利用可能太陽エネルギー量予測装置及び利用可能太陽エネルギー量予測方法並びにプログラム
【課題】 利用可能な太陽エネルギー量を予測する際、他の建物の陰影の影響も考慮した利用可能な太陽エネルギー量を低コストで算出できるようにする。
【解決手段】 建物オブジェクト生成手段12が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から上記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、エネルギー量算出手段13が、上記建物オブジェクト生成手段12で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出する。
【解決手段】 建物オブジェクト生成手段12が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から上記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、エネルギー量算出手段13が、上記建物オブジェクト生成手段12で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電や太陽熱蓄熱などにより太陽エネルギーを利用する場合に、どの程度の太陽エネルギーを利用できるかを予測する利用可能太陽エネルギー量予測技術に関し、特に、広い地域を対象にして、そこに存在する各建物毎に、他の建物の陰影の影響も考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を予測する利用可能太陽エネルギー量予測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油,天然ガスといった天然資源の枯渇が問題になってきており、それに伴い、太陽光発電,太陽熱蓄熱など太陽エネルギーの利用が注目されるようになってきている。太陽エネルギーを利用した太陽光発電,太陽熱蓄熱などは、排気ガスを出さない、天然資源を消費しない等、様々な利点を有するが、それらを利用する場合にはかなりの設備投資が必要となる。従って、太陽光発電などを導入しようとしているユーザにとっては、設備投資にかけた費用に見合った太陽エネルギーを利用できるか否かが重要な問題となり、そのため、利用できる太陽エネルギー量を予測する予測装置が従来から種々提案されている。
【0003】
従来のこの種の予測装置としては、例えば、大気透過率を地域別および天候別に予め計測しておき、太陽電池の発電量を予測する際には、その設置地点に対応した地域の天候別の大気透過率を利用して各天候における発電量を求め、更に、各天候における発電量と、上記地域における各天候の割合とから発電量を算出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、これ以外にも、人手により入力された太陽電池、それを設置する建物および周辺障害物の位置と大きさとに基づいて、太陽電池、建物および周辺障害物の3次元形状を示す電池オブジェクト、建物オブジェクトおよび周辺障害物オブジェクトを生成し、これら各オブジェクトと太陽の位置とに基づいて周辺障害物が太陽電池に及ぼす陰影の影響も考慮した発電量を求める技術も知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特許第2972596号
【特許文献2】特開2004−178098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術の内、特許文献1に記載されている技術によれば、太陽電池の設置地域の天候も考慮した発電量を予測することが可能になる。しかし、この特許文献1に記載されている技術は、周辺障害物による陰影の影響を全く考慮していないため、予測した発電量と実際の発電量とがかけ離れたものになってしまう場合があるという問題がある。
【0006】
これに対して、特許文献2に記載されている技術は、周辺障害物による陰影の影響も考慮して発電量を予測しているので、実際の発電量に近い発電量を予測することができる。しかし、この特許文献2に記載されている技術は、太陽電池オブジェクト,周辺障害物オブジェクト等の3次元形状オブジェクトを生成するために必要になるデータを人手で入力するようにしており、また、上記3次元形状オブジェクトを生成するためのデータを入手するには、実際に現地に行って、発電量の予測対象にする建物や、周辺障害物の大きさ、位置を測量することが必要になるため、3次元形状オブジェクトの生成コストが高いものになるといった問題がある。このように、引用文献2に記載されている技術には、1つの建物について発電量を予測する場合においても非常にコストがかかるという問題がある。
【0007】
〔発明の目的〕
そこで、本発明の目的は、他の建物の陰影の影響も考慮した利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる第1の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる第2の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段と、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる第3の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、第2の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる第4の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、第3の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる第5の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、第4の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトで利用可能な太陽エネルギー量が蓄積されるエネルギー量蓄積部と、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる第1の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる第2の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、
建物オブジェクト生成手段が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、
エネルギー量算出手段が、前記オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる第3の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、第2の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理ステップと、
該画像処理ステップで算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成ステップと、
前記画像処理ステップで算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成ステップと、
前記輪郭オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合ステップとを実行することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる第4の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、第3の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記屋根オブジェクト生成ステップでは、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成することを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる第5の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、第4の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能な太陽エネルギー量をエネルギー量蓄積部に蓄積するエネルギー量蓄積ステップと、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索ステップとを実行することを特徴とする。
【0018】
本発明にかかる第1のプログラムは、
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測する利用可能太陽エネルギー量予測装置として機能させる。
【0019】
本発明にかかる第2のプログラムは、
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段として機能させる。
【0020】
本発明にかかる第3のプログラムは、第2のプログラムにおいて、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段と含むことを特徴とする。
【0021】
本発明にかかる第4のプログラムは、第3のプログラムにおいて、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とする。
【0022】
本発明にかかる第5のプログラムは、第4のプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能なエネルギー量が蓄積されたエネルギー量蓄積部から、前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段として機能させる。
【0023】
〔作用〕
建物オブジェクト生成手段が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から上記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、エネルギー量算出手段が、上記オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出する。
【0024】
建物オブジェクト生成手段は、建物オブジェクトを生成する際、先ず、画像処理手段により、上記複数枚の空撮画像から、上記重複部分に存在する各画素の高さを算出する。その後、輪郭オブジェクト生成手段を用いて、画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、この輪郭部分の画素の位置に基づいて建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する。屋根部分の形状を示す屋根オブジェクトは、屋根オブジェクト生成手段を用いて生成する。屋根オブジェクト生成手段は、上記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、上記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する。そして、最後に、オブジェクト結合手段を用いて、輪郭オブジェクト生成手段で生成した建物の輪郭オブジェクトと、屋根オブジェクト生成手段で生成した上記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、他の建物の陰影の影響も考慮した利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することが可能になる。更に、広い地域を対象にして、その地域に存在する各建物毎に、他の建物の陰影の影響も考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することも可能になる。その理由は、重複部分を有する複数枚の空撮画像から、上記重複部分に存在する建物の3次元形状を示す建物オブジェクトを生成するようにしているからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
