説明

冷蔵庫

【課題】簡単かつコンパクトな構成を有し、低価格かつ省エネルギー型のオゾン発生装置を備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】第1の冷蔵室2、第2の冷蔵室3、第1の冷気通路10、第1の冷却器11及び第1のファン12から冷蔵ゾーンが構成され、第1の冷却器で生成された冷気が冷蔵ゾーン内を循環する。第1の冷凍室2、第2の冷凍室5、第2の冷気通路13、第2の冷却器14及び第2のファン15から冷凍ゾーンが構成され、第2の冷却器で生成された冷気が冷凍ゾーン内を循環する。第1の冷蔵室内及び第1の冷凍室内にオゾン発生装置16が配置される。オゾン発生装置は、複数の通気孔を備え、異極像結晶を収容するケーシングを有する。庫内の温度変化に伴う異極像結晶の温度昇降により、ケーシング内の異極像結晶の周囲の大気をオゾン化し、生成したオゾンを庫内の冷気循環に伴ってケーシングの通気孔を通じて庫内に拡散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫(冷凍庫および冷凍冷蔵庫を含む。以下同じ)に関し、特に、オゾン雰囲気による庫内空気清浄機能を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫においては、庫内の壁面やトレー等における細菌の繁殖が問題となっており、このため、オゾン発生装置を内蔵し、庫内にオゾン雰囲気を保持して細菌の繁殖を抑制することができる冷蔵庫がいくつか提案されている。
【0003】
この種の冷蔵庫としては、例えば、オゾン発生電極と、このオゾン発生電極に高電圧を印加する高電圧発生ユニットと、からなるオゾン発生装置を備えたもの(例えば、特許文献1参照)や、放電灯からなるオゾン発生装置を備えたもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【0004】
しかし、これらのオゾン発生装置は、高圧電源を必要とし、構造が複雑でコンパクト化が容易ではなく、また、高価で、電力消費量が多いという欠点を有している。
さらには、従来のオゾン発生装置によれば、比較的高濃度のオゾンが発生するので、未使用のオゾンが庫内に残留すると、扉の開放時に人体に吸引された場合に人体に有害になる。このため、未使用のオゾンを除去する装置を庫内に取り付け、あるいは、扉の開放時にオゾン発生装置の電源を切る等して安全性を確保する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−91146号公報
【特許文献2】特開平5−113285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、簡単かつコンパクトな構成を有し、低価格かつ省エネルギー型のオゾン発生装置を備えた冷蔵庫を提供することにある。
本発明の別の課題は、冷蔵庫内に、人体に悪影響を及ぼさないような低レベルのオゾン雰囲気を維持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも1つの冷蔵室と、前記冷蔵室に設けられた給気口および排気口と、前記冷蔵室の前記給気口および前記排気口に接続された冷気循環用の冷気通路と、冷気通路内に配置された冷却器と、前記冷気通路内に配置され、前記冷却器によって生成された冷気を前記冷蔵室および前記冷気通路の間において循環させるファンと、を備えた冷蔵庫において、庫内に配置された少なくとも1つのオゾン発生装置を備え、前記オゾン発生装置が、少なくとも1個の異極像結晶と、複数の通気孔を備え、前記異極像結晶を収容するケーシングと、を有し、庫内の温度変化に伴う前記異極像結晶の温度昇降により、前記ケーシング内における前記異極像結晶の周囲の空気をオゾン化し、生成したオゾンを庫内の冷気循環に伴って前記ケーシングの前記通気孔を通じて庫内に拡散させることを特徴とする冷蔵庫を構成したものである。
ここで、および以下の記載中においては、「冷蔵庫」には「冷蔵庫」および「冷凍冷蔵庫」も含み、「冷凍庫」を意味する場合には、「冷蔵室」は「冷凍室」を意味し、「冷凍冷蔵庫」を意味する場合には、「冷蔵室」は「冷蔵室および冷凍室」を意味するものとする。
【0008】
