説明

利用記録システム

【課題】様々な設備の利用状況を簡単かつまとめて把握できるシステムを提供する。
【解決手段】利用記録システム10は、サーバ12と、ネットワーク14を介してサーバ12と通信可能な携帯端末16とを含み、携帯端末16を所持するユーザによる設備の利用状況を記録する。携帯端末16のGPS回路は、携帯端末16の現在位置を所定時間ごとに検出して、検出時刻に関連付けた位置データを取得する。そして、その位置データに基づいて、携帯端末16を所持するユーザの位置履歴が記録される。サーバ12は、ユーザの位置履歴と、設備ごとに設定された設備データとを参照して、設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、ユーザが設備に対して利用行動を実行したかどうかを推定する。そして、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定したときに、設備とユーザとを関連付けた利用履歴を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、利用記録システムに関し、特にたとえば、ユーザが任意に行動する環境内に設置された設備の利用状況を記録する、利用記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のユーザの特定の対象に対する利用行動を記録するシステムの一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1のメディア情報の注目度測定装置(広告効果測定装置)では、広告メディア提示位置の近傍に設置されたカメラの撮影画像などから、各人物の広告メディアを注視している時間、顔検出位置、大きさ、顔類似度、顔姿勢パラメータなどの注目指標を検出することによって、広告メディアの注目度(すなわち、広告効果)が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−108257号[G06Q 10/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、広告メディア単体でしかその注目度が測定できないという問題があった。つまり、広告メディアごとに別々の広告効果測定装置を適用する必要があるので、様々な広告メディアを対象とした人物(ユーザ)の関心やそれに伴った利用状況を把握することが困難であった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、利用記録システムを提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、様々な設備の利用状況を簡単かつまとめて把握することができる、利用記録システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の発明は、サーバと、ネットワークを介してサーバと通信可能な携帯端末とを備え、携帯端末を所持するユーザが任意に行動する環境内に設置された1または複数の設備の利用状況を記録する利用記録システムであって、携帯端末の現在位置を所定時間ごとに検出し、検出時刻に関連付けた携帯端末の位置データを取得する端末位置検出手段、端末位置検出手段によって取得された携帯端末の位置データに基づいて、携帯端末を所持するユーザの位置履歴を記録するユーザ位置記録手段、ユーザから任意で取得した個人情報を含むユーザデータをユーザに対応付けて記憶するユーザデータ記憶手段、各設備の位置データと、設備ごとに設定された所定の有効領域を示す距離データとを含む設備データを設備に対応付けて記憶する設備データ記憶手段、ユーザ位置記録手段に記録されたユーザの位置履歴と、設備データ記憶手段に記憶された各設備の設備データとに基づいて、設備の有効領域内にユーザが存在するか否かを判定する第1判定手段、および第1判定手段によって設備の有効領域内にユーザが存在すると判定されたとき、その設備とユーザとを関連付けて利用履歴を記録する履歴記録手段を備える、利用記録システムである。
【0009】
第1の発明では、利用記録システム(10)は、携帯端末(16)を所持するユーザによる設備の利用状況を記録するものである。端末位置検出手段(16,46,110,S3)は、ユーザが所持する携帯端末(16)の現在位置を所定時間ごとに検出して、検出時刻に関連付けた位置データを取得する。実施例では、携帯端末のGPS回路(46)が、GPS衛星からの信号を所定時間ごとに受信して、携帯端末の現在位置の座標を算出する。そして、その位置データに基づいて、ユーザ位置記録手段(12,112,S9)により、携帯端末を所持するユーザの位置履歴が記録される。ユーザデータ記憶手段(12,32)には、ユーザから任意で取得した個人情報を含むユーザデータがユーザに対応付けて記憶されている。また、設備データ記憶手段(12,34)には、設備の位置データと、設備ごとに設定された所定の有効領域を示すデータとを含む設備データが設備に対応付けて記憶されている。第1判定手段(12,114,S25)は、ユーザの位置履歴と設備データとを参照して、ユーザが設備の有効領域内に存在しているか否かを判定する。そして、その判定結果に基づいて、ユーザが設備に対して利用行動を実行したかどうかが推定される。ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定されたときには、履歴記録手段(12,36,118,S33)によって、設備とユーザとを関連付けた利用履歴が記録される。
【0010】
第1の発明によれば、様々な設備を対象としたユーザの利用行動を簡単かつまとめて把握することが可能である。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に従属し、設備データは、設備ごとに設定された所定の有効時間を示す時間データをさらに含み、第1判定手段によって設備の有効領域内にユーザが存在すると判定されたとき、その設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在するか否かを判定する第2判定手段をさらに備え、履歴記録手段は、第2判定手段によって設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在すると判定されたとき、その設備とユーザとを関連付けて利用履歴を記録する。
