冷却装置
【課題】 冷却温度の切り換え時の温度制御性を向上させることができる冷却装置を提供する。
【解決手段】 反応釜1のジャケット部2に加熱用流体タンク24を介して蒸気供給管15を接続する。また、反応釜1のジャケット部2の左側に、管路14を介して冷却用真空タンク16を接続する。ジャケット部2の下部を、排出管19でエゼクタ6のノズル部12と接続する。
加熱と冷却の切り換え時に、加熱用流体タンク24と冷却用真空タンク16をそれぞれ切り換えることによって、時間遅れなく加熱工程と冷却工程を切り換えることができ、温度制御性を向上させることができる。
【解決手段】 反応釜1のジャケット部2に加熱用流体タンク24を介して蒸気供給管15を接続する。また、反応釜1のジャケット部2の左側に、管路14を介して冷却用真空タンク16を接続する。ジャケット部2の下部を、排出管19でエゼクタ6のノズル部12と接続する。
加熱と冷却の切り換え時に、加熱用流体タンク24と冷却用真空タンク16をそれぞれ切り換えることによって、時間遅れなく加熱工程と冷却工程を切り換えることができ、温度制御性を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換室内で被熱交換物を直接に又は間接に熱交換して、被熱交換物を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却装置は、熱交換室をエゼクタと連通して、当該エゼクタにタンクを介して循環ポンプと接続すると共に、当該タンクへ冷却水を供給することによるタンク内水温の制御部を設けることによって、蒸気の急凝縮に起因するハンマー現象に伴う振動や衝撃を防止することができるものである。
【0003】
この冷却装置においては、冷却温度の切り換え時に、所定の冷却温度に時間遅れなく速やかに制御することができず、その結果として冷却装置の温度制御性を悪化させる問題があった。これは、冷却温度を切り換える時に、冷却のための所定の温度状態に変更するために時間を要してしまうためである。
【特許文献1】特公平5−34054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、冷却温度の切り換え時の時間遅れを極力少なくして、冷却装置の温度制御性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被熱交換物を冷却する熱交換室をエゼクタと連通して、当該エゼクタにタンクを介して循環ポンプと接続し、当該タンクに冷却流体を補給する冷却流体補給管を接続したものにおいて、熱交換室に冷却用真空タンクを接続したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の冷却装置は、熱交換室に冷却用真空タンクを接続したことにより、この冷却用真空タンクをあらかじめ、所定の真空状態に維持しておくことによって、冷却用真空タンクと熱交換室を連通すると直ちに、熱交換室を所定の真空状態へと切り換えることができ、時間遅れなく冷却温度を切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、熱交換室に冷却用真空タンクを接続するものであるが、これらのタンクの容積や形状は、熱交換室の容積や、タンクと熱交換室との配管接続状況等に応じて適宜設計することができる。
【実施例1】
【0008】
本実施例においては、熱交換室として冷却を行う反応釜1を用いた例を示す。反応釜1の内部に入れた図示しない被熱交換物を、反応釜1のジャケット部2へ供給する冷却源としての冷却水によって冷却するものである。
【0009】
反応釜1のほぼ全周にわたりジャケット部2を形成し、ジャケット部2の下部に排出管19を取り付けてエゼクタ6と接続する。排出管19には、開閉弁20と、蒸気は排出することがなく、蒸気の凝縮した復水だけを自動的に出口側へ排出することのできる蒸気トラップ21を並列に配置して、エゼクタ6のノズル部12の吸引部と接続する。エゼクタ6のディフューザ部7をタンク8に接続する。タンク8の側方を循環通路9で循環ポンプ10と接続し、更に管路11でエゼクタ6のノズル部12と連通する。
【0010】
管路11を分岐して冷却用流体供給通路3を接続する。この冷却用流体供給通路3には、ジャケット部2へ供給する冷却流体の流量を任意に制御するための制御弁5を取り付ける。タンク8内の冷却水等の液体が循環ポンプ10で循環され、管路11からエゼクタ6のノズル部12を通ってタンク8内へと循環すると共に、冷却用流体供給通路3を通ってジャケット部2へ供給されるものである。なお、タンク8の上部には、冷却流体補給管13を接続する。また、循環ポンプ10の吐出側には、余剰流体排出管23を接続して、タンク8内の液位を所定範囲に維持することができるようにする。
【0011】
ジャケット部2の左側面に、管路14を介して冷却用真空タンク16を接続する。冷却用真空タンク16の下端は、管路18を介してエゼクタ6のノズル部12と接続する。なお、管路14には、急速自動開閉弁22を取り付ける。
【0012】
