説明

制御装置及びコンピュータプログラム

【課題】画像ファイルと文書ファイルとを記憶するための表示装置に適した文書ファイルを生成するための制御装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】制御装置は、生成部と、特定部と、記憶制御部とを備える。生成部は、表示対象の画像ファイルを示すファイル名と、画像ファイルによって表される画像の表示画素数とが記述された文書ファイルを生成する(S108)。特定部は、表示装置を特定する(S100:Yes,S102)。記憶制御部は、表示装置に、画像ファイルと文書ファイルとを記憶する(S138)。生成部は、特定部で第一の表示装置が特定された場合、第一の文書ファイルを生成し、特定部で第二の表示装置が特定された場合、第二の文書ファイルを生成する。記憶制御部は、第一の表示装置に、画像ファイルと第一の文書ファイルとを記憶し、第二の表示装置に、画像ファイルと第二の文書ファイルとを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置と、制御装置のためのコンピュータプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像表示制御装置に関する技術が提案されている。特許文献1の画像表示制御装置では、高精細度液晶表示装置に表示したい範囲であるクリップイメージのサイズ(縦、横それぞれの長さ)を示すデータとして、サイズデータが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−168557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した従来の技術は、転送先の高精細度液晶表示装置で、クリップイメージを所定の位置に配置して表示する場合において、クリップイメージが配置される位置を、サイズデータに基づき適宜決定する技術に過ぎない。従って、画像ファイルとは異なり、表示対象の画像ファイルを示すファイル名と、画像ファイルによって表される画像の表示画素数と、が記述された文書ファイルを好適に生成する技術については、上述した従来の技術には開示されていない。
【0005】
本発明は、画像ファイルと文書ファイルとを記憶するための表示装置に適した文書ファイルを生成するための制御装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、表示対象の画像ファイルを示すファイル名と、前記画像ファイルによって表される画像の表示画素数と、が記述された文書ファイルを生成する生成部と、前記文書ファイルに従って前記画像を表示するための表示装置を特定する特定部と、前記表示装置に、前記画像ファイルと前記文書ファイルとを記憶する記憶制御部と、を備え、前記生成部は、前記特定部で第一の表示装置が特定された第一の場合に、第一の表示画素数が記述された第一の文書ファイルを生成し、前記特定部で前記第一の表示装置とは異なる第二の表示装置が特定された第二の場合に、前記第一の表示画素数とは異なる第二の表示画素数が記述された第二の文書ファイルを生成し、前記記憶制御部は、前記第一の場合に、前記第一の表示装置に、前記画像ファイルと前記第一の文書ファイルとを記憶し、前記第二の場合に、前記第二の表示装置に、前記画像ファイルと前記第二の文書ファイルとを記憶する、制御装置である。これによれば、表示装置に応じて、好適な表示画素数が記述された文書ファイルを生成し、画像ファイルと、生成された文書ファイルとをセットとして表示装置に記憶することができる。
【0007】
この制御装置は、次のような構成とすることもできる。すなわち、前記特定部は、前記第一の表示装置及び前記第二の表示装置がそれぞれ前記画像を表示するための表示部の表示画素数を検出する検出部を、さらに備え、前記生成部は、前記第一の場合に、前記検出部で検出された前記第一の表示装置の前記表示部に対応した表示画素数が記述された前記第一の文書ファイルを生成し、前記第二の場合に、前記検出部で検出された前記第二の表示装置の前記表示部に対応した表示画素数が記述された前記第二の文書ファイルを生成する、ようにしてもよい。これによれば、表示部の表示画素数に対応した文書ファイルを生成することができる。ここで、表示部の表示画素数は、画像の表示態様に基づき、広く解釈される。例えば、表示部の表示画素数は、ハードウェアとしての表示部における表示領域の表示画素数を意味する。また、画像が、例えばブラウザのような所定のコンピュータプログラムで表示される場合において、表示部の表示画素数は、このブラウザにおいて画像が表示される表示領域の表示画素数を意味する。
【0008】
また、前記生成部は、前記特定部で前記第一の表示装置及び前記第二の表示装置が特定されない第三の場合に、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルを生成し、前記記憶制御部は、前記第三の場合に、前記画像ファイルと、前記複数の文書ファイルと、を記憶する、ようにしてもよい。これによれば、表示装置が特定できないような場合、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルを生成することで、様々な表示装置に対応可能な文書ファイルを、画像ファイルと共に記憶することができる。
【0009】
また、前記生成部は、さらに、前記複数の文書ファイルの中から少なくとも1つの文書ファイルを指定するためのフロント画像を示すフロントファイルを生成する、ようにしてもよい。これによれば、複数の文書ファイルの中から特定の文書ファイルを指定可能なフロント画像を示すフロントファイルを生成することができる。
【0010】
また、前記生成部は、さらに、前記複数の文書ファイルをそれぞれ用いて表示する前記画像の表示順を示す順序ファイルであって、デフォルトとされる表示画素数の文書ファイルを用いて表示する前記画像が、前記複数の文書ファイルをそれぞれ用いて表示する前記画像の中で先頭に表示されるように規定する前記順序ファイルを生成する、ようにしてもよい。これによれば、デフォルトとされる表示画素数の文書ファイルを用いて表示する画像が、複数の文書ファイルをそれぞれ用いて表示する画像の中で先頭に表示されるようにすることができる。例えば、フロント画像から、特定の文書ファイルを指定できないような表示装置の場合、複数の表示装置に対応可能なデフォルトの表示画素数の画像を先頭に表示することができる。
【0011】
また、前記生成部は、さらに、前記表示装置が前記画像を表示するための表示部の表示画素数を検出するための検出プログラムを生成する、ようにしてもよい。これによれば、表示装置で画像を表示する場合、検出プログラムにより表示画素数が検出される。そのため、適切な表示画素数が記述された文書ファイルを選択することができる。なお、表示部の表示画素数については、上記同様、広く解釈される。
【0012】
また、前記表示画素数における縦横比を取得する取得部を、さらに備え、前記生成部は、さらに、前記取得部で取得された縦横比に対応する前記表示画素数が記述された文書ファイルを生成する、ようにしてもよい。これによれば、取得された縦横比に対応する文書ファイルを生成することができる。
【0013】
また、原稿を読み取り、前記画像ファイルを生成する読取部と、前記特定部で特定された表示装置に基づき、前記読取部での読取解像度を変更する設定部と、をさらに備える、ようにしてもよい。これによれば、表示装置に適した読取解像度にて読み取りを行うことができる。例えば、表示装置によっては、表示不可能な読取解像度が存在するが、前述の構成によれば、表示不可能となる状態を防止することができる。
