説明

列車情報管理装置及び列車情報管理方法

【課題】異常等の発生によりマスターコントローラから中央装置に一定期間制御情報が伝送されず又は中央装置から端末装置に一定期間制御情報が伝送されずに、端末装置が最新の制御情報を得られない場合であっても、端末装置が加速制御又は減速制御を指令することのない列車情報管理装置及び列車情報管理方法を提供すること。
【解決手段】中央装置1は、マスターコントローラ3−4から状態データが一定周期内に受信されるか否かを監視し、受信結果に応じて有効又は無効を表すフラグを付与した状態データを含む基幹伝送データを端末装置2−2へ送信する。端末装置2−2は、基幹伝送データが一定周期内に受信されず、又は受信された基幹伝送データに含まれる状態データに無効のフラグが付与されていた場合は、VVVF(推進装置)3−9に対しては加速開放指令情報を送信し、ブレーキ装置3−10に対してはブレーキ開放指令情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、列車情報管理装置及び列車情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車情報管理装置は、列車の各車両に搭載された機器の状態データを収集し管理するとともに、その動作を個別に制御することができる。
【0003】
列車情報管理装置は、一般に中央装置及び端末装置で構成される。ここで、中央装置は、例えば列車の先頭車両及び後尾車両に搭載され、端末装置はその他の中間車両にそれぞれ搭載され、中央装置と端末装置は車両間にわたって配設された基幹伝送路により互いに接続されている。そして、中央装置と端末装置は、それぞれ自装置が搭載された車両内の機器の状態データを収集し管理するとともに、基幹伝送路を介した車両間通信により、収集した状態データを互いに送受信して共有している。また、中央装置は、マスターコントローラ(主幹制御器)に接続され、マスターコントローラから入力された制御情報(例えば、力行ノッチ情報やブレーキノッチ情報等)を端末装置へ送信し、端末装置は受信した制御情報を制御対象の機器に送信し、制御対象の機器は受信した制御情報に従って動作する。このように、端末装置は、中央装置から定期的に制御情報を受信することにより、最新の制御情報に基づいて機器を制御している。
【0004】
また、特許文献1では、中央制御装置から複数の車両に各別に搭載した車両制御装置へ車両の走行及び停止に関する指令信号を送信し、車両制御装置から送信される車両の位置及び状態に関する車両情報信号を中央制御装置にて受信することにより、複数の車両を運転制御する車両自動運転装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平03−125664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の列車情報管理装置の端末装置は、マスターコントローラ−中央装置間若しくは中央装置−端末装置間の通信エラー又はマスターコントローラ若しくは中央装置の故障等により、マスターコントローラから中央装置に一定期間制御情報が伝送されず又は中央装置から端末装置に一定期間制御情報が伝送されない場合は、マスターコントローラからの最新の制御情報を受信できないので、この場合は直前に受信した制御情報を用いて機器の制御を行うように設定されている。したがって、例えば直前に加速制御状態又は減速制御状態にあったときは、異常発生後にもその状態が継続されることになるという問題があった。このような加速制御状態又は減速制御状態の継続は、たとえその後に別の非常制御手段が起動される場合であっても、少なくとも一定期間は継続することになるので、加速継続という危険な状態、およびブレーキが緩解できずに立ち往生し、ダイヤ乱れの発生要因ともなり得るため、制御上は好ましくないと言える。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、異常等の発生によりマスターコントローラから中央装置に一定期間制御情報が伝送されず又は中央装置から端末装置に一定期間制御情報が伝送されずに、端末装置が最新の制御情報をマスターコントローラから得られない場合であっても、端末装置が加速制御又は減速制御を指令することのない列車情報管理装置及び列車情報管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る列車情報管理装置は、列車の編成の両端の車両にそれぞれ搭載された中央装置と、前記編成の中間車両にそれぞれ搭載された端末装置とを備え、前記中央装置と前記端末装置とが基幹伝送路により互いに接続されて構成された列車情報管理装置であって、前記中央装置は、自車両内に搭載されたマスターコントローラから支線伝送路を介して定期的に送信される力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報を含む状態データ信号が一定周期内に受信されたか否かを判定し、前記一定周期内に前記状態データ信号が受信された場合には、前記状態データの有効又は無効を示す状態データフラグを有効に設定して当該状態データに付与した後に当該状態データを出力し、前記一定周期内に前記状態データが受信されない場合には、既に受信され保存されている状態データに無効に設定した前記状態データフラグを付与した後に当該状態データを出力する状態データ信号受信判定部と、この状態データ信号受信判定部から出力された前記状態データを用いて当該状態データを含む基幹伝送データ信号を生成し、この基幹伝送データ信号を定期的に前記基幹伝送路に送出する基幹伝送データ信号生成部と、を備え、前記端末装置は、前記基幹伝送データ信号が一定周期内に受信されたか否かを判定する基幹伝送データ信号受信判定部と、前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されなかった場合、又は前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されかつ前記基幹伝送データ信号に含まれる状態データに付与された前記状態データフラグが無効である場合において、自車両内に前記列車の推進装置及びブレーキ装置の少なくともいずれか一方が搭載されているときは、前記推進装置に対しては力行制御を行わないように指令する加速開放指令情報を含む信号であってその状態データの返信を要求する状態データ要求信号を生成して支線伝送路を介して前記推進装置へ送信し、前記ブレーキ装置に対してはブレーキ制御を行わないように指令するブレーキ開放指令情報を含む信号であってその状態データの返信を要求する状態データ要求信号を生成して前記支線伝送路を介して前記ブレーキ装置へ送信する状態データ要求信号生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、異常等の発生によりマスターコントローラから中央装置に一定期間制御情報が伝送されず又は中央装置から端末装置に一定期間制御情報が伝送されずに、端末装置が最新の制御情報をマスターコントローラから得られない場合であっても、端末装置は加速制御又は減速制御を指令することがなく、加速継続という危険な状態、およびブレーキが緩解できずに立ち往生し、ダイヤ乱れが発生するということを防止する、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態に係る列車情報管理装置が搭載された列車の編成の一例を示す図である。
【図2】図2は、中央装置1と機器3との間のデータ送受信処理を示したシーケンス図である。
【図3】図3は、端末装置2と機器3との間のデータ送受信処理を示したシーケンス図である。
【図4】図4は、中央装置1の内部構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、端末装置2の内部構成の一例を示す図である。
【図6】図6は、フラグPの付与された状態データの例を示す図である。
【図7】図7は、フラグQの付与された基幹伝送データの例を示す図である。
【図8】図8は、中央装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る列車情報管理装置及び列車情報管理方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態.
