説明

制御装置及びその制御方法

【課題】バッテリ上りになった場合と盗難のためにバッテリが外された場合との判別ができ、バッテリ上りの場合には警報を発生させない。
【解決手段】
セキュリティの状態を記憶する、不揮発性メモリからなる記憶部と、セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態にある場合に、車両に設けられた開閉部が開放状態にあることを示す信号が検出された場合、車両に設けられた警報出力部から警報を発生させる警報発生処理と、開放状態にあることを示す信号が検出されなかった後、車両に設けられたバッテリの電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合、記憶部に記憶されたバッテリ電圧が基準値以下になる前のセキュリティの状態を判断し、セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態である場合は、警報出力部から警報を発生させない警報非発生処理と、を実行する制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両盗難や車上荒らしを防止するための盗難防止装置が種々提案されている。盗難防止装置には、例えば、セキュリティ機能作動状態にあるときに、ドア、ボンネット、トランク、バッテリ電圧、侵入センサ、振動センサ、傾斜センサ等の状態をモニタし、状態が変化して異常を検知した場合に、サイレンを鳴らしたり、ハザードランプを点滅させたりして警報を発生させるものがある。
【0003】
例えば、セキュリティ機能作動中に、バッテリが外される等して、バッテリ電圧が基準値を下回り、その後バッテリが再接続されて、バッテリ電圧が基準値を上回った場合、盗難防止装置は、泥棒が車両盗難のためにバッテリを外したと認識して、警報を発生させる。これにより、車両盗難が行われていることを周囲に知らせることができ、被害を最小限に抑えることが可能となる。
【0004】
例えば、特許文献1には、バッテリ電圧が基準値以下になる前のセキュリティの状態を記憶しておき、バッテリ電圧が基準値を上回った際、記憶しておいたセキュリティの状態を読み出して、セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態であれば警報を発し、セキュリティ機能非作動状態であれば警報を発生させないこととする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−79911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、盗難防止装置をセキュリティ機能作動状態にしたまま、車両を長期間放置すると、バッテリ電圧が徐々に低下していき、最終的に、バッテリ上りとなる。この場合、ユーザーはバッテリの充電を行うが、特許文献1の方法では、充電によりバッテリ電圧が基準値を上回ると、バッテリ上り前のセキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態であるため、泥棒が車両盗難のためにバッテリを外したと認識して、警報が発せられてしまう。つまり、特許文献1の方法では、車両の長期間放置によりバッテリ上りになった場合と盗難のためにバッテリが外された場合とを判別することができない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、バッテリ上りになった場合と盗難のためにバッテリが外された場合との判別ができ、バッテリ上りの場合には警報を発生させない制御装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の制御装置は、セキュリティの状態を記憶する、不揮発性メモリからなる記憶部と、前記セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態にある場合に、車両に設けられた開閉部が開放状態にあることを示す信号が検出された場合、前記車両に設けられた警報出力部から警報を発生させる警報発生処理と、前記開放状態にあることを示す信号が検出されなかった後、前記車両に設けられたバッテリの電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合、前記記憶部に記憶された前記バッテリ電圧が基準値以下になる前の前記セキュリティの状態を判断し、前記セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態である場合は、前記警報出力部から警報を発生させない警報非発生処理と、を実行する制御部と、を有する構成を採用している。この構成によれば、バッテリ上りになった場合と車両盗難のためにバッテリが外された場合との判別を行うことができ、バッテリ上りの場合には、警報を発生させないようにすることができる。