【0014】
本発明の他の側面は、表示対象の画像ファイルを示すファイル名と、前記画像ファイルによって表される画像の表示画素数と、が記述された複数の文書ファイルであって、それぞれ異なる前記表示画素数が記述された前記複数の文書ファイルを生成する生成部と、表示装置に、前記画像ファイルと、前記複数の文書ファイルと、を記憶する記憶制御部と、を備える、制御装置である。これによれば、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルを生成することで、様々な表示装置に対応可能な文書ファイルを、画像ファイルと共に記憶することができる。
【0015】
なお、上記の本発明を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータが読取可能な記録媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像ファイルと文書ファイルとを記憶するための表示装置に適した文書ファイルを生成するための制御装置及びコンピュータプログラムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】システムの構成の一例を示す図であって、システムに含まれるスキャナ装置、表示装置及び情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】ePUBファイルのディレクトリ構成を説明する図である。
【図3】ePUBスキャン処理のフローチャート(その1)である。
【図4】ePUBスキャン処理のフローチャート(その2)である。
【図5】文書ファイルの一例を示す図である。(A)は、第一の画像ファイルに基づく画像の表示に用いられる、表示画素数が横幅320×高さ240ドットに規定された文書ファイルの一例である。(B)は、第二の画像ファイルに基づく画像の表示に用いられる、表示画素数が横幅320×高さ240ドットに規定された文書ファイルの一例である。(C)は、第一の画像ファイルに基づく画像の表示に用いられる、表示画素数がデフォルトとして規定された文書ファイルの一例である。(D)は、第二の画像ファイルに基づく画像の表示に用いられる、表示画素数がデフォルトとして規定された文書ファイルの一例である。
【図6】ePUBスキャン処理においてスキャナ装置の表示部に表示されるファイル生成手法選択画面の一例を示す図である。
【図7】ePUBスキャン処理において生成される、画像ファイルと、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルとの対応を説明する図である。
【図8】OPFファイルの一例を示す図である。
【図9】(A)は、ePUBスキャン処理においてスキャナ装置の表示部に表示される縦横比選択画面の一例を示す図である。(B)は、図9(A)の縦横比選択画面にて第一の縦横比が指定された場合に表示される表示画素数選択画面の一例である。(C)は、図9(A)の縦横比選択画面にて第二の縦横比が指定された場合に表示される表示画素数選択画面の一例である。
【図10】ePUB表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0019】
<システムの概要>
システム10は、スキャナ装置20と、表示装置50と、情報処理装置70とを含む。スキャナ装置20は、原稿を読み取り、読み取られた原稿上の読取画像を示す画像ファイルを生成する。また、詳細は後述するが、スキャナ装置20では、例えばHTML(XHTML)形式の文書ファイルが生成される。なお、スキャナ装置20で生成された画像ファイル及び文書ファイルは、ePUBファイルとしてまとめられる。ePUBファイルは、米国の電子書籍関連の業界団体であるIDPF(International Digital Publishing Forum)によって策定された電子書籍のファイル形式である。
【0020】
表示装置50は、電子書籍を表示することができるタブレット型の表示端末等によって構成される。表示装置50は、ePUBファイルに対応し、このePUBファイルを構成する画像ファイル及び文書ファイルに基づき、画像を表示することができる。情報処理装置70は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0021】
図1に示すように、スキャナ装置20と表示装置50とが、通信ケーブル90を介して接続された場合、両装置は、データ通信することができる。なお、スキャナ装置20は、情報処理装置70とも通信ケーブル90によって、データ通信可能に接続されている。各装置間の接続は、どのような形態であってもよい。例えば、各装置は、USB接続される。この場合、通信ケーブル90は、USBケーブルで構成される。また、各装置は、ネットワーク接続される。この場合、通信ケーブル90は、LANケーブルで構成される。なお、各装置間は、無線接続されてもよい。この場合、通信ケーブル90は、省略される。
【0022】
<スキャナ装置のハードウェア構成>
スキャナ装置20は、例えば、図1に示すように、CPU22と、ROM24と、RAM26と、読取部28と、表示部30と、操作部34と、接続インターフェース(以下、「接続I/F」という。)36とを備える。これら各部22〜36は、バスライン38に接続されている。
【0023】
CPU22は、演算処理を実行する。ROM24は、コンピュータプログラムを記憶する。ROM24に記憶されたコンピュータプログラムには、例えば、後述する図3及び図4に示すePUBスキャン処理のためのコンピュータプログラムが含まれる。RAM26は、CPU22がコンピュータプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。CPU22は、ROM24に記憶されたコンピュータプログラムを、RAM26上で実行する等して、スキャナ装置20を制御する。これによって、スキャナ装置20では、各種の処理及び機能が実現される。
【0024】
読取部28は、CIS(Contact Image Sensor)、CCD(Charge Coupled Devices)等のスキャン機構を備える。読取部28は、原稿をスキャンし(読み取り)、スキャンされた原稿上の読取画像を示す画像ファイルを生成する。表示部30は、LCD等によって構成され、各種の情報(画像)を表示する。操作部34は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部34を構成する所定のキーを操作する等して、スキャナ装置20に所定の指令を入力する。接続I/F36は、接続形態が有線接続である場合、通信ケーブル90を接続するための接続口を備え、同じく通信ケーブル90が接続された、表示装置50又は情報処理装置70との間で、データ通信を行う。なお、接続I/F36は、ネットワークI/F又はUSB接続等のローカル接続I/Fで構成される。
【0025】
<表示装置のハードウェア構成>
表示装置50は、例えば、図1に示すように、CPU52と、ROM54と、RAM56と、記憶部58と、表示部60と、操作部62と、接続I/F64とを備える。これら各部52〜64は、バスライン66に接続されている。CPU52、ROM54及びRAM56は、上述したスキャナ装置20が備えるCPU22、ROM24及びRAM26と同様の構成である。そのため、これら各部52,54,56の構成に関する説明は省略する。なお、CPU52は、ROM54に記憶されたコンピュータプログラムを、RAM56上で実行する等して、表示装置50を制御する。これによって、表示装置50では、各種の処理及び機能が実現される。ROM54に記憶されたコンピュータプログラムには、例えば、図10に示す処理のためのコンピュータプログラムが含まれる。また、ePUBファイルに対応し、ePUBファイルに基づいた表示を行い、閲覧等するためのアプリケーションプログラム、具体的にはブラウザが含まれる。
