説明

冷蔵庫

【課題】 収納容器の設置スペースを少なくすることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】 冷蔵室ドア2の内側に着脱可能に設けられた収納容器20を備えた冷蔵庫1であって、冷蔵室ドア2は、収納容器20を設置する収納容器設置部30を備え、収納容器設置部30が位置する高さの冷蔵室ドア2の側部ライナ6aは、収納容器20を側部ライナ6aに向けて移動させて庫外に取り出し可能な取出部6a1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサ機能を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば、冷蔵庫の扉の外面に、扉を開放せずに水道水を飲用として利用できるようにしたディスペンサを備えたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−266195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水道水を直接に飲用として利用できない国や地域では、ディスペンサを庫内に設けられた水タンクと接続し、適宜この水タンクに飲用可能な水を補給しながら利用することが行われている。
【0005】
例えば、図13(a)に示すように、水タンク100の構成としては、冷蔵庫の扉101の内側に設けられた左右のライナ(扉側面部材)102,102と水タンク100との間で凹凸嵌合又は掛合する構成としたものが提案されている。このような構成の水タンクでは、図13(b)に示すように、水タンク100を取り外す場合、まず扉100を大きく開けた後、水タンク100を上方にスライドさせて水タンク100とライナ102との嵌合を解除し、続いて、水タンク100を手前(図示左側)にスライドさせることで、水タンクを取り外すことができるようになっている。また、水タンク100を冷蔵庫に取り付ける場合には、その逆の手順で行われる。
【0006】
しかしながら、このような構成では、水タンクの上方に水タンク100を上下にスライドさせるためのスペースSa(図13(b)参照)が必要になり、庫内の収納量を増やすことができないという課題があった。
【0007】
本発明は、水もしくは食品を収納できる収納容器の設置スペースを少なくすることができる冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、開閉扉の内側に着脱可能に設けられた収納容器を備えた冷蔵庫であって、 前記開閉扉は、その内側に、前記収納容器を設置する収納容器設置部を備え、前記収納容器設置部が位置する高さの前記開閉扉の扉側面部材は、前記収納容器を当該扉側面部材に向けて水平に移動させてその一部若しくは全部を庫外に引出し可能な取出部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水や食品を収納する収納容器の設置スペースを少なくすることができる冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の外観正面図である。
【図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の内部を示す斜視図である。
【図3】収納容器が取り付けられた状態の冷蔵室ドアを示す拡大側面図である。
【図4】収納容器を斜め上方から見たときの外観斜視図である。
【図5】収納容器を斜め下方から見たときの外観斜視図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】収納容器とディスペンサとの内部構造を示す斜視断面図である。
【図8】(a)は収納容器を収納容器設置部から取り外した状態を示す斜視図、(b)は収納容器を収納容器設置部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】収納容器の冷蔵庫からの取り出し方法を示す上面図である。
【図10】第2実施形態に係る冷蔵庫を示す平面図である。
【図11】第3実施形態に係る冷蔵庫を示し、(a)は水補給時の収納容器の状態を示す側面図、(b)は収納容器の係止機構を示す断面図である。
【図12】第4実施形態に係る冷蔵庫を示し、(a)は水補給時の収納容器の状態を示す側面図、(b)は収納容器の移動機構を示す分解斜視図である。
【図13】従来の冷蔵庫の収納容器を示し、(a)は収納容器の取付構造を上方から見たときの平面図、(b)は収納容器の取り出し方法を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係る冷蔵庫について、図1ないし図12を参照して説明する。