【0008】
上記構成において、前記制御部は、前記警報非発生処理を実行した後、前記開閉部が閉鎖状態にあることを示す信号を検出した場合、前記セキュリティの状態をセキュリティ機能作動状態に設定するセキュリティ機能設定処理を更に実行する構成を採用できる。この構成によれば、自動的にセキュリティ機能作動状態に戻るため、安全性の向上を図れる。
【0009】
上記構成において、前記制御部は、前記セキュリティの状態が、前記警報を発生させる警報状態にある場合に、前記バッテリの電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合、前記記憶部に記憶された前記バッテリ電圧が基準値以下になる前の前記セキュリティの状態を判断し、前記セキュリティの状態が前記警報状態である場合は、前記警報出力部から警報を発生させる前記警報発生処理を実行する構成を採用することができる。この構成によれば、車両盗難のためにバッテリが外され、再接続された場合に、警報を発生させることができる。
【0010】
上記構成において、前記基準値は、前記制御部が動作することが可能な最低電圧値である構成を採用することができる。
【0011】
本発明の制御装置の制御方法は、セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態にある場合に、車両に設けられた開閉部が開放状態にあることを示す信号が検出された場合、前記車両に設けられた警報出力部から警報を発生させるステップと、前記開閉部が開放状態にあることを示す信号が検出されなかった後、前記車両に設けられたバッテリの電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合、前記セキュリティの状態を記憶する不揮発性メモリからなる記憶部に記憶された前記バッテリ電圧が基準値以下になる前の前記セキュリティの状態を判断し、前記セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態である場合は、前記警報出力部から警報を発生させないステップと、を備える構成を採用している。この構成によれば、バッテリ上りになった場合と車両盗難のためにバッテリが外された場合との判別を行うことができ、バッテリ上りの場合には、警報を発生させないようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、セキュリティ機能作動中にバッテリ上りになった場合と車両盗難のためにバッテリが外された場合との判別を行うことができ、バッテリ上りの場合には、警報を発生させないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用い本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る制御装置を含む盗難防止システムを示すブロック図である。図1を参照に、制御装置10には、ドアカーテシスイッチ12、ボンネットカーテシスイッチ14、トランクカーテシスイッチ16、侵入センサ18、振動センサ19、及び傾斜センサ20のスイッチやセンサの出力信号が入力される。
【0015】
ドアカーテシスイッチ12は、車両の運転席ドア、助手席ドア、及び後部座席ドアの開閉状態を検出し、ボンネットカーテシスイッチ14は、ボンネットの開閉状態を検出し、トランクカーテシスイッチ16は、トランクの開閉状態を検出する周知のスイッチであり、各カーテシスイッチからの信号が制御装置10に入力される。例えば、ボンネットを開けたとき、ボンネットカーテシスイッチ14から制御装置10へ、ボンネットが開放状態にあることを示す信号が入力される。
【0016】
侵入センサ18は、例えば車室内に超音波等をめぐらせておき、何者かが車室内に侵入したことを検出するセンサである。振動センサ19は、車両の振動を検出するセンサである。傾斜センサ20は、例えばジャイロセンサ等を利用したものであり、車両の角度・加速度等を検出するセンサである。侵入センサ18、振動センサ19、及び傾斜センサ20の検出信号は、制御装置10に出力される。例えば、車両をレッカー移動させるべく、車両の一端を引き上げる等して、車両を傾けた場合、傾斜センサ20から制御装置10へ、車両が傾いていることを示す信号が入力される。
【0017】
