説明

分離方法及び分離装置

【課題】閉塞が抑制でき、連続操作に適する粒子の分離装置及び分離方法を提供すること。
【解決手段】粒子を含有する分散液を導入するための分散液導入路と、前記粒子を分離するための分離流路と、分離した前記粒子を放出するための放出路と、を有し、前記分離流路の上面が、重力方向に対して傾斜を有して設けられていることを特徴とする分離装置。また、分散液導入路に粒子を含有する分散液を導入する分散液導入工程と、前記分散液をその上面が重力方向に対して傾斜を有する分離流路を通過させて分離する分離工程と、前記粒子の分離物を放出路から放出する放出工程と、を含むことを特徴とする分離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離方法及び分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子を分級及び/又は分離する方法としては、乾式法と湿式法がある。乾式法は流体と微粒子との比重差が大きくなるため、高精度のものがある。湿式法は液体と微粒子の比重差は小さくなるが、液体中で微粒子が容易に分散するため、微粉域に対して高い分級精度が得られる。分級装置は通常、回転部のローターと静止部のステーターからなり、遠心力と慣性力のバランスで分級する。また、乾式法では回転部を有しない「コアンダ効果」利用の分級器が商品化されている。一方、近年マイクロ領域で化学反応、単位操作などを行う方法が種々研究されており、コンタミなどが生じずに、効率よく微粒子の分級を行う方法・装置が検討されている。
【0003】
粒子の分離装置としては、例えば、特許文献1には、処理対象の水溶液を貯水する処理槽と、前記処理槽内の水溶液中の分離対象物質を吸着させる気泡を発生する気泡発生手段と、水溶液及び気泡に向けて照射する超音波を発生する超音波振動子と、前記超音波の発生を制御する超音波発生手段と、を有し、超音波による音圧力によって気泡の浮上を促進させて気泡に吸着した分離対象物質を水溶液から分離させる効率を高めたことを特徴とする浮上分離装置が開示されている。
【0004】
また、粒子の分級装置としては、例えば、特許文献2には、所望の粒子を、該所望の粒子を含有する試料ストリームから抽出するための、微細製造された抽出デバイスであって、a.試料ストリーム入口と、b.抽出ストリーム入口と、c.該試料ストリーム入口及び該抽出ストリーム入口と流体的に連通しており、該抽出ストリーム入口からの抽出ストリームとの平行層流フローとして、該試料ストリーム入口から試料ストリームを受ける、50未満のアスペクト比(w/d)を有する抽出チャネルと、d.該抽出チャネルと流体的に連通しており、所望の粒子が抽出された後の該試料ストリームの少なくとも一部を有する副産物ストリームを受ける、副産物ストリーム出口と、e.該抽出チャネルと流体的に連通しており、該抽出ストリームの少なくとも一部及び該試料ストリームから抽出された所望の粒子を有する生産物ストリームを受ける、生産物ストリーム出口とを有するデバイスが開示されている。特許文献1に記載の装置は、試料ストリームと抽出ストリームを層流下で送液し、試料ストリームへ拡散する速度の差を利用して不要な粗大粒子を試料ストリームから取り除くことができる。この系ではきわめて微量な試料(1pL)でも粗大粒子を取り除くことが可能である。粗大粒子は数〜数十μmオーダーの血球であり、所望の粒子は大分子(細胞、たんぱく質)、小分子(数個の原子で構成)である。
このようにマイクロメーターオーダー同士の粒子の分級を拡散を利用して行う場合、拡散の原動力は、例えば熱運動など、粒子の自発的な運動である。そのため、流路内で粒子を分離するためには、粒子が拡散する時間を考慮して流路の長さを設計する。従って、必然的に長い流路が必要となる。
【0005】
特許文献3には、微粒子分散液中の微粒子をマイクロ流路を用いて分級する微粒子の分級方法であって、微粒子分散液をマイクロ流路の導入部から回収部に層流で送液させ、前記微粒子分散液中での微粒子の沈降速度差により、微粒子を分級することを特徴とする微粒子の分級方法が開示されている。特許文献3に記載の装置は、拡散を用いず、重力を利用して分級を行うものである。
【0006】
特許文献4には、粒子を含む溶液が流れることができる流路と上記流路の所定領域において上記流路を横断する方向に電界或いは磁界を生じさせ上記粒子を偏向させる偏向手段と、上記流路内において上記偏向手段により上記粒子が寄せられる偏向側に配置され、該粒子を捕らえることができる粒子捕捉部とを備えたことを特徴とする粒子分離機構が開示されている。特許文献4の方法では、拡散を用いず、電界を利用しているため流路はさほど長くする必要はない。また、使用される粒子は帯電するものであり、流路内に分離した微粒子の補足や、流路の閉塞を避けるために、電界の切・入を切り替える。
【0007】
特許文献5には、所定の方向に延長される流路Aと、流路Aの側面における1つ以上の分岐点と、前記分岐点において前記流路Aに接続され、長さ、幅、深さ、径などのスケールのうちいずれか1つ以上が適当に調節された分岐流路を1つ以上有する流路構造を用い、前記流路Aの一端から、流体を連続的に導入する際、粒子を含む流体の部分と粒子を含まない流体の部分に分かれるように導入することにより、前記分岐点において、ある一定の大きさ以上の粒子は前記分岐点において前記分岐流路に導入されないようにすることができ、ある一定の大きさ以下の粒子は前記流路Aの下流へと導入されないようにすることができるため、導入した全てのある一定の大きさ以下の粒子を含む流体、もしくはある一定の大きさ以上の粒子を全く含まない流体を前記分岐流路から回収することができ、ある大きさ以上の粒子の濃度が高くなった流体を前記流路Aの下流から回収することができる、微粒子の濃縮・分級のための流路構造及びその方法が開示されている。特許文献5に記載の装置は、流路の閉塞を引き起こすため流体力を利用することができないマイクロメーターオーダーの粒子よりも大きな粒子に対して、流体力を利用するものである。
【0008】
【特許文献1】特開2003−251336号公報
【特許文献2】特表平11−508182号公報
【特許文献3】特開2006−116520号公報
【特許文献4】特開2006−187770号公報
【特許文献5】特開2007−175684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、本構成を有していない場合に比して、閉塞が抑制でき、連続操作に適する粒子の分離装置及び分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は下記の<1>及び<9>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<8>及び<10>〜<12>とともに以下に記載する。
<1> 粒子を含有する分散液を導入するための分散液導入路と、前記粒子を分離するための分離流路と、分離した前記粒子を放出するための放出路と、を有し、前記分離流路の上面が、重力方向に対して傾斜を有して設けられていることを特徴とする分離装置、
<2> 前記分離流路が上方から下方に向けて流れを有するように配置される、上記<1>に記載の分離装置、