また本発明における収納容器の適用例として水を収納する場合について主に説明を行い、その際、収納容器を適宜水タンクと称する場合もある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫の外観正面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る冷蔵庫1は、貯蔵室が左右に大きく分割された構造を有するいわゆるサイドバイサイドと呼ばれるタイプのものであり、上下に冷凍室1b(図2参照)と冷蔵室1a(図2参照)とに分割されている。下部に設けられた冷蔵室1a(図2参照)には、観音開き式の冷蔵室ドア2,3が設けられ、上部に設けられた冷凍室1b(図2参照)には、観音開き式の冷凍室ドア4,5が設けられている。
【0012】
一方(左側)の冷蔵室ドア2(開閉扉)の表面2aには、給水用のディスペンサ部10が設けられ、冷蔵室ドア2を開けることなくグラスなどの容器に水を供給できるようになっている。さらに説明すると、冷蔵室ドア2の上部の表面2aには、略四角形状の凹部2bが形成され、この凹部2b内の奥側上部に平面視矩形状のディスペンサレバー11が設けられている。このディスペンサレバー11は、例えば、その上端部に設けられた軸を介して前後方向に回動可能に支持されており、手に持った容器をディスペンサレバー11に押し当てることにより、ディスペンサレバー11の手前の天井部に設けられた吐出口(不図示)から容器内に給水されるように構成されている。
【0013】
図2は、第1実施形態に係る冷蔵庫の内部を示す斜視図である。
図2に示すように、冷蔵室ドア2の内側には、剛性を有する部材で凹状に形成されたライナ6が設けられている。このライナ6は、冷蔵室ドア2の周縁部において、左右両側に位置して上下方向に延びる板状の側部ライナ6a,6bと、底側に位置して左右方向(水平方向)に延びる板状の底部ライナ6cと、が突出するように配置されている。また、ライナ6の内側には、ポケット形状の棚7,7が上下に間隔を置いて取り付けられ、収納部が構成されている。なお、他方(右側)の冷蔵室ドア3についても、同様に、周縁部にライナ6が設けられ、ライナ6にポケット形状の棚7を複数段設けられて収納部が構成されている。また、冷凍室ドア4,5についても同様にして収納部が構成されている。
【0014】
また、冷蔵室ドア2の内側には、上段の棚7の上方に、水や食品を収納できる収納容器(以下、水タンクともいう)20を設置する収納容器設置部(以下、水タンク設置部ともいう)30が設けられている。さらに、冷蔵室ドア2の内側には、水タンク設置部30の上方にカバー部材8が設けられている。このカバー部材8は、例えば、前面8aと上面8bを覆う形状であり、側部ライナ6a,6bに取り付けられ、側部ライナ6a,6bと連続した面となるように構成されている。これにより、ディスペンサ部10の裏側に位置する給水経路や前記凹部2bの冷蔵室ドア2の内側への出っ張りなどを使用者が視認できないようになっている。
【0015】
水タンク設置部30は、ヒンジ1sと反対側に位置する側部ライナ6a(扉側面部材)に凹部または開口により形成された取出部6a1が形成され、水タンク20が露出するようになっている。この取出し部6a1を介して水タンク20を取り出すことができる。
【0016】
このように、水タンク20は冷蔵室1a内に設けられているので、水タンク20内に蓄えられている水も冷却されており、水タンク20からディスペンサ部10へは冷水が供給されるようになっている。なお、本実施形態では、4枚ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、水タンク20、ディスペンサ部10などは水が凍らないドアに備えられるものであれば、1,2,3枚ドア、5枚以上のドアを備えた冷蔵庫にも適用することができる。
上記のように収納容器(水タンク)に対して食品を入れることを目的とする場合には、必ずしもディスペンサ部10を配置しなくても良い。
【0017】
図3は、水タンクが取り付けられた状態の冷蔵室ドアを示す拡大側面図である。なお、図3は、冷蔵室ドア2のみを図示している。
図3に示すように、側部ライナ6aに形成された凹部または開口により形成された取出し部6a1は、側部ライナ6aの外側側面から平面視したときに、水タンク20の手前側の面(取り出し側の面)の全体が露出するように凹状に切り欠かれもしくは一体成形されている。
【0018】
また、冷蔵室ドア2の内側には、ライナ6の周囲を取り囲むように四角枠形状のパッキン9が設けられているが、このパッキン9と水タンク20とが側部ライナ6aの外側側面からの平面視において互いに重ならないようになっている。つまり、水タンク20を取り出す際に水タンク20が側部ライナ6aおよびパッキン9と接触しないように、側部ライナ6aの先端部6a2から水タンク20の側部20sが若干突出するように設定されている。
【0019】
