説明

判定回路

【課題】接続された機器の種類を正確に判定する。
【解決手段】判定回路は、電源電圧が印加された第1電源端子と第1及び第2端子とを有する機器の第1電源端子に第2電源端子が接続され、機器の種類に応じたインピーダンスを有する第1及び第2端子に接続される第3及び第4端子を含み第2電源端子の電圧に基づいて第1及び第2電源端子が接続されたか否かを検出する第1検出部、第1及び第2電源端子が接続され、第3端子に第1電圧を印加して第4端子に第2電圧を印加する電圧印加部、第3端子に第1電圧が印加し第4端子に第2電圧が印加して、第3端子の電圧レベルが第1電圧のレベルでないか、第4端子の電圧レベルが第2電圧レベルでないと、第1及び第2端子と第3及び第4端子との接続を検出する第2検出部、第1及び第2端子と第3及び第4端子とが接続されたことを検出し、第3及び第4端子の電圧に基づいて機器の種類を判別する判別部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及している携帯機器の多くには、例えばMicro−USB(Universal Serial Bus)用のプラグが接続されるポートが設けられている(例えば、特許文献1参照)。そして、これらのポートには、パーソナルコンピューターや充電器等の機器からのMicro−USB用のプラグ(以下、単にプラグと称する。)が接続される。
【0003】
ところで、プラグには、機器の種類等の情報(識別情報)が現れる端子、具体的には、グランドとの間に識別用の抵抗が接続された識別端子が一般的に設けられている。このため、携帯機器にプラグが接続されると、携帯機器は識別情報を取得することにより、携帯機器に接続された機器の種類等を識別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−205437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば充電器等の機器によっては、識別端子とは異なる所定の端子(例えば、データ通信用の端子)に機器の種類を示す抵抗値が設定されることがある。そして、近年、充電器の種類の増加に伴い、プラグの所定の端子の抵抗値も様々な値が用いられている。この結果、携帯機器は接続される機器を正確に判定できないことがある。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、接続された機器の種類を正確に判定できる判定回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係る判定回路は、電源電圧が印加された第1電源端子と第1及び第2端子とを有する機器の前記第1電源端子に接続される第2電源端子と、前記第1電源端子及び第2電源端子が接続された後に、前記機器の種類に応じたインピーダンスを有する前記第1及び第2端子のそれぞれに接続される第3及び第4端子と、を含む結合部の前記第2電源端子の電圧に基づいて前記第1及び第2電源端子が接続されたか否かを検出する第1検出部と、前記第1及び第2電源端子が接続されると、前記第3端子に第1電圧を印加するとともに前記第4端子に第2電圧を印加する電圧印加部と、前記第3端子に前記第1電圧が印加されつつ前記第4端子に前記第2電圧が印加された後に、前記第3端子の電圧レベルが前記第1電圧のレベルではないか、前記第4端子の電圧レベルが前記第2電圧レベルではないと、前記第1及び第2端子と前記第3及び第4端子とが接続されたことを検出する第2検出部と、前記第1及び第2端子と前記第3及び第4端子とが接続されたことが検出されると、前記第3及び第4端子の電圧に基づいて前記機器の種類を判別する判別部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
接続された機器の種類を正確に判定できる判定回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用した携帯機器10と充電器15の概要を示す図である。
【図2】充電器15aに用いられるプラグ16aの一部の構成を示す図である。
【図3】充電器15bに用いられるプラグ16bの一部の構成を示す図である。
