説明

切除的免疫療法

治療的組成物またはワクチンは、腫瘍由来の抗原性物質を含む抗原性組成物、および同種細胞のアリコートを含む。該抗原性組成物の投与は、抗原に対する遅延型過敏症反応を刺激する反応を生じ、それによって全身性の抗腫瘍または抗病原体免疫の刺激に対するアジュバントとして作用する。一局面において、本発明は、患者にワクチン接種する方法を提供し、その方法は、(1)癌または感染性疾患を有する患者に、抗同種Th1免疫を誘発する方式で、患者の免疫系によって拒絶されるようデザインされた、同種細胞のアリコートを含むプライミング組成物を投与すること;(2)同じ患者において、抗同種Th1免疫記憶が発達する時間(約7から14日)がたった後、腫瘍抗原または病原体抗原の供給源を含む、好ましくは感染または癌性組織の同じ個人の自己溶解物から含む、抗原性組成物を、好ましくは皮内に注射することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に免疫療法に、そしてより具体的には、腫瘍および病原体感染組織を治療するための治療方法および組成物に関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
慢性感染性疾患または癌を治療するために、免疫系の力を利用することが、免疫療法の主な目的である。能動免疫療法の処置は、腫瘍または病原体感染細胞を特異的に認識および破壊するために、免疫系を活性化するようデザインされた方法である。200年以上の間、能動免疫療法のアプローチは、天然痘、狂犬病、腸チフス、コレラ、ペスト、麻疹、水痘、流行性耳下腺炎、灰白髄炎、B型肝炎および破傷風およびジフテリア毒素を含む、多くの感染性疾患を予防するために使用されてきた。
【0003】
能動免疫療法のコンセプトを今適用して、存在する腫瘍を治療する、または腫瘍の再発を予防する、および慢性ウイルス感染を治療および予防する意図を有する治療的癌ワクチンを開発する。これらの技術の多くは、腫瘍または病原体感染細胞を特異的に殺す能力を有する、循環中の免疫細胞の頻度の増加を引き起こすことに成功したことを証明した。しかし、腫瘍抗原に反応性の免疫細胞を産生する能力にも関わらず、腫瘍の回避メカニズムはこの免疫反応を圧倒し、最終的な腫瘍の進行を引き起こす。
【0004】
癌の能動免疫療法は、多くのげっ歯類モデルにおいて非常に有効であることが示された。しかし、ヒトにおける様々な型の免疫療法試験の、何十年もの臨床的に失望させる結果は、ヒトの免疫系はヒト癌細胞の脅威/危険を、同じ疾患のげっ歯類モデルの免疫系ほど認知しないことを示した。
【0005】
慢性ウイルス感染でも同じである。自然免疫反応は、ウイルスの複製を遅くし、そして抗ウイルスタンパク質の合成を引き起こすサイトカインを活性化し得る。適応免疫系はウイルス粒子を中和し、そして感染細胞を破壊する。しかし、ウイルスは、免疫攻撃を避けるために多くの対策を発達させ、そして免疫系の動く標的のままである。
【0006】
腫瘍およびウイルスの免疫回避メカニズムを克服し得る活性免疫療法を提供し、そしてヒト免疫系を、ヒト癌細胞およびウイルス感染細胞の脅威/危険を認識するよう訓練する必要性が存在し、それはそれらが体のどこにあっても腫瘍または病原体感染細胞を根絶し得る免疫反応を引き起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本発明は、同種細胞治療の組み合わせを用いて、腫瘍または病原体に対する全身性の適応免疫反応を誘発するための方法および組成物、および腫瘍特異的抗原または病原体特異的抗原の放出を引き起こす、腫瘍または病原体感染組織を細胞窮迫に付す方法に関連する。
【0008】
本発明の1つの局面において、本発明は、患者にワクチン接種する方法を含む。その方法は、以下の工程を含む:(1)癌または感染性疾患を有する患者に、抗同種Th1免疫を誘発する方式で、患者の免疫系によって拒絶されるようデザインされた、同種細胞のアリコートを含むプライミング組成物を投与する;(2)同じ患者において、抗同種Th1免疫記憶が発達する時間(約7から14日)がたった後、腫瘍抗原または病原体抗原の供給源(例えば弱毒化ウイルス、腫瘍溶解物、熱ショックタンパク質)を含む、好ましくは感染または癌性組織の同じ個人の自己溶解物から含む、抗原性組成物を、好ましくは皮内に注射する、その溶解物は、好ましくはシャペロンタンパク質を含み、そしてそのような溶解物を、同種細胞(患者をプライミングするのに使用した同じ細胞)のアリコートと処方して拒絶反応を産生し、そして全身性抗腫瘍または抗病原体免疫の刺激のアジュバントとなる同種抗原に対する遅延型過敏症反応を刺激する。さらなる局面において、この方法を、プライミング工程無しで実施し得る。
【0009】
別の局面において、本発明は、腫瘍抗原または病原体抗原および同種細胞のアリコートを含む抗原性組成物を含む、患者において腫瘍または病原体を治療するための治療的組成物を含み、ここで患者に抗原性組成物を注射することは、免疫反応を生じ、それによって続く患者の抗原提示細胞の成熟が、抗腫瘍または抗病原体免疫を全身性に刺激する。組成物中の腫瘍抗原は、腫瘍のネクローシス由来である。組成物中の病原体抗原は、病原体感染組織のネクローシス由来である。その治療的組成物はまた、同種細胞のアリコートを含むプライミング組成物も含み得る。プライミング組成物および抗原性組成物中の同種細胞のアリコートは、約1×10および約1×1010の間の細胞を含み得る。