図4は、収納容器(水タンク)を斜め上方から見たときの外観斜視図である。
図4に示すように、水タンク20は、水を溜めるタンク本体21と、このタンク本体21の上部を覆う蓋体22と、を備えている。タンク本体21は、例えば、内部の水量が外側から視認できるように透明な樹脂製の材料で形成され、略直方体形状を呈するように形成されている。蓋体22は、例えば白色を呈する樹脂製の材料で形成され、タンク本体21の上部を覆う略矩形状の蓋部22aと、L字状に折り曲げ形成された給水パイプ22bと、着脱可能なキャップ22cと、を有している。
【0020】
タンク本体21には、水タンク20の着脱方向(出し入れ方向)の手前側に(取出し部6a1側に)、水タンク20を着脱する際に指を鉛直方向(上下方向)の下から上へ挿入して水タンク20を保持する挿入保持部21aが形成されている。また、タンク本体21は、蓋部22aの奥側の側面22a1よりもさらに奥側に突出する形状である。
【0021】
給水パイプ22bは、蓋部22aと一体に形成され、先端部22b1が、蓋体22の側面22a1から奥側に向けて突出し、基端部22b2が、タンク本体21の底面21b近傍まで延びている。これにより、水タンク20内の底部に残る水を汲み上げることができるようになっている。
【0022】
キャップ22cは、円形状を呈し、かつ、摘み部22c1を有しており、この摘み部22c1を所定角度回動させることにより、蓋部22aとキャップ22cとの係合が解除され、キャップ22cを蓋部22aから取り外すことができるようになっている。このように、キャップ22cを直ちに取り外すことができ、水タンク20に水を直ちに補給することができる。また、キャップ22cは、蓋部22aに対して、着脱方向において給水パイプ22bとは反対側の手前寄りに位置している。
【0023】
また、蓋体22の上面22a2には、給水パイプ22bの先端部22b1の近傍に、後記する接続部32と係合する係合凹部22dが形成されている。なお、本実施形態では、回転式の円形のキャップ22cを例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではなく、四角板状の蓋部を備え、その一辺が蓋部に回動可能(開閉可能)に支持されるものであってもよい。
【0024】
図5は、水タンクを斜め下方から見たときの外観斜視図である。なお、図5では、水タンク20内に位置する給水パイプ22bの図示を省略している。
図5に示すように、挿入保持部21aは、略四角筒状を呈し、その下部に指を挿入する開口部21a1が形成されている。この開口部21a1は、タンク本体21の底面21bよりも上方に位置している。これにより、使用者が、水タンク20を水タンク設置部30(図1,図3参照)に設置した状態で、指を下から上に挿入して水タンク20を保持することができるようになっている。
【0025】
また、タンク本体21の底面21bには、水タンク20を水タンク設置部30(図1参照)に装着する際のガイドとなる一対のガイド部21c,21cが形成されている。各ガイド部21cは、底面21bの外面(下面)に、長手方向(着脱方向)に沿って凸条に形成され、ガイド部21c,21cが幅方向に間隔を置いて互いに平行に形成されている。
【0026】
図6は、図4のA−A線断面図である。
図6に示すように、挿入保持部21a内の上部は、蓋部22aの高さ位置よりも下方において閉塞し、湾曲した天井部21a2を有している。また、タンク本体21の上部には、開口21dが形成され、蓋部22aが嵌合又は掛合することで開口21dを閉塞するようになっている。
【0027】
また、蓋部22aには、キャップ22cが取り付けられる開口縁部22eから下方に延びる円筒形状の注ぎ口22fが形成されている。この注ぎ口22fの下端部は、蓋部22aよりも下方に位置し、かつ、前記挿入保持部21aの天井部21a2よりも上方に位置している。
【0028】
また、蓋部22aに形成された係合凹部22dは、着脱方向の奥側の内側面が凸形状に湾曲する摺動面22d1を有している。この係合凹部22dは、後記するポンプユニットPUに設けられる係合部32a(図7参照)と係合するように構成されている。
【0029】
図7は、水タンクとディスペンサとの内部構造を示す斜視断面図である。なお、図7は、カバー部材8を冷蔵室ドア2から取り外して、ライナ6aの中央部分で切断したときの一部省略縦断面図である。
【0030】
図7に示すように、水タンク設置部30は、水タンク20が設置される水タンク設置空間Q1と、水タンク設置空間Q1の着脱方向の奥側に、水タンク20内の水を汲み上げるポンプユニットPUが配置されるポンプユニット設置空間Q2とを備えている。また、ポンプユニット設置空間Q2と冷蔵室ドア2の表面2a(図1参照)との間に形成された空間には、ポンプユニットPUによって汲み上げた水をディスペンサ部10に向けて吐出させるモータユニットMUが設けられている。また、ポンプユニットPUとモータユニットMUとは接続ホースH1を介して接続され、モータユニットMUとディスペンサ部10とは接続ホースH2を介して接続されている。