【図4】充電器15cに用いられるプラグ16cの一部の構成を示す図である。
【図5】充電器15dに用いられるプラグ16dの一部の構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態である判定回路30の一例を示す図である。
【図7】判別回路54の構成の一例を示す図である。
【図8】プラグ16aが接続された際の比較信号Vc1〜Vc3について説明するための図である。
【図9】異なる種類の機器が接続された際の比較信号Vc1〜Vc3の一例を示す図である。
【図10】判定回路30の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
図1は、本発明を適用した携帯機器10と充電器15の概要を示す図である。携帯機器10は、例えばスマートフォンであり、例えばMicro−USB用のプラグが接続されるポート20(結合部)を備えている。
【0011】
充電器15は、例えばMicro−USB用のプラグ16を介して電池を充電する機器である。プラグ16には、端子VB1,DM1,DP1,ID1,GN1が設けられている。
【0012】
端子VB1,GN1のそれぞれは、一般的なMicro−USB用のプラグにおける電源端子、接地端子に相当する端子である。端子VB1(第1電源端子)には、電源電圧Vbusが印加され、端子GN1には、接地電圧(0V)が印加される。
【0013】
端子ID1は、一般的なMicro−USB用のプラグにおける識別端子に相当する端子である。ただし、本実施形態の端子ID1には識別抵抗は接続されておらず、端子ID1は電気的にフローティング状態となっている。
【0014】
端子DP1,DM1は、一般的なMicro−USB用のプラグにおけるデータ通信用の端子に相当する端子である。ただし、充電器15は、携帯機器10との間でデータ通信を行わない。このため、本実施形態では、例えば図2〜図5に示すように、端子DP1(第1端子)および端子DM1(第2端子)のそれぞれが充電器15の種類に応じたインピーダンス(抵抗値)を有するよう、端子DP1,DM1に抵抗等が接続されている。なお、図2〜図5においては、便宜上、端子DP1,DM1以外の端子は省略している。
【0015】
図2は、A社製の充電器15aに用いられるプラグ16aの端子DP1,DM1の状態を説明するための図である。端子DP1,DM1のそれぞれには、端子VB1に接続されて電源電圧Vbusが印加された抵抗200と、端子GN1に接続されて接地された抵抗201とが接続されている。このため、端子DP1,DM1には、電源電圧Vbusと、抵抗200,201の分圧比に応じた電圧V1が発生する。
【0016】
図3は、B社製の充電器15bに用いられるプラグ16bの端子DP1,DM1の状態を説明するための図である。
【0017】
端子DP1には、一端に電源電圧Vbusが印加された抵抗210と、一端が接地された抵抗211とが接続されている。このため、端子DP1には、電源電圧Vbusと、抵抗210,211の分圧比に応じた電圧V2が発生する。また、端子DM1にも、端子DP1と同様に、一端に電源電圧Vbusが印加された抵抗220と、一端が接地された抵抗221とが接続されている。このため、端子DM1には、電源電圧Vbusと、抵抗220,221の分圧比に応じた電圧V3が発生する。なお、本実施形態では、電圧V1〜電圧V3の間には、例えばV1>V2>V3の関係が成立するよう、抵抗200等の抵抗値が選択されている。また、抵抗210,220は、抵抗200と同様に端子VB1に接続されており、抵抗211,221は、抵抗201と同様に端子GN1に接続されている。そして、充電器15a,15bは、独自の規格に基づいて製造された充電器である。
【0018】
図4は、所定の規格Aに基づいて製造された充電器15cに用いられるプラグ16cの端子DP1,DM1の状態を説明するための図である。端子DP1には電圧は印加されておらず、端子DP1は電気的にフローティング状態となっている。一方、端子DM1には、図3と同様に、一端に電源電圧Vbusが印加された抵抗230と、一端が接地された抵抗231とが接続されている。このため、端子DM1には、電源電圧Vbusと、抵抗230,231の分圧比に応じた電圧V4が発生する。なお、電圧V4は、例えば、V4>V1となるように、抵値230等の抵抗値が選択されている。
