説明

切断装置

【課題】ブレード形状の簡略化。
【解決手段】切断装置(10)は、切断部(31)を有するブレード(30)と、ケース(11)とを備えたものであって、ケース(11)は、進出前の上記ブレード(30)が収容される第1孔部(42)を有する第1内筒部材(41)と、第1内筒部材(41)に隣接して配置され、且つ第1孔部(42)と繋がってブレード(30)が進入可能に構成された第2孔部(46)を有する第2内筒部材(45)とを備え、ハーネス(12)は、第2孔部(46)を跨るように配置され、第2内筒部材(45)は、第2孔部(46)の内壁(47)と連続し、且つハーネス(12)から第1内筒部材(41)に向かって延びて形成されて切断部(31)をハーネス(12)に導く後方内壁部(47b)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気を流す通電用部材を切断するための切断装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気を流すための通電用部材を切断するための切断装置が知られている。この種の切断装置は、例えば災害時に電源からの電力を遮断するためのものである。特許文献1に示す切断装置は、略円柱状の切断部を有するブレードを備え、筒状ケース内のガス発生室に充填された火薬の爆発で推力を与えられたブレードが進出し、切断部が切断対象である通電用部材を切断するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−86653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示す切断装置では、通電用部材を確実に切断するために、切断部を通電用部材に導くガイドをブレードに設けることが考えられる。しかしながら、ブレードにガイドを設けると、該ブレードの形状が複雑になるため、ブレードのコストが増加するという問題があった。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、ブレード形状を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、切断部(31)を有するブレード(30)と、該ブレード(30)を進退方向に移動可能に収容したケース部材(11)とを備え、該ケース部材(11)内の圧力をガス発生剤の反応により発生した高圧ガスにより上昇させて上記ブレード(30)を所定の進出方向へ進出させることによって、上記ブレード(30)の進出側に位置する電気を流すための通電用部材(12)を上記切断部(31)によって切断する切断装置であって、上記ケース部材(11)は、進出前の上記ブレード(30)が収容される第1孔部(42)を有する第1筒部材(41)と、該第1筒部材(41)に隣接して配置され、且つ上記第1孔部(42)と繋がって上記ブレード(30)が進入可能に構成された第2孔部(46)を有する第2筒部材(45)とを備え、上記通電用部材(12)は、上記第2孔部(46)を跨るように配置され、上記第2筒部材(45)は、上記第2孔部(46)の内壁(47)が上記通電用部材(12)から第1筒部材(41)に向かって延びて形成されて上記切断部(31)を上記通電用部材(12)に導く延伸内壁部(47b)を備えている。
【0007】
上記第1の発明では、ケース部材(11)は、互いに隣接して配置される第1筒部材(41)と第2筒部材(45)とを備えている。第1筒部材(41)は、進出前のブレード(30)が収容される第1孔部(42)を有している。一方、第2筒部材(45)は、第1孔部(42)と繋がると共に、ブレード(30)が進入可能に構成された第2孔部(46)を有している。そして、通電用部材(12)は、第2孔部(46)に跨るように配置されている。第2筒部材(45)は、第2孔部(46)の内壁(47)が通電用部材(12)から第1筒部材(41)に向かって延びて形成される延伸内壁部(47b)を備えている。
【0008】
ガス発生剤の反応により高圧ガスが発生すると、ケース部材(11)内の圧力が上昇して第1筒部材(41)内のブレード(30)が所定の進出方向へ進出し、第2孔部(46)内に進入する。この際、ブレード(30)は、第2孔部(46)の内壁(47)の延伸内壁部(47b)によって案内され、切断部(31)が通電用部材(12)に導かれる。通電用部材(12)は、第2孔部(46)を跨ぐように配置されているため、ブレード(30)が第2孔部(46)内を通過する際に、通電用部材(12)に到達した切断部(31)によって切断される。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第2筒部材(45)は、上記延伸内壁部(47b)の後端が進出前の上記ブレード(30)の進出方向の先端よりも該ブレード(30)の退行側に位置するように配置されている。
【0010】
上記第2の発明では、上記第2筒部材(45)は、上記延伸内壁部(47)の後端が、進出前のブレード(30)の先端よりも、ブレード(30)の退行側に位置するように配置されている。
【0011】
ガス発生剤の反応により高圧ガスが発生すると、ケース部材(11)内の圧力が上昇して第1筒部材(41)内のブレード(30)が所定の進出方向へ進出し、第2孔部(46)内に進入する。この際、ブレード(30)の先端が延伸内壁部(47b)の後端よりもブレード(30)の退行側に配置されている(ブレード(30)の先端と延伸内壁部(47b)の後端が重なっている)ため、ブレード(30)は延伸内壁部(47b)に案内され、切断部(31)が通電用部材(12)に導かれる。そして、通電用部材(12)は、第2孔部(46)を跨ぐように配置されているため、ブレード(30)が第2孔部(46)内を通過する際に、通電用部材(12)に到達した切断部(31)よって切断される。