上記構成において、前記オゾン発生装置は、冷蔵庫の庫内の任意の場所に配置されればよく、例えば、前記冷蔵室内または前記冷気通路内またはその両方に置かれてもよいし、または前記冷蔵室の壁面または前記冷気通路の壁面またはその両方に固定されてもよいし、また、前記ファンの吹出口または吸込口またはその両方に取り付けられてもよいし、また、前記冷蔵室の前記給気口または前記排気口またはその両方に取り付けられてもよい。
【0009】
上記構成において、前記複数の通気孔をメッシュ状に形成してもよいし、前記オゾン発生装置に前記異極像結晶の温度を昇降させる温度昇降手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷蔵庫の庫内の温度変化に伴う異極像結晶の温度昇降の繰り返しによって異極像結晶の周囲に高電界が発生するとともに、異極像結晶中から軟X線が発生し、オゾン発生装置のケーシング内における異極像結晶の周囲の空気中の酸素分子が、これらの高電界および軟X線との相互作用によってオゾン化される。発生したオゾンは庫内の冷気循環に伴ってケーシングの通気孔を通じて庫内に拡散され、庫内にオゾン雰囲気が維持される。そして、このオゾン雰囲気によって、庫内の空気が浄化され、庫内表面が殺菌されて庫内表面にカビの発生することが防止される。この場合、オゾンは、主として空気清浄作用を奏し、細菌の繁殖を抑制可能な低レベルのものであるから、冷蔵庫の扉の開閉時等に庫内から外部に漏れるオゾンが人体に悪影響を及ぼすことはない。
【0011】
また、本発明によれば、異極像結晶から発生する高電界によって、異極像結晶の周囲を通過する空気中の細菌の一部を直接死滅させ、また、異極像結晶の周囲を通過する有害ガスを分解し無害化することもできる。
【0012】
そして、本発明によれば、簡単かつコンパクトで安価な構成において庫内の冷蔵ゾーンの空気清浄を行うオゾン発生装置を備えた冷蔵庫を提供することができる。しかも、このオゾン発生装置は庫内の温度変化のみによって作動するので、オゾン発生装置の消費電力はゼロである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好ましい実施例による冷蔵庫の内部構造を示す縦断面図である。
【図2】図1のオゾン発生装置の構成を示す斜視図である。
【図3】オゾン発生装置の別の実施例の構成を示す斜視図である。
【図4】オゾン発生装置のさらに別の実施例の構成を示す斜視図である。
【図5】オゾン発生装置のさらに別の実施例の構成を示す図であり、(A)は外観を示す斜視図であり、(B)は内部構造を示す斜視図である。
【図6】実験1で使用したオゾン発生装置の構成を示す図である。
【図7】実験中のオゾン発生装置の冷蔵庫内における位置を示す写真である。
【図8】実験1の測定結果を示すグラフである。
【図9】実験2で使用したオゾン発生装置の構成を示す図である。
【図10】実験2の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明する。図1は、本発明の1実施例による冷蔵庫の縦断面図である。図1を参照して、この実施例では、冷蔵庫1は冷凍冷蔵庫として構成され、上から順に、第1および第2の冷蔵室2、3、および第1および第2の冷凍室4、5を有している。
なお、本発明は冷凍冷蔵庫に限定されるものではなく、冷蔵庫または冷凍庫として構成することもできる。
【0015】
第1の冷蔵室2の前面開口部には断熱扉6が取り付けられている。第2の冷蔵室3は野菜室として機能し、第2の冷蔵室3には、断熱扉の代わりに引出し7が設けられている。第1および第2の冷凍室4、5にも、断熱扉の代わりに引出し8、9が設けられている。
第1の冷蔵室2には給気口2aが設けられ、第1およびの第2冷蔵室2、3は、仕切壁2bに設けられた通気口2cによって連通し、第2の冷蔵室3には給気口3aおよび排気口3bが設けられている。第1の冷蔵室2の給気口2a、並びに、第2の冷蔵室3の給気口3aおよび排気口3bには、冷気循環用の第1の冷気通路10が接続され、第1の冷気通路10には、第1の冷却器11が配置されている。第1の冷却通路10には、さらに、第1の冷却器11によって生成された冷気を、第1および第2の冷蔵室2、3と、第1の冷気通路10の間において循環させる第1のファン12が配置されている。
