説明

冷媒配管ユニット

【課題】冷媒通路を流れる冷媒の圧力によって生ずる離間力によるシール性能低下を防止する。
【解決手段】互いに重ね合わせられるとともに、互いの合わせ面の少なくとも一方に対して冷媒通路(30)を形成する通路用溝(40)が形成された上側及びメインボディ(26,27)を設ける。メインボディ(26)には、冷媒の圧力によって該上側及びメインボディ(26,27)を引き離す方向に生ずる離間力に対して平行な突側シール用面部(60b,70b)を形成し、上側ボディ(27)には、離間力に対して平行な凹側シール用面部(61b,71b)を形成する。そして、シール部材(62)は、突側シール用面部(60b,70b)と凹側シール用面部(61b,71b)との間に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置の冷媒回路に設けられて冷媒が流れる冷媒通路を形成する冷媒配管ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷媒回路の冷媒通路や構成機器を1つの冷媒配管ユニットにまとめ、それによって冷媒回路の小型化等を図ることが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、切削加工等によって凹溝が形成された一対の平板状の部材を備え、この部材をボルトで締結することによって冷媒通路を形成する冷媒配管ユニットが開示されている。この冷媒配管ユニットでは、冷房運転と暖房運転を切り換えるための四方弁や電磁弁等が上面に突設されている。また、平板状の部材の接合面には、シール材であるパッキンを介在させて気密性を保つようにしている。
【特許文献1】特開平11−023071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された冷媒配管ユニットでは、平板状の部材の接合面に、シール材としてパッキンを介在させて気密性を保つようにしているので、冷媒通路を流れる冷媒の圧力が高くなってこれらの平板状の部材を引き離す方向に離間力が生ずると、パッキンのシール圧が低くなる。そして、パッキンのシール圧が低くなると、シール性能が低下し、冷媒通路を流れる冷媒が漏れやすくなってしまう。
【0005】
本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、冷媒通路を流れる冷媒の圧力によって生ずる離間力によるシール性能低下を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、第1の発明は、
冷凍サイクルを行う冷媒回路(15)に設けられて冷媒が流れる冷媒通路(30)を形成する冷媒配管ユニットであって、
互いに重ね合わせられるとともに、互いの合わせ面の少なくとも一方に対して前記冷媒通路(30)を形成する通路用溝(40)が形成された第1及び第2の部材(26,27)と、
前記冷媒通路(30)を流れる冷媒を、前記第1及び第2の部材(26,27)の間でシールするシール部材(62)と、
を備え、
前記第1の部材(26)は、前記冷媒の圧力によって該第1及び第2の部材(26,27)を引き離す方向に生ずる離間力に対して平行な第1のシール用面部(60b,70b)を備え、
前記第2の部材(27)は、前記離間力に対して平行な第2のシール用面部(61b,71b)を備え、
前記シール部材(62)は、前記第1のシール用面部(60b,70b)と前記第2のシール用面部(61b,71b)との間に設けられていることを特徴とする。
【0007】
これにより、第1及び第2の部材(26,27)の間に形成された通路用溝(40)に冷媒が流れると、この冷媒の圧力によって、第1及び第2の部材(26,27)を引き離す方向に離間力が生ずる。このとき、通路用溝(40)によって形成された冷媒通路(30)のシールは、前記離間力に対して平行な、第1のシール用面部(60b,70b)と第2のシール用面部(61b,71b)との間のシール部材(62)により行われる。すなわち、シール部材(62)によるシール圧は、第1のシール用面部(60b,70b)、及び凹側シール用面部(61b,71b)のそれぞれに対して垂直方向に作用する。つまり、このシール圧は離間力に対して垂直方向となる。
【0008】
また、第2の発明は、
第1の発明の冷媒配管ユニットにおいて、
前記第1の部材(26)は、該第1の部材(26)と前記第2の部材(27)との合わせ面において、該第2の部材(27)に向かって突出する突部(60,70)を備え、
前記第2の部材(27)は、前記突部(60,70)が嵌め込まれる凹部(61,71)を備え、
前記突部(60,70)には、前記第1のシール用面部(60b,70b)が形成され、
前記凹部(61,71)には、前記突部(60,70)が該凹部(61,71)にはめ込まれた状態で前記第1のシール用面部(60b,70b)に沿うように前記第2のシール用面部(61b,71b)が形成され、
前記通路用溝(40)は、前記突部(60,70)の頂部(60a,70a)及び前記凹部(61,71)の底部(61a,71a)の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする。
【0009】
これにより、離間力と平行な第1のシール用面部(60b,70b)を有した突部(60,70)と、離間力と平行な第2のシール用面部(61b,71b)を有した凹部(61,71)とが組み合わせられ、突部(60,70)の頂部(60a,70a)と凹部(61,71)の底部(61a,71a)との間に冷媒通路(30)が形成される。
【0010】
また、第3の発明は、
第2の発明の冷媒配管ユニットにおいて、
前記突部(70)は、前記第1の部材(26)とは別部材により構成されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、第1の部材(26)とは別部材により構成された第2突部(70)において、離間力と平行な第1のシール用面部(70b)が形成される。そして、シール部材(62)によるシール圧は、第1のシール用面部(60b,70b)、及び凹側シール用面部(61b,71b)のそれぞれに対して垂直方向に作用する。