<3> 前記分散液を輸送する輸送液を導入する輸送液導入路をさらに有する、上記<1>又は上記<2>に記載の分離装置、
<4> 前記輸送液導入路が上方から下方に向けて流れを有するように配置される、上記<3>に記載の分離装置、
<5> 前記分離流路の円相当流路径が10μm以上10mm以下である、上記<1>〜上記<4>いずれか1つに記載の分離装置、
<6> 前記分離流路が、分散液の進行方向に対して、その断面積が大きくなるように設けられている、上記<1>〜上記<5>いずれか1つに記載の分離装置、
<7> 前記分離流路がコーン型である、上記<1>〜上記<6>いずれか1つに記載の分離装置、
<8> 前記分散液は、分散媒の比重が粒子の比重よりも大きい、上記<1>〜上記<7>いずれか1つに記載の分離装置、
<9> 分散液導入路に粒子を含有する分散液を導入する分散液導入工程と、前記分散液をその上面が重力方向に対して傾斜を有する分離流路を通過させて分離する分離工程と、前記粒子の分離物を放出路から放出する放出工程と、を含むことを特徴とする分離方法、
<10> 前記分散液を上方から下方に送液する、上記<9>に記載の分離方法、
<11> 輸送液導入路に分散液を輸送する輸送液を導入する輸送液導入工程を含み、前記輸送液を上方から下方に送液する、上記<9>又は上記<10>に記載の分離方法、
<12> 前記分散液は、分散媒の比重が粒子の比重よりも大きい、上記<9>〜上記<11>いずれか1つに記載の分離方法。
【発明の効果】
【0011】
<1>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、閉塞が抑制でき、連続操作に適する粒子の分離装置を提供することができる。
<2>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より閉塞が抑制される。
<3>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より分離能力が向上する。
<4>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より分離能力が向上する。
<5>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より分離能力が向上する。
<6>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、送液量を増大させることができる。
<7>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、確実に送液量を増大させることができる。
<8>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、外力の操作及び/又は前処理を行うことなく、粒子を分離することができる。
<9>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、閉塞が抑制でき、連続操作に適する粒子の分離方法を提供することができる。
<10>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より閉塞が抑制される。
<11>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、より分離能力が向上する。
<12>に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比して、外力の操作及び/又は前処理を行うことなく、粒子を分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本実施形態の分離装置は、粒子を含有する分散液を導入するための分散液導入路と、前記粒子を分離するための分離流路と、分離した前記粒子を放出するための放出路と、を有し、前記分離流路の上面が、重力方向に対して傾斜を有して設けられていることを特徴とする。
また、本実施形態の分離方法は、分散液導入路に粒子を含有する分散液を導入する分散液導入工程と、前記分散液をその上面が重力方向に対して傾斜を有する分離流路を通過させて分離する分離工程と、前記粒子の分離物を放出路から放出する放出工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、重力方向とは、鉛直方向と同義である。
【0013】
拡散以外の力を利用してマイクロオーダー粒子の分離やマイクロメーターオーダー同士の粒子の分級を行う場合、粒子を強制的に移動させることができるため、長い流路を必ずしも必要としない。しかし、流路の閉塞を避けるために、一旦拡散以外の外力を解放したり、制御したりする操作が必要である(なお、上述した通り、特許文献4に記載の技術をマイクロメーターオーダー同士の粒子の分級に適用することは困難である。)。
【0014】
なお、本発明において、「分離」とは、分散液中の粒子を分散液中から分級することなく分離する場合に限定されず、分散液に含まれる粒子を分級して分離する態様をも含む意である。すなわち、本実施形態の分離装置は、分級装置及び/又は分離装置であり、また、本実施形態の分離方法は、分級方法及び/又は分離方法であるともいえる。
以下、本実施形態において、粒子を含有する分散液の分散媒を、単に分散媒ともいうこととする。
【0015】
<分離流路>
本実施形態の分離装置は、分離流路の上面が重力方向(鉛直方向)に対して傾斜を有して設けられている。また、本実施形態の分離方法は、分散液を、その上面が重力方向に対して傾斜を有する分離流路を通過させて分離する分離工程を有する。
粒子を含有する分散液の分散媒に対して、粒子の比重が小さい場合、粒子は粒径に依存して浮上する。粒径の大きい粒子は速く上昇し、分離流路の上面に衝突する。層流下では流速はポアズイユ流となり、流路中心の流速が最大であり、壁面付近の速度はほぼゼロであるので、上面に衝突した粒子は上面の斜面に沿って浮力により上昇し、分離流路上部に配置された放出路より放出される。粒径が小さい粒子は斜面に衝突することなく、分散液が上方から下方に送液される場合には、そのまま分離流路下方に配置された放出路より放出される。なお、本実施形態において、1つ以上の放出路が設けられていればよく、分離流路上部の放出路の代わりに、粒子溜めを使用することもできる。
【0016】
本実施形態において、分離流路上面の傾斜角度は、0°より大きい角度で、適宜選択することができるが、粒子が斜面に沿って浮上(上昇)するという観点から、15°以上であることが好ましい。また、十分な分離効率を得るという観点から、75°以下であることが好ましい。分離流路の傾斜角度は、20°以上70°以下であることがより好ましく、30°以上60°以下であることがさらに好ましい。
ここで、分離流路の傾斜角度とは、分離流路上面の重力方向の傾斜角度をいい、例えば、水平な流路は傾斜が0°である。なお、分離流路の底面の傾斜角度は、本実施形態では特に限定されない。
【0017】
本実施形態において、分離流路はマイクロ流路であることが好ましい。分離流路がマイクロ流路であると、浮上距離が短く、上面の傾斜壁に接するまでの時間が劇的に減少し効率が増大する。また、流速が速い場合においても層流を維持でき、乱流による分離能力の低下を防ぐことが可能となる。さらに、層流下では分離流路の壁面において、粒子の流速がほぼゼロとなり、分離効率が向上するので好ましい。
