説明

列車情報システムの車両編成認識装置

【課題】編成認識処理を自動的かつ簡便な方法で実行する。
【解決手段】他の編成との併結時において,当該編成に対し或る方向から他編成が併結したことを表す第一の併結信号と,当該編成に対し前記と反対側に他編成が併結したことを表す第二の併結信号とを設け,第一および第二の併結信号を,中央装置11,51および各端末装置21,31,41,61,71に入力し,中央装置および各端末装置は,併結の有無を認識するとともに,当該編成に対してどの方向に他編成が併結したかを認識し,併結後の編成全体において,予め定められた方向の先頭に位置する中央装置が,車両間伝送系の親局として動作し,かつ各端末装置が子局として動作し,親局は,自編成における号車と,編成間の位置関係によって予め定められる編成番号により決定される伝送局番に基づいて,各車の車両情報を収集し,親局が各車の子局に対して,編成全体の車両情報を配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両に設置される列車情報システムにおける編成状態の認識装置等に係るものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に設置される列車情報システムとは,鉄道車両に搭載される各種機器の動作状態を監視し,運転台に設置された表示器上に当該機器の動作状態を表示するとともに,対象機器の故障等の発生時においては,表示器上に当該故障の状況を表示し,乗務員に対する適切な処置ガイダンスを表示する機能を有する。また空調装置,照明などのサービス機器に対して設定情報を送出し,対象機器を一括して制御する機能も合わせ持つ。
【0003】
更に運転士による主幹制御器の操作情報に基づき,各車両のVVVFインバータ装置や,ブレーキ制御装置に対して力行・ブレーキ指令等を伝達する機能をも有する。
【0004】
列車情報システムは,列車内に構築された通信ネットワークをその基幹系として構成されるものである。
【0005】
鉄道車両においては,列車の分割・併合などによって,編成内の車両の構成が動的に変化するため,これに伴い,当該ネットワークの構成も動的に変化する。
【0006】
当該列車の編成情報,即ち列車を構成する各車両の車種,車両番号,号車,搭載機器の種類,編成における配置(終端または中間)などの情報を収集する処理は,編成認識と呼ばれるが,これは動的に変化する列車内ネットワークの構成を,自ら認識する処理に他ならない。かかる鉄道車両の編成認識方法については,下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−302039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6は従来の列車情報システムの構成を概念的に表したブロック図である。
同図は4両から構成されるA編成と,3両から構成されるB編成とが併結された状態を表している。
【0009】
A編成内の列車情報システムの車両間伝送系は,編成内を引き通す伝送路01と,各車両に設置された中央装置11および端末装置21,31,41によって構成される。
【0010】
また列車情報システムの監視対象または制御対象となる各種機器をそれぞれ13,23,33,43で表す。
【0011】
ここで中央装置11は,車両間伝送制御を司る送受信回路111,中央装置を統括制御する制御回路114,当該車両の各種機器13とのインターフェースを担う入出力回路113,当該車両の設定情報(号車,車種,車両番号など)を設定するための設定器12および乗務員や保守員とのマンマシンインターフェースを司る表示器14から構成されている。
【0012】
同様に端末装置21は,送受信回路211,制御回路214,入出力回路213および設定器22から構成され,端末装置31は,送受信回路311,制御回路314,入出力回路313および設定器32から構成され,端末装置41は,送受信回路411,制御回路414,入出力回路413および設定器42,表示器44から構成される。
【0013】
さらにA編成の1号車には,車両間伝送路01の伝送を安定化するための終端抵抗回路15が設置され,同様にA編成の4号車に終端抵抗回路45が設置される。
【0014】
一方B編成の車両間伝送系は,編成内を引き通す伝送路02と,各車両に設置された中央装置51および端末装置61,71によって構成される。
【0015】
また列車情報システムの監視対象または制御対象となる各種機器をそれぞれ53,63,73で表す。
【0016】
中央装置51は,送受信回路511,制御回路514,入出力回路513,設定器52および表示器54から構成されている。