〔実施の形態の構成の説明〕
図1は、本発明にかかる利用可能太陽エネルギー量予測装置の実施の形態の構成例を示すブロック図である。同図を参照すると、利用可能太陽エネルギー量予測装置1は、画像登録手段11と、建物オブジェクト生成手段12と、エネルギー量算出手段13と、検索手段14とを備えている。また、利用可能太陽エネルギー量予測装置1には、記憶装置2と、画像入力装置3と、キーボード等の入力部4と、LCD等の表示部5とが接続されている。
【0028】
記憶装置2は、ディスク装置などによって実現されるものであり、画像蓄積部21、高さ情報蓄積部22、建物オブジェクト蓄積部23およびエネルギー量蓄積部24を備えている。
【0029】
画像入力装置3は、イメージスキャナ等によって実現されるものであり、読み取り面(図示せず)に置かれた空撮写真をデジタル画像データ(空撮画像データ)に変換して利用可能太陽エネルギー量予測装置1に入力する機能を有する。尚、本実施の形態では、作業者は、画像入力装置3を用いて、重複部分を有する2枚の空撮写真それぞれに対応する空撮画像データを利用可能太陽エネルギー量予測装置1に入力する。
【0030】
利用可能太陽エネルギー量予測装置1内の画像登録手段11は、画像入力装置3から入力された2枚の空撮画像データを画像蓄積部21に格納する機能を有する。
【0031】
建物オブジェクト生成手段12は、画像蓄積部21に格納されている2枚の空撮画像データに基づいて、その重複部分に存在する各建物の3次元形状を示す建物オブジェクトを生成し、建物オブジェクト蓄積部23に格納する機能を有する。
【0032】
このような機能を有する建物オブジェクト生成手段12は、画像処理手段121と、輪郭オブジェクト生成手段122と、屋根オブジェクト生成手段123と、オブジェクト結合手段124とから構成されている。
【0033】
画像処理手段121は、画像蓄積部21に格納されている2枚の空撮画像データの視点のずれ(撮像方向の違い)を利用したステレオ処理により、空撮画像データの重複部分に存在する各画素の高さ情報(z座標値)を算出し、算出した各画素の高さ情報を高さ情報蓄積部22に格納する機能を有する。尚、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報を利用することにより、高さを色の濃淡で表現したDEM(Digital Elevation Model)画像を表示することができる。
【0034】
輪郭オブジェクト生成手段122は、高さ情報蓄積部22に登録されている各画素の高さ情報(z座標値)と予め定められている閾値(例えば、1m〜2m程度)とに基づいて、建物の輪郭部分となる画素を求める機能や、輪郭部分の画素の位置(x,y,z座標値)に基づいて上記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する機能を有する。
【0035】
屋根オブジェクト生成手段123は、高さ情報蓄積部22に蓄積されている各画素の高さ情報に基づいて、建物の屋根部分に対応する画素を求める機能や、屋根部分に対応する各画素の位置(x,y,z座標値)と、画像蓄積部21に格納されている空撮画像データ中の対応する画素の色情報とから、上記屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する機能を有する。
【0036】
オブジェクト結合手段124は、輪郭オブジェクト生成手段122及び屋根オブジェクト生成手段123で生成された、同一建物についての輪郭オブジェクト及び屋根オブジェクトを結合して建物オブジェクトを生成し、生成した建物オブジェクトを建物オブジェクト蓄積部23に格納する機能を有する。
【0037】
エネルギー量算出手段13は、建物オブジェクト蓄積部23に格納されている各建物オブジェクトと、入力部4から入力された日照時間、日射量、太陽位置を計算するための計算式などの入力情報とに基づいて、建物オブジェクト蓄積部23に格納されている各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトの陰影の影響を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出する機能を有する。
【0038】
検索手段14は、入力部4から入力された検索条件に従ってエネルギー量蓄積部24を検索し、検索結果を表示部5に表示する機能を有する。
【0039】
上記した機能を有する利用可能太陽エネルギー量予測装置1は、コンピュータによって実現可能なものであり、コンピュータによって実現する場合は、例えば、次のようにする。コンピュータを利用可能太陽エネルギー量予測装置1として機能させるためのプログラムを記録したディスク,半導体メモリ,その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上に、画像登録手段11、建物オブジェクト生成手段12、エネルギー量算出手段13、及び検索手段14を実現する。
【0040】
〔実施の形態の動作に説明〕
次に、本実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0041】
〔空撮画像データ登録時の動作〕
先ず、空撮画像データ登録時の動作について説明する。作業者は、図2に示すように、利用可能太陽エネルギー量の予測対象地域が重複部分63となるような2枚の空撮写真61,62を用意し、画像入力装置3を用いて各空撮写真61,62の空撮画像データ71,72を利用可能太陽エネルギー量予測装置1に入力する。尚、空撮写真61,62の撮影高度及び撮影方向は同一であるとする。
【0042】
利用可能太陽エネルギー量予測装置1内の画像登録手段11は、画像入力装置3から空撮画像データ71,72が入力される毎に、それを画像蓄積部21に格納する(図3のステップS31)。
【0043】
〔建物オブジェクト生成時の動作〕
次に、建物オブジェクト生成時の動作について説明する。作業者は、空撮画像データの登録処理が完了すると、入力部4を用いて建物オブジェクト生成手段12を起動する。
【0044】
これにより、建物オブジェクト生成手段12内の画像処理手段121が動作し、画像蓄積部21に蓄積されている2枚の空撮画像データ71,72の重複部分に存在する各画素の高さ情報を算出し、算出した各画素の高さ情報を高さ情報蓄積部22に格納する(図4のステップS41)。
【0045】
今、例えば、空撮画像データ71,72の重複部分73に、図5に示すように、m×n個の画素が存在し、各画素のx,y座標値が(x1,y1)〜(xm,yn)であったとすると、画像処理手段121は、各画素の高さ情報(z座標値)z11〜zmnを算出し、図6に示すように、画素のx,y座標値に対応付けてその画素の高さ情報z11〜zmnを高さ情報蓄積部22に格納する(ステップS41)。
【0046】
ステップS41の処理が終了すると、輪郭オブジェクト生成手段122及び屋根オブジェクト生成手段123がそれぞれ次のような処理を行う。
【0047】
輪郭オブジェクト生成手段122では、先ず、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報と、予め定められている閾値Th(例えば、1m〜2m程度)とを利用して、利用可能太陽エネルギー量の予測対象地域に存在する各建物毎に、その輪郭部分の頂点と対応する画素を求める(ステップS42)。その後、輪郭オブジェクト生成手段122は、各建物毎に、その頂点部分の画素の位置情報に基づいて、輪郭オブジェクトを生成し、生成した輪郭オブジェクトをオブジェクト結合手段124に出力する(ステップS43,S44)。
【0048】
上記したステップS42,S43の処理を詳しく説明すると、次のようになる。
【0049】
ステップS42では、先ず、高さ情報蓄積部22に高さ情報が格納されている画素の中から、高さ情報が閾値Th以上となる画素を全て抽出する。その後、抽出した画素の集合によって構成される各閉領域毎に、その輪郭部分の頂点に存在する画素を求める。今、例えば、重複部分73中の(高さ情報≧閾値Th)を満たす画素によって、図7に斜線を施した閉領域(矩形)7が構成されたとすると、輪郭部分の頂点の座標値として画素(xi,yj),(xi,yj+18),(xi+6,yj+18),(xi+6,yj)が求められる。尚、図7では重複部分73中に閉領域を1つしか示していないが、実際には利用可能太陽エネルギー量の予測対象地域に存在する各建物毎の閉領域が存在する。
【0050】
ステップS43では、各建物毎に、その頂点部分の画素の高さ情報を高さ情報蓄積部22から検索し、輪郭オブジェクトを生成する。図8は、輪郭オブジェクト8の一例を示す図であり、図7に示した閉領域7に対応して生成された輪郭オブジェクトを示している。この図8に示した輪郭オブジェクト8では、各頂点の内の、視点の左手前の頂点を基準点とし、そのx,y座標を(0,0)、残りの頂点のx,y座標を基準点に対する時計回りの相対座標で表している。また、屋根部分に相当する部位までの高さであるz座標値が15mであるとしている。尚、このz座標値は、高さ情報蓄積部22から取得した各頂点のz座標値の値が均一であればその値を使用し、均一でない場合は、それらの平均値を使用する。
【0051】
以上が、輪郭オブジェクト生成手段122がステップS42,S43で行う詳しい処理内容である。
【0052】
一般に、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報(画像処理手段121においてステレオ処理で算出した高さ情報)には、誤差が含まれる。このような誤差があっても、建物の輪郭部分に関しては、地面と建物の輪郭部分の高さとに、最低でも数mの差分があるので、画素の高さ情報と閾値Thとを比較することにより、建物の輪郭部分およびその頂点に対応する画素は精度良く求めることができる。また、頂点部分の画素の高さも、各頂点の高さの平均値をとることにより、誤差を補正することができる。従って、高さ情報蓄積部22に格納されている高さ情報に誤差が含まれていても、精度の良い輪郭オブジェクトを生成することができる。しかし、高さ情報に誤差が含まれているため、高さ情報を用いて屋根部分を含む建物オブジェクトを生成しようとした場合は、屋根部分の形状に大きな誤差が含まれてしまう場合がある。例えば、実際の建物の形状が図9に示すようなものである場合(平面屋根ではなく、傾斜を持つ屋根の場合)、高さ情報に基づいて建物オブジェクトを生成すると、図10に示すような、凸凹を持った屋根オブジェクトが生成されてしまう場合がある。そこで、本実施の形態では、以下に述べるように、高さ情報だけでなく、色情報も利用して屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段123を用いて、屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成するようにしている。
