを記憶するとともに、後述する通常除霜処理における水切り時間、並びに後述する簡易除霜処理の処理時間を予め設定し、かつ記憶するものである。本実施の形態2では、例えば、第1基準温度を7℃、第2基準温度を0℃としている。ここで、第1基準温度および第2基準温度は、蒸発器13に付着した霜が完全に融解されたと判断するのに必要十分な温度である。また、処理時間は、例えば5分間程度である。
【0049】
時間計測部32は、時間を計測するためのものである。通常除霜制御部33は、通常除霜処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。簡易除霜制御部34は、簡易制御処理を行う際に膨張弁12およびヒータ15の駆動を制御するためのものである。
【0050】
図7は、図6に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図7を参照しながら、冷却装置の動作について説明する。
【0051】
まず、図7に示す通常除霜処理において除霜制御手段30は、通常除霜制御部33を通じて膨張弁12を閉成させ(ステップS301)、該通常除霜制御部33を通じてヒータ15に通電させて駆動させる(ステップS302)。このように膨張弁12を閉成させることにより蒸発器13への冷媒の供給が停止される。また、ステップS302により、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0052】
ヒータ15に通電させた除霜制御手段30は、出口空気温度センサS1を通じて蒸発器13の風下側の空気温度(出口空気温度)を検出する(ステップS303)。
【0053】
そして、除霜制御手段30は、通常除霜制御部33を通じて出口空気温度が設定記憶部31に記憶された第1基準温度以上であるか否かを判断し(ステップS304)、出口空気温度が第1基準温度未満である場合(ステップS304:No)には、上記ステップS303の処理を実施する一方、出口空気温度が第1基準温度以上である場合(ステップS304:Yes)には、通常除霜制御部33を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させる(ステップS305)。
【0054】
ヒータ15の駆動を停止させた除霜制御手段30は、入口冷媒温度センサS2を通じて蒸発器13に供給される冷媒の温度(入口冷媒温度)を検出し(ステップS306)、その後通常除霜制御部33を通じて入口冷媒温度が設定記憶部31に記憶された第2基準温度以上であるか否かを判断し(ステップS307)、入口冷媒温度が第2基準温度未満である場合(ステップS307:No)には、上記ステップS306の処理を実施する一方、入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合(ステップS307:Yes)には、膨張弁12を開成させて(ステップS308)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対して冷媒の供給が開始される。
【0055】
図8は、図6に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図8を参照しながら、冷却装置の動作についてさらに説明する。
【0056】
まず、図8に示す簡易除霜処理において除霜制御手段30は、簡易除霜制御部34を通じて膨張弁12を閉成させる(ステップS401)。これにより蒸発器13への冷媒の供給が停止されることになる。
【0057】
次に、除霜制御手段30は、簡易除霜制御部34を通じてヒータ15に通電させて駆動させ(ステップS402)、これと同時に時間計測部32を通じて時間計測を開始する(ステップS403)。ここで、ヒータ15により加熱された空気は、送風ファン16により送風される結果、蒸発器13の周囲を通過することになる。この結果、蒸発器13に付着した霜が融解されることになる。
【0058】
そして、ステップS403で開始した計測時間が所定時間、すなわち設定記憶部31に記憶された処理時間を経過したか否かを判断し(ステップS404)、かかる処理時間を経過している場合(ステップS404:Yes)には、簡易除霜制御部34を通じてヒータ15の通電を停止、すなわちヒータ15の駆動を停止させるとともに、膨張弁12を開成させて(ステップS405)、今回の処理を終了し、手順をリターンさせる。これにより蒸発器13に対しての冷媒の供給が開始される。
【0059】
以上説明したような本発明の実施の形態2における冷却装置では、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させている。これは、上述したように少なくともヒータ15により加熱された熱が蒸発器13を通過していることを意味しており、空気の通過が霜で阻害されていないことを意味している。そして、ヒータ15の駆動停止後に入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に膨張弁12を開成させている。これは、ヒータ15の駆動を停止させても送風ファン16により暖かい空気を送風させることができ、これにより、蒸発器13、特に冷媒導入管14に付着した霜が融解されることになる。
【0060】