【0012】
第2の発明では、設備データ記憶手段(12,34)には、設備ごとに設定された所定の有効時間を示すデータが記憶されている。第2判定手段(12,116,S31)は、第1判定手段(12,114,S25)によって設備の有効領域内にユーザが存在すると判定されたとき、その設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在するか否かを判定する。そして、その判定結果に基づいて、ユーザが設備に対して利用行動を実行したかどうかが推定される。ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定されたときには、設備とユーザとを関連付けた利用履歴が履歴記録手段(12,36,118,S33)によって記録される。
【0013】
第3の発明は、第1または2の発明に従属し、ユーザデータは、ユーザが現在有するポイント数を示すユーザポイントデータをさらに含み、設備データは、設備ごとに設定された所定のポイント数を示す設備ポイントデータをさらに含み、履歴記録手段によって履歴が記録された後、設備データ記憶手段に記憶された設備ポイントデータに基づいて、ユーザに付与するポイント数を算出するポイント算出手段、およびポイント算出手段によって算出されたポイント数をユーザが現在有するポイントに加算して、ユーザデータ記憶手段に記憶されたユーザポイントデータを更新するポイント加算手段をさらに備える。
【0014】
第3の発明では、ユーザデータ記憶手段(12,32)には、ユーザが現在有するポイント数を示すポイントデータが記憶されている。また、設備データ記憶手段(12,34)には、設備ごとに設定された所定のポイント数を示すポイントデータが記憶されている。ポイント算出手段(12,120,S39)は、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定されたときに、その設備のポイントデータに基づいて、ユーザに付与するポイント数を算出する。そして、ポイント加算手段(12,122,S41)は、ポイント算出手段によって算出されたポイント数をユーザが現在有するポイントに加算して、ユーザデータ記憶手段を更新する。
【0015】
第3の発明によれば、ユーザはポイントの獲得という形で利益を享受することができる。そして、この結果として設備の利用が促進されるので、設備提供者も利益を享受することができる。つまり、ユーザおよび設備提供者の各々に利益をもたらすことができるようになる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明に従属し、ユーザデータは、ユーザから任意で取得した個人情報の内容に応じて設定されるポイント倍率を示すポイント倍率データをさらに含み、ポイント算出手段は、設備データ記憶手段に記憶された設備ポイントデータと、ユーザデータ記憶手段に記憶されたポイント倍率データとに基づいて、ユーザに対して付与するポイント数を算出する。
【0017】
第4の発明では、ユーザデータ記憶手段(12,32)には、ポイント倍率を示すポイント倍率データが記憶されている。ポイント倍率は、ユーザが提供した個人情報の内容に応じて設定される。ポイント算出手段(12,120,S39)は、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定されたときに、そのユーザのポイント倍率データと、設備のポイントデータとに基づいて、ユーザに対して付与するポイント数を算出する。
【0018】
第4の発明によれば、ユーザが自身の個人情報を提供することを促進できる。したがって、設備提供者が有益なマーケティング情報を得ることができる。
【0019】
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明に従属し、設備は、環境内を移動する移動体を含み、移動体の現在位置を所定時間ごとに検出し、検出時刻に対応付けた移動体の位置データを取得する移動体位置検出手段、および移動体位置検出手段によって取得された移動体の位置データを設備データ記憶手段に記録する移動体位置記録手段をさらに備える。
【0020】
第5の発明では、設備が環境内を自律移動する移動体である場合に、移動体位置検出手段が、移動体の現在位置を所定時間ごとに検出して、検出時刻に関連付けた位置データを取得する。たとえば、移動体の現在位置は、赤外線センサを利用して検出される。そして、その位置データに基づいて、移動体位置記録手段により、移動体の位置履歴が設備データ記憶手段(12,34)に記憶される。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ユーザが設備の有効領域内に存在しているか否かを判定することによって、ユーザが設備を利用したかどうかを推定するようにしたため、様々な設備の利用状況を簡単かつまとめて把握することができる。
【0022】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例の利用記録システムを示す図解図である。
【図2】図1のサーバの内部構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すユーザ情報DBに記憶されるテーブルの一例を示す図解図である。
【図4】図2に示す設備情報DBに記憶されるテーブルの一例を示す図解図である。
【図5】設備の有効領域を説明するための図解図である。
【図6】電子看板の有効領域の一例を示す図解図である。
【図7】コミュニケーションロボットの有効領域の一例を示す図解図である。
【図8】スーパーマーケット出入り口の有効領域の一例を示す図解図である。
【図9】図2に示す履歴DBに記憶されるテーブルの一例を示す図解図である。
【図10】図1の携帯端末の内部構成を示すブロック図である。
【図11】図2に示すサーバのメモリマップの一例を示す図解図である。
【図12】サーバの利用履歴記録処理を示すフロー図である。
【図13】図12の利用行動判定処理の一例を示すフロー図である。