【0012】
第3の発明は、上記第1、又は第2の発明において、上記第2筒部材(45)は、上記第2孔部(46)の上記ブレード(30)の進入側の一端の周縁部に上記ブレード(30)の進出方向に形成されて上記通電用部材(12)が収容される溝部(48)を備えている。
【0013】
上記第3の発明では、第2筒部材(45)は、第2孔部(46)の上記ブレード(30)の進入側の一端の周縁部に、上記ブレード(30)の進出方向に形成された溝部(48)を備えている。この溝部(48)は、通電用部材(12)を収容し、溝部(48)の底部で通電用部材(12)が支持されている。そして、第2筒部材(45)は、第2孔部(46)の内壁(47)が通電用部材(12)から第1筒部材(41)に向かって延びる延伸内壁部(47b)を備えている。このため、延伸内壁部(47b)は、ブレード(30)を案内し、切断部(31)を通電用部材(12)に導くことができる。
【0014】
ガス発生剤の反応により高圧ガスが発生すると、ケース部材(11)内の圧力が上昇して、第1筒部材(41)内のブレード(30)が所定の進出方向へ進出し、第2孔部(46)内に進入する。この際、ブレード(30)は延伸内壁部(47b)に案内され、切断部(31)が通電用部材(12)に導かれる。通電用部材(12)は、第2孔部(46)を跨ぐように配置されているため、ブレード(30)が第2孔部(46)内を通過する際に、通電用部材(12)に到達した切断部(31)によって切断される。
【0015】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の何れか1つにおいて、上記溝部(48)は、上記通電用部材(12)の切断方向の厚みよりも深くなるように形成されている。
【0016】
上記第4の発明では、溝部(48)は、収容した通電用部材(12)を底部で支持している。そして、溝部(48)の深さは通電用部材(12)の切断方向の厚みよりも深くなるように形成されている。したがって、この溝部(48)に通電用部材(12)を収容した状態でも、第2筒部材(45)の延伸内壁部(47b)は、通電用部材(12)よりも第1筒部材(41)の向けて突出して形成される。このため、延伸内壁部(47b)は、ブレード(30)を案内し、切断部(31)を通電用部材(12)に導くことができる。
【0017】
ガス発生剤の反応により高圧ガスが発生すると、ケース部材(11)内の圧力が上昇して、第1筒部材(41)内のブレード(30)が所定の進出方向へ進出し、第2孔部(46)内に進入する。この際、ブレード(30)は延伸内壁部(47b)に案内され、切断部(31)が通電用部材(12)に導かれる。通電用部材(12)は、第2孔部(46)を跨ぐように配置されているため、ブレード(30)が第2孔部(46)内を通過する際に、通電用部材(12)に到達した切断部(31)によって切断される。
【0018】
第5の発明は、上記第1〜第4の発明において、上記第2筒部材(45)は、電気絶縁性を有する材料で構成されている。
【0019】
上記第5の発明では、通電用部材(12)は、第2筒部材(45)の第2孔部(46)に跨るように配置されている。そして、第2筒部材(45)は、電気絶縁性を有する材料により構成されている。このため、切断後の通電用部材(12)の絶縁性能が向上する。
【発明の効果】
【0020】
上記第1の発明によれば、第2孔部(46)の内壁(47)と連続する延伸内壁部(47b)を設けたため、ブレード(30)を案内することができる。このため、ブレード側にガイド等を設けることなく、切断部(31)を通電用部材(12)に導くことができる。これにより、ブレード(30)の形状を簡略化することができる。
【0021】
上記第2の発明によれば、延伸内壁部(47b)の後端とブレード(30)の先端が重なるようにしたため、確実に延伸内壁部(47b)がブレード(30)を案内することができる。このため、ブレード側にガイド等を設けることなく、切断部(31)を通電用部材(12)に導くことができる。これにより、ブレード(30)の形状を簡略化することができる。
【0022】
上記第3の発明によれば、溝部(48)を設けたため、通電用部材(12)を収容して支持することができる。これにより、容易に通電用部材(12)を第2筒部材(45)の第2孔部(46)に跨らせて設置することができる。
【0023】
上記第4の発明によれば、通電用部材(12)の厚みよりも大きい溝部(48)を設けたため、溝部(48)内に通電用部材(12)を収容しても延伸内壁部(47b)を通電用部材(12)から第1筒部材(41)に向けて突出させ易くすることができる。これにより、通電用部材(12)を保持しつつ、切断部(31)を通電用部材(12)に導くことができる。
【0024】
上記第5の発明によれば、第2筒部材(45)を電気絶縁性を有する材料で構成したため、第2孔部(46)に跨るように設置された通電用部材(12)の周辺の絶縁性を高めることができる。これにより、切断後の通電用部材(12)の絶縁性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態1に係る切断装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に係るII−II断面図である。
【図3】本実施形態1に係る切断装置の外観構造を示す斜視図である。
【図4】本実施形態1に係る切断装置の内部構造を示す斜視図である。
【図5】本実施形態1に係るブレード及び第2内筒部材を示す斜視図である。
【図6】本実施形態2に係るブレーカを示す概略構成図である。