【0026】
記憶部58は、フラッシュメモリ等によって構成され、所定の電子ファイルを記憶する。なお、記憶部58は、例えば、画像ファイル及び文書ファイルを記憶する。画像ファイル及び文書ファイルは、後述する図3及び図4に示すePUBスキャン処理によって生成される。表示部60は、所定の表示画素数のLCD等によって構成され、各種の情報(画像)を表示する。なお、表示部60(ブラウザの表示領域)の表示画素数は、表示装置50の機種毎に固有の画素数である。操作部62は、タッチパネル機能によって構成される。ユーザは、表示部60に表示された、所定の指令に対応付けられたアイコンに触れる等して、表示装置50に所定の指令を入力する。なお、操作部62は、タッチパネル機能と共に、又は、これとは別に、複数のキーを含むように構成されてもよい。接続I/F64は、スキャナ装置20が備える接続I/F36と同様の構成である。そのため、接続I/F64に関する説明は省略する。
【0027】
<情報処理装置のハードウェア構成>
情報処理装置70は、例えば、図1に示すように、CPU72と、ROM74と、RAM76と、記憶部78と、表示部80と、操作部82と、接続I/F84とを備える。これら各部72〜84は、バスライン86に接続されている。CPU72、ROM74及びRAM76は、上述したスキャナ装置20が備えるCPU22、ROM24及びRAM26と同様の構成である。そのため、これら各部72,74,76の構成に関する説明は省略する。記憶部78は、例えばハードディスクによって構成され、情報処理装置70において実行される処理のためのコンピュータプログラムを記憶する。なお、後述する「変形例(1)」の構成が採用される場合、記憶部78には、後述する図3及び図4に示すePUBスキャン処理のためのコンピュータプログラムが記憶される。なお、CPU72は、記憶部78に記憶されたコンピュータプログラムを、RAM76上で実行する等して、情報処理装置70を制御する。これによって、情報処理装置70では、各種の処理及び機能が実現される。
【0028】
表示部80は、例えばLCDによって構成され、各種の情報(画像)を表示する。操作部82は、キーボード及びマウス等によって構成される。ユーザは、操作部82を操作する等して、情報処理装置70に所定の指令を入力する。接続I/F84は、スキャナ装置20が備える接続I/F36と同様の構成である。そのため、接続I/F84に関する説明は省略する。
【0029】
<ePUBファイルのディレクトリ構成>
ePUBファイルのディレクトリ構成(フォルダ構成)について、図2を参照して説明する。ePUBファイルは、zip形式の圧縮ファイルである。ePUBファイルは、複数のファイルによって構成される。ePUBファイルを構成するファイルのうち、ePUBの本体となるファイルは、OEBPSフォルダに格納される画像ファイル、文書ファイル等である。ePUBファイルに基づいた表示が表示装置50で行われる場合、画像ファイルは、文書ファイルに組み合わせられる。図2に基づくePUBファイルによれば、画像ファイルは、「epub_sample/OEBPS/Images/scan.png」と、「epub_sample/OEBPS/Images/scan2.png」とである。この記述において、「epub_sample/OEBPS/Images/」は、「scan.png」及び「scan2.png」が記憶されたフォルダを示すものである。
【0030】
また、図2に基づくePUBファイルによれば、文書ファイルは、「epub_sample/OEBPS/Text/320_240_html/320_240_c1.html」(図5(A)参照)と、「epub_sample/OEBPS/Text/320_240_html/320_240_c2.html」(図5(B)参照)と、「epub_sample/OEBPS/Text/default_html/default_c1.html」(図5(C)参照)と、「epub_sample/OEBPS/Text/default_html/default_c2.html」(図5(D)参照)とである。前述の各記述において、「epub_sample/OEBPS/Text/320_240_html/」は、「320_240_c1.html」及び「320_240_c2.html」が記憶されたフォルダを示すものである。「epub_sample/OEBPS/Text/default_html/」は、「default_c1.html」及び「default_c2.html」が記憶されたフォルダを示すものである。「epub_sample/OEBPS/Text/titlepage.html」は、フロント画像を示すフロントファイルである。この記述において、「epub_sample/OEBPS/Text/」は、「titlepage.html」が記憶されたディレクトリ構成である。本実施形態では、文書ファイル及びフロントファイルが、HTML形式の電子ファイル(HTMLファイル)である場合を例として説明する。図5(A)〜(D)の文書ファイルと、フロントファイルとの説明は、後述する。
【0031】
「epub_sample/OEBPS/Styles/Style.css」は、文書ファイルを表示するためのスタイルシートである。この記述において、「epub_sample/OEBPS/Styles/」は、「Style.css」が記憶されたディレクトリ構成である。「epub_sample/OEBPS/Images/Thumbs.db」は、縮小画像を表示するための電子ファイルである。この記述において、「epub_sample/OEBPS/Images/」は、「Thumbs.db」が記憶されたディレクトリ構成である。
【0032】
この他、ePUBファイルは、「epub_sample/META-INF/container.xml」と、「epub_sample/mimetype」と、「epub_sample/OEBPS/content.opf」と、「epub_sample/OEBPS/toc.ncx」とを含む。「epub_sample/META-INF/」フォルダに格納される「container.xml」は、後述するOPFファイルの所在(パス)を指定するためのファイルである。「epub_sample/」フォルダに格納される「mimetype」は、ePUBファイルが、ePUB形式のファイルであることを指定するためのファイルである。「epub_sample/OEBPS/」フォルダに格納される「content.opf」(図6参照)については、後述する。「epub_sample/OEBPS/」フォルダに格納される「toc.ncx」は、OPFファイルで指定した項目と、文書ファイルとの関連付けを指定するためのファイルである。なお、本実施形態では、拡張子が「.opf」であるファイルをOPFファイルといい、「.ncx」であるファイルをNCXファイルという。
【0033】
<ePUBスキャン処理>