図1は、本実施の形態に係る列車情報管理装置が搭載された列車の編成の一例を示す図である。図1では、列車の編成は例えば6台の車両からなり、具体的には、車両TC1,M2−1,M1−1,M2−2,M1−2,TC2で構成される。
【0013】
編成の両端の車両である車両TC1,TC2には、それぞれ、列車情報管理装置の中央装置(以下、単に「中央装置」という。)1が搭載されている。中間車両である車両M2−1,M1−1,M2−2,M1−2には、それぞれ、列車情報管理装置の端末装置(以下、単に「端末装置」という。)2−1,2−2,2−3,2−4が搭載されている。本実施の形態の列車情報管理装置は、中央装置1及び端末装置2−1〜2−4で構成される。列車の走行時には、車両TC1,TC2のうちの一方が先頭車両となり、他方が後尾車両となる。以下では、例えば車両TC1を先頭車両として説明する。中央装置1及び端末装置2−1〜2−4は、車両間にわたって配設された基幹伝送路(車両間伝送路)4を介して互いに通信可能に接続されている。
【0014】
車両TC1は、中央装置1と、中央装置1に支線伝送路(車両内伝送路)5を介してそれぞれ接続された機器3−1〜3−3と、中央装置1に支線伝送路5を介して接続されたマスターコントローラ(主幹制御器)3−4と、を備える。支線伝送路5は、車両内に配設された通信路である。機器3−1〜3−3は、例えば、空調装置、ブレーキ装置等である。中央装置1は、機器3−1〜3−3をそれぞれ制御するための制御情報を送信するとともに、機器3−1〜3−3からそれぞれ機器情報(状態データ)を取得している。マスターコントローラ3−4も、機器3−1〜3−3と同様に中央装置1により制御管理されている。また、マスターコントローラ3−4は、例えば運転台(図示せず)から入力された力行ノッチ情報(加速情報)やブレーキノッチ情報(減速情報)等の制御情報を中央装置1に送信する。
【0015】
車両M2−1は、端末装置2−1と、端末装置2−1に支線伝送路5を介してそれぞれ接続された機器3−5〜3−7と、を備える。機器3−5〜3−7は、例えば、空調装置、ブレーキ装置、モータ等である。端末装置2−1は、機器3−5〜3−7をそれぞれ制御するための制御情報を送信するとともに、機器3−5〜3−7からそれぞれ機器情報(状態データ)を取得している。
【0016】
車両M1−1は、端末装置2−2と、端末装置2−2に支線伝送路5を介してそれぞれ接続された機器3−5,3−6,3−8と、端末装置2−2に支線伝送路5を介して接続されたVVVF(推進装置)3−9と、端末装置2−2に支線伝送路5を介して接続されたブレーキ装置3−10と、を備える。機器3−5,3−6,3−8は、例えば、空調装置、モータ等である。VVVF3−9は、VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)インバータであり、モータ(図示せず)の電圧及び周波数を可変することで車両推進の制御を行う。端末装置2−2は、機器3−5,3−6,3−8、VVVF3−9、ブレーキ装置3−10をそれぞれ制御するための制御情報を送信するとともに、機器3−5,3−6,3−8、VVVF3−9、ブレーキ装置3−10からそれぞれ機器情報(状態データ)を取得している。
【0017】
車両TC2は、車両TC1と同様の構成である。車両M2−2は、車両M2−1と同様の構成であり、端末装置2−3は端末装置2−1と同様の機能を有する。車両M1−2は、車両M1−1と同様の構成であり、端末装置2−4は端末装置2−2と同様の機能を有する。
【0018】
なお、以下では、単に機器3と記載した場合には、機器3−1〜3−3,3−5〜3−8だけでなくマスターコントローラ3−4、VVVF3−9及びブレーキ装置3−10についても含むこととし、これらの機器を総称して表すものとする。また、単に端末装置2と記載した場合には、端末装置2−1〜2−4を総称して表すものとする。
【0019】
図2は、中央装置1と機器3との間のデータ送受信処理を示したシーケンス図である。図2に示すように、中央装置1は、自車両内の機器3に対して、例えば一定周期T1で状態データ要求信号SDRを送信する。ここで、状態データ要求信号SDRは、典型的には機器3に対する制御情報(制御指令情報)を含む信号であり、この制御情報にしたがって機器3が動作した後のその状態データ(機器情報)を機器3に対して返信するよう要求するものである。機器3は、中央装置1からの状態データ要求信号SDRを受信すると、状態データ要求信号SDRに含まれる制御情報にしたがって動作するとともに、そのときの状態データを状態データ信号SDとして中央装置1に返信する。つまり、状態データ信号SDは、状態データ要求信号SDRに対する応答信号である。中央装置1は、状態データ要求信号SDRの送信処理とこれに応答した状態データ信号SDの受信処理を、一定周期T1で繰り返し行っている。なお、周期T1は、例えば機器3の種類ごとに異なる値に設定することができる。
【0020】
例えば、機器3を空調装置とした場合、中央装置1は、例えば空調温度をある一定値に制御するように指令する制御情報を状態データ要求信号SDRとして機器3に送信する。これに対し、機器3は、状態データ要求信号SDRを受信した後、その制御情報にしたがって空調温度を調整するとともに、実際の室温を状態データとした状態データ信号SDを中央装置1に返信する。
【0021】