【0012】
また、第4の発明は、
第3の発明の冷媒配管ユニットにおいて、
前記突部(70)は、前記第1及び第2の部材(26,27)よりも剛性が低い材料により構成されていることを特徴とする。
【0013】
これにより、第1の部材(26)や第2の部材(27)よりも突部(70)の方が、剛性が低いので、第2突部(70)の方が変形しやすくなる。そのため、離間力による第1及び第2の部材(26,27)の変位に対して、突部(70)が追従して変形する。
【0014】
また、第5の発明は、
第1の発明から第4の発明のうちの何れか1つの冷媒配管ユニットにおいて、
前記第1及び第2のシール用面部(60b,61b)の何れか一方には、前記シール部材(62)を嵌め込むシール部材用溝(60c)が設けられていることを特徴とする。
【0015】
これにより、シール部材(62)は、シール部材用溝(60c)に嵌め込まれて固定される。
【0016】
また、第6の発明は、
第1の発明から第5の発明のうちの何れか1つの冷媒配管ユニットにおいて、
前記第1及び第2の部材(26,27)は、ボルト(29c)により互いに締結されていることを特徴とする。
【0017】
これにより、ボルト(29c)が第1の部材(26)と第2の部材(27)とを一体的に固定する。
【0018】
また、第7の発明は、
第1の発明から第6の発明のうちの何れか1つの冷媒配管ユニットにおいて、
前記通路用溝(40)は、第1及び第2の部材(26,27)の双方に設けられ、これらの双方の通路用溝(40)によって1つの冷媒通路(30)が形成されていることを特徴とする。
【0019】
これにより、第1及び第2の部材(26,27)の双方に設けられた通路用溝(40)によって冷媒通路(30)が形成される。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、冷媒通路を流れる冷媒の圧力によって離間力が作用しても、その離間力はシール圧の作用方向とは直交するので、離間力はシール圧を弱めない。すなわち、本発明では、該離間力によるシール圧低下(すなわちシール性能低下)を防止できる。
【0021】
また、第2の発明によれば、離間力と平行な、第1のシール用面部(60b,70b)及び第2のシール用面部(61b,71b)を容易に形成することができる。
【0022】
また、第3の発明によれば、突部(70)が第1の部材(26)とは別部材により構成されるので、例えば、第1の部材(26)に別部品が取り付けられており、その別部品と第1の部材(26)とに跨って冷媒通路(30)を形成する必要がある場合などに容易に冷媒通路(30)を形成することができる。例えば第1の部材(26)に取り付ける別部品と第1の部材(26)の双方に通路用溝(40)を形成したとすれば、これらの通路用溝(40)間のシールが煩雑になる。これに対し本発明のように、両者を跨るように突部(70)を形成すればこのような問題は生じない。
【0023】
また、第4の発明によれば、離間力による第1及び第2の部材(26,27)の変位に対して、突部(70)が追従して変形するので、安定したシール圧を常に保持することが可能になる。
【0024】
また、第5の発明によれば、シール部材(62)を容易に固定することができる。
【0025】
また、第6の発明によれば、第1の部材(26)と第2の部材(27)とを容易に固定することができる。
【0026】
また、第7の発明によれば、冷媒通路(30)の断面積や断面形状を設定する際の自由度が大きくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
〈空気調和装置の全体構成〉
本実施形態は、図1に示す冷媒回路(15)を備えた空気調和装置(10)であり、冷媒回路(15)の一部は、本発明に係る冷媒配管ユニット(25)として構成されている。
【0029】
詳しくは、本実施形態の空気調和装置(10)は、図1に示すように、熱源側ユニットである室外機(11)と、利用側ユニットである室内機(12)を備えている。この空気調和装置(10)では、室外機(11)に収容された室外回路(16)と、室内機(12)に収容された室内回路(17)とを連絡配管(18,19)で接続することによって冷媒回路(15)が形成されている。なお、図示しないが、室外機(11)には室外熱交換器(23)へ室外空気を送るための室外ファンが設置され、室内機(12)には室内熱交換器(24)へ室内空気を送るための室内ファンが設置されている。
【0030】
室内回路(17)には、上記室内熱交換器(24)が設けられている。室内熱交換器(24)は、冷媒を室内空気と熱交換させるための空気熱交換器である。室内回路(17)は、その液側の端部が液側連絡配管(18)に接続され、そのガス側の端部がガス側連絡配管(19)に接続されている。
【0031】
室外回路(16)には、圧縮機(21)、アキュームレータ(22)、上記室外熱交換器(23)、及び冷媒配管ユニット(25)が設けられている。
【0032】
圧縮機(21)は、本実施形態では全密閉型のスクロール圧縮機(21)であって、吸入管(21a)、吐出管(21b)、中間配管(21c)を備えている。この吸入管(21a)はアキュームレータ(22)の出口管に接続され、吐出管(21b)は冷媒配管ユニット(25)に接続されている。また、中間配管(21c)は、一端が圧縮機(21)における圧縮機構の圧縮途中の圧縮室に連通し、その他端が冷媒配管ユニット(25)に接続されている。
【0033】
アキュームレータ(22)は、冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、分離したガス冷媒を圧縮機に送る。このアキュームレータ(22)の入口管は、冷媒配管ユニット(25)に接続されている。
【0034】
室外熱交換器(23)は、冷媒を室外空気と熱交換させるための空気熱交換器である。この室外熱交換器(23)は、その液側の端部とガス側の端部のそれぞれが冷媒配管ユニット(25)に接続されている。
【0035】
