説明

冷蔵庫

【課題】加熱動作に伴う反射電力の増加による加熱効率の低下を防止し、冷凍物の解凍を実現すること。
【解決手段】適温保冷動作中の冷蔵庫本体100と、冷蔵庫本体100の背面に配置されたマイクロ波発生部10、冷蔵庫本体100内の収容物50を収納する貯蔵室102、マイクロ波を貯蔵室102内に放射する給電部30、給電部30とマイクロ波発生部10を接続する伝送路20、給電部30近傍に配置され、給電部30から伝送路に再入射する反射波を検出する電力検知部40を備え、反射電力が増加すると加熱周波数の選択動作を再度実行する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波により食材温度を制御する手段を備えた冷蔵庫に関し、詳しくは、半導体素子を用いたマイクロ波発生部を備えた冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、マイクロ波を用いて食材の加熱を行う高周波加熱装置においては、マイクロ波の発生機構としてマグネトロンが広く採用されている。また、近年では、マグネトロンに比較して、小規模で構成でき、且つ、発振周波数や電力の制御性に優れるという特徴から、半導体素子を用いた高周波加熱装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の高周波加熱装置は、加熱室にマイクロ波を供給する際に、加熱室側で反射され、マイクロ波発生部に向けて伝播する反射波の電力を検知し、該反射電力を最小とするマイクロ波の周波数を予め記憶し、記憶した周波数のマイクロ波で被加熱物を誘電加熱するものである。
【0004】
特に、上述の反射波は加熱室内に収容された被加熱物の誘電加熱に直接寄与しないことから、反射波の電力を抑制することは、電力変換効率の観点から有効である。また、この時の電力反射量は加熱室の入力インピーダンス特性により定まり、より詳細には、加熱に用いるマイクロ波の周波数をはじめ、加熱室内の構造、加熱室内に収容された被加熱物の種類、形状、量、状態、載置位置等、複数の因子に依存することが知られている。
【0005】
従って、これらの複数の因子の内、マイクロ波の周波数を制御因子として用い、予め反射電力により加熱に用いる周波数を最適化した上で、該周波数で被加熱物を継続的に加熱することにより、電力変換効率を向上した誘電加熱が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−96486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、冷凍状態にある被加熱物を誘電加熱により解凍する際、被加熱物が部分的に解凍された状態(固相と液相)に至ると、各相でのマイクロ波に対する誘電率の違い等に起因して、給電部からみた加熱室のインピーダンスが大きく変化する。このため、解凍初期に最適化した周波数での加熱を継続すると、解凍の進行に伴い、反射電力の増加を招くとともに、電力効率が低下する等の課題を有している。
【0008】
また、高周波加熱装置の主な発熱源が、マイクロ波発生部を構成する半導体素子となる為、小スポットの熱源となり易く、従来の高周波加熱装置を、例えば冷蔵庫内の様な冷却環境下に配設した場合、該熱源付近に配置される食材への温度影響により、食材の品質が著しく損なわれることが懸念される。また、該熱源からの輻射による庫内温度の上昇を抑制する為に、冷却能力を高める必要がある等、エネルギー的な無駄が生じることが懸念される。
【0009】
本発明の目的は、冷凍食材の解凍を高効率で実現する冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、冷蔵庫内部に配置された貯蔵室を冷却する冷却手段と、発振部と、発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と、電力増幅部により増幅された増幅電力を伝播する伝送路と、貯蔵室を構成する壁面に配置され、伝送路を伝播した該増幅電力を貯蔵室に供給する給電部と、給電部から伝送路に再入射する反射波の電力値を検出し、該検出結果を反射波の周波数より低い周波数帯の反射情報に変換し、反射情報を伝送路に送出する電力検知部と、伝送路を伝播した反射情報を抽出する分離抽出部と、発振部の発振周波数と電力増幅部を制御する制御部とを備え、制御部は加熱動作開始前に電力増幅部を低出力で動作させ、所定の周波数範囲において発振部の発振周波数を変化させて反射情報に対応する反射電力が最小となる条件を探索し、探索した条件で加熱動作へ移行する構成とするとともに制御部は加熱動作と加熱動作停止とを繰り返し、加熱動作停止中に探索動作を行って加熱周波数を再設定し、加熱動作に移行する構成としたものである。
【0011】
