説明

分析装置、通信方法および通信プログラム

【課題】目視で区別しにくい制御基板を複数用いた場合であっても、制御基板の配設位置の過誤による通信不良を防止した分析装置、分析装置における通信方法および通信プログラムを提供すること。
【解決手段】この発明にかかる分析装置1は、配設位置を示す配設位置情報を有する確認用ケーブル41を配設位置を固定して設け、各ユニットにそれぞれ接続し各ユニットの動作を制御する複数の2次局35を構成する2次局基板35Pに確認用ケーブル41をそれぞれ接続し、2次局基板35Pが配設された位置を確認用ケーブル41における配設位置情報を用いて確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検体を分析する分析装置、この分析装置における通信方法および通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬が分注された反応容器に検体を加え、反応容器内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。このような分析装置では、分注処理、攪拌処理、測光処理および洗浄処理を行う各ユニットをそれぞれ制御する複数の制御基板と各ユニットの処理動作を指示するメイン制御部分とを所定のネットワーク回線で接続する。そして、分析装置においては、ネットワーク回線を介してメイン制御部分と各制御基板とが通信することによって、検体および試薬の分注処理、反応容器内の液体の攪拌処理、測光処理、測光が終了した反応容器に対する洗浄処理を行っている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−274044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各ユニットをそれぞれ制御する各制御基板は、ハード構成が似通っており、目視で各制御基板を区別することが困難であった。このため、装置組立時に制御基板を分析装置内に新たに配設する場合または補修のために取り外した制御基板を再び分析装置内に配設する場合、配設すべき位置と異なる場所に制御基板を誤って配設する場合があった。このように誤った位置に制御基板を配設した場合、制御基板からメイン制御部分などに送信される情報が真に正しいものであるか否かが判別できず、メイン制御部分が正確に各制御基板を制御することができないという問題があった。また、メイン制御部が所定の制御基板に記憶されたプログラムを書き替えるときに書き替え対象である制御基板とは異なる制御基板に誤ってプログラムを書き替えてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、目視で区別しにくい制御基板を複数用いた場合であっても、制御基板の配設位置の過誤による通信不良を防止した分析装置、分析装置における通信方法および通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、検体を分析する分析装置において、当該分析装置を構成する各機構に処理動作を指示する中央制御手段と、前記中央制御手段による指示を時分割で出力する1次制御手段と、各機構にそれぞれ接続し前記中央制御手段による指示に応じて前記機構の動作を制御するとともに予め設定された位置情報をそれぞれ有する複数の2次制御手段と、前記1次制御手段と前記複数の2次制御手段とを接続する通信接続手段と、配設位置を固定して設けられ、前記配設位置を示す配設位置情報を有し、各2次制御手段にそれぞれ接続する複数の接続手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかる分析装置は、前記2次制御手段は、当該2次制御手段の前記位置情報と当該2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に通信対象との間で通信を行うことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、前記2次制御手段は、通信対象である前記2次制御手段の位置情報と該通信対象である2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に前記通信対象である2次制御手段との間で通信を行うことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記中央制御手段は、通信対象である前記2次制御手段の位置情報と該通信対象である2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に前記通信対象である2次制御手段との間で通信を行うことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記中央制御手段は、書込対象である前記2次制御手段の位置情報と該書込対象である2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に前記書込対象である2次制御手段に対して情報を書き込むことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記2次制御手段と接続するとともに検出対象の位置を検出するセンサを備え、前記第2次制御手段は、接続した前記センサが検出した検出対象の位置に関する情報を、前記1次制御手段を介して他の2次制御手段に送信し、または、他の2次制御手段に直接送信することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記2次制御手段と接続するとともに温度を検出する温度センサを備え、前記第2次制御手段は、接続した前記温度センサが検出した温度に関する情報を、前記1次制御手段を介して他の2次制御手段に送信し、または、他の2次制御手段に直接送信することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記通信接続手段は、前記2次制御手段の配設位置および/または前記2次手段が接続する各機構の機能に対応させて複数設けられることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる通信方法は、各機構に接続し前記機構の動作を制御するとともに予め設定された位置情報をそれぞれ有する複数の制御手段と、配設位置を固定して設けられ前記配設位置を示す配設位置情報を有するとともに前記制御手段にそれぞれ接続する複数の接続手段とを備えた分析装置における通信方法において、通信対象である前記制御手段における位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記通信対象である制御手段に接続する前記接続手段における配設位置情報を取得する配設位置情報取得ステップと、前記位置情報取得ステップにおいて取得された位置情報と前記配設位置情報取得ステップにおいて取得された配設位置情報とが一致するか否かを判断する判断ステップと、を含み、前記判断ステップにおいて前