【0053】
屋根オブジェクト生成手段123では、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報と、予め定められている閾値Thとを利用して、予測対象地域に存在する各建物毎に、その屋根部分に対応する画素、頂点部分の画素および、屋根部分に存在する画素のz座標値の内の、最も大きなz座標値(最大z座標値)を求める(ステップS45)。その後、屋根オブジェクト生成手段123は、画像蓄積部21に格納されている空撮画像データ(例えば、空撮画像データ71)から、各建物毎に、屋根部分の画素の色情報を抽出する(ステップS46)。次いで、各建物毎に、屋根部分の画素の位置情報と、ステップS46で抽出した色情報とに基づいて屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成し(ステップS47)、生成した屋根オブジェクトをオブジェクト結合手段124に出力する(ステップS48)。
【0054】
図11は、上記したステップS47で行う処理の詳細を示すフローチャートであり、以下、同図を参照して、ステップS47で行う処理を詳細に説明する。尚、図11のフローチャートは、1つの建物について行う処理を示しており、予測対象地域に存在する各建物毎に同図に示す処理が行われる。
【0055】
先ず、処理対象にしている建物の屋根形状が陸屋根であるか否かを判断する(ステップS471)。即ち、処理対象にしている建物の最大z座標値と、輪郭部分の高さとの差分が所定値以下なら陸屋根と判断する。
【0056】
そして、陸屋根と判断した場合(ステップS471がYES)は、例えば、輪郭オブジェクトの上面の形状と同一の形状を表す、高さ「0」の陸屋根用の屋根オブジェクトを生成する(ステップS478)。
【0057】
これに対して、陸屋根でないと判断した場合は、処理対象にしている建物の屋根に対応する各画素の色情報に基づいて、各行において最も輝度の高い画素を求め、求めた画素がほぼ1本の直線上に存在するか否かを調べる(ステップS472,S473)。尚、日当たり条件が同一であれば、高さの高い部分に対応する画素ほど、輝度が高くなるということが経験上分かっている。
【0058】
今、例えば、処理対象にしている屋根に対応する各画素の色情報が図12に示すものであったとする。図12は、屋根の左方向から太陽光を受けており、屋根の右側に陰影が生じている場合の各画素の色情報を示している。尚、屋根の左側(日が当たっている部分)においては、左縁部分の画素の輝度が最も低くなっており、屋根の中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。また、屋根の右側(影になっている部分)においては、右縁部分の画素の輝度が最も低く、中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。この図12に示す例の場合は、各行における最も輝度の高い画素は、ほぼ1本の直線L1上に存在することになるので(ステップS473がYES)、上記直線L1部分を屋根の稜線とした屋根オブジェクトYO1を生成する(ステップS476)。即ち、屋根の底面部分の各頂点の座標値を、対応する輪郭オブジェクトの上面部分の各頂点の座標値とし、屋根の稜線部分のx,y座標値を直線L1のx,y座標値とし、稜線部分のz座標値を、該当する建物の最大z座標値から輪郭オブジェクトの高さを差し引いた値とした屋根オブジェクトYO1を生成する。
【0059】
また、例えば、処理対象にしている屋根の一部が他の建物の影になっており、色情報が図13に示すものであった場合も、各行における最も輝度の高い画素は、ほぼ1本の直線L2上に存在することになるので(ステップS473がYES)、上記直線L2部分を屋根の稜線とした屋根オブジェクトYO1を生成する(ステップS476)。
【0060】
これに対して、処理対象にしている屋根に対応する各画素の色情報が図14(A)に示すものであった場合は、次のような処理が行われる。図14(A)は、y方向から太陽の光を受けており、屋根の一部に他の建物の影が映っている場合の各画素の色情報を示している。尚、屋根の左側においては、左縁部分の画素の輝度が最も低くなっており、屋根の中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。また、屋根の右側においては、右縁部分の画素の輝度が最も低く、中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。この図14(A)に示す例では、各行における最も輝度の高い画素は、同図(B)に示すように、2本の直線L3,L4上に存在することになるため、ステップS473の判断結果はNOとなる。
【0061】
ステップS473の判断結果がNOとなると、屋根オブジェクト生成手段123は、各列における最も輝度の高い画素が、ほぼ1本の直線上に存在するか否かを調べる(ステップS474,S475)。この例の場合、輝度の最も高い画素は、図14(C)に示すように、部分C1(他の建物の影の影響を受ける部分)ではほぼ直線L5上に存在するが、部分C2ではバラバラな位置に存在する。従って、ステップS475の判断結果はNOとなり、ステップS477の処理が行われる。尚、ステップS475の判断結果がYESとなった場合は、前述したステップS476の処理が行われる。
【0062】
ステップS477では、先ず、ステップS472で求めた最大輝度を有する各画素と、ステップS474で求めた最大輝度を有する各画素の内、どちらの方が直線上に乗っている画素の割合が多いか調べる、多い方を利用してその後の処理を行う。この例の場合、図14(B),(C)を比較して分かるように、ステップS472で求めた最大輝度を有する各画素の方が直線上に存在する画素の割合が多い。従って、屋根オブジェクト生成手段123は、同図(B)に示す各直線L3,L4毎に、高さ情報蓄積部22に格納されている該当する画素の高さ情報を利用して、その直線上に存在する画素の高さの平均値を求める。その後、最も高さの平均値が大きい直線L4と、その延長線L4'とを屋根の稜線とした、同図(A)に示す屋根オブジェクトYO3を生成する。
【0063】
以上がステップS47で行う詳しい処理例である。尚、上記した処理はあくまで一例であり、例えば屋根材質の情報が入手できた場合はその材質情報を利用して、瓦一枚一枚の面積から形状を算出しても良いし、また、上述の色情報に限らず、レーザを用いた測量など、その他の方法を用いて抽出し補間しても良い。
【0064】
オブジェクト結合手段124は、輪郭オブジェクト生成手段122及び屋根オブジェクト生成手段123で生成された、同一建物についての輪郭オブジェクトと屋根オブジェクトとを結合して建物オブジェクトを生成し、生成した建物オブジェクトを建物オブジェクト蓄積部23に格納する。その際、オブジェクト結合手段124は、各生成した建物オブジェクトを一意に識別するための識別子(建物ID)に合わせて建物オブジェクト蓄積部23に登録する。
【0065】
図15は、建物オブジェクト蓄積部23の内容例を示す図である。1つの建物IDに対して、3次元の輪郭オブジェクトの座標情報(輪郭形状座標リストおよびz座標値からなる)と、最大z座標値と、3次元の屋根オブジェクトの座標情報(屋根形状座標リスト)が格納されている。更に、緯度および経度情報も、手作業または既存のデータベースを利用して格納されている。図15に示す格納形式は説明のための簡略形式であり、実際には独自のデータベース構成にて格納すれば良い。
【0066】
〔利用可能太陽エネルギー量算出時の動作予測装置〕
次に、利用可能な太陽エネルギー量を算出する際の動作について説明する。
【0067】
作業者は、予測対象地域に存在する各建物の建物オブジェクトを、建物オブジェクト蓄積部23に格納すると、入力部4からエネルギー量算出手段13に対して、利用可能な太陽エネルギー量を算出するために必要になるデータ(日照時間、日射量、太陽の位置を計算するための計算式など)を入力する。尚、本実施の形態では、キーボードなどの入力部4を用いて人手で上記データを入力するようにしたが、既存のデータベースと連結し、データを自動的に入力するようにしても良い。
【0068】
エネルギー量算出手段13は、入力部4から上記したデータが入力されると、建物オブジェクト蓄積部23にから建物オブジェクトを入力する(図16のステップS161)。次いで、入力部4から入力されたデータと、建物オブジェクト蓄積部23から入力した各建物オブジェクトに基づいて、建物オブジェクト単位で、他の建物オブジェクトの陰影の影響を示す陰影情報を算出する(ステップS162)。その後、エネルギー量算出手段13は、ステップS162で算出した陰影情報を利用して、各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトの影の影響を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出し(ステップS163)、算出した太陽エネルギー量と建物IDとを対応付けてエネルギー量蓄積部24に格納する(ステップS164)。尚、ステップS163で算出する利用可能な太陽エネルギー量は、1年間で利用可能な太陽エネルギー量であっても、単位時間当たりで利用できる太陽エネルギー量であっても良い。また、太陽電池を利用した場合の、発電量であっても良い。
【0069】
図17は、エネルギー量算出手段13における、広域の3次元の建物オブジェクトに対する陰影情報算出の模式図である。
【0070】
図18は、エネルギー量蓄積部24の内容例を示す図であり、1つの建物IDに対し、3次元の建物オブジェクトの情報(建物高さ,屋根面積,屋根形状,屋根角度)と、他の建物の影を考慮した際の日照時間と、エネルギー量算出手段13で算出された利用可能な太陽エネルギー量が格納されている。図18に示す格納形式は説明のための簡略形式であり、実際には独自のデータベース構成にて格納すれば良い。
【0071】
〔検索時の動作〕
次に検索時の動作について説明する。
【0072】
作業者は、エネルギー量蓄積部24に格納されているデータに関して検索を行いたい場合、入力部4を用いて検索手段14を起動する。
【0073】
これにより、検索手段14は、図19のフローチャートに示すように、検索条件入力画面を表示部5に表示する(ステップS191)。図20に検索条件入力画面201の一例を示す。同図に示した検索条件入力画面201は、エリアの入力欄202と、検索条件などの入力欄203,204と、検索開始を指示する検索ボタン205と、検索条件をクリアするためのクリアボタン206とが設けられている。
【0074】
作業者は、図201に示すような検索条件入力画面201が表示されると、入力欄202に検索対象エリア(例えば、大阪市)を入力し、入力欄203に検索条件(例えば、利用可能な太陽エネルギー量が3KW以上の建物)を入力する。その後、作業者は、検索ボタンを押下する。
【0075】
これにより、検索手段14は、エネルギー量蓄積部24に格納されているデータの内の大阪市に関するデータを検索対象にして、利用可能な太陽エネルギー量が3KW以上の建物を検索し、検索結果を表示部5に表示する(ステップS192,S193)。例えば、エネルギー量蓄積部24の内容が図18に示すものであり、検索条件が「利用可能な太陽エネルギー量が3KW以上の建物」である場合、建物IDが「OBJ001001」,「OBJ001002」の建物に関する情報がヒットし、逆に、建物IDが「OBJ001003」の建物に関する情報はヒットしない。