マイクロ流路としては、数μm〜数十mmの幅の流路を有するものが好ましく用いられる。なお、本実施形態の分離装置は、複数の分離流路を有する分離装置であってもよい。
分離流路の円相当径は、10μm以上10mm以下であることが好ましく、500μm以上5mm以下であることがより好ましい。分離流路の流路径が上記範囲内であると、乱流の発生が抑制されるとともに、浮上距離が短いために分離効率が向上するので好ましい。また、粒子による流路詰まりが抑制されるので好ましい。
【0018】
マイクロ流路は、寸法(代表長さ)及び流速がいずれも小さく、レイノルズ数は2,300以下である。従って、マイクロ流路を有する分離装置は、通常の装置のような乱流支配ではなく層流支配の装置である。
ここで、レイノルズ数(Re)は、以下のようにして求められ、2,300以下のとき層流支配となる。
レイノルズ数(Re)は流速(u(m/s))と代表長さ(L(m))に比例する。
【0019】
【数1】

【0020】
ここで、νは流体の動粘性係数(m2/s)である。
代表長さ(L(m))は、流路が矩形断面の場合は以下の式(2)で規定される。
【0021】
【数2】

【0022】
ここで、Sは断面積(m2)、lpは周長さ(m)である。
矩形流路断面の幅をx(m)、高さをt(m)とすると、以下の式(3)が成立する。
【0023】
【数3】

【0024】
流体の流量をa(m3/s)とすると、以下の式(4)が成立する。
【0025】
【数4】

【0026】
式(1)に、式(2)、式(3)及び式(4)を代入すると、以下の式(5)が導かれる。
【0027】
【数5】

【0028】
ここで、純水を一定の流速(例えば、10ml/h)で矩形流路に送液する場合を考える。なお、25℃における純水の動粘性係数νは、0.893×10-72/sである。
流路高さtを一定とし、流路幅xを変数としたとき、レイノルズ数は、流路幅に対して反比例する。
このようにして、レイノルズ数が2,300以下となる流路を設計することができ、高さtが十分小さければ流路幅xが大きくなっても層流を維持できる。
【0029】
本実施形態の分離装置の分離原理について以下に説明する。
<分離原理>
本実施形態では、分散液中の浮力の影響を多く受ける粒子は、重力方向(鉛直方向)の上方へ向かって浮上する。分離流路の上方に放出路を設けることにより、浮力の影響を多く受ける粒子が回収される。一方、浮力の影響が小さい粒子は、分散液及び/又は輸送液の送液に伴って下流へと送液され、放出路から排出される。分離流路の上面に傾斜を設けることにより、浮上する粒子の浮上速度が向上し、効率が向上する。
【0030】
本実施形態の分離装置及び分離方法は、分散液中の粒子を分離流路(好ましくはマイクロ流路)を用い、粒子の浮上速度差を用いて分級してもよく、また、分級をせずに分散液中の粒子を分離(回収)してもよい。
また、本実施形態の分離装置は、分散液導入路、分離流路、放出路を含み、必要に応じて、輸送液導入路を有する。本実施形態において、すべての流路で層流にて送液することが好ましい。
【0031】
本実施形態においては、浮上により斜面に接した粒子は、分離流路の上面が傾斜を有しているため、分離流路の上面、すなわち傾斜壁面に沿って浮上していく。前述のように、層流下において、壁面における流速はほぼゼロであるため、分離流路上面に接した粒子は、下降流が存在する場合でもその影響をほとんど受けず、浮上する。従って、従来の浮上型分離装置に比して短い流路長で分離が可能であり、また、短時間で粒子を分離することができる。
【0032】
粒子の比重が分散媒より軽い場合、粒子は浮上し、その際の浮上速度は、粒子の比重或いは粒径によって異なる。本実施形態の分離装置を分級装置として使用する場合には、この浮上速度差を利用して粒子を分級するものであり、粒径が異なる場合、浮上速度は粒径の2乗に比例し、粒径が大きい粒子ほど急速に浮上する(ストークスの式)。
なお、本実施形態において、浮上速度差以外にも、粒子の粒径に比例する外力を与えることで、この分級方法を適用できる粒子の幅が広がる。このような外力としては、電界や磁界が挙げられる。
【0033】
特定の条件でマイクロバルブ及び/又はナノバブルと呼ばれる直径数nm〜数百μmの微細な気泡を吸着させることで、粒子の比重が分散媒の比重よりも重い場合であっても、本実施形態の分離装置が適用できる。
なお、上述の通り、浮上した粒子は、分離流路の上面に接すると、その傾斜に沿って浮上するため、傾斜を有していない場合に比して分離速度が速い。
【0034】
<粒子>
本実施形態において、分離する粒子の大きさは特に限定されないが、粒子の粒子径(直径又は最大粒径)は、0.1μm以上1,000μm以下であることが好ましい。本実施形態の分離装置及び分離方法は、粒子径が1μm以上500μm以下の粒子の分離により好適であり、粒子径が5μm以上100μm以下の粒子の分離にさらに好適である。
粒子の粒子径が1,000μm以下であると、流路の詰まりの発生を抑制することができるので好ましい。一方、粒子の粒子径が0.1μm以上であると、ブラウン運動以上の浮上速度が得られるので好ましい。
【0035】
分離する粒子の種類は特に限定されず、樹脂微粒子、無機微粒子、金属微粒子、セラミック微粒子、細胞(例えば、リンパ球、白血球、赤血球等)等、特に限定されない。また、生体試料(全血)や、これを適宜希釈したものを分散液として用いることもできる。
さらに、高分子微粒子、顔料のごとき有機物の結晶又は凝集体、無機物の結晶又は凝集体、金属酸化物、金属窒化物、金属窒化物等の金属化合物の微粒子及びトナー粒子等を分離することもできる。
特に、内部の空隙の有無に関わらず、真比重が分散媒よりも小さい粒子が好ましく、この場合には、ゴム類、ワックス類(微粒子ワックス)、中空粒子類などの微粒子が挙げられる。
【0036】
また、粒子の形状は特に限定されず、球状、回転楕円状、不定形、針状等、いずれの形状であってもよい。これらの中でも、流路詰まりを生じにくいことから、球状及び/又は回転楕円状であることが好ましく、長軸長と短軸長との比(長軸長/短軸長)は、1以上50以下であることが好ましく、より好ましくは1以上20以下である。
【0037】
前記高分子微粒子としては、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の微粒子が挙げられる。
【0038】
また、前記金属あるいは金属化合物の微粒子としては、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、あるいはその合金、TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgO、酸化鉄等の金属酸化物やこれらの化合物、窒化ケイ素などの金属窒化物などやそれらを組合せた微粒子が挙げられる。
【0039】
前記ゴム類の微粒子としては、二トリルゴム、スチレンゴム、イソブチレンゴムなどを微粒子化したものを用いることができる。微粒子化は、乳化重合や冷凍・冷却粉砕などの機械式で行うことができる。
【0040】