つまり、通常除霜処理においては、出口空気温度が第1基準温度以上である場合にヒータ15の駆動を停止させているので、上述した実施の形態1に比して、ヒータ15の駆動を早く停止させることができる。また、入口冷媒温度が第2基準温度以上となるまで膨張弁12を閉成させているので、最も霜が融け残りやすい位置に付着した霜も完全に融解されたことになる。
【0061】
このように本発明の実施の形態2における冷却装置によれば、通常除霜処理において、出口空気温度が第1基準温度以上である場合に、ヒータ15の駆動を停止させ、入口冷媒温度が第2基準温度以上である場合に膨張弁12を開成させ、簡易除霜処理において、予め決められた処理時間が経過した時点で強制的に終了させているので、霜の融け残りがなく、アイスバンクの発生を抑制することができ、また設定温度を高くする必要がないので、内部温度が上昇することがない。従って、内部温度の上昇を招来することなく、アイスバンクの発生を抑制することができる。特に、出口空気温度が第1基準温度以上である場合にヒータ15の駆動を停止させるので、上記実施の形態1の場合に比して、除霜時の温度上昇を抑制することができ、商品へのダメージを最小限にすることが可能になる。また、簡易除霜処理を行うことにより、通常除霜処理の回数を低減させることができ、これによっても収容室4に収納される商品に与えるダメージを小さいものにすることができる。
【0062】
この実施の形態2では、ステップS307およびステップS308において、入口冷媒温度が第2基準温度以上であるか否かにより膨張弁12を開成させていたが、本発明はこれに限定されず、予め決められた時間が経過したか否かによって膨張弁を開成させて蒸発器に対する冷媒の供給を開始させても良い。
【0063】
<実施の形態3>
図9は、本発明の実施の形態3における冷却装置の制御系を示すブロック図である。尚、以下の説明において、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0064】
この図9に示すように、冷却装置は、その制御系の一つとして除霜制御手段20′を備えている。除霜制御手段20′は、設定記憶部21と、時間計測部22と、通常除霜制御部23と、簡易除霜制御部24と、除霜開始判断手段40とを備えている。
【0065】
除霜開始判断手段40は、除霜開始タイミングを求めて除霜開始指令を与えるものであり、図10に示すように、空気温度差算出部41と、偏差算出部42と、変化量算出部43と、除霜後経過時間計測部44と、時間差算出部45と、除霜間隔算出部46と、ファジィ推論部47と、メンバシップ関数48と、ルール部49とを備えている。
【0066】
空気温度差算出部41は、吹出空気温度センサS3により検出される温度(吹出空気温度T1)と、出口空気温度センサS1により検出される温度(出口空気温度T2)との差(T1−T2)を算出するものである。ここで、吹出空気温度センサS3は、収容室4において、内側ダクト2の吹出口2b近傍に配設してあり、吹出口2bから吹き出される空気の温度(吹出空気の温度)を検出するものである。
【0067】
偏差算出部42は、空気温度差算出部41を通じて算出された温度差(T1−T2)について、当該オープンショーケース1の安定値T0に対する偏差ΔTを算出するものである。ここで、安定値T0とは、当該オープンショーケース1の通常除霜時において求めた固有の値である。すなわち、通常除霜を開始すると、吹出空気温度および出口空気温度が一旦上昇してから下降して安定する。通常、安定するまで約2時間を要し、その後着霜が始まるまでの約1時間が一定に保持される。この間における温度差(T1−T2)を通常除霜の度に取り込みその移動平均を安定値T0としている。
【0068】
変化量算出部43は、偏差算出部42を通じて算出された偏差ΔTの時間的変化量dTを算出するものである。
【0069】
除霜後経過時間計測部44は、前回の通常除霜を行ってから経過時間tpを計測するものである。
【0070】
時間差算出部45は、除霜後経過時間計測部44を通じて計測された経過時間tpと、除霜間隔基準値t0との時間差Δtを算出するものである。尚、除霜間隔基準値t0は、毎回の除霜間隔の移動平均を用いている。
【0071】
除霜間隔算出部46は、外気温度センサS4により検出される外気空気温度T3と、外気湿度センサS5により検出される外気湿度Hとから外気エンタルピを算出して最適除湿間隔値taを算出するものである。ここで、外気温度センサS4および外気湿度センサS5は、オープンショーケース1の周囲に設置してある。
【0072】
尚、上記時間差算出部45においては、除霜が初回の場合には、除霜間隔算出部46を通じて算出された最適除湿間隔値taを除霜間隔基準値t0として時間差Δtを算出する。
【0073】
ファジィ推論部47は、入力された各データ、すなわち偏差ΔT、時間的変化量dT、時間差Δtに基づくファジィ推論により除霜の有無を判定するものである。具体的には、ファジィ推論部47は、入力された各データと、ルール部49に定められたルールとに基づいて除霜の有無を判定し、簡易除霜が必要な場合には、簡易除霜開始指令を簡易除霜制御部24に与える一方、通常除霜が必要な場合には、通常除霜開始指令を通常除霜制御部23に与えるものである。
【0074】
メンバシップ関数48は、ファジィ推論部47へ入力される各データ、すなわち偏差ΔT、時間的変化量dT、時間差Δtに対して霜がどれくらいついているか、あるいは除霜するまでにどの位の余裕があるかといった、余裕度または無理度を判断するために用いられる。
【0075】