【図14】図13のポイント付与処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照して、この発明の一実施例である利用記録システム10は、利用記録装置としても機能するサーバ12と、ネットワーク14を介してサーバ12と通信可能な携帯端末16とを含み、携帯端末16を所持するユーザが任意に行動する環境内に設置された設備の利用状況を記録するものである。
【0025】
このネットワーク14としては、LANのような局所的なネットワークであってもよいが、典型的には、インターネットを利用する。そして、ネットワーク14に上で説明したサーバ12が有線または無線で接続される。無線の場合には物としての「接続」はないが、電気的に接続されるという意味で、この語を用いる。
【0026】
サーバ12は、パーソナルコンピュータ(PC)またはワークステーション等のコンピュータで構成されており、この実施例の利用記録システム10を全体的に統御する。図2はサーバ12の具体的な構成を示すブロック図であり、サーバ12は、CPU18を含む。CPU18は、マイクロコンピュータ或いはプロセッサとも呼ばれ、バス20を介して、メモリ22、液晶ディスプレイまたはCRT等の表示装置24、ならびにマウスおよびキーボード等の入力装置26に接続されている。
【0027】
メモリ22は、図示は省略をするが、ROM、HDDおよびRAMを含む。ROMおよびHDDには、このサーバ12の動作を制御するためのプログラムが記憶されている。また、RAMは、ワークメモリやバッファメモリとして用いられる。
【0028】
また、CPU18は、バス20を介して通信LANボード28に接続される。通信LANボード28は、たとえばDSPで構成され、無線通信装置30を介して上述したネットワーク14に接続してデータの送受信を行なう。
【0029】
さらに、CPU18は、バス20を介して複数のデータベース(以下、DB)に接続される。具体的には、CPU18には、ユーザ情報DB32、設備情報DB34および履歴DB36が接続される。
【0030】
ユーザ情報DB32には、ユーザに関する情報(ユーザデータ)が記憶されている。
【0031】
ここで、「ユーザ」とは、利用記録システム10の管理者に届出を出して会員登録した者のことであり、基本的には、このユーザ情報DB32へ登録されている会員をユーザとする。
【0032】
一例を挙げると、図3に示すように、ユーザ情報DB32には、ユーザの名称(ユーザA,ユーザB,ユーザC,…)に対応付けて、“個人情報の開示”、“購買履歴の開示”、“ポイント倍率”、“ポイント”および“位置履歴”などの情報を記述したテーブルが記憶されている。
【0033】
“個人情報の開示”の情報としては、たとえば会員登録時にユーザから任意で取得した個人情報、具体的には、年齢、性別、職業などの属性について設備提供者(たとえば、広告主など)へ開示することをどの程度まで許可しているかが記述される。一例を挙げると、全ての属性を開示することを許可している場合には「すべて」と記述され、属性を開示することを全く許可していない場合には「なし」と記述され、年齢および性別のみ開示することを許可している場合には「年齢・性別のみ」と記述される。
【0034】
“購買履歴の開示の有無”の情報としては、ユーザが自身の購買履歴を、設備提供者へ開示することを許可しているか否かが記述される。たとえば、購買履歴には、ユーザと利用記録システム10の提携店等との間で行われた購買内容(購買日時、購買商品、購買先、購買代金など)が含まれる。
【0035】
また、“ポイント”の情報としては、ユーザが現在有するポイントを示す数値(ユーザポイントデータ)が記述される。
【0036】
ここで、「ポイント」とは、利用記録システム10の管理者等がユーザに対して提供するポイントサービスに利用できる点数のことである。たとえば、ポイントは、利用行動を実行した(つまり、設備を利用した)ユーザに対して付与され、現金に還元されたり、商品・サービスの購入時に割引するために利用されたりする。また、一定数量のポイントを商品に引き換えたり、さらに、携帯端末16上でポイントと引き換えに通信パケット、音楽やゲームのダウンロード、道案内などの有料サービスを受けたりすることも可能である。
【0037】
“ポイント倍率”の情報としては、ユーザから任意で取得した個人情報の内容に応じて所定の換算で設定されたポイント倍率の数値(ポイント倍率データ)が記述される。ポイント倍率の換算方法の一例を挙げると、マーケティングに有益な個人情報(属性)の開示を許可しているユーザのポイント倍率は高く設定され、たとえば、個人情報の内容とポイント倍率とを予め対応付けたテーブルを参照して決めるようにしてもよい。
【0038】
“位置履歴”の情報としては、ユーザの位置データを時系列に従って蓄積させた位置履歴が記述される。後で詳細に説明するように、サーバ12は、ユーザの所持する携帯端末16から現在位置を示す座標にその検出時刻を関連付けたデータ(位置データ)をネットワーク14を介して受信して、その位置データを携帯端末16を所持するユーザに対応付けてユーザ情報DB32に時系列的に記録(記憶)する。
【0039】
また、設備情報DB34には、設備に関する情報(設備データ)が予め記憶されている。
【0040】
ここで、「設備」とは、ユーザが任意に行動する環境内に存在する設置物や施設であって、利用記録システム10の管理者に届出を出して登録したもののことであり、基本的には、この設備情報DB34へ登録されている設置物や施設を設備とする。この実施例では、設備として、電子看板(電子ポスター、デジタルサイネージ),コミュニケーションロボット,スーパーマーケット出入り口を例示しているが、これらはあくまで一例であり、公園の出入り口や駐車場、マンションの出入り口、学校の出入り口、各種交通機関の乗降口など、本発明の技術的思想を実現できるものであればどのようなものでもかまわない。
【0041】
一例を挙げると、図4に示すように、設備情報DB34には、設備の名称(電子看板1,コミュニケーションロボット1,スーパーマーケット出入り口1,…)に対応付けて、“位置”、“有効領域”、“有効時間”、“ポイント”、“購買効果”などの情報を記述したテーブルが記憶されている。
【0042】