【0016】
そして、第1の冷蔵室2、第2の冷蔵室3、第1の冷気通路10、第1の冷却器11および第1のファン12から、冷蔵温度帯に維持される冷蔵ゾーンが構成され、第1の冷却器11で生成された冷気が冷蔵ゾーン内を循環するようになっている。
【0017】
第1の冷凍室4には給気口4aが設けられ、第1および第2の冷凍室4、5は、仕切壁4bに設けられた通気口4cによって連通し、第2の冷凍室5には排気口5bが設けられている。第1の冷凍室4の給気口4aおよび第2の冷凍室5の排気口5aには、第2の冷気通路13が接続され、第2の冷気通路13には、第2の冷却器14が配置されている。第2の冷気通路13には、さらに、第2の冷却器14によって生成された冷気を、第1および第2の冷凍室4、5と、第2の冷気通路13の間において循環させる第2のファン15が配置されている。
【0018】
そして、第1の冷凍室2、第2の冷凍室5、第2の冷気通路13、第2の冷却器14および第2のファン15から、冷凍温度に維持される冷凍ゾーンが構成され、第2の冷却器14で生成された冷気が冷凍ゾーン内を循環するようになっている。
【0019】
また、冷蔵庫1の庫内には、少なくとも1つのオゾン発生装置16が配置されている。この実施例では、オゾン発生装置16は、第1の冷蔵室2内と、第1の冷凍室3内に置かれている。
図2は、オゾン発生装置の構成を示す斜視図である。オゾン発生装置16は、図2に示すように、ケーシング17と、ケーシング17内に収容された異極像結晶18とからなっている。この実施例では、ケーシング17は、扁平な円筒状に形成され、壁の全体にわたってメッシュ状の通気孔19を有している。この場合、通気孔19は、壁の全体にわたって設けられている必要はなく、例えば、上端壁17aにだけ設けられていてもよいし、周壁17bにだけ設けられていてもよい。また、通気孔19は、ケーシング17の壁に複数個設けられておればよく、メッシュ状でなくてもよい。
また、異極像結晶18としては、LiNbOやLiTaO等の公知の異極像結晶を用いることができる。異極像結晶18の形状や大きさは限定されない。
【0020】
次に、オゾン発生装置16の動作方法を説明する。冷蔵庫の動作中、庫内の温度は、予め設定された温度を挟んで上下に変動を繰り返している。この庫内の温度変化に伴って異極像結晶18が温度昇降を繰り返し、それによって異極像結晶18の周囲に高電界が発生するとともに、異極像結晶18から軟X線が発生する。そして、ケーシング17内における異極像結晶18の周囲の空気中の酸素と、これらの高電界および軟X線との相互作用によってオゾンが発生する。
【0021】
第1の冷蔵室2内に置かれたオゾン発生装置16については、ケーシング17内で発生したオゾンは、冷蔵ゾーン内の冷気循環に伴って、ケーシング17の通気孔19から第1の冷蔵室2内に拡散された後、順次、第2の冷蔵室3内および第1の冷気通路10内に拡散され、冷蔵ゾーンにオゾン雰囲気が維持される。
また、第1の冷凍室4内に置かれたオゾン発生装置16については、ケーシング17内で発生したオゾンは、冷凍ゾーン内の冷気循環に伴って、ケーシング17の通気孔19から第1の冷凍室4内に拡散された後、順次、第2の冷凍5内および第2の冷気通路13内に拡散され、冷凍ゾーンにオゾン雰囲気が維持される。
【0022】
このオゾン雰囲気によって、庫内(冷蔵ゾーンおよび冷凍ゾーン)の空気が浄化され、さらに庫内表面が殺菌されて庫内表面にカビの発生することが防止される。この場合、オゾンは、主として空気清浄作用を奏し、細菌の繁殖を抑制可能な低レベルのものであるから、冷蔵庫の扉の開閉時等に庫内から外部に漏れるオゾンが人体に悪影響を及ぼすことはない。
【0023】
また、異極像結晶18から発生する高電界によって、異極像結晶18の周囲を通過する空気中の細菌の一部を直接死滅させ、また、異極像結晶の周囲を通過する有害ガスを分解し無害化することもできる。
【0024】
この実施例によるオゾン発生装置16は、簡単かつコンパクトな構成を有し、非常に安価である。しかも、このオゾン発生装置16は庫内の温度変化のみによって作動するので、オゾン発生装置16の消費電力はゼロである。
【0025】