ルール部49は、ファジィ推論部47にて除霜の有無を判定するためのルールを定めたものである。具体的には、図11に示すようなオープンショーケース1についての専門技術者が有する除霜制御に関するノウハウをルール化したものであり、偏差ΔTが大きくなれば除霜開始、偏差ΔTが小さくても時間差Δtが大きくなれば除霜開始、時間的変化量dTが大きくなれば除霜開始等々を定めたものである。
【0076】
図12は、図9に示した除霜制御手段が実施する除霜開始判断処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図12を参照しながら、冷却装置の動作について説明する。
【0077】
除霜開始判断処理において除霜制御手段20′における除霜開始判断手段40は、吹出温度センサS3を通じて吹出空気温度T1を検出するとともに、出口空気温度センサS1を通じて出口空気温度T2を検出する(ステップS501)。
【0078】
吹出空気温度T1および出口空気温度T2を検出した除霜開始判断手段40は、空気温度差算出部41を通じて温度差(T1−T2)を算出し(ステップS502)、その後、偏差算出部42を通じて空気温度差算出部41で算出された温度差(T1−T2)についてオープンショーケース1の安定値T0に対する偏差ΔTを算出する(ステップS503)。
【0079】
偏差ΔTを算出した除霜開始判断手段40は、変化量算出部43を通じて偏差算出部42で算出された偏差ΔTの時間的変化量dTを算出する(ステップS504)。時間的変化量dTを算出した除霜開始判断手段40は、除霜後経過時間計測部44を通じて前回の通常除霜を行ってからの経過時間tpを計測し(ステップS505)、時間差算出部45を通じて除霜後経過時間計測部44で計測された経過時間tpと、除霜間隔基準値t0との時間差Δtを算出する(ステップS506)。
【0080】
そして、除霜開始判断手段40は、ファジィ推論部47を通じて入力された偏差ΔT、時間的変化量dT、時間差Δtに基づくファジィ推論により除霜の有無を判定し(ステップS507)、今回の処理を終了して手順をリターンさせる。
【0081】
このように本発明の実施の形態3における冷却装置によれば、除霜開始判断手段40により簡易除霜と通常除霜との開始タイミングをファジィ制御にて実施することが可能になり、簡易除霜処理と通常除霜処理とを必要最低限にすることができる。従って、収容室4の内部温度を上昇させる回数を低減させることができるので、商品に与えるダメージを最低限にすることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明の冷却装置は、内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1における冷却装置を適用したオープンショーケースを一部断面で示した側面図である。
【図2】図2は、図1に示した蒸発器を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1における冷却装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図3に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2における冷却装置の制御系を示すブロック図である。
【図7】図7は、図6に示した除霜制御手段が実施する通常除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図6に示した除霜制御手段が実施する簡易除霜処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3における冷却装置の制御系を示すブロック図である。
【図10】図10は、図9に示した除霜開始判断手段を示すブロック図である。
【図11】図11は、ルール部に定められたルールの一例を示す図表である。
【図12】図12は、図9に示した除霜制御手段が実施する除霜開始判断処理の内容を示すフローチャートである。
【図13】図13は、一般的なショーケースを一部断面で示した側面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 オープンショーケース
4 収容室
11 冷凍機
13 蒸発器
15 ヒータ
16 送風ファン
20,30 除霜制御手段
21,31 設定記憶部
22,32 時間計測部
23,33 通常除霜制御部
24,34 簡易除霜制御部
S1 出口空気温度センサ
S2 入口冷媒温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、
前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、
前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、
前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段と
を備え、
前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、
前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、
前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、
前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段と