“位置”の情報としては、設備の位置を示す座標(位置データ)が記述される。具体的には、環境内に固定的に設けられている設備(たとえば、「電子看板1」、「スーパーマーケット出入り口1」)については、その設置位置を示す座標(位置データ)が記述され、環境内を移動する移動体である設備(たとえば、「コミュニケーションロボット1」)については、その現在位置を示す座標(位置データ)を時系列に従って蓄積させた位置履歴が記述される。たとえば、移動体の現在位置を示す座標は、赤外線センサを利用して検出されるが、これに限定される必要はなく、公知の位置検出方法を適宜採用できる。
【0043】
“有効領域”の項目には、設備ごとに個別に設定された有効領域を示す情報が記述される。有効領域は、1点ではなく面積または幅をもっているため、この実施例では、“有効領域”の情報として、ユーザが設備を利用したと擬制(推定)することが可能な有効距離(m)を示すデータが記述され、図5に示すように、設備を中心として有効距離を半径にした円の内部が有効領域となる。
【0044】
図4に戻って、“有効時間”の情報としては、設備ごとに個別に設定された、ユーザが設備を利用したと擬制することが可能な時間(秒)が記述される。詳細は後に説明するように、サーバ12は、設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在したと判定したときに、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定して、ユーザと設備とを関連付けた利用履歴を記録する。
【0045】
具体例を示して説明すると、この実施例では、サーバ12は、「電子看板1」から3m以内に10秒以上立ち止まったユーザを、「電子看板1」に対して利用行動を実行した(つまり、目視した)と推定する。図6に示す具体例でいうと、ユーザAは「電子看板1」の有効領域内で有効時間以上立ち止まっていることが分かる。ユーザBは「電子看板1」の有効領域内にはいったものの、有効時間が経過する前に「電子看板1」の有効領域の外へ出て行っていることが分かる。そして、ユーザCは「電子看板1」の有効領域内にはいっていないことが分かる。なお、図中の矢印は、ユーザの10秒間の動きを示している。このような場合には、ユーザAのみが「電子看板1」を利用したと推定されることとなる。
【0046】
また、この実施例では、サーバ12は、「コミュニケーションロボット1」の1m以内に30秒以上いたユーザを、「コミュニケーションロボット1」に対して利用行動を実行した(つまり、コミュニケーションを取った)と推定する。たとえば、「コミュニケーションロボット1」は移動体であるので、ユーザは、「コミュニケーションロボット1」が立ち止まっているときには、その1m以内で立ち止まり、「コミュニケーションロボット1」が移動しているときには、その1m以内をともに移動する必要がある。図7に示す具体例でいうと、ユーザAは、「コミュニケーションロボット1」の有効領域内にはいって、そのまま有効時間以上「コミュニケーションロボット1」とともに移動していることが分かる。また、ユーザBは、一度は「コミュニケーションロボット1」の有効領域内にはいったものの、すぐに「コミュニケーションロボット1」と異なる方向へ移動していることが分かる。なお、図中の矢印は、ユーザおよび「コミュニケーションロボット1」の30秒間の動きを示している。このような場合には、ユーザAのみが「コミュニケーションロボット1」を利用したと推定されることとなる。
【0047】
さらに、この実施例では、設備が「スーパーマーケット出入り口1」であれば、有効時間が0秒であるので、サーバ12は、「スーパーマーケット出入り口1」の5m以内を通過したユーザを、「スーパーマーケット出入り口1」に対して利用行動を実行した(つまり、スーパーマーケットに入店した)と推定する。図8に示す具体例でいうと、ユーザAおよびユーザBは、「スーパーマーケット出入り口1」の有効領域内を通過していることが分かる。このような場合には、ユーザAおよびユーザBが、「スーパーマーケット出入り口1」を利用したと推定されることとなる。
【0048】
図4に戻って、“ポイント”の情報としては、その設備を利用したときにユーザに対して付与されるポイント数(設備ポイントデータ)が記述される。詳細は後述するように、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定されたときに、そのユーザには、ユーザのポイント倍率データと設備の設備ポイントデータとに基づいて、ユーザに対して付与するポイント数が算出される。具体例を示して説明すると、設備が「電子看板1」であり、ユーザが「ユーザ1」であるときには、設備のポイントが“70”であり、ユーザのポイント倍率が“×2”であるので、ユーザに付与するポイント数は140(70×2=140)になる。
【0049】
さらに、“購買効果”の情報としては、その設備に対して利用行動が実行されたことによって生じる購買効果の金額(円)が記述されている。
【0050】
さらに、図2に示す履歴DB36は、設備とユーザとを関連付けた利用履歴を記録するために用いられる。上述したように、サーバ12は、設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在したと判定したとき、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定する。そして、ユーザと設備とを関連付けた利用履歴をこの履歴DB36に記録(記憶)する。
【0051】
一例を挙げると、図9に示すように、履歴DB36には、設備の名称(電子看板1,コミュニケーションロボット1,スーパーマーケット出入り口1,…)に対応付けて、“利用ユーザ”、“累積利用回数”、“累積購買効果”などの情報を記述したテーブルが記憶されている。“利用ユーザ”の情報としては、その設備に対して利用行動を実行したユーザ(ユーザ名)の一覧が記述される。“累積利用回数”の情報としては、その設備に対して利用行動が実行された累積回数が記述される。“累積購買効果”の情報としては、その設備に対して利用行動が実行されることにより生じた購買効果の累積金額(円)が記述される。
【0052】
図1に戻って、ネットワーク14にはさらに、ユーザが所持する携帯端末16が接続される。
【0053】
携帯端末16は、典型的には、いわゆるスマートフォンのように、携帯電話機の機能とPDA(Perdsonal Digital Assistant)の機能とを併有する携帯情報端末であり、ユーザは、その携帯端末16からネットワーク14を介してサーバ12とデータの送受信を行なうことができる。