【図7】本実施形態3に係る接触器を示す概略構成図である。
【図8】本実施形態4に係る電気回路遮断器を示す概略構成図である。
【図9】本実施形態1〜4のその他の形態に係るブレード及び第2内筒部材を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
〈発明の実施形態1〉
図1〜図4に示すように、本実施形態1に係る切断装置(10)は、ガス発生剤の反応により発生した高圧ガスを用いてブレード(30)を進出させることによって、本発明に係る通電用部材を構成するハーネス(12)を切断するように構成されている。この切断装置(10)は、高圧ガスを発生させるためのガス発生剤として火薬を用いている。
【0028】
具体的には、上記切断装置(10)は、図1及び図4に示すように、ケース(11)を備え、該ケース(11)の内部に、ストッパ(23)と内筒(40)とブレード(30)とガス発生部(35)とが収容されている。ケース(11)は、本発明に係るケース部材を構成している。
【0029】
尚、以下では説明の便宜上、図2における左右方向の左側を「前側」、右側を「後側」と称し、図2における上下方向の上側を「上側」、下側を「下側」と称して説明する。また、図2における紙面に直交する方向の手前側を「左側」、奥側を「右側」と称して説明する。
【0030】
図1〜図4に示すように、上記ケース(11)は、箱状に形成された樹脂ケース(20)と筒状に形成された金属ケース(27)とを備えている。該金属ケース(27)の前側部分は樹脂ケース(20)内の後述する挿通孔(21)に収容されている。
【0031】
上記樹脂ケース(20)は、例えばPC(ポリカーボネート)等の樹脂によって形成されている。尚、樹脂ケース(20)を構成する樹脂材料は、これに限られず、プラスチック等を含む樹脂材料であればよい。また、上記樹脂ケース(20)は、略直方体形状に形成された土台部(13)と、該土台部(13)の下面(13a)及び後面(13b)以外の面を一体的に覆うカバー部(14)とを有している。
【0032】
上記土台部(13)は、上面(13c)に断面が半円形状の溝(21a)が形成されている。該溝(21a)は、土台部(13)の後面(13b)から前面(13d)に向かって延び、後面(13b)のみに開口するように構成されている。
【0033】
上記カバー部(14)は、土台部(13)の上面(13c)、前面(13d)、左面(13e)及び右面(13f)を覆うように構成されている。カバー部(14)の土台部(13)の上面(13c)との対向面(14a)には、土台部(13)の溝(21a)に対応する溝(21b)が形成されている。該溝(21b)は、カバー部(14)の後面(14b)から前面(14c)に向かって延び、後面(14b)のみに開口するように構成されている。
【0034】
このような構成により、樹脂ケース(20)の内部には、上記土台部(13)の溝(21a)と上記カバー部(14)の溝(21b)とによって、樹脂ケース(20)の後端面に開口する略円柱形状の挿通孔(21)が形成される。該挿通孔(21)には、前端から後端に向かって、ストッパ(23)、内筒(40)及び金属ケース(27)の前側部分が収容されている。
【0035】
また、樹脂ケース(20)には、ハーネス(12)を設置するための設置孔(22)が土台部(13)とカバー部(14)とに跨って形成されている。該設置孔(22)は、挿通孔(21)の軸心を含む鉛直面に関して対称な形状に形成されている。具体的には、設置孔(22)は、挿通孔(21)の前後方向の中央部から左右方向にそれぞれ延びた後、後方向きに折れ曲がり、その後さらに下方向きに折れ曲がって土台部(13)の下面(13a)まで延びている。また、設置孔(22)は、挿通孔(21)から左右方向に延びて後方に折れ曲がったところまでが幅の狭い幅狭部(22a)に構成され、その後下方向きに延びる部分は幅狭部(22a)よりも幅の広い幅広部(22b)に構成されている。
【0036】
尚、上記設置孔(22)に設置されるハーネス(12)は長板状に形成され、図1及び図4に示すように、略U字形状に折り曲げ形成された幅狭部(12a)と、該幅狭部(12a)の両端にそれぞれ連続する2つの幅広部(12b)とを有している。2つの幅広部(12b)は、それぞれ略L字状の板状片となるように構成されている。ハーネス(12)の一部は、上記樹脂ケース(20)の設置孔(22)において、幅狭部(12a)が設置孔(22)の幅狭部(22a)に位置し、幅狭部(12a)の一部が設置孔(22)の幅広部(22b)に位置するように設置されている。そして、幅狭部(12a)は、ハーネス(12)の被切断部分を構成している。
【0037】
また、樹脂ケース(20)には、挿通孔(21)と設置孔(22)とを連通する排出通路(28)が土台部(13)とカバー部(14)とに跨って形成されている。該排出通路(28)は、後述するガス発生部(35)によってブレード(30)を進出させるために生成された高圧ガスを排出する排ガス路の一部を構成する。排出通路(28)は、一端が設置孔(22)の幅狭部(22a)の後方側において挿通孔(21)に連通し、他端が設置孔(22)の幅広部(22b)に連通するように形成されている。
【0038】
さらに、樹脂ケース(20)には、挿通孔(21)の前端から空気を排出するための排気孔(29)が形成されている。該排気孔(29)は、挿通孔(21)の前端の中央部から前方に向かって延びた後、下方向きに折れ曲がって土台部(13)の下面(13a)まで延びている。
【0039】