【0010】
別の局面において、本発明は、腫瘍または病原体に対する患者のためのワクチンを含む。そのワクチンは、腫瘍または病原体由来の抗原性物質および同種細胞のアリコートを含む抗原性組成物を含み、ここでその抗原性組成物の患者に対する投与は、拒絶反応を生じ、そして抗原に対する遅延型過敏症反応を刺激し、それによって患者における全身性抗腫瘍または抗病原体免疫の刺激に対するアジュバントとして作用する。そのワクチンはまた、プライミング組成物も含み得、ここでそのプライミング組成物は同種細胞のアリコートを含む。
【0011】
本発明の別の局面において、本発明は、患者において腫瘍または病原体に対する適応免疫反応を誘発する方法である。その方法は、以下の工程を含む:(1)癌または感染性疾患を有する患者に、抗同種Th1免疫を誘発する方式で患者の免疫系によって拒絶されるようデザインされた同種細胞のアリコートを投与する;(2)同じ患者において、抗同種Th1免疫記憶が形成される時間(約7から14日)がたった後、入手できる腫瘍病変または病原体感染組織を、好ましくはネクローシスによって(例えばエレクトロポレーション、冷凍切除(cryoablation)、化学療法、放射線治療、超音波治療、エタノール化学切除、マイクロ波熱切除、高周波エネルギーまたはその組み合わせによって)、少なくとも一部の腫瘍または感染組織を破壊する方法で、切除する;次いで;(3)同じ同種細胞の2番目のアリコートを、好ましくは切除工程の2−24時間後に、病変内に注射して(プライミングするために使用したものと同じ細胞)、抗原の取り込みに対するアジュバントとして作用する免疫反応、および続くネクローシスまたはアポトーシス組織に反応する宿主抗原提示細胞(すなわち樹状細胞)の成熟を生じる。病変由来の成熟抗原提示細胞は次いで、リンパ節に遊走し、そして全身性の抗腫瘍または抗病原体免疫を刺激する。本発明の別の局面において、プライミング工程を省く。腫瘍または病原体感染組織由来の組織を切除し、そして同種細胞のアリコートを、切除後に注射して、望ましい免疫反応を生じる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施形態の詳細な説明
本発明は、患者において抗腫瘍または抗病原体免疫を刺激する方法を含む。その方法は同種細胞のアリコートを注入することによって、最初に患者を「プライミング」してTh1抗同種抗原免疫記憶を発達させることを含む。同種細胞の注入が患者の免疫系を刺激して、同種細胞に反応することが望ましい。患者の免疫系が抗同種記憶を形成することが可能になるまで時間を経過させる。いくつかの実施態様において、患者は、適当なTh1免疫記憶を発達させるために同種細胞の追加免疫を必要とし得る。
【0013】
本明細書中で使用される患者は、マウスだけでなくヒトも含む。本明細書中で使用されるTh1反応は、T細胞およびマクロファージを活性化するサイトカインプロファイルの産生を指す。Th1反応は、抗体に依存する免疫反応を主に活性化し、そしてTh1反応に拮抗的なTh2反応から区別される。
【0014】
次の工程は、患者が十分な抗同種Th1免疫記憶を発達させた後の、腫瘍ベッドまたは病原体感染組織内の細胞の損傷および/または死を含む。組織の損傷または死は、細胞成分を放出し、そしてスカベンジャー細胞を損傷部位へリクルートする。腫瘍ベッドまたは病原体感染組織で組織の損傷または死を引き起こす様々な方法が、当該分野で公知である。好ましくは、死はネクローシスにより、それはスカベンジャー細胞の損傷部位へのリクルートを引き起こす。いくつかの好ましい実施態様において、組織の死または損傷は、冷凍切除による、または不可逆的なエレクトロポレーションによる。あるいは、組織をエキソビボで切除し、そして放出された成分を患者に注射する。
【0015】
未熟な樹状細胞を含むスカベンジャー細胞は、損傷したまたは死んだ組織から放出された抗原をピックアップし得る。同種細胞の2番目のアリコートを、抗原に対するTh1免疫のプライミングのために樹状細胞(DC)の成熟を引き起こすために、病変内に注射する。病変内によって(by intralesionally)とは、本発明の組成物を、癌領域または腫瘍または病原体感染組織へ、注射によって、または他の方法で直接的に投与することを意味する。好ましい実施態様において、患者に投与した全ての同種細胞は、同じ供給源由来である。好ましくは、同種細胞を、組織の切除後約2および約24時間の間に投与する。固形または転移性腫瘍の処置において、特に前立腺、乳房、骨、肝臓、肺、または腎臓に存在する腫瘍病変を有する患者において、この方法は特に有用である。
【0016】