【0017】
同様に端末装置61は,送受信回路611,制御回路614,入出力回路613および設定器62から構成され,端末装置71は,送受信回路711,制御回路714,入出力回路713および設定器72,表示器74から構成される。
【0018】
さらにB編成の1号車には,終端抵抗回路55が設置され,同様にB編成の3号車に終端抵抗回路75が設置される。
【0019】
通常列車情報システムは,制御電源投入時点において,当該固定編成の編成状態を認識する処理を行う。これを編成認識と呼ぶ。
【0020】
ここで車両間伝送系は,1号車の中央装置を親局,その他の車両の端末装置を子局とする,マスタ・スレーブ式ネットワークである。即ち親局および各子局は,ポーリング・セレクティングに基づく伝送制御によって親局と各子局間のデータ交換を実現するものである。
【0021】
以下編成認識処理の手順について説明する。
先ず電源投入時点において,各車の中央装置,端末装置は当該車両の設定器の情報を読み込む。設定器には,号車,車種,車両番号,自車が編成の終端であるか否かを表す情報などが設定されている。
【0022】
ここで,号車は車両間伝送系の局番を表す情報として用いられ,前記のように1号車の中央装置は親局,その他の端末装置は子局であることを認識する。
【0023】
更に設定器の情報から,自車が編成の終端に位置すると認識した1号車の中央装置および4号車の端末装置は,それぞれの終端抵抗回路15,45を投入する制御を行う。
これにより,車端側の伝送路を切断するとともに,伝送路の端部に終端抵抗を挿入する。即ち伝送路01はA編成内の閉じた伝送路となる。
【0024】
図7は,A編成内の編成認識処理において行われる親局と各子局間の通信手順を表したものである。
【0025】
図中親局から子局宛て,或いは子局から親局宛てに送信される通信フレームのフォーマットは,同図の凡例に示す如く,宛先局番,送り元局番および電文から構成される。
【0026】
以下図7に示した通信手順を説明する。
先ず1号車の親局は2号車の子局(局番:2)に対して問い合わせフレームREQA2を送出し,2号車の子局は自車の設定情報(車種,車両番号,終端情報等)を応答フレームRESA2として返送する。
【0027】
次に1号車の親局は3号車の子局(局番:3)に対して問い合わせフレームREQA3を送出し,3号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRESA3として返送する。
【0028】
次に1号車の親局は4号車の子局(局番:4)に対して問い合わせフレームREQA4を送出し,4号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRESA4として返送する。
【0029】
RESA4には,編成の終端である旨の情報が含まれているため,親局はこれ以上の子局は存在しないものと判断し,A編成内の編成認識処理を完了する。
【0030】
B編成においても同様に,1号車の親局は2号車,3号車の順番で当該車両の車両情報を取得する。
【0031】
即ち1号車の親局は2号車の端末装置に対して問い合わせフレームREQB2を送出し,2号車の子局(局番:2)は自車の設定情報(車種,車両番号,終端情報等)を応答フレームRESB2として返送する。
【0032】
次に1号車の親局は3号車の子局(局番:3)に対して問い合わせフレームREQB3を送出し,3号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRESB3として返送する。
【0033】
RESB3には,編成の終端である旨の情報が含まれているため,親局はこれ以上の子局は存在しないものと判断し,B編成内の編成認識処理を完了する。
【0034】
ここでA編成とB編成が図6に示すような併結状態となった場合を想定する。このとき,伝送局の局番として号車を用いるとすれば,局番1,2,3はA編成,B編成の何れにも存在することとなり,局番の重複が発生する。このため,このような併結状態においては,正常な通信を実行することができない。
【0035】
B編成の1号車,2号車,3号車の各設定器の号車情報を手動設定によりそれぞれ5号車,6号車,7号車に変更するとともに,A編成の4号車の設定器およびB編成の設定器において,何れも編成の終端ではない設定とすることにより,号車を車両間伝送系の局番としてユニークに定めることができ,上記の如き局番の重複は解消され,伝送路01と伝送路02を接続した単一の伝送路を形成することができる。
【0036】
然しながら,併結の度に設定器の情報を変更するのは,営業運転時の分割・併結作業として実施することは事実上不可であり,また編成組換え時の扱いであるとしても,不保守員の作業を増大させるため望ましい形とは言えない。