上記ストッパ(23)は、進出したブレード(30)を受け止めて停止させるためのものである。ストッパ(23)は、挿通孔(21)の前端部に配置され、樹脂材料によって有底円筒形状に形成されている。具体的に、ストッパ(23)は、円板状の底部(23a)と円筒状の筒部(23b)とを有し、挿通孔(21)の前端部において底部(23a)が筒部(23b)よりも前方に位置するように配置されている。底部(23a)の中央部には、上記樹脂ケース(20)の排気孔(29)に連通する孔(23c)が形成されている。また、筒部(23b)は、上記ブレード(30)が移動可能な内径に形成されている。
【0040】
上記内筒(40)は、挿通孔(21)において上記ストッパ(23)の後方に配置されて、ハーネス(12)を支持するためのものである。内筒(40)は、第1内筒部材(41)と第2内筒部材(45)とで構成されている。挿通孔(21)内では、金属ケース(27)の前方に第1内筒部材(41)が配置される一方、ストッパ(23)の後方に第2内筒部材(45)が配置されている。
【0041】
上記第1内筒部材(41)は、ブレード(30)を内部に収容するものであって、本発明に係る第1筒部材を構成している。第1内筒部材(41)は、略円筒形状の樹脂製の筒部材に形成され、挿通孔(21)内の金属ケース(27)の前方において、上記第2内筒部材(45)と同軸になるように配置されている。第1内筒部材(41)は、前側部分の外径が挿通孔(21)の内径と概ね等しくなる一方、後側部分の外径が前側部分よりも小さくなるように構成されている。また、第1内筒部材(41)の後側部分の外周面には、環状の溝が形成され、該溝にはOリング(43)が設置されている。そして、第1内筒部材(41)の中心には、第1孔部(42)が形成されている。
【0042】
上記第1孔部(42)は、上記第1内筒部材(41)の軸方向に沿って延びて、且つ断面が略円形に形成された孔である。この第1孔部(42)は、その内径が上記ストッパ(23)の筒部(23b)の内径と概ね等しくなるように形成されている。
【0043】
尚、第2内筒部材(45)の詳細については、後述する。
【0044】
上記金属ケース(27)は、金属材料によって略円筒状に形成され、前側部分が挿通孔(21)に収容される一方、後側部分は樹脂ケース(20)から露出している。金属ケース(27)の前側部分は、挿通孔(21)の第1内筒部材(41)の後方において、第1内筒部材(41)と同軸となるように配置されている。また、金属ケース(27)は、前端部が第1内筒部材(41)の後側部分に外嵌されている。第1内筒部材(41)の後側部分と該後側部分に外嵌された金属ケース(27)の前端部との間は、上記Oリング(43)によってシールされている。また、金属ケース(27)の前端部には貫通孔(27a)が形成されている。該貫通孔(27a)は、上記樹脂ケース(20)の排出通路(28)と対応する位置に形成されている。金属ケース(27)の前側部分は、前端部以外の部分の内径が第1内筒部材(41)の内径と概ね等しくなる一方、外径は、挿通孔(21)の内径と概ね等しくなるように構成されている。
【0045】
挿通孔(21)に収容されたストッパ(23)、内筒(40)及び金属ケース(27)によって、その内部に略円柱形状の通路(17)が形成されている。また、上記円柱通路(17)は、前端部はストッパ(23)の底部(23a)によって閉塞される一方、後端部は上記金属ケース(27)の内部に収容されたガス発生部(35)によって閉塞されている。上記円柱通路(17)には、上記設置孔(22)に収容されたハーネス(12)の幅狭部(12a)の一部が露出すると共に、該露出部分と上記ガス発生部(35)との間にブレード(30)が収容されている。
【0046】
上記ガス発生部(35)は、ブレード(30)を進出させてハーネス(12)を切断させるための高圧ガスを発生させるものである。ガス発生部(35)は、ガス発生剤としての火薬と、該火薬を起爆するための発火部(37)と、該発火部(37)を保持して上記円柱通路(17)の後端部を閉塞する蓋部材(39)とを備えている。
【0047】
上記蓋部材(39)は、略円筒状に形成されて金属ケース(27)に内嵌された筒部(39a)と、上記発火部(37)を保持すると共に筒部(39a)の中途部を閉塞する閉塞部(39b)とを有している。筒部(39a)及び閉塞部(39b)は、金属材料によって一体に形成されている。閉塞部(39b)によって、上記円柱通路(17)内のブレード(30)の後方には閉空間が形成され、該閉空間は上記火薬が充填されたガス発生室(36)を構成している。
【0048】
上記発火部(37)は、雷管によって構成され、起爆薬を有する前端部が上記ガス発生室(36)内に露出するように蓋部材(39)の閉塞部(39b)に保持されている。
【0049】
このような構成により、発火部(37)によってガス発生室(36)内の火薬が爆発すると、ガス発生室(36)内で高圧ガスが発生し、該高圧ガスがガス発生室(36)内の圧力を上昇させることによってブレード(30)を前方に進出させる。
【0050】
上記ブレード(30)は、図1に示すように、高圧ガスを受けて挿通孔(21)内に形成された円柱通路(17)内を進出し、ハーネス(12)を切断するためのものである。ブレード(30)は、図5に示すように、切断部(31)と該切断部(31)を取り付けるプッシャー(32)とを備えている。
【0051】
上記プッシャー(32)は、ブレード(30)を保持すると共に、上記発火部(37)の高圧ガスの圧力を受けてブレード(30)を進出させるものである。上記プッシャー(32)は、樹脂製で略円柱状に形成されている。上記プッシャー(32)の前端には、切断部(31)が取り付けられている。
【0052】