スキャナ装置20で実行されるePUBスキャン処理について、図3及び図4等を参照して説明する。ePUBスキャン処理は、例えば、ユーザが操作部34を操作し、この処理の開始を指示したときに開始される。この他、ePUBスキャン処理は、接続I/F36を介して、情報処理装置70から、この処理の開始のための指令が入力されたときに開始されるようにしてもよい。この処理を開始したCPU22は、接続I/F36を介して、スキャナ装置20に表示装置50がデータ通信可能に接続され、且つ表示装置50の表示部60の表示画素数を検出できるかについて判断する(S100)。S100で表示装置50が接続され、且つ表示画素数が検出できると判断される場合(S100:Yes)、CPU22は、接続I/F36を介して、表示部60の表示画素数を取得する(S102)。なお、S100で検出され、S102で取得される表示画素数は、前述のような表示部60の表示画素数である他、ブラウザにおける画像の表示領域の表示画素数であってもよい。
【0034】
次に、CPU22は、読取部28の読取解像度を、S102で取得した表示画素数に適した読取解像度に変更する(S104)。続けて、CPU22は、読取部28を制御し、スキャナ装置20にセットされた原稿のスキャンを開始する(S106)。読取部28は、スキャンされた原稿上の読取画像を示す画像ファイルを生成し、CPU22は、読取部28にて生成された画像ファイルをRAM26上に出力する(S108)。例えば、スキャナ装置20に2枚の原稿がセットされていたとする。この場合、S106で開始されたスキャン動作によって、2枚の原稿が順次連続してスキャンされ、2枚の原稿上の読取画像のそれぞれを示す2個の画像ファイルが生成される。図2に基づくePUBファイルによれば、「scan.png」及び「scan2.png」が生成される。
【0035】
また、S108でCPU22は、文書ファイルを生成し、RAM26上に出力する。具体的に、S104で変更された読取解像度でスキャンされて「scan.png」及び「scan2.png」が生成され、スキャナ装置20に接続されている表示装置50の表示部60又はブラウザの表示領域に対応した表示画素数が、横幅(width)320×高さ(height)240ドットであったとする。この場合、CPU22は、「scan.png」を横幅320×高さ240ドットで表示させるために、図5(A)に示すような、「<p>img src="../../Images/scan.png" width="320" height="240" alt="画像1"></p>」の記述を含む文書ファイルを生成する。また、CPU22は、「scan2.png」を横幅320×高さ240ドットで表示させるために、図5(B)に示すような、「<p>img src="../../Images/scan2.png" width="320" height="240" alt="画像2"></p>」の記述を含む文書ファイルを生成する。図5(A),(B)は、既に知られたHTML形式の電子ファイルであるため、その他の記述に関する説明は、省略する。
【0036】
S108を実行した後、CPU22は、S108で出力した画像ファイル及び文書ファイルがまとめられたePUBファイルを生成する(S110)。S110では、画像ファイル及び文書ファイルの他、図2に関連して上述した所定の電子ファイルであるOPFファイル、NCXファイル等のファイルを生成し、これらのファイルを含み、図2に示すようなディレクトリ構成を有する、ePUBファイルを生成する。S100の判断が肯定された場合(S100:Yes)、上述した通り、表示画素数は、1種類のみが対象とされる。従って、S100で生成されるOPFファイルでは、後述するような表示画素数に基づいた表示順は規定されない。次にCPU22は、接続I/F36を介して生成したePUBファイルが、表示装置50の記憶部58に記憶されるように制御する(S138)。S138を実行した後、CPU22は、ePUBスキャン処理を終了する。
【0037】
説明をS100に戻し、スキャナ装置20に表示装置50が接続されておらず、又は、表示画素数が検出できないと判断される場合(S100:No)、CPU22は、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルを自動で作成するかについて判断する(S112)。S112の判断に際し、CPU22は、表示部30に、図6に示すようなファイル生成手法選択画面302を表示する。ユーザは、操作部34を操作し、ファイル生成手法選択画面302に含まれる何れかの選択肢304,306を選択する。ユーザが、「異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルを自動で作成」することを示す選択肢304を選択した場合、CPU22は、S112の判断を肯定する(S112:Yes)。続けて、CPU22は、表示部30に、読取解像度を入力可能な入力画面(不図示)を表示する。ユーザは、操作部34を操作し、読取解像度を指定する。CPU22は、入力画面の表示に応じて指定された読取解像度を取得し、読取部28の読取解像度を、取得した読取解像度に変更する(S114)。
【0038】
次に、CPU22は、読取部28を制御し、スキャナ装置20にセットされた原稿のスキャンを開始する(S116)。読取部28は、スキャンされた原稿上の読取画像を示す画像ファイルを生成し、CPU22は、読取部28にて生成された画像ファイルをRAM26上に出力する(S118)。また、S118でCPU22は、1つの画像ファイルに対して、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルを生成し、RAM26上に出力する。表示画素数のパターンは、予め定められている。例えば、CPU22は、1つの画像ファイルに対して、図7に示すような、デフォルトとして規定された表示画素数を含む8種類の表示画素数が記述された8個の文書ファイルを生成する。本実施形態では、デフォルトの表示画素数は、生成された画像ファイルの画素数そのままの横幅及び高さと定義されている。
【0039】
具体的に、スキャナ装置20に2枚の原稿がセットされ、画像ファイルとして「scan.png」及び「scan2.png」が生成されるとする。この場合、「scan.png」に対して、例えば図7に示すような、8個の文書ファイルが生成されると共に、「scan2.png」に対しても、同様の8個の文書ファイルが生成される。例えば、表示画素数が、横幅320×高さ240ドットに規定された文書ファイルは、画像ファイルが「scan.png」である場合、上述した図5(A)となり、画像ファイルが「scan2.png」である場合、上述した図5(B)となる。また、表示画素数がデフォルトとして規定された文書ファイルは、画像ファイルが「scan.png」である場合、図5(C)に示すように、「img.sample { width: 100%; height: 100%; }」及び「<p><img src="../Images/scan.png" class="img.sample" alt="画像1"></p>」の記述を含む。また、画像ファイルが「scan2.png」である場合、図5(D)に示すように、「img.sample { width: 100%; height: 100%; }」及び「<p><img src="../Images/scan2.png" class="img.sample" alt="画像2"></p>」の記述を含む。
【0040】
本実施形態において、デフォルトの表示画素数は、上述したように定義されている。そのため、デフォルトとして規定された文書ファイルは、表示画素数に関し、何れも、対応する画像ファイルが、画像ファイルの画素数そのまま(100%)の横幅及び高さで表示されることを規定する「img.sample { width: 100%; height: 100%; }」の記述を含む。図5(C),(D)は、既に知られたHTML形式の電子ファイルであるため、その他の記述に関する説明は、省略する。
