説明

冷蔵庫

【課題】高温冷媒管等の熱源を外壁の結露が発生しやすい場所に直接設けなくても、十分な熱を供給して結露を防止することができるとともに、冷蔵庫筐体が薄肉化され真空断熱材等が内部空間内に設けられていても、結露防止構造を設けるために真空断熱材等を特殊な形状に成型しなくてもよい冷蔵庫を提供する。
【解決手段】外部空気と接触する外壁11と、庫内空間14を形成する内壁12とを具備する冷蔵庫筐体1と、前記外壁11と前記内壁12との間に形成される筐体内部空間13内に設けられるものであり、少なくとも一端が熱源2に近接又は接触させて取り付けられ、他端側が前記外壁11の結露防止領域近傍へと延びる熱伝導性シート3と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫筺体の外壁に結露が発生するのを防止するための結露防止構造を有した冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、同じ体積の冷蔵庫でさらに多くのものを収容できるように冷蔵庫の容積率を大きくすることが求められている。このような容積率の向上のためには、外気と接する外壁と庫内空間を形成する内壁とからなる冷蔵庫筐体の厚みを薄くする必要がある。そして、前記冷蔵庫筐体の厚みを薄くする場合、庫内空間からの冷気が筐体を介して外部へと逃げにくくするために前記外壁と前記内壁との間の筐体内部空間内に真空断熱材が設けられる。
【0003】
ところで、前記冷蔵庫筐体の筐体内部空間内にウレタン等の断熱部材を充填したとしても、庫内空間内の冷気が逃げることにより前記外壁が冷やされてしまうことを完全に防ぎ、外気と接する外壁表面に結露が生じるのを防ぐことは難しい。そこで、従来から高温冷媒の流れる高温冷媒管を前記断熱部材の中に埋め込み、例えば冷蔵庫側面の全面に亘って高温冷媒管を行き渡らせて、前記外壁の近傍で放熱を行わせることで、外壁表面での結露を防ぐようにしている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、冷蔵庫筐体を薄肉化し、前記真空断熱材を用いた冷蔵庫の場合、従来のように高温冷媒管を外壁の全体に沿って行き渡らせることで、結露防止構造を形成することは難しい。より具体的に説明すると、従来のように真空断熱材を用いずにウレタン等の断熱部材のみを用いている場合であれば高温冷媒管を断熱部材内に埋め込むことは容易であるものの、前述したような真空断熱材の場合、予め高温冷媒管を通すための溝等をその表面に形成しておく必要がある。すると、真空断熱材を直方体形状等といった単純形状ではなく、高温冷媒管を通すための溝を有した複雑形状で形成しなくてはならなくなるため、製造費用が上昇してしまう。
【0005】
さらに、真空断熱材に高温冷媒管を通すための溝が形成されていると、その分、断熱性が悪化したり、生産性が低下したりするといった問題が生じてしまう。加えて、真空断熱材の厚みを高温冷媒管の径以上にしなくてはならないといった制約条件が生じるため、容積率を向上させるために冷蔵庫筐体を薄肉化したいという要求とも矛盾が生じてしまう。かといって、真空断熱材を入れないところだけに高温冷媒管を行き渡らせても、前記高温冷媒管から離れた場所には十分な熱が供給されず、外壁表面への結露を防止することができなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−018796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、高温冷媒管等の熱源を外壁の結露が発生しやすい場所に直接設けなくても、十分な熱を供給して結露を防止することができるとともに、冷蔵庫筐体が薄肉化され真空断熱材等が内部空間内に設けられていても、結露防止構造を設けるために真空断熱材等を特殊な形状に成型しなくてもよい冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の冷蔵庫は、外部空気と接触する外壁と、庫内空間を形成する内壁とを具備する冷蔵庫筐体と、前記外壁と前記内壁との間に形成される筐体内部空間内に設けられるものであり、少なくとも一端が熱源に近接又は接触させて取り付けられ、他端側が前記外壁の結露防止領域近傍へと延びる熱伝導性シートと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、前記外壁の結露防止領域から離れた場所にしか前記熱源を設けられなかったとしても、前記熱伝導性シートにより熱源から結露防止領域に対して結露を防止するのに十分な量の熱を供給することができる。しかも、前記熱伝導性シートはシート状であるので、筐体内部空間においてほとんど設置するためのスペースを必要とせず、例えば、筐体内部空間内に真空断熱材を設ける場合でも真空断熱材の表面に設置するための溝等を形成する必要が無い。