最初のアリコートによって導入された同種細胞に対するTh1免疫に対して患者がプライミングされたという事実のために、同種細胞の2番目のアリコートの導入のときに、患者が、同種細胞の拒絶を引き起こす、強い遅延型過敏症(DTH)反応を生じることが望ましい。抗同種抗原DTH反応の傍観者効果は、損傷組織からの抗原を回収および処理するDCの成熟および流入領域リンパ節(draining lymph node)への遊走を引き起こすようにはたらく「危険シグナル」を産生し得る。組織損傷の導入およびDTH拒絶反応の組み合わせは、炎症性の環境を産生し得、それは損傷組織から放出された抗原に対するTh1免疫を引き起こす。
【0017】
治療過程によって引き起こされた炎症の一般的な状態は、DCが損傷組織における抗原に対するTh1免疫に対してT細胞をプログラムすることを引き起こすようはたらき得、それは腫瘍または病原体感染細胞に対する全身性の適応免疫反応を引き起こし、そして腫瘍および病原体による免疫回避メカニズムを無能にする。適応免疫によって(by adaptive immunity)とは、抗原への曝露後に、患者の防御がBおよびT細胞によって媒介されること、およびそのような防御が特異性、多様性、記憶、および自己/非自己の認識を示すことを意味する。そのような適応免疫は、患者において全身性である。適応免疫は、非特異的でありそして抗原への曝露前に存在する自然免疫から区別される。
【0018】
いくつかの実施態様において、切除に続く同種細胞の投与が、望ましい反応を生じるために十分であり得る。言い換えると、同種細胞の最初のアリコートによる患者のプライミングを省略し得る。これらの実施態様において、腫瘍由来または病原体が感染した組織を切除し、続いて同種細胞のアリコートを注射する。
【0019】
本発明はまた、癌性細胞または感染組織を有する患者にワクチン接種する方法を含む。この方法を、好ましくは血液悪性腫瘍(例えば慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、および非ホジキンリンパ腫)またはウイルス感染疾患(例えばBまたはC型肝炎、ヘルペス、HIV)、および侵された病変が切除のために容易に評価し難い他の異常を有する患者のために使用する。
【0020】
その方法は、まず同種細胞の最初のアリコートを注入することによって、患者を「プライミング」してTh1抗同種抗原免疫記憶を発達させることを含む。同種細胞の注入が、同種細胞に対して反応するよう患者の免疫系を刺激することが望ましい。患者の免疫系が抗同種記憶を形成するのを可能にするまで時間を経過させる。いくつかの実施態様において、適当なTh1免疫記憶を発達させるために、患者は同種細胞の追加免疫を必要とし得る。
【0021】
次の工程は、患者に癌性細胞または感染組織由来の抗原を含む自己溶解物を含む、抗原性組成物を注射することを含む。この組成物はまた、同種細胞のアリコート、すなわちプライミング工程で使用した同種細胞と同じ供給源由来の同種細胞を含む。抗原性組成物の注射は、患者において拒絶反応を生じ得、そして抗原に対する遅延型過敏症反応を刺激し得る。
【0022】
未熟な樹状細胞を含むスカベンジャー細胞は、自己溶解物由来の抗原をピックアップし得る。同種細胞は、抗原に対するTh1免疫のプライミングのために樹状細胞の成熟を引き起こし得る。患者が、プライミング工程の間に同種細胞の最初のアリコートによって導入された、同種細胞に対するTh1免疫にプライミングされたという事実のために、自己溶解物による同種細胞の導入のときに、患者が強力なDTH反応を起こすことが望ましい。
【0023】
処置工程によって引き起こされる一般的な炎症の状態は、DCがT細胞を自己溶解物中の抗原に対するTh1免疫にプログラムするようはたらき得、それは腫瘍または病原体感染細胞に対する全身性の適応免疫反応を引き起こし、そして腫瘍および病原体媒介の免疫回避メカニズムを不能にする。
【0024】
本発明はまた、弱い免疫原性の、または非免疫原性の腫瘍の免疫原性を増強する方法、および免疫反応を、非保護的免疫反応(例えばTh2反応)から、保護免疫反応(例えばTh1)に偏向させる方法を提供する。そのような疾患は、例えば全ての型の癌、および様々な病原体(例えば肝炎ウイルス、アスペルギルスのような真菌感染、HIV、マラリア、腸チフス、コレラ、ヘルペスウイルス、クラミジア、およびHPV)による感染によって引き起こされる疾患を含む。
【0025】
本発明はまた、患者において腫瘍または病原体を処置するための治療的組成物を含む。その治療的組成物は、好ましくはプライミング組成物および抗原性組成物を含む。プライミング組成物は、一般的に同種細胞を含み、それを患者に注射して、同種Th1免疫を誘発する方式で、患者の免疫系による拒絶反応を生じる。
【0026】
抗原性組成物は、腫瘍または病原体感染組織由来の抗原性物質、および同種細胞のアリコートを含む。好ましい実施態様において、その抗原性物質は、癌性細胞または感染組織由来の抗原を含む、自己溶解物である。抗原性物質は、腫瘍または病原体感染組織の組織ネクローシス由来であり得る。好ましくは、抗原性物質は、腫瘍または病原体感染組織の切除由来である。切除を、インビボまたはエキソビボで行い得る。いくつかの実施態様において、抗原性物質は、腫瘍または病原体感染組織から、組織の切除時に放出される熱ショックタンパク質を含む。
