説明

切断装置

【課題】通電用部材を切断するブレードと通電用部材を切断した後のブレードを受け止めるストッパとを備えた切断装置において、ブレード受け止め時のストッパの破損を防止する。
【解決手段】切断装置(10)は、ブレード(30)と、前方のハーネス(12)を切断するように上記ブレード(30)を進出させるための高圧ガスを発生させるガス発生部(35)と、ブレード(30)の進出側端部と対向する底部(23a)を有してハーネス(12)を切断した後のブレード(30)を受け止めるストッパ(23)とを備えている。ストッパ(23)は、底部(23a)よりも後方に設けられ、ハーネス(12)を切断した後のブレード(30)と当接して変形するように構成された緩衝部(1)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電用部材を切断する切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ブレードを有し、該ブレードを所定の進出方向に進出させることによってハーネス等の通電用部材を切断する切断装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この種の切断装置は、例えば災害時に電源からの電力を遮断するために用いられている。
【0003】
上記切断装置では、ブレードの後方において発生させた高圧ガスによってブレードを前進させて通電用部材を切断し、該通電用部材を切断した後のブレードを、ブレードの進出側端部と対向する壁部を有するストッパによって受け止めることとしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−86653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の切断装置では、通電用部材を切断した後のブレードをストッパの壁部のみで受け止めることとしていた。そのため、ブレードを受け止める際にストッパに強い衝撃が加わり、ストッパが破損してブレードを満足に受け止めることができなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通電用部材を切断するブレードと通電用部材を切断した後のブレードを受け止めるストッパとを備えた切断装置において、ブレード受け止め時のストッパの破損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、初期位置から所定の進出方向に進出可能に構成されたブレード(30)と、該ブレード(30)の前方に位置する通電用部材(12)を切断するように上記ブレード(30)を進出させるための高圧ガスを発生させるガス発生部(35)と、上記ブレード(30)の進出側端部と対向する壁部(23a)を有して上記通電用部材(12)を切断した後の上記ブレード(30)を受け止めるストッパ(23)とを備えた切断装置であって、上記ストッパ(23)は、上記通電用部材(12)を切断した後の上記ブレード(30)と当接して変形するように構成された緩衝部(1)を有している。
【0008】
第1の発明では、ガス発生部(35)が高圧ガスを発生させると、ブレード(30)が通電用部材(12)に向かって進出して通電用部材(12)が切断される。通電用部材(12)を切断した後のブレード(30)は、ストッパ(23)の緩衝部(1)に当接する。このとき、ブレード(30)の運動エネルギは、ストッパ(23)の緩衝部(1)を変形させる変形エネルギに転換され、上記緩衝部(1)を変形させる。つまり、ブレード(30)の運動エネルギが、緩衝部(1)の変形に伴って徐々に減少する。その結果、ブレード(30)がストッパ(23)に衝撃的な力を加えることなく停止することとなる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、上記ストッパ(23)は、上記壁部(23a)の外周縁部から上記ブレード(30)の進出方向とは逆向きに突出して内部に上記ブレード(30)が進出する進出路の一部を形成する筒部(23b)を有し、上記緩衝部(1)は、上記筒部(23b)の内周面から径方向内側に突出する少なくとも1つの突出部(2)によって構成されている。
【0010】
第2の発明では、通電用部材(12)を切断した後のブレード(30)は、ストッパ(23)の筒部(23b)の内周面から径方向内側に突出する突出部(2)に当接する。このようにブレード(30)が当接することによって、突出部(2)は、ブレード(30)の進出方向に削り取られて変形する。このような突出部(2)の変形により、ブレード(30)の運動エネルギが徐々に減少し、ブレード(30)がストッパ(23)に衝撃的な力を加えることなく停止することとなる。また、上述のように、ブレード(30)が突出部(2)を削りながら進むことにより、ブレード(30)とストッパ(23)の内周面は圧入状態になる。これにより、ブレード(30)が壁部(23a)まで進出して該壁部(23a)に当接する際に、ブレード(30)の跳ね返りが抑制される。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、上記突出部(2)は、上記筒部(23b)の内周面に沿って該筒部(23b)の軸方向に延びている。
【0012】
第3の発明では、突出部(2)が筒部(23b)の軸方向に長く形成されているため、ブレード(30)が進出すると、該ブレード(30)によって突出部(2)は連続的に削り取られていく。つまり、ブレード(30)は、進出に伴って連続的に緩衝部(1)を変形させる。これにより、緩衝部(1)の変形に伴うブレード(30)の運動エネルギの減少が緩やかになる。その結果、ブレード(30)がストッパ(23)に衝撃的な力を加えることなく停止することとなる。
【0013】
第4の発明は、第2の発明において、上記突出部(2)は、上記筒部(23b)の内周面に沿って帯状に形成されると共に周方向に傾斜している。
【0014】
第4の発明では、突出部(2)が筒部(23b)の内周面に沿って帯状に形成されて周方向に傾斜しているため、ブレード(30)が進出すると、該ブレード(30)によって突出部(2)は連続的に削り取られていく。つまり、ブレード(30)は、進出に伴って連続的に緩衝部(1)を変形させる。これにより、緩衝部(1)の変形に伴うブレード(30)の運動エネルギの減少が緩やかになる。その結果、ブレード(30)がストッパ(23)に衝撃的な力を加えることなく停止することとなる。
【0015】
また、第4の発明では、突出部(2)が筒部(23b)の内周面に沿って帯状に形成されると共に周方向に傾斜しているため、ブレード(30)によって削り取られた突出部(2)の削り屑は、突出部(2)のブレード(30)進出方向側の隙間に入り込むこととなる。よって、削り屑によってブレード(30)の進出が阻害されることなく、円滑にブレード(30)が進出する。
【0016】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、上記突出部(2)は、上記壁部(23a)に近づくに従って突出高さが高くなるように構成されている。
【0017】
第6の発明は、第3又は第4の発明において、上記突出部(2)は、上記壁部(23a)に近づくに従って周方向の幅が広くなるように構成されている。
【0018】
第5及び第6の発明では、ブレード(30)が進出方向に進む程、該ブレード(30)が突出部(2)を削り取る力が大きくなる。つまり、ブレード(30)によってストッパ(23)に作用する力は、ブレード(30)の進出に伴って徐々に大きくなる。
【0019】
第7の発明は、第3乃至第6のいずれか1つの発明において、上記緩衝部(1)は、上記筒部(23b)の周方向に間隔を空けて配列された複数の上記突出部(2)によって構成されている。
【0020】
第7の発明では、緩衝部(1)は、筒部(23b)の周方向に間隔を空けて配列された複数の上記突出部(2)によって構成されている。そのため、ブレード(30)が突出部(2)を削りながら進出する際に、ブレード(30)を軸方向から横にずらす力が発生しない。そのため、ブレード(30)が円滑に進出する。
【0021】
第8の発明は、第3乃至第7のいずれか1つの発明において、上記ストッパ(23)は、上記筒部(23b)の軸方向に直交する断面において、該断面への上記ブレード(30)の垂直投影図と上記突出部(2)との重複部分の面積が、上記突出部(2)と隣る溝空間における上記ブレード(30)の垂直投影図と重複しない部分の面積よりも小さくなるように構成されている。
