説明

制御パラメータ設定装置

【課題】FAシステムや製造ラインなどの制御装置において、制約条件を満たした制御パラメータのパラメータ値の設定が容易な制御パラメータ設定装置を提供する。
【解決手段】複数の制御パラメータのパラメータ値を設定するパラメータ値設定部6と、パラメータ値設定部6を介して、複数の制御パラメータのうち、何れかが変更された場合に、互いに関連する制御パラメータ間で満たすべき制約条件を満たさない制御パラメータが少なくなるように個々のパラメータ値を確率的に変更することで、最終的に全ての制約条件を満たすパラメータ値の組を求める確率的制約充足解法を実行する確率的制約充足エンジン部5とを備え、確率的制約充足エンジン部5は、変更された制御パラメータに関連する他の制御パラメータのパラメータ値を変更する際には、所定の評価関数の評価値を増加させるように変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FA(factory automation)システムや製造ラインを制御する制御装置のエンジニアリングツールに関し、特に制御機器の中の制御パラメータ設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御パラメータ設定装置の一例として特許文献1が挙げられる。特許文献1では、制御装置内の指定した制御パラメータを表示装置に表示し、入力装置からパラメータを修正するようにした制御装置の保守ツールにおいて、特許文献1の図1に示すように、複数の回路を関連付けるための関連タグ設定部と、関連付けた回路のパラメータに対して制約条件を設定するための条件式設定部と、関連タグが設定されたパラメータを修正する時に、条件式を参照して関連タグが付いた全てのパラメータを同時に修正するための条件式判定・修正部とを備えている。
【0003】
また、制御装置内の指定した制御パラメータを表示装置に表示し、入力装置からパラメータを修正するようにした制御装置の保守ツールによるパラメータの設定方法では、例えば特許文献1の図6に示すように、保守ツールでパラメータを修正する時に、複数の回路を関連付けるための関連タグが設定されたパラメータであるかを判定し、関連タグ有りの時は他の関連タグ付きパラメータとの間に設定された論理条件式を参照して修正パラメータの適否を判定し、不適判定の時は他の関連タグ付きパラメータを表示して修正することで、パラメータを設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−125624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された制御パラメータ設定装置は、ある制御パラメータを変更した際に、その制御パラメータと関係がある他のパラメータが所定の条件を満たさない場合、それらパラメータを示すだけであった。すなわち、特許文献1に開示された制御パラメータ設定装置は、プラントの制御を対象としており、プラントの運転は、そのプラントの制御方法について教育を受けた運転員が操作することを前提としているために、条件を満たさないパラメータが何であるかを示すだけでよかった。
【0006】
一方、FAシステムや製造ラインにおいては、複数個のFAコントローラ、ネットワーク、I/Oユニットを組合せて制御装置を構成する。個々のユニットは個別に販売されたものを利用者が購入し、これらを組合せて制御装置を構成する。従って、ユニットを組合せて実現する機能や、ユニット間の制約は各ユニットのマニュアルにしか記述されておらず、制約条件を満たさない制御パラメータを示されただけでは、ユニットの制約条件を満たした制御パラメータのパラメータ値を利用者が指定することは困難であるという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、FAシステムや製造ラインなどの制御装置において、制約条件を満たした制御パラメータのパラメータ値の設定が容易な制御パラメータ設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る制御パラメータ設定装置の態様は、システムを制御する制御装置の複数の制御パラメータを設定する制御パラメータ設定装置であって、前記複数の制御パラメータのパラメータ値を設定するパラメータ値設定部と、前記パラメータ値設定部を介して、前記複数の制御パラメータのうち、何れかが変更された場合に、互いに関連する制御パラメータ間で満たすべき制約条件を満たさない制御パラメータが少なくなるように個々のパラメータ値を確率的に変更することで、最終的に全ての制約条件を満たすパラメータ値の組を求める確率的制約充足解法を実行する確率的制約充足エンジン部とを備え、前記確率的制約充足エンジン部は、変更された制御パラメータに関連する他の制御パラメータのパラメータ値を