【0076】
尚、検索結果の表示方法は、任意の方法を採用することができ、例えば、検索された建物に関する情報(建物ID、緯度経度、太陽エネルギー量など)の一覧を表示するようにしても良いし、図21に示すように、表示部5に空撮画像を表示し、検索条件を満たす建物の表示形態を他の建物の表示形態と異なるようにしたり、更に、利用可能な太陽エネルギー量を重畳表示するようにしても良い。また、検索キーとなる項目は、上記した例に限られるものではなく、緯度経度などをキー項目とすることができる。尚、緯度経度をキー項目とした場合には、特定の建物の利用可能太陽エネルギー量を検索することができる。
【0077】
〔実施の形態の効果〕
本実施の形態によれば、他の建物の陰影の影響も考慮した利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することが可能になる。更に、広い地域を対象にして、その地域に存在する各建物毎に、他の建物の陰影の影響も考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することも可能になる。その理由は、重複部分63を有する複数枚の空撮画像61,62から、上記重複部分63に存在する建物の3次元形状を示す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段12を備えているからである。
【0078】
また、本実施の形態によれば、高い精度の建物オブジェクトを生成することが可能になる。その理由は、画像処理手段121で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、この輪郭部分の画素の位置に基づいて建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段122と、上記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と空撮画像データ71中の対応する画素の色情報とから、上記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段123とを備えているからである。すなわち、画像処理手段121がステレオ処理などによって算出した画素の高さには誤差が含まれる。このような誤差があっても、建物の輪郭部分に関しては、地面と建物の輪郭部分の高さとに、最低でも数mの差分があるので、例えば、画素の高さ情報と閾値Thとを比較することにより、建物の輪郭部分およびその頂点に対応する画素は精度良く求めることができる。また、頂点部分の画素の高さも、各頂点の高さの平均値をとることにより、誤差を補正することができる。従って、画像処理手段121で算出した各画素の高さだけを利用しても、精度の高い輪郭オブジェクトを生成することができる。しかし、画像処理手段121が算出した各画素の高さだけを利用して屋根部分も含む建物オブジェクトを生成するようにすると、誤差の影響を受け、精度の良い建物オブジェクトを生成することはできない。そこで、本実施の形態では、屋根部分については、画像処理手段121が算出した画素の高さだけでなく、空撮画像データの色情報も利用して(色情報は、高さが高い画素ほど輝度が高いという性質を持つ)、屋根オブジェクトを生成し、オブジェクト結合手段124において、屋根オブジェクトと輪郭オブジェクトとを結合することにより、精度の高い建物オブジェクトを生成できるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、広域の地形に対し陰影情報の影響を含めた精度を持つ、利用可能な太陽エネルギー量を自動で算出する装置や、そのような装置を実現するためのプログラムと言った用途に適用できる。更に、利用可能な太陽エネルギー量の予測だけでなく、日照シミュレーション装置や、日照シミュレーション装置をコンピュータで実現するためのプログラムと言った用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明にかかる利用可能太陽エネルギー量予測装置の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】画像入力装置3で読み込む空撮写真61,62を説明するための図である。
【図3】画像登録手段11の処理例を示すフローチャートである。
【図4】建物オブジェクト生成手段12の処理例を示すフローチャートである。
【図5】空撮画像の重複部分を示す図である。
【図6】高さ情報蓄積部22の内容例を示す図である。
【図7】輪郭オブジェクト生成手段122の動作を説明するための図である。
【図8】輪郭オブジェクト生成手段122が生成する輪郭オブジェクトの一例を示す図である。
【図9】実際の建物形状を示す図である。
【図10】高さ情報だけを使用して作成した建物オブジェクトの一例を示す図である。
【図11】図4のステップS44の処理の詳細を示したフローチャートである。
【図12】屋根オブジェクト生成手段123の動作を説明するための図である。
【図13】屋根オブジェクト生成手段123の動作を説明するための図である。
【図14】屋根オブジェクト生成手段123の動作を説明するための図である。
【図15】建物オブジェクト蓄積部23の内容例を示す図である。
【図16】エネルギー量算出手段13の処理例を示すフローチャートである。
【図17】陰影情報のイメージを示す図である。
【図18】エネルギー量蓄積部24の内容例を示す図である。
【図19】検索手段14の処理例を示すフローチャートである。
【図20】検索条件入力画面201の一例を示す図である。
【図21】検索結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1…利用可能太陽エネルギー量予測装置
11…画像登録手段
12…建物オブジェクト生成手段
121…画像処理手段
122…輪郭オブジェクト生成手段
123…屋根オブジェクト生成手段
124…オブジェクト結合手段
13…エネルギー量算出手段
14…検索手段
2…記憶装置
21…画像蓄積部
22…高さ情報蓄積部
23…建物オブジェクト蓄積部
24…エネルギー量蓄積部
3…画像入力装置
4…入力部
5…表示部
61,62…空撮写真
71,72…空撮画像データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電や太陽熱蓄熱などにより太陽エネルギーを利用する場合に、どの程度の太陽エネルギーを利用できるかを予測する利用可能太陽エネルギー量予測技術に関し、特に、広い地域を対象にして、そこに存在する各建物毎に、他の建物の陰影の影響も考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を予測する利用可能太陽エネルギー量予測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油,天然ガスといった天然資源の枯渇が問題になってきており、それに伴い、太陽光発電,太陽熱蓄熱など太陽エネルギーの利用が注目されるようになってきている。太陽エネルギーを利用した太陽光発電,太陽熱蓄熱などは、排気ガスを出さない、天然資源を消費しない等、様々な利点を有するが、それらを利用する場合にはかなりの設備投資が必要となる。従って、太陽光発電などを導入しようとしているユーザにとっては、設備投資にかけた費用に見合った太陽エネルギーを利用できるか否かが重要な問題となり、そのため、利用できる太陽エネルギー量を予測する予測装置が従来から種々提案されている。
【0003】
従来のこの種の予測装置としては、例えば、大気透過率を地域別および天候別に予め計測しておき、太陽電池の発電量を予測する際には、その設置地点に対応した地域の天候別の大気透過率を利用して各天候における発電量を求め、更に、各天候における発電量と、上記地域における各天候の割合とから発電量を算出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、これ以外にも、人手により入力された太陽電池、それを設置する建物および周辺障害物の位置と大きさとに基づいて、太陽電池、建物および周辺障害物の3次元形状を示す電池オブジェクト、建物オブジェクトおよび周辺障害物オブジェクトを生成し、これら各オブジェクトと太陽の位置とに基づいて周辺障害物が太陽電池に及ぼす陰影の影響も考慮した発電量を求める技術も知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特許第2972596号
【特許文献2】特開2004−178098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術の内、特許文献1に記載されている技術によれば、太陽電池の設置地域の天候も考慮した発電量を予測することが可能になる。しかし、この特許文献1に記載されている技術は、周辺障害物による陰影の影響を全く考慮していないため、予測した発電量と実際の発電量とがかけ離れたものになってしまう場合があるという問題がある。
【0006】
これに対して、特許文献2に記載されている技術は、周辺障害物による陰影の影響も考慮して発電量を予測しているので、実際の発電量に近い発電量を予測することができる。しかし、この特許文献2に記載されている技術は、太陽電池オブジェクト,周辺障害物オブジェクト等の3次元形状オブジェクトを生成するために必要になるデータを人手で入力するようにしており、また、上記3次元形状オブジェクトを生成するためのデータを入手するには、実際に現地に行って、発電量の予測対象にする建物や、周辺障害物の大きさ、位置を測量することが必要になるため、3次元形状オブジェクトの生成コストが高いものになるといった問題がある。このように、引用文献2に記載されている技術には、1つの建物について発電量を予測する場合においても非常にコストがかかるという問題がある。
【0007】
〔発明の目的〕
そこで、本発明の目的は、他の建物の陰影の影響も考慮した利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる第1の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする。
【0009】
本発明にかかる第2の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段と、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる第3の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、第2の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明にかかる第4の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、第3の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる第5の利用可能太陽エネルギー量予測装置は、第4の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトで利用可能な太陽エネルギー量が蓄積されるエネルギー量蓄積部と、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる第1の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする。