【0010】
言い換えると、熱伝導性シートを用いているので、前記外壁の結露防止領域の近傍に前記熱源を直接設ける必要が無いので、真空断熱材の表面に熱源を通すための溝等を形成する必要が無い。従って、真空断熱材を例えば単純な直方体形状等で形成することができ、製造コストの上昇や、断熱性、生産性の悪化と言った問題が生じないようにすることができる。
【0011】
これらのことから本発明の冷蔵庫によれば、容積率の向上のために冷蔵庫筐体を薄肉化しつつ、結露防止構造を形成したとしても、例えば真空断熱材等の形状の複雑化を招くことがなく、生産性の優れたものにすることが可能となる。
【0012】
ヒータ等の熱源を別途設けることによる製造コストの増加を防ぐとともに、冷蔵庫のコンデンサの放熱効率を向上させることができるようにするには、前記熱源が、圧縮機から吐出される高温冷媒の流れる高温冷媒管あり、前記熱伝導性シートの一端が当該高温冷媒管に巻き回されているものであればよい。このようなものであれば、単に放熱するしかない高温冷媒の熱を結露防止で有効利用することができるとともに、冷凍サイクルとしての効率も向上させることができる。
【0013】
前記外壁における結露をより防止しやすくするとともに、庫内空間の冷気が冷蔵庫筐体を介して外部へと逃げるのを防止するには、前記筐体内部空間内に真空断熱材が設けられており、前記外壁と前記真空断熱材との間に前記熱伝導性シートが設けられているものであればよい。このような配置であれば、熱伝導性シートからの熱が真空断熱材により遮られることなく、前記外壁へと伝熱させることができ、効率よく結露を防止することができる。
【0014】
前記熱源の近傍から当該熱源から離れた箇所まで均一に熱を行き渡らせて、外壁の広範囲にわたって結露を防止できるようにするには、前記熱伝導性シートの前記外壁面への熱伝導度が一端側よりも他端側のほうが高くなるように設定されていればよい。
【0015】
熱源近傍における熱伝導性シートから外壁への熱伝導量を小さくするとともに、他端側からの熱伝導量を大きくするには、前記熱伝導性シートの一端側よりも他端側のほうが前記外壁に近接させて設けられていればよい。
【0016】
熱源近傍において熱伝導性シートから大部分の熱が外壁へと熱伝導してしまい、他端側へ十分な量の熱が供給されない事態を防ぎ、熱源から離れている結露防止領域においても結露を外壁表面に発生しにくくするためには、前記外壁と前記熱伝導性シートとの間において、少なくとも前記熱源の近傍に断熱性部材が更に設けられていればよい。
【0017】
熱伝導性シートの一端側から他端側へと均一に熱伝導させるための具体的な構成の一例としては、前記熱伝導性シートが複数層から形成されるものであり、前記外壁に近接する層の数が一端側よりも他端側の方が多くなるように配置してあるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明の冷蔵庫によれば、熱伝導性シートにより熱源から離れた場所にある結露防止領域に対しても供給する事が可能となる。さらに、熱結露防止領域の近傍に熱源を直接設ける必要が無く、熱伝導性シートを用いているので狭い空間でも容易に設けることができる。このため、例えば冷蔵庫筐体の内部空間内に設けられる真空断熱材等を熱源や熱伝導性シートの配置ために特殊形状で成形する必要が無い。従って、冷蔵庫筐体の薄肉化により容積率を向上させつつ、外壁への結露防止構造を設けても大幅な製造コストの上昇や、断熱性、生産性の悪化を生じさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷蔵庫を示す模式的斜視図。
【図2】第1実施形態の冷蔵庫の模式的横断面図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る冷蔵庫の模式的横断面図。
【図4】第1実施形態と第2実施形態の結露防止構造の模式的比較図。
【図5】第1実施形態と第2実施形態の結露防止構造による熱伝導量の比較グラフ。
【図6】本発明の第3実施形態に係る冷蔵庫の模式的横断面図。
【図7】本発明の第4実施形態に係る冷蔵庫の模式的横断面図。
【図8】本発明の第5実施形態に係る冷蔵庫の模式的横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1及び水平方向の断面図である図2に示す第1実施形態の冷蔵庫200は、概略直方体形状の冷蔵庫筐体1を有するものであり、その外壁11に結露が発生するのを防止するための結露防止機構100を備えたものである。また、この冷蔵庫200には、上段に冷蔵室、中段に冷凍室、下段に野菜室を設けてある。