冷媒配管ユニット(25)は、室外回路(16)のうち図1に破線で囲った部分を含んでいる。この冷媒配管ユニット(25)には、高圧冷媒通路(31)、低圧冷媒通路(32)、第1液側通路(33)、第2液側通路(34)、第1ガス側通路(35)、第2ガス側通路(36)、ガス導出通路(37)、高圧ガス戻し通路(38)、及び中間ガス戻し通路(39)がそれぞれ、冷媒を流すための冷媒通路(30)として形成されている。また、冷媒配管ユニット(25)には、冷媒通路(30)を流れる冷媒の流通状態を制御するための制御用機器として、四方切換弁(140)、電動膨張弁(100)、第1電磁弁(110)、第2電磁弁(115)、及び逆止弁(125)が設けられている。またさらには、冷媒配管ユニット(25)には、第1フィルタ(131)と、第2フィルタ(132)も設けられている。
【0036】
高圧冷媒通路(31)は、その一端が圧縮機(21)の吐出管(21b)に接続され、その他端が四方切換弁(140)の第1ポート(141)に接続されている。低圧冷媒通路(32)は、その一端が四方切換弁(140)の第3ポート(143)に接続され、その他端がアキュームレータ(22)の入口管に接続されている。
【0037】
第1ガス側通路(35)は、その一端が四方切換弁(140)の第2ポート(142)に接続され、その他端が室外熱交換器(23)のガス側の端部に接続されている。第1ガス側通路(35)の途中には、サービスポート(120)が接続されている。第2ガス側通路(36)は、その一端が四方切換弁(140)の第4ポート(144)に接続され、その他端がガス側閉鎖弁(98)に接続されている。ガス側閉鎖弁(98)には、ガス側連絡配管(19)が接続されている。
【0038】
第1液側通路(33)は、その一端が電動膨張弁(100)に接続され、その他端が室外熱交換器(23)の液側の端部に接続されている。第1液側通路(33)の途中には、第1フィルタ(131)が設けられている。第2液側通路(34)は、その一端が電動膨張弁(100)に接続され、その他端が液側閉鎖弁(97)に接続されている。第2液側通路(34)の途中には、第2フィルタ(132)が設けられている。液側閉鎖弁(97)には、液側連絡配管(18)が接続されている。
【0039】
ガス導出通路(37)は、その一端が圧縮機(21)の中間配管(21c)に接続され、その他端が高圧冷媒通路(31)に接続されている。このガス導出通路(37)の途中には逆止弁(125)が設けられ、この逆止弁(125)は、ガス導出通路(37)の一端から他端へ向かう冷媒の流通を許容し、逆向きの冷媒の流通を阻止する。
【0040】
高圧ガス戻し通路(38)は、その一端がガス導出通路(37)における逆止弁(125)の流入側に接続され、その他端がガス導出通路(37)における逆止弁(125)の流出側に接続されている。この高圧ガス戻し通路(38)の途中には第2電磁弁(115)が設けられ、この第2電磁弁(115)は、高圧ガス戻し通路(38)における冷媒の流通を断続する。
【0041】
中間ガス戻し通路(39)は、その一端が第2電磁弁(115)の流出側の高圧ガス戻し通路(38)に接続され、その他端が圧縮機(21)の吸入管(21a)に接続されている。第1電磁弁(110)は、中間ガス戻し通路(39)における冷媒の流通を断続する。
【0042】
〈冷媒配管ユニット(25)の構成〉
図2、図3に示すように、冷媒配管ユニット(25)は、本発明の第1の部材に対応するメインボディ(26)、本発明の第2の部材に対応する上側ボディ(27)、及び下側ボディ(28)を備えている。これらのボディ(26,27,28)は、何れも概ね長方形板状に形成された金属製の部材である。これらのボディ(26,27,28)は、例えばアルミニウムを用いてダイキャストやプレス加工等によって所定の形状に形成される。
【0043】
本実施形態では、これらのボディ(26,27,28)は、上側ボディ(27)、メインボディ(26)、下側ボディ(28)の順で、ガスケット(29a,29b)を介して積層されている。重ね合わされたこれらのボディ(26,27,28)は、図3に示すように、上側ボディ(27)側から下側ボディ(28)側へ挿入される複数のボルト(29c)によって互いに締結されている。なお、この冷媒配管ユニット(25)は、その長辺が上下方向となる姿勢で室外機(11)のケーシング内に設置されている。また、以下では説明の便宜上、冷媒配管ユニット(25)の上側ボディ(27)側を該冷媒配管ユニット(25)の上側と呼び、それぞれのボディ(26,27,28)において上側を向いている面を上面と呼び、該上面の反対側の面を下面と呼ぶことにする。
【0044】
<冷媒配管ユニット(25)における制御用機器、冷媒通路の構成及び配置>
この冷媒配管ユニット(25)では、メインボディ(26)には四方切換弁(140)が埋設されるとともに、図2や図3に示すように、該メインボディ(26)の側面には、液側閉鎖弁(97)とガス側閉鎖弁(98)とが取り付けられている。また、下側ボディ(28)は、液側閉鎖弁(97)と同じ側の側面に電動膨張弁(100)が取り付けられ、その反対側の側面には、図4に示すように、パイロット弁(105)が取り付けられている。
【0045】
以下では、冷媒配管ユニット(25)に含まれる制御用機器、冷媒通路のうち、電動膨張弁(100)、パイロット弁(105)、四方切換弁(140)とこれらに繋がる冷媒通路とを中心に説明する。
【0046】
電動膨張弁(100)は、図2や図3に示すように、下側ボディ(28)の側面に取り付けられている。この電動膨張弁(100)は、冷媒が通過する本体部(101)と、パルスモータ(102)とを備え、この本体部(101)を通過する冷媒を減圧させる。電動膨張弁(100)の本体部(101)は、冷媒の流通路と、その流通路における冷媒の流量を変化させるための針状の弁体(図示せず)とを備えている。また、この本体部(101)の外周面には、雄ねじが形成されている。そして、下側ボディ(28)の側面には、内面に雌ねじを有した埋設用穴(103)が設けられ(図7参照)、この埋設用穴(103)に、電動膨張弁(100)の本体部(101)が挿入されている。そして、電動膨張弁(100)の本体部(101)の外周面に形成された雄ねじが埋設用穴(103)の雌ねじと噛み合うことで、電動膨張弁(100)の本体部(101)が下側ボディ(28)に固定されている。また、パルスモータ(102)は、電動膨張弁(100)の本体部(101)の弁体を駆動するモータである。このパルスモータ(102)は、図2等に示すように、下側ボディ(28)の側面から突出している。