上記切断部(31)は、ハーネス(12)を切断するためのものである。上記切断部(31)は、先端に金属製(例えば鋼製)の刃部(31a)を備えている。刃部(31a)は、刃先先端が平坦な円柱形状に形成されている。そして、進出前のブレード(30)は、その刃部(31a)の先端が後述する内壁(47)の後方内壁部(47b)の後端よりも前方に位置するように配置されている。
【0053】
上記第2内筒部材(45)は、図5に示すように、ハーネス(12)を支持すると共に、ブレード(30)を案内するためのものであって、本発明に係る第2筒部材を構成している。この第2内筒部材(45)は、略円筒形状で、且つ絶縁性を有するセラミックス製の筒部材に形成され、挿通孔(21)内のストッパ(23)と第1内筒部材(41)との間で該ストッパ(23)と同軸となるように配置されている。第2内筒部材(45)は、その外径が挿通孔(21)の内径と概ね等しくなるように構成されている。また、第2内筒部材(45)には、第2孔部(46)と切欠溝部(48)とが形成されている。
【0054】
上記切欠溝部(48,48)は、上記第2内筒部材(45)の後側部分においてハーネス(12)を支持するための一対の溝であって、本発明に係る溝部を構成している。上記一対の切欠溝部(48,48)は、第2内筒部材(45)における上記樹脂ケース(20)の設置孔(22)に対応する位置に形成されている。各切欠溝部(48)は、溝の中心が第2孔部(46)を挟んで互いが直線状に位置するように形成されている。そして、各切欠溝部(48)は、第2内筒部材(45)の後端部の外周縁から内周縁に向かって延び、断面がハーネス(12)の幅狭部(12a)の矩形断面よりも僅かに大きな矩形断面となるように形成されている。そして、各切欠溝部(48)の溝深さは、ハーネス(12)の幅狭部(12a)の厚みよりも深くなるように形成されている。このように、第2内筒部材(45)の後方からハーネス(12)の幅狭部(12a)が2つの切欠溝部(48)に支持されることで、該幅狭部(12a)が第2孔部(46)を跨って配置される。
【0055】
上記第2孔部(46)は、上記第2内筒部材(45)の前端から後端まで軸方向に沿って延び、且つ断面が略円形形状に形成された貫通孔である。第2孔部(46)の内壁(47)は、前方内壁部(47a)と、後方内壁部(47b)とで構成されている。
【0056】
上記前方内壁部(47a)は、内壁(47)のうち、上記切欠溝部(48)内にハーネス(12)が設置された状態において、該ハーネス(12)よりも前方側を構成する部分である。前方内壁部(47a)は、その内径がストッパ(23)の筒部(23b)の内径と概ね等しくなるように形成されている。
【0057】
上記後方内壁部(47b)は、内壁(47)のうち、上記切欠溝部(48)内にハーネス(12)が設置された状態において、該ハーネス(12)よりも後方側を構成する部分であって、本発明に係る延伸内壁部を構成している。後方内壁部(47b)は、その内径が上記前方内壁部(47a)と等しくなるように形成されている。そして、後方内壁部(47b)は、その後端が切断部(31)の刃部(31a)の先端よりも後方に位置するように形成されている。つまり、後方内壁部(47b)の後端と、進出前のブレード(30)の切断部(31)の刃部(31a)の先端とは、図2において、切断装置(10)の横断方向に重なるように配置されている。こうすることで、ブレード(30)が前進すると、刃部(31a)が後方内壁部(47b)に沿って第2孔部(46)内を前進することになるため、該切断部(31)がハーネス(12)の幅狭部(12a)まで導かれる。
【0058】
−運転動作−
本実施形態1の切断装置(10)は、例えば工場などの電気機器のハーネス(12)が第2孔部(46)を跨るように設置孔(22)に挿通されて設置される。
【0059】
上記切断装置(10)は、発火部(37)が火災報知器や地震警報機などに接続された状態で設置される。発火部(37)には、火災報知器が火災を感知したときや、地震警報機が地震を感知したときに、警告信号が入力される。警告信号が入力されると、発火部(37)はガス発生室(36)内の火薬を爆発させる。
【0060】
火薬が爆発すると、爆発に伴ってガス発生室(36)内で高圧ガスが発生することで、プッシャー(32)には前方への推力が与えられ、ブレード(30)が前進する。このとき、第2内筒部材(45)の後方内壁部(47b)は、その後端がブレード(30)の切断部(31)の刃部(31a)の先端よりも後方に形成されている。このため、プッシャー(32)の前進に伴って、切断部(31)が後方内壁部(47b)に確実に案内され、刃部(31a)の先端がハーネス(12)の幅狭部(12a)に到達し、該幅狭部(12a)を瞬時に切断する。そして、さらにブレード(30)が前進すると、刃部(31a)の先端がストッパ(23)の底部(23a)に衝突し、ブレード(30)が停止する。
【0061】
また、プッシャー(32)が前進することで、ガス発生室(36)と貫通孔(27a)及び排出通路(28)とが連通する。ガス発生室(36)と貫通孔(27a)及び排出通路(28)が連通すると、ガス発生室(36)内の高圧ガスは、貫通孔(27a)及び排出通路(28)を介して外部に排出される。
【0062】
−実施形態1の効果−
上記本実施形態1によれば、第2孔部(46)の内壁(47)を延伸させた後方内壁部(47b)を設けたため、ブレード(30)を案内することができる。このため、ブレード側にガイド等を設けることなく、切断部(31)をハーネス(12)に導くことができる。これにより、ブレード(30)の形状を簡略化することができる。
【0063】
また、後方内壁部(47b)の後端と刃部(31a)の先端とが重なるようにしたため、確実にブレード(30)を第2孔部(46)内に案内することができる。こうすることで、ブレード側にガイド等を設けることなく、切断部(31)をハーネス(12)に導くことができる。これにより、ブレード(30)の形状を簡略化することができる。