【0031】
なお、本実施形態では、ポンプユニットPU、モータユニットMU、接続ホースH1,H2によって吐出手段が構成されている。また、ポンプユニットPUは、例えば、ギアポンプにより構成され、モータユニットMUは、例えばエアポンプにより構成され、いずれも公知の方法によって構成することができる。
【0032】
ポンプユニットPUは、水タンク設置空間Q1側(着脱方向の手前側)に突出して、給水パイプ22bの先端部22b1が挿入される管状の接続部32を備えている。また、接続部32には、断面視略鉤形状の係合部32aが形成されている。係合部32aは、その先端部が上下方向に撓み変形可能に構成されており、係合部32aが弾性変形しながら、蓋部22aの側面22a1を乗り越え、係合凹部22dの摺動面22d1を移動(摺動)しながら弾性復帰することで、係合部32aが係合凹部22dと係合するようになっている。係合部32aと係合凹部22dとの係合で、冷蔵室ドア2を勢いよく開けたとしても、遠心力で水タンク20が飛び出さないようになっている。
【0033】
また、接続部32には、ポンプユニットPUの導入管が図示しないシール部材を介して接続され、水タンク20内から汲み上げた水が外部に漏れ出ないように構成されている。また、図示していないが、接続部32の内壁部には、オーリングなどのシール部材が設けられて、給水パイプ22bと接続部32との間において水漏れしないように、かつ、ポンプユニットPU内に空気を巻き込まないように構成されている。
【0034】
ディスペンサレバー11には、吐出操作されたことを検知する検知手段が設けられており、検知手段によってディスペンサレバー11が操作されたことを、図示しない制御部が検知すると、ポンプユニットPUのモータを駆動させて、水タンク20内の水を汲み上げて、そしてモータユニットMUのモータを駆動させて、汲み上げた水をディスペンサ部10の高さまで持ち上げて、ディスペンサ部10の図示しない吐出口から給水を行うようになっている。また、ディスペンサレバー11の操作が解除されたことを、図示しない制御部が検知すると、ポンプユニットPUおよびモータユニットMUを停止させて給水を停止する。
【0035】
図8(a)は、水タンクを水タンク設置部から取り外した状態を示す斜視図、(b)は水タンクを水タンク設置部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【0036】
図8(a)に示すように、水タンク設置部30は、底板33と、保持プレート34(保持部)と、前記した仕切板31とで囲まれた水タンク設置空間Q1により構成されている。
【0037】
底板33の上面には、ガイド部33a,33aと、ストッパ33bと、が形成されている。各ガイド部33aは、水タンク20を水タンク設置部30にまっすぐに挿入するための案内部であり、水タンク20の着脱方向に延びて形成され、互いに間隔を開けて平行に形成されている。ストッパ33bは、水タンク20の挿入位置を示し、かつ、水タンク20の水タンク設置部30からの飛び出しを防止する凸状のものであり、前記ガイド部33a,33aの手前側において着脱方向に直交する向きに延びて形成されている。
【0038】
保持プレート34は、水タンク20の外側の側面を保持して、水タンク20が倒れるのを防止するものであり、略コ字状に切り欠かれて、水タンク20の上部側面を着脱方向に延びる上部保持部34aと、水タンク20の下部側面を着脱方向に延びる下部保持部34bと、を有している。このように、保持プレート34が略コ字状に切り欠くことで、水タンク20の側面が露出するので、水タンク20内の水量を使用者が容易に確認できるようになっている。
【0039】
上部保持部34aおよび下部保持部34bは、それぞれ着脱方向に延びて形成され、下部保持部34bの先端34b1が上部保持部34aの先端34a1よりも取出部6a1側に位置し、下部保持部34bが上部保持部34aよりも長さL分だけ長く形成されている。なお、水タンク20の内側の側面はプレートによって保持されているものである。
【0040】
図8(b)に示すように、水タンク設置部30に水タンク20が設置された状態では、ガイド部21c,21cがガイド部33a,33aより内側に位置し、ガイド部21c,21cの外側面とガイド部33a,33aの内側面とが当接するように構成されている。
【0041】