【0047】
上記の電動膨張弁(100)には、既述の通り第1液側通路(33)の一端と接続されている。この第1液側通路(33)は、下側ボディ(28)に設けた冷媒通路であり、該第1液側通路(33)の他端(電動膨張弁(100)と接続される側とは反対側の端)は、下側ボディ(28)の側面に開口し(図示省略)、この開口部分において室外熱交換器(23)と接続されている。
【0048】
制御用機器である四方切換弁(140)は、図3や図5に示すように、スライド弁(150)、弁座部(145)、第1蓋部材(155)、及び第2蓋部材(156)を備え、メインボディ(26)に形成された埋設用穴(55)内に埋設されている。
【0049】
埋設用穴(55)は、メインボディ(26)の側面に形成した円形断面の貫通孔である(図5,図6を参照)。この埋設用穴(55)の両端には、雌ねじが形成されている。これらの雌ネジは、第1及び第2蓋部材(155,156)をそれぞれ取り付けるために使用される。
【0050】
上記の埋設用穴(55)の内壁には、四方切換弁(140)の第1ポート(141)が形成されている。具体的には、第1ポート(141)は、図5に示すように、埋設用穴(55)の内壁からメインボディ(26)の下面に向かって貫通する貫通孔である。
【0051】
また、埋設用穴(55)の内壁には、弁座部(145)を嵌め込む貫通孔(147)が形成されている。詳しくは、この貫通孔(147)は、埋設用穴(55)の長手方向のほぼ中央部に配置され、埋設用穴(55)の内壁からメインボディ(26)の上面に向かって貫通する円形断面の貫通孔である(図3を参照)。
【0052】
弁座部(145)は、円盤状の金属製(例えばアルミニウム)の部材であり、図5に示すように、貫通孔(147)に嵌め込まれる。この弁座部(145)の下面(貫通孔(147)に嵌め込まれた状態で埋設用穴(55)内に面した側の面)は、平坦なシート面(146)になっている。シート面(146)には、第2ポート(142)、第3ポート(143)、及び第4ポート(144)が、図5における左から右へ向かって順に一列に並んで開口している。なお、弁座部(145)が貫通孔(147)に嵌め込められた状態で、この弁座部(145)よりも左側の埋設用穴(55)の部分を第1円形断面部(55a)と呼び、右側の部分を第2円形断面部(55b)と呼ぶことにする。
【0053】
四方切換弁(140)のスライド弁(150)は、本体部(160)、第1ピストン(153)、及び第2ピストン(154)を備えている(図5を参照)。本体部(160)は、弁本体(151)とフレーム部材(152)とによって構成されている。弁本体(151)は、横長のドーム状の部材である。また、フレーム部材(152)は、弁座部(145)のシート面(146)に沿って延びる細長い部材である。弁本体(151)は、このフレーム部材(152)に取り付けられており、そのドーム上部分の底辺側が弁座部(145)のシート面(146)と摺接した状態で図5の左右方向へスライド自在となっている。
【0054】
第1ピストン(153)と第2ピストン(154)は、本体部(160)のフレーム部材(152)と別体に形成されており、取付用ボルト(図示省略)によってフレーム部材(152)に固定されている。第1ピストン(153)は、フレーム部材(152)の一端(図5における左端)に取り付けられている。この第1ピストン(153)は、その周縁部が埋設用穴(55)の第1円形断面部(55a)の内面と摺接し、第1円形断面部(55a)を左右に仕切っている。また、第2ピストン(154)は、フレーム部材(152)の他端(図5における右端)に取り付けられている。そして、この第2ピストン(154)は、その周縁部が埋設用穴(55)の第2円形断面部(55b)の内面と摺接し、第2円形断面部(55b)を左右に仕切っている。
【0055】
第1蓋部材(155)は、図5における埋設用穴(55)の左端(即ち、第1円形断面部(55a)の開口端)に取り付けられている。また、第2蓋部材(156)は、図5における埋設用穴(55)の右端(即ち、第2円形断面部(55b)の開口端)に取り付けられている。第1及び第2蓋部材(155,156)は、埋設用穴(55)の両端を塞ぐための部材である。これらの第1及び第2蓋部材(155,156)は、それぞれの外周面に形成された雄ねじが埋設用穴(55)の両端に形成された雌ねじとそれぞれ噛み合うことでメインボディ(26)に固定されている。
【0056】
四方切換弁(140)では、第1及び第2蓋部材(155,156)で埋設用穴(55)両端の開口部分がふさがれることによって、第1円形断面部(55a)側では、第1蓋部材(155)と第1ピストン(153)の間の部分が閉空間となっている。そして、この閉空間の部分が第1切換用チャンバ(171)を構成している。一方、埋設用穴(55)の第2円形断面部(55b)の側では、第2蓋部材(156)と第2ピストン(154)の間の部分が閉空間となっている。そして、この閉空間の部分が第2切換用チャンバ(172)を構成している。
【0057】
この四方切換弁(140)では、第1切換用チャンバ(171)と第2切換用チャンバ(172)の内圧を調節することによってスライド弁(150)が移動する。例えば、第1切換用チャンバ(171)の内圧を第2切換用チャンバ(172)の内圧よりも高く設定すると、四方切換弁(140)のスライド弁(150)が図5における右側へ移動する。また、第2切換用チャンバ(172)の内圧を第1切換用チャンバ(171)の内圧よりも高く設定すると、四方切換弁(140)のスライド弁(150)が同図における左側へ移動する。このような第1及び第2切換用チャンバ(171,172)の内圧設定は、本実施形態では、高圧の冷媒と低圧の冷媒とをパイロット弁(105)により選択的に導入することで実現している。この点については後に詳述する。