図3は、端末装置2と機器3との間のデータ送受信処理を示したシーケンス図である。図3についても、図2と同様である。すなわち、端末装置2は、自車両内の機器3に対して、例えば一定周期T1で状態データ要求信号SDRを送信する。機器3は、端末装置2からの状態データ要求信号SDRを受信すると、状態データ要求信号SDRに含まれる制御情報にしたがって動作するとともに、そのときの状態データを状態データ信号SDとして端末装置2に返信する。端末装置2は、状態データ要求信号SDRの送信処理と状態データ信号SDの受信処理を、一定周期T1で繰り返し行っている。周期T1は、例えば機器3の種類ごとに異なる値に設定することができる。
【0022】
中央装置1は、自車両内の機器3について収集した状態データを基幹伝送路4を介して端末装置2及び他の中央装置1に送信することができる。また、端末装置2は、自車両内の機器3について収集した状態データを基幹伝送路4を介して他の端末装置2及び中央装置1に送信することができる。このようにして、中央装置1と端末装置2は列車内の機器3に関する状態データを互いに共有することができる。
【0023】
図4は、中央装置1の内部構成の一例を示す図である。図5は、端末装置2の内部構成の一例を示す図である。図6は、フラグPの付与された状態データの例を示す図である。図7は、フラグQの付与された基幹伝送データの例を示す図である。
【0024】
まず、中央装置1の構成について説明する。図4に示すように、中央装置1は、制御処理部10と、制御処理部10に接続された記憶部11と、制御処理部10に接続され基幹伝送路4を介してデータの送受信を行うことが可能な送受信部13と、制御処理部10に接続され支線伝送路5を介してデータの送受信を行うことが可能な送受信部12と、を備えている。また、制御処理部10は、基幹伝送データ信号生成部15、状態データ信号受信判定部16、及び状態データ要求信号生成部17を備えている。
【0025】
状態データ要求信号生成部17は、状態データ要求信号SDRを生成し、この状態データ要求信号SDRを送受信部12により支線伝送路5を介して機器3へ送信する。すなわち、状態データ要求信号生成部17は、自車両内の機器3に応じて、機器3を制御するための制御情報を生成し、この制御情報を含んだ状態データ要求信号SDRを生成する。
【0026】
状態データ信号受信判定部16は、送受信部12を監視することにより、状態データ要求信号SDRの送信に応答した状態データ信号SDが受信されたか否か判定する。詳細には、状態データ信号受信判定部16は、状態データ要求信号SDRの送信後一定期間T1内に応答信号である状態データ信号SDが受信されるか否かを判定する(図2参照)。さらに、状態データ信号受信判定部16は、一定期間T1内に状態データ信号SDが受信されたと判定した場合は、受信された状態データ信号SDに含まれる状態データを記憶部11に保存するとともに、状態データが有効又は無効であることを示す状態データフラグを有効に設定してこの状態データフラグを当該状態データに付与し、この状態データフラグを付与した状態データを基幹伝送データ信号生成部15に出力する。ここで、状態データフラグの設定内容が「有効」であるとは、状態データが一定期間T1内に受信された最新のデータであることを示すものである。他方、状態データ信号受信判定部16は、一定期間T1内に状態データ信号SDが受信されなかったと判定した場合は、記憶部11から既に受信された状態データ(例えば直前に受信された状態データ)を取得し、この状態データに対し無効に設定した状態データフラグを付与し、この状態データフラグを付した状態データを基幹伝送データ信号生成部15に出力する。ここで、状態データフラグの設定内容が「無効」であるとは、状態データが一定期間T1内に受信されず、最新のデータではないことを示すものである。
【0027】
なお、本実施の形態では、状態データ信号受信判定部16は、状態データ要求信号SDRの送信と同期したタイミングで一定周期T1毎に状態データ信号SDの返信があるかどうかを判定するが(図2参照)、必ずしも同期している必要はなく、非同期であっても一定周期T1で監視するものであればよい。
【0028】
図6(a)では、マスターコントローラ3−4から受信した状態データの一例を示している。この状態データは、力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報等の制御情報を含んでいる。力行ノッチ情報(加速情報)及びブレーキノッチ情報(減速情報)は、車両TC1のマスターコントローラ3−4に入力されたものである。また、この状態データには、上記状態データフラグを表すフラグPが付与されており、図示例では、このフラグP=1となっている。ここで、フラグP=1の場合は、例えば有効を表し、フラグP=0の場合は、例えば無効を表すものとする。
【0029】
基幹伝送データ信号生成部15は、状態データ信号受信判定部16から出力された自車両の機器3の状態データを編集及び集約等をし、端末装置2へ送信する基幹伝送データを作成する。基幹伝送データ信号生成部15は、作成した基幹伝送データを基幹伝送データ信号として送受信部13を介して基幹伝送路4へ送出する。基幹伝送データ信号生成部15は、例えば一定周期T2で、基幹伝送データ信号を端末装置2及び他の中央装置1へ送信している。
【0030】
図6(b)では、基幹伝送データの一例を示している。この基幹伝送データは、マスターコントローラ3−4の状態データと、機器3−1の状態データと、機器3−2の状態データを含んでいる。また、図示例では、マスターコントローラ3−4の状態データに付与されたフラグPは1であり、機器3−1の状態データに付与されたフラグPは1であり、機器3−2の状態データに付与されたフラグPは0である。したがって、フラグPを参照することで、マスターコントローラ3−4及び機器3−1に関してはそれぞれ最新の状態データが得られたが、機器3−2に関しては、状態データ要求信号SDRの送信後一定期間T1内に応答信号である状態データ信号SDが受信されなかったので、最新の状態データの代わりに例えば直前に得られた状態データが含まれていることがわかる。