【0022】
第8の発明では、突出部(2)のブレード(30)によって削り取られた削り屑は、突出部(2)と隣る溝空間に収容される。ここで、上述のようにストッパ(23)を構成することにより、突出部(2)のブレード(30)によって削り取られる部分よりも削り屑を収容する空間の方が大きく形成される。これにより、削り屑は、溝空間を埋め尽くすことなく該溝空間に収容される。
【0023】
第9の発明は、第2乃至第8のいずれか1つの発明において、上記ブレード(30)は、上記通電用部材(12)を切断する金属製の切断部(31)と、該切断部(31)の上記進出方向に向かって後側に設けられた絶縁性部材からなる上記絶縁部(32)とを有し、該絶縁部(32)が上記切断部(31)によって切断された上記通電用部材(12)の切断面に接触するまで進出するように構成されている。
【0024】
第9の発明では、ブレード(30)が初期位置から所定の進出方向に進出すると、まず切断部(31)が通電用部材(12)を切断した後、該通電用部材(12)の切断面に絶縁部(32)が接触する。これにより、通電用部材(12)の2つの切断片が絶縁される。
【0025】
第10の発明は、第9の発明において、上記絶縁部(32)は、上記切断部(31)よりも大径に構成されている。
【0026】
第10の発明では、ブレード(30)の切断部(31)が突出部(2)を変形させた後、さらに大径の絶縁部(32)が筒部(23b)内の進出路を通過することとなる。これにより、ブレード(30)が壁部(23a)まで進出して該壁部(23a)に当接する際に、切断部(31)よりも大径の絶縁部(32)が突出部(2)にひっかかることによってブレード(30)の跳ね返りが阻止される。
【0027】
第11の発明は、第1乃至第10のいずれか1つの発明において、上記ストッパ(23)は、樹脂によって構成されている。
【0028】
第11の発明では、上記第1乃至第10の発明と同様に、通電用部材(12)を切断した後のブレード(30)は、ストッパ(23)の緩衝部(1)に当接して該緩衝部(1)を変形させる。このとき、ブレード(30)の運動エネルギは、緩衝部(1)の変形に伴って徐々に減少する。そのため、ブレード(30)は、ストッパ(23)に衝撃的な力を加えることなく停止する。
【発明の効果】
【0029】
第1の発明によれば、ストッパ(23)が、通電用部材(12)を切断した後のブレード(30)と当接して変形するように構成された緩衝部(1)を有している。このようにストッパ(23)を構成してブレード(30)の運動エネルギを変形エネルギに転換することにより、ストッパ(23)がブレード(30)を受け止める際に、ブレード(30)によってストッパ(23)に衝撃的な力が加わることを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0030】
なお、ここで、「破損」とは、ストッパ(23)がブレードを受け止める機能を満足できなくなる程度に損傷することを意味する。以下においても同様である。
【0031】
また、第2の発明によれば、通電用部材(12)を切断した後のブレード(30)と当接して変形するストッパ(23)の緩衝部(1)を容易に構成することができる。
【0032】
ところで、ブレード(30)がストッパ(23)の壁部(23a)まで進出して該壁部(23a)に当接して大きく跳ね返ると、ブレード(30)が通電用部材(12)の切断面の間の位置まで戻ってしまい、ブレード(30)を介して切断後の通電用部材(12)に再度電気が流れてしまうおそれがある。
【0033】
しかしながら、第2の発明によれば、ブレード(30)が突出部(2)を削りながら進むことにより、ブレード(30)とストッパ(23)の内周面は圧入状態になる。これにより、ブレード(30)が壁部(23a)まで進出して該壁部(23a)に当接する際に、ブレード(30)の跳ね返りを抑制することができる。従って、ブレード(30)が通電用部材(12)を切断した後に、ブレード(30)が跳ね返って通電用部材(12)の切断面間の位置まで移動して再度通電してしまうことを防止することができる。
【0034】
また、第3の発明によれば、突出部(2)を筒部(23b)の内周面に沿って該筒部(23b)の軸方向に長く形成することにより、ブレード(30)の進出に伴って該ブレード(30)の運動エネルギを緩やかに減少させることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損をより防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0035】
また、第4の発明によれば、突出部(2)が筒部(23b)の内周面に沿って帯状に形成されると共に周方向に傾斜している。そのため、ブレード(30)の進出に伴って該ブレード(30)の運動エネルギを緩やかに減少させることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損をより防止することができる。また、突出部(2)を上述のように構成することにより、ブレード(30)によって削り取られた突出部(2)の削り屑は、突出部(2)のブレード(30)進出方向側の隙間に入り込み、ブレード(30)の進出を阻害しない。これにより、ブレード(30)のひっかかりを防止することができるため、ストッパ(23)に衝撃的な力が作用することを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0036】
また、第5の発明によれば、突出部(2)を、壁部(23a)に近づくに従って突出高さが高くなるように構成したため、ブレード(30)の進出に伴ってブレード(30)によってストッパ(23)に作用する力を徐々に大きくすることができる。これにより、ブレード(30)がストッパ(23)に当接する際に衝撃的な力がストッパ(23)に作用することを防止しつつ、ブレード(30)を確実に受け止めることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0037】
また、第6の発明によれば、突出部(2)を、壁部(23a)に近づくに従って周方向の幅が広くなるように構成したため、ブレード(30)の進出に伴ってブレード(30)によってストッパ(23)に作用する力を徐々に大きくすることができる。これにより、ブレード(30)がストッパ(23)に当接する際に衝撃的な力がストッパ(23)に作用することを防止しつつ、ブレード(30)を確実に受け止めることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0038】
また、第7の発明によれば、緩衝部(1)を、筒部(23b)の周方向に間隔を空けて配列された複数の突出部(2)によって構成したため、ブレード(30)が突出部(2)を削りながら進出する際に、ブレード(30)を軸方向から横にずらす力を発生させることなく、ブレード(30)を円滑に進出させることができる。これにより、ブレード(30)のひっかかりを防止することができるため、ストッパ(23)に衝撃的な力が作用することを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0039】
また、第8の発明によれば、突出部(2)のブレード(30)によって削り取られる部分よりも削り屑を収容する空間の方が大きくなるようにストッパ(23)を構成することにより、溝空間が削り屑によって埋め尽くされることを防止することができる。溝空間が削り屑によって埋め尽くされるとブレード(30)が突出部(2)を削り取る際の力が変化してしまうため、ブレード(30)が円滑に進出しないおそれがあるが、上述のように構成することによってブレード(30)を円滑に進出させることができる。これにより、ブレード(30)のひっかかりを防止することができるため、ストッパ(23)に衝撃的な力が作用することを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0040】
また、第9の発明によれば、ブレード(30)の進出後に金属製の切断部(31)ではなく絶縁性部材からなる絶縁部(32)が通電用部材(12)の切断面に接触するため、切断後の通電用部材(12)に電気が流れることを確実に阻止することができる。
【0041】