【0014】
本発明にかかる第2の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、
建物オブジェクト生成手段が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、
エネルギー量算出手段が、前記オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出することを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる第3の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、第2の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理ステップと、
該画像処理ステップで算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成ステップと、
前記画像処理ステップで算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成ステップと、
前記輪郭オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合ステップとを実行することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる第4の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、第3の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記屋根オブジェクト生成ステップでは、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成することを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる第5の利用可能太陽エネルギー量予測方法は、第4の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能な太陽エネルギー量をエネルギー量蓄積部に蓄積するエネルギー量蓄積ステップと、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索ステップとを実行することを特徴とする。
【0018】
本発明にかかる第1のプログラムは、
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測する利用可能太陽エネルギー量予測装置として機能させる。
【0019】
本発明にかかる第2のプログラムは、
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段として機能させる。
【0020】
本発明にかかる第3のプログラムは、第2のプログラムにおいて、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段と含むことを特徴とする。
【0021】
本発明にかかる第4のプログラムは、第3のプログラムにおいて、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とする。
【0022】
本発明にかかる第5のプログラムは、第4のプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能なエネルギー量が蓄積されたエネルギー量蓄積部から、前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段として機能させる。
【0023】
〔作用〕
建物オブジェクト生成手段が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から上記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、エネルギー量算出手段が、上記オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出する。
【0024】
建物オブジェクト生成手段は、建物オブジェクトを生成する際、先ず、画像処理手段により、上記複数枚の空撮画像から、上記重複部分に存在する各画素の高さを算出する。その後、輪郭オブジェクト生成手段を用いて、画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、この輪郭部分の画素の位置に基づいて建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する。屋根部分の形状を示す屋根オブジェクトは、屋根オブジェクト生成手段を用いて生成する。屋根オブジェクト生成手段は、上記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、上記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する。そして、最後に、オブジェクト結合手段を用いて、輪郭オブジェクト生成手段で生成した建物の輪郭オブジェクトと、屋根オブジェクト生成手段で生成した上記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、他の建物の陰影の影響も考慮した利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することが可能になる。更に、広い地域を対象にして、その地域に存在する各建物毎に、他の建物の陰影の影響も考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することも可能になる。その理由は、重複部分を有する複数枚の空撮画像から、上記重複部分に存在する建物の3次元形状を示す建物オブジェクトを生成するようにしているからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
〔実施の形態の構成の説明〕
図1は、本発明にかかる利用可能太陽エネルギー量予測装置の実施の形態の構成例を示すブロック図である。同図を参照すると、利用可能太陽エネルギー量予測装置1は、画像登録手段11と、建物オブジェクト生成手段12と、エネルギー量算出手段13と、検索手段14とを備えている。また、利用可能太陽エネルギー量予測装置1には、記憶装置2と、画像入力装置3と、キーボード等の入力部4と、LCD等の表示部5とが接続されている。
【0028】
記憶装置2は、ディスク装置などによって実現されるものであり、画像蓄積部21、高さ情報蓄積部22、建物オブジェクト蓄積部23およびエネルギー量蓄積部24を備えている。
【0029】
画像入力装置3は、イメージスキャナ等によって実現されるものであり、読み取り面(図示せず)に置かれた空撮写真をデジタル画像データ(空撮画像データ)に変換して利用可能太陽エネルギー量予測装置1に入力する機能を有する。尚、本実施の形態では、作業者は、画像入力装置3を用いて、重複部分を有する2枚の空撮写真それぞれに対応する空撮画像データを利用可能太陽エネルギー量予測装置1に入力する。
【0030】
利用可能太陽エネルギー量予測装置1内の画像登録手段11は、画像入力装置3から入力された2枚の空撮画像データを画像蓄積部21に格納する機能を有する。
【0031】
建物オブジェクト生成手段12は、画像蓄積部21に格納されている2枚の空撮画像データに基づいて、その重複部分に存在する各建物の3次元形状を示す建物オブジェクトを生成し、建物オブジェクト蓄積部23に格納する機能を有する。
【0032】
このような機能を有する建物オブジェクト生成手段12は、画像処理手段121と、輪郭オブジェクト生成手段122と、屋根オブジェクト生成手段123と、オブジェクト結合手段124とから構成されている。
【0033】
画像処理手段121は、画像蓄積部21に格納されている2枚の空撮画像データの視点のずれ(撮像方向の違い)を利用したステレオ処理により、空撮画像データの重複部分に存在する各画素の高さ情報(z座標値)を算出し、算出した各画素の高さ情報を高さ情報蓄積部22に格納する機能を有する。尚、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報を利用することにより、高さを色の濃淡で表現したDEM(Digital Elevation Model)画像を表示することができる。
【0034】
輪郭オブジェクト生成手段122は、高さ情報蓄積部22に登録されている各画素の高さ情報(z座標値)と予め定められている閾値(例えば、1m〜2m程度)とに基づいて、建物の輪郭部分となる画素を求める機能や、輪郭部分の画素の位置(x,y,z座標値)に基づいて上記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する機能を有する。
【0035】
屋根オブジェクト生成手段123は、高さ情報蓄積部22に蓄積されている各画素の高さ情報に基づいて、建物の屋根部分に対応する画素を求める機能や、屋根部分に対応する各画素の位置(x,y,z座標値)と、画像蓄積部21に格納されている空撮画像データ中の対応する画素の色情報とから、上記屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する機能を有する。
【0036】
オブジェクト結合手段124は、輪郭オブジェクト生成手段122及び屋根オブジェクト生成手段123で生成された、同一建物についての輪郭オブジェクト及び屋根オブジェクトを結合して建物オブジェクトを生成し、生成した建物オブジェクトを建物オブジェクト蓄積部23に格納する機能を有する。
【0037】
エネルギー量算出手段13は、建物オブジェクト蓄積部23に格納されている各建物オブジェクトと、入力部4から入力された日照時間、日射量、太陽位置を計算するための計算式などの入力情報とに基づいて、建物オブジェクト蓄積部23に格納されている各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトの陰影の影響を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出する機能を有する。
【0038】
検索手段14は、入力部4から入力された検索条件に従ってエネルギー量蓄積部24を検索し、検索結果を表示部5に表示する機能を有する。
【0039】
上記した機能を有する利用可能太陽エネルギー量予測装置1は、コンピュータによって実現可能なものであり、コンピュータによって実現する場合は、例えば、次のようにする。コンピュータを利用可能太陽エネルギー量予測装置1として機能させるためのプログラムを記録したディスク,半導体メモリ,その他の記録媒体を用意し、コンピュータに上記プログラムを読み取らせる。コンピュータは、読み取ったプログラムに従って自身の動作を制御することにより、自コンピュータ上に、画像登録手段11、建物オブジェクト生成手段12、エネルギー量算出手段13、及び検索手段14を実現する。
【0040】
〔実施の形態の動作に説明〕
次に、本実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0041】
〔空撮画像データ登録時の動作〕
