説明

凍結冷蔵方法及び凍結冷蔵設備

【課題】フリーザーや凍結庫等に設けられた冷凍装置において、冷凍装置が凍結運転を行なわない時、冷凍装置の非効率な発停や、待機電圧の負荷による消費電力の無駄をなくす。
【解決手段】凍結庫20に冷蔵庫30が併設され、凍結庫20及び冷蔵庫30は夫々別系統のNH/CO冷凍装置40及び50を備えている。冷蔵庫30内にCO液化熱交換器34が設けられ、CO循環回路444の戻り路448から分岐したCO液化路36、38がCO液化熱交換器34に接続されている。凍結庫20の運転停止時に、CO循環回路444やCO受液器442で気化したCOブラインガスをCO液化熱交換器34に送り、冷却液化してCO循環回路444に戻すことで、CO受液器442やCO循環回路444の昇温昇圧を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温のCOブラインを循環させて食品等の被凍結品を凍結させ、かつ冷蔵保管する凍結冷蔵方法及び凍結冷蔵設備に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍分野において、地球温暖化防止の観点から、冷媒として使用されているノンフロンのHFC冷媒を回収する必要に迫られており、かつ回収後の漏洩問題が大きくなっている。また、自然冷媒であるNHを使用する大型の凍結冷蔵設備が多く見受けられるようになっている。
【0003】
NHは毒性を有するため、NHを冷媒として採用する大型の凍結冷蔵設備では、NHを一次冷媒として使用した冷凍サイクル構成機器を機械室内に設け、二次冷媒として、該冷凍サイクル構成機器で冷却液化されたCOブラインを冷凍ショーケース、フリーザー及び冷蔵庫内の空気冷却器に送って冷蔵庫内を冷却するNH/CO冷凍装置が、特許文献1に開示されている。
【0004】
この種のNH/CO冷凍装置の概要を図3により説明する。図3において、このNH/CO冷凍装置100のうち、一次冷媒系装置101は、一次冷媒であるNHの循環回路102に、例えばスクリュー圧縮機等で構成される圧縮機104と、水冷式凝縮器106と、高圧受液器108と、膨張弁110と、CO液化器(カスケードコンデンサ)112が設けられて構成されている。
【0005】
水冷式凝縮器106と冷却塔114との間は、冷却水循環回路116で接続され、冷却塔114で冷却された冷却水が冷却水ポンプ118によって水冷式凝縮器106に循環される。この冷却水によって、水冷式凝縮器106でNH冷媒を冷却し、液化している。
【0006】
また、NH/CO冷凍装置100の二次冷媒系120は、二次冷媒としてCOブラインが循環するCO循環回路121が設けられている。CO循環回路121は、送り路121Aと、戻り路121Bとで構成されている。これら配管はCO受液器122と、凍結庫124の内部に配置された複数の空気冷却器126とを接続している。CO受液器122内の液状のCOブライン液は、送り路121Aを介し、液ポンプ128によって空気冷却器126に送られる。COブライン液は、空気冷却器126で庫内空気と熱交換し、庫内空気を冷却すると共に、COブライン液の一部が気化し、気液二相流となる。気液二相流のCOブラインは、戻り路121Bを通ってCO受液器122に戻る。
【0007】
CO受液器122とCO液化器112との間は、第2のCO循環回路130で接続されている。CO受液器122内のCOブラインガスは、第2のCO循環回路130を通ってCO液化器112に送られ、CO液化器112でNH冷媒と熱交換して冷却液化される。液状となったCOブラインは、第2のCO循環回路130を通って、CO受液器122に戻される。
【0008】
特許文献2には、液化天然ガス(LNG)を貯蔵するタンクにおいて、LNGが気化するときに冷熱を有効利用し、該冷熱の一部を、冷凍サイクルを構成する圧縮式ヒートポンプ装置によって回収し、この冷熱でLNGタンク内のLNGを過冷却し、ボイルオフガスの発生を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO2006−38354号再公表特許公報
【特許文献2】特開平5−248599号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
フリーザーや凍結庫は、休業日等には凍結作業を行なわないので、その期間中NH3/CO冷凍装置100を停止させる。この停止期間中、COブラインはCO受液器122に貯留されているが、外部からの侵入熱で昇温昇圧され、許容圧力を超えてしまうおそれがある。
【0011】
