説明

刈払機

【課題】 グリップを把持する力が減少することなく高速回転スイッチの操作が極めて簡単に行える刈払機を提供する。
【解決手段】 ハンドル14の把持部20にモータを起動するトリガーレバー22を設けた刈払機10において、トリガーレバー22に高速回転スイッチ23を設けた構成とした。また、把持部20のグリップ20aとトリガーレバー22を手で握ったときに高速回転スイッチ23のすぐ下に人差し指が位置する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンドルの把持部に刈払機を駆動するモータを起動するトリガーレバーを設けた刈払機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、芝や雑草等の草葉を刈るのに用いられる装置として刈払機が知られている。図4は特許文献1に開示の電動刈払機のハンドルの一端に設けられた把持部100であり、グリップ140とともに電源スイッチ110と安全スイッチ120を同時に手で握ることにより電動刈払機のモータが回転するようになっている。細い草の中に太い草がある場合は、高速回転スイッチ130を親指で操作することにより、モータを高速回転させることができるというものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4071242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の構成では、高速回転スイッチ130を親指で操作するために親指をグリップ140から離さなければならないから、グリップ140を把持する力が減少しハンドル操作が不安定になり望ましくなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、グリップを把持する力が減少することなく高速回転スイッチの操作が極めて簡単に行える刈払機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、ハンドルの把持部にモータを起動するトリガーレバーを設けた刈払機において、トリガーレバーに高速回転スイッチを設けた構成とした。また、把持部のグリップとトリガーレバーを手で握ったときに高速回転スイッチのすぐ下に人差し指が位置する構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記の構成としたので、高速回転スイッチの操作が極めて簡単に行え、高速回転スイッチの操作中にハンドルの把持力が変わらない刈払機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明にかかる刈払機の全体構成を説明するための外観図である。
【図2】把持部の正面図である。
【図3】把持部の内部を説明するための断面図である。
【図4】従来の電動刈払機の把持部である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
以下の説明では、説明の便宜のために刈払機10の使用状態に応じた方向を定義することとする。すなわち、図1にて図示するように、刈刃部13が設置される側を「前」、駆動部11側を「後」、と呼ぶこととする。
【0011】
本実施形態に係る刈払機10は、長手方向に延びる軸体形状にて形成される操作棹12と、操作棹12の一端側である前側に設置される刈刃部13と、操作棹12の他端側である後側に設置されるとともに、ハウジング11aの内部に駆動源としての図示しないモータとバッテリーを備える駆動部11と、操作棹12の長手方向の中間部に設置されるハンドル14とを備えている。
【0012】
操作棹12は、中空棒状のパイプ部材により構成されており、その内部には、不図示の従動軸が回転自在な状態にて内蔵されている。操作棹12の前側先端には刈刃部13が取り付けられており、刈刃部13のホルダ13aには外周面に複数の鋸刃状の刃部が形成された円板状をした金属製の不図示の刈刃が回転自在に取り付けられている。ホルダ13aは従動軸の回転運動に応じて回転し、草葉等の刈払いを実施できるようになっている。また、刈刃の後方直近部には、刈刃の一部を覆うように防護カバー13bが設けられており、刈払い時に発生する飛散物の後方への飛散を防ぐことで、作業者の安全が確保されている。なお、刈刃については、円板状をした金属製のものに代えて、セラミックス製のものや、回転中心から放射状に延びる複数本の紐からなるものなど、あらゆる形式の刈刃を採用することが可能となっている。
【0013】
図1乃至図3に示すように、ハンドル14には、把持部20と左グリップ21が取り付けられている。把持部20にはモータを起動するトリガーレバー22が配置され、不図示の配線コードによってハウジング11a内のモータを制御すべく配線されている。15は図示しない肩掛けベルトを取付けることのできるホックである。
【0014】
グリップ20a、保護部20bで構成される把持部20は、樹脂等で成形された半割り部材を重ね合わせ、通常金属で作られるハンドル14の先端に図示しないボルト等で取り付けられている。グリップ20aにはトリガーレバー22が配置され、グリップ20aとトリガーレバー22の指掛け部22cとを手で握り締めることにより、トリガーレバー22は不図示のスプリングに抗して支軸22aを中心にして回動しグリップ20a内へ入り込み、トリガーレバー22の突起22bがマイクロスイッチ22dをオンするよう構成されている。マイクロスイッチ22dは不図示の配線コードによりハウジング11a内の不図示のモータコントローラに接続されており、マイクロスイッチ22dのオンによりモータが始動するよう構成されている。26はロックボタンであり、トリガーレバー22を誤って作業者が操作してしまわないようにトリガーレバー22の動きを規制しており、指で押し込むことにより規制を解除することができるようになっている。27は起動ボタンであり、これも安全のために取り付けられており、このボタンを押さないとトリガーレバー22を操作してもモータが始動しないようにモータコントローラが機能するものである。モータが始動すれば起動ボタン27に指を掛けておく必要はなく、通常指を離して作業を行う。