これにより、熱的な事由や配置上の制限等により、マイクロ波発生部と給電部を物理的に分離配置した場合においても、反射電力を高い精度で検知することができる。また、加熱動作前の周波数掃引動作によって最小反射電力の動作条件を選択し、加熱動作へ移行するので高い電力効率を実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷蔵庫によれば、マイクロ波発生部と給電部の配置に自由度を与えた場合においても、反射電力を最小とする加熱動作条件を精度よく探索できるので、高い電力効率を備える冷蔵庫を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の加熱動作に係わる構成図
【図3】電力検知部40が検出した反射電力の周波数特性図をグラフ化した一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態2における冷蔵庫の加熱動作に係わる構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、冷蔵庫本体と、冷蔵庫内部に配置された貯蔵室を冷却する冷却手段と、発振部と、発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と、電力増幅部により増幅された増幅電力を伝播する伝送路と、貯蔵室を構成する壁面に配置され、伝送路を伝播した該増幅電力を貯蔵室に供給する給電部と、給電部から伝送路に再入射する反射波の電力値を検出し、該検出結果を反射波の周波数より低い周波数帯の反射情報に変換し、反射情報を伝送路に送出する電力検知部と、伝送路を伝播した反射情報を抽出する分離抽出部と、発振部の発振周波数と電力増幅部を制御する制御部とを備え、制御部は加熱動作開始前に電力増幅部を低出力で動作させ、所定の周波数範囲において発振部の発振周波数を変化させて反射情報に対応する反射電力が最小となる条件を探索し、探索した条件で加熱動作へ移行する構成とするとともに制御部は加熱動作と加熱動作停止とを繰り返し、加熱動作停止中に探索動作を行って加熱周波数を再設定し、加熱動作に移行するものである。
【0015】
これにより、熱的な事由や配置上の制限等により、マイクロ波発生部と給電部を物理的に分離配置した場合においても、反射電力を高い精度で検知することができる。また、加熱動作前の周波数掃引動作によって最小反射電力の動作条件を選択し、加熱動作へ移行するので高効率な加熱動作を実現できる。
【0016】
また、被加熱物の解凍によって加熱室のインピーダンスが大きく異なった場合でも、加熱動作停止中に再度最適な過熱周波数の設定を行うので、被加熱物の状態に依存せず、常
に高効率な加熱動作を実現することができる。
【0017】
第2の発明は、特に第1の発明において、制御部によって繰り返される加熱動作と加熱動作停止は所定の時間比によって定めるものである。これにより、加熱動作前に周波数掃引動作によって反射電力が最小となる動作条件を探索できるので、高効率な加熱動作を実現できる。
【0018】
第3の発明は、特に第1の発明において、制御部によって繰り返される加熱動作と加熱停止動作は電力検出部によって検出される反射電力が所定値以上となったときに加熱動作を停止するものである。
【0019】
これにより、給電部の反射電力が極端に大きな条件を排除して反射電力が小さくなる動作条件を選択できるので、高効率な加熱動作を実現できる。
【0020】
第4の発明は、特に第3の発明において、所定の時間内に電力検出部によって検出される反射電力が所定値以上にならなった場合、あらかじめ定めた時間加熱動作を一旦停止する構成とするものである。
【0021】
これにより、給電部の反射電力が極端に大きな条件を排除して反射電力が小さくなる動作条件を選択できるので、加熱動作によって電力増幅器に過大な反射電力が反射されることを未然に防止でき、高効率な加熱動作を実現できる。
【0022】
第5の発明は、特に第1から第4の発明において、電力検知部は、給電部から伝送路に再入射する反射波の電力値の検出結果を基底帯域の反射情報に変換するものである。
【0023】
これにより、マイクロ波発生部と給電部の配置に自由度を与えた場合においても、簡単な構成で反射電力を最小とする加熱動作条件を精度よく探索できるので、高い電力効率を備える冷蔵庫を実現することができるという効果を奏する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図であり、図2は本発明の実施の形態1における貯蔵室の制御動作を示す制御ブロック図である。
【0025】
図1に示すように、100は冷蔵庫本体の断熱箱体を示しており、主に鋼板を用いた外箱と、ABSなどの樹脂で成形された内箱と、外箱と内箱の空間に断熱材が設けられた構造により、周囲と断熱となっている。冷蔵庫本体100は、複数の室に断熱区画されており、最上部に冷蔵室101、冷蔵室101の下部に貯蔵室102、野菜室103、そして最下部に冷凍室104が配置され、各室の前面には外気と区画するため、冷蔵庫本体の前面開口部に各々、扉が構成されている。
【0026】