【0054】
一例を挙げると、携帯端末16として、アップル社製の携帯電話機iphone(商品名)を想定しているが、勿論、他社の同等の機能を有する携帯電話機、スマートフォン、PDAなど任意の携帯情報端末が利用可能である。
【0055】
図9を参照して、携帯端末16は、CPU40を含み、CPU40は、バス42を介して、メモリ44、GPS回路46、時計回路48および無線通信回路50に接続されている。
【0056】
GPS(Global Positioning System:地球測位システム)回路46は、CPU40の指示の下、携帯端末16の現在位置(つまり、携帯端末16を所持するユーザの現在位置)を示す位置データを取得するために用いられる。具体的には、メモリ44のROM(図示せず)のプログラム領域に予め設定されている位置データ取得プログラムによって位置データの取得が指示されると、CPU42は、GPS回路46を起動し、GPS回路46は、GPS衛星からの信号を所定周期(たとえば1Hz)で所定時間(たとえば、60秒)ごとに受信して、携帯端末16の現在位置の座標(緯度、経度、高度)を算出し、現在位置の座標を含む位置データをRAM(図示せず)に記憶(一時記憶)する。さらに、CPU42は、時計回路48から日付および時間を検出して、位置を検出したときの時刻(検出時刻)を、位置データに付加する。
【0057】
また、無線通信回路50は、この携帯端末16によって音声通話(電話)をし、あるいはネットワーク14に接続してデータや電子メールの送受信を行なうことができる。また、位置データ送信プログラムによって位置データの送信が指示されると、CPU40は、たとえばネットワーク14と接続される所定タイミングで、RAMに記憶された位置データを、無線通信回路50およびネットワーク14を介してサーバ12に送信する。一方、サーバ12は、通信LANボード30および無線通信装置32を介してネットワーク14から位置データを受信し、受信した位置データをユーザに対応付けて上述したユーザ情報DB32に記録(記憶)する。
【0058】
この実施例の携帯端末16はさらに、表示部52、操作部54、通話部56および撮像部58の他、ジャイロセンサ(3軸地磁気センサ)62および加速度センサ(3軸加速度センサ)64を含み、これらのジャイロセンサ62および加速度センサ64からのセンサデータは、センサI/F60を通して、入力される。
【0059】
ジャイロセンサ62は、直交3軸方向の地磁気の強さを検知するもので、この実施例では、CPU40とともに電子コンパスまたはディジタルコンパスを構成するために利用される。また、加速度センサ64の出力データは、この実施例では、この携帯端末16を携帯しているユーザの移動(歩行)速度や歩数のデータを取得するために利用される。
【0060】
このため、たとえばデパートやスーパーケットのような大型店舗の中ではGPSが効かないが、その間のユーザの現在位置を、コンパスによる方位データと歩数に基づく歩行距離データで推定することが可能である。なお、ジャイロセンサや加速度センサの出力によって歩数を計数する方法はよく知られたところであり、詳細説明は省略する。
【0061】
また、メモリ44のROMのプログラム領域には、図示は省略するが、通話、撮像、ブラウジングおよび電子メールの送受信などの携帯電話機の基本的な機能を実現させる種々のプログラムの他、携帯端末16を利用記録システム10の一部として機能させるためのアプリケーションプログラムが設定されている。
【0062】
たとえば、図示は省略するが、アプリケーションプログラムは、上述した位置データ取得プログラムや位置データ送信プログラムの他、ユーザデータビューワ機能プログラム、ポイント利用機能プログラムなどを含む。ユーザデータビューワ機能プログラムは、ユーザが自身のユーザ情報を編集したり、ユーザが自身の有するポイントを確認したりするためのプログラムである。また、ポイント利用機能プログラムは、ユーザがポイントサービスを利用するためのプログラムである。なお、このようなアプリケーションプログラムは、携帯端末16購入時からの標準装備アプリとして携帯端末16に予め記憶しておくようにしてもよいし、携帯端末16購入後に、ユーザからの要求に応じて専用サイト等からダウンロードできるようにしておいてもよい。
【0063】
具体的には、サーバ12(のCPU18)は、図12および図13に示すフロー図に従って履歴記録処理を実行する。なお、図12および図13のフロー図に対応するプログラムは、サーバ12のメモリ22に記憶されている。
【0064】
ここで、図11は、図2に示すメモリ22のメモリマップ100の一例を示す図解図である。図11に示すように、メモリ22は、プログラム記憶領域102およびデータ記憶領域104を含む。プログラム記憶領域102には、サーバ12を動作させるためのプログラムとして、データ通信プログラム110、位置履歴記録プログラム112、第1判定プログラム114、第2判定プログラム116、履歴記録プログラム118、ポイント算出プログラム120、およびポイント加算プログラム122などが記憶される。
【0065】
データ通信プログラム110は、携帯端末16との間でデータ通信を行うためのプログラムである。位置履歴記録プログラム112は、ユーザの位置履歴をユーザ情報DB32に記憶(記録)するためのプログラムである。このプログラムでは、データ通信プログラム110によって受信した携帯端末16の位置データを、その携帯端末16を所持するユーザに対応付けてユーザ情報DB32に時系列的に記録する。第1判定プログラム114は、ユーザが設備の有効領域内に存在するか否かを判定するためのプログラムである。
第2判定プログラム116は、ユーザが設備の有効領域内に有効時間以上存在するか否かを判定するためのプログラムである。このプログラムでは、第1判定プログラム114によってユーザが設備の有効領域内に存在すると判定されたときに、そのユーザが設備の有効領域内に有効時間以上存在するか否かを判定し、その判定結果に基づいて、ユーザが設備に対して利用行動を実行したかどうかを推定する。履歴記録プログラム118は、ユーザと設備とを関連付けた利用履歴を履歴DB36に記録するためのプログラムである。このプログラムでは、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定された場合に、そのユーザと設備とを関連付けた利用履歴を履歴DB36に記録する。ポイント算出プログラム120は、ユーザに付与するポイントを算出するためのプログラムである。ポイント加算プログラム122は、ポイント算出プログラム120によって算出されたポイントを該当するユーザの現在有するポイントに加算して、ユーザ情報DB32を更新するためのプログラムである。