【0031】
なお、状態データ要求信号SDRの送信後一定期間T1内に応答信号である状態データ信号SDが得られない状況は、例えば送受信部12−機器3間の通信エラー、機器3の故障、送受信部12の故障等を要因として発生し得る。また、基幹伝送データ信号生成部15は、状態データ信号受信判定部16から出力された機器3の状態データを必要に応じて取捨選択することにより、基幹伝送データの内容を決定する。
【0032】
制御処理部10は、上記の機能構成(基幹伝送データ信号生成部15、状態データ信号受信判定部16、及び状態データ要求信号生成部17)に加えて、列車情報管理装置が一般的に有する機能(例えば、列車情報の収集、管理、及び編集等の機能)を有する。制御処理部10は、CPU等のハードウェアから構成され、専用のソフトウェアにしたがって動作する。また、記憶部11は、例えばハードディスク等により構成される。
【0033】
次に、端末装置2の構成について説明する。図5に示すように、端末装置2は、制御処理部20と、制御処理部20に接続された記憶部21と、制御処理部20に接続され基幹伝送路4を介してデータの送受信を行うことが可能な送受信部23と、制御処理部20に接続され支線伝送路5を介してデータの送受信を行うことが可能な送受信部22と、を備えている。また、制御処理部20は、基幹伝送データ信号受信判定部25、及び状態データ要求信号生成部26を備えている。
【0034】
基幹伝送データ信号受信判定部25は、送受信部23を監視することにより、中央装置1から送信された基幹伝送データが上記周期T2内に受信されたか否かを判定する。すなわち、基幹伝送データ信号受信判定部25は、一定期間T2ごとに、中央装置1からの基幹伝送データが受信されたかを常時監視している。基幹伝送データ信号受信判定部25は、一定期間T2内に基幹伝送データ信号が受信されたと判定した場合は、受信された基幹伝送データ信号に含まれる基幹伝送データを記憶部21に保存するとともに、基幹伝送データが有効又は無効であることを示す基幹伝送データフラグを有効に設定してこの基幹伝送データフラグを当該基幹伝送データに付与し、この基幹伝送データフラグを付した基幹伝送データを状態データ要求信号生成部26に出力する。ここで、基幹伝送データフラグの設定内容が「有効」であるとは、中央装置1からの基幹伝送データが一定期間T2内に受信された最新のデータであることを示すものである。他方、基幹伝送データ信号受信判定部25は、一定期間T2内に基幹伝送データ信号が受信されなかったと判定した場合は、記憶部21から既に受信された基幹伝送データ(例えば直前に受信された基幹伝送データ)を取得し、この基幹伝送データに対し無効に設定した基幹伝送データフラグを付与し、この基幹伝送データフラグを付した基幹伝送データを状態データ要求信号生成部26に出力する。基幹伝送データフラグの設定内容が「無効」であるとは、基幹伝送データが一定期間T2内に受信されず、最新のデータではないことを示すものである。
【0035】
図7では、中央装置1から受信した基幹伝送データの一例を示しており、図6(b)の基幹伝送データに対応するものである。図7に示すように、この基幹伝送データには、上記基幹伝送データフラグを示すフラグQが付与されており、図示例では、フラグQ=1となっている。ここで、フラグQ=1の場合は、例えば有効を表し、フラグQ=0の場合は、例えば無効を表すものとする。すなわち、図7では、フラグQを除いた部分が中央装置1から送信された基幹伝送データであり、フラグQは、基幹伝送データ信号受信判定部25により、有効又は無効の判定の後に付与されたものである。
【0036】
なお、中央装置1から一定期間T内に基幹伝送データが受信できない状況は、例えば中央装置1−端末装置2間の通信エラー、中央装置1の故障、送受信部23の故障等を要因として発生し得る。
【0037】
状態データ要求信号生成部26は、基幹伝送データ信号受信判定部25から出力された基幹伝送データに基づいて、自車両内の各機器3に送信する状態データ要求信号SDRを生成する。以下では、端末装置2は例えば端末装置2−2とする。また、状態データ要求信号生成部26により生成される状態データ要求信号SDRのうち、特に、VVVF3−9及びブレーキ装置3−10のそれぞれに送信するものについて詳述する。
【0038】
まず、状態データ要求信号生成部26は、基幹伝送データの全体に付されたフラグQと各状態データに付されたフラグPを確認する。状態データ要求信号生成部26は、フラグQが1(有効)であり、かつ、マスターコントローラ3−4の状態データに付されたフラグPが1(有効)である場合は、マスターコントローラ3−4の状態データに含まれる力行ノッチ情報を取得し、この力行ノッチ情報を含む状態データ要求信号SDRを作成してVVVF3−9へ送信する。なお、VVVF3−9に接続されたモータ(図示せず)を制動時に発電機として作用させ、車両から架線に電力を供給する構成(回生ブレーキ構成)を採用する場合は、状態データ要求信号生成部26は、当該状態データから力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報を取得し、これらの力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報を含む状態データ要求信号SDRを作成してVVVF3−9へ送信する。