説明

出席管理方法およびシステム

【課題】出席管理者の負担を最小限に抑えながら、簡単なシステム構成で偽装出席や代理出席を防止できる出席管理方法およびシステムを提供する。
【解決手段】DB101には、各無線端末3のMACアドレスと出席者の属性情報とを対応付けて記憶する管理テーブル101aと、各無線アクセスポイント2の設置位置を管理するAP位置情報101bとが記憶されている。探索要求部102は、探索要求メッセージを各無線アクセスポイント2から全ての無線端末3へ送信する。受信強度取得部103は、各無線端末3から返信されて各無線アクセスポイント2で受信された探索応答メッセージの受信電波強度を取得する。端末位置推定部104は、前記受信電波強度および各無線アクセスポイント2の設置位置に基づいて無線端末3の現在位置を推定する。出席状況マップ作成部105は、各無線端末3の現在位置を各出席者の属性情報と対応付けてディスプレイ106に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出席管理方法およびシステムに係り、特に、学生が授業に出席しているか否かの管理に好適な出席管理方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
大学などで行われる講義では、成績評価の一環として学生の出席が管理される。従来から行われている出席管理方法には、教師による点呼や、紙媒体である出席カードを配布して出席者の氏名や学籍番号を記入させて回収する方法などがあるが、その確認に費やす時間や労力が教師にとって大きな負担となり、特に、出席者の多い講義では作業量および作業時間の増大が問題となる。また、上記の出席管理では、一人の出席者が複数の出席者を装う偽装出席や、本来の出席者の代わりに他人が代理で出席する代理出席などの不正をチェックできなかった。
【0003】
このような技術課題に対して、特許文献1には、出席者が自信の携帯電話からウェブサーバに接続して出席を確認する方式が開示されている。この方式では、ウェブサーバコンピュータとしての中央装置と、この中央装置と接続して通信する携帯電話機等の端末装置とを用い、中央装置では、講義に出席すべき学生が操作する端末装置からの接続要求に対して接続を確立し、端末装置から複数回の在席情報を受信した場合、受信した在席情報が正当なもので、かつ確立した接続が切断されていない場合に、当該端末装置を操作する学生が在席していると判定される。
【0004】
特許文献2には、出席者が自身の携帯電話で質問に回答するメールを送信する出席確認方式が開示されている。この方式では、特定の講義に出席した出席者は、かかる講義に対する出席情報を、自己の識別情報と共に入力して送信することで、出席した旨の情報が記憶される。また、これと前後して、講義において伝達される情報に関連する設問情報が出席者の携帯端末に送信・表示され、出席者は講義において伝達された情報に基づいて、設問に対する回答を携帯端末に入力して送信することで、回答情報が出席者の識別情報と関連付けられて記憶される。教員等の管理者は、出席情報と回答情報とを確認することで、メールの送信者が実際に出席していたか否かを確認できる。
【0005】
特許文献3には、メールによるコード認証を行う出席確認方式が開示されている。この方式では、メールアドレスをキーとして学生の履修科目ごとの出席テーブルを備えた履修データベース、履修科目ごとの認証コードおよびそのコードの有効期間を備えた認証コードデータベース、ならびにメールサーバを設け、学生は、教室で認証コードが知らされると、携帯メールのサブジェクトに認証コードを記入してメールサーバへ送信する。メールサーバは、受信したメールの認証コード、コードの有効期間およびメールアドレスを前記データベースと照合し、照合できれば出席を登録してメールを返信する。この結果、学生もメールに認証コードを記入して送信するだけなので負担が軽減される。
【0006】
特許文献4には、音声認識および画像認識の二段階判定を行う出席確認方式が開示されている。この方式では、出席確認時における作業負担を軽くするためには、出席確認者用端末が出席確認者の音声情報、および出席被確認者を被写体とする撮影画像をサーバ装置へ送信し、サーバ装置内に登録した情報と同一であるか否かを判定する。
【0007】