先ず、空撮画像データ登録時の動作について説明する。作業者は、図2に示すように、利用可能太陽エネルギー量の予測対象地域が重複部分63となるような2枚の空撮写真61,62を用意し、画像入力装置3を用いて各空撮写真61,62の空撮画像データ71,72を利用可能太陽エネルギー量予測装置1に入力する。尚、空撮写真61,62の撮影高度及び撮影方向は同一であるとする。
【0042】
利用可能太陽エネルギー量予測装置1内の画像登録手段11は、画像入力装置3から空撮画像データ71,72が入力される毎に、それを画像蓄積部21に格納する(図3のステップS31)。
【0043】
〔建物オブジェクト生成時の動作〕
次に、建物オブジェクト生成時の動作について説明する。作業者は、空撮画像データの登録処理が完了すると、入力部4を用いて建物オブジェクト生成手段12を起動する。
【0044】
これにより、建物オブジェクト生成手段12内の画像処理手段121が動作し、画像蓄積部21に蓄積されている2枚の空撮画像データ71,72の重複部分に存在する各画素の高さ情報を算出し、算出した各画素の高さ情報を高さ情報蓄積部22に格納する(図4のステップS41)。
【0045】
今、例えば、空撮画像データ71,72の重複部分73に、図5に示すように、m×n個の画素が存在し、各画素のx,y座標値が(x1,y1)〜(xm,yn)であったとすると、画像処理手段121は、各画素の高さ情報(z座標値)z11〜zmnを算出し、図6に示すように、画素のx,y座標値に対応付けてその画素の高さ情報z11〜zmnを高さ情報蓄積部22に格納する(ステップS41)。
【0046】
ステップS41の処理が終了すると、輪郭オブジェクト生成手段122及び屋根オブジェクト生成手段123がそれぞれ次のような処理を行う。
【0047】
輪郭オブジェクト生成手段122では、先ず、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報と、予め定められている閾値Th(例えば、1m〜2m程度)とを利用して、利用可能太陽エネルギー量の予測対象地域に存在する各建物毎に、その輪郭部分の頂点と対応する画素を求める(ステップS42)。その後、輪郭オブジェクト生成手段122は、各建物毎に、その頂点部分の画素の位置情報に基づいて、輪郭オブジェクトを生成し、生成した輪郭オブジェクトをオブジェクト結合手段124に出力する(ステップS43,S44)。
【0048】
上記したステップS42,S43の処理を詳しく説明すると、次のようになる。
【0049】
ステップS42では、先ず、高さ情報蓄積部22に高さ情報が格納されている画素の中から、高さ情報が閾値Th以上となる画素を全て抽出する。その後、抽出した画素の集合によって構成される各閉領域毎に、その輪郭部分の頂点に存在する画素を求める。今、例えば、重複部分73中の(高さ情報≧閾値Th)を満たす画素によって、図7に斜線を施した閉領域(矩形)7が構成されたとすると、輪郭部分の頂点の座標値として画素(xi,yj),(xi,yj+18),(xi+6,yj+18),(xi+6,yj)が求められる。尚、図7では重複部分73中に閉領域を1つしか示していないが、実際には利用可能太陽エネルギー量の予測対象地域に存在する各建物毎の閉領域が存在する。
【0050】
ステップS43では、各建物毎に、その頂点部分の画素の高さ情報を高さ情報蓄積部22から検索し、輪郭オブジェクトを生成する。図8は、輪郭オブジェクト8の一例を示す図であり、図7に示した閉領域7に対応して生成された輪郭オブジェクトを示している。この図8に示した輪郭オブジェクト8では、各頂点の内の、視点の左手前の頂点を基準点とし、そのx,y座標を(0,0)、残りの頂点のx,y座標を基準点に対する時計回りの相対座標で表している。また、屋根部分に相当する部位までの高さであるz座標値が15mであるとしている。尚、このz座標値は、高さ情報蓄積部22から取得した各頂点のz座標値の値が均一であればその値を使用し、均一でない場合は、それらの平均値を使用する。
【0051】
以上が、輪郭オブジェクト生成手段122がステップS42,S43で行う詳しい処理内容である。
【0052】
一般に、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報(画像処理手段121においてステレオ処理で算出した高さ情報)には、誤差が含まれる。このような誤差があっても、建物の輪郭部分に関しては、地面と建物の輪郭部分の高さとに、最低でも数mの差分があるので、画素の高さ情報と閾値Thとを比較することにより、建物の輪郭部分およびその頂点に対応する画素は精度良く求めることができる。また、頂点部分の画素の高さも、各頂点の高さの平均値をとることにより、誤差を補正することができる。従って、高さ情報蓄積部22に格納されている高さ情報に誤差が含まれていても、精度の良い輪郭オブジェクトを生成することができる。しかし、高さ情報に誤差が含まれているため、高さ情報を用いて屋根部分を含む建物オブジェクトを生成しようとした場合は、屋根部分の形状に大きな誤差が含まれてしまう場合がある。例えば、実際の建物の形状が図9に示すようなものである場合(平面屋根ではなく、傾斜を持つ屋根の場合)、高さ情報に基づいて建物オブジェクトを生成すると、図10に示すような、凸凹を持った屋根オブジェクトが生成されてしまう場合がある。そこで、本実施の形態では、以下に述べるように、高さ情報だけでなく、色情報も利用して屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段123を用いて、屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成するようにしている。
【0053】
屋根オブジェクト生成手段123では、高さ情報蓄積部22に格納されている各画素の高さ情報と、予め定められている閾値Thとを利用して、予測対象地域に存在する各建物毎に、その屋根部分に対応する画素、頂点部分の画素および、屋根部分に存在する画素のz座標値の内の、最も大きなz座標値(最大z座標値)を求める(ステップS45)。その後、屋根オブジェクト生成手段123は、画像蓄積部21に格納されている空撮画像データ(例えば、空撮画像データ71)から、各建物毎に、屋根部分の画素の色情報を抽出する(ステップS46)。次いで、各建物毎に、屋根部分の画素の位置情報と、ステップS46で抽出した色情報とに基づいて屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成し(ステップS47)、生成した屋根オブジェクトをオブジェクト結合手段124に出力する(ステップS48)。
【0054】
図11は、上記したステップS47で行う処理の詳細を示すフローチャートであり、以下、同図を参照して、ステップS47で行う処理を詳細に説明する。尚、図11のフローチャートは、1つの建物について行う処理を示しており、予測対象地域に存在する各建物毎に同図に示す処理が行われる。
【0055】
先ず、処理対象にしている建物の屋根形状が陸屋根であるか否かを判断する(ステップS471)。即ち、処理対象にしている建物の最大z座標値と、輪郭部分の高さとの差分が所定値以下なら陸屋根と判断する。
【0056】
そして、陸屋根と判断した場合(ステップS471がYES)は、例えば、輪郭オブジェクトの上面の形状と同一の形状を表す、高さ「0」の陸屋根用の屋根オブジェクトを生成する(ステップS478)。
【0057】
これに対して、陸屋根でないと判断した場合は、処理対象にしている建物の屋根に対応する各画素の色情報に基づいて、各行において最も輝度の高い画素を求め、求めた画素がほぼ1本の直線上に存在するか否かを調べる(ステップS472,S473)。尚、日当たり条件が同一であれば、高さの高い部分に対応する画素ほど、輝度が高くなるということが経験上分かっている。
【0058】
今、例えば、処理対象にしている屋根に対応する各画素の色情報が図12に示すものであったとする。図12は、屋根の左方向から太陽光を受けており、屋根の右側に陰影が生じている場合の各画素の色情報を示している。尚、屋根の左側(日が当たっている部分)においては、左縁部分の画素の輝度が最も低くなっており、屋根の中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。また、屋根の右側(影になっている部分)においては、右縁部分の画素の輝度が最も低く、中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。この図12に示す例の場合は、各行における最も輝度の高い画素は、ほぼ1本の直線L1上に存在することになるので(ステップS473がYES)、上記直線L1部分を屋根の稜線とした屋根オブジェクトYO1を生成する(ステップS476)。即ち、屋根の底面部分の各頂点の座標値を、対応する輪郭オブジェクトの上面部分の各頂点の座標値とし、屋根の稜線部分のx,y座標値を直線L1のx,y座標値とし、稜線部分のz座標値を、該当する建物の最大z座標値から輪郭オブジェクトの高さを差し引いた値とした屋根オブジェクトYO1を生成する。
【0059】
また、例えば、処理対象にしている屋根の一部が他の建物の影になっており、色情報が図13に示すものであった場合も、各行における最も輝度の高い画素は、ほぼ1本の直線L2上に存在することになるので(ステップS473がYES)、上記直線L2部分を屋根の稜線とした屋根オブジェクトYO1を生成する(ステップS476)。
【0060】
これに対して、処理対象にしている屋根に対応する各画素の色情報が図14(A)に示すものであった場合は、次のような処理が行われる。図14(A)は、y方向から太陽の光を受けており、屋根の一部に他の建物の影が映っている場合の各画素の色情報を示している。尚、屋根の左側においては、左縁部分の画素の輝度が最も低くなっており、屋根の中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。また、屋根の右側においては、右縁部分の画素の輝度が最も低く、中央部に近づくほど、輝度が高くなっている。この図14(A)に示す例では、各行における最も輝度の高い画素は、同図(B)に示すように、2本の直線L3,L4上に存在することになるため、ステップS473の判断結果はNOとなる。
【0061】
ステップS473の判断結果がNOとなると、屋根オブジェクト生成手段123は、各列における最も輝度の高い画素が、ほぼ1本の直線上に存在するか否かを調べる(ステップS474,S475)。この例の場合、輝度の最も高い画素は、図14(C)に示すように、部分C1(他の建物の影の影響を受ける部分)ではほぼ直線L5上に存在するが、部分C2ではバラバラな位置に存在する。従って、ステップS475の判断結果はNOとなり、ステップS477の処理が行われる。尚、ステップS475の判断結果がYESとなった場合は、前述したステップS476の処理が行われる。
【0062】
ステップS477では、先ず、ステップS472で求めた最大輝度を有する各画素と、ステップS474で求めた最大輝度を有する各画素の内、どちらの方が直線上に乗っている画素の割合が多いか調べる、多い方を利用してその後の処理を行う。この例の場合、図14(B),(C)を比較して分かるように、ステップS472で求めた最大輝度を有する各画素の方が直線上に存在する画素の割合が多い。従って、屋根オブジェクト生成手段123は、同図(B)に示す各直線L3,L4毎に、高さ情報蓄積部22に格納されている該当する画素の高さ情報を利用して、その直線上に存在する画素の高さの平均値を求める。その後、最も高さの平均値が大きい直線L4と、その延長線L4'とを屋根の稜線とした、同図(A)に示す屋根オブジェクトYO3を生成する。