また、フラグQが1(有効)であり、かつ、マスターコントローラ3−4の状態データに付されたフラグPが1(有効)である場合において、状態データ要求信号生成部26は、マスターコントローラ3−4の状態データに含まれるブレーキノッチ情報を取得し、このブレーキノッチ情報を含む状態データ要求信号SDRを作成してブレーキ装置3−10へ送信する。つまり、フラグQが1(有効)であり、かつ、マスターコントローラ3−4の状態データに付されたフラグPが1(有効)である場合には、状態データ要求信号生成部26は、中央装置1から受信した力行ノッチ情報(及びブレーキノッチ情報)をそのままVVVF3−9へ送信し、中央装置1から受信したブレーキノッチ情報をそのままブレーキ装置3−10へ送信する。
【0039】
ここで、力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報の具体例について説明する。図10は、力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報の一例を示す図である。図10(a)は、力行ノッチ情報を示し、図10(b)は、ブレーキノッチ情報を示している。図10(a)では、P1N〜P5Nは、それぞれ1N(ノッチ)〜5N(ノッチ)の五段階の力行のノッチを表している。また、P1N〜P5Nは、それぞれ、例えば6ビットの数値(b6〜b1)で与えられる。例えば、P1Nは、000011、P2Nは、000111等である。したがって、力行ノッチ情報はP1N〜P5Nのいずれかである。なお、図10(a)の「加速開放指令」については、後述する。図10(b)では、B1N〜B8Nは、それぞれ1N(ノッチ)〜8N(ノッチ)の8段階のブレーキのノッチを表している。また、B1N〜B8Nは、それぞれ、例えば4ビットの数値(b4〜b1)で与えられる。例えば、B1Nは、0001、B2Nは、0011等である。したがって、ブレーキノッチ情報はB1N〜B8Nのいずれかである。なお、図10(b)の「ブレーキ開放指令」については、後述する。
【0040】
また、状態データ要求信号生成部26は、フラグQが0(無効)又はマスターコントローラ3−4の状態データに付されたフラグPが0(無効)である場合は、マスターコントローラ3−4から最新の制御情報を取得できない状況に対応して、マスターコントローラ3−4の状態データに含まれる力行ノッチ情報を用いることなく、予め設定された加速開放指令情報を選択し、この加速開放指令情報を含む状態データ要求信号SDRを作成してVVVF3−9へ送信する。ここで、加速開放指令情報とは、力行ノッチ情報であるP1N〜P5Nのいずれとも異なる情報であって、VVVF3−9に対してモータの制御を開放させ、力行を行わないように指令するものである。図10(a)では、加速開放指令情報の一例を示している。すなわち、「加速開放指令」は、例えば6ビットの数値(b6〜b1)で与えられ、具体的には、000000であり、P1N〜P8Nのいずれとも異なる値に設定されている。
【0041】
さらにまた、フラグQが0(無効)又はマスターコントローラ3−4の状態データに付されたフラグPが0(無効)である場合において、状態データ要求信号生成部26は、マスターコントローラ3−4の状態データに含まれるブレーキノッチ情報を用いることなく、予め設定されたブレーキ開放指令情報を選択し、このブレーキ開放指令情報を含む状態データ要求信号SDRを作成してブレーキ装置3−10へ送信する。ここで、ブレーキ開放指令情報とは、ブレーキノッチ情報であるB1N〜B8Nのいずれとも異なる情報であって、ブレーキ装置3−10に対してブレーキの制御を開放させ、制動を行わないように指令するものである。図10(b)では、ブレーキ開放指令情報の一例を示している。すなわち、「ブレーキ開放指令」は、例えば4ビットの数値(b4〜b1)で与えられ、具体的には、0000であり、B1N〜B8Nのいずれとも異なる値に設定されている。
【0042】
このように、状態データ要求信号生成部26は、中央装置1から受信した力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報が最新のものでない場合は、VVVF3−9に対しては加速開放指令情報を送信し、ブレーキ装置3−10に対してはブレーキ開放指令情報を送信することにより、列車は加速制御及び減速制御のいずれからも開放され、その結果、列車は惰行運転することとなる。
【0043】
以上、VVVF3−9及びブレーキ装置3−10のそれぞれに対して生成される状態データ要求信号の内容について説明した。VVVF3−9及びブレーキ装置3−10以外の機器3については、以下の通りである。まず、フラグQが1(有効)であり、かつ、当該機器3の制御に関連する状態データに付されたフラグPが1(有効)である場合は、状態データ要求信号生成部26は、当該状態データから機器3の制御に関連する制御情報を取得し、この制御情報を含む状態データ要求信号SDRを作成して機器3へ送信する。つまり、最新の制御情報が得られた場合には、状態データ要求信号生成部26は、機器3にその制御情報をそのまま送信する。なお、機器3の制御に関連する状態データとは、基幹伝送データ信号受信判定部25の出力するフラグQ付きの基幹伝送データに含まれる状態データのうち、当該機器3の制御に用いられる制御情報を含む状態データをいい、例えば、VVVF3−9の場合は、マスターコントローラ3−4の状態データである。
【0044】