【0058】
四方切換弁(140)では、スライド弁(150)が右にスライドした際には、弁本体(151)が、第3ポート(143)と第4ポート(144)とを連通させる。この場合には、第1及び第2ピストン(153,154)の間に形成された閉空間を介して、第1ポート(141)と第2ポート(142)も連通する。これにより、四方切換弁(140)は、図1において実線で示した連通状態になる。また、スライド弁(150)が左にスライドした際には、弁本体(151)が、第2ポート(142)と第3ポート(143)とを連通させる。第2ポート(142)と第3ポート(143)とが連通した場合には、第1及び第2ピストン(153,154)の間に形成された閉空間を介して、第1ポート(141)と第4ポート(144)も連通する。これにより、四方切換弁(140)は、図1において破線で示した連通状態になる。
【0059】
パイロット弁(105)は、四方切換弁(140)を動作させるためのものである。本実施形態のパイロット弁(105)は、本体部(106)とソレノイド(107)を備え、下側ボディ(28)に形成された埋設用穴(108)内に形成されている(図7を参照)。
【0060】
この本体部(106)は、冷媒の流通路と、その流通路における冷媒の流通経路を切り換えるための弁体(図示せず)とを備え、埋設用穴(108)に挿入されている。本体部(106)は、その外周面に形成された雄ねじが埋設用穴(108)の雌ねじと噛み合うことで、下側ボディ(28)に固定されている。ソレノイド(107)は、本体部(106)の弁体を駆動する。このソレノイド(107)は、下側ボディ(28)の側面から突出している。
【0061】
このパイロット弁(105)は、高圧の冷媒を四方切換弁(140)に導入する冷媒通路(30)である高圧導入路(31a)(後述)と、低圧の冷媒を四方切換弁(140)に導入する冷媒通路(30)である低圧導入路(32b)(後述)とに接続されている。そして、本体部(106)の弁体をソレノイド(107)で駆動することによって、高圧導入路(31a)が第1切換用チャンバ(171)に連通し且つ低圧導入路(32b)が第2切換用チャンバ(172)に連通する第1状態と、高圧導入路(31a)が第2切換用チャンバ(172)に連通し且つ低圧導入路(32b)が第1切換用チャンバ(171)に連通する第2状態とに切り換わる。このように、パイロット弁(105)の状態が切り換わると、それに応じて四方切換弁(140)のスライド弁(150)が移動する。
【0062】
この冷媒配管ユニット(25)では、高圧冷媒通路(31)は、該下側ボディ(28)に形成された貫通孔であり、四方切換弁(140)の第1ポート(141)と連通している。詳しくは、この高圧冷媒通路(31)は、図6に示すように、下側ボディ(28)の上面から下面に向かって所定の深さまで延びた後、該下側ボディ(28)の側面方向に向きを変えて該側面(図6では右側)まで貫通している。そして、この下側ボディ(28)の側面において、高圧冷媒通路(31)は、圧縮機(21)の吐出管(21b)と接続されている。
【0063】
また、この高圧冷媒通路(31)は、下側ボディ(28)内において、高圧導入路(31a)(図示省略)として分岐している。この高圧導入路(31a)は、既述したように、高圧の冷媒を四方切換弁(140)に導入する冷媒通路(30)である。そのため、この例では、高圧導入路(31a)は、パイロット弁(105)を埋設する埋設用穴(108)まで延びて該埋設用穴(108)で開口し、パイロット弁(105)に連通している。
【0064】
また、第1ガス側通路(35)は、上側ボディ(27)に形成された貫通孔であり、四方切換弁(140)の第2ポート(142)と連通している。詳しくは、この第1ガス側通路(35)は、図5に示すように、上側ボディ(27)の下面から上面に向かって所定の深さまで延びた後、該上側ボディ(27)の側面方向(図5では左方向)に向きを変えて該側面まで貫通している。なお、図5等には図示していないが、この第1ガス側通路(35)の途中にはサービスポート(120)が設けられている。
【0065】
また、低圧冷媒通路(32)は、上側ボディ(27)に形成された貫通孔であり、四方切換弁(140)の第3ポート(143)と連通している。詳しくは、この低圧冷媒通路(32)は、図5や図6に示すように、上側ボディ(27)の下面から上面に向かって所定の深さまで延びた後、該上側ボディ(27)の側面方向(図6では右方向)に向きを変えて該側面まで貫通している。
【0066】
また、この低圧冷媒通路(32)は、低圧導入路(32b)として分岐している。この低圧導入路(32b)は、既述したように、低圧の冷媒を四方切換弁(140)に導入する冷媒通路(30)である。そのため、この例では、低圧導入路(32b)は、パイロット弁(105)の埋設用穴(108)まで延びて該埋設用穴(108)で開口し、パイロット弁(105)に連通している。
【0067】
本実施形態の低圧導入路(32b)は、図8に示すように、メインボディ(26)の上面に形成された通路用溝(40)を、上側ボディ(27)下面で覆って形成している。すなわち、上側及びメインボディ(26,27)が互いに重ね合わせられることにより、図8に示すように通路用溝(40)の部分で管状空間が形成され、この管状空間が低圧導入路(32b)として機能している。
【0068】
より詳しくは、メインボディ(26)には、図8や図9に示すように、メインボディ(26)と上側ボディ(27)との合わせ面において、該メインボディ(26)上面から上側ボディ(27)に向かって突出する第1突部(60)が形成されている。本実施形態の第1突部(60)は、平面視でL字型をしている。そして、この第1突部(60)の頂部(60a)には断面が方形の通路用溝(40)が形成されている。また、この第1突部(60)の外周面は、メインボディ(26)の上面に対して垂直に立ち上がり、この外周面が、シール部材(62)(後述)を配置する突側シール用面部(60b)を形成している。この突側シール用面部(60b)が本発明の第1のシール用面部に対応する。冷媒配管ユニット(25)では、通路用溝(40)(低圧導入路(32b)や後述の第2ガス側通路(36))に対して冷媒の圧力が作用すると上側及びメインボディ(26,27)を引き離す方向に力(離間力と呼ぶことにする)が作用する。突側シール用面部(60b)は、メインボディ(26)の上面に対して垂直に立ち上がっているので、該突側シール用面部(60b)はこの離間力に対して平行になる。