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断された場合に前記通信対象である制御手段における通信を許可することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる通信プログラムは、各機構に接続し前記機構の動作を制御するとともに予め設定された位置情報をそれぞれ有する複数の制御手段と、配設位置を固定して設けられ前記配設位置を示す配設位置情報を有するとともに前記制御手段にそれぞれ接続する複数の接続手段とを備えた分析装置における通信プログラムにおいて、通信対象である前記制御手段における位置情報を取得する位置情報取得手順と、前記通信対象である制御手段に接続する前記接続手段における配設位置情報を取得する配設位置情報取得手順と、前記位置情報取得手順において取得された位置情報と前記配設位置情報取得手順において取得された配設位置情報とが一致するか否かを判断する判断手順と、を含み、前記判断手順において前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断された場合に前記通信対象である制御手段における通信を許可することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、固定して設けられた接続手段を各機構を制御する制御手段に接続し、制御手段が配設された位置を接続手段における配設位置情報を用いて確認することができるため、目視で区別しにくい制御基板を制御手段として用いた場合であっても制御基板の配設位置の過誤による通信不良を防止することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0018】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、分析対象である検体を移送する移送機構2と、検体を光学的に測定する測定機構3と、移送機構2および測定機構3の処理動作を管理するとともに分析処理を行う管理装置4とを備え、これらの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。移送機構2および測定機構3は、管理装置4と有線または無線で接続されている。なお、分析装置1は、複数の測定機構3を有してもよい。
【0019】
移送機構2は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器21aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック21bを備える。移送機構2上の所定位置に移送された検体容器21a内の検体は、測定機構3における検体分注ユニット3Aによって、反応テーブル30上に配列して搬送される反応容器31に分注される。移送機構2の各構成部位における各処理動作は、管理装置4から送信された指示に基づき、メイン制御部23によって制御される。
【0020】
測定機構3は、反応テーブル30、検体分注ユニット3A、試薬分注ユニット3B、攪拌ユニット3C、測光ユニット3Dおよび洗浄ユニット3Eを有する。反応テーブル30は、反応容器31への検体や試薬の分注、反応容器31の攪拌、洗浄または測光を行うために反応容器31を所定の位置まで移送する。検体分注ユニット3Aは、移送機構2上の所定位置に移送された検体容器21aから検体を吸引し反応容器31に検体を吐出して分注を行う。試薬分注ユニット3Bは、所定位置に移送された試薬庫内の試薬容器から試薬を吸引し反応容器31に試薬を吐出して分注を行う。攪拌ユニット3Cは、反応容器31に分注された検体と試薬との攪拌を行って反応を促進させる。測光ユニット3Dは、所定の測光位置に搬送された反応容器31に光を照射し、反応容器31内の液体を透過した光を受光して強度測定を行う。この測光ユニット3Dによる測定結果は、検体に対する分析処理のため管理装置4に出力される。洗浄ユニット3Eは、測光ユニット3Dによる測定が終了した反応容器31内の洗浄を行う。この洗浄した反応容器31は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器31を廃棄してもよい。
【0021】
測定機構3は、メイン制御部33、1次局34、各ユニット3A〜3Eに接続する2次局35A〜35Eを有する。メイン制御部33は、管理装置4から送信された指示に基づき測定機構3を構成する各ユニットに対して処理動作を指示する指示情報を送信し、測定機構3の各ユニットの各構成部位における処理動作を制御する。1次局34は、メイン制御部33と有線接続し、メイン制御部33による指示を時分割で各ユニットに接続する2次局35A〜35Eに出力する。1次局34は、後述するネットワーク37における通信処理を制御し、メイン制御部33と各2次局35A〜35Eとのインターフェースとしての機能を有する。1次局34をメイン制御部33と各2次局35A〜35Eとの間に設けることによって、メイン制御部33が指示情報を各2次局35A〜35Eに対して直接送信する必要がないため、測定機構3全体を制御するメイン制御部33の負荷を軽減することができる。なお、メイン制御部33と1次局34とは、無線で接続していてもよい。
【0022】
各2次局35A〜2次局35Eは、1次局によって出力されたメイン制御部33による指示に応じて接続する各ユニットの動作をそれぞれ制御する。2次局35Aは、検体分注ユニット3Aに接続し、検体分注ユニット3Aの各構成部位の動作を制御する。2次局35Bは、試薬分注ユニット3Bに接続し、試薬分注ユニット3Bの各構成部位の動作を制御する。2次局35Cは、攪拌ユニット3Cに接続し、攪拌ユニット3Cの各構成部位の動作を制御する。2次局35Dは、測光ユニット3Dに接続し、測光ユニット3Dの各構成部位の動作を制御する。2次局35Eは、洗浄ユニット3Eに接続し、洗浄ユニット3Eの各構成部位の動作を制御する。2次局35A〜35Eは、2次局35A〜35E自身が配設されるべき位置を示す位置情報であって、2次局基板35A〜35E自身に対して予め設定された位置情報をそれぞれ有する。なお、図示しないが、反応テーブル30についても同様に所定の2次局35と接続しており、反応テーブル30は、接続した2次局35の制御によって反応容器31の移送処理を行っている。
【0023】
つぎに、図2を参照し、分析装置1を構成する各構成部位の接続状態を説明する。図2においては、説明の容易化のため、測定機構3と管理装置4との間の接続状態について示す。
【0024】
図2に示すように、分析装置1においては、管理装置4に各測定機構3におけるメイン制御部33がそれぞれ接続する。情報やパラメータの受け渡しを効率よく行うため、メイン制御部33と1次局34との間にはDPRAM36が設けられている。メイン制御部33およびDPRAM36は、所定の回線を介して接続し、DPRAM36および1次局34も同様に所定の回線を介して接続する。
【0025】