以上、本発明の1実施例について説明したが、本発明の構成は、上記実施例に限定されない。例えば、上記実施例では、オゾン発生装置16は、第1の冷蔵室2内および第1の冷凍室4内に置かれたが、オゾン発生装置16は、冷蔵庫1の庫内の任意の場所に少なくとも1つ配置されればよい。すなわち、オゾン発生装置16を、冷蔵室2、3および冷凍室4、5内に置かずに、冷気通路10、13内に置いてもよいし、オゾン発生装置16を、冷蔵室2、3および冷凍室4、5と、冷気通路10、13の両方に置いてもよい。また、オゾン発生装置16を、冷蔵室2、3および冷凍室4、5の壁面や、冷気通路10、13の壁面に固定してもよい。
あるいは、オゾン発生装置16を、ファン12、15の吹出口または吸込口またはその両方に取り付けてもよいし、冷蔵室2、3および冷凍室4、5の給気口2a、3a、4aまたは排気口3b、5aまたはその両方に取り付けてもよい。
【0026】
図3は、第1および第2のファン12、15の吹出口に取り付けるのに適したオゾン発生装置の構成を示す斜視図である。図3の実施例は、図2の実施例と、ケーシングの構成のみが異なるので、図3中、図2に示した構成要素と同じ構成要素には同一番号を付して説明を省略する。また、図3では、第1のファン12へのオゾン発生装置16の取り付けについて図示したが、第2のファン15についても同様である。
図3を参照して、ケーシング17’の上端壁17aおよび下端壁17bにメッシュ状の通気孔19が設けられ、さらに、ケーシング17の下端壁17bには、外周に沿って環状壁17cが立設されている。そして、ケーシング17’がこの環状壁17cを通じて第1のファン12に嵌め込み固定されることによって、オゾン発生装置16は、ケーシング17’の下端面17bが第1のファン12の吹出口12aに対向した状態で第1のファン12に取り付けられる。
【0027】
こうして、庫内の温度変化に伴う異極像結晶18の温度昇降により、異極像結晶の周囲に高電界が発生するとともに、異極像結晶18から軟X線が発生する。それと同時に、第1のファン12の吹出口12aから吹き出した冷気が、下端面12bからケーシング17内に導入され、ケーシング17内を通過した後、上端面12aからケーシング17の外部に排出され、この間に異極像結晶18の周囲を通過する冷気がオゾン化され、生成されたオゾンは、庫内に拡散される。
この実施例においても図1〜図2の実施例と同様の効果が得られるが、それに加えて、この実施例によれば上記実施例よりもオゾンの発生効率が向上する。
【0028】
図4は、オゾン発生装置の別の実施例の構成を示す斜視図である。図4の実施例は、図2の実施例と異極像結晶の態様が異なるだけであるから、図4中、図2に示した構成要素と同じ構成要素には同一番号を付して説明を省略する。図4に示すように、この実施例では、多数個の異なる形状の小さい異極像結晶18’がケーシング17内に収容されている。
この実施例も、図1〜図2の実施例と同様の効果が得られる。
【0029】
図5は、オゾン発生装置のさらに別の実施例の構成を示す図であり、(A)は外観を示す斜視図であり、(B)は内部構造を示す斜視図である。この実施例では、オゾン発生装置16”は、図5に示すように、円筒形状を有しかつ壁の全体にわたって一様に通気孔22が設けられたケーシング21と、ケーシング21内に収容された異極像結晶23と、ケーシング21内に収容され、異極像結晶23を強制的に加熱・冷却するための、電熱線24を内蔵したヒータを備えている。この場合、異極像結晶23を加熱・冷却する手段として、ヒータの代わりにペルチェ素子を用いることもできる。
【0030】
図示はしないが、ケーシング21の外部には、ヒータ(電熱線24)に電力を供給する、例えば電池からなる電源部と、電源部からヒータ(電熱線24)に供給される電流をON/OFFする制御部が配置される。そして、ケーシング21の壁を貫通して外側にのびる電熱線24のリード線24a、24bが、制御部に接続されるようになっている。
また、異極像結晶23の表面に温度センサー25が配置され、制御部は、温度センサー25の検出信号に基づき、ヒータ(電熱線24)の動作を制御し得るようになっている。
【0031】