【0027】
抗原性組成物はまた、同種細胞を含む。抗原性物質および同種細胞を、一緒に組み合わせ得る、または別に包装し得る。抗原性物質および同種細胞を含む抗原性組成物は、患者に注射した場合、拒絶反応を生じ得、そして抗原に対する遅延型過敏症反応を刺激し、それによって患者における全身性の抗腫瘍または抗病原体免疫の刺激に対するアジュバントとして作用する。
【0028】
治療的組成物は、プライミング組成物および抗原性組成物によって産生された反応に対するアジュバントとして作用する、他の成分を含み得る。プライミング組成物および抗原性組成物は、一般的に治療的組成物において見出される他の成分、例えば保存剤を含み得る。これらの成分の追加は、本発明の範囲内である。
【0029】
いくつかの実施態様において、治療的組成物は、抗原性組成物のみを含み得、そしてプライミング組成物を含まない。抗原性組成物が、望ましい免疫反応を得るために十分であり得る。
【0030】
本発明はまた、腫瘍または病原体に対する患者のためのワクチンを含む。そのワクチンは、好ましくはプライミング組成物および抗原性組成物を含む。プライミング組成物は、一般的に同種細胞を含み、それを患者に注射して、同種Th1免疫を誘発する方式で、患者の免疫系による拒絶反応を生じさせる。
【0031】
抗原性組成物は、腫瘍または病原体感染組織由来の抗原性物質、および同種細胞のアリコートを含む。好ましい実施態様において、その抗原性物質は、癌性細胞または感染組織由来の抗原を含む、自己溶解物である。抗原性物質は、腫瘍または病原体感染組織の組織ネクローシス由来であり得る。好ましくは、抗原性物質は、腫瘍または病原体感染組織の切除由来である。切除を、インビボまたはエキソビボで行い得る。いくつかの実施態様において、抗原性物質は、腫瘍または病原体感染組織から、組織の切除のときに放出される熱ショックタンパク質を含む。
【0032】
抗原性組成物はまた、同種細胞を含む。抗原性物質および同種細胞を、一緒に組み合わせ得る、または別に包装し得る。抗原性物質および同種細胞を含む抗原性組成物は、患者に注射した場合、拒絶反応を生じ得、そして抗原に対する遅延型過敏症反応を刺激し、それによって患者における全身性の抗腫瘍または抗病原体免疫の刺激に対するアジュバントとして作用する。
【0033】
ワクチンは、プライミング組成物および抗原性組成物によって産生された反応に対するアジュバントとして作用する、他の成分を含み得る。プライミング組成物および抗原性組成物は、一般的にワクチンにおいて見出される他の成分、例えば保存剤を含み得る。これらの成分の追加は、本発明の範囲内である。
【0034】
いくつかの実施態様において、ワクチンは、抗原性組成物のみを含み得、そしてプライミング組成物を含まない。抗原性組成物が、望ましい免疫反応を得るために十分であり得る。
【0035】
本発明の治療的ワクチンは、免疫反応を抑制または回避することによって発症および/または持続する癌または慢性ウイルス疾患のような疾患の予防および処置のために有用である。
【0036】
プライミング工程
プライミング工程の目的は、患者において、続く同種抗原への曝露したときに復活し得る、抗同種Th1免疫を産生することである。患者を同種細胞のアリコートに曝露すること、および続いて2番目のアリコートを患者に投与した場合に、免疫記憶から生じる患者の免疫系によって、これら同種細胞が拒絶されることによってプライミングが起こる。患者の注入された同種細胞を拒絶する能力が阻害されるので、および抗同種抗原Th1免疫の発達も阻害するので、好ましくは、患者はプライミングの前に免疫抑制されない。
【0037】
本発明の1つの実施態様において、患者の免疫系を歪めてTh1免疫を産生する。同種細胞の拒絶に対して反応して、Th2免疫ではなくTh1免疫が発達するように、同種細胞を操作することが好ましい。1つの実施態様において、注入した場合にTh1サイトカイン(例えばIFN−γおよびTNF−α)を産生する同種細胞を投与することによって、患者の免疫系を歪めてTh1反応を産生し得る。Th1サイトカインは、同種抗原に対する免疫反応をTh1型の免疫へ歪めることを助け得る。患者の免疫系を、Th1免疫を産生するように歪める他の方法も、本発明の範囲内である。
【0038】
最初に患者をプライミングするために使用した、および次いで後に病変内投与(細胞死の誘導後)のために、または病原体または腫瘍物質の供給源のアジュバントとして使用した同種細胞は、好ましくは同種活性化T細胞、より好ましくは同種活性化CD4+Th1細胞、より好ましくはエフェクターまたはメモリー細胞へ分化し、そして高レベルのIL−2、IL−15、IFN−γ、TNF−αのような1型サイトカインを産生する、そして好ましくは細胞表面に高密度でCD40L、TRAIL、およびFasLのようなエフェクター分子も発現するが、IL−4または他の2型サイトカインを産生しない同種CD4+T細胞である。自然免疫細胞(例えば樹状細胞、マクロファージおよびNK細胞)のCD40ライゲーションは、高レベルのサイトカインIL−12を誘導する能力を有し、それはCD4+T細胞を、Th1型免疫へ分極させ(polarizes)、CD8+T細胞の増殖を増強し、そしてNK細胞を活性化する。これらの前炎症性の出来事は、患者の免疫系による拒絶のときに、一貫した同種細胞上の同種抗原へのTh1免疫の発達を可能にし得る。