【0066】
また、データ記憶領域104には、位置データバッファ130、ユーザデータバッファ132、設備データバッファ134、ポイントデータバッファ136が設けられる。位置データバッファ130は、携帯端末16から受信した位置データを一時的に記憶するためのバッファである。ユーザデータバッファ232は、ユーザ情報DB32から読み出したユーザデータを一時的に記憶するためのバッファであり、たとえばユーザの位置履歴やポイント倍率などを一時的に記憶する。設備データバッファ234は、設備情報DB34から読み出した設備データを一時的に記憶するためのバッファであり、たとえば設備の有効距離や有効時間などを一時的に記憶する。ポイントデータバッファ236は、ポイント算出プログラム218によって算出したポイント数を一時的に記憶するためのバッファである。
【0067】
さて、図12に示すように、サーバ12は履歴記録処理を開始すると、ステップS1で、終了するか否かを判断する。たとえば、利用記録システム10の管理者等から終了命令があった場合には“YES”と判断して、利用履歴記録処理を終了する。一方、ステップS1で“NO”であれば、つまり終了命令が無ければ、ステップS3に進む。
【0068】
ステップS3では、各携帯端末Ti(i=0…N)から、現在の時刻tにおける携帯端末Tiの位置データPi(t)={x,y}を取得する。具体的には、サーバ12は、各携帯端末Ti(i=0…N)が無線通信回路50およびネットワーク14を介してサーバ12に送信した、時刻tにおける携帯端末Tiの位置(つまり、携帯端末Tiを所持するユーザの現在位置)の座標を含む位置データPi(t)を、通信LANボード28および無線通信装置30を介して受信する。そして、これらの位置データPi(t)を、メモリ22の位置データバッファ130(図11)に一時的に保存する。なお、このような位置データ取得動作は、たとえば60秒に1回、実行され得る。
【0069】
そして、ステップS5では、変数iを初期化する(i=0)。なお、この変数iは、携帯端末Ti(i=0…N)をその持ち主(つまり、ユーザ)ごとに区別可能にするための変数である。
【0070】
続くステップS7において、サーバ12(のCPU18)は、一時保存した位置データPi(t)に基づいて、変数iが最大値Nを超えているか(i>N)どうかを判断する。ステップS7で“YES”の場合、すなわち全てのユーザ(携帯端末Ti)について、時刻tに設備に対して利用行動を実行したかどうかを判定しているときには、ステップS1に戻って、履歴記録処理を終了するか否かを判断する。
【0071】
一方、ステップS7で“NO”の場合には、ステップS9に進み、ステップS9で、この位置データPi(t)を、携帯端末Tiを所持するユーザに対応付けてユーザ情報DB32に時系列的に記録(記憶)する。
【0072】
次に、ステップS11で、環境内に存在する全ての設備Fj(j=0…M)の位置データP_Fj={x,y}を設備情報DB34から読み出す。そして、これらの位置データP_Fj={x,y}を、メモリ22の設備データバッファ132(図11)に一時的に保存する。
【0073】
ステップS13では、変数jを初期化する(j=0)。なお、この変数jは、設備Fj(j=0…M)を区別可能にするための変数である。
【0074】
そして、ステップS15において、変数jが最大値Mを超えているか(j>M)どうかを判断する。ステップS15で“YES”の場合、すなわち全ての設備Fjについて、ユーザが時刻tに利用行動を実行したかどうかを判定しているときには、ステップS17で、変数iをインクリメントして(i→i+1)、ステップS7に戻り、ステップS7で、変数i(i+1)が最大値Nを超えているか(i>N)どうかを繰り返し判断する。
【0075】
一方、ステップS15で“NO”の場合には、ステップS19に進み、ステップS19で、利用行動判定処理(図13参照)を開始する。そして、利用行動判定処理が終了すると、続くステップS21で、変数jをインクリメントして(j→j+1)、ステップS15に戻り、ステップS15で、変数j(j+1)が最大値Mを超えているかどうかを繰り返し判断する。
【0076】
図13は、図12に示したステップS19の、利用行動判定処理である。
【0077】
図10に示すように、サーバ12は利用行動判定処理を開始すると、ステップS23で、設備Fjの有効距離D_Fjを設備情報DB34から読み出す。
【0078】
そして、ステップS25においては、ユーザが設備Fjの有効領域内に存在するか否かを判定する。具体的には、ユーザの位置データPi(t)と設備Fjの位置データP_Fjとを参照して、ユーザと設備Fjの距離dist(Pi(t)−P_Fj)を算出するとともに、その距離dist(Pi(t)−P_Fj)が設備Fjの有効距離D_Fj以下であるか否かを判定することによって、ユーザが設備Fjの有効領域内に存在するか否かを判定する。
【0079】
ステップS25で“NO”の場合、すなわちユーザが設備Fjの有効領域内に存在しなければ、ユーザは設備Fjに対して利用行動を実行していない(つまり、設備Fjを利用していない)と推定して、利用行動判定処理を終了し、ステップS21(図12参照)にリターンして、変数jをインクリメントする(j→j+1)。
【0080】
一方、ステップS25で“YES”の場合、すなわちユーザが設備Fjの有効領域内に存在すれば、ステップS27に進み、ステップS27で、設備Fjの有効時間t_Fjを設備情報DB34から読み出す。
【0081】
そして、続くステップS29で、ユーザの過去の位置履歴をユーザ情報DB32から読み出して、ステップS31で、ユーザが設備Fjの有効領域内に有効時間以上存在するか否かを判定する。具体的には、時刻tよりも有効時間t_Fjだけ過去の時刻t−t_Fjから時刻tまでの全ての検出時刻のユーザの位置データPiをユーザ情報DB32から読み出して、各検出時刻についてユーザと設備Fjの距離dist(Pi−P_Fj)を算出するとともに、それらの距離dist(Pi−P_Fj)が全て設備Fjの有効距離D_Fj以下であるか否かを判定することによって、ユーザが設備Fjの有効領域内に有効時間t_Fj以上存在するか否かを判定する。