これを防止するために、必要な時に一次冷媒系装置101を即時稼動させるため、一次冷媒系装置101(例えば、制御盤や、圧縮機、油分離器等に貯留された循環油を加熱するためのヒータ等)に待機電流が通電されている。そして、CO受液器122の圧力上昇を検知して、自動的にNH/CO冷凍装置100を始動させるようにしている。CO受液器122内のCOブラインの液化のためだけに、NH/CO冷凍装置100を稼動させると、冷却能力が過大となり、発停を繰り返す効率の悪い運転となる。
【0012】
また、休業日等にフリーザーや凍結庫を稼動させないときでも、常時一次冷媒系装置101に待機電流を通電させているので、無駄な消費電力が発生する。
【0013】
特に、漁業においては、漁期及び天候等で魚の水揚げの変動が大きく、魚の凍結庫の稼動は、一年のうち100日程度である。魚の凍結庫は、稼動を停止している時には、庫内の乾燥及び防錆のために、凍結庫の扉を外気に開放している。魚の凍結庫にNH/CO冷凍装置を設置する場合は、長期に凍結庫の稼動が停止するので、NHを冷媒とする一次冷媒系装置に負荷されている待機電圧による無駄な消費電力が増大するという問題がある。
【0014】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、フリーザーや凍結庫等に設けられた冷凍装置において、冷凍装置が休業日等で凍結運転を行なわない時でも、冷凍装置の非効率な発停や、待機電圧の負荷による無駄な消費電力を発生させないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的を達成するため、本発明の凍結冷蔵方法は、一次冷媒の冷凍サイクル構成機器で二次冷媒のCOブラインを冷却液化する工程と、液化されたCOブラインをCO循環回路を介して凍結庫に送り、被凍結品を凍結する工程と、凍結した被凍結品を別系統の冷凍装置を備えた冷蔵庫で冷蔵保管する工程とからなる凍結冷蔵方法において、凍結庫の運転停止時に、CO循環回路で気化したCOブラインの一部を冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器に送る送り工程と、該CO液化熱交換器でCOブラインを冷蔵庫内空気と熱交換させ、冷却液化させる液化工程と、CO液化熱交換器で液化されたCOブラインをCO循環回路に戻す戻り工程と、からなるものである。
【0016】
本発明方法では、凍結庫の運転停止時に、CO循環回路で気化したCOブラインの一部を稼動中の冷蔵庫の内部に設けられたCO液化熱交換器に送り、該CO液化熱交換器で庫内空気と熱交換させ、冷却液化する。この液化したCOブラインをCO循環回路に戻すことで、CO循環回路内のCOブラインを低温低圧に保持し、CO循環回路及び該CO循環回路に設けられたCO受液器等の内部の昇温昇圧を防止できる。凍結庫が長期に停止される場合でも、冷蔵庫は常時稼動しているため、冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器の冷却機能は維持できる。そのため、凍結庫の一次冷媒系装置に待機電流を通電しておく必要がなく、無駄な消費電力の発生がなくなる。
【0017】
また、冷蔵庫内の低温空気又は被凍結品が保有する蓄冷熱を利用して、COブラインを液化するので、冷蔵庫内を冷却する冷凍装置の運転に影響を与えない。そのため、該冷凍装置の効率低下を招かない。
【0018】
本発明方法において、凍結庫の運転停止時に、CO液化熱交換器でCOブラインを液化させる時、CO液化熱交換器に併設されCO液化熱交換器の伝熱面に空気流を形成する送風機のみを稼動させ、その他の機器をオフ状態とするとよい。これによって、最小限の消費電力でCOブラインを液化できる。
【0019】
本発明方法において、凍結庫の一次冷媒系装置の一次冷媒がNHであれば、一次冷媒系装置によるCOブラインの冷却能力を増大できると共に、自然冷媒であるNHを使用することで、地球の温暖化防止に寄与できる。
【0020】
前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の凍結冷蔵設備は、別系統の冷凍装置を備えた凍結庫と冷蔵庫とが併設され、該凍結庫の冷凍装置が、一次冷媒を用いた冷凍サイクル構成機器と、凍結庫内に設けられた空気冷却器と、該冷凍サイクル構成機器で冷却液化されたCOブラインを貯留するCO受液器と、COブラインを二次冷媒として受液器と空気冷却器間を循環させるCO循環回路とからなる凍結冷蔵設備において、冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器と、空気冷却器からCO受液器にCOブラインを戻すCO循環回路から分岐され、該CO液化熱交換器を介してCO受液器に至るCO液化路と、を備え、凍結庫の運転停止時に、CO受液器及びCO循環回路で気化したCOブラインをCO液化熱交換器で冷却液化してCO受液器に戻すように構成したものである。