【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は,列車情報システムの編成認識処理における上記の問題点に鑑みて創案されたもので,その目的とするところは,手動操作による設定器の変更を不要とし,かつ制御回路の処理の観点からも,簡便で確実な編成認識装置等を提供することにある。
【0038】
本発明の第一の特徴は,図6に示した従来の列車情報システムに対し,併結状態を認識するための引き通し信号40と50を設けていることにある。これらをここでは併結信号と呼ぶことにする。
【0039】
請求項1の発明によれば、鉄道車両に搭載される列車情報システムにおいて,
当該編成の片側の先頭車に設置された中央装置と,その他の車両に設けられた端末装置と,各車の中央装置と各車の端末装置とを相互に接続するシリアル伝送路からなる車両間伝送系とを設け,
前記中央装置には,車両間伝送系の伝送制御を司る送受信回路と,前記中央装置を統括制御する制御回路と,各車の各種機器とのインターフェースを司る入出力回路とを有し,
前記端末装置には,車両間伝送系との伝送制御を司る送受信回路と,端末装置を統括制御する制御回路と,当該車両の各種機器とのインターフェースを司る入出力回路とを有し,
他の編成との併結時において,当該編成に対し或る方向から他編成が併結したことを表す第一の併結信号と,
当該編成に対し前記と反対側に他編成が併結したことを表す第二の併結信号とを設け,
前記第一の併結信号は,編成内の引き通し線によって前記中央装置および前記端末装置に入力され,
前記第二の併結信号は,編成内の引き通し線によって前記中央装置および前記端末装置に入力され,
前記中央装置および前記端末装置は,前記第一の併結信号と第二の併結信号の印加状態によって,併結の有無を認識するとともに,当該編成に対してどの方向に他編成が併結したかを認識し,
併結後の編成全体において,予め定められた方向の先頭に位置する前記中央装置が,
前記車両間伝送系の親局として動作し,かつ前記端末装置が前記車両間伝送系の子局として動作し,
前記親局は,自編成における号車と,編成間の位置関係によって予め定められる編成番号により決定される伝送局番に基づいて,各車の車両情報を収集するとともに,全車両の車両情報の収集処理を完了した後,
前記親局が前記各車の子局に対して,編成全体の車両情報を配信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
下記に説明するように,本発明によれば,列車情報システムを具備する二つの固定編成が併結した場合の編成認識処理を,自動的に,かつ簡便な伝送制御手順によって実現することが可能となり,実際の列車の運用の場面で格段の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る列車情報システムの構成を示す。
【図2】本発明に係る列車情報システムの動作モードを表す。
【図3】本発明に係る列車情報システムの編成認識処理を示す。
【図4】本発明に係る列車情報システムの編成情報リストを示す。
【図5】本発明に係る列車情報システムの車両情報配信を示す。
【図6】従来の列車情報システムの構成を示す。
【図7】従来の列車情報システムの編成認識処理を示す。
【図8】本発明に係る列車情報システムの実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
により実施例等を以下に説明する。
【実施例1】
【0043】
図1は,本発明に係る列車情報システムの構成を概念的に示した図である。
同図中において図6と同一の記号は,同一の機能を有する装置である。
各中央装置と端末装置内に内蔵される制御回路については,編成認識処理が異なるため,図6とは異なる記号を付した。即ち各制御回路112,212,312,412,512,612,712は,図6のものとは機能を異にするものである。
図6に示した従来の列車情報システムに対し,併結状態を認識するための引き通し信号40と50を設け、これらを併結信号と呼ぶことにする。
【0044】
併結信号50は,B編成側の制御電源により給電されるもので,併結状態においては,A編成の1号車の中央装置および2〜4号車の端末装置においてディジタル入力信号として取り込まれる。当該信号が加圧状態の場合,A側編成の中央装置,各端末装置は自編成の2側に,他の編成が併結されたことを認識する。
【0045】