【0039】
プライミング工程において、活性化された同種T細胞を患者に、好ましくは静脈内に投与するが、皮内投与もし得る。同種細胞は、好ましくは故意にHLAミスマッチのドナー由来である。静脈内注入のための同種細胞のアリコートにおいて好ましい投与量は、少なくとも約1×10細胞、およびより好ましくは約1×10から1×1010細胞の間である。免疫反応を主に生じ得る、この範囲外の同種細胞の投与量も、本発明の範囲内である。
【0040】
冒された組織の切除または抗原性組成物の投与前に、Th1抗同種抗原免疫の発達に関して、患者を試験することが望ましい。Th1抗同種抗原免疫の発達は、少なくとも約7日間かかり得る。好ましくは、患者に約7日から約14日の間、Th1抗同種抗原免疫を発達させる。Th1抗同種抗原免疫の発達を、例えばELISPOTアッセイによって測定し得る。Th1抗同種抗原免疫の発達に関して患者を試験する他の方法も、本発明の範囲内である。もしTh1抗同種抗原免疫が弱いなら、同種細胞のさらなる追加免疫注射を投与し得る。追加免疫注射を、好ましくは皮内に行って、皮膚において遅延型過敏症(DTH)反応を産生する。
【0041】
同種T細胞の産生
活性化および患者への注入のときに、Th1免疫が患者によって産生され得るように、同種T細胞を産生し得ることが望ましい。抗同種Th1免疫の刺激に必要な性質を有する同種細胞を産生するために好ましい方法は、以下のものを含む:(1)正常なスクリーニングされたドナーから、白血球搬出によって、単核細胞供給源物質を回収する;(2)供給源物質からCD4T細胞を単離する;(3)0、3、および6日目に、固定化抗CD3および抗CD28モノクローナル抗体(mAb)でCD4+細胞を活性化する;(4)9日目に再び固定化抗CD3および抗CD28mAbsで細胞を活性化し、そして細胞を活性化の24時間以内に注入する。
【0042】
細胞死工程
細胞死または細胞損傷は、DCの病変へのリクルートを引き起こし得、そしてDCによる取り込みのための抗原の供給源を提供する。標的組織を、ネクローシスによる死を引き起こす過程によって破壊することが好ましい。ネクローシスによって、かなりの量の細胞内成分が、環境に放出されるような、個々の細胞または細胞のグループの死を意味する。この適用の目的のために、ネクローシスは、冷凍切除、不可逆的エレクトロポレーション、化学療法、放射線治療、超音波治療、エタノール化学切除、マイクロ波熱切除、高周波エネルギーまたはその組み合わせを含む、様々な方法による細胞死を含む。ネクローシスで殺された細胞は、DCのリクルートおよび成熟の原因である障害の内因性シグナルを活性化し、それは健康なまたはアポトーシスで死んだ細胞によっては産生されない刺激である。さらに、これらの刺激に未熟なDCを曝露することは、局所および全身性Th1免疫を開始するために決定的な、成熟シグナルを提供する。
【0043】
1つの好ましい実施態様において、ネクローシスによる死を引き起こすために、標的組織を凍結することが好ましい。冷凍手術は、液体窒素またはアルゴンガスの適用によって、組織のネクローシスを誘導し得る、よく照準を合わせた、そしてコントロールされた手順である。冷凍手術中および後に起こる生物学的な変化が、インビトロおよびインビボで研究された。細胞の凍結および解凍後に発症する血管のうっ滞によって、組織の損傷およびネクローシスが誘発される。凍結手術(インサイツ凍結)は、凍結組織の自己抗原に対して特異的な免疫反応を産生し得る、抗原性刺激(抗原の非経口投与によって得られるものに匹敵する)を誘発することが知られていた。
【0044】
冷凍切除は、DCによる抗原処理のために、ペプチドを溶解した腫瘍または病原体感染細胞から放出させ得、そして前炎症性サイトカイン環境を産生する。IL−1、IL−2、TNF−α、IFN−γ、およびGM−CSFのような、冷凍切除後に放出されるサイトカインは、癌または病原体感染細胞を破壊し得る免疫反応に必須である、T、NK、およびランゲルハンス細胞を活性化し得る。
【0045】
別の好ましい実施態様において、ネクローシスによる死を引き起こすために、標的組織に不可逆的エレクトロポレーションを行うことが好ましい。不可逆的エレクトロポレーションは、組織切除技術であり、ここでマイクロからミリ秒の電気パルスが組織に送達されて、不可逆的な細胞膜の透過処理によって細胞のネクローシスを生じる。不可逆的エレクトロポレーションにおいて、電極間の細胞の細胞膜は破壊され、細胞のネクローシスを引き起こす。不可逆的エレクトロポレーションは、DCによる抗原処理のために、抗原の溶解腫瘍または病原体感染細胞からの放出を引き起こし得、そして前炎症性サイトカイン環境を産生する。
【0046】