【0063】
以上がステップS47で行う詳しい処理例である。尚、上記した処理はあくまで一例であり、例えば屋根材質の情報が入手できた場合はその材質情報を利用して、瓦一枚一枚の面積から形状を算出しても良いし、また、上述の色情報に限らず、レーザを用いた測量など、その他の方法を用いて抽出し補間しても良い。
【0064】
オブジェクト結合手段124は、輪郭オブジェクト生成手段122及び屋根オブジェクト生成手段123で生成された、同一建物についての輪郭オブジェクトと屋根オブジェクトとを結合して建物オブジェクトを生成し、生成した建物オブジェクトを建物オブジェクト蓄積部23に格納する。その際、オブジェクト結合手段124は、各生成した建物オブジェクトを一意に識別するための識別子(建物ID)に合わせて建物オブジェクト蓄積部23に登録する。
【0065】
図15は、建物オブジェクト蓄積部23の内容例を示す図である。1つの建物IDに対して、3次元の輪郭オブジェクトの座標情報(輪郭形状座標リストおよびz座標値からなる)と、最大z座標値と、3次元の屋根オブジェクトの座標情報(屋根形状座標リスト)が格納されている。更に、緯度および経度情報も、手作業または既存のデータベースを利用して格納されている。図15に示す格納形式は説明のための簡略形式であり、実際には独自のデータベース構成にて格納すれば良い。
【0066】
〔利用可能太陽エネルギー量算出時の動作予測装置〕
次に、利用可能な太陽エネルギー量を算出する際の動作について説明する。
【0067】
作業者は、予測対象地域に存在する各建物の建物オブジェクトを、建物オブジェクト蓄積部23に格納すると、入力部4からエネルギー量算出手段13に対して、利用可能な太陽エネルギー量を算出するために必要になるデータ(日照時間、日射量、太陽の位置を計算するための計算式など)を入力する。尚、本実施の形態では、キーボードなどの入力部4を用いて人手で上記データを入力するようにしたが、既存のデータベースと連結し、データを自動的に入力するようにしても良い。
【0068】
エネルギー量算出手段13は、入力部4から上記したデータが入力されると、建物オブジェクト蓄積部23にから建物オブジェクトを入力する(図16のステップS161)。次いで、入力部4から入力されたデータと、建物オブジェクト蓄積部23から入力した各建物オブジェクトに基づいて、建物オブジェクト単位で、他の建物オブジェクトの陰影の影響を示す陰影情報を算出する(ステップS162)。その後、エネルギー量算出手段13は、ステップS162で算出した陰影情報を利用して、各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトの影の影響を考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を算出し(ステップS163)、算出した太陽エネルギー量と建物IDとを対応付けてエネルギー量蓄積部24に格納する(ステップS164)。尚、ステップS163で算出する利用可能な太陽エネルギー量は、1年間で利用可能な太陽エネルギー量であっても、単位時間当たりで利用できる太陽エネルギー量であっても良い。また、太陽電池を利用した場合の、発電量であっても良い。
【0069】
図17は、エネルギー量算出手段13における、広域の3次元の建物オブジェクトに対する陰影情報算出の模式図である。
【0070】
図18は、エネルギー量蓄積部24の内容例を示す図であり、1つの建物IDに対し、3次元の建物オブジェクトの情報(建物高さ,屋根面積,屋根形状,屋根角度)と、他の建物の影を考慮した際の日照時間と、エネルギー量算出手段13で算出された利用可能な太陽エネルギー量が格納されている。図18に示す格納形式は説明のための簡略形式であり、実際には独自のデータベース構成にて格納すれば良い。
【0071】
〔検索時の動作〕
次に検索時の動作について説明する。
【0072】
作業者は、エネルギー量蓄積部24に格納されているデータに関して検索を行いたい場合、入力部4を用いて検索手段14を起動する。
【0073】
これにより、検索手段14は、図19のフローチャートに示すように、検索条件入力画面を表示部5に表示する(ステップS191)。図20に検索条件入力画面201の一例を示す。同図に示した検索条件入力画面201は、エリアの入力欄202と、検索条件などの入力欄203,204と、検索開始を指示する検索ボタン205と、検索条件をクリアするためのクリアボタン206とが設けられている。
【0074】
作業者は、図201に示すような検索条件入力画面201が表示されると、入力欄202に検索対象エリア(例えば、大阪市)を入力し、入力欄203に検索条件(例えば、利用可能な太陽エネルギー量が3KW以上の建物)を入力する。その後、作業者は、検索ボタンを押下する。
【0075】
これにより、検索手段14は、エネルギー量蓄積部24に格納されているデータの内の大阪市に関するデータを検索対象にして、利用可能な太陽エネルギー量が3KW以上の建物を検索し、検索結果を表示部5に表示する(ステップS192,S193)。例えば、エネルギー量蓄積部24の内容が図18に示すものであり、検索条件が「利用可能な太陽エネルギー量が3KW以上の建物」である場合、建物IDが「OBJ001001」,「OBJ001002」の建物に関する情報がヒットし、逆に、建物IDが「OBJ001003」の建物に関する情報はヒットしない。
【0076】
尚、検索結果の表示方法は、任意の方法を採用することができ、例えば、検索された建物に関する情報(建物ID、緯度経度、太陽エネルギー量など)の一覧を表示するようにしても良いし、図21に示すように、表示部5に空撮画像を表示し、検索条件を満たす建物の表示形態を他の建物の表示形態と異なるようにしたり、更に、利用可能な太陽エネルギー量を重畳表示するようにしても良い。また、検索キーとなる項目は、上記した例に限られるものではなく、緯度経度などをキー項目とすることができる。尚、緯度経度をキー項目とした場合には、特定の建物の利用可能太陽エネルギー量を検索することができる。
【0077】
〔実施の形態の効果〕
本実施の形態によれば、他の建物の陰影の影響も考慮した利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することが可能になる。更に、広い地域を対象にして、その地域に存在する各建物毎に、他の建物の陰影の影響も考慮した、利用可能な太陽エネルギー量を低コストで予測することも可能になる。その理由は、重複部分63を有する複数枚の空撮画像61,62から、上記重複部分63に存在する建物の3次元形状を示す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段12を備えているからである。
【0078】
また、本実施の形態によれば、高い精度の建物オブジェクトを生成することが可能になる。その理由は、画像処理手段121で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、この輪郭部分の画素の位置に基づいて建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段122と、上記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と空撮画像データ71中の対応する画素の色情報とから、上記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段123とを備えているからである。すなわち、画像処理手段121がステレオ処理などによって算出した画素の高さには誤差が含まれる。このような誤差があっても、建物の輪郭部分に関しては、地面と建物の輪郭部分の高さとに、最低でも数mの差分があるので、例えば、画素の高さ情報と閾値Thとを比較することにより、建物の輪郭部分およびその頂点に対応する画素は精度良く求めることができる。また、頂点部分の画素の高さも、各頂点の高さの平均値をとることにより、誤差を補正することができる。従って、画像処理手段121で算出した各画素の高さだけを利用しても、精度の高い輪郭オブジェクトを生成することができる。しかし、画像処理手段121が算出した各画素の高さだけを利用して屋根部分も含む建物オブジェクトを生成するようにすると、誤差の影響を受け、精度の良い建物オブジェクトを生成することはできない。そこで、本実施の形態では、屋根部分については、画像処理手段121が算出した画素の高さだけでなく、空撮画像データの色情報も利用して(色情報は、高さが高い画素ほど輝度が高いという性質を持つ)、屋根オブジェクトを生成し、オブジェクト結合手段124において、屋根オブジェクトと輪郭オブジェクトとを結合することにより、精度の高い建物オブジェクトを生成できるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、広域の地形に対し陰影情報の影響を含めた精度を持つ、利用可能な太陽エネルギー量を自動で算出する装置や、そのような装置を実現するためのプログラムと言った用途に適用できる。更に、利用可能な太陽エネルギー量の予測だけでなく、日照シミュレーション装置や、日照シミュレーション装置をコンピュータで実現するためのプログラムと言った用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明にかかる利用可能太陽エネルギー量予測装置の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】画像入力装置3で読み込む空撮写真61,62を説明するための図である。
【図3】画像登録手段11の処理例を示すフローチャートである。
【図4】建物オブジェクト生成手段12の処理例を示すフローチャートである。
【図5】空撮画像の重複部分を示す図である。
【図6】高さ情報蓄積部22の内容例を示す図である。
【図7】輪郭オブジェクト生成手段122の動作を説明するための図である。
【図8】輪郭オブジェクト生成手段122が生成する輪郭オブジェクトの一例を示す図である。
【図9】実際の建物形状を示す図である。
【図10】高さ情報だけを使用して作成した建物オブジェクトの一例を示す図である。
【図11】図4のステップS44の処理の詳細を示したフローチャートである。
【図12】屋根オブジェクト生成手段123の動作を説明するための図である。
【図13】屋根オブジェクト生成手段123の動作を説明するための図である。
【図14】屋根オブジェクト生成手段123の動作を説明するための図である。
【図15】建物オブジェクト蓄積部23の内容例を示す図である。
【図16】エネルギー量算出手段13の処理例を示すフローチャートである。
【図17】陰影情報のイメージを示す図である。
【図18】エネルギー量蓄積部24の内容例を示す図である。
【図19】検索手段14の処理例を示すフローチャートである。
【図20】検索条件入力画面201の一例を示す図である。
【図21】検索結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1…利用可能太陽エネルギー量予測装置
11…画像登録手段
12…建物オブジェクト生成手段
121…画像処理手段
122…輪郭オブジェクト生成手段
123…屋根オブジェクト生成手段
124…オブジェクト結合手段
13…エネルギー量算出手段
14…検索手段
2…記憶装置
21…画像蓄積部
22…高さ情報蓄積部
23…建物オブジェクト蓄積部
24…エネルギー量蓄積部