制御装置10は、制御部22、記憶部24、及びバッテリ電圧モニタ26から構成される。制御部22は、制御プログラムや後述するIDコード、バッテリ電圧の基準値などを記憶するROM(Read Only Memory)30と、実行する後述のセキュリティ動作モードなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)32と、各制御を実行するCPU(Central Processing Unit)34と、入出力部36と、から構成される。記憶部24は、不揮発性メモリのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などからなり、セキュリティの状態(動作モード)を記憶する。制御装置10は、バッテリ28から、例えば12Vの電圧が供給されることで動作しており、バッテリ電圧モニタ26は、バッテリ28から供給される電圧の大きさを測定する。
【0018】
制御部22は、非警戒モード、警戒モード、威嚇モード、警報モード、及びバッテリ上りモードのいずれかのセキュリティ動作モードを実行する。そして、制御部22は、少なくとも非警戒モード、警戒モード、及び警報モードのいずれかを実行するときは、その実行モードを記憶部24に記憶する。
【0019】
非警戒モードとは、セキュリティをセットしていない状態、つまり、セキュリティ機能が作動していない状態をいう。非警戒モードは、制御装置10が盗難防止用送信機(不図示)からのセキュリティアンセットの信号を受信することで設定される。なお、キーをキーシリンダーに挿入した場合やイグニッションをオンにした場合なども、非警戒モードにすることができる。
【0020】
警戒モードとは、セキュリティをセットした状態、つまり、セキュリティ機能を作動させている状態をいう。警戒モードは、ドア、ボンネット、及びトランクなどの開閉部が閉鎖状態で、且つ侵入センサ、振動センサ及び傾斜センサから送信される検出信号が第1閾値(侵入判定閾値)より低い状態で、制御装置10が盗難防止用送信機からセキュリティセットの信号を受信することで設定される。
【0021】
威嚇モードとは、侵入センサ、振動センサ及び傾斜センサから常時送信されている検出信号が第1閾値を超えた状態をいう。検出信号が第1閾値を超えると、各センサは、スリープ状態からウェイクアップ状態に移行する。スリープ状態とは、各センサと制御部22との信号の送受信周期が長い状態(間欠的状態)をいい、ウェイクアップ状態とは、送受信周期が短い状態をいう。なお、この威嚇モードは、侵入センサ、振動センサ及び傾斜センサからの検出信号に対してのみ取り得るモードである。
【0022】
警報モードとは、警戒モード中に、侵入センサ、振動センサ及び傾斜センサから送信される検出信号が、第1閾値を超えた状態が所定時間継続する場合、第1閾値よりも高い第2閾値を超えた場合、又は、ドア、ボンネット、及びトランクのカーテシスイッチがONになった場合に、所定時間、警報を発生させる状態をいう。なお、警報は、サイレン38及びホーン40から音として発する警報並びにハザード42、ヘッドランプ44、及びテールランプ46から光として発する警報のいずれか又は複数組み合わせることで行う。
【0023】
バッテリ上りモードとは、ドアなどの開閉部の開閉状態の検出は行っているが、開閉部が開放状態であっても警報モードに移行させずに、警報を発生させない状態をいう。バッテリ上りモードは、警戒モード中に、バッテリ電圧が基準値以下となって制御装置10がダウン状態になった後、バッテリ電圧が基準値以上に上昇して制御装置10が動作状態になった場合に設定される。
【0024】
図2に、制御部22においてCPU34などのハードウエアとROM30などに記憶されたソフトウエアの協働によって実現される制御装置の機能ブロック図を示す。図2を参照に、制御部22は、警戒モード設定処理52、異常検出処理54、バッテリ電圧判断処理56、警報非発生処理58、判定処理60、警報モード設定処理62、及び警報発生処理64として機能する。
【0025】
警戒モード設定処理52は、盗難防止用送信機50からのセキュリティセットの信号に基づいて、警戒モードをRAMに設定し、且つ記憶部24に警戒モードを記憶させる。異常検出処理54は、ドアカーテシスイッチ12、ボンネットカーテシスイッチ14、及びトランクカーテシスイッチ16などから、ドア、ボンネット、及びトランクなどの開閉部が開放状態にあることを示す信号が送信されたか、又は侵入センサ18、振動センサ19及び傾斜センサ20から送信される検出信号が、第1閾値を超えた状態が長く続いているか、第2閾値を超えたか(以下、このような状態を異常状態と表す場合がある)の検出を行う。