抗原の供給源を産生する別の好ましい方法は、死んだ感染組織または腫瘍から、熱ショックタンパク質(HSP)としても知られている、自己シャペロンタンパク質を単離することである。HSPは、細菌、真菌および寄生虫病原体への免疫反応の主な標的に含まれる。細胞外環境におけるあるシャペロンも、そのポリペプチドを介添えする能力、および宿主の免疫系、特に専門の抗原提示細胞と相互作用する能力のために、自然および適応免疫を調節し得る。腫瘍由来の熱ショックタンパク質によるワクチン接種は、抗腫瘍反応を誘発することが示された。現在の研究は、HSPの免疫原性は、それらが結合する抗原性ペプチド由来であることを示す。
【0047】
抗原供給源として使用するためのシャペロンタンパク質を単離する好ましい方法は、Katsantisによって、米国特許第6,875,849号において記載されている。さらなる方法が、Srivastavaによって、米国特許第6,797,480;6,187,312、6,162,436;6,139,841;6,136,315;および5,837,251号において記載されている。
【0048】
アジュバント工程
アジュバント工程の目的は、DCの成熟を引き起こして、死んだ標的組織を含む病変において取り込まれた抗原に対するTh1免疫を刺激することである。これを、同じ同種細胞、すなわち患者をプライミングするために使用したものと同じ起源の同種細胞の注射によって達成し得る。この同種細胞のアリコートを、好ましくは病変内に、すなわち冷凍切除によって、または他の細胞死の方法によって引き起こされたネクローシス病変に直接注射する。あるいは、シャペロンタンパク質を抗原の供給源として使用する場合、患者をプライミングするために使用した同じ同種細胞を、シャペロンタンパク質と共に、好ましくは皮内に注射する。望ましい免疫反応を生じるための同種細胞の投与量は、一般的に、少なくとも約1×10細胞、およびより好ましくは約1×10から1×1010細胞の間である。望ましい免疫反応を生じ得る、この範囲外の同種細胞の投与量も、本発明の範囲内である。同種細胞の調製は、上記で述べたものと同じである。
【0049】
免疫反応を開始し、そして免疫系が自己組織に対して有する天然の寛容を克服するために、ネクローシス細胞死の後に放出された、またはシャペロンタンパク質と結合した抗原は、DCによって取り込まれ、そして「危険」のシグナルを出す免疫活性化成分と共に提示されなければならない。同種細胞に対する記憶免疫反応が、この「危険」を産生する。
【0050】
未熟DCと呼ばれる組織常在性DCは、環境からAgを捕捉し得るが、T細胞を刺激が欠けている。病原体感染および続く炎症性反応に反応して、DCは成熟と呼ばれる分化過程を経験し、これによってそれらは流入領域リンパ節に遊走する能力をアップレギュレートし、そして捕捉した抗原をT細胞へ提示する。Th1CD4T細胞およびCTLを活性化するために、DCは多くの成熟/分化刺激を統合しなければならない。病原体または腫瘍と遭遇する部位において、病原体または腫瘍由来の決定基、前炎症性サイトカイン、および/または細胞破片への曝露は、成熟過程の第一段階を誘発する。これは、同時刺激分子およびケモカイン受容体のアップレギュレーションを含み、これによってDCはそれぞれ抗原をT細胞へ提示し、そしてリンパ節へ遊走する能力を得る。リンパ節において、同族CD4T細胞の遭遇は、DCにさらなる分化刺激を与え、それは活性化T細胞の生存およびCD4T細胞の分極(polarization)を調節する。
【0051】
DCの成熟は、抗原の取り込み部位で起こり、そして拒絶反応の復活は、DC成熟、リンパ節への遊走、および病変において取り込まれた抗原に対するTh1免疫のプログラミングに必要な、適当な炎症性危険シグナルを提供するためのアジュバントとしてはたらく。
【実施例】
【0052】
動物
Balb/cマウスが宿主であり、そしてC57Bl/6(B6)マウスをTh1細胞の供給源として使用した。全てのマウスは6から10週齢であり、Hadassah−Hebrew University Medical Centerの特定の病原体を含まない施設で維持し、そして認可された動物プロトコールで処置した。
【0053】
同種Th1記憶細胞の調製
オスC57BL/6マウス由来の脾臓細胞を採取し、そして赤血球の溶解のために塩化アンモニウム−カリウム(ACK)緩衝液で処理した。脾臓あたり約7千万−1億個の細胞を単離した。次いでMSカラム(Miltenyi Biotec、Germany)上のCD4免疫磁性粒子を用いて、ポジティブセレクションによってCD4+T細胞を精製し(純度>98%)、約800万−1200万個のCD4細胞が、50−60%の収率で単離された。Th1記憶細胞を、最初のビーズ:CD4細胞比が3:1で、抗CD3および抗CD28でコートした常磁性ビーズ(CD3/CD28T細胞エキスパンダービーズ、Dynal/Invitrogen)による増殖によって産生した。精製CD4細胞を、20IU/mLの組換えマウス(rm)IL−2、20ng/mLのrmIL−7、および10ng/mLのrmIL−12(Peprotech、New Jersey)および10μg/mLの抗マウスIL−4mAb(Becton Dickenson)と共に、10%のFBS、ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン、非必須アミノ酸(NEAA)(Biological Industries、Israel)および3.3mMのN−アセチルシステイン(NAC;Sigma)を含むRPMI1640培地(完全培地)中でインキュベートした。