説明

分割磁気カード

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ストライプを備えるクレジットカードや銀行のキャッシュカードなどに関する。
【0002】
【従来の技術】クレジットカードや銀行のキャッシュカードは、その外形寸法および磁気ストライプの位置などがISO(国際標準化機構)ならびにJIS(日本工業規格)で一定基準に統一されている。
【0003】ISOの基準ではカードの裏に磁気ストライプを設け、JISではカードの表に磁気ストライプを設けるが、ISOでもJISでもクレジットカードと銀行のキャッシュカードは、磁気ストライプの記録内容が違うため、1枚のカードをクレジットカードと銀行のキャッシュカードの両方に使うことはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのため、2枚のカードを持たなければならないという不便があった。この不便を解消する方策として、国内の一部地域で発行されているカードにはクレジットカード機能と銀行のキャッシュカード機能が一体化されたものもある。このカードの1本の磁気ストライプにはクレジットカードと銀行のキャッシュカードの両方の情報を入れて、ATM使用時は利用者がどちらの機能を使うのか、選択インプットを行うのであるが、このカードはどのATMでも使える訳でなく、この種のカードに対応した特定のATMでしか使うことができない。従って、この種の兼用カードは海外はもとより、国内に設置してある大部分のATMでは使うことができない。
【0005】本発明は、現行のATMを変更することなく、すべてのATMで1枚のカードをクレジットカードと銀行のキャッシュカードの両方に使えるようにしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明は以下のように構成した。
【0007】すなわち本発明は、長方形のカードを長辺方向に沿い2片に分割して磁気記録片1とエンボス形成片2を形成し、磁気記録片1の長辺に沿い平行な2本の磁気ストライプA,Bを対称に設けると共にエンボス形成片2には所定のエンボスを形成し、そして磁気記録片1の両長辺を入替え自在にエンボス形成片2の長辺に接合して一体化する分割片連結手段を備えた分割磁気カードである。
【0008】
【作用】本発明によれば、例えば磁気ストライプAをクレジットカード用、磁気ストライプBを銀行のキャッシュカード用とした場合、磁気ストライプAをカードの外側にして磁気記録片1の長辺をエンボス形成片2の長辺に接合して一体化すると、このカードはクレジットカードとして使うことができ、他方、磁気ストライプBをカードの外側にして磁気記録片1の長辺をエンボス形成片2の長辺に接合して一体化すると、このカードは銀行のキャッシュカードとして使うことができる。
【0009】
【実施例】以下に図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0010】図1に本発明の第1実施例のカードを示す。本実施例では、磁気記録片1とエンボス形成片2の分割片連結手段としてフレーム3を使用する。分割片とフレーム3の嵌合状態を図2の拡大断面図に示す。カードの各寸法は規格に従っており、図1のl1 、l2 、l3 、l4の各長さはそれぞれl1 =85mm、l2 =54.7mm、l3 =5mm、l4 =7mmである。フレーム3と磁気ストライプA,B間のカード面が接する位置には凸状の押爪6、7と凹状の爪受け8、9をそれぞれフレーム3と磁気記録片1に設ける。押爪6、7と爪受け8、9の嵌合状態を図3の拡大断面図に示す。その他、エンボス形成片2には、カード所有者の氏名やカード番号などを刻印する。
【0011】本発明の第1実施例は以上のような構成で、例えば磁気ストライプAをクレジットカード用、磁気ストライプBを銀行のキャッシュカード用とすると、図1のカードは磁気記録片1の磁気ストライプAがカードの外側に位置するので、このカードはクレジットカードとして使うことができる。これを銀行のキャッシュカードとして使うときは、まず、磁気記録片1をスライドさせてフレーム3から引き出す。次に、磁気記録片1を180°回転させて磁気記録片1の磁気ストライプBをカードの外側に位置させる。そして、磁気記録片1をフレーム3内に押し込み、押爪6、7により磁気記録片1とエンボス形成片2を一体化する。
【0012】図4に本発明の第2実施例のカードを示す。本実施例では、磁気記録片1とエンボス形成片2の分割片連結手段として凹凸切込み4を形成する。磁気記録片1には第1実施例と同様に2本の磁気ストライプA,Bを設ける。また、エンボス形成片2には第1実施例と同様にカード所有者の氏名やカード番号などを刻印する。