これら異常状態が検出されない場合は、バッテリ電圧判断処理56により、バッテリ電圧モニタ26で測定されたバッテリ電圧が、ROMに記憶されているバッテリ電圧基準値以上か以下かが判断される。バッテリ電圧が基準値以上を維持していれば、異常検出処理54を再度実行する。バッテリ電圧が基準値以下になり、その後基準値以上に上昇した場合は、警報非発生処理58により、バッテリ上りモードがRAMに設定される。バッテリ上りモード中は、警報モードへの移行は行われず、警報出力部48から警報は発生されない。判定処理60は、バッテリ上りモード中に、ドア、ボンネット、及びトランクなどの開閉部が閉鎖状態にあるか判定する。開閉部が全て閉鎖状態にあることが確認されると、警戒モード設定処理52により、警戒モードがRAMに再設定される。
【0026】
異常検出処理54で、異常状態が検出されると、警報モード設定処理62により、警報モードがRAMに設定され、且つ記憶部24に警報モードが記憶される。警報発生処理64は、警報モードが設定された後、バッテリ電圧判断処理56によりバッテリ電圧が基準値以上と判断されている間、所定時間、警報出力部48から警報を発生させる。バッテリ電圧判断処理56により、バッテリ電圧が基準値以下になり、その後基準値以上に上昇した場合は、警報モード設定処理62により、警報モードがRAMに再設定され、引き続き、警報発生処理64により警報が発生される。
【0027】
次に、図3及び図4のフローチャートを用いて、実施例1に係る制御装置10の動作を説明する。図3及び図4を参照に、まず、制御装置10の制御部22は、盗難防止用送信機からセキュリティセットの信号を受信すると(ステップS10)、信号に含まれる盗難防止用送信機のIDコードが、ROMに登録されている正規IDコードと一致するか判定する。一致した場合、制御部22は、ドアカーテシスイッチ12、ボンネットカーテシスイッチ14、及びトランクカーテシスイッチ16の出力信号により、全てのドア、ボンネット、及びトランクなどの開閉部が閉鎖状態にあることなどを確認した後、警戒モードをRAMに設定し、且つ記憶部24に記憶させる(ステップS12)。IDコードが正規IDコードと一致しない場合は、制御部22は、セキュリティセットの信号が、不適切な盗難防止用送信機から送信されたものとみなして、警戒モードの設定・記憶を行わない。
【0028】
警戒モードを設定・記憶した後、制御部22は、異常状態を検出したか否かを判定する(ステップS14)。つまり、ステップS14で、車両盗難、車上荒らしの有無を検出することができる。異常状態を検出した場合、ステップS24に進む。異常状態を検出しない場合は、ステップS16に進む。
【0029】
ステップS16では、制御部22は、バッテリ電圧モニタ26で測定されたバッテリ電圧が、ROMに記憶されている基準値以下か否かを判断する(ステップS16)。なお、基準値は、制御装置10が動作不能となる直前の電圧値、つまり制御装置10が動作することが可能な最低電圧値であり、例えば6Vである。ところで、警戒モード中、車両を長期間放置すると、バッテリ電圧は徐々に低下していき、最終的に、バッテリ電圧が基準値以下のバッテリ上りとなる。ステップS14で、ドア、ボンネット、及びトランクなどの開閉部が開放状態になっていないことを鑑みると、ステップS16で、バッテリ電圧が基準値以下になった場合は、バッテリ上り状態になった可能性が高い。ここで、図5の動作波形図を併用して、バッテリ上り状態についてより詳しく説明する。
【0030】
警戒モード設定当初、基準値以上であったバッテリ電圧は(図5のa参照)、長期間の車両放置により、徐々に低下していき、基準値以下となる(図5のb参照)。この状態が、バッテリ上り状態である。バッテリ上り状態になった場合、通常、バッテリの充電を行う。バッテリの充電は、一般的に、まずドアを開け(図5のc参照)、車室内のボンネットオープンレバーによりボンネットを開けて行う(図5のd参照)。このとき、ドアカーテシスイッチ12及びボンネットカーテシスイッチ14から、ドア及びボンネットが開放状態にあることを示す信号が入力されるが、バッテリ上り状態では、制御装置10は動作不能のため、後述する警報モードに移行しない。
【0031】
バッテリの充電を行い、バッテリ電圧が基準値以上に上昇すると(図3のステップS18及び図5のe参照)、制御装置10の動作機能が回復する。制御装置10の動作機能が回復すると、制御部22は、イニシャル処理を実行して初期化した後、記憶部24の記憶内容を読み出して、バッテリ電圧が基準値以下になる前の動作モードを判断し、動作モードが警戒モードである場合は、バッテリ上りモードをRAMに設定する(図3のステップS20及び図5のf参照)。ドアカーテシスイッチ12及びボンネットカーテシスイッチ14からは、引き続き、ドア及びボンネットが開放状態にあることを示す信号が出力されているが、制御部22は、バッテリ上りモード中は、警報モードに移行せず、警報を発生させない。