さらなるサイトカインを含む、rmIL−2およびrmIL−7を含む完全培地を、CD4培養に、3日から6日目に毎日加えて、細胞濃度を0.5および1×10細胞/mLの間に維持した。さらなるCD3/CD28ビーズを、3日から6日目に毎日加えた。加えたビーズの数を計算して、細胞が増殖するときに1:1のビーズ:細胞比を維持した。培養6日後、CD4細胞は約80から100倍に増殖し、そして同細胞を回収し、および物理的破壊および磁石上を通過させることによってビーズをはずした(debeaded)。実験で使用した、回収細胞の表現型は、>95%CD4+、CD45RO+、CD62Llo、IFN−α+およびIL−4−であった。
【0054】
CD3/CD28ナノビーズの調製
ビオチン化マウス抗CD3および抗CD28mAb(BD Pharmingen)をそれぞれ、25μg/mlの最終濃度まで、400μlのPBS中で希釈し、そして次いで1:1の比で混合して最終的な容量を800μlにした。20μlのストレプトアビジンでコートしたナノビーズ(Miltenyi、Germany)を洗浄し、そしてPBS中で200μlの最終容量まで希釈した。800μlのCD3/CD28mAb溶液および200μlの希釈したナノビーズを、次いで混合して、全容量1ml中、それぞれのmAbの最終濃度を10μg/mlにした。混合物を、RTで30分間、回転混合装置に置いた。mAbが結合したナノビーズを、次いで磁石上でMSカラム(Miltenyi、Germany)に通過させ、そして十分に洗浄した。次いで保持されたナノビーズをカラムから放出し、そして200μlのPBSに再懸濁した。該ナノビーズは、未処理のT細胞を活性化することができなかった。従って、このナノビーズを、CD3/CD28T細胞エキスパンダービーズ(Dynal、Norway)で6日前に前活性化しておいた、回収したTh1記憶細胞に対して滴定した(tittered)。バッチによってわずかな変動はあったが、一般的に20μl/10細胞が、以前に活性化されたTh1記憶細胞の最適な活性化を提供することが見出された。
【0055】

CD3/CD28架橋
活性化Th1記憶細胞の注入を必要とする実験において、回収したTh1細胞を、注入の前に、前もって滴定した(pre−tittered)濃度のCD3/CD28結合ナノビーズとインキュベートした。最適な活性化のために、細胞をナノビーズと最低4時間、および最大18時間インキュベートしなければならなかった。最適な活性化は、IFN−αの産生および細胞表面上のCD40LおよびFasLのアップレギュレーションを引き起こした。これらの実験に関して、CD3/CD28架橋Th1記憶細胞の全ての注入は、プレインキュベーションの4−8時間後に起こった。あらゆる結合していないナノビーズを除去するために、注入の前に細胞を十分に洗浄した。これらの実験で使用した架橋Th1記憶細胞は、FasLおよびCD40Lを細胞表面に発現し、そして2000ng/ml/10細胞/6hを超えるIFN−α、そして10細胞/6hあたり20pg/mlより少ないIL−4を産生した。CD3/CD28架橋を有さないTh1記憶細胞は、サイトカインを産生せず、またはFasLまたはCD40Lを発現しなかった。
【0056】
寒冷療法
寒冷療法を、直径3mmの球状の亜酸化窒素クリオプローブで行った。該気体を50バールの圧力に維持し、そしてジュール−トムソン効果は組織において−30から−40℃の範囲の温度を達成することを可能にした。腫瘍の中央に切開をし、クリオプローブを腫瘍と接して置いた(それを1−2mmの深さに挿入した):その目的はそれを凍結することによって影響を与えるが完全には破壊しないことであった。迅速な凍結(20秒間続く)に続く遅い解凍の3サイクルを行った。病変の中心でアイスボールが産生され、そして全腫瘍体積の約3分の2に達した。
【0057】
エレクトロポレーション:
実施例1
同種Th1細胞の、広範囲の転移性疾患において全身性抗腫瘍免疫を刺激する能力を試験するために、以下のプロトコールを試験した。BCL1白血病、4T1乳癌および3LL肺癌を含む腫瘍細胞の致死的投与量を、0日目にマウスに静脈内注入し、そして腫瘍細胞を皮内にも注射して固形腫瘍塊を確立した。7日目に、マウスに1×10投与量の同種Th1細胞を与えた。14日目に、(a)生理食塩水;(b)生理食塩水+腫瘍の部分的冷凍切除;(c)10細胞の投与量における同種Th1細胞;または(d)同種Th1細胞+腫瘍の部分的冷凍切除のいずれかの注射によって、マウスを腫瘍内で処置した。90日目に生存している動物の結果を下記に示す(n=10):
【0058】
【表1】

実施例2
固形腫瘍を有する患者の治療が、本発明によって利益を得るかどうかを調査するために、上記の実験デザインを、固形腫瘍塊を生じる腫瘍の皮内注射のみを受けた動物において繰り返した。その結果は、転移性疾患を有する動物で得られたものと同様であった。