また、上記説明では、端末装置2は例えば端末装置2−2であるとし、自車両M1−1内にVVVF3−9及びブレーキ装置3−10が搭載されている場合について説明したが、他の車両に例えばブレーキ装置が搭載されている場合には、当該ブレーキ装置の制御に関しても同様の処理を行うこととする。
【0045】
また、フラグQが0(無効)又は当該機器3の制御に関連する状態データに付されたフラグPが0(無効)である場合は、状態データ要求信号SDRの内容は、一般に機器3の種類に応じて個別に設定することができる。例えば、機器3が、上記のような異常発生時において、例えば直前の制御情報等の通常使用される制御情報を用いないことが好ましい場合は、VVVF3−9及びブレーキ装置3−10の場合と同様に、通常使用される制御情報とは異なるものであって予め設定された指令情報を選択し、この指令情報を含む状態データ要求信号SDRを作成して当該機器3へ送信することができる。また、例えば、上記のような異常発生時においても、機器3が、例えば直前の制御情報を使用することが好ましい場合は、この直前の制御情報を含む状態データ要求信号SDRを作成して当該機器3へ送信することができる。
【0046】
次に、本実施の形態の動作について図8及び図9等を参照して説明する。図8は、中央装置1の動作を説明するためのフローチャートであり、図9は、端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。
【0047】
図8について説明する。まず、状態データ要求信号生成部17は、状態データ要求信号SDRを生成し、これを機器3へ送信する(S1)。状態データ信号受信判定部16は、一定期間T1内に、機器3から状態データ要求信号SDRの送信に応答した状態データ信号SDの返信があったか否かを判定する(S2)。
【0048】
判定の結果、一定期間T1内に状態データ信号SDの返信があった場合は(S2,Yes)、状態データ信号受信判定部16は、受信した状態データに有効フラグ(状態データフラグの設定内容を有効としたもの)を付与する(S3)。他方、判定の結果、一定期間T1内に状態データ信号SDの返信がなかった場合は(S2,No)、状態データ信号受信判定部16は、記憶部11に保存された直前の状態データを読み出し、この状態データに無効フラグ(状態データフラグの設定内容を無効としたもの)を付与する(S4)。
【0049】
つづいて、基幹伝送データ信号生成部15は、有効又は無効フラグ(状態データフラグ)の付与された状態データを状態データ信号受信判定部16から取得した後、これらを集約及び編集等することにより基幹伝送データを作成し、基幹伝送路4を介してこの基幹伝送データを端末装置2等へ送信する(S5)。中央装置1では、S1〜S5の処理が繰り返し実施されており、中央装置1は、基幹伝送データ信号を例えば一定周期T2で基幹伝送路4に送出している。
【0050】
図9について説明する。基幹伝送データ信号受信判定部25は、中央装置1からの基幹伝送データが周期的(一定周期T2)に送受信部23にて受信されるかどうかを監視している(S10)。すなわち、基幹伝送データ信号受信判定部25は、一定期間T2内に中央装置1からの基幹伝送データ信号を受信したか否かを判定する(S11)。
【0051】
判定の結果、一定期間T2内に基幹伝送データ信号を受信した場合は(S12,Yes)、状態データ要求信号生成部26は、受信した基幹伝送データに有効フラグ(基幹伝送データフラグの設定内容を有効としたもの)を付与する(S12)。他方、判定の結果、一定期間T2内に基幹伝送データ信号を受信しなかった場合は(S12,No)、状態データ要求信号生成部26は、記憶部21に保存された直前の基幹伝送データを読み出し、この基幹伝送データに無効フラグ(基幹伝送データフラグの設定内容を無効としたもの)を付与する(S13)。
【0052】
状態データ要求信号生成部26は、有効又は無効フラグ(基幹伝送データフラグ)の付与された基幹伝送データをもとに、機器3ごとに状態データ要求信号SDRを生成し、支線伝送路5を介して状態データ要求信号SDRを機器3へ送信する(S14)。特に機器3が、VVVF3−9又はブレーキ装置3−10である場合は、既に説明したようにして状態データ要求信号SDRを生成する。すなわち、状態データ要求信号生成部26は、フラグQが1(有効)であり、かつ、マスターコントローラ3−4の状態データに付されたフラグPが1(有効)である場合には、当該状態データから得られた力行ノッチ情報(及びブレーキノッチ情報)を含む状態データ要求信号SDRを生成してこれをVVVF3−9へ送信し、当該状態データから得られたブレーキノッチ情報を含む状態データ要求信号SDRを生成してこれをブレーキ装置3−10へ送信する。他方、フラグQが0(無効)又はマスターコントローラ3−4の状態データに付されたフラグPが0(無効)である場合は、状態データ要求信号生成部26は、加速開放指令情報を含む状態データ要求信号SDRを生成してこれをVVVF3−9へ送信し、ブレーキ開放指令情報を含む状態データ要求信号SDRを生成してこれをブレーキ装置3−10へ送信する。なお、端末装置2では、S10〜S14の処理が繰り返し実施されている。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、異常等の発生によりマスターコントローラ3−4から中央装置1に一定期間T1状態データが伝送されず、又は中央装置1から端末装置2に一定期間T2基幹伝送データが伝送されずに、端末装置2が最新の制御情報をマスターコントローラ3−4から得られない場合であっても、端末装置2は、VVVF3−9に対しては加速開放指令情報を送信し、ブレーキ装置3−10に対してはブレーキ開放指令情報を送信するようにしたので、列車は加速制御及び減速制御のいずれからも開放され、その結果、列車は惰行運転することとなる。よって、異常発生時において、加速制御状態又は減速制御状態が継続されることがなく、加速継続という危険な状態、およびブレーキが緩解できずに立ち往生し、ダイヤ乱れが発生するということを防止することができる。