【0069】
一方、上側ボディ(27)には、図8に示すように、メインボディ(26)の第1突部(60)を嵌め込む第1凹部(61)が形成されている。この第1凹部(61)は、メインボディ(26)と上側ボディ(27)とを重ね合わせた際に、第1突部(60)の頂部(60a)が第1凹部(61)の底部(61a)に当接するように、その深さが設定されている。また、この第1凹部(61)は、突側シール用面部(60b)に沿った面(すなわち離間力に対して平行な面)が、凹側シール用面部(61b)として形成されている。この凹側シール用面部(61b)が、本発明の第2のシール用面部に対応する。
【0070】
突側シール用面部(60b)と凹側シール用面部(61b)との間には、通路用溝(40)(冷媒通路(30))を流れる冷媒を、上側及びメインボディ(26,27)の間でシールするシール部材(62)が設けられている。本実施形態では、突側シール用面部(60b)上に、一条のリング状シール材がシール部材(62)として該突側シール用面部(60b)の全周に渡って配置されている。この例のシール部材(62)は、突側シール用面部(60b)に加工されたシール部材用溝(60c)に嵌め込まれることによって固定されている。このように配置されたシール部材(62)は、突側シール用面部(60b)と凹側シール用面部(61b)とに挟み込まれることによって、これらのシール用面部に対して垂直方向にシール圧を発生させる。なお、シール部材(62)は、突側シール用面部(60b)に対して焼き付けて固定することも可能である。また、シール部材(62)は、凹側シール用面部(61b)側に固定してもよい。
【0071】
また、本実施形態の第2ガス側通路(36)は、メインボディ(26)から上側ボディ(27)に亘って形成されて、四方切換弁(140)の第4ポート(144)と連通している。具体的には、この第2ガス側通路(36)は、メインボディ(26)上面から上側ボディ(27)に向かって突出する第2突部(70)に設けた通路用溝(40)を上側ボディ(27)の下面で覆って形成した冷媒通路(30)と、メインボディ(26)内に形成した連通路(71c)とからなる。
【0072】
連通路(71c)は、図6に示すように、メインボディ(26)に形成された貫通孔であり、メインボディ(26)の上面から該メインボディ(26)の厚さ方向に所定長さ延びた後、メインボディ(26)の側面方向(図6では左方向)に向きを変えて該側面まで貫通している。そして、この連通路(71c)は、一端がメインボディ(26)の上面において第2突部(70)の通路用溝(40)によって形成された冷媒通路(30)と連通し、他端が、メインボディ(26)側面の開口端においてガス側閉鎖弁(98)と接続されている。
【0073】
この第2ガス側通路(36)においても通路用溝(40)は、上側及びメインボディ(26,27)が互いに重ね合わせられることにより、この通路用溝(40)の部分で管状空間が形成される。そして、この管状空間が、冷媒通路(30)として機能する。
【0074】
より詳しくは、本実施形態の第2突部(70)は、上側及びメインボディ(26,27)とは別部材で構成されている。このように、第2突部(70)をメインボディ(26)とは別部材とするのは、第2ガス側通路(36)が、メインボディ(26)と弁座部(145)の2つの部材の面上に跨る冷媒通路であり、この場合にメインボディ(26)と弁座部(145)のそれぞれの面上に突部を設けて通路用溝(40)を形成すると、メインボディ(26)側の通路用溝(40)と、弁座部(145)側の通路用溝(40)との間におけるシールが煩雑になるからである。
【0075】
本実施形態の第2突部(70)は具体的には、図10や図11に示すように、平面視でL字型をした部材である。この第2突部(70)においても、外周面がメインボディ(26)の上面に対して垂直に立ち上がり、この外周面が、シール部材(62)を配置する突側シール用面部(70b)を形成している。この突側シール用面部(70b)も本発明の第1のシール用面部に対応する。
【0076】
また、この第2突部(70)は、メインボディ(26)(本実施形態ではアルミニウム)よりも剛性が低い材料により構成されている。第2突部(70)の材料としては、一例として真鍮などを採用できる。このように、メインボディ(26)よりも剛性が低い材料を採用することで、前記の離間力が作用した際に、同一材料を使用した場合と比べ、上側及びメインボディ(26,27)の変位に対してより追従し易くできるからである。そして、上側及びメインボディ(26,27)の変位に対して追従し易ければ、常に安定したシール圧を保持することが可能になる。
【0077】
なお、第2突部(70)の通路用溝(40)には、四方切換弁(140)の第4ポート(144)と連通する貫通孔(70d)と、連通路(71c)と連通する貫通孔(70e)とがそれぞれ形成されている。これらの貫通孔(70d,70e)には、それぞれオーリング(図5、図6では図示を省略)が配置されている。
【0078】
一方、上側ボディ(27)には、図12に示すように、第2突部(70)を嵌め込む第2凹部(71)が形成されている。この第2凹部(71)には、凹側シール用面部(71b)が、突側シール用面部(70b)に沿って形成されている。すなわち、凹側シール用面部(71b)は、前記離間力に対して平行な面であり、本発明の第2のシール用面部に対応する。
【0079】
また、この第2凹部(71)は、メインボディ(26)と上側ボディ(27)とを重ね合わせた際に、第2突部(70)の頂部(70a)が第2凹部(71)の底部(71a)に当接するように、その深さが設定されている。すなわち、第2突部(70)は、図12に示すように、メインボディ(26)と上側ボディ(27)とによって挟み込まれることになる。そして、上側ボディ(27)で覆われた通路用溝(40)の部分で管状空間が形成され、この管状空間が第2ガス側通路(36)の一部として機能する。