特許文献5には、RFIDを用いた出席を確認する方式が開示されている。この方式では、出席者を特定する出席者ID情報が記憶されたICカードを読み取るRFIDリーダ・ライタを内蔵した端末ユニットを着座箇所に設け、出席者がICカードを端末ユニットに近接させてID情報を送信し、受信側ではPC画面が座席表を表示できる機能を有し、端末ユニット上にICカードを載せた席の画面表示を色表示することで出席が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-128885号公報
【特許文献2】特開2007-334652号公報
【特許文献3】特開2009-290525号公報
【特許文献4】特開2008-262271号公報
【特許文献5】特開2008-009558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、携帯電話がインターネット経由で出席状況を管理するウェブサーバコンピュータと通信できるため、講義に出席していない欠席者が、教室外から出席していることを示すデータを送信することによって不正出席を容易に行える。
【0010】
特許文献2では、出席者は講義において伝達された識別情報に基づいて、授業中数回に渡って設問に対する回答を携帯端末に入力して送信することで、遅刻や授業中の退室等も含めたより確度の高い出席確認が行える。しかしながら、識別情報はEメールやSMSなどの通信手段によって簡単に流出するため、遠隔地にいる欠席者も前記識別情報を短時間で入手したり、自分の分と一緒に2台の携帯電話端末を教室内で同時に操作して確認送信を行ったりする偽装出席には対応できない。また、本人の代わりに出席して設問を記入する代理出席にも対応できない。さらに、講義の途中で一々確認の識別情報(設問に対する回答)を入力しなければならないので、操作が煩雑で誤入力を起こしやすいという問題もある。
【0011】
特許文献3では、設問に対する回答の代わりに、認証コードをメールで送信するのみなので、特許文献2と比べて入力負担が軽減される。しかしながら、このシステムでは特許文献2と同じく代理出席を防止できない。また、認証コードを数回にわたって入力しなければならず、依然として受講中の作業負担が無視できないという課題がある。
【0012】
特許文献4では、音声認識および顔認識による生体認証を導入することで、偽装出席や代理出席の不正を防止できるが、出席者には音声情報の入力および送信のための操作、ならびに顔画像の撮影および送信のための操作が要求されるので入力負担が極めて大きいという課題がある。
【0013】
特許文献5では、ICカードを個人に関連付けることにより、出席情報を簡単に取得できる。しかしながら、この方式ではICカードの所有者と実際の出席者とを対応付けることができないので代理出席が容易である。また、座席ごとに専用のカードリーダを設けなければならないのでシステム構成が複雑化する。
【0014】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、出席管理者の負担を最小限に抑えながら、簡単なシステム構成で偽装出席や代理出席を防止できる出席管理方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、出席者が集う空間に複数の無線アクセスポイントが分散配置され、各無線アクセスポイントと出席者の無線端末との通信に基づいて出席を管理する出席管理システムにおいて、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0016】
(1)出席者候補の属性情報を無線端末の識別情報と対応付けて記憶する管理テーブルと、各無線アクセスポイントの位置情報を記憶する手段と、無線アクセスポイントから各無線端末へ探索要求メッセージを送信する手段と、各無線端末から返信されて各無線アクセスポイントで受信された探索応答メッセージの受信電波強度を計測する手段と、探索応答メッセージを返信した無線端末を識別する手段と、同一の無線端末から返信されて各無線アクセスポイントで受信された探索応答メッセージの受信電波強度および各無線アクセスポイントの位置情報に基づいて各無線端末の現在位置を推定する手段と、前記空間を模したマップ上で前記各無線端末の推定位置と対応する位置に当該各無線端末を所有する出席者候補の属性情報が配置される出席状況マップを作成する手段と、出席状況マップを表示する手段とを具備した。
【0017】
(2)属性情報が出席者候補の顔画像を含み、空間内を撮影する手段と、撮影された映像から出席者の顔画像を抽出し、前記空間内での位置情報と対応付けて記憶する手段とを具備し、出席状況マップを作成する手段は、前記無線端末の推定位置で抽出された出席者の顔画像を当該無線端末を所有する出席者候補の顔画像と共に前記出席状況マップに配置する。
