説明

刈払機

【課題】 本発明の課題は、作業者が刈払作業の姿勢のまま枯れ枝等の障害物を移動除去することを可能とし、刈払作業効率の低下防止と作業者の疲労軽減および先端工具が障害物に接触し破損することを防止するものである。
【解決手段】 上記課題はエンジン刈払機の操作棹に固定されている刈刃カバーの後方に位置する操作棹の下部に湾曲しながら後方に伸びる形状の障害物引き寄せフォークを設け、また回転駆動するある刈刃に接触しないよう湾曲しながら前方に伸びる形状の障害物押し退けフォークをギヤケースに設けることにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,内燃エンジンを搭載するエンジン刈払機に関するもので、特には刈払作業範囲上に落ちている枯れ枝等の障害物の移動除去に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述のような刈払機では、参考文献1に示すように、駆動源としてエンジンやモータを搭載したものが知られている。従来の刈払機としてエンジンを駆動源とした刈払機を図6及び図7を参照して説明する。図6のように作業者が両手でハンドル2を保持し、操作棹3および回転駆動する刈刃6を左方に振ることで刈払作業範囲上の雑草等の被削物12を切断および刈り取る刈り払い作業を行っているが、刈払作業範囲上に枯れ枝等の障害物11が落ちている場合において両手でエンジン刈払機を保持した刈払作業姿勢のまま、枯れ枝等の障害物11を移動除去するための機能は設けられていないため枯れ枝等の障害物11が邪魔になり下にある雑草等の被削物12は刈り取ることが出来なかった。また枯れ枝等の障害物11の周囲付近に生えている雑草等の被削物12を刈り取る場合、回転駆動する先端工具の刈刃6が枯れ枝等の障害物11と接触し刈刃6が破損することや、回転駆動する刈刃6により枯れ枝等の障害物11が飛散する可能性があった。そのため枯れ枝等の障害物11の下および周囲付近の雑草等の被削物12を刈り取る場合は、その度にエンジンを停止し、ハンドル2から手を離し腰を屈め直接手で掴んで枯れ枝等の障害物11を移動させ、その後に雑草等の被削物12を刈り取る必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−259721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエンジン刈払機では、刈払作業効率の低下と作業者の疲労増大の原因となっていた。
【0005】
本発明の目的は、作業者が刈払作業姿勢のまま枯れ枝等の障害物を移動除去することを可能とし、刈払作業効率の低下防止と作業者の疲労軽減および先端工具の破損防止を図ることができる刈払機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、駆動源と、前記駆動源の出力により回転駆動する先端工具が着脱可能に設けられる先端工具取付部と、前記先端工具取付部が一端側に設けられ、他端側にハンドルが設けられた操作棹と、を備えた刈払機において、前記操作棹の一端側に、前記先端工具の回転平面より下方に突出する爪状部材を設けたことにより達成することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エンジン刈払機の操作棹先端で回転駆動する先端工具である刈刃より下方に突出するように枯れ枝等の障害物を移動除去するための爪状部材を設けることにより、刈払作業中に刈払作業範囲上に落ちている枯れ枝等の障害物を、エンジン刈払機を両手で保持した刈払作業姿勢のまま回転駆動する刈刃を障害物に接触させずに移動除去することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による障害物引き寄せフォークを後方下向きに取り付けた刈払機の先端工具取付部近傍の側面図。
【図2】本発明による障害物を引き寄せて移動の状況図。
【図3】本発明の別の実施形態である障害物押し退けフォークを前方に取り付けた刈払機の先端工具取付部近傍の側面図。
【図4】本発明による障害物押し退けフォークを前方に取り付けた刈払機の先端工具取付部近傍の上面図。
【図5】本発明による障害物を押し退けて移動の状況図。
【図6】内燃エンジンを搭載したエンジン刈払機の全体図
【図7】刈払機の先端工具取付部近傍の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明による障害物引き寄せフォーク7を後方下向きに取り付けた先端工具取付部近傍の側面図。図2は本発明による障害物を引き寄せ移動の状況図。図3は本発明による障害物押し退けフォーク8を前方に取り付けた先端工具取付部近傍の側面図。図4は本発明による障害物押し退けフォーク8を前方に取り付けた先端工具取付部近傍の上面図。図5は本発明による障害物を押し退け移動の状況図である。
【0010】
刈払機の全体構成については図6及び図7に示す通りであり、同一の説明は省略する。本発明の実地形態の特徴的な部分を図1〜図5により説明する。
【0011】
図1に示すように、操作棹3の先端にギヤケース4が設けられ、ギヤケース4の下部に内燃エンジン1の駆動力によって回転駆動する先端工具である刈刃6が取り付けられ、刈刃6を保護する刈刃カバー5がギヤケース4の後方の位置で操作棹3に取り付けられている。上記刈刃カバー5後方には、下向きに湾曲しながら後方に伸びる障害物引き寄せフォーク7(爪状部材)が固定ボルト9と固定ナット10により操作棹3下部に固定されている。
【0012】