一方併結信号40は,A編成側の制御電源により給電され,併結状態においては,B側編成の1号車の中央装置および2,3号車の端末装置においてディジタル入力信号として取り込まれる。当該信号が加圧状態の場合,B側編成の中央装置,各端末装置は自編成の1側に,他の編成が併結されたことを認識する。
【0046】
併結前の状態におけるA編成およびB編成内の編成認識処理は「発明が解決しようとする課題」において示した方法と同様である。
【0047】
A編成およびB編成それぞれの編成認識処理が完了した後,A編成の2側にB編成が併結した状態において,編成認識処理がどのように行われるかを説明する。
【0048】
図2は,各車の中央装置および各端末装置における動作モードを表したものである。同図に示すように,中央装置および各端末装置の動作モードには,「編成認識モード」と「データ交換モード」が設けられる。
【0049】
「編成認識モード」は,中央装置が,編成認識処理を実行中のモードであり,「データ交換モード」は,中央装置と各端末装置間でデータ交換を行うモードである。
【0050】
列車情報システムの電源投入時には,先ず「編成認識モード」に入り,編成認識処理が実行され,編成認識が完了した時点で「データ交換モード」に移行する。
【0051】
前記の通り,A編成とB編成が併結すると,併結信号40および50は何れも加圧され,A編成の中央装置および各端末装置は,自編成の2側に他の編成が併結されたことを検知し,「編成認識モード」に移行する。
【0052】
同様にB編成の中央装置および各端末装置は,自編成の1側に他の編成が併結されたことを検知し,「編成認識モード」に移行する。
【0053】
このときA編成とB編成を統合した7両編成の車両間伝送系を統括制御するのは,編成の1側の端部に位置するA編成1号車の中央装置であり,B編成1号車の中央装置は子局として動作する。即ち自編成の1側に他編成が併結されたことをもって,自身を子局として動作するよう切り替える。
【0054】
各車の中央装置および端末装置は,併結信号40,50の加圧状態で自編成の1側または2側に他編成が併結したかの識別が可能である。
即ちA編成の中央装置および各端末装置においては,併結信号50のみが加圧されるため,自編成の2側に他編成が併結したことを認識できる。
【0055】
一方B編成の中央装置および各端末装置においては,併結信号40のみが加圧されるため,自編成の1側に他編成が併結したことを認識できる。
【0056】
ここで自編成の2側に他編成が併結したことを認識したA編成4号車の端末装置においては,自車の終端抵抗回路45を開放するとともに,伝送路側に接続する。
【0057】
同様に自編成の1側に他編成が併結したことを認識したB編成1号車の中央装置においては,自車の終端抵抗回路55を開放するとともに,伝送路側に接続する。
【0058】
以上によって車両間伝送路01と02は相互に接続され,両編成の中央装置と各端末装置間における伝送路を確立することができる。
【0059】
そして親局および子局の局番は,当該編成における号車の上位に編成を識別するための番号を付与した形とする。
ここでは,1側の編成(A編成)には0を,2側の編成(B編成)には9を付与する。
【0060】
A編成1号車の親局は,局番01とし,A編成2〜4号車の子局の局番はそれぞれ02,03,04となる。
【0061】
一方B編成1〜3号車の子局の局番はそれぞれ91,92,93となる。
【0062】
図3は,A編成とB編成が併結したときの,編成認識処理に係る親局と各子局間の通信手順を表したものである。
【0063】
先ずA編成1号車の親局は,A編成2号車の子局(局番:02)に対して問い合わせフレームREQ02を送出し,A編成2号車の子局は自車の設定情報(車種,車両番号,終端情報等)を応答フレームRES02として返送する。
【0064】
次にA編成1号車の親局は,A編成3号車の子局(局番:03)に対して問い合わせフレームREQ03を送出し,A編成3号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRES03として返送する。
【0065】
次にA編成1号車の親局は,A編成4号車の子局(局番:04)に対して問い合わせフレームREQ04を送出し,A編成4号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRES04として返送する。
【0066】
RES04には,編成の終端である旨の情報が含まれているため,親局はこれ以上の子局は存在しないものと判断し,A編成内の編成認識処理を完了し,B編成内の編成認識処理に移行する。
【0067】
次にA編成1号車の親局は,B編成1号車の子局(局番:91)に対して問い合わせフレームREQ91を送出し,B編成2号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRES91として返送する。