【0018】
(3)無線端末の推定位置で抽出された出席者の顔画像を当該無線端末を所有する出席者候補の顔画像と照合して同一性を判定する手段を更に具備し、出席状況マップを作成する手段は、前記判定結果を前記出席状況マップに配置する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0020】
(1)教室を模したマップ上で無線端末の推定位置と対応する位置に、各無線端末を所有する出席者候補の属性情報が表示されるので、出席を管理する講師等は、教室内での各出席者の位置とマップ上で各無線端末の推定位置に表示される属性情報とを見比べることにより、偽装出席や代理出席といった不正行為を見抜けるようになる。
【0021】
(2)教室内を撮影した映像から出席者の顔画像を抽出し、教室を模したマップ上で各無線端末の推定位置に、当該無線端末を所有する出席者候補の顔画像と、当該推定位置で映像から抽出された出席者の顔画像とが併せて表示されるので、両者を見比べるだけで代理出席を見破ることができる。
【0022】
(3)教室内を撮影した映像から出席者の顔画像を抽出し、教室を模したマップ上で各無線端末の推定位置に、当該無線端末を所有する出席者候補の顔画像と、当該推定位置で映像から抽出された出席者の顔画像との照合結果が表示されるので、代理出席を簡単に見破ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る出席管理システムの第1実施形態の構成を示した図である。
【図2】出席管理装置の第1実施形態の構成を示した機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態のシーケンスフローである。
【図4】無線端末と無線APとの距離に基づく無線端末の位置推定方法を示した図である。
【図5】本発明における無線端末の位置推定方法を示した図である。
【図6】出席状況マップの一例を示した図である。
【図7】出席者のシンボルマークの他の表示例を示した図である。
【図8】本発明に係る出席管理システムの第2実施形態の構成を示した図である。
【図9】出席管理装置の第2実施形態の構成を示した機能ブロック図である。
【図10】第2実施形態における出席状況マップの一例を示した図である。
【図11】出席管理装置の第3実施形態の構成を示した機能ブロック図である。
【図12】第3実施形態における出席状況マップの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る出席管理システムの第1実施形態の構成を示した図であり、講師や出席管理者(以下、講師4で代表する)により管理される出席管理装置1と、この出席管理装置1に宅内LANなどで接続された複数(本実施形態では、3つ)の無線アクセスポイント(AP)2a、2b、2cと、各出席者Ua,Ub,Uc…が所有する携帯電話,PDA,PC,スマートフォンなどの携帯無線端末3a、3b、3c…(以下、無線端末3で代表する)とから構成される。
【0025】
前記3つの無線アクセスポイント2a、2b、2cは、出席者が集う教室や会場などの空間内に分散配置され、いずれの無線アクセスポイント2も空間内の全てを通信範囲としている。各無線アクセスポイント2および無線端末3はBluetooth(登録商標)モジュールを実装し、Bluetoothに準拠した通信プロトコルで相互に近距離無線通信を行う。
【0026】
図2は、前記出席管理装置1の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ここでは、本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0027】
データベース(DB)101には、全ての出席者候補の属性情報と当該出席者候補の無線端末3に固有の識別情報(本実施形態では、MACアドレス)とを対応付けて記憶する管理テーブル101aと、各無線アクセスポイント2の設置位置を管理するAP位置情報101bとが記憶されている。本実施形態では、各出席者候補の属性情報として、顔画像、性別、携帯電話番号、学籍番号、氏名、履修科目、授業回数、部屋情報、出席状況などが記憶されている。なお、本実施形態における出席者候補とは、出席管理の対象が大学の講義であれば、当該講義を履修登録している学生である。