そして、1次局34および各2次局35A〜35Eは、ネットワーク37を介して接続している。2次局35A〜35Eは、各ユニットを構成するセンサ38A〜38Eおよび制御対象39A〜39Eと接続し、センサ38A〜38Eおよび制御対象39A〜39Eの処理動作を制御する。たとえば、センサ38A〜38Eとして、検出範囲内に検体容器21aまたは反応容器31などが移送されたか否かを検出して検出対象である検体容器21aまたは反応容器31などの位置を検出するセンサがある。たとえば、制御対象39Aとして、検体分注ユニット3Aにおける吸排機構、検体容器21a上または反応容器31上への吸排機構の移送および吸排機構の鉛直方向への昇降を行う移送機構がある。なお、測定機構3においては、DPRAM36、1次局34、各2次局35A〜35Eおよびネットワーク37を有するユニットUごとに増設することができ、装置の拡張を柔軟に行うことができる。
【0026】
2次局35A〜35Eは、それぞれ接続するセンサ38A〜38Eが検出した検出対象の位置を示した位置検出情報、それぞれ接続する制御対象39A〜39Eの処理動作に関する動作情報を取得する。2次局35A〜35Eは、ネットワーク37を介して、1次局34に位置検出情報および動作情報等に対応する信号Sを送信する。2次局35A〜35Eから送信された信号Sは、1次局34、DPRAM36を介してメイン制御部33に送信され、メイン制御部33は、受信した信号Sをもとに2次局35A〜35Eが接続する各ユニットの処理動作に異常が有るか否かを判断している。
【0027】
また、2次局35A〜35Eは、ネットワーク37を介して他の2次局35A〜35Eとの間で信号Sを送受信する。2次局35A〜35Eが送信先である他の2次局35A〜35Eに信号Sを直接送信するほか、1次局34を介して信号Sを送信してもよい。具体的には、2次局35A〜35Eは、送信先の2次局35A〜35Eのいずれかを指定する情報を信号Sとともに1次局34に送信し、1次局34が受信した情報にしたがって送信先である2次局35A〜35Eを指定して信号Sを送信する。
【0028】
つぎに、図3を参照して、2次局35A〜35Eを構成する2次局基板の配設について説明する。2次局35A〜35Eを構成する2次局基板は、図3に示す2次局基板35Pのように、CPU351、メモリ352、モータ制御部353およびセンサ制御部354を備えた構成であり、各2次局35A〜35Eを構成するいずれの2次局基板であっても同様のハード構成を有する。同様のハード構成を有する2次局基板35Pを用いることによって、分析装置1は汎用性が高い装置構成を構築することができる。2次局基板35Pにおいて、CPU351は2次局基板35Pの各部の処理および動作を制御し、メモリ352は2次局基板35Pに接続するセンサと制御対象との処理動作に関する情報および2次局基板35Pに組み込まれたプログラム等を記憶し、モータ制御部353は2次局基板35Pに接続する制御対象を駆動させるモータを制御し、センサ制御部354は2次局基板35Pに接続するセンサを制御する。同様のハード構成を有する各2次局基板35Pは、2次局基板35Pに接続するセンサおよび制御対象に応じてプログラムがセットアップされている。
【0029】
また、2次局基板35Pは、2次局基板35P自身が配設されるべき位置を示す位置情報をそれぞれ有している。この位置情報は、2次局基板35Pが配設されるべき位置に対応して予め設定されたものであり、各2次局基板35Pにおけるメモリ352内に記憶される。また、この位置情報は、メイン制御部33による各2次局35に対する指示および1次局34による各2次局35への情報送信においても用いられる。
【0030】
さらに、2次局基板35Pには、後述する確認用ケーブルにおける各入力側のピンを差し抜きできる差込口Hi1,Hi2が設けられた入力用コネクタ356と、確認用ケーブルにおける各出力側のピンを差し抜きできる差込口Ho10,Ho11,Ho20,Ho21が設けられた出力用コネクタ357とを有する。
【0031】
ところで、分析装置1においては、各2次局基板35Pが配設されるべき位置に近接して確認用ケーブル41がそれぞれ設けられている。この確認用ケーブル41は、固定部材42によって配設位置が固定されている。また、確認用ケーブル41のケーブル長さは、予め設定されたものであり、長さを変更することができない。確認用ケーブル41の一方の端部には、2次局基板35Pにおける入力用コネクタ356の差込口に差し抜き可能であるピンが設けられている。確認用ケーブル41の他方の端部には、2次局基板35Pにおける出力用コネクタ357の差込口に差し抜き可能であるピンが設けられている。確認用ケーブル41は、配設位置が固定され、ケーブル長さを変更することができないため、図3に示すように、確認用ケーブル41に近接する所定位置に配設された2次局基板35Pにのみ接続することができる。
【0032】
確認用ケーブル41の入力用コネクタ356に対応する端部には、ピンPi1,Pi2が設けられている。ピンPi1は、入力用コネクタ356の差込口Hi1に差し抜きされ、ピンPi2は、差込口Hi2に差し抜きされる。また、確認用ケーブル41の出力用コネクタ357に対応する端部には、ピンPo10,Po11,Po20,Po21が設けられている。確認用ケーブル41の他方の端部においては、ピンPo10は、出力用コネクタ357の差込口Ho10に差し抜きされ、ピンPo11は、出力用コネクタ357の差込口Ho11に差し抜きされ、ピンPo20は、出力用コネクタ357の差込口Ho20に差し抜きされ、ピンPo21は、出力用コネクタ357の差込口Ho21に差し抜きされる。
【0033】
各確認用ケーブル41は、確認用ケーブル41自身が固定された配設位置を示す配設位置情報をそれぞれ有する。確認用ケーブル41においては、確認用ケーブル41における各ピンを配設位置情報に応じて電気的に接続している。たとえば、ピンPi1は1ビット目の入力ピンに対応し、ピンPi2は2ビット目の入力ピンに対応する。そして、ピンPo10は1ビット目の信号「0」に対応し、ピンPo11は1ビット目の信号「1」に対応し、ピンPo20は2ビット目の信号「0」に対応し、ピンPo21は2ビット目の信号「1」に対応する。たとえば、確認用ケーブル41における配設位置情報が「01」である場合には、ピンPi1とピンPo10が導線L1で接続され、ピンPi2とピンPo21が導線L2で接続される。なお、2次局基板35Pの出力用コネクタ357における差込口Ho10は1ビット目の信号「0」に対応し、差込口Ho11は1ビット目の信号「1」に対応し、差込口Ho20は2ビット目の信号「0」に対応し、差込口Ho21は2ビット目の信号「1」に対応する。
【0034】