フォーク7は、鋼材の曲げ加工によって形成され、操作棹3の先端側に向かう方向とは逆側に折返されると共に、略L字状に形成されている。固定部には、操作棹に沿った湾曲面と固定ボルト9が挿通する2箇所のボルト穴を備える取付部が形成され、操作棹3に開けられた対応する二箇所のボルト穴に位置合わせし、固定ボルト9が各々を貫通し、固定ナット10により締め付けることにより位置決め固定される。フォーク7は、操作棹3に固定された状態で、刈刃カバー5の形状に略沿うように設けられ、操作棹3への固定に加えて刈刃カバー5によっても支持され、曲げや撓みを抑制することができるようになっている。
【0013】
また、フォーク7は、操作棹3に固定されかつ刈刃6が水平となる角度の状態において、障害物引き寄せフォーク7の先端が一般的な刈刃6の外径より外側に位置すると共に、回転平面より下の位置に突出するように設けられている。
【0014】
上記構成において図2に示すように、刈払作業中において刈払作業範囲上に枯れ枝等の障害物11が落ちていて邪魔になり、枯れ枝等の障害物11の下および周囲付近に生えている雑草等の被削物12を刈り取ることが出来ない状況において、作業者は両手でエンジン刈払機のハンドル2を保持する刈払作業姿勢のまま、障害物引き寄せフォーク7の先端を枯れ枝等の障害物11に引っ掛け、後方に引き寄せることにより障害物引き寄せフォーク7に引っ掛かった枯れ枝等の障害物11を既に刈払作業を行なった手前の場所に移動することにより、作業者は両手をハンドル2から離すことなく、また腰を屈めることもなく枯れ枝等の障害物11の下または周囲付近に生えていた雑草等の被削物12の切断および刈り取りを行なうことができ、また回転駆動する刈刃6が枯れ枝等の障害物11と接触し刈刃6が破損することや、回転駆動する刈刃6により枯れ枝等の障害物11が飛散することを抑制できる。
【0015】
次に本発明の別の実施形態について説明する。本実施形態においては、図3および図4に示すように、刈刃6に接触しないように下向きに湾曲しながら前方に伸びる障害物押し退けフォーク8(爪状部材)がギヤケース4に固定ボルト9によって固定されている。
【0016】
フォーク8は、鋼材の曲げ加工によって形成され、先端に向かって先細りの形状となっている。フォーク7は一般的な外径の刈刃6より外側に延出するように設けられ、ギヤケース4との固定部から延びる平坦部には、操作棹3の外径方向に延びる肉抜き用の長穴13が設けられている。
【0017】
なお、障害物押し退けフォーク8の先端は刈刃6が水平となる角度の状態で刈刃6より下の位置になり、またその先は上向きに湾曲する形状になっている。
【0018】
本実施形態の動作としては、図6に示すように、刈払作業中において刈払作業範囲上に枯れ枝等の障害物11が落ちていて邪魔になり、枯れ枝等の障害物11の下および周囲付近に生えている雑草等の被削物12を刈り取ることが出来ない状況において、作業者は両手でエンジン刈払機のハンドル2を保持する刈払作業の姿勢のまま、障害物押し退けフォーク8の先端を枯れ枝等の障害物11の下に潜り込ませ、下からすくい上げる様に枯れ枝等の障害物11を作業者の前方または左右に移動することにより、作業者は両手をハンドル2から離すことなく、また腰を屈めることもなく枯れ枝等の障害物11の下または周囲付近に生えていた雑草等の被削物12の切断を行なうことができ、また回転駆動する刈刃6が枯れ枝等の障害物11と接触し刈刃6が破損することや、回転駆動する刈刃6により枯れ枝等の障害物11が飛散することを抑制できる。
【0019】
以上、本発明を示す実施形態に基づき説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【0020】
例えば、本実施形態では駆動源としてエンジンを用いた構成について説明したが、モータ等公知の駆動源を利用した刈払機にも同様に適用できる。
【0021】
また、駆動源は、操作棹3のギヤケース4との連結部に対して他端側(ハンドル側)に設けられていたが、例えばモータが先端側に設けられている構成であってもよい。
【0022】
また、フォーク7及びフォーク8は鋼材により構成されるものとしたが、硬質のプラスチックなどでもよく、このようにすることで軽量化が可能となる。
【符号の説明】
【0023】
1…内燃エンジン、2…ハンドル、3…操作棹、4…ギヤケース、5…刈刃カバー、6…刈刃、7…障害物引き寄せフォーク、8…障害物押し退けフォーク、9…固定ボルト、10…固定ナット、11…枯れ枝等の障害物、12…雑草等の被削物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
前記駆動源の出力により回転駆動する先端工具が着脱可能に設けられる先端工具取付部と、
前記先端工具取付部が一端側に設けられ、他端側にハンドルが設けられた操作棹と、を備えた刈払機において、
前記操作棹の一端側に、前記先端工具の回転平面より下方に突出する爪状部材を設けたことを特徴とする刈払機。
【請求項2】
前記爪状部材は、鋼材の曲げ加工により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の刈払機。
【請求項3】
前記爪状部材は、前記操作棹に固定され、前記先端工具取付部から離れる方向に延出して形成されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の刈払機。
【請求項4】
前記爪状部材は、前記先端工具取付部に固定されており、前記ハンドル側から離れる方向に延出して形成されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の刈払機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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