【0054】
また、中央装置1は、機器3から送信された状態データに対してそれが一定周期T1内に受信できたものかどうかを示す状態データフラグを付与した後に、この状態データフラグ付きの状態データから基幹伝送データを生成して基幹伝送をしている。また、端末装置2は、中央装置2から送信された基幹伝送データに対してそれが一定周期T2内に受信できたものかどうかを示す基幹伝送データフラグを付した後に、この基幹伝送データフラグ付きの基幹伝送データを用いて状態データ要求信号を生成するようにしている。これらのフラグを参照することにより、端末装置2では、状態データが最新のものであるかどうか及びデータ伝送に異常が発生したかどうかを容易に判定することができる。
【0055】
なお、端末装置2では、基幹伝送データに基幹伝送データフラグを付与するようにしたが、必ずしもこの形態に限定されるわけではなく、例えば一定周期T2内に中央装置1からの基幹伝送データが受信された否かの判定結果を状態データ要求信号生成部26に出力する構成でもよい。この場合、状態データ要求信号生成部26は、基幹伝送データに含まれる状態データに付与された状態データフラグの内容と、状態データ要求信号生成部26から出力された前記判定結果を参照することにより、状態データフラグ及び基幹伝送データフラグを用いた場合と同様の判定処理を行うことができる。
【0056】
なお、特許文献1では、中央制御装置1は自装置が正常であるという情報を常時各車両の車両制御装置に送信している。各車両の車両制御装置は、この情報を一定の周期で受信しない場合、中央制御装置に異常が発生したと判断し、自車両を停止することにより、軌道上の全車両が停止される。しかしながら、このようにすると、列車は急停止し、中央制御装置の異常を復旧しない限り動くことができなくなり、その後のダイヤ乱れの発生要因となり得る。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、列車情報管理装置及び列車情報管理方法として有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 中央装置
2,2−1〜2−4 端末装置
3,3−1〜3−8 機器
3−4 マスターコントローラ
3−9 VVVF(推進装置)
3−10 ブレーキ装置
4 基幹伝送路
5 支線伝送路
10,20 制御処理部
11,21 記憶部
12,13,22,23 送受信部
15 基幹伝送データ信号生成部
16 状態データ信号受信判定部
17 状態データ要求信号生成部
25 基幹伝送データ信号受信判定部
26 状態データ要求信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の編成の両端の車両にそれぞれ搭載された中央装置と、前記編成の中間車両にそれぞれ搭載された端末装置とを備え、前記中央装置と前記端末装置とが基幹伝送路により互いに接続されて構成された列車情報管理装置であって、
前記中央装置は、
自車両内に搭載されたマスターコントローラから支線伝送路を介して定期的に送信される力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報を含む状態データ信号が一定周期内に受信されたか否かを判定し、前記一定周期内に前記状態データ信号が受信された場合には、前記状態データの有効又は無効を示す状態データフラグを有効に設定して当該状態データに付与した後に当該状態データを出力し、前記一定周期内に前記状態データが受信されない場合には、既に受信され保存されている状態データに無効に設定した前記状態データフラグを付与した後に当該状態データを出力する状態データ信号受信判定部と、
この状態データ信号受信判定部から出力された前記状態データを用いて当該状態データを含む基幹伝送データ信号を生成し、この基幹伝送データ信号を定期的に前記基幹伝送路に送出する基幹伝送データ信号生成部と、
を備え、
前記端末装置は、
前記基幹伝送データ信号が一定周期内に受信されたか否かを判定する基幹伝送データ信号受信判定部と、
前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されなかった場合、又は前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されかつ前記基幹伝送データ信号に含まれる状態データに付与された前記状態データフラグが無効である場合において、自車両内に前記列車の推進装置及びブレーキ装置の少なくともいずれか一方が搭載されているときは、前記推進装置に対しては力行制御を行わないように指令する加速開放指令情報を含む信号であってその状態データの返信を要求する状態データ要求信号を生成して支線伝送路を介して前記推進装置へ送信し、前記ブレーキ装置に対してはブレーキ制御を行わないように指令するブレーキ開放指令情報を含む信号であってその状態データの返信を要求する状態データ要求信号を生成して前記支線伝送路を介して前記ブレーキ装置へ送信する状態データ要求信号生成部と、
を備える
ことを特徴とする列車情報管理装置。