ところで、ブレード(30)がストッパ(23)の壁部(23a)まで進出して該壁部(23a)に当接して大きく跳ね返ると、金属製の切断部(31)が通電用部材(12)の切断面の間の位置まで戻ってしまい、切断部(31)を介して切断後の通電用部材(12)に電気が流れてしまうおそれがある。
【0042】
しかしながら、第10の発明によれば、ブレード(30)の切断部(31)の進出方向の後側に設けられた絶縁部(32)を、切断部(31)よりも大径に構成することにより、ブレード(30)の先端がストッパ(23)の壁部(23a)に当接する際の跳ね返りを阻止することができる。従って、切断後の通電用部材(12)に電気が流れることを防止することができる。
【0043】
また、第11の発明によれば、ストッパ(23)が、ブレード(30)の運動エネルギを徐々に低下させてブレード(30)の進出を停止するように構成されているため、金属等に比べて剛性の低い樹脂によってストッパ(23)を構成しても、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本実施形態1に係る切断装置の平面断面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿う側面断面図である。
【図3】図3は、図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4は、本実施形態1に係る切断装置の外観構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、本実施形態1に係る切断装置の内部構造を示す斜視図である。
【図6】図6は、本実施形態1に係るブレード及びハーネスを示す斜視図である。
【図7】図7は、本実施形態1に係るブレードを示す斜視図である。
【図8】図8は、本実施形態1に係るストッパの断面図である。
【図9】図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図10は、本実施形態1に係るストッパの構成を説明するための図である。
【図11】図11(A)乃至(D)は、本実施形態1に係る切断装置のブレードの動作を示す模式図であり、(A)はブレードがハーネスを切断する前の様子を示し、(B)はブレードがハーネスを切断した直後の様子を示し、(C)はブレードが緩衝部を変形させる際の様子を示し、(D)はブレードが停止する際の様子を示している。
【図12】図12は、本実施形態1の変形例1に係るストッパの断面図である。
【図13】図13は、本実施形態1の変形例2に係るストッパの断面図である。
【図14】図14は、本実施形態1の変形例3に係るストッパの断面図である。
【図15】図15は、本実施形態1の変形例4に係るストッパの断面図である。
【図16】図16は、本実施形態2に係るブレーカを示す概略構成図である。
【図17】図17は、本実施形態3に係る接触器を示す概略構成図である。
【図18】図18は、本実施形態4に係る電気回路遮断器を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
〈発明の実施形態1〉
図1〜図5に示すように、本実施形態1に係る切断装置(10)は、ガス発生剤の反応により発生した高圧ガスを用いてブレード(30)を進出させることによって、本発明に係る通電用部材を構成するハーネス(12)を切断するように構成されている。この切断装置(10)は、高圧ガスを発生させるためのガス発生剤として火薬を用いている。
【0047】
具体的には、上記切断装置(10)は、図1及び図5に示すように、ケース(11)を備え、該ケース(11)の内部に、ストッパ(23)と内筒(24)とブレード(30)とガス発生部(35)とが収容されている。
【0048】
なお、図1は切断装置(10)の平面断面図であり、図2は図1のII−II線に沿う側面断面図であり、以下では説明の便宜上、図2における左右方向の左側を「前側」、右側を「後側」と称し、図2における上下方向の上側を「上側」、下側を「下側」と称して説明する。また、図2における紙面に直交する方向の手前側を「左側」、奥側を「右側」と称して説明する。
【0049】
図1、図2、図4及び図5に示すように、上記ケース(11)は、箱状に形成された樹脂ケース(20)と筒状に形成された金属ケース(27)とを備えている。該金属ケース(27)の前側部分は樹脂ケース(20)内の後述する挿通孔(21)に収容されている。
【0050】
上記樹脂ケース(20)は、例えばPC(ポリカーボネート)等の樹脂によって形成されている。上記樹脂ケース(20)を構成する樹脂材料は、これに限られず、プラスチック等を含む樹脂材料であればよい。また、上記樹脂ケース(20)は、略直方体形状に形成された土台部(13)と、該土台部(13)の下面(13a)及び後面(13b)以外の面を一体的に覆うカバー部(14)とを有している。
【0051】
上記土台部(13)は、上面(13c)に断面が半円形状の溝(21a)が形成されている。該溝(21a)は、土台部(13)の後面(13b)から前面(13d)に向かって延び、後面(13b)のみに開口するように構成されている。
【0052】
上記カバー部(14)は、土台部(13)の上面(13c)、前面(13d)、左面(13e)及び右面(13f)を覆うように構成されている。カバー部(14)の土台部(13)の上面(13c)との対向面(14a)には、土台部(13)の溝(21a)に対応する溝(21b)が形成されている。該溝(21b)は、カバー部(14)の後面(14b)から前面(14c)に向かって延び、後面(14b)のみに開口するように構成されている。
【0053】
このような構成により、樹脂ケース(20)の内部には、上記土台部(13)の溝(21a)と上記カバー部(14)の溝(21b)とによって、樹脂ケース(20)の後端面に開口する略円柱形状の挿通孔(21)が形成される。該挿通孔(21)には、前端から後端に向かって、上記ストッパ(23)、内筒(24)及び金属ケース(27)の前側部分が収容されている。
【0054】
また、樹脂ケース(20)には、ハーネス(12)を設置するための設置孔(22)が土台部(13)とカバー部(14)とに跨って形成されている。該設置孔(22)は、挿通孔(21)の軸心を含む鉛直面に関して対称な形状に形成されている。具体的には、設置孔(22)は、挿通孔(21)の前後方向の中央部から左右方向にそれぞれ延びた後、後方向きに折れ曲がり、その後さらに下方向きに折れ曲がって土台部(13)の下面(13a)まで延びている。また、設置孔(22)は、挿通孔(21)から左右方向に延びて後方に折れ曲がったところまでが幅の狭い幅狭部(22a)に構成され、その後下方向きに延びる部分は幅狭部(22a)よりも幅の広い幅広部(22b)に構成されている。
【0055】
上記設置孔(22)に設置されるハーネス(12)は長板状に形成され、図3、図5及び図6に示すように、略U字形状に折り曲げ形成された幅狭部(12a)と、該幅狭部(12a)の両端にそれぞれ連続する2つの幅広部(12b)とを有している。2つの幅広部(12b)は、それぞれ略L字状の板状片となるように構成されている。ハーネス(12)の一部は、上記樹脂ケース(20)の設置孔(22)において、幅狭部(12a)が設置孔(22)の幅狭部(22a)に位置し、幅広部(12b)の一部が設置孔(22)の幅広部(22b)に位置するように設置されている。
【0056】
また、図1に示すように、樹脂ケース(20)には、挿通孔(21)と設置孔(22)とを連通する排出通路(28)が土台部(13)とカバー部(14)とに跨って形成されている。該排出通路(28)は、後述するガス発生部(35)によってブレード(30)を進出させるために生成された高圧ガスを排出する排ガス路の一部を構成する。排出通路(28)は、一端が設置孔(22)の幅狭部(22a)の後方側において挿通孔(21)に連通し、他端が設置孔(22)の幅広部(22b)に連通するように形成されている。
【0057】
さらに、樹脂ケース(20)には、挿通孔(21)の前端から空気を排出するための排気孔(29)が形成されている。該排気孔(29)は、挿通孔(21)の前端の中央部から前方に向かって延びた後、下方向きに折れ曲がって土台部(13)の下面(13a)まで延びている。
【0058】