【0028】
探索要求部102は、探索要求メッセージを各無線アクセスポイント2から全ての無線端末3へ送信する。受信強度取得部103は、各無線端末3から返信されて各無線アクセスポイント2で受信された探索応答メッセージの受信電波強度を、当該メッセージを受信した無線アクセスポイント2の識別情報IDapおよび当該メッセージを返信した無線端末3のMACアドレスと共に取得する。
【0029】
端末位置推定部104は、同一の探索応答メッセージに関して前記無線アクセスポイント2ごとに計測された受信電波強度および各無線アクセスポイント2の設置位置に基づいて、例えば三角測量の原理で無線端末3の現在位置を推定する。出席状況マップ作成部105は属性情報抽出部105aを含み、各無線端末3の推定位置を当該無線端末3を所有する出席者候補の属性情報と対応付ける出席状況マップを作成してディスプレイ106に表示する。
【0030】
次いで、図3のシーケンスフローを参照して本発明の第1実施形態の動作を詳細に説明する。出席管理装置1の探索要求部102から、時刻t1,t2,t3において各無線アクセスポイント2a,2b,2cへ探索要求が指示されると、時刻t4,t5,t6では、各無線アクセスポイント2a,2b,2cから教室内へ探索要求メッセージが送信される。時刻t7,t8,t9では、各探索要求メッセージに対して無線端末3から探索応答メッセージが返信される。時刻t10では、各無線アクセスポイント2a,2b,2cが各探索応答メッセージの受信電波強度を計測すると共に、当該メッセージに送信元IDとして記述されている無線端末のMACアドレスを抽出する。
【0031】
Bluetoothでは、Bluetooth通信機能を有した端末の在否および受信電波強度を探索するために、非同期通信による高速応答性のある"Inquiry With RSSI"コマンドが用意されている。"Inquiry With RSSI"は、周波数ホッピングにより利用周波数を定期的に切り替えながら通信を行っており、全てのBluetooth周波数帯域に対して探索要求を送信し、発見した無線端末のMACアドレスおよび受信電波強度を取得できる。前記RSSI(Received Signal Strength Indicator)は、無線アクセスポイント2における受信電波信号の強弱を表現し、この値が大きくなれば通信距離が近く強いシグナルを受け取っており、逆に小さくなればなるほど、通信距離が遠くシグナルが弱い証拠である。Class 1規格のRSSI範囲は-127dBm〜20dBmであり、半径数十メートル程度まで安定した応答情報が得られる。
【0032】
時刻11,t12,t13では、前記抽出されたMACアドレスおよび受信電波強度のペアが、当該探索応答メッセージを受信した無線アクセスポイント2の識別情報IDapと共に出席管理装置1の受信強度取得部103へ通知される。時刻t14では、前記受信電波強度および無線アクセスポイントの識別情報IDapが、各無線端末3のMACアドレスごとに集計されて端末位置推定部104へ通知される。
【0033】
時刻t15では、端末位置推定部104が各無線アクセスポイント2a,2b,2cの識別情報IDapに基づいて、その設置位置の位置情報をDB101から取得する。時刻t16では、前記端末位置推定部104において、各無線アクセスポイント2a,2b,2cの位置情報、および各無線アクセスポイント2a,2b,2cが同一の無線端末3から受信した3つの探索応答メッセージの受信電波強度に基づいて、無線端末3ごとに現在位置が以下のようにして推定される。
【0034】
すなわち、Bluetooth通信において受信電波強度が距離に反比例して減衰する性質(距離減衰)は指数分布でモデル化することができ、無線端末3から無線アクセスポイント2までの距離rと受信電波強度σ(r)との関係は次式(1)で与えられる。ここで、定数Cおよび減衰係数αは実環境で距離rを変えながら電波強度を測定し、伝搬環境をモデル化する際に決定される。次式(1)は、教室や会場などの空間内の複数の標本位置ごとに、当該標本位置で無線端末3が返信した探索応答メッセージの各無線アクセスポイント2における受信電波強度が各無線アクセスポイントまでの距離rに反比例して減衰する指数分布モデルとして記憶される。
【0035】
【数1】

【0036】