この実施例によれば、オゾン発生装置16”は、異極像結晶23を強制的に加熱・冷却するためのヒータ(電熱線24)を備えており、ヒータ(電熱線24)を動作させることで、より大きな温度勾配で異極像結晶23を温度昇降させることができる。よって、この実施例は、冷蔵庫の庫内の温度変化だけでは十分なオゾン量が得られないような場合に有効である。
なお、この実施例の場合にも、オゾン発生装置16”の構造は簡単かつコンパクトであり、消費電力はゼロではないが、従来の高圧電源を用いるものと比べると消費電力は極めて小さい。
【0032】
次に、本発明によるオゾン発生装置の作用効果を確認すべく実証実験を行った。
(実験1)
図5を参照して、実験1では、内径80mm、高さ10mmの内部空間を有するテフロン(登録商標)製の円筒状ケーシング31内に、直径40mm、厚さ3mmのLiTaOの単結晶32を収容して、オゾン発生装置30を構成した。ケーシング31の側壁底部に、ケーシング31を安定に設置するためのフランジ34を設けた。また、ケーシング31の側壁には、互いに対向する位置に穴31a、31bを設け、これらの穴31a、31bのそれぞれにテフロン(登録商標)製のパイプ33a、33bを接続した。ケーシング31の壁には、穴31a、31b以外に通気孔は設けなかった。
また、結晶32の表面に温度センサー37を配置し、温度センサー37のリード線37a、37bをケーシング31の底壁から外部に引き出した。
【0033】
そして、図6に示すように、庫内底面50に形成された冷気吹出口に冷蔵ゾーン用のファンの吹出口51が結合された構造の冷蔵庫を準備し、このファンの吹出口51にオゾン発生装置30を置き、パイプ33aにエアーポンプ35を接続し、他方のパイプ33bにオゾン分析装置36を接続した。さらに、温度センサー37のリード線37a、37bに温度測定装置38を接続した。
こうして、冷蔵庫の庫内を密閉して冷蔵庫を作動させるとともに、エアーポンプ35からパイプ33aを通じてケーシング31内に空気を送り込み、パイプ33bから排出される空気中のオゾン濃度をオゾン分析装置36によって測定した。また、この間の結晶32の温度変化を温度測定装置38によって測定した。
【0034】
測定結果を図7のグラフに示す。図7中、(I)は結晶温度の変化を表すグラフであり、(II)は発生したオゾンの濃度の変化を表すグラフである。このグラフから、冷蔵庫の庫内の温度変化に伴って、オゾン発生装置30から2ppb程度のオゾンが継続的に発生することがわかった。
【0035】
(実験2)
実験2のオゾン発生装置を図8に示した。実験2のオゾン発生装置40は、ケーシングの大きさおよびLiTaOの単結晶の大きさと、ヒータを備えた点とが実験1のオゾン発生装置30と異なるだけである。したがって、図8中、実験1のオゾン発生装置30の構成要素に対応する構成要素には参照番号にダッシュを付して詳細な説明を省略する。
【0036】
実験2では、内径20mm、高さ10mmの内部空間を有するケーシング31’と、直径10mm、厚さ2mmのLiTaOの単結晶32’を使用した。また、電熱線41を内蔵した10mm×10mmの平板状ヒータ上に結晶32’を配置し、電熱線41のリード線41a、41bをケーシング31’の外側に引き出した。
【0037】
こうして、実験1と同じ冷蔵庫を準備し、オゾン発生装置40を、実験1の場合と同様に、庫内底面50のファンの吹出口51に置き、パイプ33a’にエアーポンプ35を接続し、他方のパイプ33b’にオゾン分析装置36を接続した。また、温度センサー37のリード線37a、37bに温度測定装置38を接続した。さらに、電熱線41のリード線41a、41bに制御装置42を介して電源(電池)43を接続し、制御装置42によって、ヒータ(電熱線41)を所定の周期でON/OFFした。
【0038】
そして、冷蔵庫の庫内を密閉して冷蔵庫を作動させるとともに、エアーポンプ35からパイプ33a’を通じてケーシング31’内に空気を送り込みながら、ヒータ(電熱線41)を5段階(下記(イ)〜(ホ))に分けて作動させ、各段階において、パイプ33b’から排出される空気中のオゾン濃度をオゾン分析装置36によって測定し、同時に、結晶32の温度変化を温度測定装置38によって測定した。
(イ)ヒータ(電熱線)を作動させなかった。
(ロ)ヒータ(電熱線)に4Vの電圧を適用し、0.005Hzの周期で加熱および冷却を繰り返した。
(ハ)ヒータ(電熱線)に4Vの電圧を適用し、0.001Hzの周期で加熱および冷却を繰り返した。