よって、水タンク20を水タンク設置部30に装着する際には、ガイド部21c,21cの外側面とガイド部33a,33aの内側面とが互いに当接しながら水タンク20がスライドすることで、水タンク20を水タンク設置部30に対して着脱方向にまっすぐに挿入することができ、水タンク20の給水パイプ22bを、ポンプユニットPUの接続部32に対してまっすぐに挿入することができる。つまり、給水パイプ22bの先端部22b1の軸と、接続部32の軸とが一致した状態で挿入することができる。これにより、給水パイプ22bと接続部32とのOリング(不図示)によるシール性が損なわれた状態で水タンク20とポンプユニットPUとが接続されて、水漏れしたり、ポンプユニットPU内に空気を巻き込むといった不都合を防止することができる。さらに、ガイド部21c,21cとガイド部33a,33aとによって水タンク20がガイドされるので、水タンク20の底面全体と底板33の表面全体とで摺動する場合よりも、水タンク20と底板33との摩擦力を低減することができ、水タンク20を出し入れするのに必要な力を低減できる。
【0042】
また、水タンク20が水タンク設置部30に完全に設置された状態、すなわち水タンク20がポンプユニットPUに対して給水可能となる位置まで装着された状態では、タンク本体21の底面21bの手前側縁部21b2がストッパ33bをちょうど乗り越えた状態となる。このようなストッパ33bを設けることにより、使用者は水タンク20が正常に接続されていることを目で確認することができ、装着ミスを防止することができ、また水タンク20の接続を確実にするために水タンク20を水タンク設置部30内に無理に押し込むといった操作が行われるのを防止することが可能になる。
【0043】
以上説明したように、第1実施形態に係る冷蔵庫1では、冷蔵室ドア2の内側のディスペンサ部10の下方に、水タンク20を設置する水タンク設置部30を備え、水タンク設置部30が位置する高さの冷蔵室ドア2のライナ6aに、水タンク20をライナ6aに向けてスライドもしくは移動させて冷蔵庫1外(庫外)に取り出し可能な取出部6a1が設けられている。これによれば、水タンク20を水平方向(ライナ6a側)に向けてスライドもしくは移動させて着脱することができるので、水タンク20の上方に水タンク20を着脱するための可動スペースSa(図13参照)を設ける必要がなくなり、その不要になった水タンク20の上方の可動スペース分を収納部として利用することができ、冷蔵庫1の収納量を増やすことが可能になる。例えば、増えた分のスペースは、背の高い容器を収納可能な収納部として利用できる。
【0044】
また、第1実施形態によれば、図9に示すように、水タンク20の幅S分に略等しい隙間が形成されるように冷蔵室ドア2を開くだけで、水タンク20を冷蔵庫1から取り出すことが可能になる。このように、冷蔵室ドア2を前記隙間だけ開け、水タンク20の挿入保持部21aに指を入れてスライドもしくは移動させることで、水タンク20を冷蔵庫1から迅速に取り出すことが可能になる。また、水タンク20を取り出した後は、冷蔵室ドア2を直ちに閉めることができる。
【0045】
ちなみに、冷蔵室ドア2を閉めた後、冷蔵庫1から取り出した水タンク20については、キャップ22cを開けて、用意したペットボトルの水を注ぎ口22f(図6参照)から補給する。補給後、キャップ22cを閉めて、冷蔵室ドア2を、前記と同様な水タンク20の幅S分に略等しい隙間だけ開けて、水タンク20を、取出部6a1を通過させながら水タンク設置部30に装着して、冷蔵室ドア2を閉める。このように、水タンク20を水タンク設置部30に装着する場合にも、水タンク20を冷蔵庫1に迅速に装着することができる。
【0046】
このように、水タンク20を出し入れする際には、冷蔵室ドア2を全開にする必要はなく、冷蔵室ドア2を少し開くだけでよいので、水タンク20を出し入れする際に冷蔵庫1内の冷気が逃げるのを最小限に抑えることができ、冷蔵室ドア2が閉じられたときに再度冷蔵庫1内を冷却するのに必要な電力を低く抑えることができる。よって、省エネルギ化を図ることが可能になる。
【0047】
また、第1実施形態によれば、水タンク20に、鉛直方向の下から上に向けて指を挿入して水タンク20を保持する挿入保持部21aを備えているので、下から手で支えながら水タンク20を出し入れできるので、補給後の水タンク20で重量が重くても出し入れが容易になる。また、指を上から下に向けて出し入れするタイプのものや水タンクの両側部を保持して出し入れするタイプと比べて使用者は水タンク20を確実に保持することができ、水タンク20を出し入れする際に水タンク20が手から滑り落ちるのを防止できる。また、挿入保持部21aがタンク本体21側に形成されているので、水タンク20を取り外す際に蓋体22が外れるといった事象が発生するのを防止できる。
【0048】
また、第1実施形態によれば、水タンク設置部30に、水タンク20の側面を保持する保持プレート34を備えたので、水タンク20が横揺れする(着脱方向に直交する方向に揺れる)のを防止することが可能になる。
【0049】