変更する際には、所定の評価関数の評価値を増加させるように変更する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る制御パラメータ設定装置の態様によれば、パラメータ値設定部を介して、複数の制御パラメータのうち、何れかが変更された場合に、制約条件を満たし、かつ評価関数の評価値の高い他の制御パラメータのパラメータ値を提示することができるので、制約条件を満たした制御パラメータのパラメータ値の設定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る制御パラメータ制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る制御パラメータ設定装置をコンピュータシステムにより実現する場合のコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】制御パラメータの設定動作を示すフローチャートである。
【図4】用途別メモリの使用状況を示すメモリマップの初期状態の例を示す図である。
【図5】本発明に係る制御パラメータ制御装置を用いて容量の変更を行った用途別メモリのメモリマップを示す図である。
【図6】本発明に係る制御パラメータ制御装置を用いて容量の変更を行った用途別メモリのメモリマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
図1は本発明に係る実施の形態1の制御パラメータ設定装置1のシステム構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示す制御パラメータ設定装置1においては、パラメータデータ格納部2、パラメータ制約条件格納部3、パラメータ値評価関数格納部4、確率的制約充足エンジン5、パラメータ値設定部6、制約条件式設定部7およびパラメータ値評価関数設定部8を有して構成されている。
【0013】
パラメータ値設定部6は、パラメータ種別とパラメータ値を設定する機能を有し、パラメータデータ格納部2は、パラメータ設定部6で設定されたパラメータ種別とパラメータ値との組を保管する機能を有している。
【0014】
制約条件式設定部7は、パラメータ設定部6で設定したパラメータ間で満たすべき制約条件を制約条件式として設定する機能を有し、パラメータ制約条件格納部3は、制約条件設定部7で設定された制約条件式を保管する機能を有している。
【0015】
パラメータ値評価関数設定部8は、制約条件設定部7で設定された各制約条件式を満たすパラメータ値の組の評価関数を設定する機能を有し、パラメータ値評価関数格納部4は、パラメータ値評価関数設定部8で設定された、パラメータ値の組に対する評価関数を保管する機能を有している。
【0016】
なお、パラメータ値設定部6、制約条件式設定部7およびパラメータ値評価関数設定部8は、外部の入出力端末10を介して利用者がアクセス可能なように構成されている。
【0017】
確率的制約充足エンジン5は、確率的制約充足解法に基づき、全ての制約条件を満たすように、パラメータ値の組を求める機能を有している。ここで、確率的制約充足解法とは、任意のパラメータ値の組から、制約条件を満たさないパラメータを少なくするように個々のパラメータ値を確率的に変えることで、最終的には全ての制約条件を満たすパラメータ値の組を求める方法であり、パラメータ値を変更する際には、所定の評価関数の評価値を増加させるように変更する。
【0018】
なお、確率的制約充足解法については種々の方法が知られているが、例えば、狩野均、「制約充足問題の近似解法」、人工知能学会誌,Vol.12,No.32,pp359-365(1997)で開示される「山登り法を用いた解法」を適用することができる。
【0019】
図2は、図1に示した制御パラメータ設定装置1をコンピュータシステムにより実現する場合のコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すコンピュータシステムは、中央処理装置12と、メモリ等の主記憶装置13と、ハードディスク等の外部記憶装置14とを有するコンピュータ11と、マウスやキーボード等の入力装置15と、ディスプレイ等の表示装置16とで、その主要部が構成されている。
【0021】
制御パラメータ設定装置1(図1)の、パラメータデータ格納部2、パラメータ制約条件格納部3、パラメータ値評価関数格納部4および確率的制約充足エンジン5は、外部記憶装置4で実現される。パラメータ値設定部6、制約条件式設定部7およびパラメータ値評価関数設定部8は、外部記憶装置14に記憶されたソフトウェアプログラムを主記憶装置13に読み出して、中央処理装置12により実行することにより実現される。また、入出力端末10は、入力装置15と表示装置16とで、その主要部が構成されている。