【0019】
図5は、所定の規格Bに基づいて製造された充電器15dに用いられるプラグ16dの端子DP1,DM1の状態を説明するための図である。端子DP1及び端子DM1は、抵抗240を介して接続されているものの、端子DP1,DM1には電圧は印加されていない。このため、端子DP1,DM1は電気的にフローティング状態となっている。
【0020】
このように、プラグ16の端子DP1,DM1は、充電器15の種類に応じたインピーダンスを有している。なお、ここでは、携帯機器10に接続される機器が充電器15である場合について説明したが、携帯機器10に接続される機器が、例えばデータ通信可能な機器の場合、端子DP1,DM1は、データ通信用の端子として機能する。このような場合、端子DP1,DM1には、一般に15kΩのプルダウン抵抗と、別途終端抵抗とが接続される。また、充電器15a〜15dのそれぞれの規格では、例えば、充電電流や充電電圧等が異なる。
【0021】
携帯機器10のポート20には、図1に示すように、プラグ16の端子VB1,DM1,DP1,ID1,GN1のそれぞれが接続される端子VB2,DM2,DP2,ID2,GN2が設けられている。なお、プラグ16が携帯機器10に接続される際には、プラグ16の端子のうち、端子VB1,GN1が他の端子より先に携帯機器10側の端子に接続されるよう、端子VB1,GN1は他の端子よりも長くなっている。
【0022】
携帯機器10は、判定回路30、電源スイッチ31、転送回路32、CPU(Central Processing Unit)33、充電回路34、及び電池35を含んで構成される。
【0023】
判定回路30は、プラグ16の端子が携帯機器10側の端子に接続されると、端子DP2(第3端子)、及び端子DM2(第4端子)の電圧に基づいて携帯機器10に接続された機器の種類等を判定する。そして、判定回路30は、判定結果をCPU33に出力する。
【0024】
電源スイッチ31は、端子VB1と端子VB2とが接続されると、つまり、端子VB2(第2電源端子)の電圧が端子VB1の電源電圧Vbusとなるとオンし、電源電圧Vbusを充電回路34に出力する。なお、電源スイッチ31は、端子VB1と端子VB2とが接続されていないとオフする。
【0025】
転送回路32は、携帯機器10に接続された機器がデータ通信機器である場合、CPU33の指示に基づいて、端子DP2,DM2とCPU33との間でデータのやりとりを行う。
【0026】
CPU33は、利用者からの指示や判定回路30の判定結果等に基づいて、携帯機器10の各ブロックを統括制御する。
【0027】
充電回路34は、携帯機器10に接続された機器が充電器15の場合、CPU33からの指示に基づいて、充電器15の種類に応じた充電電流等で電池35を充電する。なお、充電回路34は、電源スイッチ31を介して出力される電源電圧Vbusに基づいて電池35を充電する。電池35には、例えばリチウムイオン電池が用いられる。
【0028】
==判定回路30の詳細==
図6は、判定回路30の詳細を示す図である。判定回路30は、電源検出回路50、識別電圧検出回路51、電圧印加回路52,53、判別回路54、IF(Interface)回路55、及び制御回路56を含んで構成される。
【0029】
電源検出回路50(第1検出部)は、端子VB2の電圧に基づいて、端子VB2に端子VB1の電源電圧Vbusが印加されたか否か、つまり端子VB1及び端子VB2が接続されたか否かを検出する。
【0030】
識別電圧検出回路51は、端子ID2に接続されたケーブルの識別抵抗に応じて発生(変化)する電圧を取得する。そして、識別電圧検出回路51は、取得した電圧が携帯機器10に接続される所定の機器を示す電圧である場合、接続された機器を示す識別データを制御回路56に出力する。なお、例えば前述の充電器15が接続された際には、ケーブルに識別抵抗がなく、端子ID2には電圧の変化が生じない。このため、このような場合、識別電圧検出回路51は識別データを出力しない。ただし、本実施形態で説明した充電器15a〜15dとは異なる充電器(例えば、A,B社とは異なる会社で製造された充電器)が接続された場合、ケーブルに識別抵抗があれば、端子ID2には電圧の変化が生じることもある。