また、第1実施形態によれば、保持プレート34は上部保持部34aと下部保持部34bとを備え、下部保持部34bが上部保持部34aよりも取出部6a1側に向けて長く形成されているので、水タンク20を安定して挿入することができる。すなわち、まず水タンク20の下側を下部保持部34bの先端34b1によって位置決めして水タンク20を底板33に載置することで、水タンク20を安定して挿入することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、水タンク20の上方に空間Q3(図7参照)が形成されるように水タンク設置部30を構成しているので、水タンク20を手前側が上向きとなるように斜めから水タンク設置部30に挿入されたとしても、水タンク20の下部がまず下部保持部34bの先端34b1側に当接して案内されることにより、水タンク20を安定して挿入することができる。
【0051】
ところで、従来の水タンクの着脱構造では、図13(b)に示すように、水タンク100の上部に、水タンク100の着脱に必要な可動スペースSaが必要になるため、可動スペースSaのさらに上にディスペンサ部103を配置する必要がある。このため、水タンク100からディスペンサ部103までの給水経路が長くなるという問題がある。そこで、第1実施形態によれば、図7に示すように、ディスペンサ部10(図1参照)のすぐ下に水タンク20を配置することができるので、給水経路(接続ホースH1)を短くすることができる。その結果、水を持ち上げる力を少なくすること(揚程Hsを短くすること)ができるので、モータユニットMUの小型化および軽量化を図ることが可能になる。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る冷蔵庫を示す平面図である。
第2実施形態に係る冷蔵庫は、水タンク20をポンプユニットPUに接続したまま、換言すると給水パイプ22bが接続部32に対して給水可能な状態で接続されたまま、水タンク20に水を補給することを可能にした冷蔵室ドア2Aを備えている。なお、第2実施形態について、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する(第3実施形態、第4実施形態についても同様)。
【0052】
すなわち、冷蔵室ドア2Aは、第1実施形態のカバー部材8に替えてカバー部材8Aとし、さらに取出部6a1の上方に連続して切欠部6a2を形成したものである。ここでは連続して切欠いた例を示したが、階段状やアーチ状などの他の形状にすることも可能である。
【0053】
カバー部材8Aは、第1実施形態のカバー部材8の下側手前の角部を切り欠いたカバー部材切欠部8cを形成したものである。このカバー部材切欠部8cは、水タンク20をポンプユニットPUと接続した状態で、注ぎ口22fから水を補給することができる形状であり、例えば、図10に示すように、側面視(冷蔵室ドア2の内側の正面視)において三角形状に切り欠かれている。
【0054】
切欠部6a2は、カバー部材切欠部8cの開口部8a1に対応するように、ライナ6aを切り欠いたものである。すなわち、切欠部6a2は、開口部8c1の上端縁部と同様の高さ位置となるように、第1実施形態での前記取出部6a1から連続して切り欠かれたものである。
【0055】
第2実施形態では、カバー部材8Aは、水タンク20をポンプユニットPU(吐出手段)に接続したままの状態で、水タンク20に設けられた注ぎ口22fから給水可能なカバー部材切欠部8cを備え、しかも、ライナ6aは、カバー部材切欠部8cの開口部8a1に対応して開口するように切り欠かれた切欠部6a2を備えている。これによれば、水タンク20をポンプユニットPUに接続したままで給水することができるので、水タンク20を冷蔵室ドア2Aから取り外す労力を軽減することができる。
【0056】
また、第2実施形態によれば、水タンク20を水タンク設置部30に設置したままの状態であっても、図9で説明したように、冷蔵室ドア2Aを全開状態にしなくても、冷蔵室ドア2Aを少し開けた状態で水タンク20に水を補給することが可能になる。よって、冷蔵庫内の冷気が逃げるのを全開にして補給する場合よりも低減することができる。また、必要に応じて、水タンク20を取り外して補給することもでき、使用者は補給態様を適宜選択することができる。
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態に係る冷蔵庫を示し、(a)は水補給時の水タンクの状態を示す側面図、(b)は水タンクの係止機構を示す断面図である。
【0057】
図11(a)に示すように、第3実施形態に係る冷蔵庫は、水タンク20を所定位置まで引き出した状態で水タンク20に水を補給することを可能にした冷蔵室ドア2Bを備えている。
【0058】