【0064】
さらに、切欠溝部(48)を設けたため、ハーネス(12)を収容して支持することができる。これにより、容易にハーネス(12)を第2内筒部材(45)の第2孔部(46)に跨らせて設置することができる。
【0065】
また、ハーネス(12)の厚みよりも大きい切欠溝部(48)を設けたため、切欠溝部(48)内にハーネス(12)を収容しても後方内壁部(47b)をハーネス(12)から第1内筒部材(41)に向けて突出させることができる。これにより、ハーネス(12)を保持しつつ、切断部(31)をハーネス(12)に導くことができる。
【0066】
最後に、第2内筒部材(45)を電気絶縁性を有する材料で構成したため、第2孔部(46)に跨るように設置されたハーネス(12)の周辺の絶縁性を高めることができる。これにより、切断後のハーネス(12)の絶縁性能を向上させることができる。
【0067】
〈発明の実施形態2〉
次に、本実施形態2について説明する。図6に示すように、本実施形態2は、本発明に係る切断装置(10)を備えたブレーカ(50)である。このブレーカ(50)は、樹脂製のケーシング(図示省略)に設けられた負荷側端子(55)及び電源側端子(54)と、負荷側端子(55)と電源側端子(54)とを接続するためのハーネス(12)により構成された端子間部材(51)とを備えている。
【0068】
上記端子間部材(51)は、負荷側端子(55)に接続された固定接触子(52)と、電源側端子(54)に接続された可動接触子(53)とを備えている。可動接触子(53)は、固定接触子(52)に接触する接触位置と、固定接触子(52)から離れた非接触位置との間で移動可能に設けられている。可動接触子(53)が接触位置に移動すると、可動接触子(53)の可動接点(53a)が固定接触子(52)の固定接点(52a)に接触する。
【0069】
されに、ブレーカ(50)は、可動接触子(53)を手動で動かすためのリンク機構(58)と、異常電流時に可動接触子(53)を固定接触子(52)から引き離すためのトリップ機構(56)と、可動接触子(53)を固定接触子(52)から引き離すように可動接触子(53)を付勢する付勢バネ(60)とを備えている。リンク機構(58)は、ケーシングに取り付けられ、手動レバー(57)の操作によって可動接触子(53)を接触位置と非接触位置との間で移動させることができるように構成されている。トリップ機構(56)は、バイメタルによって構成され、可動接触子(53)と電源側端子(54)とを接続している。トリップ機構(56)は、過電流時(異常電流時)に熱変形し、その熱変形によってリンク機構(58)を動かして、可動接触子(53)を固定接触子(52)から引き離す。可動接触子(53)が固定接触子(52)から引き離されると、ブレーカ(50)は通電不能になる。
【0070】
さらに、ブレーカ(50)は、上述の切断装置(10)と、可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着したことを検出する溶着検出部(65)とを備えている。尚、切断装置(10)には、実施形態1及び後述するその他の実施形態の何れの切断装置(10)を用いてもよい。
【0071】
上記切断装置(10)は、端子間部材(51)を切断可能な位置に設けられている。具体的に、切断装置(10)は、端子間部材(51)の裏側(図6における下側)に設けられている。
【0072】
上記溶着検出部(65)は、例えば端子間部材(51)に接続され、端子間部材(51)の電流値に基づいて可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着しているか否かを検出するように構成されている。溶着検出部(65)には、切断装置(10)の発火部(37)が接続されている。溶着検出部(65)は、可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着していると判定すると、発火部(37)を作動させるように構成されている。
【0073】
本実施形態2では、溶着検出部(65)が可動接点(53a)と固定接点(52a)とが溶着していると判定すると、発火部(37)が作動して火薬が爆発し、ブレード(30)が進出する。ブレード(30)は、端子間部材(51)を切断(破断)した後に、プッシャー(32)が端子間部材(51)の切断面に接触する状態で停止する。このため、端子間部材(51)の切断面の間が絶縁され、電源側端子(54)と負荷側端子(55)の間が通電不能になる。
【0074】
−実施形態2の効果−
本実施形態2では、切断装置(10)によって、電源側端子(54)と負荷側端子(55)の間を強制的に通電不能にすることが可能である。このため、例えば可動接触子(53)と固定接触子(52)が溶着した場合であっても、切断装置(10)によって電源側端子(54)と負荷側端子(55)の間を強制的に通電不能にすることで、負荷側の機器の故障を防止することができる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
【0075】
〈発明の実施形態3〉
次に、本実施形態3について説明する。図7に示すように、本実施形態3は、本発明に係る切断装置(10)を備えた接触器である。この接触器(70)は、図7に示すように、樹脂製のケーシング(86)に設けられた負荷側端子(75)及び電源側端子(74)と、負荷側端子(75)と電源側端子(74)とを接続するためのハーネス(12)により構成された端子間部材(71)とを備えている。
【0076】