【0031】
制御回路56は、電源検出回路50、識別電圧検出回路51の検出結果に基づいて、電圧印加回路52,53を制御する。なお、制御回路56の詳細は後述する。
【0032】
電圧印加回路52は、制御回路56からの制御信号CNT1に基づいて、端子DP2に電源電圧Vdd(第1電圧)、または接地電圧(第3電圧:0V)を所定のインピーダンスを有する素子を介して印加する回路であり、電流源70、抵抗71、及びスイッチ72を含んで構成される。
【0033】
電流源70(第1素子)は、端子DP2をプルアップするための素子であり、抵抗71(第2素子)は、端子DP2をプルダウンするための素子である。なお、ここでは、端子DP2をプルアップする素子の一例として電流源70を用いているが、例えば、電流源70の代わりに抵抗を用いても良い。同様に、端子DP2をプルダウンする素子の一例として抵抗71の代わりに電流源を用いても良い。つまり、端子DP2に接続される素子は、端子DP2を“プルアップ”または“プルダウン”できる素子であればよい。
【0034】
スイッチ72は、制御回路56から、“プルアップ”を示す制御信号CNT1が出力されると、電流源70と端子DP2とを接続し、“プルダウン”を示す制御信号CNT1が出力されると、抵抗71と端子DP2とを接続する。また、スイッチ72は、制御回路56から、“オープン”を示す制御信号CNT1が出力されると、端子DP2を電気的に開放状態にする。
【0035】
電圧印加回路53は、電圧印加回路52と同様に、制御回路56からの制御信号CNT2に基づいて、端子DM2に電源電圧Vdd(第4電圧)、または接地電圧(第2電圧)を所定のインピーダンスを有する素子を介して印加する回路であり、抵抗75,76、及びスイッチ77を含んで構成される。
【0036】
抵抗75は、端子DM2をプルアップするための素子であり、抵抗76は、端子DM2をプルダウンするための素子である。なお、抵抗75,76も、前述の電流源70と同様に、端子DN2を“プルアップ”、または“プルダウン”できる素子であればよい。
【0037】
スイッチ77は、制御回路56から、“プルアップ”を示す制御信号CNT2が出力されると、抵抗75と端子DM2とを接続し、“プルダウン”を示す制御信号CNT2が出力されると、抵抗76と端子DM2とを接続する。また、スイッチ77は、制御回路56から、“オープン”を示す制御信号CNT2が出力されると、端子DM2を電気的に開放状態にする。
【0038】
判別回路54は、携帯機器10に接続された機器15の種類を判別し、判別結果を示す判別データを制御回路56に出力する。また、判別回路54は、端子DP2,DN2の状態を変化させるための切替指示を制御回路56に出力する。
【0039】
IF回路55は、CPU33と制御回路56との間で、各種情報をやりとりする。具体的には、IF回路57は、CPU33からの各種指示(例えば、判別開始指示)を制御回路56に出力する。また、IF回路57は、判別データや識別データ等をCPU33に出力する。
【0040】
制御回路56は、電源検出回路50が端子VB1,VB2の接続を検出すると、判定回路30の各ブロックを統括制御する。具体的には、制御回路56は、CPU33からの判別開始指示が入力されつつ、電源検出回路50が端子VB1,VB2の接続を検出すると、端子DP2が“プルアップ”され、端子DM2が“プルダウン”されるよう電圧印加回路52,53を制御する。そして、制御回路56は、切替指示に基づいて、端子DP2が“プルダウン”され、端子DM2が“プルアップ”されるよう、電圧印加回路52,53を制御する。また、制御回路56は、判別開始指示が入力されていない場合、または、電源検出回路50が端子VB1,VB2の接続を検出していない場合は、端子DP2,DM2がオープン状態となるよう、電圧印加回路52,53を制御する。このように、制御回路56は、電源検出回路50の検出結果に基づいて、電圧印加回路52,53を制御する。ただし、制御回路56は、CPU33からの所定の指示が入力されると同様の制御を行う。
【0041】