を備え、
前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させ、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったとき、あるいは前記加熱手段の駆動停止後から決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
前記冷媒温度センサは、前記蒸発器に前記冷媒を導入するための冷媒導入管における前記蒸発器の冷媒入口近傍の温度を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
収容室に吹き出される空気温度と、前記空気温度センサにより検出された温度との差を算出する温度差算出手段と、
除霜処理毎に除霜が完了してから着霜するまでの安定期間における前記温度差算出手段により算出される差の平均値を算出し安定値として更新・記憶する更新記憶手段と、
前記更新記憶手段により記憶される安定値に対する現時点の温度差の偏差を算出する偏差算出手段と、
前記偏差算出手段により算出される偏差の時間的変化量を算出する変化量算出手段と、
前記偏差算出手段により算出される温度差の偏差、並びに変化量算出手段により算出される時間的変化量に基づきファジィ推論により着霜量を推定し、除霜開始タイミングを求める推論部と
を備え、
前記除霜開始タイミングにより除霜処理開始指令を与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項1】
内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、
前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、
前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、
前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段と
を備え、
前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上で、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
内部に配設した蒸発器に供給された冷媒を蒸発させて通過する空気を冷却させ、冷却された空気を導入して収容室の内部を冷却するものであって、前記蒸発器に付着した霜を完全に除去することを目的に行う通常除霜処理と、前記通常除霜処理よりも短時間で、かつ前記収容室の内部温度が変化しない程度に霜の除去を行う簡易除霜処理とを制御する制御手段を備えた冷却装置において、
前記蒸発器の風下側の空気温度を検出する空気温度センサと、
前記蒸発器に供給される冷媒の温度を検出する冷媒温度センサと、
前記蒸発器の風上側の空気を加熱する加熱手段と
を備え、
前記制御手段は、前記通常除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、前記空気温度センサにより検出される空気温度が予め決められた第1基準温度以上となったときに前記加熱手段を駆動停止させ、かつ前記冷媒温度センサにより検出される冷媒の温度が予め決められた第2基準温度以上となったとき、あるいは前記加熱手段の駆動停止後から決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させる一方、前記簡易除霜処理を行う場合には、前記蒸発器への冷媒の供給を停止させるとともに前記加熱手段を駆動させ、予め決められた時間が経過したときに前記冷媒の供給を開始させるとともに前記加熱手段を駆動停止させることを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
前記冷媒温度センサは、前記蒸発器に前記冷媒を導入するための冷媒導入管における前記蒸発器の冷媒入口近傍の温度を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
収容室に吹き出される空気温度と、前記空気温度センサにより検出された温度との差を算出する温度差算出手段と、
除霜処理毎に除霜が完了してから着霜するまでの安定期間における前記温度差算出手段により算出される差の平均値を算出し安定値として更新・記憶する更新記憶手段と、
前記更新記憶手段により記憶される安定値に対する現時点の温度差の偏差を算出する偏差算出手段と、
前記偏差算出手段により算出される偏差の時間的変化量を算出する変化量算出手段と、
前記偏差算出手段により算出される温度差の偏差、並びに変化量算出手段により算出される時間的変化量に基づきファジィ推論により着霜量を推定し、除霜開始タイミングを求める推論部と
を備え、
前記除霜開始タイミングにより除霜処理開始指令を与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−267678(P2008−267678A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110273(P2007−110273)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
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