前記微粒子ワックスとしては、樹脂を1995年3月高分子学会発行の反応工学研究界レポート−1「乳化・分散技術と高分子微粒子の粒子径制御 第三章」に記載の、乳化・分散機器等を用いた従来公知のいずれかの方法で微粒子化させたものを用いることができる。
また、前記微粒子ワックスは、加温時に相溶し、かつ室温では離型剤を溶解させない適当な溶剤に、離型剤を添加し加熱溶解させた後、室温まで徐々に冷却し、離型剤の微細粒子を析出させる方法(溶解析出法)や、ヘリウムなどの不活性ガス中で離型剤を加熱蒸発させ気相中で粒子を作製した後、この粒子を冷却したフイルム等に付着回収した後に、溶剤に分散させる方法(気相蒸発法)により得られる微粒子ワックス(離型剤)を用いることができる。
上述の微粒子ワックスの作製では、更にメデイア等を用いた機械的粉砕法と組み合せるとさらに微細化させることが可能である。
【0041】
前記微粒子ワックスの原料となる樹脂としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等の他、ロウ類及びワックス類として、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラクタム等の石油ワックス等が挙げられる。またこれら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。前記微粒子ワックスの原料となる樹脂としては、これらの中でも低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等、カルナバワックス、パラフィンが好ましく用いられる。
【0042】
前記中空粒子としては、無機系、有機系の中空粒子を用いることができる。無機系ではシリカ系、シリカ・アルミナ系、有機系では、樹脂系が好ましい。また、粒子内の空隙は一つでも複数でもよい。空隙率は特に限定されないが、好ましくは、20%〜80%、さらに好ましくは、30%〜70%である。具体的には、例えば、無機系として、日本フィライト社のフィライト、巴工業社のセノライトが挙げられ、有機系としては、日本フィライト社のエクスパンセル、セキスイ社製 ADVAN CELL、JSR社製のSX866(A)、SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055などが挙げられる。前記中空粒子としては、これらの中でも日本フィライト社のエクスパンセルが好ましく用いられる。特に、エクスパンセルDUなどの熱膨張性の微粒子は、適度な加熱により、所望の大きさに膨張させて用いる。
【0043】
これら微粒子の製法は多岐にわたるが、合成により媒体液体(分散媒)中で微粒子を作製し、そのまま微粒子の分離を行う場合が多い。塊状物を機械的に解砕して作製した微粒子を媒体液体中に分散し分離する場合もある。この場合は、媒体液体(分散媒)中で解砕することが多く、この場合はそのまま分離される。
【0044】
一方、乾式で作製された粉体(微粒子)を分離する場合には、予め、媒体液体に分散しておく必要がある。媒体液体中に乾燥粉体を分散させる方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミル等が挙げられるが、この際、分散によって1次粒子が粉砕されない条件で行なうことが好ましい。
【0045】
<分散媒及び輸送液>
粒子を含有する分散液の分散媒及び輸送液としては、いずれの溶媒を使用することができ、特に限定されないが、分散液中の少なくとも1種の粒子よりも、比重の大きな溶媒を使用することが好ましい。分散液中の全ての粒子よりも比重の大きな溶媒を使用することも好ましい。なお、輸送液とは、粒子を含まない溶媒であって、分離流路に送液されるものを指す。
【0046】
分散媒及び輸送液の比重が粒子の比重よりも大きい(重い)場合、分散媒又は輸送液の比重から前記粒子の比重を引いた差が、それぞれ0.01以上であることが好ましい。比重差は大きい方が、粒子の浮上速度が速いため好ましいが、20以下であることが好ましい。比重差は、0.05〜11であることがより好ましく、0.05〜4であることがさらに好ましい。分散媒又は輸送液の比重から前記粒子の比重を引いた差が0.01以上であると、粒子が浮上するので好ましい。一方、20以下であると、浮上速度が適切であり、詰まりを生じにくいので好ましい。
なお、分散媒と輸送液は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
分散媒及び輸送液としては、上述のように、粒子の比重から分散媒の比重を引いた差が0.01〜20のものであれば好ましく用いることができ、例えば、水、あるいは水系媒体、有機溶剤系媒体などが挙げられる。
【0048】
前記水としては、イオン交換水、蒸留水、電解イオン水などが挙げられる。また、前記有機溶剤系媒体としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、グリセリン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、キシレンなど、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0049】
本実施形態においては、好ましい分散媒及び輸送液は分離する粒子の種類によって異なる。好ましい粒子と分散媒との組み合わせとしては、ポリオレフィン微粒子又は中空微粒子と、イオン交換水との組み合わせが挙げられ、この中でもパラフィンワックス微粒子、カルナバワックス微粒子又はエクスパンセルの熱膨張微粒子と、イオン交換水との組み合わせが好ましい。
【0050】
なお、上述の通り、粒子に気泡を付着させたり、磁力等の外力を与えて粒子を浮上させる場合には、粒子の比重と分散媒及び輸送液の比重との関係は特に限定されない。
【0051】
<気泡付着>
次に、粒子に気泡を付着させる方法について詳述する。
本実施形態において、粒子に気泡を付着させる場合、該気泡はマイクロバブル及び/又はナノバブルであることが好ましく、ナノバブルであることがより好ましい。
ここで、マイクロバブルとは、直径が1μm以上500μm以下の微細な気泡であり、マイクロバブル発生装置としては、減圧析出方式、超音波方式、2層旋回流方式等を使用する装置が知られている。
減圧析出方式の装置は、高圧の空気(気体)を水(液体)に溶け込ませて飽和溶解させた後、該高圧水を一気に減圧して気泡を発生させるものであり、超音波方式の装置は、水(液体)に空気(気体)を加圧溶解させた後、超音波振動を水に与えて、溶け込んでいる空気(気体)を析出させるものである。また、2層旋回流方式の装置は、特許文献1にも示されるように円筒状の容器内へ接線方向から水(液体)を流入させて旋回流を形成し、容器の軸心部に発生する負圧により、容器の軸方向端から外部の空気(気体)を吸入させて、旋回流の剪断効果により、気泡を発生させるものである。
【0052】
一方、ナノバブルとは、直径が1μmに満たない超微細気泡である。ナノバブルは、マイクロサイズの微細気泡に物理的刺激を与えて圧壊させることにより発生することが知られ、周囲にマイナスイオンを有することで比較的長時間安定的に存在することが報告されている(例えば特開2005−245817号公報)。従って、ナノバブルを粒子に付着させると、比較的安定的に粒子に付着するため、分離流路及び排出路等を送液しても粒子からナノバブルが脱離することなく、送液できると考えられる。