なお、以下、端子DP2が“プルアップ”され、端子DM2が“プルダウン”されているステップを“第1ステップ”と称する。一方、端子DP2が“プルダウン”され、端子DM2が“プルアップ”されているステップを“第2ステップ”と称する。また、電圧印加部52,53、及び制御回路56は、電圧印加部に相当する。
【0042】
<<判別回路54の詳細>>
図7は、判別回路54の詳細を示す図である。判別回路54は、コンパレータ80〜82、接続検出回路83、タイマ84、及び判別データ出力回路85を含んで構成される。
【0043】
コンパレータ80は、電圧Vpと基準電圧Vref1とを比較する回路であり、コンパレータ81は、電圧Vnと基準電圧Vref2とを比較する回路であり、コンパレータ82は、電圧Vnと基準電圧Vref3とを比較する回路である。なお、コンパレータ80〜82のそれぞれは、比較結果として比較信号Vc1〜Vc3を出力する。また、本実施形態では、基準電圧Vref1〜基準電圧Vref3の間には、例えばVref1>Vref2>Vref3の関係が成立している。また、本実施形態では、端子DP2がプルアップされ、端子DP2の電圧が電圧Vddであり、端子DM2がプルダウンされ、端子DM2の電圧が0Vである場合、比較信号Vc1は“H”レベルとなり、比較信号Vc2,Vc3は“L”レベルとなるよう、基準電圧Vref1〜Vref3が設定されている。
【0044】
接続検出回路83は、比較信号Vc1〜Vc3に基づいて、端子DP1,DM1のそれぞれと、端子DP2,DM2とが接続されたか否かを検出する。ここで、端子DP2がプルアップされ電圧Vddとなり、端子DM2がプルダウンされ0Vとなると、比較信号Vc1,Vc2,Vc3は(“H”,“L”,“L”)となる。そして、比較信号Vc1,Vc2,Vc3が(“H”,“L”,“L”)から変化すると、つまり、端子DP2の電圧が電圧Vddではなくなるか、端子DM2の電圧が0Vでなくなると、接続検出回路83は、何らかのインピーダンスを持った端子DP1,DM1が、端子DP2,DM2が接続されたことを検出する。その後、接続検出回路83は、検出信号Sを“L”レベルから“H”レベルに変化する。
【0045】
タイマ84は、端子DP1,DM1及び端子DP2,DM2が接続されたことが検出されてから、所定期間T1を計時する。そして、所定期間T1を計時すると、端子DP2,DM2の状態(ステップ)を、“第1ステップ”から“第2ステップ”へと変化させるための切替指示を出力する。
【0046】
判別データ出力回路85は、タイマ84の出力に基づいて、“第1ステップ”において、所定期間T1が経過する前の所定のタイミングTaで比較信号Vc1〜Vc3を取得する。さらに、判別データ出力回路85は、タイマ84の出力に基づいて、“第2ステップ”における所定のタイミングTbで比較信号Vc1を取得する。そして、判別データ出力回路85は、“第1ステップ”及び“第2ステップ”のそれぞれで取得された比較信号Vc1〜Vc3に基づいて、携帯機器10に接続された機器の種類に応じた判別データを出力する。
【0047】
なお、コンパレータ80〜82及び接続検出回路83は第2検出部に相当し、コンパレータ80〜82及び判別データ出力回路85は、判別部に相当する。
【0048】
本実施形態では、例えば図8に示すように、充電器15aのプラグ16aが携帯機器10に接続された状態で、端子DP2が“プルアップ”され、端子DM2が“プルダウン”される“第1ステップ”においては、比較信号Vc1〜Vc3の全てはハイレベル(以下、“H”レベル)なるよう、抵抗71,75,76の抵抗値や電流源70の電流値が選択されている。さらに、端子DP2が“プルダウン”され、端子DM2が“プルアップ”される“第2ステップ”において、比較信号Vc1が“H”レベルとなるよう、抵抗71,75,76の抵抗値や電流源70の電流値が選択されている。
【0049】
また、本実施形態では、充電器15b〜15dのプラグ16b〜16dや、通信機器のプラグ(不図示)のそれぞれが携帯機器10に接続された際に、“第1ステップ”及び“第2ステップ”に出力される比較信号Vc1〜Vc3が図9に示すレベルとなるよう、抵抗71等の値が選択されている。このように、“第1ステップ”及び“第2ステップ”のそれぞれの所定のタイミングTa,Tbで出力される比較信号Vc1等の値は、機種によって異なる。したがって、判別データ出力回路85は、携帯機器10に接続される機器の種類を判別できる。