そして、2次局基板35Pを設定された箇所に配設した後、矢印に示すように、確認用ケーブル41のピンPi1,Pi2が対応する入力用コネクタ356の差込口Hi1,Hi2に差し込まれ、ピンPo10〜Po21が出力用コネクタ357の差込口Ho10〜Ho21に差し込まれる。この場合、差込口Hi1,Hi2に差し込まれたピンPi1,Pi2を介して導線L1,L2に電流が流れる。そして、ピンPi1と導線L1で接続するピンPo10を介して差込口Hi10に電流が流れ、ピンPi2と導線L2で接続するPo21を介して差込口Hi21に電流が流れる。この結果、2次局基板35Pは、この2次局基板35Pに配線接続した確認用ケーブル41の配設位置情報が「01」であることを認識することができる。このように、2次局基板35Pは、各2次局基板35Pに予め設定された位置情報とは別に、この2次局基板35Pに接続した確認用ケーブル41の配設位置情報を認識する。2次局基板35Pが正しい位置に配設されている場合には、メモリ352内に記憶される位置情報と確認用ケーブル41の配設位置情報とは一致する。なお、この2次局基板35Pが認識した確認用ケーブル41の配設位置情報は、2次局基板35Pに接続する通信用ケーブル37Pを介して、他の2次局35、1次局34およびメイン制御部33に出力される場合がある。
【0035】
つぎに、図4を参照して、2次局35が接続するセンサ38が検出した位置検出情報を他の2次局35に送信する場合の処理手順について説明する。図4に示すように、2次局35は、メイン制御部33から、他の2次局に対する位置検出情報送信指示があるか否かを判断する(ステップS2)。2次局35は、位置検出情報送信指示があるまでステップS2における判断処理を繰り返し、位置検出情報送信指示があったと判断した場合(ステップS2:Yes)、2次局35を構成する2次局基板35Pに接続する確認用ケーブル41の配設位置情報を取得する(ステップS4)。そして、2次局35は、メモリ352内に記憶された情報の中から2次局35自身に予め設定されている位置情報を取得する(ステップS6)。2次局35は、配設位置情報と位置情報とが一致するか否かを判断する(ステップS8)。
【0036】
2次局35は、配設位置情報と位置情報とが一致しないと判断した場合(ステップS8:No)、この2次局35を構成する2次局基板35Pが誤った位置に配設されていると判断し、異常と判定する(ステップS10)。2次局35は、この異常判定を1次局34を介してメイン制御部33に出力する(ステップS12)。メイン制御部33は、この異常判定を管理装置4に出力し、管理装置4は、2次局基板35の配設箇所が誤っている旨および配設位置が誤っている2次局基板35の位置を示す警告を出力する。分析装置1の操作者は、この警告を認識することによって、誤った箇所に配設された2次局基板35Pの位置を確認し、正しい位置に2次局基板35Pを配設しなおすなどの対応を取ることができる。
【0037】
一方、2次局35は、配設位置情報と位置情報とが一致すると判断した場合(ステップS8:Yes)、この2次局35を構成する2次局基板35Pの配設箇所は正常であると判定する(ステップS14)。そして、2次局35は、送信を指示された他の2次局に対して、1次局34を介して、または、直接、位置検出情報を送信し(ステップS16)、位置検出情報の送信が終了した後、ステップS2に進み、ステップS2の判断処理を行う。なお、2次局35からメイン制御部33に位置検出情報を送信する場合も同様に、2次局35は図4に示す処理手順を行って一検出情報を送信する。
【0038】
実施の形態1にかかる分析装置1においては、各ユニットを制御する2次局35を構成する2次局基板35Pそれぞれに配設位置情報を有する確認用ケーブル41を接続している。そして、2次局35は、この確認用ケーブル41における配設位置情報と2次局35に設定された位置情報とが一致してから、送信対象である情報を外部に送信している。また、2次局35は、確認用ケーブル41における配設位置情報と2次局35に設定された位置情報とが一致しない場合には配設すべき位置と異なる場所に2次局基板35Pが誤って配設されているとして、送信対象である情報を送信せず、異常判定を出力する。
【0039】
このように、分析装置1においては、2次局35は、2次局35を構成する2次局基板35Pが正しい位置に配設されているか否かを確認した後に外部に情報を送信するため、2次局基板35Pから送信される情報は真に正しいものであり、2次局35と2次局35外部との間で正確な情報の送受信を行うことが可能になる。この結果、分析装置1は、目視で区別しにくい2次局基板を複数用いた場合であっても、2次局基板の配設位置の過誤による通信不良を防止できる。
【0040】
なお、分析装置1においては、配設位置が固定された接続手段として確認用ケーブル41について説明したが、これに限らない。たとえば図5に示すように、所定の差込口に差込可能である各ピンを有する入力用接続部356aおよび出力用接続部357aが設けられた2次局基板35Paを用いる場合には、配設位置が固定されている確認用コネクタ40A、40Bであってもよい。この確認用コネクタ40A,40Bには、2次局基板35Paにおける入力用接続部356aおよび出力用接続部357aの各ピンが差し抜き可能である差込口が設けられている。
【0041】
確認用コネクタ40Aには、2次局基板35Paにおける入力用接続部356aのピンPi1,Pi2に対応して差込口Hi1,Hi2が設けられている。また、確認用コネクタ40Bには、2次局基板35Paにおける出力用接続部357aのピンPo10,Po11,Po20,Po21に対応して差込口Ho10,Ho11,Ho20,Ho21が設けられている。そして、確認用コネクタ40A,40Bにおいては、導線L1が1ビット目の入力用差込口に対応する差込口Hi1と1ビット目の信号「0」に対応する差込口Ho10とを接続し、導線L2が2ビット目の入力用差込口に対応する差込口Hi2と2ビット目の信号「1」に対応する差込口Ho21とを接続しており、1ビット目の信号「1」に対応する差込口Ho11と2ビット目の信号「0」に対応する差込口Ho20とは確認用コネクタ40Aの各差込口Hi1,Hi2に接続していない。そして、矢印に示すように、2次局基板35Paの各ピンが確認用コネクタ40A,40Bの各差込口に差し込まれ各導線L1,L2に電流が流れた結果、2次局基板35Paは、この2次局基板35Paに接続した確認用コネクタ40A,40Bの配設位置情報が「01」であることを認識することができる。なお、確認用ケーブル41および確認用コネクタ40A,40Bにおいては、各差込口、各ピン、および、配設位置情報に対応する差込口またはピンを接続する導線の個数を増やすことによって、確認用ケーブル41および確認用コネクタ40A,40Bが有する配設位置情報のビット数を増やすことができる。2次局基板35P,35Paにおいては、確認用ケーブル41および確認用コネクタ40A,40Bの差込口、ピンの個数に対応するように差込口またはピンを設ければよい。
【0042】