冷蔵庫本体100は、圧縮機105と凝縮器(図示せず)と減圧器(図示せず)と蒸発器(図示せず)とを備えて一連の冷媒流路を形成した冷凍サイクルである冷却手段を備えており、この冷却手段の動作により低温冷気が生成される。
【0027】
冷却手段の動作時に、送風手段(図示せず)、通風窓であるダンパ106からなる冷気送風手段を連動させ、該低温冷気を庫内の各室内を循環することにより、各室の冷却を行う。この冷却手段と冷気送風手段の運転状態を、外気温度や庫内温度等の種々の検知結果に応じて制御することにより、庫内を適温に保冷する。
【0028】
冷蔵庫本体100の背面側には、マイクロ波発生部10が設けられており、収容物50
の加熱条件、加熱情報や検知情報等の入力情報に応じて、所定のマイクロ波を生成する。また、マイクロ波発生部10には、半導体素子の発熱を放熱させる放熱手段(図示せず)を配する。なお、本実施の形態では、マイクロ波発生部10での発熱が庫内温度や収容物に及ぼす影響を減じる為、マイクロ波発生部10を庫外(冷蔵庫本体100の背面側)に配置しているが、これに拘るものではなく、発熱による影響に配慮した上で、庫内或いは庫外いずれの空間に設置してもかまわない。
【0029】
貯蔵室102は、金属材料で形成された壁面および開閉扉(図示せず)を有し、マイクロ波を貯蔵室102内に閉じ込めるように構成されている。
【0030】
貯蔵室102の背面側壁面には、例えば金属製のダイポールアンテナである給電部30が配設されており、給電部30から放射されたマイクロ波を貯蔵室102内の収容物50に照射することにより、収容物50の加熱を行う。
【0031】
なお、給電部の形状、配置は本実施の形態に拘束されるものではなく、放射する出力や指向性、設置寸法により、貯蔵室102を構成するいずれかの壁面に配置してもかまわない。
【0032】
冷蔵庫本体100の内装には、冷蔵庫の断熱性能に影響を及ぼさないように、例えば、同軸ケーブルである伝送路20が埋設されており、冷蔵庫背面に配置されたマイクロ波発生部10と、貯蔵室102の背面側壁面に配置された給電部30とを接続する。この接続距離は、経路の迂回等を含めて1m程度である。
【0033】
なお、伝送路の長さ、配置はあくまで一例であり、伝送路で生じる電力損失や設置位置により適宜選択して使用する。
【0034】
また、給電部30の近傍に電力検知部40を設け、給電部30側からマイクロ波発生部10側に向けて伝送路20を伝播する反射波の電力を検知することが可能となっている。
【0035】
電力検知部40で検知した反射情報は、伝送路20を介してマイクロ波発生部10に送信されて利用される。
【0036】
以上の構成により、本実施の形態1の冷蔵庫は、冷蔵庫の冷却能力と、マイクロ波による加熱能力をともに備え、適温保冷中にある収容物を誘電加熱することにより収容物の温度制御を行う。
【0037】
以上のように構成された冷蔵庫の加熱制御動作について、図2を用い、より詳細に説明する。
【0038】
図2に示す様に、貯蔵室102内に収容された食材12を誘電加熱する加熱制御機構は、マイクロ波発生部10、伝送路20、電力検知部40および給電部30で構成されている。
【0039】
この内、マイクロ波発生部10は、半導体素子を用いてマイクロ波信号を出力する発振部11と、該マイクロ波出力を電力増幅する半導体素子で構成した電力増幅部12および、伝送路20を伝播する信号から反射情報を分離抽出する分離抽出部13と、外部からの入力情報や該抽出した情報に基づいて発振部11の周波数および電力増幅部12の出力電力を制御する制御部14とで構成されている。
【0040】
まず、収容物50を貯蔵室102に収納し、その加熱条件を操作部(図示せず)から入
力し、加熱開始キーを押す。加熱開始キーの入力により、マイクロ波発生部10は動作を開始する。この動作に伴い、制御部14は、駆動電源(不図示)を動作させ発振部11および電力増幅部12を起動した後、発振部11の発振出力を許可する。なお、発振部11における発振周波数の初期値は、たとえば2400MHzに設定するものとする。
【0041】
電力増幅部12にて増幅出力されたマイクロ波は伝送路20を伝播し、伝送路20で生じる損失により減衰した後、電力検知部40を介して、貯蔵室102内に配設された給電部30に伝送される。貯蔵室102に於いては、給電部30から放射された該マイクロ波により、収容物50が誘電加熱される。
【0042】
なお、使用するマイクロ波の周波数範囲に於いて、マイクロ波発生部10からの電力を伝送路20に効率よく伝える為、マイクロ波発生部10の出力側からマイクロ波発生部10を見込んだインピーダンス(以降、マイクロ波発生部10の出力インピーダンス)は、伝送路20の特性インピーダンスに整合するように予め設計されている。他方、貯蔵室102の入力側から貯蔵室102を見込んだインピーダンス(以降、貯蔵室102の入力インピーダンス)は、マイクロ波の周波数をはじめ、貯蔵室102内の構造、貯蔵室内に収容された収容物50の種類、形状、量、状態、載置位置等、複数の因子に依存するため、全ての組み合わせにおいて、伝送路20の特性インピーダンスとの間で良好な整合状態を得ることは難しい。