【0050】
<<判定回路30の動作>>
図10は、判定回路30の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、ここでは、A社の充電器15aのプラグ16aが携帯機器10に接続されることとする。
【0051】
まず、時刻t0において、携帯機器10に接続される機器を判別するための判別開始指示(“H”レベルの信号)がCPU33から入力される。
【0052】
そして、時刻t1にプラグ16aがポート20に挿入され、端子VB1,GN1と端子VB2,GN2とが接続されると、端子VB2の電圧は電圧Vbusとなる。この結果、端子DP2,DM2は、“第1ステップ”の状態となる。また、時刻t2に端子DP1,DM1および端子DP2,DM2が接続されると、信号Sは“H”レベルに変化する。
【0053】
また、判別データ出力回路85は、時刻t2から期間T1だけ経過する前のタイミングTa、つまり、DP1,DM1および端子DP2,DM2が接続されてから十分安定した時刻t3において、(Vc1,Vc2,Vc3)=(“H”,“H”,“H”)を取得する。
【0054】
また、時刻t2から期間T1だけ経過した時刻t4となると、端子DP2,DM2は、“第2ステップ”の状態となる。そして、判別データ出力回路85は、端子DP2,DM2の状態が“第2ステップ”の状態に変化してから十分安定した時刻t5(タイミングTb)において、Vc1=“H”を取得する。そして、時刻t5に取得した比較信号Vc1の論理レベルと、時刻t3に取得した比較信号Vc1〜Vc3の論理レベルに基づいて、判別データ出力回路85は、携帯機器10に接続された機種が“モード1(A社の充電器)”であることを示す判別データを出力する。このためCPU33は、充電回路34に、A社の規格に応じた充電電流で電池35を充電させることができる。
【0055】
以上、本発明の一実施形態の判定回路30について説明した。判定回路30は、機器のインピーダンス(抵抗値)に応じて変化する判別データをCPU33に出力する。このため、判定回路30は、正確に携帯機器10に接続される機器の種類を判別できる。さらに、判別回路54は、“第1ステップ”における比較信号Vc1〜Vc3の値を、端子DP1,DM1及び端子DP2,DM2が接続されてから検出する。このため、機器の判定精度を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、端子DP2,DM2の状態を“第1ステップ”とした後に“第2ステップ”の状態としている。このため、より多くの機器の種類等を判定することができる。
【0057】
また、図10では“判別開始指示”が時刻t0において“H”レベルとなっていたが、これに限られない。例えば、充電器15等が携帯機器10に接続された状態で、“判別開始指示”を“H”レベルとしても良い。このような場合、“判別開始指示”が“H”レベルとなったタイミングから判定処理が実行されるため、例えば、CPU33は、任意のタイミングで判定処理を実行することができる。
【0058】
また、本実施形態では、端子DP2等を“プルアップ”、“プルダウン”する際に、電流源70、抵抗71等を用いている。このため、例えば、端子DP2等に直接電池の電圧等を印加する場合と比較すると、端子DP1,DP2が接続された場合の端子DP2の電圧Vpの変化が顕著になる。さらに、ここでは、電圧Vpの変化がより顕著になるよう、つまり電圧VPの時定数が大きくなるよう、電流源70の電流値や、抵抗71の抵抗値等が選択されている。なお、前述のように、端子DP2に接続される素子は、端子DP2を“プルアップ”または“プルダウン”できる素子(例えば、抵抗、電流源)であればよい。
【0059】
また、端子VB2に電源電圧Vbusが印加されていない状態では、端子DP2,DM2はオープン状態となる。したがって、例えばプラグ16が携帯機器10から抜かれると、端子DP2,DM2に電圧を印加する電圧印加回路52,53のスイッチ70,77は、リセットされる。
【0060】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0061】