【0022】
次に、図1に示した制御パラメータ設定装置1を用いた制御パラメータの設定動作について、図3に示すフローチャートを用いて、図4および図5を参照しつつ説明する。なお、以下ではFAシステムの制御装置(FAコントローラ)のエンジニアリングツールとして制御パラメータ設定装置1を使用する例について説明する。
【0023】
図4はFAコントローラ内の用途別メモリの使用状況を示すメモリマップの初期状態の一例である。図4に示す用途別メモリは、メモリ領域31が、用途ごとにbit型内部メモリ領域32、word型内部メモリ領域33、bit型通信用メモリ領域34およびword型通信用メモリ領域35に分けられており、各々の領域でのメモリ容量を制御パラメータとする。なお、メモリ領域31の全容量は400byteであり、bit型内部メモリ領域32、word型内部メモリ領域33、bit型通信用メモリ領域34およびword型通信用メモリ領域35は均等に100byteずつに分けられているものとする。
【0024】
上記において、bit型内部メモリとはデータをビット単位で記憶するメモリであり、word型内部メモリとは、データをワード単位で記憶するメモリであり、bit型通信用メモリとはビット単位での通信を行うために使用するメモリであり、word型通信用メモリとはワード単位の通信を行うために使用するメモリである。
【0025】
ここで、制約条件式の一例として以下の数式(1)を示す。
【0026】
Vbit内部+Vword内部+Vbit通信+Vword通信<400・・・(1)
上記数式(1)において、「Vbit内部」はbit型内部メモリ領域32の容量を示す制御パラメータ、「Vword内部」はword型内部メモリ領域33の容量を示す制御パラメータ、「Vbit通信」はbit型通信用メモリ34の容量を示す制御パラメータ、「Vword通信」はword型通信用メモリ35の容量を示す制御パラメータである。
【0027】
また評価関数として以下の数式(2)を示す。
【0028】
Σζ(oldPinewPi)2・・・(2)
上記数式(2)において、関数ζは以下のように定義される。
【0029】
ζ(x,y)=1(x=y)、ζ(x,y)=0(x≠y)
また、上記数式(2)において、「newPi」は確率的制約充足エンジン5が変更した制御パラメータのパラメータ値であり、「oldPi」は確率的制約充足エンジン5により変更された制御パラメータの、利用者がパラメータ値を変える前のパラメータ値である。
【0030】
図3のフローチャートに示すように、制御パラメータ設定装置1での制御パラメータ(以下、単にパラメータと呼称する場合あり)の設定を開始し、利用者が入出力端末10(図1)を介してパラメータ値設定部6を用いて1つのパラメータのパラメータ値を変更する(ステップS1)。ここではbit型内部メモリ領域32の容量を該当パラメータとし、その値を100byteから110byteに変更するものとする。このパラメータ値の変更は、パラメータ値設定部6からパラメータデータ格納部2および確率的制約充足エンジン5に通知される。
【0031】
また、パラメータ設定部6で変更したパラメータ値の情報は制約条件式設定部7に与えられ、制約条件式設定部7では、パラメータ値が変更されたパラメータを含む制約条件式を制約条件式格納部3から抽出する(ステップS2)。ここでは、bit型内部メモリ領域32の容量を示すパラメータ「Vbit内部」を含む制約条件式として、制約条件式格納部3に格納されている数式(1)を抽出する。抽出された数式(1)は、確率的制約充足エンジン5に与えられる。
【0032】
また、パラメータ設定部6で変更したパラメータ値の情報はパラメータ値評価関数設定部8に与えられ、パラメータ値評価関数設定部8では、パラメータ値が変更されたパラメータを含む評価関数をパラメータ値評価関数格納部4から抽出する(ステップS3)。ここでは、bit型内部メモリ領域42の容量を示すパラメータ「Vbit内部」を含む評価関数として、パラメータ値評価関数格納部4に格納されている数式(2)を抽出する。抽出された数式(2)は、確率的制約充足エンジン5に与えられる。
【0033】
確率的制約充足エンジン5では、利用者が変更したパラメータ以外のパラメータ(他のパラメータ)を1つ確率的に選び、そのパラメータ値を、制約条件式を満たすと共に、評価値を増加させる方向に変化させる(ステップS4)。
【0034】
ここで、数式(2)で表される評価関数は、oldPi(すなわちx)と、newPi(すなわちy)とで値が変わらなかった(すなわちx=yとなる)パラメータの数が多いほど、評価値が大きな値となり、一方、値が変わった(すなわちx≠yとなる)パラメータの数が多いほど、評価値は小さな値となる。
【0035】