反応釜1のジャケット部2の上面に、加熱用の蒸気供給管15を接続する。蒸気供給管15には、供給する蒸気の圧力を制御するための圧力制御弁17と、加熱用流体タンク24と、急速自動開閉弁25を順次に取り付ける。加熱用流体タンク24の内部には、蒸気供給管15から所定圧力すなわち温度の蒸気が供給され、急速自動開閉弁25を閉弁している場合は所定温度の蒸気が溜め置かれているものである。
【0013】
加熱用流体タンク24の下端を、管路26を介してエゼクタ6のノズル部12と接続する。管路26には、蒸気トラップ27と開閉弁28を並列に取り付ける。
【0014】
反応釜1内の図示しない被熱交換物を加熱する場合は、急速自動開閉弁25を開弁して加熱用流体タンク24内の加熱に適した温度の蒸気をジャケット部2へ急速に供給することによって、被熱交換物を時間遅れなく加熱することができる。加熱により蒸気の凝縮した復水及び凝縮しなかった蒸気の一部は、排出管19と蒸気トラップ21あるいは開閉弁20を通ってエゼクタ6に吸引されタンク8に至る。
【0015】
加熱に代えて反応釜1内の被熱交換物を冷却する場合は、循環ポンプ10を駆動して冷却用流体供給通路3からジャケット部2へ冷却流体すなわち冷却水を供給すると共に、急速自動開閉弁22を開弁して、あらかじめ所定の真空状態に維持した冷却用真空タンク16とジャケット部2を接続することにより、冷却水が被熱交換物の熱を奪って蒸発することで、被熱交換物を気化冷却することができる。
【0016】
このように、加熱と冷却の切り換え時に、加熱用流体タンク24と冷却用真空タンク16とを切り換えることによって、時間遅れなく加熱と冷却を切り換えることができ、加熱冷却装置の温度制御性を向上させることができる。
【0017】
ジャケット部2で被冷却物の熱を奪って蒸発気化した気化蒸気及び冷却流体の残りは、開閉弁20並びに蒸気トラップ21からエゼクタ6に吸引されタンク8に至る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の冷却装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0019】
1 反応釜
2 ジャケット部
3 冷却用流体供給通路
6 エゼクタ
8 タンク
10 循環ポンプ
12 ノズル部
13 冷却流体補給管
14 管路
15 蒸気供給管
16 冷却用真空タンク
19 排出管
20 開閉弁
21 蒸気トラップ
22 急速自動開閉弁
23 余剰流体排出管
24 加熱用流体タンク
25 急速自動開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換室内で被熱交換物を直接に又は間接に熱交換して、被熱交換物を冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却装置は、熱交換室をエゼクタと連通して、当該エゼクタにタンクを介して循環ポンプと接続すると共に、当該タンクへ冷却水を供給することによるタンク内水温の制御部を設けることによって、蒸気の急凝縮に起因するハンマー現象に伴う振動や衝撃を防止することができるものである。
【0003】
この冷却装置においては、冷却温度の切り換え時に、所定の冷却温度に時間遅れなく速やかに制御することができず、その結果として冷却装置の温度制御性を悪化させる問題があった。これは、冷却温度を切り換える時に、冷却のための所定の温度状態に変更するために時間を要してしまうためである。
【特許文献1】特公平5−34054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、冷却温度の切り換え時の時間遅れを極力少なくして、冷却装置の温度制御性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、被熱交換物を冷却する熱交換室をエゼクタと連通して、当該エゼクタにタンクを介して循環ポンプと接続し、当該タンクに冷却流体を補給する冷却流体補給管を接続したものにおいて、熱交換室に冷却用真空タンクを接続したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の冷却装置は、熱交換室に冷却用真空タンクを接続したことにより、この冷却用真空タンクをあらかじめ、所定の真空状態に維持しておくことによって、冷却用真空タンクと熱交換室を連通すると直ちに、熱交換室を所定の真空状態へと切り換えることができ、時間遅れなく冷却温度を切り換えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、熱交換室に冷却用真空タンクを接続するものであるが、これらのタンクの容積や形状は、熱交換室の容積や、タンクと熱交換室との配管接続状況等に応じて適宜設計することができる。
【実施例1】
【0008】
本実施例においては、熱交換室として冷却を行う反応釜1を用いた例を示す。反応釜1の内部に入れた図示しない被熱交換物を、反応釜1のジャケット部2へ供給する冷却源としての冷却水によって冷却するものである。
【0009】