【0082】
ただし、上述した「スーパーマーケット出入り口1」(図8参照)のように、設備Fjの有効時間が0(秒)である場合には、このステップS29およびステップS31を省略して、ステップS33に進むことが可能である。
【0083】
ステップS31で“NO”の場合、すなわちユーザが設備Fjの有効領域内に有効時間以上存在しなければ、ユーザは設備Fjに対して利用行動を実行していない(つまり、設備Fjを利用していない)と推定して、利用行動判定処理を終了し、ステップS21(図12参照)にリターンして、変数jをインクリメントする(j→j+1)。
【0084】
一方、ステップS31で“YES”の場合、すなわちユーザが設備Fjの有効領域内に有効時間以上存在すれば、ユーザは設備Fjに対して利用行動を実行した(つまり、設備Fjを利用した)と推定して、ステップS33に進む。
【0085】
続くステップS33において、ユーザ(の名称)と設備Fjとを関連付けた利用履歴を履歴DB36に記録(記憶)する。そして、ステップS33の処理が終了すると、ステップS35で、ポイント付与処理(図14参照)を開始する。
【0086】
図14は、図13に示したステップS35の、ポイント付与処理である。
【0087】
図14に示すように、サーバ12はポイント付与処理を開始すると、ステップS37で、設備情報DB34から設備Fjの設備ポイントデータを読み出し、続くステップS39で、ユーザ情報DB32からユーザのポイント倍率データを読み出す。
【0088】
そして、ステップS41では、設備Fjの設備ポイントデータと、ユーザのポイント倍率データとに基づいて、ユーザに付与するポイントを算出する。
【0089】
続いて、ステップS43において、ステップS41で算出したポイントをユーザが現在有するポイントに加算して、ユーザ情報DB32のユーザポイント情報を更新する。そして、ステップS43の処理が終了すると、ポイント付与処理を終了して、ステップS21(図12参照)にリターンして、変数jをインクリメントする(j→j+1)。
【0090】
この実施例では、ユーザが所持する携帯端末16の位置データから得られたユーザの位置履歴と、設備ごとに予め設定された設備データとを参照することによって、設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在しているかどうかが判定され、その判定結果に基づいて、ユーザが設備に対して利用行動を実行したかどうかが推定される。よって、複数の設備を対象としたユーザの利用行動をまとめて把握することができる。
【0091】
また、たとえばインターネット上では、成果連動型の広告(たとえば、バナー広告など)が既に広く用いられているものの、実空間では、広告効果等を測定するためには、特許文献1のように、広告ごとに大掛かりな装置を導入する必要があったが、この実施例では、広告等の設備を対象としたユーザの利用行動も簡単に把握することができる。
【0092】
以上のように、この実施例によれば、様々な設備を対象としたユーザの利用行動を簡単かつまとめて把握することが可能である。したがって、様々な設備の利用状況を簡単かつまとめて把握できる。
【0093】
さらに、この実施例では、ユーザによって設備が利用されると、それに応じてユーザにポイントが付与される。このように、設備の利用に応じてユーザにポイントを付与するようにしたことで、ユーザはポイントの獲得という形で利益を享受することができる。そして、この結果として設備の利用が促進されるので、設備提供者も利益を享受することができる。つまり、ユーザおよび設備提供者の各々に利益をもたらすことができるようになる。
【0094】
さらにまた、ユーザから任意で取得した個人情報の内容に応じてポイント倍率を設定するようにしたため、ユーザに対して個人情報の提供の動機付けをすることができるようになる。つまり、ユーザに自身の個人情報を提供することを促進させることができる。これによって、設備提供者も有益なマーケティング情報を得ることができるので、設備提供者がユーザに対してより効果的に設備を提供することができるようになる。
【0095】
なお、上述の実施例では、携帯端末16のGPS回路46を用いて受信したGPSデータから携帯端末16の現在位置の座標を取得したが、これに限定される必要はない。
【0096】
たとえば、携帯端末16のGPS回路46に代えて、またはGPS回路46に加えて局所的に、LRF等の環境センサを利用してユーザの位置を検出するようにしてもよい。なお、LRFを用いた位置検出については、本願発明者らが先に出願した特開2009−168578号公報に詳細が開示されているので、参照されたい。
【0097】
このように、LRF等の環境センサを利用してユーザの位置を検出する場合には、位置計算サーバ(図示せず)が、各LRFからの距離データに基づいて、環境内におけるユーザの位置および移動方向を計算する。そして、この計算結果を示す位置データは、携帯端末16を所持する人物が利用記録システム10のユーザである場合に、Bluetooth(登録商標)形式、ZigBee(登録商標)形式、Wi-Fi(登録商標)形式などの近距離無線通信によって、携帯端末16に送信される。そして、携帯端末16が受信した位置データが、無線通信回路50およびネットワーク14を介してサーバ12に送信される。
【0098】
ただし、LRFに代えて、赤外線距離センサや、超音波距離センサおよびミリ波レーダなどを適宜用いて、ユーザの位置を検出するようにしてもよい。また、ユーザに無線タグ(RFIDタグ)を装着させ、環境内には無線IDタグリーダを設置することによって、ユーザの位置を検出するようにしてもよい。
【0099】
また、上述の実施例では、時刻tよりも有効時間t_Fjだけ過去の時刻t−t_Fjから時刻tまでの全ての検出時刻のユーザの位置データをユーザ情報DB32から読み出して、各検出時刻についてユーザと設備の距離を算出するとともに、それらの距離が全て設備の有効距離以下であるか否かを判定したが、これに限定される必要はない。
【0100】