【0022】
前記冷蔵庫筐体1は、前面を構成するドア、又は引き出し口等からなる取り出し部1Bと、上面、底面、側面を構成する本体部1Aと、から構成してある。各部は、外部空気と接触する外壁11と、庫内空間14を形成し、当該庫内空間14内の空気と接触する内壁12とを具備するものである。そして、前記冷蔵庫筐体1は、外壁11と内壁12との間に筐体内部空間13が形成してあり、この筐体内部空間13内には高温冷媒の流れる高温冷媒管2や、庫内空間14内から外部へと冷気が逃げるのを防止するための真空断熱材4やウレタン等からなる充填材が収容してある。なお、図1に示すように真空断熱材4は、概略平板状のものであり、少なくとも冷蔵室の下部側面部及び冷凍室の側面に設けてある。
【0023】
第1実施形態では、図1及び水平方向の断面図である図2に示すように前記冷蔵庫筐体1の側面における筐体内部空間13内に結露防止機構100を設けてあるものである。前記結露防止機構100は、前記側面視において、概略コの字状をなすように前記筐体内部空間13内に配設された高温冷媒管2と、前記高温冷媒管2に一端を接触させて取り付けられた熱伝導性シート3とから構成してある。なお、図2は分かりやすさのために、実際の冷蔵庫筐体1の厚み等をデフォルメして記載してあり、図1の縮尺とは事ならせてある。
【0024】
前記高温冷媒管2は、冷蔵庫200の背面に設けられた圧縮機(図示しない)から吐出される高温冷媒の通る配管であり、図1に示すように前記冷蔵庫筐体1内を背面側から前面側へと概略水平方向に延びた後、側面の前面側において上下方向に延び、その後前面側から背面側へと水平方向に延びるように配置してある。すなわち、前記高温冷媒管2は、冷蔵庫筐体1のある一面において略外縁部を通るように設けてある。言い換えると、熱源である高温冷媒管2は、側面における結露防止領域から離間した場所であるとともに、他の真空断熱材4等の前記筐体内部空間13内に設けられる部材と干渉しないように面板方向に対して所定距離離間させた位置を通るように設けてある。また、図2の断面図に示すように高温冷媒管2の上下方向に延びる部分に関しては、前記本体部1Aにおいて前記取り出し部1Bと近接する部分であり、前記本体部1Aと前記取り出し部1Bとを密閉させるためのガスケットGの近傍に設けてある。
【0025】
前記熱伝導性シート3は、例えばグラファイトシートであり、前記高温冷媒管2において前面側を上下方向に延びる部分に一端を巻き回されて取り付けられており、他端側が前記外壁11の結露防止領域近傍へと延びるように設けてある。言い換えると、前記熱伝導性シート3は、一端が取り付けられている前記高温冷媒管2に対して他端が反高温冷媒管3側へと延びるように配置してある。この第1実施形態では、結露防止領域は、前記冷蔵庫筐体1の側面中央部から背面側にかけての領域を対象としている。そして、前記熱伝導性シート3は、図2の断面図に示すように断面視において内壁12、真空断熱材4、熱伝導性シート3、外壁11の順となるように前記真空断熱材4と前記外壁11との間に設けてあるとともに、前記外壁11と略平行に外壁11の内側面に沿って設けてある。また、各部材はウレタン等の充填材によりその設置場所を固定してある。加えて、前記熱伝導性シート3は屈曲性を有するシート状のものであり、前記真空断熱材4と比較してその厚みを薄く形成してある。
【0026】
このように構成された第1実施形態の冷蔵庫200によれば、熱源である高温冷媒管2からの熱を熱伝導性シート3により熱源から離間した場所にある結露防止領域にも熱伝導させることができる。より具体的には、図2の矢印の長さで示すように高温冷媒管2の近傍で最も熱を外壁11に供給でき、他端側に進むほど外壁11に与える熱量は小さくなりつつ側面の背面側の領域まで熱を送り届けることができる。このように熱分配が外壁11に対してなされるので、例えば、結露が生じやすい側面の前面側に対して重点的に結露防止を行いつつ、その他の側面全体においても結露防止効果を持たせることができる。
【0027】
さらに、前記熱伝導性シート3を用いて熱源から離間した場所にある結露防止領域にも十分な熱を供給することができるので、従来のように熱源である高温冷媒管2を側面の中央部等の結露防止領域に直接設ける必要が無い。つまり、前記高温冷媒管2を側面において外縁部を通るようにのみ通し、側面の中央部等、真空断熱材4の配置される場所を迂回して配置することができるので、前記冷蔵庫筐体1を薄肉化し、前記真空断熱材4を前記筐体内部空間13に設ける場合でも、前記高温冷媒管2と前記真空断熱材4を厚さ方向に重ねて配置しなくてもよい。従って、前記真空断熱材4に前記高温冷媒管2を通すための溝等を別途形成する必要が無く、当該真空断熱材4を複雑形状に形成する必要が無い。つまり、前記冷蔵庫筐体1を薄肉化し、容積率を向上させる場合において、結露防止機構100を採用しても真空断熱材4を図示しているような直方体形状のような単純形状で成形して用いることができ、製造コストの上昇を招くことがない。加えて、真空断熱材4が単純形状であることから、生産性や断熱性を損なうこともない。