【0021】
本発明装置では、凍結庫の運転停止時に、CO循環回路で気化したCOブラインの一部を、常時稼動している冷蔵庫に設けられたCO液化熱交換器に送る。そして、COブラインを該CO液化熱交換器で庫内空気を熱交換させ冷却液化する。液化したCOブラインをCO循環回路に戻すことで、CO循環回路及びCO循環回路に設けられたCO2受液器の内部を低温低圧に保持できる。
【0022】
そのため、CO循環回路に設けられたCO受液器に貯留されているCOブラインの昇温昇圧を防止できる。凍結庫が長期に停止される場合でも、冷蔵庫は被凍結品を冷蔵保管するため、常時稼動される。そのため、冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器の冷却機能は維持できるので、凍結庫の一次冷媒系装置に待機電流を通電しておく必要がない。従って、無駄な消費電力の発生がない。
【0023】
また、冷蔵庫内の低温空気又は被凍結品が保有する蓄冷熱を利用して、COブラインを液化するので、冷蔵庫内を冷却する冷凍装置の運転に影響を与えない。そのため、該冷凍装置の効率低下を招かない。
【0024】
本発明装置において、CO液化熱交換器をCO受液器より重力方向高位置に設け、前記CO循環回路とCO液化路とを選択的に切り替える弁機構を設けず、CO液化熱交換器で液化したCOブラインをCO受液器に自然循環させるように構成するとよい。これによって、弁機構やCOブラインをCO液化熱交換器に送るポンプ等を必要とせず、設備費を低減できると共に、液化したCOブラインをCOブラインに送る動力を必要としない。
【0025】
本発明装置において、CO液化熱交換器の出口側CO液化路に液化したCOブラインを一時貯留するトラップを設け、該トラップの下流側CO液化路にCOブラインの液柱を形成させるようにするとよい。これによって、前記トラップを設けるだけの簡単かつ低コストな手段で、CO液化熱交換器からCO循環回路へCOブラインを確実に自然循環させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明方法によれば、一次冷媒の冷凍サイクル構成機器で二次冷媒のCOブラインを冷却液化する工程と、液化されたCOブラインをCO循環回路を介して凍結庫に送り、被凍結品を凍結する工程と、凍結した被凍結品を別系統の冷凍装置を備えた冷蔵庫で冷蔵保管する工程とからなる凍結冷蔵方法において、凍結庫の運転停止時に、CO循環回路から気化したCOブラインの一部を前記冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器に送る送り工程と、該CO液化熱交換器でCOブラインを冷蔵庫内空気で冷却液化させる液化工程と、CO液化熱交換器で液化されたCOブラインをCO循環回路に戻す戻り工程と、からなるので、凍結庫の運転停止時に、冷蔵庫が保有する冷熱を用いて、簡単かつ低コストな手段で、CO循環回路及び該CO循環回路に設けられたCO受液器でのCOブラインの昇温昇圧を防止でき、そのため、凍結庫の一次冷媒系装置に待機電流を通電しておく必要がなくなり、無駄な電力の消費を抑えることができる。
【0027】
本発明装置によれば、別系統の冷凍装置を備えた凍結庫と冷蔵庫とが併設され、該凍結庫の冷凍装置が、一次冷媒を用いた冷凍サイクル構成機器と、凍結庫内に設けられた空気冷却器と、該冷凍サイクル構成機器で冷却液化されたCOブラインを貯留するCO受液器と、COブラインを二次冷媒として受液器と空気冷却器間を循環させるCO循環回路とからなる凍結冷蔵設備において、冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器と、空気冷却器からCO受液器にCOブラインを戻すCO循環回路から分岐され、該CO液化熱交換器を介してCO受液器に至るCO液化路と、を備え、凍結庫の運転停止時に、CO受液器及びCO循環回路で気化したCOブラインをCO液化熱交換器で冷却液化してCO受液器に戻すように構成したので、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明方法及び装置の一実施形態に係る凍結冷蔵設備の全体構成図である。