上記ストッパ(23)は、進出したブレード(30)を受け止めて停止させるためのものである。ストッパ(23)は、挿通孔(21)の前端部に配置され、樹脂材料によって有底円筒形状に形成されている。具体的には、ストッパ(23)は、円板状の底部(23a)と円筒状の筒部(23b)とを有し、挿通孔(21)の前端部において底部(23a)が筒部(23b)よりも前方に位置するように配置されている。底部(23a)の中央部には、上記樹脂ケース(20)の排気孔(29)に連通する孔(23c)が形成されている。なお、ストッパ(23)の詳細な構造については後述する。
【0059】
上記内筒(24)は、挿通孔(21)において上記ストッパ(23)の後方に配置されて、ハーネス(12)を支持するためのものである。内筒(24)は、第1内筒部材(25)と第2内筒部材(26)とで構成され、両部材(25,26)でハーネス(12)を挟持している。
【0060】
上記第1内筒部材(25)は、セラミックスによって略円筒状に形成され、挿通孔(21)のストッパ(23)の後方において、ストッパ(23)と同軸となるように配置されている。第1内筒部材(25)は、ブレード(30)が挿通可能な内径に構成されている。
【0061】
上記第2内筒部材(26)は、樹脂材料によって略円筒状に形成され、挿通孔(21)の第1内筒部材(25)の後方において、第1内筒部材(25)と同軸となるように配置されている。第2内筒部材(26)は、内径が第1内筒部材(25)の内径と概ね等しくなるように構成されている。また、第2内筒部材(26)は、後側部分が前側部分よりも肉薄に構成されて外径が小さくなっている。第2内筒部材(26)の前側部分には、ハーネス(12)を挿通するための2つの切り欠き(26a)が形成されている。2つの切り欠き(26a)は、上記樹脂ケース(20)の設置孔(22)に対応する位置に形成されている。各切り欠き(26a)は、第2内筒部材(26)の外周縁から内周縁に向かって延び、断面がハーネス(12)の矩形断面よりも僅かに大きな矩形断面となるように形成されている。また、第2内筒部材(26)の肉薄の後側部分の外周面には、環状の溝が形成され、該溝にはOリング(26b)が設置されている。
【0062】
このように、内筒(24)では、絶縁部材である第1内筒部材(25)、及び第2内筒部材(26)がハーネス(12)を両側から挟み込むことで、ハーネス(12)を支持している。
【0063】
上記金属ケース(27)は、金属材料によって略円筒状に形成され、前側部分が挿通孔(21)に収容される一方、後側部分は樹脂ケース(20)から露出している。金属ケース(27)の前側部分は、挿通孔(21)の第2内筒部材(26)の後方において、第2内筒部材(26)と同軸となるように配置されている。また、金属ケース(27)は、前端部が第2内筒部材(26)の肉薄の後側部分に外嵌されている。第2内筒部材(26)の後側部分と該後側部分に外嵌された金属ケース(27)の前端部との間は、上記Oリング(26b)によってシールされている。また、金属ケース(27)の前端部には貫通孔(27a)が形成されている。該貫通孔(27a)は、上記樹脂ケース(20)の排出通路(28)と対応する位置に形成され、金属ケース(27)の前端部と第2内筒部材(26)の後端面との間の隙間に連通している。金属ケース(27)の前側部分であって上記前端部以外の部分は、内径が第2内筒部材(26)の内径と概ね等しくなるように構成されている。
【0064】
以上のように、挿通孔(21)に収容されたストッパ(23)、内筒(24)及び金属ケース(27)によって、その内部に略円柱状の通路(17)が形成され、該円柱通路(17)の一部が本発明に係るブレード(30)の進出路を構成している。また、上記円柱通路(17)は、前端部はストッパ(23)の底部(23a)によって閉塞される一方、後端部は上記金属ケース(27)の内部に収容されたガス発生部(35)によって閉塞されている。上記円柱通路(17)には、上記設置孔(22)に収容されたハーネス(12)の幅狭部(12a)の一部が露出すると共に、該露出部分と上記ガス発生部(35)との間にブレード(30)が収容されている。
【0065】
上記ガス発生部(35)は、ブレード(30)を進出させてハーネス(12)を切断させるための高圧ガスを発生させるものである。ガス発生部(35)は、ガス発生剤としての火薬と、該火薬を起爆するための発火部(37)と、該発火部(37)を保持して上記円柱通路(17)の後端部を閉塞する蓋部材(39)とを備えている。
【0066】
蓋部材(39)は、略円筒状に形成されて金属ケース(27)に内嵌された筒部(39a)と、上記発火部(37)を保持すると共に筒部(39a)の中途部を閉塞する閉塞部(39b)とを有している。筒部(39a)及び閉塞部(39b)は、金属材料によって一体に形成されている。閉塞部(39b)によって、上記円柱通路(17)内のブレード(30)の後方には閉空間が形成され、該閉空間は上記火薬が充填されたガス発生室(36)を構成している。
【0067】
発火部(37)は、雷管によって構成され、起爆薬を有する前端部が上記ガス発生室(36)内に露出するように蓋部材(39)の閉塞部(39b)に保持されている。
【0068】
このような構成により、発火部(37)によってガス発生室(36)内の火薬が爆発すると、ガス発生室(36)内で高圧ガスが発生し、該高圧ガスがガス発生室(36)内の圧力を上昇させることによってブレード(30)を前方に進出させる。
【0069】
上記ブレード(30)は、高圧ガスを受けて上記円柱通路(17)内を前方に進出してハーネス(12)を切断するためのものである。ブレード(30)は、図6及び図7に示すように、金属材料(例えば、鋼材)によって形成された切断部(31)と、該切断部(31)を取り付けるプッシャー(32)とを備えている。
【0070】
上記プッシャー(32)は、ブレード(30)を保持すると共に、上記ガス発生室(36)において発生した高圧ガスの圧力を受けて切断部(31)を前方に進出させるものである。プッシャー(32)は、樹脂材料によって略円柱状に形成され、上記円柱通路(17)のガス発生部(35)の前方に収容されている。プッシャー(32)は、後述する切断部(31)よりも僅かに大径に形成され、本発明に係る絶縁部を構成している。
【0071】
上記切断部(31)は、プッシャー(32)の前端部に取り付けられ、刃部(31a)と、該刃部(31a)と一体に形成された一対のガイド部(31b,31b)とを有している。刃部(31a)は、肉厚の円板状の部材によって構成され、前面の上下方向中央部が後方に凹んだ形状に構成されている。一方、一対のガイド部(31b,31b)は、上記刃部(31a)の前面の上端部と下端部とから前方に突出する突起によって構成されている。一対のガイド部(31b,31b)は、刃部(31a)の前面からハーネス(12)を避けて該ハーネス(12)よりも前方に突出している。各ガイド部(31b,31b)の内面はハーネス(12)の側面に沿う形状に形成される一方、外面は円柱通路(17)を形成する壁面に沿う形状に形成されている。また、刃部(31a)の前面の外縁部であって一対のガイド部(31b,31b)によって挟まれる部分が、ハーネス(12)を切断する刃先部に構成されている。
【0072】
〈ストッパ〉
上述のように、図8及び図9に示すように、本発明に係るストッパ(23)は、底部(23a)と、筒部(23b)と、本発明に係る緩衝部(1)とを有している。
【0073】
底部(23a)は円板状に形成されている。筒部(23b)は、上記底部(23a)の外周縁部から後方に突出している。また、筒部(23b)は、内径がブレード(30)よりも大径になるように形成され、ブレード(30)が進出する進出路の一部を形成している。
【0074】
緩衝部(1)は、ハーネス(12)を切断した後のブレード(30)と当接して変形するように構成されている。緩衝部(1)は、実施形態1では、筒部(23b)から径方向内側に突出する8つの突出部(2)によって構成されている。8つの突出部(2)は、同形状に形成されて周方向に略等間隔に配列されている。
【0075】
各突出部(2)は、底部(23a)及び筒部(23b)と共に樹脂材料によって一体に形成されている。また、各突出部(2)は、筒部(23b)の内周面に沿って該筒部(23b)の後端部から底部(23a)に向かって軸方向に長く形成されている。各突出部(2)は、突出高さが筒部(23b)の内周半径Rからブレード(30)の切断部(31)の外周半径rを減じた値の2倍程度となるように構成されている。隣り合う各突出部(2)の間には、軸方向に延びる溝(3)が形成されている。
【0076】