【0013】本発明の第2実施例は以上のような構成で、磁気ストライプA,Bを入替えるときは、まず、磁気記録片1とエンボス形成片2をカードの厚さ方向にずらして噛合する磁気記録片1とエンボス形成片2を引き離す。次に、磁気記録片1を180°回転させて磁気記録片1の磁気ストライプBをカードの外側に位置させて、磁気記録片1とエンボス形成片2の凹凸切込み4を噛合わせて磁気記録片1をエンボス形成片2に押し込む。これにより、凹凸切込み4に噛合して磁気記録片1とエンボス形成片2は一体化する。
【0014】図5に本発明の第3実施例のカードを示す。本実施例では、磁気記録片1とエンボス形成片2の分割片連結手段として断面H型のジョイント5を使用し、ジョイント5はエンボス形成片2に固着する。エンボス形成片2に嵌合して固着するジョイント5と、ジョイント5から引き出された磁気記録片1の状態を図6の拡大断面図に示す。磁気記録片1には第1実施例と同様に2本の磁気ストライプA,Bを設ける。また、エンボス形成片2には第1実施例と同様にカード所有者の氏名やカード番号などを刻印する。
【0015】本発明の第3実施例は以上のような構成で、磁気ストライプA,Bを入替えるときは、まず、磁気記録片1をジョイント5から引き出す。次に、磁気記録片1を180°回転させて磁気記録片1の磁気ストライプBをカードの外側に位置させて、磁気記録片1をジョイント5に差込んで押し込む。これにより、ジョイント5に嵌合して磁気記録片1とエンボス形成片2は一体化する。
【0016】以上の実施例は、カードの表側に設けた2本の磁気ストライプA,Bを入替えて1枚のカードをクレジットカードと銀行のキャッシュカードの両方に使えるようにしたが、カードの使用を国内に限定して考えると、海外では使用しているが国内では使用していない裏側も利用できるので、そこに更に2本の磁気ストライプを設けることによって、1枚のカードを合計4種類のカードとして使うことができる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上のような構成で、例えば磁気ストライプAをクレジットカード用、磁気ストライプBを銀行のキャッシュカード用とした場合、磁気ストライプAをカードの外側にして磁気記録片1の長辺をエンボス形成片2の長辺に接合して一体化すると、このカードはクレジットカードとして使うことができ、他方、磁気ストライプBをカードの外側にして磁気記録片1の長辺をエンボス形成片2の長辺に接合して一体化すると、このカードは銀行のキャッシュカードとして使うことができる。従って、本発明によれば、1枚のカードをクレジットカードと銀行のキャッシュカードの両方に使うことができ、しかもどのATMでも使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のカードの平面図である。
【図2】本発明の第1実施例のカードの短辺方向の拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施例のカードの長辺方向の拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施例のカードを示す図である。
【図5】本発明の第3実施例のカードを示す図である。
【図6】本発明の第3実施例のカードの短辺方向の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 磁気記録片
2 エンボス形成片
3 フレーム
4 凹凸切込み
5 ジョイント
6、7 押爪
8、9 爪受け
A、B 磁気ストライプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 長方形のカードを長辺方向に沿い2片に分割して磁気記録片1とエンボス形成片2を形成し、磁気記録片1の長辺に沿い平行な2本の磁気ストライプA,Bを対称に設けると共にエンボス形成片2には所定のエンボスを形成し、そして磁気記録片1の両長辺を入替え自在にエンボス形成片2の長辺に接合して一体化する分割片連結手段を備えた分割磁気カード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2812893号
【登録日】平成10年(1998)8月7日
【発行日】平成10年(1998)10月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−96241
【出願日】平成7年(1995)3月29日
【公開番号】特開平8−267969
【公開日】平成8年(1996)10月15日
【審査請求日】平成8年(1996)12月4日
【出願人】(395005756)有限会社フォーティエスカンパニー (2)
【参考文献】
【文献】特開 平4−44899(JP,A)
【文献】実開 昭51−3039(JP,U)
【文献】実開 平4−83784(JP,U)