確率的制約充足エンジン5が確率的に選んだパラメータがword型内部メモリ領域33である場合、利用者がbit型内部メモリ領域32のパラメータ値、すなわち容量を変える前の、word型内部メモリ領域33の容量は100byteであり、確率的制約充足エンジン5はこの容量(100byte)を増やす、あるいは減らす方向に確率的に変化させる。本例では容量を増やすと数式(1)の制約条件式を満たさなくなるので容量を減らす方向に確率的に変化させる。
【0036】
ここで、word型内部メモリ領域33だけでなく、word型内部メモリ領域33以外のメモリ領域の容量も減らすことで 数式(1)の制約条件式を満たすことができるが、数式(2)で表される評価関数は、値が変わったパラメータの数が多いほど、評価値が小さくなるので、確率的制約充足エンジン5は、値が変わる他のパラメータの数を極力少なくするように処理を進める。従って、word型内部メモリ領域33の容量を減少させるだけで、bit型内部メモリ領域32の容量の変更に対応できるのであれば、他のメモリ領域(他のパラメータ)の容量は変更されないこととなる。
【0037】
ステップS4の処理は、ステップS2で抽出された制約条件式が複数ある場合には、全ての制約条件式に対して実行されるまで繰り返され(ステップS5)、全ての制約条件式に対して実行された後は、制御パラメータの設定処理を終了する。
【0038】
図3に示した処理を経ることで、図4に示した用途別メモリのメモリ領域31の各メモリ領域の容量は、図5に示すように変更される。
【0039】
すなわち、bit型内部メモリ領域32は、100byteから110byteに容量が増えてbit型内部メモリ領域42となり、word型内部メモリ領域33は100byteから90byteに容量が減ってword型内部メモリ領域43となる。なお、bit型通信用メモリ領域34およびword型通信用メモリ領域35は容量に変化はない。
【0040】
このように、図3のステップS4における制約充足の結果、1つのメモリ領域の容量のみが小さくなった状態が解として出力される。すなわち、数式(1)で示す制約条件式によれば、全体のメモリ容量が400byteに決まっているので、利用者がbit型内部メモリ領域32の容量を増加させると、他のメモリ領域の容量を変更しなければならないが、制御パラメータ設定装置1(図1)において、パラメータ値評価関数格納部4で設定する評価関数として数式(2)の評価関数を設定することにより、パラメータ値が変わるのはbit型内部メモリ領域32の他はword型内部メモリ領域33のみとなり、あるパラメータのパラメータ値の変更により、値が変わる他のパラメータの数を極力少なくすることができる。
【0041】
<実施の形態2>
本発明に係る実施の形態2の制御パラメータ設定装置においては、評価関数として以下の数式(3)を用いるものとし、システム構成は図1に示した制御パラメータ設定装置1と同じである。また、制御パラメータの設定動作は図3と同じである。
【0042】
−Σ(oldPinewPi)2・・・(3)
上記数式(3)において、上記数式(3)において、「newPi」は確率的制約充足エンジン5が変更した制御パラメータのパラメータ値であり、「oldPi」は確率的制約充足エンジン5により変更された制御パラメータの、利用者がパラメータ値を変える前のパラメータ値である。
【0043】
数式(3)で表される評価関数は、あるパラメータのパラメータ値の変更に伴う、他のパラメータの変更量が小さいほど、大きな評価値が得られる関数であり、パラメータ値を変化させるパラメータを確率的に1つ選び、その値を確率的に変化させると、各パラメータでほぼ均等にパラメータ値が減る方向に確率的に変化することとなる。
【0044】
すなわち、確率的制約充足エンジン5が確率的に選んだパラメータがword型内部メモリ領域33である場合、利用者がbit型内部メモリ領域32のパラメータ値、すなわち容量を変える前の、word型内部メモリ領域33の容量は100byteであり、確率的制約充足エンジン5はこの容量(100byte)を増やす、あるいは減らす方向に確率的に変化させる。本例では容量を増やすと数式(1)の制約条件式を満たさなくなるので容量を減らす方向に確率的に変化させる。
【0045】
ここで、word型内部メモリ領域33の容量を減少させるだけで、bit型内部メモリ領域32の容量の変更に対応できるとしても、数式(3)で表される評価関数は、他のパラメータの変更量が小さいほど、大きな評価値が得られる関数なので、確率的制約充足エンジン5は、word型内部メモリ領域33以外のメモリ領域の容量も均等に減らすように処理を進める。従って、word型内部メモリ領域33だけでなく他のメモリ領域の容量も変更されることとなる。
【0046】
このような評価関数をステップS4(図3)の処理で用いることで、図4に示した用途別メモリのメモリ領域31の各メモリ領域の容量は、図6に示すように変更される。
【0047】