また、複数のネットワーク回線を設けてメイン制御部33と各2次局35とを接続してもよい。たとえば、図6に示すように、ネットワーク37は、2次局35の配設位置に対応させて複数設けてもよい。この場合、近接する検体分注ユニット3Aに接続する2次局35Aおよび試薬分注ユニット3Bに接続する2次局35Bとに接続するネットワーク回線37Aと、近接する攪拌ユニット3Cに接続する2次局35C、測光ユニット3Dに接続する2次局35Dおよび洗浄ユニット3Eに接続する2次局35Eとに接続するネットワーク回線37Bとを設けて、メイン制御部33と各2次局35とを接続する。この結果、ネットワークなどを構成する配線の煩雑化を防ぐことが可能になる。なお、各ネットワーク37A,37Bとメイン制御部33との間に、ネットワーク37Aに接続する1次局34Aとネットワーク37Bに接続する1次局34Bとを設け、メイン制御部33から各2次局35へ指示出力を円滑に行っている。また、分析装置1においては、ネットワーク回線を、2次局35が接続する各ユニットの機能に対応させて複数設けてもよい。たとえば、分析装置1は、分析処理を行わない時間帯においても動作を行うユニットに接続する2次局と他の2次局とに分けてネットワーク回線を複数設ける。また、分析装置1は、2次局35の配設位置と2次局35が接続する各機構の機能との双方に対応させて複数のネットワーク回線を設けてもよい。
【0043】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。本実施の形態2においては、2次局35が温度を検出するセンサに接続した場合について説明する。図7は、実施の形態2における分析装置1の各構成部位の接続状態を説明する図である。
【0044】
図7に示すように、2次局35Fは、各ユニットや各ユニット周辺に設けられたヒータなどの制御対象39Fと、制御対象39Fの温度を検出する温度センサ38Fと、2次局35F周辺環境の温度を検出する環境温度センサ38Faと接続し、温度センサ38F、環境温度センサ38Faおよび制御対象39Fを制御する。他の2次局35G〜35Nは、各制御対象39G〜39Nおよび各制御対象39G〜39Nの温度を検出する各温度センサ38G〜38Nに接続し、各温度センサ38G〜38Nおよび各制御対象39G〜39Nを制御する。なお、環境温度センサ38Faは、2次局35Fにのみ設けられている。2次局35F〜35Nは、ネットワーク37を介して他の2次局35F〜35Nとの間で通信を行う。
【0045】
2次局35Fは、接続する環境温度センサ38Faが検出した周辺環境の温度に応じて制御対象39Fの目標温度を変更し、制御対象39Fの温度制御を行う。また、2次局35Fは、環境温度センサ38Faが検出した周辺環境の温度に対応する信号Stを送信する。なお、実施の形態1と同様に、2次局35Fは、送信先である他の2次局35G〜35Nに信号Stを直接送信するほか、1次局34を介して信号Stを送信してもよい。具体的には、2次局35Fは、送信先の2次局35G〜35Nのいずれかを指定する情報を信号Stとともに1次局34に送信し、1次局34が受信した情報にしたがって送信先である2次局35G〜35Nを指定して信号Stを送信する。2次局35G〜35Nは、2次局35Fから送信された信号Stを受信し、環境温度センサ38Faが検出した周辺環境の温度に応じて制御対象各制御対象39G〜39Nの目標温度を変更し、制御対象39G〜39Nの温度制御を行う。また、実施の形態1と同様に、各2次局35F〜35Nは、所定の配設箇所に配設された後、図3に示す確認用ケーブル41と接続する。
【0046】
つぎに、図8を参照して、2次局35Fが、環境温度センサ38Faが検出した周辺環境の温度を他の2次局35に送信する場合の処理手順について説明する。図8に示すように、2次局35Fは、1次局34を介してメイン制御部33から、他の2次局に対する環境温度送信指示があるか否かを判断する(ステップS22)。2次局35Fは、環境温度送信指示があるまでステップS22における判断処理を繰り返し、環境温度送信指示があったと判断した場合(ステップS22:Yes)、2次局35Fに接続する確認用ケーブル41の配設位置情報を取得する(ステップS24)。そして、2次局35Fは、2次局35Fを構成する2次局基板35P中のメモリ352内に記憶された情報の中から2次局35F自身に予め設定されている位置情報を取得する(ステップS26)。2次局35Fは、取得した配設位置情報と位置情報とが一致するか否かを判断する(ステップS28)。
【0047】
2次局35Fは、配設位置情報と位置情報とが一致しないと判断した場合(ステップS28:No)、この2次局35Fを構成する2次局基板35Pが誤って配設されていると判断し、異常と判定する(ステップS30)。2次局35Fは、この異常判定を1次局34を介してメイン制御部33に出力する(ステップS32)。メイン制御部33は、この異常判定を管理装置4に出力し、管理装置4は、2次局基板35の配設箇所が誤っている旨および配設位置が誤っている2次局基板35の位置を示す警告を出力する。
【0048】
一方、2次局35Fは、配設位置情報と位置情報とが一致すると判断した場合(ステップS28:Yes)、この2次局35Fを構成する2次局基板35Pの配設箇所は正常であると判定する(ステップS34)。そして、2次局35Fは、環境温度センサ38Faに周辺環境の温度を検出させる(ステップS36)。そして、2次局35Fは、送信を指示された他の2次局に対して環境温度センサ38Faが検出した周辺環境の温度に関する環境温度情報を、1次局34を介して、または、直接、送信し(ステップS38)、ステップS22に進み、ステップS22の判断処理を行う。
【0049】
つぎに、図9を参照して、環境温度センサ38Faに接続していない2次局35G〜35Nが制御対象39G〜39Nの目標温度を設定する場合の処理手順について説明する。図9に示すように、各2次局35G〜35Nは、メイン制御部33から、制御対象39G〜39Nの目標温度の設定変更指示があるか否かを判断する(ステップS42)。各2次局35G〜35Nは、目標温度の設定変更指示がないと判断した場合(ステップS42:No)、ステップS50に進み、設定されている目標温度に応じて制御対象39G〜39Nの温度制御を行う。これに対し、各2次局35G〜35Nは、目標温度の設定変更指示があったと判断した場合(ステップS42:Yes)、2次局35Fから送信された環境温度情報を受信する(ステップS44)。
【0050】
そして、各2次局35G〜35Nは、受信した環境温度情報における周辺環境の温度を用いて制御対象39G〜39Nの目標温度を演算する目標温度演算処理を行う(ステップS46)。
【0051】
具体的には、各2次局35G〜35Nは、以下の(1)式を用いて目標温度Tを演算する。
T=a×t+b ・・・(1)
(1)式において、係数aおよび係数bは、各2次局35G〜35Nごとに予め設定されており、tは、環境温度情報における環境温度センサ38Faが検出した周辺環境の温度である。たとえば、2次局35Gにおいては、係数aとして1.2の値が設定され、係数bとして(−1)の値が設定されている。そして、受信した環境温度情報によって周辺環境の温度が37.0℃である場合には、2次局35Gは、(1)式を用いて、制御対象39Gの目標温度Tを43.4℃と演算する。なお、2次局35Fも同様に、2次局35Fが接続する環境温度センサ38Faの検出温度と(1)式とを用いて、制御対象39Fの目標温度を演算している。
【0052】
そして、各2次局35G〜35Nは、各制御対象39G〜39Nの目標温度を、目標温度演算処理(ステップS46)において演算した温度に変更して設定する目標温度設定処理を行い(ステップS48)、設定した目標温度となるように各39G〜39Nの温度制御を行う(ステップS50)。