3…画像入力装置
4…入力部
5…表示部
61,62…空撮写真
71,72…空撮画像データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重複部分を有する複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項2】
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段と、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段とを備えたことを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項3】
請求項2記載の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段とを備えたことを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項4】
請求項3記載の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項5】
請求項4記載の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトで利用可能な太陽エネルギー量が蓄積されるエネルギー量蓄積部と、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段とを備えたことを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項6】
重複部分を有する複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項7】
建物オブジェクト生成手段が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、
エネルギー量算出手段が、前記オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項8】
請求項7記載の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理ステップと、
該画像処理ステップで算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成ステップと、
前記画像処理ステップで算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成ステップと、
前記輪郭オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合ステップとを実行することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項9】
請求項8記載の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記屋根オブジェクト生成ステップでは、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項10】
請求項9記載の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能な太陽エネルギー量をエネルギー量蓄積部に蓄積するエネルギー量蓄積ステップと、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索ステップとを実行することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項11】
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測する利用可能太陽エネルギー量予測装置として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムにおいて、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段と含むことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムにおいて、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能なエネルギー量が蓄積されたエネルギー量蓄積部から、前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
重複部分を有する複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項2】
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段と、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段とを備えたことを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項3】
請求項2記載の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段とを備えたことを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項4】
請求項3記載の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項5】
請求項4記載の利用可能太陽エネルギー量予測装置において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトで利用可能な太陽エネルギー量が蓄積されるエネルギー量蓄積部と、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段とを備えたことを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測装置。
【請求項6】
重複部分を有する複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項7】
建物オブジェクト生成手段が、重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、
エネルギー量算出手段が、前記オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項8】
請求項7記載の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理ステップと、
該画像処理ステップで算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成ステップと、
前記画像処理ステップで算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成ステップと、
前記輪郭オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成ステップで生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合ステップとを実行することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項9】
請求項8記載の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記屋根オブジェクト生成ステップでは、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項10】
請求項9記載の利用可能太陽エネルギー量予測方法において、
前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能な太陽エネルギー量をエネルギー量蓄積部に蓄積するエネルギー量蓄積ステップと、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量蓄積部から前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索ステップとを実行することを特徴とする利用可能太陽エネルギー量予測方法。
【請求項11】
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成し、該生成した各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を自動予測する利用可能太陽エネルギー量予測装置として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
重複部分を有する複数枚の空撮画像から前記重複部分に存在する各建物の3次元形状を表す建物オブジェクトを生成する建物オブジェクト生成手段、
該建物オブジェクト生成手段で生成された各建物オブジェクト毎に、他の建物オブジェクトによる陰影を考慮した利用可能な太陽エネルギー量を算出するエネルギー量算出手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムにおいて、
前記建物オブジェクト生成手段が、
前記複数枚の空撮画像から、前記重複部分に存在する各画素の高さを算出する画像処理手段と、
該画像処理手段で算出した各画素の高さに基づいて、建物の輪郭部分になる画素を求め、該求めた輪郭部分の画素の位置に基づいて前記建物の屋根部分を除いた部分の3次元形状を示す輪郭オブジェクトを生成する輪郭オブジェクト生成手段と、
前記画像処理手段で算出した各画素の高さと、前記空撮画像の各画素の色情報とに基づいて、前記建物の屋根部分の3次元形状を示す屋根オブジェクトを生成する屋根オブジェクト生成手段と、
前記輪郭オブジェクト生成手段で生成した前記建物の輪郭オブジェクトと、前記屋根オブジェクト生成手段で生成した前記建物の屋根部分の屋根オブジェクトとを結合することにより、建物オブジェクトを生成するオブジェクト結合手段と含むことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムにおいて、
前記屋根オブジェクト生成手段が、
前記建物の屋根部分に対応する各画素の位置と色情報とから、前記屋根部分の3次元形状を表す屋根オブジェクトを生成する構成を有することを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項14記載のプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
検索条件が入力されたとき、前記エネルギー量算出手段が算出した各建物オブジェクトの利用可能なエネルギー量が蓄積されたエネルギー量蓄積部から、前記検索条件を満たす建物オブジェクトを検索する検索手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−18130(P2007−18130A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197106(P2005−197106)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
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