説明

刈払機

【課題】刈払機の使用時に刈刃から取り外された刈刃カバーの紛失を防止することと刈刃に刈刃カバーを容易に装着することができるようにし、さらに、刈刃カバーの汎用性を高めることである。
【解決手段】刈刃カバー31を柔軟性を有するベルト状に形成し、その長手方向の一端を飛散防護カバー21に回動自在に取り付ける。刈刃カバー31の長手方向の中間部を刈刃14の外周部に掛け渡すとともに、長手方向の他方部に設けたクリップ37を操作棹12に取り付けて刈刃カバー31を刈刃14に装着する。刈払機11の作業時には、刈刃14から取り外した刈刃カバー31を飛散防護カバー21からエンジンの側に向けて操作棹12に沿って伸ばし、クリップ37を操作棹12に取り付けて刈払機本体23に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作棹の先端に設けた刈刃を駆動源により回転駆動して雑草や下草等を刈り取る刈払機に関し、特に、刈刃に装着されて刈刃の外周部を覆う刈刃カバーを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
田畑の畦道や山林等に生えた雑草や下草などを刈り払うために、携帯式の刈払機が使用されている。刈払機は中空棒状に形成された操作棹を備えており、操作棹の先端には刈刃が取り付けられている。操作棹の後端には駆動源が取り付けられ、刈刃はこの駆動源により回転駆動される。駆動源としてはエンジンや電動モータ等が用いられ、駆動源の回転は操作棹の内部に収容された伝達軸を介して刈刃に伝達される。操作棹には刈刃の外周側に位置して飛散防護カバーが取り付けられ、この飛散防護カバーにより刈刃に刈り払われた雑草等が作業者の側に飛ばされることが防止される。このような刈払機としては、駆動源を背負い架台に搭載するようにした背負い式、操作棹に取り付けられたループ状のベルトを肩に掛けるようにした肩掛け式とがあり、何れの場合も操作棹に取り付けられたハンドルを手に持って作業が行われる。
【0003】
刈払機に用いられる刈刃としては、チップソー等の丸鋸タイプと、径方向外方に突出する2〜4枚程度の角刃を備えた異形タイプとがある。また、各タイプの刈刃には外径寸法が相違する複数のサイズのものが用意され、刈り払う草の種類等に応じて任意のタイプ、サイズの刈刃が使用される。
【0004】
刈刃は操作棹の先端に剥き出しの状態で取り付けられるので、刈払機を使用しない時やこれを運搬する際などには、刈刃を石やコンクリート等との接触による破損から保護し、また、刈刃から作業者等を保護する必要がある。そのため、従来から、刈払機の不使用時や運搬時等においては、刈刃に刈刃カバーを装着し、この刈刃カバーにより刈刃の刃部を覆うようにしている。
【0005】
従来、丸鋸タイプの刈刃に用いられる刈刃カバーとしては、樹脂材料により断面コの字の帯状に形成され、刈刃の刃が設けられた外周部分に巻き付けるように被せられた後、その両端部が留め具で留められて刈刃に装着される構造のものが知られている。また、異形タイプの刈刃に用いられる刈刃カバーとしては、刈刃の形状に対応した専用の形状に形成されたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3398633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の刈払機では、刈刃カバーを操作棹やハンドル、飛散防護カバー等からなる刈払機本体とは別体に設けられているので、刈払機の使用時には、刈刃から取り外された刈刃カバーをどこかに置いておく必要があり、場合によっては刈刃カバーを紛失するおそれがあった。
【0008】
一方、従来の刈刃カバーは、刈刃の外周部分に巻き付け、その両端部を留め具で留める構造であるので、その刈刃への装着作業は煩雑であった。特に、装着後に刈刃から外れないように、刈刃カバーは刈刃の周囲長に合わせた長さ寸法に形成されるので、刈刃カバーを刈刃の外周部に巻き付けると、その両端部に長さ的な余裕がなくなるので、両端部を留め具で留める作業は困難であった。
【0009】
また、従来の刈刃カバーでは、丸鋸タイプの刈刃に対しては刈刃の周囲長に対応した長さ寸法のものが用いられ、異形タイプの刈刃に対しては刈刃の形状に対応した専用の形状のものが用いられる。そのため、タイプやサイズの異なる複数種類の刈刃に対して、それぞれ専用となる複数種類の刈刃カバーを用意する必要があり、その汎用性は低かった。