【0059】
【表2】

Th1細胞と冷凍切除の組み合わせは、高い治癒率を生じる。寒冷療法は、腫瘍をネクローシスによって殺し、それはアポトーシスによる死(化学療法によって引き起こされる死の型)よりも、より病理学的な細胞死の型であると考えられる。寒冷療法は、腫瘍をより免疫原性にし、そして従って同種Th1細胞とネクローシス腫瘍細胞死の組み合わせは、全身性の抗腫瘍免疫を引き起こす腫瘍ワクチンの型を産生すると考えられる。
【0060】
本発明は、好ましい実施態様に関して記載されたが、当業者は、本発明の意図および範囲から離れることなく、形式および詳細において変更をし得ることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における腫瘍または病原体を処置するための治療組成物であって、該治療組成物は、腫瘍抗原または病原体抗原および同種細胞のアリコートを含む抗原性組成物を含み、ここで、該抗原性組成物は、該組成物中の抗原の取り込みに対するアジュバントととして働く免疫応答を生成し、それによって、該患者の抗原提示細胞の続く成熟は、抗腫瘍免疫または抗病原体免疫を全身的に刺激する、治療組成物。
【請求項2】
前記組成物中の前記腫瘍抗原が、前記腫瘍のネクローシスに由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中の前記病原体抗原が、前記病原体感染組織のネクローシスに由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
プライミング組成物をさらに含む、請求項1に記載の組成物であって、該プライミング組成物は、前記同種細胞のアリコートを含む、組成物。
【請求項5】
前記プライミング組成物の前記同種細胞が、静脈内に投与される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記プライミング組成物の前記同種細胞が、皮内に投与される、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記同種細胞が活性化T細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記同種細胞のアリコートが、約1×10個と約1×1010個との間の細胞を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記同種細胞がTh1サイトカインを産生する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記患者の免疫系が、約7日間〜約14日間の間に抗同種Th1免疫記憶を形成することが可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
切除後に注射された前記同種細胞が、病変内に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
腫瘍または病原体に対する患者のためのワクチンであって、該ワクチンは、該腫瘍または該病原体由来の抗原性物質および同種細胞のアリコートを含む抗原性組成物を含み、該患者への該抗原性組成物の投与は、拒絶反応を生成し、該抗原に対する遅延型過敏症反応を刺激し、それによって、該患者における全身性の抗腫瘍免疫または抗病原体免疫の刺激に対するアジュバントとして作用する、ワクチン。
【請求項13】
プライミング組成物をさらに含む請求項12に記載のワクチンであって、該プライミング組成物は、前記同種細胞のアリコートを含む、ワクチン。
【請求項14】
前記組成物中の前記腫瘍抗原が、前記腫瘍のネクローシスに由来する、請求項12に記載のワクチン。
【請求項15】
前記組成物中の前記抗原が、前記病原体感染組織のネクローシスに由来する、請求項12に記載のワクチン。
【請求項16】
前記プライミング組成物の前記同種細胞が、静脈内に投与される、請求項13に記載のワクチン。
【請求項17】
前記プライミング組成物の前記同種細胞が、皮内に投与される、請求項13に記載のワクチン。
【請求項18】
前記同種細胞が活性化T細胞である、請求項12に記載のワクチン。
【請求項19】
前記同種細胞のアリコートが、約1×10個と約1×1010個との間の細胞を含む、請求項12に記載のワクチン。
【請求項20】
前記同種細胞がTh1サイトカインを産生する、請求項12に記載のワクチン。

【公表番号】特表2010−509337(P2010−509337A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536306(P2009−536306)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/023616
【国際公開番号】WO2008/133651
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(505469791)イミュノバティブ セラピーズ, リミテッド (8)
【Fターム(参考)】