【0043】
この為、この不整合状態に応じて、貯蔵室102に入射した電力の一部(或いは全部)が反射され、該反射波は、給電部30、電力検知部40を介して、伝送路20を逆方向に伝播し、マイクロ波発生部10に再入斜する。この時、反射波の電力は、伝送路20を伝播する際に、伝送路自体の損失、接続に係わる損失、伝送路の引回しやベンド等、敷設状態に依存した損失により減衰する。例えば、接続距離が1m程度の場合には、伝送路において1.5dB(略70%)程度の反射電力の減衰を考慮する必要がある。従って、給電部30端における微弱な反射電力をマイクロ波発生部10側で検出する場合には、その電力検出感度をより高める必要があり、部品精度の向上に伴うコストの増加を招く等の課題がある。
【0044】
このマイクロ波帯の反射波の減衰を軽減するため、本実施の形態に於いては、電力検知部40を、反射波の発生端である給電部30に近接した位置に配置するとともに、周波数変換部41に於いて該反射波の電力値を、マイクロ波帯より低い周波数帯の反射情報に変換した上で合成部42を介して該反射情報を伝送路に送出する。
【0045】
特に、マイクロ波帯の反射波を、より低い周波数帯の反射情報に変換した上で該情報を伝送路に送出することで、高周波域における伝送路の過剰損失の影響を軽減することができるため、給電部30とマイクロ波発生部10の接続距離が長延化した場合においても、マイクロ波発生部側に高精度の反射情報を供給することができる。また、該構成により、反射情報とマイクロ波の伝送路を共用することができるため、反射情報の伝送用に新たなハーネスを設ける必要がなく簡易に構成できる。
【0046】
なお、マイクロ波の周波数変換は、ローカル発振器とミキサ等を用いて構成することができる。
【0047】
以上の動作により、マイクロ波発生部と給電部の配置に自由度を与えた場合においても、マイクロ波発生部10側に、高確度の反射情報を送信することができる。
【0048】
次に、電力検知部40から送出された反射情報は、伝送路20を通過し、マイクロ波発生部10に入射する。マイクロ波発生部10では、まず、分離抽出部13において、伝送
路20から上述の反射情報を、例えば周波数フィルタ等を用いて抽出した上で制御部14に送出する。制御部14は、反射情報に基づいて、反射電力を極小値とする発振周波数の探索を行う。
【0049】
この周波数の探索時には、制御部14は、発振部11の発振周波数を、初期の2400MHzから周波数可変範囲の上限である2500MHzまで、例えば1MHzピッチで掃引する。
【0050】
この操作を行うことで、制御部14は発振部11の発振周波数に対する反射電力の配列を得ることができる。図3は反射情報に対応した反射電力の周波数特性図をグラフ化した一例を示す図である。
【0051】
制御部14は、発振部11を、この反射電力が最も小さくなる周波数条件(動作周波数は図中のf_opt)となるように制御するとともに、入力された加熱条件に対応した出力が得られるように、該出力を制御する。そして、その出力は給電部30に伝送され貯蔵室102内に放射される。
【0052】
このように、反射電力が最小である条件を求めることによって、反射電力を抑制しながら加熱動作することができるため、効率的に収容物にマイクロ波のエネルギーを吸収させることができ、加熱時間の短縮を図ることができるようになる。
【0053】
また、冷凍状態にある収容物を誘電加熱により解凍する際、収容物が部分的に解凍された状態(固相と液相)に至ると、各相でのマイクロ波に対する誘電率の違いに起因して、給電部からみた貯蔵室のインピーダンスが大きく変化する。
【0054】
このため、解凍初期に最適化した周波数での加熱を継続すると、解凍の進行に伴い、反射電力の増加を招くとともに、電力効率が低下してしまうが、本実施の形態によれば、加熱中に於いても電力検知部40によって反射電力を継続的に検出し、検出される反射電力が所定の閾値を超えると一旦加熱動作を中断し、前述の周波数選択動作をするので、再び最適な加熱動作の周波数を選択しなおすことができ、常に高効率にマイクロ波を供給することが可能になる。
【0055】
また、加熱動作をいったん中断するタイミングは上述のように電力検知部40によって検出される反射電力の増加によって判断してもよいし、制御部14において所定の時間加熱動作をした後に加熱動作を中断し、周波数特性を再度測定するようにしてもよい。
【0056】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の加熱動作に係わる構成図である。
実施の形態2では、電力検知部40の周波数変換部41を検波ダイオードとコンデンサによる平滑回路で構成し、マイクロ波帯の反射波電力値を基底帯域の反射情報に変換するとともに、合成部42は、直流阻止用(高周波通過用)のコンデンサC2部品と、チョーク部品L2とで構成したバイアスティ回路で構成し、チョーク部品L2を介して該反射情報を伝送路20に送出する。