【0010】
本発明の目的は、刈払機の使用時に刈刃から取り外された刈刃カバーの紛失を防止することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、刈刃に刈刃カバーを容易に装着することができるようにし、さらに、刈刃カバーの汎用性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の刈払機は、操作棹を備えた刈払機本体と、前記操作棹の先端に回転自在に設けられる刈刃と、前記操作棹に取り付けられ前記刈刃を回転駆動する駆動源と、前記刈刃に着脱自在に装着されて該刈刃の外周部を覆う刈刃カバーとを備えた刈払機であって、前記刈刃カバーは、一端から他端に延びるように形成され、長手方向の中間部が前記刈刃の外周部に掛け渡されて前記刈刃に装着可能であるとともに、前記刈刃から取り外されたときに、前記刈払機本体に装着可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明の刈払機は、前記刈刃カバーの長手方向の一端部が前記刈払機本体に固定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の刈払機は、前記刈刃カバーの長手方向の他端部が前記操作棹の長手方向の任意の位置に着脱可能であることを特徴とする。
【0015】
本発明の刈払機は、前記刈払機本体は前記操作棹に取り付けられて前記刈刃の外周側に配置されるガード部材を備え、前記ガード部材には前記刈刃の径方向外側に位置して一対の案内部が設けられ、前記刈刃カバーは長手方向の一方側が一方の前記案内部に係合するとともに長手方向の他方側が他方の前記案内部に係合することにより、長手方向の中間部が前記刈刃の径方向外側に位置決めされることを特徴とする。
【0016】
本発明の刈払機は、前記案内部は溝状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、刈払機の使用時に刈刃から取り外された刈刃カバーを刈払機本体に装着しておくことができるので、刈刃カバーの紛失を防止することができる。
【0018】
本発明によれば、刈刃カバーを一端から他端に延びるように形成し、長手方向の中間部を刈刃の外周部に掛け渡して刈刃を覆う構成としたので、長手方向の両端部を刈払機本体に保持させるとともに刈刃カバーを刈刃の外周部に掛け渡す簡単な作業で刈刃に刈刃カバーを装着することができる。これにより、刈刃への刈刃カバーの装着作業を容易にすることができる。また、ベルト状の刈刃カバーは形状や外径寸法の相違する刈刃に掛け渡すことが可能であるので、操作棹に形状や外径寸法の相違する複数種類の刈刃が取り付けられても、これらの刈刃に同一の刈刃カバーを装着することができる。これにより、刈刃カバーの汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である刈払機の斜視図である。
【図2】刈払機の先端側部分の平面図である。
【図3】刈払機の先端側部分の側面図である。
【図4】図2に示す刈刃カバーの断面図である。
【図5】図2に示すクリップ部の断面図である。
【図6】図1に示す飛散防護カバーの背面図である。
【図7】図3に示す状態から刈刃カバーを刈刃の側に向けて回転させた状態を示す側面図である。
【図8】刈刃カバーが刈刃に装着された状態を示す平面図である。
【図9】図8におけるA−A線に沿う断面図である。
【図10】図8におけるB−B線に沿う断面図である。
【図11】異形2枚刃タイプの刈刃に本発明の刈刃カバーを装着した状態を示す平面図である。
【図12】異形3枚刃タイプの刈刃に本発明の刈刃カバーを装着した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1に示す刈払機11は携帯式の刈払機であり、例えば、田畑の畦道や山林等に生えた雑草や下草などを刈り払う際に使用される。
【0022】
この刈払機11は操作棹12を有しており、この操作棹12は中空棒状の部材により形成されている。操作棹12の先端にはギヤケース13が取り付けられ、このギヤケース13から突出する図示しない出力軸に刈刃14が装着されている。刈刃14は鋼板等の金属板により外周部に多数の鋸刃14aを備えた円板状に形成されており、つまり刈刃14は丸鋸タイプとなっている。刈刃14は軸心において図示しないナットによりギヤケース13の出力軸に固定され、出力軸とともに回転するようになっている。出力軸に固定された刈刃14は、その軸方向が操作棹12の軸方向に対して傾斜している。なお、符号15はナットを保護するためのナットカバーである。