【0041】
図3のS118を実行した後、CPU22は、フロント画像(画面)を示すフロントファイルを生成する(S120)。図2に基づけば、上述した通り、「epub_sample/OEBPS/Text/」フォルダに格納された「titlepage.html」が、フロントファイルに対応する。フロント画像は、後述する図10に示すePUB表示処理が、表示装置50で実行される場合に表示される。フロント画像は、表示装置50でePUBファイルに基づいた画像が表示される場合、表示される画像の表示画素数を選択する画面を示す画像である。S112の判断が肯定された場合(S112:Yes)におけるフロント画像は、S118で生成された複数の文書ファイルで規定されている表示画素数のそれぞれを、選択肢として含む。なお、S112の判断が否定された場合(S112:No)におけるフロント画像については、後述する。ユーザは、フロント画像の中から、所望する表示画素数を指定する。フロントファイルにおいて、ユーザ操作によって指定される選択肢としての表示画素数には、それぞれ、対応する文書ファイルへのリンクが付与されている。
【0042】
続けて、CPU22は、検出プログラムを生成する(S122)。S122で生成される検出プログラムは、フロントファイルに基づいたフロント画像が表示されている状態から、特定の文書ファイルに基づいた表示が自動的に行われるよう、特定の文書ファイルにジャンプする(切り替える)ためのコンピュータプログラムである。特定の文書ファイルへのジャンプは、例えば、フロント画像が表示された後、定められた時間が経過した場合に行われる。検出プログラムは、例えばJava(登録商標)Scriptによって構成される。
【0043】
検出プログラムは、自己の検出プログラムが記憶されている表示装置50の表示部60の表示画素数を取得し、且つ取得した表示画素数を、複数の表示画素数の中から特定する機能を含む。従って、検出プログラムによれば、好適な表示画素数が、自動的に特定され、特定された表示画素数が記述された特定の文書ファイルに基づいた表示を行うことができる。なお、取得される表示画素数は、前述のように表示部60の表示画素数の他、ブラウザにおける画像の表示領域の表示画素数であってもよい。検出プログラムは、ePUBファイルを表示する表示装置50が、操作性能の低い装置である場合に有効である。例えば、表示装置50の機種によっては、S120で生成されたフロントファイルに基づいてフロント画像が表示されたとしても、選択肢として表示されている複数の表示画素数のうち、特定の表示画素数を指定することができない場合もある。このような場合、特定の表示画素数が指定されず、フロント画像が表示されたままの状態となる。検出プログラムは、このような状態において、有効である。
【0044】
次に、CPU22は、OPFファイルと、NCXファイルとを生成し、これらを含むePUBファイルを生成する(S124)。S124で生成されたePUBファイルは、図2に示すようなディレクトリ構成を有し、生成されたOPFファイル及びNCXファイルの他、S118で出力された画像ファイル、及び、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイル、さらに、図2に関連して上述した所定の電子ファイル等がまとめられている。
【0045】
S124で生成されるOPFファイルについて、図8を参照して説明する。この説明では、スキャナ装置20に2枚の原稿がセットされ、「scan.png」及び「scan2.png」が生成されているとする。また、S118に関連し、それぞれ異なる表示画素数として、横幅320×高さ240ドットと、デフォルトとが規定されているとする。このような場合、S118では、図5(A)〜(D)に示すような、4個の文書ファイルが生成される。
【0046】
OPFファイルは、ePUBファイルに含まれるHTML形式のフロントファイル及び複数の文書ファイルをそれぞれ用いて表示する画像の表示順を規定する。従って、S124で生成されたOPFファイルは、S118で生成された4個の文書ファイルと、S120で生成されたフロントファイルと、について、ePUBファイルに基づいた表示が表示装置50で行われた場合の表示順を規定する(図8で破線で示す四角枠内参照)。図8に示すOPFファイルでは、先ず、「titlepage.html」を含む記述が、1行目に記載されている。以降、「default_c1.html」を含む記述が2行目に、「default_c2.html」を含む記述が3行目に、「320_240_c1.html」を含む記述が4行目に、「320_240_c2.html」を含む記述が5行目に記載されている。そのため、図8に示すOPFファイルによれば、表示順は、「titlepage.html」、「default_c1.html」、「default_c2.html」、「320_240_c1.html」、「320_240_c2.html」の順とされる。ここで、ePUBスキャン処理では、表示画素数がデフォルトとして規定された文書ファイルの表示順が、これ以外の表示画素数の場合より優先されるように設定される。これは、デフォルト(横幅及び高さが100%に設定。図5(C),(D)参照)として規定された表示画素数での表示に対応している表示装置50が多いためである。
【0047】
次にCPU22は、今回生成したePUBファイルを、スキャナ装置20が備える記憶部等に記憶する(S138)。この場合、CPU22は、表示装置50がスキャナ装置20に接続されたことが検出され、表示装置50との間でデータ通信できる状態となった時点で、今回生成したePUBファイルが表示装置50の記憶部58に記憶されるように制御する。この他、ePUBファイルが生成された時点で、上述したS100と同様の判断を、再度行うようにしてもよい。この場合、この判断が肯定されれば(S100:Yes参照)、CPU22は、前述の通り、今回生成したePUBファイルが表示装置50の記憶部58に記憶されるように制御する。なお、接続I/F36を介して、今回生成されたePUBファイルが、情報処理装置70の記憶部78に記憶されるように制御されてもよい。S138を実行した後、CPU22は、ePUBスキャン処理を終了する。
【0048】
説明をS112に戻し、図6に示すファイル生成手法選択画面302の表示に応じ、ユーザが、「表示画素数を自分で指定」することを示す選択肢306を選択した場合、CPU22は、S112の判断を否定し(S112:No)、処理を図4のS126に移行する。S126は、上述した図3のS114と同様の処理であり、上述した通りに行われる。S126に関する説明は、省略する。S126を実行した後、CPU22は、操作部34を介したユーザ操作によって、指定された縦横比を取得する(S128)。縦横比は、文書ファイルにおいて規定される表示画素数の「高さ」と「横幅」との比である。S128に際し、CPU22は、表示部30に、図9(A)に示すような縦横比選択画面308を表示する。ユーザは、操作部34を操作し、縦横比選択画面308に含まれる何れかの選択肢310,312を指定する。ユーザが、選択肢310を指定した場合、S128でCPU22は、縦横比として「横幅:高さ=4:3」を取得する。一方、ユーザが、選択肢312を指定した場合、S128でCPU22は、縦横比として「横幅:高さ=16:9,15:9,16:10」を取得する。
【0049】