【0015】
23は高速回転スイッチであり、トリガーレバー22の上部内に収容され、指掛け部22cと隣接した位置に設けられている。高速回転スイッチ23からの不図示の配線コードもモータコントローラに接続され、マイクロスイッチ22dがオンしているとき高速回転スイッチ23がオンするとモータが高速回転するようモータコントローラにより制御される。グリップ20aとトリガーレバー22を手で握り締める場合、親指はグリップ20aに掛け、他の指はトリガーレバー22の指掛け部22cに掛けるが、人差し指は高速回転スイッチ23のすぐ下(図2における下方)に位置するよう構成されているので、自然な形で人差し指を少し移動させるだけで高速回転スイッチ23に人差し指を掛けたり外したりすることが可能である。このように高速回転スイッチ23がトリガーレバー22の一部に配置されているので、高速回転スイッチ23の操作において、指をグリップ20aやトリガーレバー22から離す必要がなく、グリップ20aおよびトリガーレバー22を把持する力が減少せず、ハンドル操作が不安定になることはない。
【0016】
24は表示部であり、複数(図2では6つ)のLEDがバッテリーの残容量やモータの状態を表示するようにモータコントローラにより制御される。24aはLEDを搭載する基板であるが、図3ではLEDは省略されている。バッテリーの残容量の表示では、3つのLEDが使用され、3つ点灯すれば残容量は100%に近く、2つ点灯すれば50%ぐらいで、1つ点灯すれば20%以下であることを表す。また、モータの状態表示のために、モータに通電されているかどうかを表示する通電ランプ、過負荷保護機能が作動してモータが停止していることを表示する過負荷保護機能作動ランプ、温度保護機能が作動してモータが停止していることを表示する温度保護機能作動ランプなどが配置されている。
【0017】
16は配線コードを保護するためのポリプロピレン等のチューブであり、把持部20内の不図示の配線コードはチューブ16によって保護されてハウジング11aへ配線されている。
【0018】
以上のように構成された刈払機10で草刈り作業を行う場合には、作業者は、ホック15に取付けられた図示しない肩掛けベルトを肩に掛け回すとともに、ハンドル14が備える把持部20と左グリップ21を両手で把持することにより、刈払機10を自在に操ることが可能となる。
【0019】
次にモータを起動して刈刃を回転させるのであるが、そのためには、作業者は手で把持部20のグリップ20aを握り、ロックボタン26を親指で押し込み、次いで起動ボタン27を親指で押しグリップ20aとトリガーレバー22を同時に握り締めればよい。トリガーレバー22は作業者の握力によってスプリングの付勢力に抗してグリップ20a内へ移動し、トリガーレバー22の突起22bがマイクロスイッチ22dのアクチュエータを押すから、マイクロスイッチ22dがオンし、モータに電流が流れ刈刃が回転を始める。作業者が草刈り作業を中断したい場合は、手の握りを緩めトリガーレバー22を元の位置まで戻せばよい。
【0020】
草刈り作業中に細い草の中に太い草があるような場合には、作業者は高速回転スイッチ23を人差し指で押せばよい。高速回転スイッチ23が押されてオンすると、モータが高速回転するようモータコントローラにより制御されるので、太い草であっても容易に刈り取ることができる。太い草を刈り取った後は高速回転スイッチ23から指を離すことにより通常の速さの回転に戻る。高速回転スイッチ23に指を掛けたり離したりする時、高速回転スイッチ23は人差し指のすぐ上に位置し、トリガーレバー22内に設けられているので、指をグリップ20aやトリガーレバー22から離す必要がなく、グリップ20aおよびトリガーレバー22を把持する力が減少せず、ハンドル操作が不安定になることはない。
【0021】
また、バッテリーの残容量やモータの状態を表示する表示部24が把持部20に設けられているので、従来の刈払機のようにモータのハウジングに設けられ視認することが難しいという問題もなく、作業中いつでも確認できるので便利である。
【0022】
本発明による刈払機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態では、駆動源としてバッテリーで駆動されるモータを利用した刈払機で説明したが、AC電源で駆動されるモータやエンジンを利用した刈払機でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は、刈払機について有用である。
【符号の説明】
【0024】
10 刈払機、11 駆動部、11a ハウジング、12 操作棹、13 刈刃部、13a ホルダ、13b 防護カバー、14 ハンドル、15 ホック、20 把持部、20a グリップ、20b 保護部、21 左グリップ、22 トリガーレバー、22a 支軸、22b 突起、22c 指掛け部、22d マイクロスイッチ、23 高速回転スイッチ、24 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの把持部にモータを起動するトリガーレバーを設けた刈払機において、該トリガーレバーに高速回転スイッチを設けたことを特徴とする刈払機。
【請求項2】
該把持部のグリップと該トリガーレバーを手で握ったときに該高速回転スイッチのすぐ下に人差し指が位置することを特徴とする請求項1記載の刈払機。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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