【0023】
操作棹12の後端には駆動源としてのエンジン16が取り付けられている。このエンジン16は2サイクルのガソリンエンジンであり、その出力は操作棹12の内部に回転自在に収容された図示しない伝達軸を介してギヤケース13に伝達される。ギヤケース13には図示しないベベルギヤ対(傘歯車対)が収容され、伝達軸の回転はベベルギヤ対を介して出力軸に伝達される。これにより、エンジン16が作動すると、伝達軸とベベルギヤ対とを介してエンジン16の出力が出力軸に伝達され、エンジン16により刈刃14が回転駆動される。このように、この刈払機11は操作棹12により刈刃14とエンジン16とが連結されたアーム連結タイプとなっている。
【0024】
図示はしないが、操作棹12には肩掛バンドが装着され、この肩掛バンドにより刈払機11は肩掛け式として使用される。また、操作棹12の長手方向中央部分にはループハンドル17が取り付けられ、作業者は肩掛バンドを肩に掛けるとともにループハンドル17を手で把持することにより、刈払機11を携帯して、草の刈り払い作業を行うことができる。
【0025】
操作棹12には、刈刃14が刈り払った草が作業者の側に飛ぶことを防止するためにガード部材としての飛散防護カバー21が取り付けられている。飛散防護カバー21は、上板部21aと上板部21aに垂直に連なるガード本体部21bとが合成樹脂材料や金属板等により一体に形成された構造となっており、上板部21aにおいて固定金具22により操作棹12に固定されている。図2に示すように、上板部21aは刈刃14の一部を軸方向の上方側(ギヤケース13の側)から覆っており、図3に示すように、ガード本体部21bは上板部21aから下方側に向けて刈刃14の径方向外側つまり外周側にまで延び、刈刃14の外周部に対向している。飛散防護カバー21はその全体が刈刃14の側に向けて湾曲しており、また、操作棹12に対して右側部分よりも作業者側である左側部分が側方に大きく突出した形状となっている。これにより、回転する刈刃14が刈り払う草等を効率よく飛散防護カバー21で受け止めることができる。
【0026】
刈払機11では、操作棹12、ループハンドル17および飛散防護カバー21などにより刈払機本体23が構成される。
【0027】
この刈払機11は、刈払機11の不使用時や運搬時等において刈刃14を保護するとともに作業者を刈刃14から保護するために、刈刃カバー31を備えている。刈刃カバー31は刈刃14に対して着脱自在となっており、刈払機11の不使用時や運搬時等には、刈刃カバー31を刈刃14に装着して刈刃14の外周部を覆うことができる。また、刈払機11の使用時には、刈刃カバー31を刈刃14から取り外して、刈払機本体23に装着することができるようになっている。
【0028】
刈刃カバー31は、ゴム、ナイロン、合成樹脂、革等により、柔軟性(可撓性)を有するベルト状(帯状)に形成されている。刈刃カバー31の長さ寸法は操作棹12よりも短くなっており、また、その幅寸法は刈刃14の厚みよりも大きくなっている。図4に示すように、刈刃カバー31は、図4において上下方向で示される幅方向の両端にそれぞれ断面矩形の補強部31a,31bを備え、各補強部31a,31bの間は厚み方向の一方側の面が凸形状、他方側の面が凹形状となって湾曲するカバー部31cとなっている。刈刃カバー31は、カバー部31cの凹形状の面が向く側には容易に曲がることができ、凸形状の面が向く側や幅方向には曲げづらくなっている。なお、刈刃カバー31の断面形状は長手方向に一様である。
【0029】
刈刃カバー31の長手方向の一端部には連結具32が設けられ、この連結具32はピン部材33により飛散防護カバー21に一体に設けられた連結片34に回動自在に連結されている。図2、図3に示すように、連結片34は刈刃14の軸方向と操作棹12の軸方向とに平行な板状に形成されており、ガード本体部21bの上板部21aとは反対側となる下端部に、操作棹12に対して作業者側(ループハンドル17側)から見て右側にずれて配置されている。また、連結片34はガード本体部21bから刈刃14とは反対側に向けて突出している。ピン部材33は刈刃14の軸方向と操作棹12の軸方向とに垂直な方向つまり左右方向に向けて配置されている。これにより、刈刃カバー31はピン部材33を中心として飛散防護カバー21に対して刈刃14の側と刈刃14の反対側とに向けて回動自在となっている。また、ピン部材33は連結片34に留められているので、刈刃カバー31は、その長手方向の一端部が飛散防護カバー21に位置決めされた状態に保持されて、飛散防護カバー21から取り外せないようになっている。