すなわち、bit型内部メモリ領域32は、100byteから110byteに容量が増えてbit型内部メモリ領域52となり、word型内部メモリ領域33は、100byteから97byteに容量が減ってword型内部メモリ領域53となり、bit型通信用メモリ領域34は、100byteから96byteに容量が減ってbit型通信用メモリ領域54となり、word型通信用メモリ領域35は、100byteから97byteに容量が減ってword型通信用メモリ領域55となる。
【0048】
このように、数式(3)で表される評価関数を用いたステップS4(図3)における制約充足の結果、bit型内部メモリ領域の容量を100byteから110byteに変更した場合、他のメモリ領域の各々の容量が、ほぼ等しく減るような状態が解として出力される。
【0049】
すなわち、数式(1)で示す制約条件式によれば、全体のメモリ容量が400byteに決まっているので、利用者がbit型内部メモリ領域32の容量を増加させると、他のメモリ領域の容量を変更しなければならないが、制御パラメータ設定装置1(図1)において、パラメータ値評価関数格納部4で設定する評価関数として数式(3)の評価関数を設定することにより、あるパラメータのパラメータ値の変更により、パラメータ値が変わる他パラメータのパラメータ値の変化量の絶対値をほぼ均等に変化させることができる。
【0050】
<変形例>
以上説明した実施の形態1および2においては、用途別メモリのメモリ領域を制御パラメータとし、その容量をパラメータ値として説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【0051】
例えば、あるシステムを構成するユニットの種類を制御パラメータとし、各ユニットの電源容量をパラメータ値として、あるシステムの電源ユニットの容量を制約条件とする場合や、CPUユニットに搭載されるプログラムの種類を制御パラメータとし、各プログラムの大きさ(バイト数)をパラメータ値とし、CPUユニットのメモリ容量を制約条件とする場合等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 制御パラメータ設定装置、2 パラメータデータ格納部、3 制約条件式格納部、4 制約条件式評価関数格納部、5 確率的制約条件充足エンジン、6 パラメータ設定部、7 制約条件式設定部、8 制約条件式評価関数設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムを制御する制御装置の複数の制御パラメータを設定する制御パラメータ設定装置であって、
前記複数の制御パラメータのパラメータ値を設定するパラメータ値設定部と、
前記パラメータ値設定部を介して、前記複数の制御パラメータのうち、何れかが変更された場合に、互いに関連する制御パラメータ間で満たすべき制約条件を満たさない制御パラメータが少なくなるように個々のパラメータ値を確率的に変更することで、最終的に全ての制約条件を満たすパラメータ値の組を求める確率的制約充足解法を実行する確率的制約充足エンジン部と、を備え、
前記確率的制約充足エンジン部は、
変更された制御パラメータに関連する他の制御パラメータのパラメータ値を変更する際には、所定の評価関数の評価値を増加させるように変更することを特徴とする、制御パラメータ設定装置。
【請求項2】
前記確率的制約充足エンジン部は、
前記所定の評価関数として、以下の数式(2)を使用し、
Σζ(oldPinewPi)2・・・(2)
前記数式(2)において、関数ζは、
ζ(x,y)=1(x=y)、ζ(x,y)=0(x≠y)と定義され、
前記数式(2)において、
前記newPiは、前記確率的制約充足エンジンが変更した前記他の制御パラメータのパラメータ値であり、
前記oldPiは、前記確率的制約充足エンジンが変更した前記他の制御パラメータの変更前のパラメータ値である、請求項1記載の制御パラメータ設定装置。
【請求項3】
前記確率的制約充足エンジン部は、
前記所定の評価関数として、以下の数式(3)を使用し、
−Σ(oldPinewPi)2・・・(3)
前記数式(3)において、
前記newPiは、前記確率的制約充足エンジンが変更した前記他の制御パラメータのパラメータ値であり、
前記oldPiは、前記確率的制約充足エンジンが変更した前記他の制御パラメータの変更前のパラメータ値である、請求項1記載の制御パラメータ設定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−221450(P2012−221450A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89919(P2011−89919)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】