【0032】
バッテリの充電が完了すると、ボンネットを閉じ(図5のg参照)、ドアを閉めて(図5のh参照)、バッテリ充電の一連の動作が終了する。この後、ドアカーテシスイッチ12、ボンネットカーテシスイッチ14、及びトランクカーテシスイッチ16などからの出力信号により、ドア、ボンネット、及びトランクなどの開閉部が全て閉鎖状態にあることが確認された後(図3のステップS22)、制御部22は、RAMに記憶されているバッテリ上りモードを警戒モードに再設定する(図3のステップS12及び図5のi参照)。
【0033】
図3のステップS14において、異常状態を検出した場合は、制御部22は、RAMに記憶されている警戒モードを警報モードに設定するとともに、記憶部24にも警報モードを記憶させる(図4のステップS24)。制御部22は、サイレン38及びホーン40などから音による警報並びにハザード42、ヘッドランプ44、及びテールランプ46などから光による警報のいずれか又は複数組み合わせ、これら警報出力部48から警報を発生させる(ステップS26)。
【0034】
警報モード中においても、制御部22は、バッテリ電圧モニタ26で測定されたバッテリ電圧が基準値以下か否かを判断する(ステップS28)。バッテリ電圧が基準値以上である場合は、盗難防止用送信機からセキュリティアンセットを行う信号が送信されているか確認する(ステップS32)。送信されている場合は、制御部22は、RAMに記憶されている警報モードを非警戒モードに設定し、且つ記憶部24にも非警戒モードを記憶させる(ステップS36)。セキュリティアンセットの信号が送信されていない場合は、警報が発生している時間が、予め設定しておいた時間(例えば5分間)を経過しているか判定し(ステップS34)、経過していなければ、引き続き、警報を発生させる(ステップS26)。警報時間が設定時間を越えている場合は、制御部22は、警報を終了させて、RAMと記憶部24とに、警戒モードを再度記憶させる。なお、このように予め警報発生時間を設定しておくことで、警報が長時間発生し続けることがなくなる。
【0035】
ステップS28で、バッテリ電圧が基準値以下と判断された場合は、ドア等の開閉部が開放状態にあることを鑑みると、泥棒が車両盗難のためにバッテリを外した可能性が高い。このため、バッテリが再接続される等して、バッテリ電圧が基準値以上に上昇した場合(ステップS30)、制御部22は、イニシャル処理を実行して初期化した後、記憶部24の記憶内容を読み出して、バッテリ電圧が基準値以下になる前の動作モードを判断し、動作モードが警報モードである場合は、警報モードをRAMに再設定する(ステップS24)。これにより、泥棒が車両盗難のためにバッテリを外した場合は、引き続き、警報を発生させ続けることができる。
【0036】
このように実施例1によれば、警戒モードにおいて、バッテリ電圧値の判断を、異常状態検出の判定の後に別工程で行うことで、バッテリ上りの場合と泥棒が盗難のためにバッテリを外した場合とを判別することができる。これにより、バッテリ上りの場合に、警報出力部48から警報を発生させなくすることができる。
【0037】
さらに、バッテリ上りモード中に、ドア等の開閉部が閉鎖状態にあることを示す信号を検出した後、セキュリティ動作モードを警戒モードに再設定することで、自動的に警戒モードに戻るため、安全性の向上を図れる。
【0038】
警報モードにおいて、バッテリ電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合は、セキュリティ動作モードを警報モードに再設定することで、泥棒が車両盗難のためにバッテリを断線、再接続した場合に、引き続き、警報を発生させ続けることができる。
【0039】
実施例1において、バッテリの電圧値により、バッテリ上り及び泥棒によるバッテリ外しを検出する場合を例に示したが、これに限られるわけではなく、例えば、バッテリからの電流値を測定することで、バッテリ上り及び泥棒によるバッテリ外しの検出を行ってもよく、またその他の方法を用いてもよい。また、盗難検知に用いるスイッチ類やセンサ類に、その他のスイッチやセンサを用いてもよい。さらに、警報出力部48は、サイレン38、ホーン40、ハザード42、ヘッドランプ44、及びテールランプ46に限らず、警報を発生させることができる物であれば、その他の物を用いてもよい。
【0040】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は実施例1に係る制御装置を含む盗難防止システムを示すブロック図である。