【図2】前記凍結冷蔵設備のCO液化熱交換器の正面図である。
【図3】凍結庫に設けられた従来のNH/CO冷凍装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0030】
本発明方法及び装置の一実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1において、本実施形態の凍結冷蔵設備10は、床面F上で互いに併設された凍結庫20及び冷蔵庫30と、該凍結庫20の庫内空気を冷却するNH/CO冷凍装置40と、冷蔵庫30の庫内空気を冷却するNH/CO冷凍装置50とで構成されている。凍結庫20内には、NH/CO冷凍装置40から送られるCOブライン液で庫内空気を冷却する複数の空気冷却器22が配設されている。冷蔵庫30内には、NH/CO冷凍装置50から送られるCOブライン液で庫内空気を冷却する複数の空気冷却器32が配設されている。
【0031】
空気冷却器22には、熱交換管の伝熱面に空気流を形成するファン(図示省略)が併設され、空気冷却器32にも同様の機能をもつファン33が併設されている。
【0032】
NH/CO冷凍装置40の一次冷媒系装置42は、一次冷媒であるNHが循環するNH循環路422に、例えばスクリュー圧縮機等で構成された圧縮機424と、蒸発式凝縮器426と、高圧受液器428と、膨張弁430と、CO液化器(カスケードコンデンサ)432とが介設されて構成されている。
【0033】
NH/CO冷凍装置40の二次冷媒系44は、CO受液器442と、該CO受液器442と空気冷却器22とを接続するCO循環回路444とで構成されている。該CO循環回路444は、COブライン液をCO受液器442から空気冷却器22に送る送り路446と、空気冷却器22で庫内空気と熱交換して一部が気化した気液二相流のCOブラインをCO受液器442に戻す戻り路448とで構成されている。送り路446又は戻り路448と各空気冷却器22とは分岐管452で接続されている。送り路446には液ポンプ450が設けられている。
【0034】
CO受液器442とCO液化器432とは、第2のCO循環回路454で接続されている。CO受液器442にCOブライン液が貯留されている。戻り路448からCO液化器432に戻されたCOブラインガスは、第2のCO循環回路454を介してCO受液器442に送られ、CO液化器432でNH冷媒と熱交換して冷却液化される。液化したCOブライン液は、第2のCO循環回路454を介してCO受液器442に戻される。
【0035】
冷蔵庫30には、NH/CO冷凍装置40と別系統のNH/CO冷凍装置50が設けられている。以下、NH/CO冷凍装置50の構成を説明する。NH/CO冷凍装置50の一次冷媒系装置52は、一次冷媒として用いられるNHが循環するNH循環路522に、例えばスクリュー圧縮機等で構成される圧縮機524と、水冷式凝縮器526と、高圧受液器528と、膨張弁530と、CO液化器(カスケードコンデンサ)532が設けられて構成されている。
【0036】
水冷式凝縮器526と冷却塔534との間は、冷却水循環回路536で接続され、冷却塔534で冷却された冷却水が冷却水ポンプ538によって水冷式凝縮器526に循環される。この冷却水によって、水冷式凝縮器526でNH冷媒を冷却し、液化している。
【0037】
NH/CO冷凍装置50の二次冷媒系54は、CO受液器542と、該CO受液器542と空気冷却器32とを接続するCO循環回路544とで構成されている。該CO循環回路544は、COブライン液をCO受液器542から空気冷却器32に送る送り路546と、空気冷却器32で庫内空気と熱交換して一部が気化した気液二相流のCOブラインをCO受液器442に戻す戻り路548とで構成されている。送り路546又は戻り路548と各空気冷却器32とは分岐管552で接続されている。送り路546には、液ポンプ550が設けられている。
【0038】
CO受液器542とCO液化器532とは、第2のCO循環回路554で接続されている。CO受液器542にCOブライン液が貯留されている。CO受液器542内のCOブラインガスは、第2のCO循環回路554を介してCO液化器532に送られ、CO液化器532でNH冷媒と熱交換し冷却液化される。液化したCOブラインは、第2のCO循環回路554を介してCO受液器542に戻される。
【0039】
NH/CO冷凍装置40は、被凍結品を凍結するため、NH/CO冷凍装置50と比べて大きな冷却能力をもち、CO循環回路444も、CO循環回路544と比べて、大きな配管径をもっている。