【0030】
刈刃カバー31の長手方向の他端部には連結具35が設けられ、この連結具35にはピン部材36によりクリップ37が回動自在に連結されている。図5に示すように、クリップ37は合成樹脂材料により断面C字の半円筒状に形成されており、その内径寸法は操作棹12の外径寸法と同一または操作棹12の外径寸法よりも若干小さくなっている。また、クリップ37は、C字の開口部分を拡大する方向に弾性変形自在となっている。これにより、クリップ37を操作棹12の外側に嵌め込んで、操作棹12に着脱自在に取り付けることができる。操作棹12の断面形状は長手方向に一様な円形であるので、クリップ37つまり刈刃カバー31の飛散防護カバーに取り付けられていない長手方向の他端部を操作棹12の長手方向の任意の位置に取り付けることができる。
【0031】
飛散防護カバー21のガード本体部21bには案内部として一対の案内溝41a,41bが設けられている。図6に示すように、これらの案内溝41a,41bは、それぞれガード本体部21bの下端から上板部21aの側に向けて真っ直ぐに延びる溝状に形成されており、その溝幅寸法は刈刃カバー31の厚み寸法よりも若干大きくなっている。各案内溝41a,41bはガード本体部21bの下端に設けられているので、刈刃14の径方向外側に位置して刈刃14の外周部に対向している。刈刃カバー31が連結された連結片34は、ガード本体部21bに操作棹12に対して右側部分に設けられる案内溝41aの縁部に配置されており、刈刃カバー31はピン部材33を中心として刈刃14の側に回動すると案内溝41aに差し込まれて、当該案内溝41aに係合するようになっている。ガード本体部21bに操作棹12に対して左側部分に設けられる他方の案内溝41bは、ガード本体部21bの右側部分に設けられる案内溝41aよりも上板部21aに向けた溝長さが長くなっている。これらの案内溝41a,41bは、操作棹12を挟んで左右対称な位置に配置されており、また、案内溝41aと案内溝41bの間隔は刈刃14の外径寸法よりも小さくなっている。
【0032】
刈払機11の不使用時や運搬時等には、刈刃カバー31を刈刃14に装着して、刈刃14の外周部を刈刃カバー31により覆うことができる。
【0033】
刈刃カバー31を刈刃14に装着する際は、図7に示すように、ピン部材33を中心として刈刃カバー31を刈刃14の側に回動させ、その根本部分を飛散防護カバー21の案内溝41aに嵌め込み係合させる。次に、刈刃カバー31の長手方向の中間部を刈刃14の外周部に沿って被せ、刈刃14の外周部に掛け渡す。そして、長手方向の中間部を刈刃14の外周部に掛け渡したまま、刈刃カバー31の長手方向の他端側を飛散防護カバー21の案内溝41bに嵌め込んで係合させるとともに飛散防護カバー21に対して後方側(エンジン16側)に引き出し、その先端に設けられたクリップ37を操作棹12に取り付ける。クリップ37は、刈刃カバー31が刈刃14の外周部から外れない位置に取り付けられる。これにより、図8に示すように、刈刃カバー31は、長手方向の一端部が飛散防護カバー21に保持され、長手方向の中間部が刈刃14の外周部に掛け渡されるとともに、長手方向の他端部が操作棹12に保持された状態となって刈刃14に装着される。刈刃カバー31が刈刃14に装着されると、刈刃14の鋸刃14aが設けられた外周部は刈刃カバー31により覆われるので、刈刃14を保護するとともに作業者を刈刃14から保護することができる。
【0034】