【請求項2】
前記状態データ要求信号生成部は、前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されかつ前記基幹伝送データ信号に含まれる前記状態データに付与された前記状態データフラグが有効である場合には、前記推進装置に対しては前記基幹伝送データ信号に含まれる前記状態データから前記力行ノッチ情報を取得し当該力行ノッチ情報を含む状態データ要求信号を生成して前記支線伝送路を介して前記推進装置へ送信し、前記ブレーキ装置に対しては前記基幹伝送データ信号に含まれる前記状態データから前記ブレーキノッチ情報を取得し当該ブレーキノッチ情報を含む状態データ要求信号を生成して前記支線伝送路を介して前記ブレーキ装置へ送信することを特徴とする請求項1に記載の列車情報管理装置。
【請求項3】
前記基幹伝送データ信号受信判定部は、前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されたと判定した場合には、基幹伝送データの有効又は無効を示す基幹伝送データフラグを有効に設定して当該基幹伝送データに付与した後に当該基幹伝送データを前記状態データ要求信号生成部に出力し、前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されなかったと判定した場合には、既に受信され保存されている基幹伝送データに無効に設定した前記基幹伝送データフラグを付与した後に当該基幹伝送データを前記状態データ要求信号生成部に出力し、
前記状態データ要求信号生成部は、前記基幹伝送データに付与された前記基幹伝送データフラグが無効であるか、又は、前記基幹伝送データ信号に含まれる前記状態データに付与された前記状態データフラグが無効である場合には、前記推進装置に対しては前記加速開放指令情報を含む状態データ要求信号を生成し、前記ブレーキ装置に対しては前記ブレーキ開放指令情報を含む状態データ要求信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の列車情報管理装置。
【請求項4】
前記状態データ要求信号生成部は、前記基幹伝送データに付与された前記基幹伝送データフラグが有効でありかつ前記基幹伝送データ信号に含まれる状態データに付与された前記状態データフラグが有効である場合には、前記推進装置に対しては前記力行ノッチ情報を含む状態データ要求信号を生成し、前記ブレーキ装置に対しては前記ブレーキノッチ情報を含む状態データ要求信号を生成することを特徴とする請求項3に記載の列車情報管理装置。
【請求項5】
前記加速開放指令情報は、前記マスターコントローラから出力可能な前記力行ノッチ情報のいずれとも異なるものであり、
前記ブレーキ開放指令情報は、前記マスターコントローラから出力可能な前記ブレーキノッチ情報のいずれとも異なるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の列車情報管理装置。
【請求項6】
列車の編成の両端の車両にそれぞれ搭載された中央装置と、前記編成の中間車両にそれぞれ搭載された端末装置とを備え、前記中央装置と前記端末装置とが基幹伝送路により互いに接続されて構成された列車情報管理装置に適用される列車情報管理方法であって、
前記中央装置が、自車両内に搭載されたマスターコントローラから支線伝送路を介して定期的に送信される力行ノッチ情報及びブレーキノッチ情報を含む状態データ信号が一定周期内に受信されたか否かを判定するステップと、
前記中央装置が、前記一定周期内に前記状態データが受信された場合には、前記状態データの有効又は無効を示す状態データフラグを有効に設定して当該状態データに付与し、
前記一定周期内に前記状態データが受信されない場合には、既に受信され保存されている状態データに無効に設定した前記状態データフラグを付与するステップと、
前記中央装置が、前記状態データフラグの付与された前記状態データを用いて当該状態データを含む基幹伝送データ信号を生成し、この基幹伝送データ信号を定期的に前記基幹伝送路に送出するステップと、
前記端末装置が、前記基幹伝送データ信号が一定周期内に受信されたか否かを判定するステップと、
前記端末装置が、前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されなった場合、又は前記基幹伝送データ信号が前記一定周期内に受信されかつ前記基幹伝送データ信号に含まれる状態データに付与された前記状態データフラグが無効である場合において、自車両内に前記列車の推進装置及びブレーキ装置の少なくともいずれか一方が搭載されているときは、前記推進装置に対しては力行制御を行わないように指令する加速開放指令情報を含む信号であってその状態データの返信を要求する状態データ要求信号を生成して支線伝送路を介して前記推進装置へ送信し、前記ブレーキ装置に対してはブレーキ制御を行わないように指令するブレーキ開放指令情報を含む信号であってその状態データの返信を要求する状態データ要求信号を生成して前記支線伝送路を介して前記ブレーキ装置へ送信するステップと、
を含むことを特徴とする列車情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−99172(P2013−99172A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241452(P2011−241452)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】