また、ストッパ(23)は、図10に示すように、筒部(23b)の軸方向に直交する断面において、該断面へのブレード(30)の垂直投影図と8つの突出部(2)との重複部分(図10における塗り潰し部分)の面積が、8つの突出部(2)と隣る8つの溝空間におけるブレード(30)の垂直投影図と重複しない部分(図10における斜線部分)の面積よりも小さくなるように構成されている。つまり、ストッパ(23)は、筒部(23b)の軸方向に直交する断面において、突出部(2)のブレード(30)によって削り取られる部分よりも削り屑が収容される空間の方が面積が大きくなるように構成されている。
【0077】
−切断装置の動作−
本実施形態1の切断装置(10)は、例えば工場などの電気機器のハーネス(12)が第1内筒部材(25)と第2内筒部材(26)との間を通るように、設置孔(22)に挿通されて設置される。ハーネス(12)は、第1内筒部材(25)及び第2内筒部材(26)に挟まれて支持される。
【0078】
上記切断装置(10)は、発火部(37)が火災報知器や地震警報機などに接続された状態で設置される。発火部(37)には、火災報知器が火災を感知したときや、地震警報機が地震を感知したときに、警告信号が入力される。警告信号が入力されると、発火部(37)はガス発生室(36)内の火薬を爆発させる。
【0079】
図11(A)〜(D)に示すように、火薬が爆発すると、爆発に伴って高圧ガスが発生することでガス発生室(36)の圧力が上昇し、ブレード(30)には前方への推力が与えられる。これにより、ブレード(30)が前方に進出して、切断部(31)の刃部(31a)がハーネス(12)を瞬時に切断する(図11(A)及び(B)参照)。
【0080】
ここで、ブレード(30)が前進する際、円柱通路(17)内のブレード(30)の前方の空気は、ストッパ(23)の底部(23a)の孔(23c)及び樹脂ケース(20)の排気孔(29)によって構成される排気路を通って切断装置(10)の外部へ排出される(図1及び図2参照)。これにより、ブレード(30)の進出によってブレード(30)前方の空気が圧縮されてブレード(30)の進出を阻害することがないため、ブレード(30)が円滑に進出することとなる。
【0081】
ブレード(30)は、ハーネス(12)を切断した後、さらに前方に進出してストッパ(23)の各突出部(2)に当接する(図11(C)参照)。各突出部(2)は樹脂材料によって構成されているため、ブレード(30)が当接することによって変形する。具体的には、各突出部(2)は、ブレード(30)が前方に進出することによって削り取られていく。つまり、ブレード(30)の運動エネルギが、各突出部(2)を変形させる変形エネルギに転換され、各突出部(2)が変形する。
【0082】
ところで、本実施形態1では、各突出部(2)は、突出高さが筒部(23b)の内周半径Rからブレード(30)の切断部(31)の外周半径rを減じた値の2倍程度となるように構成されている。そのため、切断部(31)は、各突出部(2)の内側半分程度を削り取る。また、削り屑は、切断部(31)の外周面と筒部(23b)の内周面との間であって、各突出部(2)間に形成された溝(3)内の空間に収容されるため、ブレード(30)の前方に溜まって該ブレード(30)を詰まらせない。また、ストッパ(23)は、削り屑によって溝(3)内の空間が埋め尽くされないように、突出部(2)のブレード(30)によって削り取られる部分よりも削り屑が収容される空間の方が大きくなるように構成されている。そのため、ブレード(30)は、削り屑によって進出を阻害されることなく、円滑に進出する。
【0083】
このようにブレード(30)が本発明に係る緩衝部(1)を構成する8つの突出部(2)を塑性変形させながら進むことにより、運動エネルギが徐々に減少することとなる。そして、やがてブレード(30)はストッパ(23)の底部(23a)に当接して停止する(図11(D)参照)。
【0084】
なお、ブレード(30)は、停止位置においてプッシャー(32)がハーネス(12)の切断箇所に接触するように構成されている。そのため、切断されたハーネス(12)が切断部(31)を介して再び通電されることが阻止される。
【0085】
また、ブレード(30)は、切断部(31)の後方のプッシャー(32)が切断部(31)よりも僅かに大径になるように形成されている。そのため、ブレード(30)がストッパ(23)の底部(23a)まで進出して該底部(23a)に当接する際に、切断部(31)よりも大径のプッシャー(32)が突出部(2)にひっかかることによってブレード(30)の跳ね返りが阻止される。
【0086】
また、ブレード(30)の前進後、ブレード(30)の後方のガス発生室(36)に充満するガスは、金属ケース(27)の前端部と第2内筒部材(26)の後端面との間の隙間、金属ケース(27)の貫通孔(27a)及び樹脂ケース(20)の排出通路(28)によって構成される排ガス路を通って切断装置(10)の外部へ排出される(図1参照)。よって、ガス発生室(36)内の火薬の燃えかすや生成物等の導電性物質を含むガスがハーネス(12)側に進出して切断面に導電性物質が付着して放電が生じることを防止することができる。
【0087】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、ストッパ(23)が、底部(23a)の後方に設けられてハーネス(12)を切断した後のブレード(30)と当接して変形するように構成された緩衝部(1)を有している。このようにストッパ(23)を構成してブレード(30)の運動エネルギを変形エネルギに転換することにより、ストッパ(23)がブレード(30)を受け止める際に、ブレード(30)によってストッパ(23)に衝撃的な力が加わることを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0088】
また、上記実施形態1によれば、ストッパ(23)の筒部(23b)の内周面から径方向内側に突出する突出部(2)によって緩衝部(1)を構成している。これにより、ハーネス(12)を切断した後のブレード(30)は、突出部(2)に当接して該突出部(2)を削り取ることによって該突出部(2)を変形させる。その結果、ブレードの運動エネルギが徐々に減少して、ブレードがストッパに衝撃的な力を加えることなく停止することとなる。このように緩衝部(1)を突出部(2)によって構成することにより、ストッパ(23)の緩衝部(1)を容易に構成することができる。
【0089】
また、上記実施形態1によれば、ストッパ(23)の緩衝部(1)を構成する各突出部(2)を筒部(23b)の内周面に沿って該筒部(23b)の軸方向に長く形成することにより、ブレード(30)の進出に伴って該ブレード(30)の運動エネルギを緩やかに減少させることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損をより防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0090】
また、上記実施形態1によれば、緩衝部(1)を、筒部(23b)の周方向に略等間隔に配列された8つの突出部(2)によって構成したため、ブレード(30)が突出部(2)を削りながら進出する際に、ブレード(30)を軸方向から横にずらす力が発生しない。そのため、ブレード(30)を円滑に進出させることができる。これにより、ブレード(30)のひっかかりを防止することができるため、ストッパ(23)に衝撃的な力が作用することを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0091】
なお、複数の突出部(2)は、等間隔に配列されることが好ましいが、各突出部(2)の間隔が異なっていてももちろんよい。各突出部(2)の間隔が異なっていても、緩衝部(1)が複数の突出部(2)によって構成されることにより、上述のように、ブレード(30)が突出部(2)を削りながら進出する際に、ブレード(30)を軸方向から横にずらす力が発生し難くなり、ブレード(30)を円滑に進出させることができる。
【0092】