ナノバブルの発生装置としては、放電装置、超音波装置、渦流発生装置(例えば回転体)が知られており、本実施形態ではいずれも使用することができる。
【0053】
粒子への気泡の付着は、いずれの段階で行ってもよく、特に限定されないが、分離流路に送液する前に微細な気泡(好ましくはナノバブル)を付着させ、これを分離流路に送液することが好ましい。
また、本実施形態はこれに限定されず、特開2003−251336号公報に記載されているように、気泡放出口を分離流路内の分散液導入口よりも下流側に設けることで、分離流路内で粒子に気泡を付着させることもできる。
【0054】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、同一の符号は同一の対象を意味するものである。
(第1の実施形態)
図1を参照しながら、本実施形態の第1の実施形態について説明する。
本実施形態に好適に使用可能な分離装置の第1の実施形態を示す断面概略図である。
分離装置1は、粒子を含有する溶液(分散液)Aを導入するための分散液導入路2と、分散液導入路2から連続し、水平方向に対してその上面が傾斜θ(図1においては、45°である。)を有する分離流路3と、分離流路3から連続し、分離(分級)した粒子を放出するための放出路4とを有する。ここで、水平とは、重力と直角に交わる方向であり、上面が水平である場合を0℃、鉛直である場合を90℃とする。
図1においては、板状体に紙面の奥行き方向に500μmの深さを有するマイクロ流路が形成されている。また、図1に示す矢印が重力方向を示す。
【0055】
図1に示す分離装置1では、分散液Aは、分離装置1の上方に設けられた分散液導入口2’から分散液導入路2を介して、重力方向(鉛直方向)の下方に送液されている。なお、分散液Aの導入方法は特に限定されず、公知の方法から適宜選択することができるが、マイクロシリンジ、ロータリーポンプ、スクリューポンプ、遠心ポンプ、ピエゾポンプ等で圧入することが好ましい。
また、図1では、分散液Aは重力方向(鉛直方向)の下方に向けて分散液導入路2に送液されているが、分散液導入路2が分離装置1の上方に設けられていれば、これに限定されるものではなく、分散液導入路2は、分離流路3の上部と水平に設けられていてもよいし、分散液導入路2が分離流路3から延伸されており、傾斜を有するものであってもよい。すなわち、分離流路3の下方から分散液Aが送液されていれば、特に限定されない。
【0056】
分散液Aに、粒子径の小・中・大の三種類の粒子(粒子a(小)、粒子b(中)、粒子c(大))が含まれている場合を例示して、第1の実施形態の分離装置1について説明する。
図1に示す分離装置1においては、分散液Aに含まれる粒子のうち、微小な粒子aに注目すれば、分散液Aの下降速度(送液速度)の重力方向成分速度(重力方向の流速)vが、微小な粒子aの終末速度よりも大きいため、微小な粒子aは、分離流路3の下部に設けられた放出路4から放出液Bとして放出される。
なお、重力方向成分速度vは、全流速をVとすると、以下の式で与えられる。
v=Vsinθ
ここで、終末速度とは、単一粒子が静止流体中を外力によって運動するとき、粒子に作用する外力と、流体から受ける抵抗とがつりあった状態にある粒子の運動速度である。図1において、粒子に与えられる外力は浮力であり、終末速度よりもvが大きい流速で分散液を送液すれば粒子は下降し(送液され)、これとは逆に、終末速度より小さな流速で送液すれば、粒子は浮上する。
【0057】
一方、粗大な粒子cの終末速度は、分散液Aのvよりも大きいため、浮力によって浮上し、分離流路3の上面5に接する。層流下では、壁面における流速がほぼゼロであるため、粗大な粒子cが上昇によって分離流路3の上面5に接すると、流体内を浮上する場合に比べ、壁面を浮上する速度が速くなる。このため、図1の装置においては、傾斜する分離流路を設けていない場合に比して、迅速に分離(分級)を行うことができ、効率が向上する。
図1において、分離流路3の上面5に沿って浮上した粗大な粒子cは、分離流路3の上流側に設けられた第2の放出路7から放出される。
【0058】
また、図1において、微小な粒子aと粗大な粒子cの間の粒径を有する粒子bに着目すれば、分散液の流速vが、粒子bの終末速度よりもわずかに小さく設定されている。粒子bは次第に浮上し、分離流路3の下流側(より下方)で上面5に接し、分離流路3の上面5に沿って浮上し、第2の放出路7から放出される。
なお、図1では、分散液の流速vを、粒子bの終末速度よりも小さく設定したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、粒子bの終末速度よりも、分散液の流速vを大きく(速く)することによって、粒子bを放出路4から放出させ、放出液B中に回収することもできる。
【0059】
また、図1においては、放出路4から放出される粒子と、第2の放出路7から放出される粒子の2つに分離(分級)しているが、分離流路3の途中にさらに放出路を設け、3つ以上に分離(分級)することもできる。
【0060】
次に、本実施形態の分離装置の製造方法について述べる。
本実施形態の分離装置は、固体基板上に微細加工技術により作製することもできる。
固体基板として使用される材料の例としては、金属、シリコン、テフロン(登録商標)、ガラス、セラミックス及びプラスチックなどが挙げられる。中でも、金属、シリコン、テフロン(登録商標)、ガラス及びセラミックスが、耐熱、耐圧、耐溶剤性及び光透過性の観点から好ましく、特に好ましくはガラスである。
【0061】
流路を作製するための微細加工技術は、例えば、「マイクロリアクタ−新時代の合成技術−」(2003年、シーエムシー刊、監修:吉田潤一)、「微細加工技術 応用編−フォトニクス・エレクトロニクス・メカトロニクスへの応用−」(2003年、エヌ・ティー・エス刊、高分子学会 行事委員会編)等に記載されている。
【0062】
代表的な方法を挙げれば、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、Deep RIEによるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザ加工法、イオンビーム加工法、及びダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、及び機械的マイクロ切削加工法である。
【0063】
本実施形態に用いられる流路は、シリコンウエハ上にフォトレジストを用いて形成したパターンを鋳型とし、これに樹脂を流し込み固化させる(モールディング法)ことによっても作製することができる。モールディング法には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はその誘導体に代表されるシリコン樹脂を使用することができる。
【0064】
本実施形態の分離装置を製造する際、接合技術を用いることができる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法としては、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法である。
