説明

刃折り収容ケース

【課題】ナイフブレードの刃折り作業を、緊張感なく安全に、簡単かつスムーズに行うことのできる刃折り収容ケースを提供する。
【解決手段】本発明の収容ケースは、「ナイフブレードの先端を受け入れる挿入口11」と「挿入口から挿入されたナイフブレードが挿通される溝部21を備えるとともに、その回転軸が当該ナイフブレードのスコアラインと実質的に平行に延びるように配置された回転部材20」と「ケース外部に配置されるとともに回転部材20に連結されていて、回転部材の溝部に挿通されたブレード部分に曲げ力を加えて破断させるべく、当該回転部材を回転操作する操作レバー30」とを備える。この収容ケースによれば、片手でケースを持ち、その指で操作レバーを回転操作するだけで、ポキッと簡単に刃先を折り取ることが可能で、その際に微妙な力加減も必要ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折れ刃タイプのブレードを備えたカッターナイフに対して、そのブレードの刃先を簡単に破断する(折り取る)とともに、破断後の刃先を収容するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
カッターナイフ等に使用される折れ刃タイプのブレードは、従来から知られている。すなわち、図1に示したように、ブレード6の長手方向に沿って平行に複数のスコアライン5(折溝)が形成されている。ブレードの切れ味が落ちたとき、スコアライン5に沿って刃先を破断除去すると、次に現れたブレード先端部により、新品の切れ味が得られる。
【0003】
このようなブレードの場合、破断除去されたブレード先端を安全に始末するため、従来より種々の提案がなされている。
【0004】
特許文献1、2に開示された折刃収容ケースは、ケース自体が刃折り用のスリットを備えている。すなわち、収容ケースの側壁を貫通して形成したスリットに刃先を挿通し、スコアラインをスリットに一致させた状態で折曲力を与えると、刃先が破断するとともに、スリットを通過してケース内に収まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−039334号公報
【特許文献2】特開2007−252494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記いずれの従来例においても、刃を折り取る作業は、使用者にとって若干の緊張を強いるものとなる。
すなわち、ケースの壁面に形成したスリットに刃先を係合させた状態で、片手でケースを、もう片手でナイフ本体を握り締め、曲げ力を与えてポキッと刃先を折り取る。その際に、ある程度大きな力が必要である反面、勢い余って手を打ち付けたりすることが無いように、微妙な力加減が必要となる。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、刃折り作業を、緊張感なく安全に、簡単かつスムーズに行うことのできる刃折り収容ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、以下の特徴を備えた刃折り収容ケースが提供される。
本発明の収容ケースは、「所定間隔で平行に形成された複数のスコアラインを備えたナイフブレード」を、スコアラインに沿って破断するとともに、破断された刃先を収容するケースである。そして、
ナイフブレードの先端を受け入れる挿入口と、
挿入口から挿入されたナイフブレードが挿通される溝部を備えるとともに、その回転軸が当該ナイフブレードのスコアラインと実質的に平行に延びるように配置された回転部材と、
回転部材の溝部に挿通されたブレード部分に曲げ力を加えて破断させるべく、当該回転部材を回転操作する操作手段と、を備える。
【0008】
なお、「スコアライン」とは、ブレードに形成された凹溝状の破断線を意味している。ブレードに曲げ力を加えると、スコアラインに沿って刃先を破断する(折り取る)ことができる。
【0009】
また、「操作手段」は、何らかの態様で回転部材を回転操作し、それによって、回転部材の溝部に挿通されたブレード部分に曲げ力を加えて破断させるものであれば、具体的な態様は問わない。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を備えた本発明の収容ケースによれば、カッターナイフの刃先をケース内部に差し込むとともに操作手段を操作するだけで、ブレードに曲げ力を加えて、ポキッと簡単に刃先を折り取ることが可能で、その際に微妙な力加減も必要ない。つまり、刃折り作業を、緊張感なく安全に、簡単かつスムーズに行うことができる。
また、折り取られた刃先は、そのままケース内に収容され飛び散ることがなく、余計な手間も不要である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】折れ刃タイプのブレードを備えたカッターナイフを説明する図。
【図2】本発明の一実施形態に係る収容ケースを説明する分解斜視図。
【図3】図2の収容ケースが刃を折る機構を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、本発明の一実施形態に係る刃折り収容ケース10を示す分解斜視図である。ケース10の天面には、ナイフブレードの先端を受け入れる挿入口11が形成されていて、この挿入口11からナイフブレード6が挿入される(図3参照)。
【0013】
回転部材20は、図示の例では円筒状であって、回転軸Aを中心として回転可能である(図3参照)。回転部材20は、接着剤、圧入、その他適切な手段によって、操作レバー30に相対回転不可に固定される。
すなわち、回転部材20は、ケース10の壁面に設けた開口17を通して、ケース10内に突出するが、ケース10外部に位置する操作レバー30によって、回転部材20を操作することができる。
【0014】