また、上記実施形態1によれば、突出部(2)のブレード(30)によって削り取られる部分よりも削り屑を収容する空間の方が大きくなるようにストッパ(23)を構成することにより、溝空間が削り屑によって埋め尽くされることを防止することができる。溝空間が削り屑によって埋め尽くされるとブレード(30)が突出部(2)を削り取る際の力が変化してしまうため、ブレード(30)が円滑に進出しないおそれがあるが、上述のように構成することによってブレード(30)を円滑に進出させることができる。これにより、ブレード(30)のひっかかりを防止することができるため、ストッパ(23)に衝撃的な力が作用することを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0093】
また、上記実施形態1によれば、ブレード(30)は、切断部(31)の後方に絶縁性部材の樹脂からなるプッシャー(32)が設けられ、ハーネス(12)を切断した後、該ハーネス(12)の切断面にプッシャー(32)が接触するまで進出するように構成されている。そのため、ブレード(30)の進出後に金属製の切断部(31)がハーネス(12)の切断面に接触することがなく、切断後のハーネス(12)に電気が流れることを確実に阻止することができる。
【0094】
ところで、ブレード(30)がストッパ(23)の底部(23a)まで進出して該底部(23a)に当接して大きく跳ね返ると、金属製の切断部(31)がハーネス(12)の切断面の間の位置まで戻ってしまい、切断部(31)を介して切断後のハーネス(12)に電気が流れてしまうおそれがある。
【0095】
しかしながら、上記実施形態1によれば、ブレード(30)の切断部(31)の後方に設けられたプッシャー(32)が切断部(31)よりも大径に構成されているため、ブレード(30)が底部(23a)まで進出して該底部(23a)に当接する際に、切断部(31)よりも大径のプッシャー(32)が突出部(2)にひっかかることによってブレード(30)の跳ね返りを阻止することができる。従って、切断後のハーネス(12)に電気が流れることを防止することができる。
【0096】
また、上記実施形態1では、金属等に比べて剛性の低い樹脂によってストッパ(23)を構成しているが、上述のようにストッパ(23)を構成することにより、ストッパ(23)がブレード(30)を受け止める際に、ブレード(30)によってストッパ(23)に衝撃的な力が加わることを防止することができる。よって、金属等に比べて剛性の低い樹脂によってストッパ(23)を構成することとしても、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0097】
−実施形態1の変形例1−
図12に示すように、実施形態1の変形例1に係る切断装置(10)は、実施形態1に係る切断装置(10)とは、ストッパ(23)の構成が異なっている。具体的には、本変形例1に係る切断装置(10)では、ストッパ(23)の緩衝部(1)を構成する8つの突出部(2)は、筒部(23b)の内周面に沿って帯状に形成されると共に周方向に傾斜している。これにより、隣り合う各突出部(2)の間に形成される溝(3)は、軸方向ではなく筒部(23b)の内周面に沿って周方向に傾斜した方向に長く形成されることとなる。つまり、実施形態1とは異なり、各突出部(2)の前方、即ちブレード(30)進出方向側に溝(3)が形成されることとなる。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0098】
このように各突出部(2)を形成することにより、各突出部(2)のブレード(30)によって削り取られた削り屑が溝(3)に入り込み易くなる。よって、各突出部(2)のブレード(30)によって削り屑によってブレード(30)の進出が阻害されない。これにより、ブレード(30)のひっかかりを防止することができるため、ストッパ(23)に衝撃的な力が作用することを防止することができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0099】
−実施形態1の変形例2−
図13に示すように、実施形態1の変形例2に係る切断装置(10)は、実施形態1に係る切断装置(10)とは、ストッパ(23)の構成が異なっている。具体的には、本変形例2に係る切断装置(10)では、ストッパ(23)の緩衝部(1)を構成する8つの突出部(2)が底部(23a)に近づくに従って突出高さが高くなるように構成されている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0100】
このような構成により、ブレード(30)が進出方向に進む程、該ブレード(30)が突出部(2)を削り取る力が大きくなる。これにより、ブレード(30)によってストッパ(23)に作用する力は、ブレード(30)の進出に伴って徐々に大きくなる。その結果、ブレード(30)がストッパ(23)に当接する際に衝撃的な力がストッパ(23)に作用することを防止しつつ、ブレード(30)を確実に受け止めることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0101】
−実施形態1の変形例3−
図14に示すように、実施形態1の変形例3に係る切断装置(10)は、実施形態1に係る切断装置(10)とは、ストッパ(23)の構成が異なっている。具体的には、本変形例2に係る切断装置(10)では、ストッパ(23)の緩衝部(1)を構成する8つの突出部(2)が底部(23a)に近づくに従って周方向の幅が広くなるように構成されている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0102】
このような構成により、ブレード(30)が進出方向に進む程、該ブレード(30)が突出部(2)を削り取る力が大きくなる。これにより、ブレード(30)によってストッパ(23)に作用する力は、ブレード(30)の進出に伴って徐々に大きくなる。その結果、ブレード(30)がストッパ(23)に当接する際に衝撃的な力がストッパ(23)に作用することを防止しつつ、ブレード(30)を確実に受け止めることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0103】
−実施形態1の変形例4−
図15に示すように、実施形態1の変形例4に係る切断装置(10)は、実施形態1に係る切断装置(10)とは、ストッパ(23)の構成が異なっている。具体的には、本変形例4に係る切断装置(10)では、ストッパ(23)の緩衝部(1)を構成する8つの突出部(2)のうち、4つの突出部(2)が実施形態1よりも軸方向に短く形成されている。軸方向に短く形成された4つの突出部(2)は、実施形態1の突出部(2)の軸方向長さの半分程度の長さに形成されている。長短2種類の突出部(2)は周方向に交互に設けられ、軸方向に短く形成された4つの突出部(2)は、筒部(23b)の軸方向の中央部から前側に位置するように設けられている。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0104】
このような構成により、ブレード(30)がストッパ(23)の筒部(23b)内に進出すると、まず、軸方向に長く形成された4つの突出部(2)と当接して該突出部(2)を変形させる。そして、ブレード(30)がさらに前進したところで、軸方向に短く形成された4つの突出部(2)と当接して該突出部(2)を変形させる。つまり、ブレード(30)が進出方向に進む程、該ブレード(30)と当接する突出部(2)の数が増加する。これにより、ブレード(30)によってストッパ(23)に作用する力は、ブレード(30)の進出に伴って徐々に大きくなる。その結果、ブレード(30)がストッパ(23)に当接する際に衝撃的な力がストッパ(23)に作用することを防止しつつ、ブレード(30)を確実に受け止めることができる。従って、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができる。よって、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0105】
〈発明の実施形態2〉
次に、本実施形態2について説明する。図16に示すように、本実施形態2は、本発明に係る切断装置(10)を備えたブレーカ(50)である。このブレーカ(50)は、樹脂製のケーシング(図示省略)に設けられた負荷側端子(55)及び電源側端子(54)と、負荷側端子(55)と電源側端子(54)とを接続するためのハーネス(12)により構成された端子間部材(51)とを備えている。
【0106】