【0068】
次にA編成1号車の親局は,B編成2号車の子局(局番:92)に対して問い合わせフレームREQ92を送出し,B編成2号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRES92として返送する。
【0069】
次にA編成1号車の親局は,B編成3号車の子局(局番:93)に対して問い合わせフレームREQ93を送出し,B編成3号車の子局は自車の設定情報を応答フレームRES93として返送する。
【0070】
RES93には,編成の終端である旨の情報が含まれているため,親局はこれ以上の子局は存在しないものと判断し,B編成内の編成認識処理を完了するとともに,A編成およびB編成を併結した全体についての編成認識処理を完了する。
【0071】
図4は,A編成1号車の中央装置に構築された,編成情報リストを表した図である。
【0072】
図4(a)は,併結直後に各車の中央装置および各端末装置が編成認識モードに移行した時点の初期状態を表しており,各子局の情報が未収集の状態を表す。
局番は,固定編成を構成する最大車両数の数だけ割り当てられているものとする。同図では,固定編成の最大車両数を8としている。
【0073】
図4(b)は,前記の編成認識処理の実行後に作成された,編成情報リストを表し,局番01〜04の範囲と局番91〜93の範囲に車両情報が登録される。
この状態から,編成情報リスト中にエントリのある局番から,順番に号車を割り振ることによって,併結後の各車の号車を決定することができる。
【0074】
図4(c)は,前記の編成認識処理の結果から,各車両の号車を決定した後の編成情報リストを表したものである。
【0075】
図5は,前記の編成情報リストに基づき,A編成1号車の親局が各車の子局に対して,当該車両の号車を指定する過程を示したものである。これを車両情報通知処理と呼ぶことにする。
【0076】
先ずA編成1号車の親局は,A編成2号車の子局(局番:02)に対して車両情報通知フレームNAM02を送出し,A編成2号車の子局は肯定応答フレームACK02を返送する。
【0077】
次にA編成1号車の親局は,A編成3号車の子局(局番:03)に対して車両情報通知フレームNAM03を送出し,A編成3号車の子局は肯定応答フレームACK03を返送する。
【0078】
次にA編成1号車の親局は,A編成4号車の子局(局番:04)に対して車両情報通知フレームNAM04を送出し,A編成4号車の子局は肯定応答フレームACK04を返送する。
【0079】
次にA編成1号車の親局は,B編成1号車の子局(局番:91)に対して車両情報通知フレームNAM05を送出し,B編成2号車の子局は肯定応答フレームACK05を返送する。
【0080】
次にA編成1号車の親局は,B編成2号車の子局(局番:92)に対して車両情報通知フレームNAM06を送出し,B編成2号車の子局は肯定応答フレームACK06を返送する。
【0081】
次にA編成1号車の親局は,B編成3号車の子局(局番:93)に対して車両情報通知フレームNAM07を送出し,B編成3号車の子局は肯定応答フレームACK07を返送する。
【0082】
さらに、図8は、本発明の一実施例の詳細を示すブロック図である。
同図において,車両間伝送系は,鉄道車両用伝送路として耐ノイズ性に優れたFSK変調方式(周波数シフトキーイング方式)を適用したもので,各車の中央装置および各端末装置には,変復調回路110,210,310,410,510,610,710が設けられている。
【0083】
更に,併結信号の具体的なインターフェースとしてリレー回路を設けた構成としている。即ち,A編成4号車においては,リレー47を設け,併結信号の電源としてA編成側の電源46を用いている。
【0084】
同様にB編成1号車においては,リレー57を設け,併結信号の電源としてB編成側の電源56を用いている。
【0085】
以上の編成認識処理および車両情報通知処理によって,編成全体の中央装置および各端末装置が自編成および他編成の編成情報を相互に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように,本発明に係る鉄道車両用編成認識装置は,固定編成間の分割・併合における編成認識処理を確実かつ簡便に実施できる特性を備えたもので,その有用性は高い。
【符号の説明】
【0087】
01,02…伝送路
11,51…中央装置
21,31,41,61,71…端末装置
111,211,311,411,511,611,711…送受信回路
112,212,312,412,512,612,712…制御回路