したがって、図4に示したように、3つの無線アクセスポイント2a,2b,2cから無線端末3までの距離r1,r2,r3が求まれば、無線端末3の位置は、各無線アクセスポイント2から半径r1,r2,r3の3つの円が交差する点として求められる。しかしながら、電波受信強度から求まる距離rは理論的なものであり、3つの円が一点で交差することは稀である。これは、Bluetooth通信で発信器から送信された電波は、その方向によって様々な経路を通過して受信機に到着する(マルチパスフェージング特性)ため、受信波には直接波、反射波あるいは透過波などが含まれるからである。
【0037】
一般に、マルチパスフェージング特性が受信電波強度に与える影響は確率分布を用いてモデル化できることが知られている。次式(2)は、マルチパスフェージング特性を考慮した受信電波強度Pの条件付確率密度関数p(P|r)を示している。
【0038】
【数2】

【0039】
ここで、無線端末3の位置を各無線アクセスポイントからの距離θ=(r1,r2,r3)で仮定し、この無線端末から送信された探索応答メッセージの各無線アクセスポイント2a,2b,2cにおける受信電波強度をP=(P1,P2,P3)とすれば、各無線アクセスポイントで実測された受信電波強度がpとなる確率は条件付確率密度関数p(P|θ)で表現することができる。ここで、無線端末と各無線アクセスポイントとの間の伝搬路が独立であると考えると、前記条件付確率密度関数p(P|θ)は、次式(3)のように、無線端末の各位置での条件付確率密度関数の積で表すことができる。
【0040】
【数3】

【0041】
本実施形態では、各無線アクセスポイント2a,2b,2cで計測された受信電波強度P1,P2,P3を上式(2)に適用して受信電波強度Pの条件付確率密度関数p(P1|r1),p(P2|r2),p(P2|r2)を求めて、その積p(P|θ)を尤度関数とし、n個の標本位置θ1, θ2…θnの中で尤度関数p(P|θ)を最大にするθが無線端末3の位置と推定される。
【0042】
実施形態では、無線アクセスポイント2a,2b,2cで計測された電波受信強度を上式(1)に適用することで、図5に示したように、無線端末3の存在範囲Qを予め絞り込み、次いで、この存在範囲Q内に分散されているn個の標本位置θ1〜θnの中から上式(3)を最大化する標本位置θmaxを求め、これを無線端末3の位置と推定する。したがって、無線アクセスポイント数を増やせば無線端末3の位置をより正確に推定できるようになる。
【0043】
図3へ戻り、時刻t17では、前記各無線端末3の推定位置が出席状況マップ作成部105へ通知される。時刻t18では、各無線端末3のMACアドレスと対応付けられている各出席者の属性情報が、前記属性情報抽出部105aにより前記DB101の管理テーブル101aから取り込まれる。時刻t19では、各無線端末3の推定位置を、その所有者の属性情報と共に視覚的に明示する出席状況マップが作成される。時刻t20では、前記出席状況マップがディスプレイ106に表示される。本実施形態では、上記時刻t1〜t20までの各処理が、所定の周期で繰り返される。
【0044】
図6は、前記出席状況マップの一例を示した図であり、無線端末3の推定位置に対応したディスプレイ106上の位置には、出席のシンボルマーク51と共に、当該無線端末を所有する出席者候補の属性情報52が一覧表示されている。したがって、出席を管理する講師等は、この出席状況マップと実際の各出席者の着座位置とを比較することにより、例えば出席のシンボルマーク数に対して実際の出席者数が少なければ偽装出席を見破ることができ、また出席のシンボルマークに併記される属性情報での性別が「男性」であるにもかかわらず、該当位置に着席している実際の出席者が女性であれば代理出席を見破ることができる。
【0045】
図7は、出席のシンボルマーク51の他の表示例を示した図である。図6の例では、全ての出席に共通のシンボルマークが用いられていたが、この例では、属性情報の一つとして管理されている各出席者候補の顔画像を出席のシンボルマークとして用いている。このように、各出席者候補の顔情報を出席のシンボルマーク51として用いれば、出席状況マップ上の各顔画像と実際の各出席者の顔とを比較することにより、代理出席をほぼ確実に見破れるようになる。
【0046】
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る出席管理システムの構成を示した図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表しているので、その説明は省略する。本実施形態は、教室内で出席者の顔を撮影するカメラ5を具備した点で第1実施形態と異なっている。