【0065】
さらに、接合に際しては高温加熱による材料の変質や変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましく、その技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF水溶液を用いた接合、Au−Si共晶接合、ボイドフリー接合、拡散接合などが挙げられる。
【0066】
本実施形態の分離装置はパターン部材(薄膜パターン部材)を積層して形成することができる。なお、パターン部材の厚さは5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。本実施形態の分離装置は、所定の二次元パターンが形成されたパターン部材が積層されて形成された分離装置とすることができ、パターン部材の面同士が直接接触して接合された状態で積層されていることが好ましい。具体的には特開2006−187684号公報に記載の製造方法を参照することができる。
【0067】
図1に示す分離装置1において、流路断面は矩形であり、分散液導入路2の幅は500μmであり、分離流路3の幅は1,000μmであり、放出路4の幅は500μmである。また、これらの全ての流路の奥行き(深さ)は500μmである。
また、分散液導入路2の流路長は20mmであり、分離流路3は50mmであり、放出路4は10mmである。
【0068】
なお、第1の実施形態において、分散液に含まれる粒子の比重、粒子径、分散媒の比重、分散液の送液速度等を適宜選択することによって、所望の粒子径の粒子を分離(分級)することができる。また、分離流路の流路長は、長い方が分離(分級)能は高くなるが、流路長を大きくすると、分離装置に必要とされる体積が増加する。目的に応じて、適宜選択することが好ましい。
【0069】
(第2の実施形態)
次に、図2を用いて、本実施形態の第2の実施形態を説明する。
図2は、本実施形態に好適に使用可能な分離装置の第2の実施形態を示す断面概略図である。図2に示す分離装置1は、板状体に紙面の奥行き方向に500μmの深さを有するマイクロ流路が形成されている。また、図2に示す矢印が重力方向を示す。
図2において、分離装置1は、粒子を含有する溶液(分散液)Aを導入するための分散液導入路2と、分散液導入路2から連続し、水平方向に対してその上面が傾斜θを有する分離流路3と、分離流路3から連続し、分離(分級)した粒子を放出するための放出路4a、4b及び4cと、を有する。また、第2の実施形態では、分離装置1は輸送液導入路6を有する。
【0070】
第2の実施形態では、分散液導入口2’は、分離装置1の下部に設けられており、分散液Aは、重力方向の上方に送液される。
また、第2の実施形態では、分離流路3は、分散液Aの進行方向に対して、その断面が大きくなるように設けられている。
【0071】
分離流路が分散液の進行方向に対して、その断面が大きくなると、以下のような利点を有する。すなわち、分散液の送液速度が遅いと、分散液導入路及び/又は分離流路に詰まりを生じる場合があるので、分散液の送液速度は詰まりを生じない速度とすることが求められる。一方、送液速度を速くしすぎると、粒子の終末速度を超えてしまい、粒子の十分な分離を行うことができない。
分散液の進行方向に対して、分離流路の断面積が大きくなると、下流に送液されるにつれて流速が遅くなる。従って、分散液の上流での送液速度を速くしても、十分な分離を行うことができ、詰まりを抑制しつつ、分離効率を向上させることが可能となる。
【0072】
第2の実施形態においては、分散液Aは、分離装置1の下方に設けられた分散液導入口2’から分散液導入路2を重力方向(鉛直方向)の上方に向けて送液され、輸送液Cが分離装置1の上方に設けられた輸送液導入口6’から、輸送液導入路6を重力方向に送液されている。なお、分散液A及び輸送液Cの導入方法は特に限定されず、第1の実施形態と同様に、公知の方法から適宜選択することができる。また、分散液導入路2及び輸送液導入路6は、それぞれ分離流路3の下方及び上方から送液されていればよく、図2に示す態様に限定されるものではない。
図2に示すように、分散液Aを分離装置1の下方に設けられた分散液導入路2において重力方向の逆方向に(鉛直方向の上方に向けて)送液することにより、分散液Aの詰まりを抑制することができる。また、輸送液Cを分離装置1の上方に設けられた輸送液導入路6において重力方向の逆向きに送液することにより、分離流路3の上方から下方へと送液される層流が生じる。
下方から送液された分散液Aと上方から送液された輸送液Cは、分離流路3で合流し、界面を形成して層流となる。
【0073】
分散液Aに、粒子径の小・中・大の三種類の粒子(粒子a(小)、粒子b(中)、粒子c(大))が含まれている場合を例示して、第2の実施形態の分離装置1について説明する。
図2に示す分離装置1においては、分散液Aに含まれる粒子のうち、微小な粒子aに注目すれば、微小な粒子aは、浮上速度が遅いため、そのほとんどが分散液A中にとどまり、放出路4aから放出される、放出液B1中に存在する。
【0074】
一方、粗大な粒子cは、浮力により上方に浮上する。分離流路3の上面5に接すると、壁面での液体の流速はほぼゼロであるため、底面に沿って、速やかに上方へと浮上し、放出路4cから放出される、放出液B3中に検出される。
また、微小な粒子aと粗大な粒子cの間の粒径を有する粒子bは、浮力により浮上するが、分離流路3の上面5に接するまでに放出路4bへと送液され、放出液B2中に検出される。
【0075】
なお、図2においては、放出路4a、4b、及び4cの合計3つの放出路を設けたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、任意の数の放出路を設けることができる。また、放出路を設ける位置を適宜変更することによって、所望の粒子径の粒子を分離(分級)することができる。さらに、分散媒、輸送液、流速、流路幅、流路長等を適宜変更することができることはいうまでもない。
【0076】
図3は、第2の実施形態の分離装置において、大小の粒子を送液した場合の模式図である。
図3(a)〜図3(d)において、分離装置1の下部から送液された分散液Aと、上部から送液された輸送液Cは分離流路3において界面10(図3において、実線で示す。)を形成する。分散液Aは、微小な粒子a及び粗大な粒子cを含有する。
粗大な粒子cは、浮力の影響を大きく受けるため、次第に浮上し(図3(b)及び(c))、分離流路3の上面5に接すると、上面5に沿って上方へと浮上する(図3(d))。粗大な粒子cは、分離流路3の上部に設けられた放出路4cから、放出液B3として放出される。
一方、微小な粒子aは、分散液Aの層流に従って送流され、分離流路3の下部に設けられた放出路4aから、放出液B1として放出される。
【0077】
なお、第2の実施態様の分離装置は、第1の実施態様の分離装置と同様の材質で作製することができる。また、第1の実施態様の分離装置と同様の方法で作製することができる。
【0078】
(第3の実施例)
図4は、本実施形態に好適に使用可能な分離装置の第3の実施態様を示す模式斜視図である。図4に示す分離装置1は、コーン型である。