上記端子間部材(51)は、負荷側端子(55)に接続された固定接触子(52)と、電源側端子(54)に接続された可動接触子(53)とを備えている。可動接触子(53)は、固定接触子(52)に接触する接触位置と、固定接触子(52)から離れた非接触位置との間で移動可能に設けられている。可動接触子(53)が接触位置に移動すると、可動接触子(53)の可動接点(53a)が固定接触子(52)の固定接点(52a)に接触する。
【0107】
さらに、ブレーカ(50)は、可動接触子(53)を手動で動かすためのリンク機構(58)と、異常電流時に可動接触子(53)を固定接触子(52)から引き離すためのトリップ機構(56)と、可動接触子(53)を固定接触子(52)から引き離すように可動接触子(53)を付勢する付勢バネ(60)とを備えている。リンク機構(58)は、ケーシングに取り付けられ、手動レバー(57)の操作によって可動接触子(53)を接触位置と非接触位置との間で移動させることができるように構成されている。トリップ機構(56)は、バイメタルによって構成され、可動接触子(53)と電源側端子(54)とを接続している。トリップ機構(56)は、過電流時(異常電流時)に熱変形し、その熱変形によってリンク機構(58)を動かして、可動接触子(53)を固定接触子(52)から引き離す。可動接触子(53)が固定接触子(52)から引き離されると、ブレーカ(50)は通電不能になる。
【0108】
さらに、ブレーカ(50)は、上述の切断装置(10)と、可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着したことを検出する溶着検出部(65)とを備えている。なお、切断装置(10)には、実施形態1及び後述するその他の実施形態の何れの切断装置(10)を用いてもよい。
【0109】
上記切断装置(10)は、端子間部材(51)を切断可能な位置に設けられている。具体的に、切断装置(10)は、端子間部材(51)の裏側(図16における下側)に設けられている。
【0110】
上記溶着検出部(65)は、例えば端子間部材(51)に接続され、端子間部材(51)の電流値に基づいて可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着しているか否かを検出するように構成されている。溶着検出部(65)には、切断装置(10)の発火部(37)が接続されている。溶着検出部(65)は、可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着していると判定すると、発火部(37)を作動させるように構成されている。
【0111】
本実施形態2では、溶着検出部(65)が可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着していると判定すると、発火部(37)が作動して火薬が爆発し、ブレード(30)が進出する。ブレード(30)は、端子間部材(51)を切断(破断)した後に、プッシャー(32)が端子間部材(51)の切断面に接触する状態で停止する。このため、端子間部材(51)の切断面の間が絶縁され、電源側端子(54)と負荷側端子(55)の間が通電不能になる。
【0112】
−実施形態2の効果−
本実施形態2では、切断装置(10)によって、電源側端子(54)と負荷側端子(55)の間を強制的に通電不能にすることが可能である。このため、例えば可動接触子(53)と固定接触子(52)が溶着した場合であっても、切断装置(10)によって電源側端子(54)と負荷側端子(55)の間を強制的に通電不能にすることで、負荷側の機器の故障を防止することができる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
【0113】
〈発明の実施形態3〉
次に、本実施形態3について説明する。図17に示すように、本実施形態3は、本発明に係る切断装置(10)を備えた接触器である。この接触器(70)は、図17に示すように、樹脂製のケーシング(86)に設けられた負荷側端子(75)及び電源側端子(74)と、負荷側端子(75)と電源側端子(74)とを接続するためのハーネス(12)により構成された端子間部材(71)とを備えている。
【0114】
上記端子間部材(71)は、負荷側端子(75)に接続された第1固定接触子(68)と、電源側端子(74)に接続された第2固定接触子(69)と、後述する可動鉄心(81)に連結された可動接触子(73)とを備えている。上記可動接触子(73)は、一対の固定接触子(68,69)に接触する接触位置と、一対の固定接触子(68,69)から離れた非接触位置との間で移動可能に設けられている。可動接触子(73)が接触位置に移動すると、可動接触子(73)の一端の可動接点(73a)が第1固定接触子(68)の第1固定接点(68a)に接触すると共に、可動接触子(73)の他端の可動接点(73b)が第2固定接触子(69)の第2固定接点(69a)に接触する。
【0115】
さらに、接触器(70)は、可動接触子(73)を接触位置と非接触位置の間で動かすための移動機構(76)を備えている。この移動機構(76)は、可動鉄心(81)と固定鉄心(82)と励磁コイル(83)と巻枠(84)とを備えている。固定鉄心(82)はケーシング(86)の底面に固定されている。可動鉄心(81)は、固定鉄心(82)の上側に対面するように設けられている。励磁コイル(83)は巻枠(84)に巻かれている。可動鉄心(81)と巻枠(84)との間には、非通電時に可動鉄心(81)と固定鉄心(82)とを離間させるための一対の復帰バネ(79)が設けられている。
【0116】
上記移動機構(76)は、外部からの信号によって励磁コイル(83)が通電されると、固定鉄心(82)が励磁されて可動鉄心(81)を引き寄せるように構成されている。可動鉄心(81)から固定鉄心(82)が離れると、接触器(70)は通電状態になる。一方、移動機構(76)は、外部からの信号によって励磁コイル(83)の通電が停止されると、復帰バネ(79)によって可動鉄心(81)が固定鉄心(82)から離れるように構成されている。可動鉄心(81)が固定鉄心(82)に引き寄せられると、接触器(70)は非通電状態になる。
【0117】
さらに、接触器(70)は、上述の切断装置(10)と、上記実施形態2と同様の構成の溶着検出部(65)とを備えている。なお、切断装置(10)には、上記実施形態1、及び後述するその他の実施形態の何れの切断装置(10)を用いてもよい。
【0118】
上記切断装置(10)は、端子間部材(71)を切断可能な位置に設けられている。具体的に、切断装置(10)は、進出前のブレード(30)の切断部(31)が可動接触子(73)の前面に対面するように設けられている。
【0119】
本実施形態3では、溶着検出部(65)が可動接点(73a,73b)と固定接点(68a,69a)とが溶着していると判断すると、発火部(37)が作動して火薬が爆発し、ブレード(30)が進出する。ブレード(30)は、可動接触子(73)を切断する。この状態では、プッシャー(32)が可動接触子(73)の切断面に接触している。つまり、ブレード(30)は、プッシャー(32)が可動接触子(73)の切断面に接触するまで進出する。
【0120】
−実施形態3の効果−
本実施形態3では、切断装置(10)によって、電源側端子(74)と負荷側端子(75)の間を強制的に通電不能にすることが可能である。このため、例えば可動接触子(73)と固定接触子(68,69)が溶着した場合であっても、切断装置(10)によって電源側端子(74)と負荷側端子(75)との間を強制的に通電不能にすることで、負荷側の機器の故障を防止することができる。
【0121】
〈発明の実施形態4〉
次に、本実施形態4について説明する。図18に示すように、本実施形態4は、本発明に係る切断装置(10)を備えた電気回路遮断器(90)である。この電気回路遮断器(90)は、ブレーカ(50)と接触器(70)と樹脂製のケーシング(91)とを備えている。なお、ブレーカ(50)と接触器(70)についての説明は省略する。
【0122】
上記ケーシング(91)には、ブレーカ(50)が配置されたブレーカ配置室(88)と、接触器(70)が配置された接触器配置室(89)が障壁を挟んで形成されている。また、ケーシング(91)には、負荷側端子(95)及び電源側端子(94)と、ブレーカ(50)と接触器(70)と接続する接続用部材(92)とが設けられている。接続用部材(92)は、ハーネス(12)により構成されている。
【0123】