【図2】図2は実施例1に係る制御装置の制御部の機能ブロック図である。
【図3】図3は実施例1に係る制御装置を含む盗難防止システムの動作を示すフローチャート(その1)である。
【図4】図4は実施例1に係る制御装置を含む盗難防止システムの動作を示すフローチャート(その2)である。
【図5】図5はバッテリ上り状態を説明する動作波形図である。
【符号の説明】
【0042】
10 制御装置
12 ドアカーテシスイッチ
14 ボンネットカーテシスイッチ
16 トランクカーテシスイッチ
18 侵入センサ
19 振動センサ
20 傾斜センサ
22 制御部
24 記憶部
26 バッテリ電圧モニタ
28 バッテリ
30 ROM
32 RAM
34 CPU
36 入出力部
38 サイレン
40 ホーン
42 ハザード
44 ヘッドランプ
46 テールランプ
48 警報出力部
50 盗難防止用送信機
52 警戒モード設定処理
54 異常検出処理
56 バッテリ電圧判断処理
58 警報非発生処理
60 判定処理
62 警報モード設定処理
64 警報発生処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティの状態を記憶する、不揮発性メモリからなる記憶部と、
前記セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態にある場合に、車両に設けられた開閉部が開放状態にあることを示す信号が検出された場合、前記車両に設けられた警報出力部から警報を発生させる警報発生処理と、前記開放状態にあることを示す信号が検出されなかった後、前記車両に設けられたバッテリの電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合、前記記憶部に記憶された前記バッテリ電圧が基準値以下になる前の前記セキュリティの状態を判断し、前記セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態である場合は、前記警報出力部から警報を発生させない警報非発生処理と、を実行する制御部と、を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記警報非発生処理を実行した後、前記開閉部が閉鎖状態にあることを示す信号を検出した場合、前記セキュリティの状態をセキュリティ機能作動状態に設定するセキュリティ機能設定処理を更に実行することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記セキュリティの状態が、前記警報を発生させる警報状態にある場合に、前記バッテリの電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合、前記記憶部に記憶された前記バッテリ電圧が基準値以下になる前の前記セキュリティの状態を判断し、前記セキュリティの状態が前記警報状態である場合は、前記警報出力部から警報を発生させる前記警報発生処理を実行することを特徴とする請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
前記基準値は、前記制御部が動作することが可能な最低電圧値であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の制御装置。
【請求項5】
セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態にある場合に、車両に設けられた開閉部が開放状態にあることを示す信号が検出された場合、前記車両に設けられた警報出力部から警報を発生させるステップと、
前記開閉部が開放状態にあることを示す信号が検出されなかった後、前記車両に設けられたバッテリの電圧が基準値以下から基準値以上に上昇した場合、前記セキュリティの状態を記憶する不揮発性メモリからなる記憶部に記憶された前記バッテリ電圧が基準値以下になる前の前記セキュリティの状態を判断し、前記セキュリティの状態がセキュリティ機能作動状態である場合は、前記警報出力部から警報を発生させないステップと、を備えることを特徴とする制御装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−76475(P2010−76475A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243867(P2008−243867)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)