【0028】
また、前記結露防止機構100は別途ヒータを設けるのではなく、冷蔵庫200に具備されている高温冷媒管2の熱を利用して結露を防止でき、高温冷媒管2における冷媒の放熱により冷凍サイクルとしての効率も向上させることができる。つまり、結露防止とともに消費エネルギの低減を実現することもできる。
【0029】
次に第2実施形態の冷蔵庫200について説明する。以下の各実施形態では第1実施形態の冷蔵庫200に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0030】
第2実施形態の冷蔵庫200では、図3の断面図に示すように第1実施形態の結露防止機構100が、外壁11と熱伝導性シート3との間に断熱性部材5をさらに設けてある。前記断熱性部材5は、ウレタン等で形成された概略平板状のものであり、前記真空断熱材4よりも断熱性の低く、所定量の熱は外壁11に対して熱伝導させるものである。そして、図3に示すように熱源である高温冷媒管2の近傍から熱伝導性シート3の他端側へと延び、その途中までの長さ寸法となるように設定してある。また、前記熱伝導性シート3の他端側で前記断熱性部材5よりも長い部分に関しては、前記外壁11に接するようにしてある。
【0031】
このように構成された第2実施形態の結露防止機構100の効果について第1実施形態の結露防止機構100と比較を行いながら説明する。図4には、図2及び図3の想像線で囲われた部分の拡大図とその熱伝導量を模式的に示す矢印とを示したものである。第1実施形態の場合、熱源である高温冷媒管2の近傍に大量の熱が前記外壁11へと熱伝導してしまうため、熱伝導性シート3の他端側から熱伝導される熱量が小さくなっているのに対して、第2実施形態では前記断熱性部材5が前記外壁11と前記熱伝導性シート3との間にあるため、高温冷媒管2近傍で熱伝導する熱量を第1実施形態と比較して小さくすることができる。従って、背面側へと移動する熱量を大きくすることができるため、最終的に熱伝導性シート3の他端へと熱伝導させることのできる熱量を第1実施形態よりも大きくすることができる。
【0032】
第1実施形態と第2実施形態の結露防止機構100における高温冷媒管2で発生した熱を基準として、どの程度の割合の熱量が、熱伝導性シート3の各地点に到達することができるのかシミュレーションを行ったところ、図5に示すように断熱性部材5を設けた場合、前記熱伝導性シート3の他端において前記外壁11に伝熱させることができる熱量を3.3倍に向上させることができる。従って、ドア側に設けられた高温冷媒管2から背面側に向かって全体をより均一に温めることができ、広い範囲で結露防止の効果を得やすくできる。
【0033】
次に第3実施形態の冷蔵庫200について説明する。
【0034】
第2実施形態では断熱性部材5の形状が直方体形状であったのに対して、第3実施形態の結露防止機構100では、前記断熱性部材5が傾斜面を有する概略三角柱形状に形成してある。より具体的には、図6の断面図に示すように前記断熱性部材5の厚みが、高温冷媒管2の近傍において最大となり、前記伝熱性シートの他端側で最小となるように形成してあり、前記伝熱性シートも前記断熱性部材5の傾斜面に沿って設けてある。すなわち、前記伝熱性シートは、一端が最も外壁11面から離間しているとともに、他端側へ進むほど前記外壁11との離間距離が小さくなるように設けてある。
【0035】
このように構成することで、前記高温冷媒管2からの離間距離による熱伝導性シート3から外壁11面への熱伝導量をさらに均一にすることができ、側面全体に対する結露防止効果をより得やすくなる。
【0036】
次に第4実施形態の冷蔵庫200について説明する。
【0037】
第4実施形態の結露防止機構100は、図7の断面図に示すように前記熱伝導性シート3が複数層から形成してあるものであり、前記外壁11に近接する層の数が一端側よりも他端側の方が多くなるように配置してある。
【0038】
より具体的には、前記断熱性部材5が3つに分割して、前面側から背面側へと並べて筐体内空間に設けてあり、各隙間に熱伝導性部材を一枚ずつ通していくことで、他端側へ行くほど熱伝導性シート3の層の数が増えるようにしてある。
【0039】