【0080】
また、第2突部(70)においても、突側シール用面部(70b)上に一条のリング状シール材がシール部材(62)として該突側シール用面部(70b)の全周に渡って配置されている。したがって、第2突部(70)におけるシール部材(62)でも、突側シール用面部(70b)と凹側シール用面部(71b)とに挟み込まれることによって、これらのシール用面部に対して垂直方向にシール圧を発生する。第2突部(70)におけるシール部材(62)も、例えば、突側シール用面部(70b)に対して焼き付けたり、該突側シール用面部(70b)に溝を加工してその溝にはめ込んだりすることによって固定すればよい。なお、シール部材(62)は、第2凹部(71)の凹側シール用面部(71b)に対して固定してもよい。
【0081】
<空気調和装置(10)の運転動作>
本実施形態の空気調和装置(10)の運転動作について、図1を参照しながら説明する。この空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを行う。
【0082】
冷房運転時には、四方切換弁(140)が第1状態(図1に実線で示す状態)となる。この状態で圧縮機(21)を運転すると、冷媒回路(15)では、室外熱交換器(23)、電動膨張弁(100)、室内熱交換器(24)の順に冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。
【0083】
具体的に、圧縮機(21)から吐出された冷媒は、高圧冷媒通路(31)と、四方切換弁(140)と、第1ガス側通路(35)とを順に通って室外熱交換器(23)へ流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気へ放熱して凝縮し、その後に第1液側通路(33)を通って電動膨張弁(100)へ送られ、電動膨張弁(100)を通過する際に減圧される。電動膨張弁(100)で減圧された冷媒は、第2液側通路(34)と、液側閉鎖弁(97)と、液側連絡配管(18)とを順に通って室内熱交換器(24)へ流入する。
【0084】
室内熱交換器(24)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(24)から吸熱して蒸発する。室内機(12)は、室内熱交換器(24)で冷媒によって冷却された室内空気を室内へ供給する。
【0085】
室内熱交換器(24)で蒸発した冷媒は、ガス側連絡配管(19)と、ガス側閉鎖弁(98)と、第2ガス側通路(36)と、四方切換弁(140)と、低圧冷媒通路(32)と、アキュームレータ(22)とを順に通って圧縮機(21)へ吸入される。圧縮機(21)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
【0086】
暖房運転時には、四方切換弁(140)が第2状態(図1に破線で示す状態)となる。この状態で圧縮機(21)を運転すると、冷媒回路(15)では、室内熱交換器(24)、電動膨張弁(100)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。
【0087】
具体的に、圧縮機(21)から吐出された冷媒は、高圧冷媒通路(31)と、四方切換弁(140)と、第2ガス側通路(36)と、ガス側閉鎖弁(98)と、ガス側連絡配管(19)とを順に通って室内熱交換器(24)へ流入する。室内熱交換器(24)へ流入した冷媒は、室内空気へ放熱して凝縮する。室内機(12)は、室内熱交換器(24)で冷媒によって加熱された室内空気を室内へ供給する。
【0088】
室内熱交換器(24)で凝縮した冷媒は、液側連絡配管(18)と、液側閉鎖弁(97)と、第2液側通路(34)とを順に通って電動膨張弁(100)へ送られ、電動膨張弁(100)を通過する際に減圧される。電動膨張弁(100)で減圧された冷媒は、第1液側通路(33)を通って室外熱交換器(23)へ流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に第1ガス側通路(35)と、四方切換弁(140)と、低圧冷媒通路(32)と、アキュームレータ(22)とを順に通って圧縮機(21)へ吸入される。圧縮機(21)は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
【0089】
<冷媒配管ユニット(25)における冷媒のシール>
上記のように、冷房運転や暖房運転が行われると、第2ガス側通路(36)等の冷媒の圧力が上昇する。これにより、メインボディ(26)と上側ボディ(27)とを引き離す方向に、離間力が発生する。この離間力は、メインボディ(26)と上側ボディ(27)の合わせ面に対して垂直方向、すなわち、突側シール用面部(60b,70b)と凹側シール用面部(61b,71b)に対しては平行方向に働く力である。一方、低圧冷媒通路(32)や第2ガス側通路(36)の通路用溝(40)におけるシールは、突側シール用面部(60b,70b)と凹側シール用面部(61b,71b)との間のシール部材(62)により行われる。すなわち、これらのシール部材(62)は、突側シール用面部(60b,70b)と凹側シール用面部(61b,71b)とに挟み込まれているので、シール部材(62)のシール圧は、これらのシール用面部の垂直方向に作用する。つまり、このシール圧は離間力に対して垂直方向となる。したがって、上記のように離間力が作用しても、その離間力はシール圧を弱める方向には作用しない。すなわち、本実施形態では、該離間力によるシール圧低下(すなわちシール性能低下)を防止できる。
【0090】
《その他の実施形態》
なお、低圧導入路(32b)や第2ガス側通路(36)では、通路用溝(40)を底部(61a)側に設けて冷媒通路(30)を形成してもよいし、頂部(60a)と底部(61a)の双方に互いに対向した通路用溝(40)を形成して1つの冷媒通路(30)を形成してもよい。