ここで、この刈払機11では、飛散防護カバー21に、刈刃14の外周部の径方向外側に位置して、つまり刈刃14の外周部に径方向外側から対向するように一対の案内溝41a,41bを設け、刈刃カバー31の長手方向の一端側と他端側とをこれらの案内溝41a,41bに係合させるようにしたので、図7に示すように、刈刃カバー31の長手方向の中間部を、刈刃14の径方向外側にその外周部に沿って配置することができる。これにより、刈刃カバー31を刈刃14に装着する際には、刈刃カバー31を刈刃14の外周部に対して傾斜させることなく刈刃14の径方向外側に位置決めすることができるので、この刈刃カバー31を刈刃14に径方向外側から掛け渡す作業は容易である。また、飛散防護カバー21の案内溝41a,41bの間隔は刈刃14の外径寸法よりも小さくされているので、刈刃カバー31の刈刃14の外周部に掛け渡される範囲、つまり刈刃14の外周部の刈刃カバー31に覆われる範囲を大きくすることができる。
【0035】
刈刃カバー31は、カバー部31cの凹形状となる面を刈刃14の外周部に向けて刈刃14の外周部に掛け渡され、刈刃カバー31が刈刃14に装着されたときには、図10に示すように、刈刃カバー31のカバー部31cの凹形状となる面が刈刃14の外周部に当接するようになっている。これにより、刈刃カバー31に当接した刈刃14は刈刃カバー31に対してその幅方向に移動しづらくなるので、刈刃14に掛け渡された刈刃カバー31を刈刃14から外れにくくすることができるとともに、刈刃14の外周部への刈刃カバー31の掛け渡し作業を容易にすることができる。
【0036】
このように、この刈払機11では、長手方向の一端部が飛散防護カバー21に回動自在に取り付けられた刈刃カバー31を刈刃14の側に回動させ、その長手方向の中間部を刈刃14の外周部に掛け渡すとともに、長手方向の他端部に設けられたクリップ37を操作棹12に取り付ける簡単な作業で、刈刃カバー31を刈刃14に装着することができる。
【0037】
一方、刈払機11の使用時には刈刃カバー31は刈刃14から取り外され、刈刃14から取り外された刈刃カバー31は、図1、図2に示すように、刈払機本体23に装着することができる。
【0038】
刈刃14から取り外された刈刃カバーは、ピン部材33を中心として飛散防護カバー21に対して刈刃14とは反対側に向けて回動され、操作棹12に沿ってエンジン16の側に向けて伸ばされる。そして、刈刃カバー31は、その先端に取り付けられたクリップ37が操作棹12に取り付けられることにより刈払機本体23に装着される。クリップ37は、飛散防護カバー21とクリップ37との間で刈刃カバー31に弛みが生じないように、刈刃カバー31に張力が加わる位置において操作棹12に取り付けられる。
【0039】
このように、刈払機の使用時には、刈刃カバーを、その長手方向の一端を飛散防護カバー21に保持させるとともに長手方向の他端をクリップ37により操作棹12に保持させて操作棹12に沿うように刈払機本体23に装着することができる。つまり、刈払機11の使用時には、刈刃14から取り外した刈刃カバー31を刈払機本体23に装着しておくことができるので、刈払機11を使用した作業中に刈刃カバー31を紛失することを防止することができる。
【0040】
特に、本実施の形態においては、刈刃カバー31を、その長手方向の一端部において飛散防護カバー21に取り付けるようにしているので、刈刃カバー31を刈払機本体23から離脱不能として、刈刃カバー31の紛失を確実に防止することができる。また、刈払機11を用いた作業中に刈刃カバー31を刈払機本体23に装着しておくことができるので、作業後に、刈刃カバー31を刈刃14に直ぐに装着することができる。
【0041】
図11は異形2枚刃タイプの刈刃に本発明の刈刃カバーを装着した状態を示す平面図であり、図12は異形3枚刃タイプの刈刃に本発明の刈刃カバーを装着した状態を示す平面図である。なお、図11,12においては、前述した部材には同一の符号を付してある。
【0042】
本発明の刈刃カバー31は、ベルト状に形成され、これを刈刃14の外周部に掛け渡して刈刃カバー31を刈刃14に装着する構造であり、また、その長手方向の他端部に設けられたクリップ37の操作棹12への取り付け位置は任意に調整可能である。
【0043】
そのため、刈払機11の操作棹12の先端に、例えば図11に示す異形2枚刃タイプの刈刃14や、図12に示す異形3枚刃タイプの刈刃14が装着された場合であっても、これらの刈刃14に対して丸鋸タイプの刈刃14に装着されるのと同一の刈刃カバー31を装着することができる。
【0044】
このように、刈刃カバー31はベルト状に形成され、その長手方向の他端部に設けられたクリップ37の操作棹12への取り付け位置を任意に調整できる構成であるので、クリップ37の操作棹12への取り付け位置を調整することで、形状や外径寸法の相違する複数種類の刈刃14に対して、この刈刃カバー31を装着することができる。