【0053】
このように、実施の形態2においては、2次局35Fは、2次局35Fを構成する2次局基板35Pが正しい位置に配設されているか否かを確認した後に2次局35外部に環境温度情報を送信する。このため、2次局基板35Fから送信される環境温度情報は真に正しいものであり、目視で区別しにくい2次局基板を複数用いた場合であっても、2次局基板の配設位置の過誤による通信不良を防止でき、2次局35Fと他の2次局35G〜35Nとの間で正確な環境温度情報の送受信を行うことが可能になる。
【0054】
また、従来においては、各2次局ごとに環境温度センサを設けて制御対象の目標温度を設定していたため、複雑なシステム構成を必要としていた。これに対し、実施の形態2においては、2次局35G〜35Nは、ネットワーク37を介して、2次局35Fに接続する環境温度センサ38Faが検出した周辺環境の温度を取得することができる。このため、実施の形態2によれば、各2次局35G〜35Nごとに環境温度センサを設ける必要がなく、簡易なシステム構成を実現することができる。また、従来においては、各2次局ごとに設けられた環境温度センサ間において、検出温度のばらつきが発生し、この検出温度のばらつきの影響によって各2次局に接続する制御対象に対する高精度の温度制御を行うことができなかった。これに対し、実施の形態2によれば、各2次局35G〜35Nごとに環境温度センサを設ける必要がないため、各環境温度センサ間における検出温度のばらつきに影響されない高精度の温度制御を行うことができる。
【0055】
なお、実施の形態1,2においては、2次局35が2次局35に接続するセンサが検出した情報を他の2次局35に対して送信する場合について説明したが、これに限らず、2次局35が記憶する情報を他の2次局35に対して送信してもよい。
【0056】
また、実施の形態1,2においては、情報送信指示を受けた2次局35自身が、この2次局35を構成する2次局基板35Pが正しい位置に配設されているか否かを確認した後に外部に情報を送信する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、2次局35が他の2次局に対し情報の送信を指示する場合においても同様に、送信を指示した2次局35における位置情報と、この2次局35を構成する2次局基板35Pに接続する確認用コネクタ41の配設位置情報とが一致すると判断した場合に、送信を指示した2次局35に対して情報の送信を許可してもよい。このように、2次局35は、当該2次局35における位置情報と当該2次局35を構成する2次局基板35Pに接続する確認用コネクタ41の配設位置情報とが一致すると判断した場合に、通信対象との間で通信を行うほか、通信対象である2次局35の位置情報と該通信対象である2次局35を構成する2次局基板35Pに接続する確認用コネクタ41の配設位置情報とが一致すると判断した場合に、通信対象である2次制御手段との間で通信を行ってもよい。
【0057】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、メイン制御部による2次局に記憶されるプログラム更新処理について説明する。なお、実施の形態3にかかる分析装置は、実施の形態1,2にかかる分析装置と同様の構成を有する。
【0058】
図10は、実施の形態3における2次局35に記憶されるプログラム更新処理の処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、まず、メイン制御部33は、管理装置4から所定の2次局35に記憶されるプログラムの書替指示があるか否かを判断する(ステップS52)。メイン制御部33は、プログラムの書替指示があるまでステップS52における判断処理を繰り返し、書替指示があったと判断した場合(ステップS52:Yes)、1次局34およびネットワーク37を介して、プログラムの書替えを指示された2次局35から、この2次局35を構成する2次局基板35Pに接続する確認用ケーブル41の配設位置情報を取得する(ステップS54)。そして、メイン制御部33は、プログラムの書替えを指示された2次局35に予め設定されている位置情報を取得する(ステップS56)。メイン制御部33は、取得した配設位置情報と位置情報とが一致するか否かを判断する(ステップS58)。
【0059】
メイン制御部33は、配設位置情報と位置情報とが一致しないと判断した場合(ステップS58:No)、この2次局35を構成する2次局基板35Pが誤って配設されていると判断し、異常と判定する(ステップS60)。メイン制御部33は、この異常判定を管理装置4に出力し、管理装置4は、プログラムの書替え対象である2次局基板35の配設箇所が誤っている旨および配設位置が誤っている2次局基板35の位置を示す警告を出力する(ステップS62)。
【0060】
一方、メイン制御部33は、配設位置情報と位置情報とが一致すると判断した場合(ステップS58:Yes)、この2次局35を構成する2次局基板35Pの配設箇所は正常であると判定する(ステップS64)。そして、メイン制御部33は、1次局34およびネットワーク37を介して、プログラムの書替えを指示された2次局35に対してプログラムの書替えを指示し、プログラムの書替指示を受けた2次局35は、メモリ内に記憶するプログラムを受信した書替え指示に従って書替える書替処理を行う(ステップS66)。
【0061】
従来においては、同様のハード構成を有する2次局基板を配設すべき位置と異なる場所に誤って配設した結果、書替対象である制御基板とは異なる制御基板に誤ってプログラムを書き替えてしまうという問題があった。
【0062】
これに対し、実施の形態3においては、プログラムの書替対象である2次局35を構成する2次局基板35Pが正しい位置に配設されているか否かを確認した後にプログラムの書替えを行う。また、実施の形態3においては、同様のハード構成を有する2次局基板35Pを配設すべき位置と異なる場所に誤って配設した場合には、所定の警告を出力する。このため、実施の形態3によれば、目視で区別しにくい2次局基板を複数用いた場合であっても2次局基板の配設位置の過誤による通信不良を防止でき、書替え対象である2次局基板35Pを誤ることなくプログラムの書き替えを正確に行うことができる。また、実施の形態3においては、ネットワーク37を介して2次局35内のプログラムを書き替える。このため、実施の形態3によれば、従来必要であった2次局基板35Pの取り外しおよび2次局基板35Pの取り外しにともなう2次局基板35Pの配設位置の再調整が不要となり、2次局基板35Pに記憶されるプログラムを迅速かつ簡易に書き替えることができる。
【0063】
なお、メイン制御部33は、図10に示すステップS54〜ステップS64を行った後にプログラムを含む情報の書替えおよび情報の書込みを行ってもよい。また、メイン制御部33は、通信対象である2次局35に対して図10に示すステップS54〜ステップS64を行った後に、通信対象である2次局35との間で通信を行ってもよい。また、メイン制御部33は、図10に示すステップS54〜ステップS64を行った後に所定の2次局に対して他の2次局への情報送信を指示してもよい。この結果、メイン制御部33は、各2次局35を正確に制御することができる。