続けて、CPU22は、操作部34を介したユーザ操作によって、指定された表示画素数を取得する(S130)。例えば、図9(A)に示す縦横比選択画面308で、選択肢310が選択され、S128で縦横比として「横幅:高さ=4:3」が取得されていたとする。この場合、S130でCPU22は、図9(B)に示すような、表示画素数の選択肢として、表示画素数の横幅と高さとの比が「4:3」である選択肢316,318,320を含む表示画素数選択画面314を表示する。また、図9(A)に示す縦横比選択画面308で、選択肢312が選択され、S128で縦横比として「横幅:高さ=16:9,15:9,16:10」が取得されていたとする。この場合、S130でCPU22は、図9(C)に示すような、表示画素数の選択肢として、表示画素数の横幅と高さとの比が「16:9,15:9,16:10」である選択肢324,326,328,330を含む表示画素数選択画面322を表示する。
【0050】
ユーザは、操作部34を操作し、図9(B)に示す表示画素数選択画面314に含まれる選択肢316,318,320を指定し、又は、図9(C)に示す表示画素数選択画面322に含まれる選択肢324,326,328,330を指定する。このとき、ユーザは、図9(B)又は(C)の表示画素数選択画面314,322において、複数の選択肢を指定することができる。複数の表示画素数が指定された場合、CPU22は、指定された全ての表示画素数を取得する。
【0051】
次に、CPU22は、読取部28を制御し、S126で変更された読取解像度でスキャナ装置20にセットされた原稿のスキャンを開始する(S132)。読取部28は、スキャンされた原稿上の読取画像を示す画像ファイルを生成し、CPU22は、読取部28にて生成された画像ファイルをRAM26上に出力する(S134)。また、S134でCPU22は、生成された画像ファイルに対して、S130で取得された表示画素数の1つを対象として、対象の表示画素数が記述された文書ファイルを生成し、RAM26上に出力する。
【0052】
S134を実行した後、CPU22は、S130で取得した表示画素数の全てについて、文書ファイルを出力したかについて判断する(S136)。例えば、S132で開始されたスキャン動作によって、「scan.png」が出力されていたとする。また、S130で、図9(B)に示す、選択肢316に係る表示画素数「横幅320×高さ240」と、選択肢318に係る表示画素数「横幅480×高さ360」とが取得されていたとする。
【0053】
このような場合において、直前に実行されたS134で、「scan.png」と、表示画素数が「横幅320×高さ240」に規定された文書ファイルとが出力され、表示画素数が「横幅480×高さ360」に規定された文書ファイルが未出力であれば、CPU22は、S136の判断を否定する(S136:No)。CPU22は、処理をS134に戻し、未出力である表示画素数が「横幅480×高さ360」に規定された文書ファイルを出力する。一方、既に実行されたS134で、「scan.png」と、表示画素数が「横幅320×高さ240」に規定された文書ファイルと、表示画素数が「横幅480×高さ360」に規定された文書ファイルとが出力されていれば、CPU22は、S136の判断を肯定する(S136:Yes)。CPU22は、処理を図3のS120に戻す。
【0054】
処理をS136からS120に戻したCPU22は、S120〜S124,S138の処理を、上記同様に実行する。例えば、S120でCPU22は、S134で生成された少なくとも1つの文書ファイルで規定されている表示画素数を、選択肢として含むフロント画像を示すフロントファイルを生成する。また、S124でCPU22は、S134で出力された画像ファイル及び文書ファイルと、生成したOPFファイル及びNCXファイルと、さらに、図2に関連して上述した所定の電子ファイル等を含むePUBファイルを生成し、スキャナ装置20が備える記憶部等に記憶する。なお、生成されたePUBファイルは、図2に示すようなディレクトリ構成を有する。
【0055】
図4のS126〜S136が実行されていた場合に、S124で生成されるOPFファイルにおける表示順は、予め定められた規則に従って規定される。例えば、小さい表示画素数が優先されるような規則に従って規定される。すなわち、最も表示画素数が小さな文書ファイルに対応する画像ファイルが先に表示され、以降、表示画素数が大きくなる順で、表示順が規定される。なお、同一の表示画素数においては、上記同様、スキャンされた順(出力された順)に従った表示順となる。具体的に、2枚の原稿がスキャンされた場合、最初にスキャンされ、出力された1枚目の原稿に係る画像ファイルの表示順が、2枚目の原稿に係る画像ファイルの表示順より、先とされる。
【0056】
以上説明したePUBスキャン処理では、表示装置50がスキャナ装置20に接続され、表示画素数が検出できた場合(S100:Yes)、表示画素数が取得される(S102)。その上で、取得された表示画素数に対応した表示画素数が記述された文書ファイルが出力され(S108)、これを含むePUBファイルが生成される(S110)。従って、表示装置50に応じて、好適な表示画素数が記述された文書ファイルを生成し、画像ファイルと、生成された文書ファイルとを、表示装置50に記憶することができる。
【0057】
また、ePUBスキャン処理では、1つの画像ファイルに対して、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルが出力され(S118)、これらを含むePUBファイルが生成される(S124)。従って、表示装置50における、表示部60の表示画素数又はブラウザの表示領域の表示画素数が、ePUBファイルを生成する際に特定することができなくても、様々な表示装置50で好適に表示することができるePUBファイルを生成することができる。このePUBファイルが記憶された表示装置50では、表示部60の表示画素数又はブラウザの表示領域の表示画素数に対応した画素数の画像を好適に表示することができる。
【0058】
<ePUB表示処理>
表示装置50で実行されるePUB表示処理について、図10等を参照して説明する。ePUB表示処理は、上述したePUBスキャン処理によって生成されたePUBファイルが、記憶部58に記憶されている状態で行われる。ユーザは、操作部62を操作し、記憶部58に記憶されているePUBファイルの中から、所望するePUBファイルを1つ指定する。CPU52は、ePUBファイルが指定された場合、この処理を開始する。
【0059】
この処理を開始したCPU52は、ユーザによって指定されたePUBファイルを、記憶部58から読み出し、RAM56上に取得する(S200)。続けて、CPU52は、ROM54に記憶されたブラウザをRAM56上で実行し、S200で取得したePUBファイルに含まれる全てのHTML形式のファイルを読み込む(S202)。また、CPU52は、S200で取得したePUBファイルに図3のS122で生成された検出プログラムが含まれているかについて判断する(S204)。
【0060】
ePUBファイルに検出プログラムが含まれていない場合(S204:No)、CPU52は、処理をS216に移行する。このとき、CPU52は、S200で取得したePUBファイルに含まれるOPFファイルで表示順が最先とされた文書ファイルに規定された表示画素数で、この文書ファイルで規定された画像ファイルに基づいた画像を表示するように制御する。検出プログラムが含まれている場合(S204:Yes)、CPU52は、検出プログラムによって表示部60の表示画素数が検出可能であるかについて判断する(S206)。なお、検出プログラムは、上述したように、ブラウザの表示領域の表示画素数を検出するようにしてもよい。この場合、S206では、ブラウザの表示領域の表示画素数が検出可能であるかが、判断される。
【0061】