上記負荷側端子(95)は、接触器(70)の第1固定接触子(68)に接続されている。電源側端子(94)は、ブレーカ(50)の可動接触子(53)に接続されている。また、接続用部材(92)の一端は、接触器(70)の第2固定接触子(69)に接続されている。接続用部材(92)の他端は、ブレーカ(50)の固定接触子(52)に接続されている。
【0124】
さらに、電気回路遮断器(90)は、上述の切断装置(10)と、上記実施形態2と同様の溶着検出部(65)とを備えている。なお、切断装置(10)には、上記実施形態1及び後述するその他の実施形態の何れの切断装置を用いてもよい。
【0125】
上記切断装置(10)は、接続用部材(92)を切断可能な位置に設けられている。具体的に、切断装置(10)は、進出前のブレード(30)の切断部(31)が接続用部材(92)の前面に対面するよう設けられている。
【0126】
本実施形態4では、ブレーカ(50)において可動接触子(53)と固定接触子(52)が溶着していると判定したり、接触器(70)において可動接触子(73)と固定接触子(68,69)が溶着していると判定した場合に、溶着検出部(65)が発火部(37)を作動させて、ブレード(30)が進出し、ブレード(30)は、接続用部材(92)を切断(破断)する。この状態では、プッシャー(32)が接続用部材(92)の切断面に接触している。つまり、ブレード(30)は、プッシャー(32)が接続用部材(92)の切断面に接触するまで進出する。
【0127】
−実施形態4の効果−
本実施形態4では、切断装置(10)によって接続用部材(92)を切断して、電源側端子(94)と負荷側端子(95)の間を通電不能にすることが可能である。このため、例えばブレーカ(50)や接触器(70)で溶着が生じた場合であっても、切断装置(10)によって電源側端子(94)と負荷側端子(95)の間を通電不能にすることで、負荷側の機器の故障を防止することができる。
【0128】
〈その他の実施形態〉
上記各実施形態では、ストッパ(23)を樹脂材料で構成したが、ストッパ(23)を構成する材料はこれに限られない。
【0129】
また、上記各実施形態では、ストッパ(23)の緩衝部(1)を8つの軸方向に延びる突出部(2)によって構成することとしていたが、突出部(2)の数及び形状はこれに限られない。例えば、周方向及び軸方向に複数個配列した突起状の突出部(2)によって緩衝部(1)を構成してもよい。また、緩衝部(1)は、例えば、ストッパ(23)の筒部(23b)の内壁面に沿って螺旋状に延びる1つの突出部(2)によって緩衝部(1)を構成してもよい。
【0130】
また、上記各実施形態では、複数の突出部(2)は、等間隔に配列されていたが、各突出部(2)の間隔が異なっていてもよい。このような場合においても、筒部(23b)の軸方向に直交する断面において、該断面へのブレード(30)の垂直投影図と複数の突出部(2)との重複部分の面積が、複数の突出部(2)と隣る複数の溝空間におけるブレード(30)の垂直投影図と重複しない部分の面積よりも小さくなるようにストッパ(23)を構成することにより、溝空間が削り屑によって埋め尽くされることを防止することができる。これにより、ブレード(30)のひっかかりを防止することができ、ストッパ(23)に衝撃的な力が作用することを防止することができる。従って、上記各実施形態と同様に、ブレード(30)受け止め時のストッパ(23)の破損を防止することができ、ストッパ(23)によってブレード(30)をしっかりと受け止めることができる。
【0131】
また、ブレード(30)の切断部(31)の構成及び材料は上記各実施形態のものに限られない。例えば、切断部(31)は刃部(31a)のみを備えてガイド部(31b,31b)を備えていないものであってもよい。また、例えば、切断部(31)は、金属ではなくセラミックスや樹脂等によって構成されていてもよい。
【0132】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0133】
以上説明したように、本発明は、切断装置について有用である。
【符号の説明】
【0134】
1 変形部
2 突出部
3 溝
10 切断装置
12 ハーネス(通電用部材)
17 円柱通路
23 ストッパ
23a 底部(壁部)
23b 筒部
30 ブレード
31 切断部
32 プッシャー(絶縁部)
35 ガス発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期位置から所定の進出方向に進出可能に構成されたブレード(30)と、該ブレード(30)の前方に位置する通電用部材(12)を切断するように上記ブレード(30)を進出させるための高圧ガスを発生させるガス発生部(35)と、上記ブレード(30)の進出側端部と対向する壁部(23a)を有して上記通電用部材(12)を切断した後の上記ブレード(30)を受け止めるストッパ(23)とを備えた切断装置であって、
上記ストッパ(23)は、上記通電用部材(12)を切断した後の上記ブレード(30)と当接して変形するように構成された緩衝部(1)を有している
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記ストッパ(23)は、上記壁部(23a)の外周縁部から上記ブレード(30)の進出方向とは逆向きに突出して内部に上記ブレード(30)が進出する進出路の一部を形成する筒部(23b)を有し、
上記緩衝部(1)は、上記筒部(23b)の内周面から径方向内側に突出する少なくとも1つの突出部(2)によって構成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記突出部(2)は、上記筒部(23b)の内周面に沿って該筒部(23b)の軸方向に延びている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項4】
請求項2において、
上記突出部(2)は、上記筒部(23b)の内周面に沿って帯状に形成されると共に周方向に傾斜している
ことを特徴とする切断装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、
上記突出部(2)は、上記壁部(23a)に近づくに従って突出高さが高くなるように構成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項6】
請求項3又は4において、
上記突出部(2)は、上記壁部(23a)に近づくに従って周方向の幅が広くなるように構成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか1つにおいて、
上記緩衝部(1)は、上記筒部(23b)の周方向に間隔を空けて配列された複数の上記突出部(2)によって構成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか1つにおいて、
上記ストッパ(23)は、上記筒部(23b)の軸方向に直交する断面において、該断面への上記ブレード(30)の垂直投影図と上記突出部(2)との重複部分の面積が、上記突出部(2)と隣る溝空間における上記ブレード(30)の垂直投影図と重複しない部分の面積よりも小さくなるように構成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれか1つにおいて、
上記ブレード(30)は、上記通電用部材(12)を切断する金属製の切断部(31)と、該切断部(31)の上記進出方向に向かって後側に設けられた絶縁性部材からなる上記絶縁部(32)とを有し、該絶縁部(32)が上記切断部(31)によって切断された上記通電用部材(12)の切断面に接触するまで進出するように構成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記絶縁部(32)は、上記切断部(31)よりも大径に構成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つにおいて、
上記ストッパ(23)は、樹脂によって構成されている
ことを特徴とする切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−138247(P2012−138247A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289473(P2010−289473)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)