【0064】
また、2次局基板35Pは、たとえば図11に示す2次局基板350Pで構成される。2次局基板350Pは、ワンチップマイコン350Bを有する。ワンチップマイコン350Bは、モータドライバ350IおよびCPLD350Jを有するほか、ネットワークインターフェース350C、ADコンバータ350D、I/O出力部350E、ROM350F、RAM350G、基板内のモータドライバ350IおよびCPLD350Jを制御する各モータ制御部350H、2次局基板350Pに接続された各外部センサを制御する外部センサ制御部350Kを有する。ワンチップマイコン350Bは、パルスモータ制御を主とするアクチュエータの制御、センサ情報収集、ネットワークインターフェースの機能を有する。ワンチップマイコン350Bは、アクチュエータの動作に関連して複数あるセンサの中から任意に選択してセンサを動作させる。また、ネットワーク37に接続された他のユニットにおけるセンサ動作中またはモータ動作中を示すBusy信号を、この2次局基板350Pが制御するアクチュエータの動作にフィードバックすることができる。ワンチップマイコン350B上で動作するプログラムであってCPLD350Jに記憶されるプログラムは、ネットワーク37を介してメイン制御部33からダウンロードされるとともに書替えが可能である。
【0065】
また、上記実施の形態1〜3で説明した分析装置、分析装置における通信方法および通信プログラムは、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムである管理装置4および管理装置4によって制御されるメイン制御部23,33において実行することによって実現することができる。以下、上記実施の形態1〜3で説明した分析装置と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムについて説明する。
【0066】
図12は、上述した実施の形態を用いたコンピュータシステムの構成を示すシステム構成図であり、図13は、このコンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図である。図12に示すように、本実施の形態にかかるコンピュータシステム100は、本体部101と、本体部101からの指示によって表示画面102aに画像などの情報を表示するためのディスプレイ102と、このコンピュータシステム100に種々の情報を入力するためのキーボード103と、ディスプレイ102の表示画面102a上の任意の位置を指定するためのマウス104とを備える。
【0067】
また、このコンピュータシステム100における本体部101は、図13に示すように、CPU121と、RAM122と、ROM123と、ハードディスクドライブ(HDD)124と、CD−ROM109を受け入れるCD−ROMドライブ125と、フレキシブルディスク(FD)108を受け入れるFDドライブ126と、ディスプレイ102、キーボード103並びにマウス104を接続するI/Oインターフェース127と、ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)106に接続するLANインターフェース128とを備える。
【0068】
さらに、このコンピュータシステム100には、インターネットなどの公衆回線107に接続するためのモデム105が接続されるとともに、LANインターフェース128およびLAN/WAN106を介して、他のコンピュータシステム(PC)111、サーバ112、プリンタ113などが接続される。
【0069】
そして、このコンピュータシステム100は、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)108、CD−ROM109、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステム100の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)124や、RAM122、ROM123などの「固定用の物理媒体」、さらに、モデム105を介して接続される公衆回線107や、他のコンピュータシステム111並びにサーバ112が接続されるLAN/WAN106などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステム100によって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。
【0070】
すなわち、プログラムは、上記した「可搬用の物理媒体」、「固定用の物理媒体」、「通信媒体」などの記録媒体に、コンピュータ読み取り可能に記録されるものであり、コンピュータシステム100は、このような記録媒体からプログラムを読み出して実行することで分析装置、この分析装置における通信方法を実現する。なお、プログラムは、コンピュータシステム100によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステム111またはサーバ112がプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す分析装置を構成する各構成部位の接続状態を説明する図である。
【図3】図2に示す2次局を構成する2次局基板の配設について説明する図である。
【図4】図2に示すセンサが検出した位置検出情報を送信する処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図2に示す2次局を構成する2次局基板の配設について説明する図である。
【図6】図1に示す分析装置を構成する各構成部位の接続状態を説明する図である。
【図7】実施の形態2にかかる分析装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示す環境温度センサによる検出温度を送信する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図7に示す2次局における目標温度設定の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態3における2次局に記憶されるプログラム更新処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図3に示す2次局基板の構成を例示する図である。
【図12】実施の形態1〜3を用いたコンピュータシステムの構成を示す構成図である。
【図13】図12に示したコンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 分析装置
2 移送機構
3 測定機構
4 管理装置
21a 検体容器
21b 検体ラック
23,33 メイン制御部
3A 検体分注ユニット
3B 試薬分注ユニット