すなわち、冷蔵室ドア2Bは、図11(b)に示すように、タンク本体21の底面21bの下面に、着脱方向に直交する方向に延びる突起部21b1が形成され、水タンク設置部30の底板33に、水タンク20を所定位置まで引き出したときに前記突起部21b1と当接して水タンク20の引き出し動作が規制される規制突起33cが形成されている。なお、図11(b)は、説明を分かり易くするために突起部21b1と規制突起33cとの係合状態を実際よりも誇張して図示している。また、所定位置とは、水タンク20を図11(a)に示す状態で、注ぎ口22fから水を補給することができ、かつ、水タンク20への水の補給時に水タンク20が傾くことがない位置に設定される。
【0059】
なお、第3実施形態では、水タンク20を図11(b)に示す状態から取り外す場合、水タンク20の奥側が上向きとなるように若干傾けることで、突起部21b1と規制突起33cとの係合状態が解除されるので、解除された状態のまま水タンク20を引き出すことで、水タンク20を水タンク設置部30から取り外すことができる。
【0060】
また、規制突起33cは、手前側の面がテーパ部33c1となっているので、水タンク20を水タンク設置部30に装着する際に、水タンク20側の突起部21b1が規制突起33cを容易に乗り越えることができるようになっている。
【0061】
第3実施形態によれば、水タンク20を冷蔵室ドア2Bから取り外すことなく水タンク20に水を補給することができるので、水タンク20を冷蔵室ドア2Bから取り外す際の労力を軽減することができる。また、図9で説明したように、冷蔵室ドア2Bを全開状態にしなくても、冷蔵室ドア2Bを少し開けた状態で水タンク20に水を補給することが可能になる。よって、冷蔵庫内の冷気が逃げるのを全開にしたまま補給する場合と比べて低減することができる。また、必要に応じて、水タンク20を取り外して補給することもでき、使用者は補給態様を適宜選択することができる。
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態に係る冷蔵庫を示し、(a)は水補給時の水タンクの状態を示す側面図、(b)は水タンクの移動機構を示す分解斜視図である。
【0062】
図12(a)に示すように、第4実施形態に係る冷蔵庫は、水タンク20を所定位置まで引き出した状態で水タンク20に水を補給することを可能にした冷蔵室ドア2Cを備えている。
【0063】
すなわち、冷蔵室ドア2Cは、図12(b)に示すように、冷蔵庫ドア2に固定される固定ベース35と、この固定ベース35にスライドもしくは移動可能に支持される可動ベース36とを備えている。
【0064】
固定ベース35は、可動ベース36が載置される上面が開放した凹部35aを有し、この凹部35a内の着脱方向に直交する両端部に移動溝35b,35bが形成されている。また、凹部35aの底面には、着脱方向に延びる長孔35cが形成されている。
【0065】
可動ベース36は、前記凹部35aに収容可能な板状部36aを有し、その両端部に前記移動溝35b,35bに挿入される移動突起36b,36bが形成されている。また、板状部の底面には、前記長孔35cに挿入される突起部36cが形成されている。なお、板状部36aの上面には、第1実施形態で説明したと同様に、ガイド部33a,33aおよびストッパ33bが形成されている。
【0066】
図12(b)に示すように、可動ベース36の移動突起36b,36bを固定ベース35の移動溝35b,35bに挿入するとともに、突起部36cを長孔35c内に挿入するようにして、可動ベース36を固定ベース35に組み付ける。これにより、可動ベース36に水タンク20を載せた状態で、可動ベース36を手前側に引き出すことにより、水タンク20が手前側に引き出される。このとき、突起部36cが長孔35cを移動して、突起部36cが長孔35cの手前側の端部35c1に当接することで、固定ベース35に対して可動ベース36の移動動作が規制される。
【0067】
なお、図示していないが、水タンク20を保持して引き出すことができるように、稼動ベース36の板状部36aの下面側または固定ベース35の凹部35aの底面側に、着脱方向に延びる突条(例えば、断面視三角形状)の突起部を形成して、可動ベース36と固定ベース35との間で生じる摩擦力が、水タンク20と可動ベース36との間で生じる摩擦力よりも十分に低くなるように設定してもよい。
【0068】
第4実施形態によれば、水タンク設置部30に、水タンク20を載置した状態で着脱方向にスライドもしくは移動可能な可動ベース36と、この可動ベース36の移動を所定位置で規制する規制手段(突起部36c、長孔35c)とを備えるので、水タンク20を第3実施形態の場合よりもさらに手前に引き出すことが可能となり、水タンク20への補給がさらに容易になる。
【0069】