【0040】
冷蔵庫30の冷却空間には、CO液化熱交換器34が配設されている。CO循環回路444の戻り路448からCO液化路36が分岐し、該CO液化路36はCO液化熱交換器34の熱交換管に接続されている。CO液化熱交換器34の出口側にCO液化路38が接続され、該CO液化路38の他端は、CO受液器442に接続されている。
【0041】
次に、図2によりCO液化熱交換器34の構成を説明する。図2において、CO液化熱交換器34は、庫内空気の流入口344と流出口346とを有するハウジング342の内部に、入口ヘッダー348と出口ヘッダー350とが互いに対面して配置されている。そして、入口ヘッダー348と出口ヘッダー350との間に、多数の熱交換管352が架設されている。入口ヘッダー348にはCO液化路36が接続され、出口ヘッダー350にはCO液化路38が接続されている。
【0042】
また、ハウジング342に取り付けられた支持フレーム354に、駆動モータ357を介してファン356が取り付けられている。このファン356が稼動することで、熱交換管352の表面に空気流aが形成される。また、出口ヘッダー350の出口側で、CO液化路38に液化したCOブライン液を一時貯留するトラップ358が形成されている。なお、CO受液器442は、CO液化熱交換器34に対して、重力方向下方に配置されている。また、空気冷却器22から戻る気液二相流のCOブラインを、戻り路448又はCO液化路36に切り換える弁機構は設けられていない。
【0043】
かかる構成において、凍結庫20で凍結処理を行う時、NH/CO冷凍装置40が稼動し、CO液化器432でCOブラインが冷却液化され、CO受液器442に貯留される。CO受液器442から、COブライン液が、送り路446及び分岐管452を介して空気冷却器22に送られる。空気冷却器22で、COブライン液は庫内空気と熱交換され、庫内空気を冷却すると共に、COブライン液の一部が気化し、気液二相流となる。気液二相流となったCOブラインは、戻り路448を介してCO受液器442に戻される。
【0044】
一方、冷蔵庫30でも、凍結庫20で凍結処理された被凍結品を冷蔵保管するため、NH/CO冷凍装置50が稼動している。NH/CO冷凍装置50の稼動方法は、NH/CO冷凍装置40と同様である。即ち、CO液化器532で冷却液化されたCOブライン液が、CO受液器542、送り路546及び分岐管552を介して空気冷却器32に送られ、庫内空気を冷却する。空気冷却器32で気液二相流となったCOブラインは、戻り路548を介してCO受液器542に戻される。
【0045】
凍結庫20が凍結運転を行なわない休止期間があるのに対し、冷蔵庫30はほぼ常時運転される。凍結庫の運転停止時に、凍結庫20の被凍結品搬入搬出用の扉(図示省略)は開放されている。そのため、CO受液器442内のCOブラインが外部からの侵入熱で昇温昇圧し、許容圧力を超えてしまうおそれがある。
【0046】
そこで、本実施形態では、戻り路448を流れる気液二相流のCOブラインの一部をCO液化路36を介してCO液化熱交換器34に導入する。COブラインは、CO液化熱交換器34の熱交換管352を流れている時、庫内空気と熱交換し冷却液化される。液化されたCOブラインは、CO液化路38を介してCO受液器442に戻る。
【0047】
本実施形態によれば、戻り路448を流れる気液二相流のCOブラインをCO液化熱交換器34で液化してCO受液器442に戻すことで、CO受液器442及びCO循環回路444内のCOブラインの昇温昇圧を防止できる。そのため、凍結庫の運転停止時に、凍結庫20の一次冷媒系装置42に待機電流を通電しておく必要がなくなるので、無駄な消費電力をなくすことができる。
【0048】
また、空気冷却器22を出たCOブラインを戻り路448又はCO液化路36に切り換える弁機構が設けられておらず、かつCO受液器442はCO液化熱交換器34より重力方向低位置に配置されているので、CO液化路36及び38内のCOブラインを自然循環でCO受液器442に戻すことができる。
【0049】
さらには、CO液化熱交換器34の出口側CO液化路38に、COブライン液を一時貯留するトラップ358が設けられているので、CO液化路38でCOブライン液の液柱を形成するのが容易になる。これによって、COブライン液をCO液化熱交換器34から自然循環によってCO受液器442に戻すのが容易になる。