3C 攪拌ユニット
3D 測光ユニット
3E 洗浄ユニット
34,34A,34B 1次局
35A〜35N 2次局
35P,35Pa 2次局基板
36 DPRAM
37 ネットワーク
37A,37B ネットワーク回線
37P 通信用ケーブル
38A〜38E センサ
38F〜38N 温度センサ
38Fa 環境温度センサ
39A〜39N 制御対象
40A,40B 確認用コネクタ
41 確認用ケーブル
42 固定部材
351 CPU
352 メモリ
353 モータ制御部
354 センサ制御部
356,356a 入力用コネクタ
357,357a 出力用コネクタ
100 コンピュータシステム
101 本体部
102 ディスプレイ
102a 表示画面
103 キーボード
104 マウス
105 モデム
106 ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)
107 公衆回線
108 フレキシブルディスク(FD)
109 CD−ROM
111 他のコンピュータシステム(PC)
112 サーバ
113 プリンタ
121 CPU
122 RAM
123 ROM
124 ハードディスクドライブ(HDD)
125 CD−ROMドライブ
126 FDドライブ
127 I/Oインターフェース
128 LANインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する分析装置において、
当該分析装置を構成する各機構に処理動作を指示する中央制御手段と、
前記中央制御手段による指示を時分割で出力する1次制御手段と、
各機構にそれぞれ接続し前記中央制御手段による指示に応じて前記機構の動作を制御するとともに予め設定された位置情報をそれぞれ有する複数の2次制御手段と、
前記1次制御手段と前記複数の2次制御手段とを接続する通信接続手段と、
配設位置を固定して設けられ、前記配設位置を示す配設位置情報を有し、各2次制御手段にそれぞれ接続する複数の接続手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記2次制御手段は、当該2次制御手段の前記位置情報と当該2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に通信対象との間で通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記2次制御手段は、通信対象である前記2次制御手段の位置情報と該通信対象である2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に前記通信対象である2次制御手段との間で通信を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記中央制御手段は、通信対象である前記2次制御手段の位置情報と該通信対象である2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に前記通信対象である2次制御手段との間で通信を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項5】
前記中央制御手段は、書込対象である前記2次制御手段の位置情報と該書込対象である2次制御手段に接続する前記接続手段の配設位置情報とを取得し、取得した前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断した場合に前記書込対象である2次制御手段に対して情報を書き込むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
前記2次制御手段と接続するとともに検出対象の位置を検出するセンサを備え、
前記第2次制御手段は、接続した前記センサが検出した検出対象の位置に関する情報を、前記1次制御手段を介して他の2次制御手段に送信し、または、他の2次制御手段に直接送信することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項7】
前記2次制御手段と接続するとともに温度を検出する温度センサを備え、
前記第2次制御手段は、接続した前記温度センサが検出した温度に関する情報を、前記1次制御手段を介して他の2次制御手段に送信し、または、他の2次制御手段に直接送信することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項8】
前記通信接続手段は、前記2次制御手段の配設位置および/または前記2次手段が接続する各機構の機能に対応させて複数設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項9】
各機構に接続し前記機構の動作を制御するとともに予め設定された位置情報をそれぞれ有する複数の制御手段と、配設位置を固定して設けられ前記配設位置を示す配設位置情報を有するとともに前記制御手段にそれぞれ接続する複数の接続手段とを備えた分析装置における通信方法において、
通信対象である前記制御手段における位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記通信対象である制御手段に接続する前記接続手段における配設位置情報を取得する配設位置情報取得ステップと、
前記位置情報取得ステップにおいて取得された位置情報と前記配設位置情報取得ステップにおいて取得された配設位置情報とが一致するか否かを判断する判断ステップと、
を含み、前記判断ステップにおいて前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断された場合に前記通信対象である制御手段における通信を許可することを特徴とする通信方法。
【請求項10】
各機構に接続し前記機構の動作を制御するとともに予め設定された位置情報をそれぞれ有する複数の制御手段と、配設位置を固定して設けられ前記配設位置を示す配設位置情報を有するとともに前記制御手段にそれぞれ接続する複数の接続手段とを備えた分析装置における通信プログラムにおいて、
通信対象である前記制御手段における位置情報を取得する位置情報取得手順と、
前記通信対象である制御手段に接続する前記接続手段における配設位置情報を取得する配設位置情報取得手順と、
前記位置情報取得手順において取得された位置情報と前記配設位置情報取得手順において取得された配設位置情報とが一致するか否かを判断する判断手順と、
を含み、前記判断手順において前記位置情報と前記配設位置情報とが一致すると判断された場合に前記通信対象である制御手段における通信を許可することを特徴とする通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−322247(P2007−322247A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152590(P2006−152590)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】