【0057】
同様に、分離抽出部13は、直流阻止用(高周波通過用)のコンデンサC1部品と、チョーク部品L1とで構成したバイアスティ回路で構成し、チョーク部品L1を介して反射情報を伝送路20から抽出する。
【0058】
本実施の形態においては、チョークを用いた簡易な構成で反射情報を送受信することにより、マイクロ波と反射情報の双方で同軸ケーブル等のシールドされた伝送路(ハーネス
)を共用できるとともに、コンプレッサ等の外来雑音の影響を低減することができることから、基底帯域にある反射情報を正確に送受信することができる。
【0059】
また、貯蔵室102側に配設される給電部30と電力検知部40を無給電回路で構成することができることから、貯蔵室102側への電源給電に係わる新たなハーネスの追加を不要とすることができる。
【0060】
以上説明した様に、本発明の冷蔵庫によれば、マイクロ波発生部と給電部の配置に自由度を与えた場合においても、簡単な構成で反射電力を最小とする加熱動作条件を精度よく探索できるので、高い電力効率を備える冷蔵庫を実現することができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫によれば、給電部とマイクロ波発生部の物理的配置に自由度がある場合に於いても、反射電力が小さくなる動作周波数条件を高精度に検索する動作をするので、電子レンジで代表されるような誘電加熱を利用した加熱装置や生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置であるプラズマ電源のマイクロ波電源などの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0062】
10 マイクロ波発生部
11 発振部
12 電力増幅部
13 分離抽出部
14 制御部
20 伝送路
30 給電部
40 電力検知部
41 周波数変換部
42 合成部
50 収容物
100 冷蔵庫本体
101 冷蔵室
102 貯蔵室
103 野菜室
104 冷凍室
105 圧縮機
106 ダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の内部に配置された貯蔵室を冷却する冷却手段と、
発振部と、前記発振部の出力を電力増幅する電力増幅部と、
前記電力増幅部により増幅された増幅電力を伝播する伝送路と、
前記貯蔵室を構成する壁面に配置され、前記伝送路を伝播した該増幅電力を前記貯蔵室に供給する給電部と、
前記給電部から前記伝送路に再入射する反射波の電力値を検出した検出結果を前記反射波の周波数より低い周波数帯の反射情報に変換し、前記反射情報を伝送路に送出する電力検知部と、
前記伝送路を伝播した前記反射情報を抽出する分離抽出部と、
前記発振部の発振周波数と前記電力増幅部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は加熱動作の開始前に前記電力増幅部を動作させ、所定の周波数範囲において前記発振部の発振周波数を変化させて前記反射情報に対応する反射電力が最小となる条件を探索する探索動作を行い、前記探索動作で抽出した条件で加熱動作へ移行するとともに前記制御部は加熱動作の開始と停止とを繰り返し、加熱動作の停止中に前記探索動作を行って加熱周波数を再設定した上で、加熱動作を開始することを特徴とした冷蔵庫。
【請求項2】
制御部によって繰り返される加熱動作の開始と停止は所定の時間比によって定めた請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
制御部によって繰り返される加熱動作の開始と停止は電力検出部によって検出される反射電力が所定値以上となったときに加熱動作を停止することを特徴とした請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
所定の時間内に電力検出部によって検出される反射電力が所定値以上にならなった場合、あらかじめ定めた時間において加熱動作を停止することを特徴とした請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
電力検知部は、給電部から伝送路に再入射する反射波の電力値を検出し、該検出結果を基底帯域の反射情報に変換し、前記反射情報を伝送路に送出することを特徴とした請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−72618(P2013−72618A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213944(P2011−213944)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)