本実施形態では、判定回路30をハードウエアで構成したが、例えば、マイコン等(不図示)がプログラムを実行することにより実現される機能ブロックによって構成しても良い。
【符号の説明】
【0062】
10 携帯機器
15 充電器
16 プラグ
20 ポート
30 判定回路
31 電源スイッチ
32 転送回路
33 CPU
34 充電回路
35 電池
50 電源検出回路
51 識別電圧検出回路
52,53 電圧印加回路
54 判別回路
55 IF回路
56 制御回路
70 電流源
72 スイッチ
80〜82 コンパレータ
83 接続検出回路
84 タイマ
85 判別データ出力回路
71,75,76,200,201,210,211,230,231,240 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧が印加された第1電源端子と第1及び第2端子とを有する機器の前記第1電源端子に接続される第2電源端子と、前記第1電源端子及び第2電源端子が接続された後に、前記機器の種類に応じたインピーダンスを有する前記第1及び第2端子のそれぞれに接続される第3及び第4端子と、を含む結合部の前記第2電源端子の電圧に基づいて前記第1及び第2電源端子が接続されたか否かを検出する第1検出部と、
前記第1及び第2電源端子が接続されると、前記第3端子に第1電圧を印加するとともに前記第4端子に第2電圧を印加する電圧印加部と、
前記第3端子に前記第1電圧が印加されつつ前記第4端子に前記第2電圧が印加された後に、前記第3端子の電圧レベルが前記第1電圧のレベルではないか、前記第4端子の電圧レベルが前記第2電圧レベルではないと、前記第1及び第2端子と前記第3及び第4端子とが接続されたことを検出する第2検出部と、
前記第1及び第2端子と前記第3及び第4端子とが接続されたことが検出されると、前記第3及び第4端子の電圧に基づいて前記機器の種類を判別する判別部と、
を備えることを特徴とする判定回路。
【請求項2】
請求項1に記載の判定回路であって、
前記第1及び第2端子と前記第3及び第4端子とが接続されたことが検出されてから所定の期間を計時するタイマを更に備え、
前記電圧印加部は、
前記タイマが前記所定の期間を計時すると、前記第3端子に前記第1電圧とは異なる第3電圧を印加するとともに前記第4端子に前記第2電圧とは異なる第4電圧を印加し、
前記判別部は、
前記第1及び第2端子と前記第3及び第4端子とが接続されたことが検出されてから前記タイマが前記所定の期間を計時するまでの前記第3及び第4端子の電圧と、前記タイマが前記所定の期間を計時した後の前記第3及び第4端子の電圧と、に基づいて前記機器の種類を判別すること、
を特徴とする判定回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の判定回路であって、
前記電圧印加部は、
前記第1及び第2電源端子が接続され、かつ前記機器の種類の判別開始を指示する信号が入力されると、前記第3端子に前記第1電圧を印加し、前記第4端子に前記第2電圧を印加すること、
を特徴とする判定回路。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の判定回路であって、
前記電圧印加部は、
前記第1及び第2電源端子が接続されると、前記第3端子に第1の素子を介して前記第1電圧を印加し、前記第4端子に第2の素子を介して前記第2電圧を印加すること、
を特徴とする判定回路。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の判定回路であって、
前記電圧印加部は、
前記第1及び第2電源端子が接続された後に前記第1及び第2電源端子が接続されていないことが検出されると、前記第3及び第4端子への電圧の印加を停止すること、
を特徴とする判定回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−109410(P2013−109410A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251897(P2011−251897)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)