反応釜1のほぼ全周にわたりジャケット部2を形成し、ジャケット部2の下部に排出管19を取り付けてエゼクタ6と接続する。排出管19には、開閉弁20と、蒸気は排出することがなく、蒸気の凝縮した復水だけを自動的に出口側へ排出することのできる蒸気トラップ21を並列に配置して、エゼクタ6のノズル部12の吸引部と接続する。エゼクタ6のディフューザ部7をタンク8に接続する。タンク8の側方を循環通路9で循環ポンプ10と接続し、更に管路11でエゼクタ6のノズル部12と連通する。
【0010】
管路11を分岐して冷却用流体供給通路3を接続する。この冷却用流体供給通路3には、ジャケット部2へ供給する冷却流体の流量を任意に制御するための制御弁5を取り付ける。タンク8内の冷却水等の液体が循環ポンプ10で循環され、管路11からエゼクタ6のノズル部12を通ってタンク8内へと循環すると共に、冷却用流体供給通路3を通ってジャケット部2へ供給されるものである。なお、タンク8の上部には、冷却流体補給管13を接続する。また、循環ポンプ10の吐出側には、余剰流体排出管23を接続して、タンク8内の液位を所定範囲に維持することができるようにする。
【0011】
ジャケット部2の左側面に、管路14を介して冷却用真空タンク16を接続する。冷却用真空タンク16の下端は、管路18を介してエゼクタ6のノズル部12と接続する。なお、管路14には、急速自動開閉弁22を取り付ける。
【0012】
反応釜1のジャケット部2の上面に、加熱用の蒸気供給管15を接続する。蒸気供給管15には、供給する蒸気の圧力を制御するための圧力制御弁17と、加熱用流体タンク24と、急速自動開閉弁25を順次に取り付ける。加熱用流体タンク24の内部には、蒸気供給管15から所定圧力すなわち温度の蒸気が供給され、急速自動開閉弁25を閉弁している場合は所定温度の蒸気が溜め置かれているものである。
【0013】
加熱用流体タンク24の下端を、管路26を介してエゼクタ6のノズル部12と接続する。管路26には、蒸気トラップ27と開閉弁28を並列に取り付ける。
【0014】
反応釜1内の図示しない被熱交換物を加熱する場合は、急速自動開閉弁25を開弁して加熱用流体タンク24内の加熱に適した温度の蒸気をジャケット部2へ急速に供給することによって、被熱交換物を時間遅れなく加熱することができる。加熱により蒸気の凝縮した復水及び凝縮しなかった蒸気の一部は、排出管19と蒸気トラップ21あるいは開閉弁20を通ってエゼクタ6に吸引されタンク8に至る。
【0015】
加熱に代えて反応釜1内の被熱交換物を冷却する場合は、循環ポンプ10を駆動して冷却用流体供給通路3からジャケット部2へ冷却流体すなわち冷却水を供給すると共に、急速自動開閉弁22を開弁して、あらかじめ所定の真空状態に維持した冷却用真空タンク16とジャケット部2を接続することにより、冷却水が被熱交換物の熱を奪って蒸発することで、被熱交換物を気化冷却することができる。
【0016】
このように、加熱と冷却の切り換え時に、加熱用流体タンク24と冷却用真空タンク16とを切り換えることによって、時間遅れなく加熱と冷却を切り換えることができ、加熱冷却装置の温度制御性を向上させることができる。
【0017】
ジャケット部2で被冷却物の熱を奪って蒸発気化した気化蒸気及び冷却流体の残りは、開閉弁20並びに蒸気トラップ21からエゼクタ6に吸引されタンク8に至る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の冷却装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0019】
1 反応釜
2 ジャケット部
3 冷却用流体供給通路
6 エゼクタ
8 タンク
10 循環ポンプ
12 ノズル部
13 冷却流体補給管
14 管路
15 蒸気供給管
16 冷却用真空タンク
19 排出管
20 開閉弁
21 蒸気トラップ
22 急速自動開閉弁
23 余剰流体排出管
24 加熱用流体タンク
25 急速自動開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被熱交換物を冷却する熱交換室をエゼクタと連通して、当該エゼクタにタンクを介して循環ポンプと接続し、当該タンクに冷却流体を補給する冷却流体補給管を接続したものにおいて、熱交換室に冷却用真空タンクを接続したことを特徴とする冷却装置。
【請求項1】
被熱交換物を冷却する熱交換室をエゼクタと連通して、当該エゼクタにタンクを介して循環ポンプと接続し、当該タンクに冷却流体を補給する冷却流体補給管を接続したものにおいて、熱交換室に冷却用真空タンクを接続したことを特徴とする冷却装置。
【図1】
【公開番号】特開2010−151358(P2010−151358A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328944(P2008−328944)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】
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