表示画素数が検出可能である場合(S206:Yes)、CPU52は、検出された表示画素数に対応した表示画素数が記述されている文書ファイルに自動的にジャンプする(S208)。S208が実行されると、起動中のブラウザには、ジャンプ先の文書ファイルに規定された表示画素数で、この文書ファイルに記述された画像ファイルに基づいた画像が表示される。S208を実行した後、CPU52は、処理をS216に移行する。一方、S206で表示画素数が検出できない場合(S206:No)、CPU52は、図3のS120で生成されたフロントファイルに基づいたフロント画像を表示する。フロント画像については、図示を省略するが、フロント画像は、例えば、図9(B),(C)のような態様の画像である。なお、S208で検出された表示画素数に対応した表示画素数が記述されている文書ファイルがない場合、S206で表示画素数が検出できない場合(S206:No)と同様に、フロントファイルに基づいたフロント画像を表示する。
【0062】
ここで、S200で取得されたePUBファイルが、図3のS118を経てS124で生成されたものであるとする。この場合、フロント画像には、図3のS118で生成された複数の文書ファイルでそれぞれ規定された複数の表示画素数が選択肢として含まれる。また、S200で取得されたePUBファイルが、図4のS130、S134及びS136を経て図3のS124で生成されたものであるとする。この場合、フロント画像には、S130で取得された少なくとも1つの表示画素数が選択肢として含まれる。
【0063】
フロント画像を表示したCPU52は、操作部62を介して、ブラウザに対して、フロント画像に含まれる選択肢の何れかを指定する操作が可能であるかについて判断する(S210)。操作ができない場合(S210:No)、CPU52は、処理をS216に移行する。操作ができる場合(S210:Yes)、CPU52は、ユーザが操作部62を操作し、何れかの選択肢を指定したとき、指定された表示解像度を取得する(S212)。続けて、CPU52は、取得された表示画素数が記述され、且つOPFファイルにおいて、表示順が先とされている文書ファイルに自動的にジャンプする(S214)。S214が実行されると、起動中のブラウザには、ジャンプ先の文書ファイルに規定された表示画素数で、この文書ファイルに記述された画像ファイルに基づいた画像が表示される。S214を実行した後、CPU52は、処理をS216に移行する。
【0064】
S216でCPU52は、ePUBファイルを閲覧するための処理を実行する。このとき、ユーザは、操作部62を操作し、表示装置50(ブラウザ)に対して所定の指令を入力する。CPU52は、この入力に応じた処理を実行する。例えば、表示中の画像を次の画像とする場合、ユーザは、ページ送りのための指令を入力する。具体的に、図8に示すOPFファイルを含むePUBファイルが、S200で取得されており、S210の判断が否定され(S210:No)、現在、「titlepage.html」に基づいたフロント画像が表示されているとする。この状態で、ユーザは、ページ送りのための指令を入力する。
【0065】
この場合、CPU52は、図8で破線で示す四角枠内の2行目に記述された表示画素数がデフォルトに規定された「default_c1.html」(例えば図5(C)参照)を対象として、これに記述されている「scan.png」に基づいた画像が表示されるように制御する。フロント画像に含まれる選択肢の何れかを指定する操作が行えず、ページ送りのための指令を入力する操作しか行えないような仕様の表示装置50である場合、最初に、デフォルトとして規定された表示画素数の画像が表示される。
【0066】
また、「scan.png」に基づいた画像が表示されている状態で、再度、ユーザがページ送りのための指令を入力したとする。この場合、CPU52は、図8で破線で示す四角枠内の3行目に記述された「default_c2.html」(例えば図5(D)参照)を対象として、これに規定されている「scan2.png」に基づいた画像が表示されるように制御する。なお、S210が否定された場合(S210:No)において、表示されているフロント画像を、別の画像とするとき、ユーザは、操作部62を操作し、このようなページ送りのための指令を入力する。
【0067】
以上説明したePUB表示処理によれば、図3及び図4に示すePUBスキャン処理によって生成されたePUBファイルに基づいた処理が実行される。そのため、表示装置50の仕様に関わらず、表示部60(ブラウザの表示領域)の表示画素数に適した画像の表示を行うことができる。
【0068】
<変形例>
上述した構成は、次のようにすることもできる。なお、以下に示す変形例によっても、上述した構成と同様の機能が実現され、同様の効果を得ることができる。
【0069】
(1)上記では、図3及び図4に示すePUBスキャン処理が、スキャナ装置20で実行される構成を例に説明した。この他、ePUBスキャン処理は、図1に示すスキャナ装置20に接続された情報処理装置70で実行されるようにしてもよい。この場合、情報処理装置70において、CPU72は、図3のS106、S116と、図4のS132とで、接続I/F84を介して、スキャナ装置20を動作させるための指令を、スキャナ装置20に送信する。この指令を受信したスキャナ装置20では、自装置にセットされた原稿をスキャンし、スキャンしたデータを、接続I/F36を介して情報処理装置70に送信する。情報処理装置70は、スキャナ装置20から送信されるデータを、接続I/F84を介して受信する。CPU72は、受信されたデータに従い画像ファイルを生成し、これをRAM76上に出力する(図3のS108、S118、図4のS134参照)。このようにして、CPU72は、上記同様のePUBスキャン処理を実行する。なお、情報処理装置70で生成されたePUBファイルは、上記同様、表示装置50に記憶される。
【0070】
(2)上記では、図3及び図4に示すePUBスキャン処理において、スキャンされた原稿上の1つの読取画像に対して、1つの画像ファイルが出力される構成を例に説明した。この他、1つの読取画像を対象として、図3のS108、S118、図4のS134で、画像の向きが異なる複数の画像ファイルが出力されるようにしてもよい。例えば、画像の向きが、それぞれ90°ずつ異なる4つの画像ファイルが出力されるようにしてもよい。
【0071】
また、出力する画像ファイルにおいて、画像の向きを指定するような構成としてもよい。この場合、例えば、スキャン開始(図3のS106、S116、図4のS132参照)の前に、画像の向きを指定するための選択画面(不図示)を表示する。スキャナ装置20(上記変形例(1)の場合、情報処理装置70)では、この選択画面の表示に応じて、ユーザによって指定された特定の向きを取得し、これに対応した向きの画像ファイルを生成し、出力する(図3のS108、S118、図4のS134参照)。
【0072】
(3)上記では、図3及び図4に示すePUBスキャン処理において、S112の判断が否定された場合(S112:No)、S128で、ユーザによって指定された縦横比を取得する構成とした。このような縦横比を指定する構成は、例えば、S100の判断が肯定された場合(S100:Yes)に採用してもよい。この場合、ユーザが所望する縦横比で、且つ表示装置50の表示部60又はブラウザの表示領域の表示画素数に対応した表示画素数が記述された文書ファイルを生成し、出力することができる(S108)。
【0073】
<本発明との対応>