【0045】
なお、飛散防護カバー21の左側の案内溝41bは右側の案内溝41aよりも溝長が長く形成されているので、刈刃14の形状や外形寸法の相違によりクリップ37の操作棹12への取り付け位置が変化しても、刈刃カバー31を案内溝41bの範囲内で案内することができる。
【0046】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0047】
例えば、前記実施の形態においては、刈刃カバー31の長手方向の一端部を飛散防護カバー21の連結片34に取り付けるようにしているが、これに限らず、例えば刈刃カバー31の長手方向の一端部を操作棹12に取り付けるなど、刈払機本体23の他の位置に刈刃カバー31の一端部を取り付けるようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施の形態においては、刈刃カバー31の長手方向の一端部を飛散防護カバー21に取り外しできないように固定しているが、これに限らず、刈刃カバー31の長手方向の両端部に、それぞれ図5に示すクリップ37を設け、これらのクリップ37により刈刃カバー31の両端を操作棹12に保持させるようにしてもよい。
【0049】
さらに、前記実施の形態においては、刈刃カバー31を、柔軟性(可撓性)を有する材質によりベルト状に形成するようにしているが、これに限らず、多数の硬質な部分ないし部材を関節構造により長手方向に連結することにより湾曲自在に構成された多関節構造を有するベルト状に刈刃カバー31を形成するようにしてもよい。
【0050】
さらに、前記実施の形態においては、駆動源としてエンジン16が用いられているが、駆動源として電動モータを用いるようにしてもよい。駆動源として電動モータを用いる場合には、電動モータを操作棹12の先端に刈刃14と同軸に設け、操作棹12の後端にバッテリを装着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
11 刈払機
12 操作棹
13 ギヤケース
14 刈刃
14a 鋸刃
15 ナットカバー
16 エンジン(駆動源)
17 ループハンドル
21 飛散防護カバー(ガード部材)
21a 上板部
21b ガード本体部
22 固定金具
23 刈払機本体
31 刈刃カバー
31a,31b 補強部
31c カバー部
32 連結具
33 ピン部材
34 連結片
35 連結具
36 ピン部材
37 クリップ
41a,41b 案内溝(案内部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作棹を備えた刈払機本体と、前記操作棹の先端に回転自在に設けられる刈刃と、前記操作棹に取り付けられ前記刈刃を回転駆動する駆動源と、前記刈刃に着脱自在に装着されて該刈刃の外周部を覆う刈刃カバーとを備えた刈払機であって、
前記刈刃カバーは、
一端から他端に延びるように形成され、長手方向の中間部が前記刈刃の外周部に掛け渡されて前記刈刃に装着可能であるとともに、
前記刈刃から取り外されたときに、前記刈払機本体に装着可能であることを特徴とする刈払機。
【請求項2】
前記刈刃カバーの長手方向の一端部が前記刈払機本体に固定されていることを特徴とする請求項1記載の刈払機。
【請求項3】
前記刈刃カバーの長手方向の他端部が前記操作棹の長手方向の任意の位置に着脱可能であることを特徴とする請求項2記載の刈払機。
【請求項4】
前記刈払機本体は前記操作棹に取り付けられて前記刈刃の外周側に配置されるガード部材を備え、前記ガード部材には前記刈刃の径方向外側に位置して一対の案内部が設けられ、前記刈刃カバーは長手方向の一方側が一方の前記案内部に係合するとともに長手方向の他方側が他方の前記案内部に係合することにより、長手方向の中間部が前記刈刃の径方向外側に位置決めされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刈払機。
【請求項5】
前記案内部は溝状に形成されていることを特徴とする請求項4記載の刈払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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