113,213,313,413,513,613,713…入出力回路
12,22,32,42,52,62,72…設定器
13,23,33,43,53,63,73…各種機器
14,44,54,74…表示器
15,45,55,75…終端抵抗回路
16,46,56,76…電源
17,47,57,77…リレー
10,40,50,70…併結信号
100,210,310,410,510,610,710…変復調回路
114,214,314,414,514,614,714…制御回路
【0088】
REQ02…A編成2号車への問合せフレーム
RES02…A編成2号車からの応答フレーム
REQ03…A編成3号車への問合せフレーム
RES03…A編成3号車からの応答フレーム
REQ04…A編成4号車への問合せフレーム
RES04…A編成4号車からの応答フレーム
REQ05…B編成1号車への問合せフレーム
RES05…B編成1号車からの応答フレーム
REQ06…B編成2号車への問合せフレーム
RES06…B編成2号車からの応答フレーム
REQ07…B編成3号車への問合せフレーム
RES07…B編成3号車からの応答フレーム
【0089】
NAM02…A編成2号車への車両情報通知フレーム
RES02…A編成2号車からの肯定応答フレーム
NAM03…A編成3号車への車両情報通知フレーム
RES03…A編成3号車からの肯定応答フレーム
NAM04…A編成4号車への車両情報通知フレーム
RES04…A編成4号車からの肯定応答フレーム
NAM05…B編成1号車への車両情報通知フレーム
RES05…B編成1号車からの肯定応答フレーム
NAM06…B編成2号車への車両情報通知フレーム
RES06…B編成2号車からの肯定応答フレーム
NAM07…B編成3号車への号車両情報通知フレーム
RES07…B編成3号車からの肯定応答フレーム
【0090】
REQA2…A編成2号車への問合せフレーム
RESA2…A編成2号車からの応答フレーム
REQA3…A編成3号車への問合せフレーム
RESA3…A編成3号車からの応答フレーム
REQA4…A編成4号車への問合せフレーム
RESA4…A編成4号車からの応答フレーム
REQB2…B編成2号車への問合せフレーム
RESB2…B編成2号車からの応答フレーム
REQB3…B編成3号車への問合せフレーム
RESB3…B編成3号車からの応答フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に搭載される列車情報システムにおいて,
当該編成の片側の先頭車に設置された中央装置と,その他の車両に設けられた端末装置と,各車の中央装置と各車の端末装置とを相互に接続するシリアル伝送路からなる車両間伝送系とを設け,
前記中央装置には,車両間伝送系の伝送制御を司る送受信回路と,前記中央装置を統括制御する制御回路と,各車の各種機器とのインターフェースを司る入出力回路とを有し,
前記端末装置には,車両間伝送系との伝送制御を司る送受信回路と,端末装置を統括制御する制御回路と,当該車両の各種機器とのインターフェースを司る入出力回路とを有し,
他の編成との併結時において,当該編成に対し或る方向から他編成が併結したことを表す第一の併結信号と,
当該編成に対し前記と反対側に他編成が併結したことを表す第二の併結信号とを設け,
前記第一の併結信号は,編成内の引き通し線によって前記中央装置および前記端末装置に入力され,
前記第二の併結信号は,編成内の引き通し線によって前記中央装置および前記端末装置に入力され,
前記中央装置および前記端末装置は,前記第一の併結信号と第二の併結信号の印加状態によって,併結の有無を認識するとともに,当該編成に対してどの方向に他編成が併結したかを認識し,
併結後の編成全体において,予め定められた方向の先頭に位置する前記中央装置が,
前記車両間伝送系の親局として動作し,かつ前記端末装置が前記車両間伝送系の子局として動作し,
前記親局は,自編成における号車と,編成間の位置関係によって予め定められる編成番号により決定される伝送局番に基づいて,各車の車両情報を収集するとともに,全車両の車両情報の収集処理を完了した後,
前記親局が前記各車の子局に対して,編成全体の車両情報を配信することを特徴とする車両編成認識装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−42608(P2013−42608A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178690(P2011−178690)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】