また、第4実施形態によれば、水タンク20を冷蔵室ドア2から取り外すことなく水タンク20に水を補給することができるので、水タンク20を冷蔵室ドア2Cから取り外す際の労力を軽減することができる。また、図9で説明したように、冷蔵室ドア2Cを全開状態にしなくても、冷蔵室ドア2Cを少し開けた状態で水タンク20に補給することが可能になる。よって、冷蔵庫内の冷気が逃げるのを全開にしたまま補給する場合と比べて低減することができる。また、必要に応じて、水タンク20を取り外して補給することもでき、使用者は補給態様を適宜選択することができる。
【0070】
なお、第4実施形態では、可動ベース36が固定ベース35から抜け出るのを防止する手段として、移動突起36b,36bと移動溝35b,35bとで構成したが、この構成に限定されるものではなく、突起部36cを逆さT字状に形成して、長孔35cに挿入かつ係合させることで構成してもよい。
【0071】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、第2実施形態において切欠部6a2を形成せずに、カバー部材8Aにカバー部材切欠部を形成して、冷蔵室ドア2の内側の正面側から、水タンク20をポンプユニットPUに接続したままの状態で補給できるような形状のカバー部材切欠部としてもよい。
【0072】
また、第2実施形態において、第2切欠部6a2やカバー部材切欠部8cは三角形状に限定されるものではなく、四角形状であっても、円形状であっても、その他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 冷蔵庫
2,2A,2B,2C 冷蔵室ドア(開閉扉)
2b 凹部
6a ライナ(扉側面部材)
6a1 切欠部(取出部)
6a2 切欠部
8A カバー部材
8a 給水用切欠部
8a1 開口部
10 ディスペンサ部
11 ディスペンサレバー
20 収納容器(水タンク)
21 タンク本体
21a 挿入保持部
22 蓋体
22f 注ぎ口
30 水タンク設置部
32 接続部(吐出手段)
32a 係合部
34 保持プレート(保持部)
34a 上部保持部
34b 下部保持部
35 固定ベース
35c 長孔(規制手段)
36 可動ベース
36c 突起部(規制手段)
H1,H2 接続ホース(吐出手段)
MU モータユニット(吐出手段)
PU ポンプユニット(吐出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉扉の内側に着脱可能に設けられた収納容器と、
前記収納容器内の水を、前記開閉扉の外側に設けられたディスペンサ部から吐出させる吐出手段と、を備えた冷蔵庫であって、
前記開閉扉は、その内側の前記ディスペンサ部の下方に、前記収納容器を設置する収納容器設置部を備え、
前記収納容器設置部が位置する高さの前記開閉扉の扉側面部材は、前記収納容器を当該扉側面部材に向けて水平に移動させてその一部若しくは全部を庫外に引出し可能な取出部を備えることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記収納容器は、鉛直方向の下から上に向けて指を挿入して前記収納容器を保持する挿入保持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記収納容器設置部は、前記収納容器の側面を保持する保持部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記保持部は、前記収納容器の側面上部を当該収納容器の着脱方向に沿って延びる上部保持部と、前記収納容器の側面下部を当該収納容器の着脱方向に沿って延びる下部保持部と、を備え、
前記下部保持部は、前記上部保持部よりも前記取出部側に向けて長く形成されていることを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記開閉扉は、前記ディスペンサ部の裏側および前記収納容器の上方を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記収納容器を前記吐出手段に接続したままの状態で、前記収納容器に設けられた注ぎ口から給水可能なカバー部材切欠部を備え、
前記扉側面部材は、前記カバー部材切欠部の開口部に対応して開口するように設けられた切欠部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記収納容器設置部は、前記収納容器を載置した状態で前記着脱方向に移動可能な可動ベースと、前記可動ベースの移動を所定位置で規制する規制手段と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−72594(P2013−72594A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211871(P2011−211871)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)