【0091】
また、通路用溝(40)の断面形状は、各図に示した形状に限定されるものではない。例えば、半円形などの断面を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る冷媒配管ユニットは、冷凍装置の冷媒回路に設けられて冷媒が流れる冷媒通路を形成する冷媒配管ユニットとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態の空気調和装置(10)における冷媒回路(15)の構成を示す冷媒回路図である。
【図2】本発明に係る冷媒配管ユニット(25)の斜視図である。
【図3】冷媒配管ユニット(25)を構成するボディ(26,27,28)を示す斜視図である。
【図4】冷媒配管ユニット(25)を構成するボディ(26,27,28)を示す斜視図である。
【図5】四方切換弁(140)、冷媒通路(30)の断面形状を模式的に示す図である。
【図6】四方切換弁(140)、冷媒通路(30)の断面形状を模式的に示す図である。
【図7】四方切換弁(140)、冷媒通路(30)の配置を模式的に示す図である。
【図8】第1突部(60)と第1凹部(61)の断面形状を模式的に示す図である。
【図9】第1突部(60)の形状を示す斜視図である。
【図10】第2突部(70)の配置を示す斜視図である。
【図11】第2突部(70)の形状を示す斜視図である。
【図12】第2突部(70)と第2凹部(71)の断面形状を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0094】
10 空気調和装置
15 冷媒回路
25 冷媒配管ユニット
26 メインボディ(第1の部材)
27 上側ボディ(第2の部材)
30 冷媒通路
40 通路用溝
60 第1突部(突部)
60a 頂部
60b 突側シール用面部(第1のシール用面部)
60c シール部材用溝
61 第1凹部(凹部)
61a 底部
61b 凹側シール用面部(第2のシール用面部)
62 シール部材
70 第2突部(突部)
70a 頂部
70b 突側シール用面部(第1のシール用面部)
71 第2凹部(凹部)
71a 底部
71b 凹側シール用面部(第2のシール用面部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルを行う冷媒回路(15)に設けられて冷媒が流れる冷媒通路(30)を形成する冷媒配管ユニットであって、
互いに重ね合わせられるとともに、互いの合わせ面の少なくとも一方に対して前記冷媒通路(30)を形成する通路用溝(40)が形成された第1及び第2の部材(26,27)と、
前記冷媒通路(30)を流れる冷媒を、前記第1及び第2の部材(26,27)の間でシールするシール部材(62)と、
を備え、
前記第1の部材(26)は、前記冷媒の圧力によって該第1及び第2の部材(26,27)を引き離す方向に生ずる離間力に対して平行な第1のシール用面部(60b,70b)を備え、
前記第2の部材(27)は、前記離間力に対して平行な第2のシール用面部(61b,71b)を備え、
前記シール部材(62)は、前記第1のシール用面部(60b,70b)と前記第2のシール用面部(61b,71b)との間に設けられていることを特徴とする冷媒配管ユニット。
【請求項2】
請求項1の冷媒配管ユニットにおいて、
前記第1の部材(26)は、該第1の部材(26)と前記第2の部材(27)との合わせ面において、該第2の部材(27)に向かって突出する突部(60,70)を備え、
前記第2の部材(27)は、前記突部(60,70)が嵌め込まれる凹部(61,71)を備え、
前記突部(60,70)には、前記第1のシール用面部(60b,70b)が形成され、
前記凹部(61,71)には、前記突部(60,70)が該凹部(61,71)にはめ込まれた状態で前記第1のシール用面部(60b,70b)に沿うように前記第2のシール用面部(61b,71b)が形成され、
前記通路用溝(40)は、前記突部(60,70)の頂部(60a,70a)及び前記凹部(61,71)の底部(61a,71a)の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする冷媒配管ユニット。
【請求項3】
請求項2の冷媒配管ユニットにおいて、
前記突部(70)は、前記第1の部材(26)とは別部材により構成されていることを特徴とする冷媒配管ユニット。
【請求項4】
請求項3の冷媒配管ユニットにおいて、
前記突部(70)は、前記第1及び第2の部材(26,27)よりも剛性が低い材料により構成されていることを特徴とする冷媒配管ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちの何れか1つの冷媒配管ユニットにおいて、
前記第1及び第2のシール用面部(60b,61b)の何れか一方には、前記シール部材(62)を嵌め込むシール部材用溝(60c)が設けられていることを特徴とする冷媒配管ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちの何れか1つの冷媒配管ユニットにおいて、
前記第1及び第2の部材(26,27)は、ボルト(29c)により互いに締結されていることを特徴とする冷媒配管ユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちの何れか1つの冷媒配管ユニットにおいて、
前記通路用溝(40)は、第1及び第2の部材(26,27)の双方に設けられ、これらの双方の通路用溝(40)によって1つの冷媒通路(30)が形成されていることを特徴とする冷媒配管ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−60240(P2010−60240A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228137(P2008−228137)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)