上記端子間部材(71)は、負荷側端子(75)に接続された第1固定接触子(68)と、電源側端子(74)に接続された第2固定接触子(69)と、後述する可動鉄心(81)に連結された可動接触子(73)とを備えている。上記可動接触子(73)は、一対の固定接触子(68,69)に接触する接触位置と、一対の固定接触子(68,69)から離れた非接触位置との間で移動可能に設けられている。可動接触子(73)が接触位置に移動すると、可動接触子(73)の一端の可動接点(73a)が第1固定接触子(68)の第1固定接点(68a)に接触すると共に、可動接触子(73)の他端の可動接点(73b)が第2固定接触子(69)の第2固定接点(69a)に接触する。
【0077】
さらに、接触器(70)は、可動接触子(73)を接触位置と非接触位置の間で動かすための移動機構(76)を備えている。この移動機構(76)は、可動鉄心(81)と固定鉄心(82)と励磁コイル(83)と巻枠(84)とを備えている。固定鉄心(82)はケーシング(86)の底面に固定されている。可動鉄心(81)は、固定鉄心(82)の上側に対面するように設けられている。励磁コイル(83)は巻枠(84)に巻かれている。可動鉄心(81)と巻枠(84)との間には、非通電時に可動鉄心(81)と固定鉄心(82)とを離間させるための一対の復帰バネ(79)が設けられている。
【0078】
上記移動機構(76)は、外部からの信号によって励磁コイル(83)が通電されると、固定鉄心(82)が励磁されて可動鉄心(81)を引き寄せるように構成されている。可動鉄心(81)が固定鉄心(82)に引き寄せられると、接触器(70)は非通電状態になる。一方、移動機構(76)は、外部からの信号によって励磁コイル(83)の通電が停止されると、復帰バネ(79)によって可動鉄心(81)が固定鉄心(82)から離れるように構成されている。可動鉄心(81)が固定鉄心(82)から離れると、接触器(70)は通電状態になる。
【0079】
さらに、接触器(70)は、上述の切断装置(10)と、上記実施形態2と同様の構成の溶着検出部(65)とを備えている。尚、切断装置(10)には、上記実施形態1、及び後述するその他の実施形態の何れの切断装置(10)を用いてもよい。
【0080】
上記切断装置(10)は、端子間部材(71)を切断可能な位置に設けられている。具体的に、切断装置(10)は、進出前のブレード(30)の切断部(31)が可動接触子(73)の前面に対面するように設けられている。
【0081】
本実施形態3では、溶着検出部(65)が可動接点(73a,73b)と固定接点(68a,69a)とが溶着していると判断すると、発火部(37)が作動して火薬が爆発し、ブレード(30)が進出する。ブレード(30)は、可動接触子(73)を切断する。この状態では、プッシャー(32)が可動接触子(73)の切断面に接触している。つまり、ブレード(30)は、プッシャー(32)が可動接触子(73)の切断面に接触するまで進出する。
【0082】
−実施形態3の効果−
本実施形態3では、切断装置(10)によって、電源側端子(74)と負荷側端子(75)の間を強制的に通電不能にすることが可能である。このため、例えば可動接触子(73)と固定接触子(68,69)が溶着した場合であっても、切断装置(10)によって電源側端子(74)と負荷側端子(75)との間を強制的に通電不能にすることで、負荷側の機器の故障を防止することができる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
【0083】
〈発明の実施形態4〉
次に、本実施形態4について説明する。図8に示すように、本実施形態4は、本発明に係る切断装置(10)を備えた電気回路遮断器(90)である。この電気回路遮断器(90)は、ブレーカ(50)と接触器(70)と樹脂製のケーシング(91)とを備えている。尚、ブレーカ(50)と接触器(70)についての説明は省略する。
【0084】
上記ケーシング(91)には、ブレーカ(50)が配置されたブレーカ配置室(88)と、接触器(70)が配置された接触器配置室(89)が障壁を挟んで形成されている。また、ケーシング(91)には、負荷側端子(95)及び電源側端子(94)と、ブレーカ(50)と接触器(70)と接続する接続用部材(92)とが設けられている。接続用部材(92)は、ハーネス(12)により構成されている。
【0085】
上記負荷側端子(95)は、接触器(70)の第1固定接触子(68)に接続されている。電源側端子(94)は、ブレーカ(50)の可動接触子(53)に接続されている。また、接続用部材(92)の一端は、接触器(70)の第2固定接触子(69)に接続されている。接続用部材(92)の他端は、ブレーカ(50)の固定接触子(52)に接続されている。
【0086】
さらに、電気回路遮断器(90)は、上述の切断装置(10)と、上記実施形態2と同様の溶着検出部(65)とを備えている。尚、切断装置(10)には、上記実施形態1及び後述するその他の実施形態の何れの切断装置を用いてもよい。
【0087】
上記切断装置(10)は、接続用部材(92)を切断可能な位置に設けられている。具体的に、切断装置(10)は、進出前のブレード(30)の切断部(31)が接続用部材(92)の前面に対面するよう設けられている。
【0088】
本実施形態4では、ブレーカ(50)において可動接触子(53)と固定接触子(52)が溶着していると判定したり、接触器(70)において可動接触子(73)と固定接触子(68,69)が溶着していると判定した場合に、溶着検出部(65)が発火部(37)を作動させて、ブレード(30)が進出し、ブレード(30)は、接続用部材(92)を切断(破断)する。この状態では、プッシャー(32)が接続用部材(92)の切断面に接触している。つまり、ブレード(30)は、プッシャー(32)が接続用部材(92)の切断面に接触するまで進出する。