図4において、分離装置1は、粒子を含有する溶液(分散液)Aを導入するための分散液導入路2と、分散液導入路2から連続し、水平方向に対して上部が傾斜θを有する分離流路3と、分離流路3から連続し、分離した粒子を放出するための放出路(不図示)とを有する。なお、図4では、分離流路3に設けられ、放出路へと連続する貫通口8a及び8bのみを示している。
【0079】
第3の実施態様では、分散液導入口2’は、分離装置1の上部に設けられており、分散液Aは、重力方向(鉛直方向)の下方に向けて分散液導入路2に送液される。なお、分散液Aの導入方法は特に限定されず、第1の実施形態と同様に適宜選択することができる。
また、図4では、分散液Aは重量方向(鉛直方向)に送液されているが、分散液導入路2が分離装置1の上方に設けられていれば、これに限定されるものではなく、分散液導入路2は、分離流路3の上部から水平に設けられていてもよく、分離流路3の上部から分散液Aが送液されていれば、特に限定されない。
【0080】
また、第3の実施形態では、分離流路3は、分散液Aの進行方向に対して、その断面(断面積)が大きくなるように設けられている。分離流路3が分散液Aの進行方向に対して、その断面(断面積)が大きくなるので、上述の通り、詰まりを抑制しつつ、分離(分級)効率を向上させることが可能となる。
なお、図4(a)に示すように、分離流路3の流路厚みを一定とすることもできるし、図4(b)に示すように、分離流路3を円錐形とすることもできる。なお、図4(b)に示す分離流路3の方が、分散液Aの進行方向に対して、より断面積の増加量が大きい。
【0081】
第3の実施態様では、分散液Aに含まれる粒子のうち、微小な粒子は、分散液Aの送液速度(下降速度)が微小な粒子の終末速度よりも大きいため、分離流路3の上部に設けられた貫通口8aから放出路(不図示)へと放出される。
一方、分散液Aに含まれる粒子のうち、粗大な粒子は、分散液Aの送液速度(下降速度)が粗大な粒子の終末速度よりも小さいため、浮力によって浮上する。粗大な粒子が分離流路3の上面5に接すると、壁面に沿って浮上し、分離流路3の上部に設けられた貫通口8bから、放出路(不図示)へと放出される。
【0082】
本実施形態の分離装置は流路が三次元形状を有するため、パターン部材(薄膜パターン部材)を積層して形成することが好ましい。なお、パターン部材の厚さは5〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
本実施形態の分離装置は、所定の二次元パターンが形成されたパターン部材が積層されて形成された分離装置であることが好ましく、パターン部材の面同士が直接接触して接合された状態で積層されていることがより好ましい。
分離装置の水平方向の各断面形状に対応した複数のパターン部材を積層して分離装置を形成することにより、簡便に分離装置を形成することができるので好ましい。
【0083】
本実施形態の分離装置の好ましい製造方法としては、(i)第1の基板上に目的とする分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材を形成する工程(ドナー基板作製工程)、及び、(ii)前記複数のパターン部材が形成された前記第1の基板と第2の基板との接合及び離間を繰り返すことにより前記第1の基板上の前記複数のパターン部材を前記第2の基板上に転写する工程(接合工程)、を含むことを特徴とする分離装置の製造方法が例示でき、例えば、特開2006−187684号公報に記載の製造方法を参照できる。
【0084】
本実施形態の分離装置の製造方法についてさらに詳述する。
〔ドナー基板作製工程〕
本実施形態において、ドナー基板は電鋳法を用いて作製することが好ましい。ここで、ドナー基板とは、第1の基板上に目的とする分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材が形成された基板である。第1の基板は、金属、セラミックス又はシリコンから形成されていることが好ましく、ステンレス等の金属が好適に使用できる。
まず、第1の基板を準備し、第1の基板上に厚膜フォトレジストを塗布し、作製する分離装置の各断面形状に対応したフォトマスクにより露光し、フォトレジストを現像して各断面形状のポジネガ反転したレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンを有する基板をめっき浴に浸漬し、フォトレジストに覆われていない金属基板の表面に例えばニッケルめっきを成長させる。パターン部材は電鋳法を用いて、銅又はニッケルにより形成されていることが好ましい。
次に、レジストパターンを除去することにより、第1の基板上に分離装置の各断面形状に対応したパターン部材を形成する。
【0085】
〔接合工程〕
接合工程とは、複数のパターン部材が形成された前記第1の基板(ドナー基板)と第2の基板(ターゲット基板)との接合及び離間を繰り返すことにより前記ドナー基板上の前記複数のパターン部材を前記ターゲット基板上に転写する工程である。接合は、常温接合又は表面活性化接合により行われることが好ましい。
図5(a)から(f)は、第3の実施形態に好適に使用できる分離装置の製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
図5(a)に示すように、ドナー基板405には、第1の基板上である金属基板400に、目的とする分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材(401)が形成されている。上記ドナー基板405を真空槽内の図示しない下部ステージ上に配置し、ターゲット基板410を真空層内の図示しない上部ステージ上に配置する。続いて、真空槽内を排気して高真空状態あるいは超高真空状態にする。次に、下部ステージを上部ステージに対して相対的に移動させてターゲット基板410の直下にドナー基板405の1層目のパターン部材401Aを位置させる。次に、ターゲット基板410の表面、及び1層目のパターン部材401Aの表面にアルゴン原子ビームを照射して清浄化する。
【0086】
次に、図5(b)に示すように、上部ステージを下降させ、所定の荷重力(例えば、10kgf/cm2)でターゲット基板410とドナー基板405とを所定の時間(例えば、5分間)押圧し、ターゲット基板410と1層目のパターン部材401Aとを常温接合(表面活性化接合)する。本実施の形態では、パターン部材401A、401B・・・の順に積層する。
【0087】
次に、図5(c)に示すように、上部ステージを上昇させて、ドナー基板とターゲット基板を離間させると、1層目のパターン部材401Aが金属基板(第1の基板)400から剥離し、ターゲット基板410側に転写される。これは、1層目のパターン部材401Aとターゲット基板410との密着力が1層目のパターン部材401Aと金属基板(第1の基板)400との密着力よりも大きいからである。
【0088】
次に、図5(d)に示すように、下部ステージを移動させ、ターゲット基板410の直下にドナー基板405上の2層目のパターン部材401Bを位置させる。次に、ターゲット基板410側に転写された1層目のパターン部材401Aの表面(金属基板400に接触していた面)、及び2層目のパターン部材401Bの表面を前述したように清浄化する。