【0047】
図9は、本実施形態における出席管理装置1の主要部の構成を示した機能ブロック図であり、ここでも、前記と同一の符号は同一または同等部分を表しているので、その説明は省略する。
【0048】
顔認識部107は、カメラ5で撮影された教室内の映像から各出席者の顔領域を識別し、その顔画像を抽出して教室内での位置と共に一時記憶する。出席状況マップ作成部105では、前記属性情報抽出部105aが前記位置推定された各無線端末3の所有者(出席者候補)の属性情報の一つとして顔画像を抽出し、前記顔認識部107により前記各無線端末3の推定位置で抽出された出席者の顔画像と前記属性情報としての顔画像とが併記される出席状況マップを作成してディスプレイ106に出力する。
【0049】
図10は、本実施形態における出席状況マップの表示例を示した図であり、無線端末3が存在すると推定された位置に対応した画面上の各位置には、当該無線端末3を所有する出席者候補の顔画像(属性情報)と共に、当該推定位置において前記カメラ5により撮影された出席者の顔画像が並べて表示されている。
【0050】
本実施形態によれば、出席者の無線端末3と予め対応付けられている属性情報の顔画像と、当該無線端末3の推定位置で認識された顔画像とがディスプレイ106上の該当位置に併記されるので代理出席を見破れるようになる。
【0051】
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は前記第2実施形態と同様に教室内で出席者の顔を撮影するカメラ5を具備した点で第1実施形態と異なり、出席状況マップ作成部105が顔照合部105bを具備した点で前記第2実施形態と異なっている。
【0052】
顔照合部105bは、前記端末位置推定部104で位置推定された各無線端末3の所有者(出席者候補)の属性情報の一つとして前記属性情報抽出部105aにより抽出された顔画像と、前記顔認識部107により前記各無線端末3の推定位置で抽出された出席者の顔画像とを比較して両者の一致/不一致を判定し、この判定結果を含む出席状況マップを作成してディスプレイ106に出力する。
【0053】
図12は、本実施形態における出席状況マップの表示例を示した図であり、無線端末3が存在すると推定された位置に対応した画面上の各位置には、当該無線端末3を所有する出席者候補の顔画像と当該位置において前記カメラ5により撮影された出席者の顔画像が並べて表示され、さらに前記顔照合部105bによる一致/不一致の判定結果も表示されている。
【0054】
なお、本実施形態では代理出席や偽装出席などの不正を自動的に見破れるので、上記の出席確認を授業の前半および後半を含めて少なくとも2回実施し、前半では正規の出席を確認できたものの後半では欠席や不正が確認されれば早退扱いとし、その逆に、前半では欠席や不正が確認されたものの後半では正規の出席が確認されれば遅刻扱いとするようにしても良い。
【0055】
本実施形態によれば、出席を管理する教師等は、実際の出席者の顔と無線端末3の識別情報から選択される出席者候補の顔画像とを自ら見比べること無く、顔照合部105bによる判定結果に基づいて代理出席や偽装出席を見破れるようになる。
【0056】
なお、上記の各実施形態では、本発明を講義や授業への出席確認へ適用する場合を例にして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、会議、会合、学会、勤務管理あるいは各種の催事等への個人の出席状況を確認する場合にも同様に適用できる。
【0057】
また、上記の実施形態では、無線端末3と無線アクセスポイント2とがBluetooth通信を行うものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、無線LAN、ZigBee、UWBなどの他の近距離無線通信方式を使用しても良い。
【符号の説明】
【0058】
1…出席管理装置,2…無線アクセスポイント,3…無線端末,5…カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出席者が集う空間に複数の無線アクセスポイントが分散配置され、各無線アクセスポイントと出席者の無線端末との通信に基づいて出席を管理する出席管理システムにおいて、
出席者候補の属性情報を無線端末の識別情報と対応付けて記憶する管理テーブルと、
各無線アクセスポイントの位置情報を記憶する手段と、