このように、戻り路448又はCO液化路36,38に切換用弁機構を設けないので、設備費を節減できると共に、COブライン液をCO受液器442に戻すポンプ動力を不要にできる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、凍結庫の運転停止時に、簡単かつ低コストな機構で、CO受液器等の昇温昇圧を防止でき、冷凍装置の無駄な消費電力を解消できる。
【符号の説明】
【0051】
10 凍結冷蔵設備
20,124 凍結庫
22,32,126 空気冷却器
30 冷蔵庫
33 ファン
34 CO液化熱交換器
342 ハウジング
344 流入口
346 流出口
348 入口ヘッダー
350 出口ヘッダー
352 熱交換管
354 支持フレーム
356 ファン(送風機)
358 トラップ
36,38 CO液化路
40,50,100 NH/CO冷凍装置
42,52,101 一次冷媒系装置
422,522、102 NH循環路
424,524,104 圧縮機
426 蒸発式凝縮器
428,528、108 高圧受液器
430,530,110 膨張弁
432,532,112 CO液化器
44,54,120 二次冷媒系
442,542 CO受液器
444,544,121 CO循環回路
446,546,121A 送り路
448,548,121B 戻り路
450,550,128 液ポンプ
452,552 分岐管
454,554,130 第2のCO循環回路
526,106 水冷式凝縮器
534,114 冷却塔
536,116 冷却水循環回路
538,118 冷却水ポンプ
a 空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次冷媒の冷凍サイクル構成機器で二次冷媒のCOブラインを冷却液化する工程と、液化されたCOブラインをCO循環回路を介して凍結庫に送り、被凍結品を凍結する工程と、凍結した被凍結品を別系統の冷凍装置を備えた冷蔵庫で冷蔵保管する工程とからなる凍結冷蔵方法において、
前記凍結庫の運転停止時に、前記CO循環回路から気化したCOブラインの一部を前記冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器に送る送り工程と、
該CO液化熱交換器でCOブラインを冷蔵庫内空気で冷却液化させる液化工程と、
前記CO液化熱交換器で液化されたCOブラインをCO循環回路に戻す戻り工程と、からなることを特徴とする凍結冷蔵方法。
【請求項2】
前記CO液化熱交換器に併設され該CO液化熱交換器の伝熱面に空気流を形成する送風機のみを稼動させ、その他の機器をオフ状態とすることを特徴とする請求項1に記載の凍結冷蔵方法。
【請求項3】
前記一次冷媒がNHであることを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結冷蔵方法。
【請求項4】
別系統の冷凍装置を備えた凍結庫と冷蔵庫とが併設され、該凍結庫の冷凍装置が、一次冷媒を用いた冷凍サイクル構成機器と、凍結庫内に設けられた空気冷却器と、該冷凍サイクル構成機器で冷却液化されたCOブラインを貯留するCO受液器と、COブラインを二次冷媒として受液器と空気冷却器間を循環させるCO循環回路とからなる凍結冷蔵設備において、
前記冷蔵庫内に設けられたCO液化熱交換器と、前記空気冷却器からCO受液器にCOブラインを戻すCO循環回路から分岐され、該CO液化熱交換器を介して前記CO受液器に至るCO液化路と、を備え、
前記凍結庫の運転停止時に、CO受液器又はCO循環回路で気化したCOブラインを前記CO液化熱交換器で冷却液化してCO受液器に戻すように構成したことを特徴とする凍結冷蔵設備。
【請求項5】
前記CO液化熱交換器をCO受液器に対し重力方向高位置に設け、前記CO循環回路とCO液化路とを選択的に切り替える弁機構を設けず、CO液化熱交換器で液化したCOブラインをCO受液器に自然循環させるように構成したことを特徴とする請求項4に記載の凍結冷蔵設備。
【請求項6】
前記CO液化熱交換器の出口側CO液化路に液化したCOブラインを一時貯留するトラップを設け、該トラップの下流側CO液化路にCOブラインの液柱を形成させるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の凍結冷蔵設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−102946(P2012−102946A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252777(P2010−252777)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)