必ずしも時刻t−t_Fjから時刻tまでの全ての検出時刻におけるユーザと設備との距離が有効距離以下であるか否かを判定する必要はなく、有効時間t_Fjの長さに応じて、時刻t−t_Fjから時刻tまでの全ての検出時刻の位置データの中から所定の条件で抽出した1または複数の位置データに関してのみ、ユーザと設備との距離が有効距離以下であるか否かを判定することにより、設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0101】
また、時刻t−t_Fjにおけるユーザの位置データに関してのみ、ユーザと設備の距離を算出し、その距離が設備の有効距離以下であるか否かを判定することにより、ユーザが設備の有効領域内に有効時間以上存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0102】
さらにまた、上述したように、設備の有効時間が0である場合には、設備の有効領域内にユーザが有効時間以上存在するか否かを判定する動作を省略することができたが、有効時間が0でなくても、有効時間が極めて短い場合には、ユーザが設備の有効領域内に存在するか否かを判定することのみによって、ユーザが設備に対して利用行動を実行したかどうかを推定するようにしてもよい。
【0103】
さらに、上述の実施例では、ユーザ(の名称)と設備とを関連付けた利用履歴を履歴DB36に記録した後すぐに、ユーザにポイントを付与したが、このようなポイント付与処理は、たとえば月末などの月に一度まとめて実行するようにしてもよいし、1日に一度まとめて実行するようにしてもよい。要は、ユーザが設備に対して利用行動を実行したと推定された後であれば、そのタイミングは特に限定されるものではない。
【0104】
なお、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 …利用記録システム
12 …サーバ(利用記録装置)
14 …ネットワーク
16 …携帯端末
18 …CPU
20 …バス
22 …メモリ
32 …ユーザ情報DB
34 …設備情報DB
36 …履歴DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、ネットワークを介して前記サーバと通信可能な携帯端末とを備え、前記携帯端末を所持するユーザが任意に行動する環境内に設置された1または複数の設備の利用状況を記録する利用記録システムであって、
前記携帯端末の現在位置を所定時間ごとに検出して、検出時刻に関連付けた前記携帯端末の位置データを取得する端末位置検出手段、
前記端末位置検出手段によって取得された前記携帯端末の位置データに基づいて、前記携帯端末を所持する前記ユーザの位置履歴を記録するユーザ位置記録手段、
前記ユーザから任意で取得した個人情報を含むユーザデータをユーザに対応付けて記憶するユーザデータ記憶手段、
各設備の位置データと、設備ごとに設定された所定の有効領域を示す距離データとを含む設備データを設備に対応付けて記憶する設備データ記憶手段、
前記ユーザ位置記録手段に記録された前記ユーザの位置履歴と、前記設備データ記憶手段に記憶された各設備の設備データとに基づいて、設備の有効領域内に前記ユーザが存在するか否かを判定する第1判定手段、および
前記第1判定手段によって設備の有効領域内に前記ユーザが存在すると判定されたとき、その設備と前記ユーザとを関連付けて利用履歴を記録する履歴記録手段を備える、利用記録システム。
【請求項2】
前記設備データは、設備ごとに設定された所定の有効時間を示す時間データをさらに含み、
前記第1判定手段によって設備の有効領域内に前記ユーザが存在すると判定されたとき、その設備の有効領域内に前記ユーザが有効時間以上存在するか否かを判定する第2判定手段をさらに備え、
前記履歴記録手段は、前記第2判定手段によって設備の有効領域内に前記ユーザが有効時間以上存在すると判定されたとき、その設備と前記ユーザとを関連付けて利用履歴を記録する、請求項1記載の利用記録システム。
【請求項3】
前記ユーザデータは、前記ユーザが現在有するポイント数を示すユーザポイントデータをさらに含み、
前記設備データは、設備ごとに設定された所定のポイント数を示す設備ポイントデータをさらに含み、
前記履歴記録手段によって履歴が記録された後、前記設備データ記憶手段に記憶された設備ポイントデータに基づいて、前記ユーザに付与するポイント数を算出するポイント算出手段、および
前記ポイント算出手段によって算出されたポイント数を前記ユーザが現在有するポイントに加算して、前記ユーザデータ記憶手段に記憶されたユーザポイントデータを更新するポイント加算手段をさらに備える、請求項1または2記載の利用記録システム。
【請求項4】
前記ユーザデータは、前記ユーザから任意で取得した個人情報の内容に応じて設定されるポイント倍率を示すポイント倍率データをさらに含み、
前記ポイント算出手段は、前記設備データ記憶手段に記憶された設備ポイントデータと、前記ユーザデータ記憶手段に記憶されたポイント倍率データとに基づいて、前記ユーザに対して付与するポイント数を算出する、請求項3記載の利用記録システム。
【請求項5】
前記設備は、前記環境内を移動する移動体を含み、
前記移動体の現在位置を所定時間ごとに検出し、検出時刻に関連付けた前記移動体の位置データを取得する移動体位置検出手段、および
前記移動体位置検出手段によって取得された前記移動体の位置データを前記設備データ記憶手段に記録する移動体位置記録手段をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の利用記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−141874(P2012−141874A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−488(P2011−488)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)JST戦略的創造研究推進事業/チーム型研究(CREST)、研究領域「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」、研究課題名「ロボットによる街角の情報環境の構築」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)