前記無線アクセスポイントから各無線端末へ探索要求メッセージを送信する手段と、
前記各無線端末から返信されて各無線アクセスポイントで受信された探索応答メッセージの受信電波強度を計測する手段と、
前記探索応答メッセージを返信した無線端末を識別する手段と、
同一の無線端末から返信されて各無線アクセスポイントで受信された探索応答メッセージの受信電波強度および各無線アクセスポイントの位置情報に基づいて各無線端末の現在位置を推定する手段と、
前記空間を模したマップ上で前記各無線端末の推定位置と対応する位置に当該各無線端末を所有する出席者候補の属性情報が配置される出席状況マップを作成する手段と、
前記出席状況マップを表示する手段とを具備したことを特徴とする出席管理システム。
【請求項2】
前記属性情報が出席者候補の顔画像を含み、前記出席状況マップを作成する手段は、各出席者候補の顔画像を各無線端末の推定位置に配置することを特徴とする請求項1に記載の出席管理システム。
【請求項3】
前記属性情報が出席者候補の顔画像を含み、
前記空間内を撮影する手段と、
前記撮影された映像から出席者の顔画像を抽出し、前記空間内での位置情報と対応付けて記憶する手段とを具備し、
前記出席状況マップを作成する手段は、前記無線端末の推定位置で抽出された出席者の顔画像を当該無線端末を所有する出席者候補の顔画像と共に前記出席状況マップに配置することを特徴とする請求項1に記載の出席管理システム。
【請求項4】
前記無線端末の推定位置で抽出された出席者の顔画像を当該無線端末を所有する出席者候補の顔画像と照合して同一性を判定する手段を更に具備し、
前記出席状況マップを作成する手段は、前記判定結果を前記出席状況マップに配置することを特徴とする請求項3に記載の出席管理システム。
【請求項5】
前記無線端末の現在位置を推定する手段は、
前記所定の空間内の複数の標本位置ごとに、当該標本位置で無線端末が返信した探索応答メッセージの各無線アクセス端末における受信電波強度が各無線アクセスポイントまでの距離に反比例して減衰する指数分布モデルを記憶する手段と、
各無線アクセスポイントにおける電波受信強度に基づいて、前記無線端末の存在範囲を推定する手段と、
前記推定範囲内の各標本位置から、前記指数分布モデルに基づいて最尤の標本位置を推定し、当該標本位置を無線端末の推定位置とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の出席管理システム。
【請求項6】
前記無線端末と無線アクセスポイントとがBluetoothで通信することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の出席管理システム。
【請求項7】
前記出席管理を所定の期間内の前半および後半で実施し、前半のみで正規の出席が確認されれば早退扱いとし、後半のみで正規の出席が確認されれば遅刻扱いとすることを特徴とする請求項4に記載の出席管理システム。
【請求項8】
所定の空間に分散配置された複数の無線アクセスポイントと接続され、各無線アクセスポイントと出席者が所有する無線端末との通信に基づいて出席を管理する出席管理方法において、
出席者候補の属性情報を無線端末の識別情報と対応付けて記憶する管理テーブルと、
各無線アクセスポイントの位置情報を記憶する手段とを用意し、
前記無線アクセスポイントから各無線端末へ探索要求メッセージを送信し、
前記各無線端末から返信されて各無線アクセスポイントで受信された探索応答メッセージの受信電波強度を計測し、
前記探索応答メッセージを返信した無線端末を識別し、
同一の無線端末から返信されて各無線アクセスポイントで受信された探索応答メッセージの受信電波強度および各無線アクセスポイントの位置情報に基づいて各無線端末の現在位置を推定し、
前記所定の空間を模したマップ上で前記各無線端末の推定位置と対応する位置に当該各無線端末を所有する出席者候補の属性情報が配置される出席状況マップを作成し、
前記出席状況マップを表示することを特徴とする出席管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−38242(P2012−38242A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180204(P2010−180204)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【出願人】(390001421)学校法人早稲田大学 (14)