(ニ)ヒータ(電熱線)に4Vの電圧を適用し、0.01Hzの周期で加熱および冷却を繰り返した。
(ホ)ヒータ(電熱線)に6Vの電圧を適用し、0.01Hzの周期で加熱および冷却を繰り返した。
【0039】
測定結果を図9のグラフに示す。図9中、(イ)〜(ホ)の各領域は、上記(イ)〜(ホ)の各段階に対応しており、(I)は結晶温度の変化を表すグラフであり、(II)は発生したオゾンの濃度の変化を表すグラフである。このグラフから、異極像結晶32’をヒータ(電熱線)によって強制的に温度昇降させた場合には、より大量のオゾンを継続的に発生させることができることがわかった。
【符号の説明】
【0040】
1 冷蔵庫
2 第1の冷蔵室
3 第2の冷蔵室
4 第1の冷凍室
5 第2の冷凍室
6 断熱扉
7〜9 引出し
10 第1の冷気通路
11 第1の冷却器
12 第1のファン
13 第2の冷気通路
14 第2の冷却器
15 第2のファン
16、16’、16” オゾン発生装置
17 ケーシング
17a 上端壁
17b 下端壁
18、18’ 異極像結晶
19 環状壁
20 冷気吹出口
21 ケーシング
22 通気孔
23 異極像結晶
24 電熱線
24a、24b リード線
30 オゾン発生装置
31、31’ ケーシング
31a、31a'、31b、31b’ 穴
32、32’ 異極像結晶
33a、33a’、33b、33b’ パイプ
34、34’ フランジ
35 エアーポンプ
36 オゾン測定装置
37 温度センサー
37a、37b リード線
38 温度測定装置
40 オゾン発生装置
41 電熱線
41a、41b リード線
42 制御装置
43 電源
50 庫内底面
51 ファンの吹出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの冷蔵室と、
前記冷蔵室に設けられた給気口および排気口と、
前記冷蔵室の前記給気口および前記排気口に接続された冷気循環用の冷気通路と、
冷気通路内に配置された冷却器と、
前記冷気通路内に配置され、前記冷却器によって生成された冷気を前記冷蔵室および前記冷気通路の間において循環させるファンと、を備えた冷蔵庫において、
庫内に配置された少なくとも1つのオゾン発生装置を備え、前記オゾン発生装置が、
少なくとも1個の異極像結晶と、
複数の通気孔を備え、前記異極像結晶を収容するケーシングと、を有し、
庫内の温度変化に伴う前記異極像結晶の温度昇降により、前記ケーシング内における前記異極像結晶の周囲の空気をオゾン化し、生成したオゾンを庫内の冷気循環に伴って前記ケーシングの前記通気孔を通じて庫内に拡散させることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記オゾン発生装置は、前記冷蔵室内または前記冷気通路内またはその両方に置かれ、または前記冷蔵室の壁面または前記冷気通路の壁面またはその両方に固定されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記オゾン発生装置は、前記ファンの吹出口または吸込口またはその両方に取り付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記オゾン発生装置は、前記冷蔵室の前記給気口または前記排気口またはその両方に取り付けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記複数の通気孔はメッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記オゾン発生装置は、前記異極像結晶の温度を昇降させる温度昇降手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−175129(P2010−175129A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17672(P2009−17672)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)
【出願人】(391053696)JOHNAN株式会社 (16)
【出願人】(509030445)