なお、回転部材20を開口17に通す際には、回転部材20から突出するピン28を、ケース10に形成したスリット部18に通す。ピン28をスリット部18に通した後で、スリット部18を塞いで、回転部材20の抜けを防止することが好ましい。
【0015】
ケース10の前面に形成した開口12は、透明プレート13で塞がれて、覗き窓として機能する。また、覗き窓の下方には、破断後の刃先7(図3参照)を取り出すための開閉蓋14を設けている。
【0016】
≪刃先7を折り取る機構≫
図3に示したように、回転部材20は、収容ケース10内に配置された状態では、その回転軸Aがブレードのスコアライン5と実質的に平行に延びる。また、回転部材20の先端には溝部21が形成されているが、この溝部21が、図3の円R内に示したように上下方向を向く位置を“初期位置”とする。
【0017】
円Rは、矢印R方向に見た場合の、回転部材20の溝部21と、ブレード6のスコアライン5との位置関係を示している。
すなわち、回転部材20は、操作レバー30によって回転するが、“初期位置”にあるとき、ブレード6を図3において上方から溝部21内に挿通させることができる。この状態で、操作レバー30を操作して回転部材20を回転させると、ブレード部分に曲げ力が加わり、スコアライン5に沿って刃先7が折り取られる。
折り取られた刃先7は、飛び散ることなく、そのままケース10内に収容され、最終的には、開閉蓋14を開けて取り出され、安全に処理される。
【0018】
≪スプリング35≫
スプリング35は、2つの脚部35a、35bとコイル状の頭部35cを備える。頭部35cは回転部材20に外嵌され、一方の脚部35aはケース壁面に設けた穴15に嵌め込まれ、他方の脚部35bは操作レバー30の側面に設けた穴(図示せず)に嵌め込まれる。
これにより、操作レバー30はある特定の位置に向けて付勢されることとなるが、この特定の位置が上記“初期位置”となるように、各部材の形状等を設定する。すなわち、操作レバー30を操作して刃先7を折り取った後、操作する手を放すと、スプリング35の付勢力により、回転部材20は自動的に図3に示した“初期位置”に戻り、次の刃折り作業が容易となる。
このような付勢力を与える具体的な手段としては、図示した形状のスプリング35に限らず、任意の弾性部材を採用することが可能である。
【0019】
≪アダプタ部材40≫
図2に示したアダプタ部材40は、収容ケース10に対して、挿入口11を塞ぐように着脱可能に取り付けられる。アダプタ部材40には、挿入口11よりもサイズが小さな挿入口11'が形成されている。
すなわち、アダプタ部材40を取り付けた状態では(図示せず)、よりサイズの小さいカッターナイフのブレードを挿入口11'から挿入することができる。そのときに、上に説明したのと同じように、刃先を折り取ることができるように、アダプタ部材40上での挿入口11'の形成位置を設定する。
【0020】
≪他の実施形態≫
図示した実施形態では、回転部材20を回転操作する操作手段として、ケース10の外部に位置する操作レバー30を採用していた。
しかしながら、本発明においては、回転部材20を回転操作する操作手段は、何らかの手法で回転部材20を回転操作し、これにより、回転部材の溝部21に挿通されたブレード部分に曲げ力を加えて破断させることができれば足りる。
【0021】
例えば、ケース10内において、回転部材20にカム機構を設けて、これを操作手段としてもよい。挿入口11から挿入されるカッターナイフ先端部と当該カム機構(操作手段)の連携により、回転部材20を回転させる。
この場合には、図示したような手に持つタイプの収容ケース以外にも、卓上タイプの収容ケースとして構成し、机上に置かれたケースの上面に挿入口11を配置することも考えられる。
また、図2に示したスプリング35に相当する弾性手段を設けて、回転部材20を“初期位置”に付勢することが好ましい。
【0022】
また他の例として、回転部材20をモータ駆動で回転させるよう構成し、その駆動スイッチ(操作手段)をケース10表面にも設けてもよい。
【符号の説明】
【0023】
5 スコアライン
6 ナイフブレード
7 刃先
10 収容ケース
11、11' 挿入口
12 開口
13 透明プレート
14 開閉蓋
15 穴
17 開口
18 スリット部
20 回転部材
21 溝部
28 ピン
30 操作レバー
35 スプリング
35a、b 脚部
35c 頭部
40 アダプタ部材
A 回転軸
R 円、矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で平行に形成された複数のスコアライン(5)を備えたナイフブレード(6)を、スコアライン(5)に沿って破断するとともに、破断された刃先(7)を収容するケースであって、
ナイフブレードの先端を受け入れる挿入口(11)と、
挿入口(11)から挿入されたナイフブレード(6)が挿通される溝部(21)を備えるとともに、その回転軸(A)が当該ナイフブレードのスコアライン(5)と実質的に平行に延びるように配置された回転部材(20)と、
回転部材の溝部(21)に挿通されたブレード部分に曲げ力を加えて破断させるべく、当該回転部材(20)を回転操作する操作手段(30)と、を備えた収容ケース。
【請求項2】
上記回転部材(20)は、初期位置において、挿入口から挿入されたナイフブレードを溝部(21)で受け入れ、
上記操作手段(30)は、回転部材が当該初期位置となる位置へと、弾性部材(35)で付勢されている、請求項1記載の収容ケース。
【請求項3】
上記挿入口(11)を覆うよう着脱可能に取り付けられ、当該挿入口(11)よりも小さい第2の挿入口(11')を備えるアダプタ部材(40)を備えてなる、請求項1または2記載の収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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