以上説明した本実施形態と本発明との対応は、次の通りである。スキャナ装置20における、CPU22と、ROM24(ROM24に記憶されたコンピュータプログラム)と、RAM26とによって、本発明の制御装置が構成される。また、情報処理装置70における、CPU72と、記憶部78(記憶部78に記憶されたコンピュータプログラム)と、RAM76とによって、本発明の制御装置が構成される。画像ファイル(図2、図5に示す「scan.png」、「scan2.png」参照)は、本発明の画像ファイルに対応する。図5(A)〜(D)に示す文書ファイル(図2の「320_240_c1.html」、「320_240_c2.html」、「default_c1.html」、「default_c2.html」参照)は、本発明の文書ファイルに対応する。フロントファイル(図2に示す「titlepage.html」参照)は、本発明のフロントファイルに対応する。OPFファイル(図2の「content.opf」、図8参照)は、本発明の順序ファイルに対応する。表示部60の表示画素数又はブラウザの表示領域の表示画素数は、本発明の表示部の表示画素数に対応する。
【0074】
また、図3のS108、S118及びS120〜S124と、図4のS134とで実行される処理が、本発明の生成部が実行する処理に対応する。図3のS100、S102で実行される処理が、本発明の特定部及び検出部で実行される処理に対応する。図3のS138で実行される処理が、本発明の記憶制御部で実行される処理に対応する。図4のS128で実行される処理が、本発明の取得部で実行される処理に対応する。図3のS104、S114と、図4のS126とで実行される処理が、本発明の設定部で実行される処理に対応する。
【符号の説明】
【0075】
10 システム
20 スキャナ装置、 22 CPU、 24 ROM、 26 RAM
28 読取部、 30 表示部、 34 操作部
50 表示装置、 52 CPU、 54 ROM、 56 RAM、 58 記憶部
60 表示部、 62 操作部
70 情報処理装置、 72 CPU、 74 ROM、 76 RAM
78 記憶部、 80 表示部、 82 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示対象の画像ファイルを示すファイル名と、前記画像ファイルによって表される画像の表示画素数と、が記述された文書ファイルを生成する生成部と、
前記文書ファイルに従って前記画像を表示するための表示装置を特定する特定部と、
前記表示装置に、前記画像ファイルと前記文書ファイルとを記憶する記憶制御部と、
を備え、
前記生成部は、前記特定部で第一の表示装置が特定された第一の場合に、第一の表示画素数が記述された第一の文書ファイルを生成し、前記特定部で前記第一の表示装置とは異なる第二の表示装置が特定された第二の場合に、前記第一の表示画素数とは異なる第二の表示画素数が記述された第二の文書ファイルを生成し、
前記記憶制御部は、前記第一の場合に、前記第一の表示装置に、前記画像ファイルと前記第一の文書ファイルとを記憶し、前記第二の場合に、前記第二の表示装置に、前記画像ファイルと前記第二の文書ファイルとを記憶する、制御装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記第一の表示装置及び前記第二の表示装置がそれぞれ前記画像を表示するための表示部の表示画素数を検出する検出部を、さらに備え、
前記生成部は、前記第一の場合に、前記検出部で検出された前記第一の表示装置の前記表示部に対応した表示画素数が記述された前記第一の文書ファイルを生成し、前記第二の場合に、前記検出部で検出された前記第二の表示装置の前記表示部に対応した表示画素数が記述された前記第二の文書ファイルを生成する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記特定部で前記第一の表示装置及び前記第二の表示装置が特定されない第三の場合に、それぞれ異なる表示画素数が記述された複数の文書ファイルを生成し、
前記記憶制御部は、前記第三の場合に、前記画像ファイルと、前記複数の文書ファイルと、を記憶する、請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記生成部は、さらに、前記複数の文書ファイルの中から少なくとも1つの文書ファイルを指定するためのフロント画像を示すフロントファイルを生成する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記生成部は、さらに、前記複数の文書ファイルをそれぞれ用いて表示する前記画像の表示順を示す順序ファイルであって、デフォルトとされる表示画素数の文書ファイルを用いて表示する前記画像が、前記複数の文書ファイルをそれぞれ用いて表示する前記画像の中で先頭に表示されるように規定する前記順序ファイルを生成する、請求項3又は請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記生成部は、さらに、前記表示装置が前記画像を表示するための表示部の表示画素数を検出するための検出プログラムを生成する、請求項3から請求項5の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記表示画素数における縦横比を取得する取得部を、さらに備え、
前記生成部は、さらに、前記取得部で取得された縦横比に対応する前記表示画素数が記述された文書ファイルを生成する、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
原稿を読み取り、前記画像ファイルを生成する読取部と、
前記特定部で特定された表示装置に基づき、前記読取部での読取解像度を変更する設定部と、をさらに備える、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
表示対象の画像ファイルを示すファイル名と、前記画像ファイルによって表される画像の表示画素数と、が記述された複数の文書ファイルであって、それぞれ異なる前記表示画素数が記述された前記複数の文書ファイルを生成する生成部と、
表示装置に、前記画像ファイルと、前記複数の文書ファイルと、を記憶する記憶制御部と、を備える、制御装置。
【請求項10】
制御装置が読み取り可能なコンピュータプログラムであって、
前記制御装置を、
表示対象の画像ファイルを示すファイル名と、前記画像ファイルによって表される画像の表示画素数と、が記述された文書ファイルを生成する生成部と、
前記文書ファイルに従って前記画像を表示するための表示装置を特定する特定部と、
前記表示装置に、前記画像ファイルと前記文書ファイルとを記憶する記憶制御部と、
して機能させ、
前記生成部は、前記特定部で第一の表示装置が特定された第一の場合に、第一の表示画素数が記述された第一の文書ファイルを生成し、前記特定部で前記第一の表示装置とは異なる第二の表示装置が特定された第二の場合に、前記第一の表示画素数とは異なる第二の表示画素数が記述された第二の文書ファイルを生成する、機能を含み、
前記記憶制御部は、前記第一の場合に、前記第一の表示装置に、前記画像ファイルと前記第一の文書ファイルとを記憶し、前記第二の場合に、前記第二の表示装置に、前記画像ファイルと前記第二の文書ファイルとを記憶する、機能を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−203594(P2012−203594A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66832(P2011−66832)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】