このように構成しても層の数が少ない高温冷媒管2近傍での外壁11への熱伝導量を抑えるとともに、他端側への熱伝導量を大きくすることができる。従って、側面全体について均一に熱を供給することができ、側面全体での結露防止効果を得やすくすることができる。
【0040】
次に第5実施形態の冷蔵庫200について説明する。
【0041】
第5実施形態の結露防止機構100は、図8の断面図に示すように前記第2実施形態の結露防止機構100において熱伝導性シート3と真空断熱材4との間にも断熱性部材5を設けるようにしたものである。
【0042】
このように構成することで、真空断熱材4の表面フィルムを伝い、真空断熱材4の表面を迂回して庫内空間14に高温冷媒管2からの熱が伝熱することを防ぐことができる。すなわち、熱伝導性シート3により供給される熱は、外壁11にだけ略供給されるようにするとともに、庫内空間14にはほとんど伝熱されないようすることができる。従って、結露防止にのみ高温冷媒管2からの熱を有効に利用しつつ、高温冷媒管2の熱により庫内空間14が暖められることを無くし、冷蔵庫200全体としての消費エネルギの低減を図ることができる。
【0043】
その他の実施形態について説明する。
【0044】
前記各実施形態では、熱源として高温冷媒管を利用していたが、例えば、その他のヒータ等を熱源としても構わない。さらに、結露防止構造は冷蔵庫の側面だけでなく、例えば、上面、底面、背面、又はドア部分等様々な箇所に設けても構わない。また、熱伝導性シートの一端のみを高温冷媒管に巻回すのではなく、他端にも高温冷媒管を設けても構わない。このようにすることで、熱伝導性シートからより均一に熱を外壁に対して供給することができる。加えて、前記熱伝導性シートの一端は必ずしも高温冷媒管に接触させる必要は無く、高温冷媒管の近傍に離間させて設けても構わない。熱伝導性シートの材質はグラファイトだけでなく、熱伝導性のよいものであればその他の材質であっても構わない。さらに、熱伝導性シートは各実施形態のように略平面状にした状態で用いるだけでなく、例えば、側面から背面側まで回るように折り曲げて使用しても構わない。
【0045】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な実施形態の組み合わせや変形を行っても構わない。
【符号の説明】
【0046】
200・・・冷蔵庫
1 ・・・冷蔵庫筐体
11 ・・・外壁
12 ・・・内壁
13 ・・・筐体内部空間
14 ・・・庫内空間
2 ・・・高温冷媒管(熱源)
3 ・・・熱伝導性シート
4 ・・・真空断熱材
5 ・・・断熱性部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空気と接触する外壁と、庫内空間を形成する内壁とを具備する冷蔵庫筐体と、
前記外壁と前記内壁との間に形成される筐体内部空間内に設けられるものであり、少なくとも一端が熱源に近接又は接触させて取り付けられ、他端側が前記外壁の結露防止領域近傍へと延びる熱伝導性シートと、を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記熱源が、圧縮機から吐出された高温の冷媒が流れる高温冷媒管であり、前記熱伝導性シートの一端が当該高温冷媒管に巻き回されている請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記筐体内部空間内に真空断熱材が設けられており、
前記外壁と前記真空断熱材との間に前記熱伝導性シートが設けられている請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記熱伝導性シートの前記外壁面への熱伝導度が一端側よりも他端側のほうが高くなるように設定されている請求項1、2又は3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記熱伝導性シートの一端側よりも他端側のほうが前記外壁に近接させて設けられている請求項1、2、3又は4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記外壁と前記熱伝導性シートとの間において、少なくとも前記熱源の近傍に断熱性部材が更に設けられている請求項1、2、3、4又は5記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記熱伝導性シートが複数層から形成されるものであり、前記外壁に近接する層の数が一端側よりも他端側の方が多くなるように配置してある請求項1、2、3、4、5又は6記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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