【0089】
−実施形態4の効果−
本実施形態4では、切断装置(10)によって接続用部材(92)を切断して、電源側端子(94)と負荷側端子(95)の間を通電不能にすることが可能である。このため、例えばブレーカ(50)や接触器(70)で溶着が生じた場合であっても、切断装置(10)によって電源側端子(94)と負荷側端子(95)の間を通電不能にすることで、負荷側の機器の故障を防止することができる。その他の構成、作用・効果は実施形態1と同様である。
【0090】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1について、以下のような構成としてもよい。
【0091】
上記実施形態1では、先端が平坦な刃部(31a)を用いたが、本発明は、刃部の形状は、例えば2段を形成する刃部を用いてもよいし、先端に向かって拡がるV字形状の刃部を用いてもよい。
【0092】
また、上記実施形態1では、ストッパ(23)を金属材料で構成したが、ストッパ(23)を構成する材料は、これに限られず、例えばプラスチックを含む樹脂材料によって構成してもよい。
【0093】
上記実施形態1では、第2内筒部材(45)をセラミックスで構成したが、第2内筒部材(45)を構成する材料は、これに限られず、絶縁性を有する材料であればよく、例えばプラスチックを含む樹脂材料によって構成してもよい。
【0094】
上記実施形態1では、ケース(11)を樹脂ケース(20)と金属ケース(27)とで構成したが、ケース(11)の全体を樹脂で構成するようにしてもよい。
【0095】
また、上記実施形態1では、第2内筒部材(45)に切欠溝部(48)を形成したが、本発明はこれに限られない。具体的には、第2内筒部材(45)は、図9に示すように、切欠部(49)を設けるようにし、また、ブレード(30)の切断部(31)の先端にガイド部(31b)が形成されている。上記切欠部(49)は、第2内筒部材(45)の後端部の略半円に亘り外周縁から内周縁に向かって延びる部分が、前方に向かって切り欠かれて形成されている。切欠部(49)の深さは、ハーネス(12)の幅狭部(22a)の厚みよりも深くなるように形成されている。そして、上記ガイド部(31b)は、切断部(31)の先端からハーネス(12)の幅狭部(22a)の側方まで延びて形成されている。
【0096】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように、本発明は、通電用部材を切断する切断装置について有用である。
【符号の説明】
【0098】
11 ケース
30 ブレード
31 切断部
41 第1内筒部材
42 第1孔部
45 第2内筒部材
46 第2孔部
47 内壁
47b 後方内壁部
48 切欠溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断部(31)を有するブレード(30)と、該ブレード(30)を進退方向に移動可能に収容したケース部材(11)とを備え、該ケース部材(11)内の圧力をガス発生剤の反応により発生した高圧ガスにより上昇させて上記ブレード(30)を所定の進出方向へ進出させることによって、上記ブレード(30)の進出側に位置する電気を流すための通電用部材(12)を上記切断部(31)によって切断する切断装置であって、
上記ケース部材(11)は、進出前の上記ブレード(30)が収容される第1孔部(42)を有する第1筒部材(41)と、該第1筒部材(41)に隣接して配置され、且つ上記第1孔部(42)と繋がって上記ブレード(30)が進入可能に構成された第2孔部(46)を有する第2筒部材(45)とを備え、
上記通電用部材(12)は、上記第2孔部(46)を跨るように配置され、
上記第2筒部材(45)は、上記第2孔部(46)の内壁(47)が上記通電用部材(12)から第1筒部材(41)に向かって延びて形成されて上記切断部(31)を上記通電用部材(12)に導く延伸内壁部(47b)を備えている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記第2筒部材(45)は、上記延伸内壁部(47b)の後端が進出前の上記ブレード(30)の進出方向の先端よりも該ブレード(30)の退行側に位置するように形成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記第2筒部材(45)は、上記第2孔部(46)の上記ブレード(30)の進入側の一端の周縁部に上記ブレード(30)の進出方向に形成されて上記通電用部材(12)が収容される溝部(48)を備えている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つにおいて、
上記溝部(48)は、上記通電用部材(12)の切断方向の厚みよりも深くなるように形成されている
ことを特徴とする切断装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1つにおいて、
上記第2筒部材(45)は、電気絶縁性を有する材料で構成されている
ことを特徴とする切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−138281(P2012−138281A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290492(P2010−290492)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)