【0089】
次に、図5(e)に示すように、上部ステージを下降させ、1層目のパターン部材401Aと2層目のパターン部材401Bを接合させ、図5(f)に示すように、上部ステージを上昇させると、2層目のパターン部材401Bが金属基板(第1の基板)400から剥離し、ターゲット基板410側に転写される。
【0090】
他のパターン部材も同様に、ドナー基板405とターゲット基板410との位置決め、接合及び離間を繰り返すことにより、分離装置の各断面形状に対応した複数のパターン部材がターゲット基板上に転写される。ターゲット基板410上に転写された積層体を上部ステージから取り外し、ターゲット基板410を除去すると、分離装置が得られる。
【0091】
上記の実施形態では、ドナー基板を電鋳法を用いて作製したが、半導体プロセスを用いて作製してもよい。例えば、Siウエハからなる基板を準備し、この基板上にポリイミドからなる離型層をスピンコーティング法により着膜し、この離型層の表面に分離装置の構成材料となるAl薄膜をスパッタ法により着膜し、Al薄膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより、ドナー基板を作製することもできる。
【実施例】
【0092】
以下に、実施例を用いて本実施形態についてさらに詳述するが、本実施形態は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例においては、図6に示す分離装置1を用いて、分級を行った。
【0093】
図6において、流路(分散液導入路、輸送液導入路、分離流路、及び、放出路)は、全て板状体に設けられており、深さは0.5mmである。
分散液導入路2は、幅を0.5mmとした。また、分離流路3及び放出路4は、幅を1mmとした。分離流路3は全長50mmとし、その末端が放出路4となっており、微小粒子を含む放出液Bが放出される。また、分離流路3の中間点に粗大粒子を含む放出液B’を放出するための第2の放出路7を設けた。第2の放出路7は幅を0.5mmとした。また、分離流路3の上面が水平方向に対して45°の傾斜を有するように設置した。
ここで、分散液A及び輸送液Cの導入には、マイクロシリンジを使用した。
また、図6において、重力は矢印の下方向である。
【0094】
分散液は、体積平均粒径が約15μmのポリオレフィン微粒子(日本精鑞社製)10体積%の水分散液(融点85℃のパラフィンワックスをゴーリンミキサーで微粒子化したもの)である。ポリオレフィン微粒子の比重は水の比重の0.90倍である。この分散液の粒度分布図を図7(a)に示す。
分散液、輸送液ともに1ml/hで送液し、放出路4(微粉出口)、第2の放出路7(粗粉出口)からサンプルを回収した。これらのサンプルの粒度分布測定結果を図7(b)、図7(c)に示す。
この分離方法により、18μm以上の粒子を完全に除去することができた。
【0095】
図8に示す分離装置は、図6に示す分級装置を分級路上面が水平方向と平行になるよう設置したものである。図8に示す分離装置を用い、実施例と同様の分散液を用い、同様の送液速度で送液し、サンプルを回収した。これらのサンプルの粒度分布測定結果を図9に示す。
この方法では、22μmの粒子も微粉出口から検出され、十分な分離能力を示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本実施形態に好適に使用可能な分離装置の第1の実施態様を示す断面概略図である。
【図2】本実施形態に好適に使用可能な分離装置の第2の実施態様を示す断面模式図である。
【図3】第2の実施形態の分離装置において、大小の粒子を送液した場合の模式図である。
【図4】本実施形態に好適に使用可能な分離装置の第3の実施態様を示す模式斜視図である。
【図5】第3の実施形態に好適に使用できる分離装置の製造方法の一実施態様を示す製造工程図である。
【図6】実施例1で使用した分離装置の概略図である。
【図7】実施例1における分散液A及び放出路4及び第2の放出路7から放出された分散液(B及びB’)の粒度分布を示す。
【図8】比較例1で使用した分離装置の概略図である。
【図9】比較例1における分散液A及び放出路4及び第2の放出路7から放出された分散液(B及びB’)の粒度分布を示す。
【符号の説明】
【0097】
1 分離装置
2 分散液導入路
2’ 分散液導入口
3 分離流路
4 放出路
5 上面
6 輸送液導入路
6’ 輸送液導入口
7 第2の放出路
8a、8b 貫通口
10 界面
A 分散液
B 放出液
C 輸送液
400 金属基板
401A 1層目のパターン部材
401B 2層目のパターン部材
405 ドナー基板
410 ターゲット基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含有する分散液を導入するための分散液導入路と、
前記粒子を分離するための分離流路と、
分離した前記粒子を放出するための放出路と、を有し、
前記分離流路の上面が、重力方向に対して傾斜を有して設けられていることを特徴とする
分離装置。
【請求項2】
前記分離流路が上方から下方に向けて流れを有するように配置される、請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記分散液を輸送する輸送液を導入する輸送液導入路をさらに有する、請求項1又は2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記輸送液導入路が上方から下方に向けて流れを有するように配置される、請求項3に記載の分離装置。
【請求項5】
前記分離流路の円相当流路径が10μm以上10mm以下である、請求項1〜4いずれか1つに記載の分離装置。
【請求項6】
前記分離流路が、分散液の進行方向に対して、その断面積が大きくなるように設けられている、請求項1〜5いずれか1つに記載の分離装置。
【請求項7】
前記分離流路がコーン型である、請求項1〜6いずれか1つに記載の分離装置。
【請求項8】
前記分散液は、分散媒の比重が粒子の比重よりも大きい、請求項1〜7いずれか1つに記載の分離装置。
【請求項9】
分散液導入路に粒子を含有する分散液を導入する分散液導入工程と、
前記分散液をその上面が重力方向に対して傾斜を有する分離流路を通過させて分離する分離工程と、
前記粒子の分離物を放出路から放出する放出工程と、を含むことを特徴とする
分離方法。
【請求項10】
前記分散液を上方から下方に送液する、請求項9に記載の分離方法。
【請求項11】
輸送液導入路に分散液を輸送する輸送液を導入する輸送液導入工程を含み、
前記輸送液を上方から下方に送液する、請求項9又は10に記載の分離方法。
【請求項12】
前記分散液は、分散媒の比重が粒子の比重よりも大きい、請求項9〜11いずれか1つに記載の分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−75820(P2010−75820A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245741(P2008−245741)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】