説明

券媒体処理システム及び券媒体処理方法

【課題】二次元コードを有する券媒体を用いて、複雑な制御を必要とすることなく改札処理を可能とする。
【解決手段】発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成する入場情報生成手段と、生成された入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体による入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第1配信手段と、着駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の出場情報を生成する出場情報生成手段と、生成された出場情報に基づいて、着駅及び入場駅と着駅との間の各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体による入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第2配信手段と、を備えたことを特徴とする券媒体処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次元コードを有する券媒体を処理する券媒体処理システム及び券媒体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、改札処理の省力化を目的として、改札機が導入されている。この改札機は、利用者が駅構内や遊戯施設などの施設内に入場する場合や、施設内から出場する場合などに、入場券や乗車券などの券媒体の改札情報に基づいて入場処理または出場処理といった改札処理を行う。
【0003】
このような改札機を利用するための券媒体としては、改札情報を磁気情報として記録した磁気式の券媒体や、改札情報を記憶したメモリを有し改札機との間で無線通信が可能な券媒体(ICチップを内蔵したICカードや携帯端末機器などを含む)などが実用化されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、券媒体として、二次元バーコードからなる券情報を有する携帯端末機器、二次元バーコードが印刷された媒体を利用し、入出場処理等を行う券情報処理システムが開示されている。特に、ここでは、券媒体が乗車券として利用される場合に、中央管理装置で生成された乗車券情報が当該乗車券で入場できる乗車区間の全駅に配信され、入場時には二次元バーコードを用いた入場が行われた旨の情報つまりネガティブ情報が全入場可能駅に配信され、出場時には二次元バーコードを用いた出場が行われた旨の情報つまりネガティブ情報が全出場可能駅に配信されることで、不正な使用を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、二次元コードを有する券媒体を用いて、複雑な制御を必要とすることなく改札処理を可能とする券媒体処理システム及び券媒体処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の態様によれば、
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムであって、発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成する入場情報生成手段と、前記入場情報生成手段により生成された入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第1配信手段と、着駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の出場情報を生成する出場情報生成手段と、前記出場情報生成手段により生成された出場情報に基づいて、着駅及び入場駅と着駅との間の各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第2配信手段と、を備えたことを特徴とする券媒体処理システムが提供される。
【0008】
この発明の他の態様によれば、
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムであって、発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成する入場情報生成手段と、前記入場情報生成手段により生成された入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第1配信手段と、入場駅と着駅との間のいずれかの途中出場駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の途中出場情報を生成する途中出場情報生成手段と、前記途中出場情報生成手段により生成された途中出場情報に基づいて、途中出場駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信するとともに、入場駅と途中出場駅との間の各駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第2配信手段と、を備えたことを特徴とする券媒体処理システムが提供される。
【0009】
この発明の他の態様によれば、
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムの券媒体処理方法であって、発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成し、生成した入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信し、着駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の出場情報を生成し、生成した出場情報に基づいて、着駅及び入場駅と着駅との間の各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信することを特徴とする券媒体処理方法が提供される。
【0010】
この発明の他の態様によれば、
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムの券媒体処理方法であって、発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成し、生成した入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信し、途中駅と着駅との間のいずれかの途中出場駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の途中出場情報を生成し、生成した途中出場情報に基づいて、途中出場駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信するとともに、入場駅と途中出場駅との間の各駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信することを特徴とする券媒体処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、二次元コードを有する券媒体を用いて、複雑な制御を必要とすることなく改札処理を可能とする券媒体処理システム及び券媒体処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態における改札システムの一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した改札システムの改札機の一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態における券媒体を用いた改札処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、本実施形態におけるホストコンピュータ及び改札機でのネガティブ情報の処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態の運用例であるケース1を説明するための図である。
【図6】図6は、本実施形態の他の運用例であるケース1を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
特に、本実施形態においては、券媒体処理システムの一例として改札機及びホストコンピュータを備えた改札システムについて説明し、さらに、券媒体処理方法の一例として改札機あるいはホストコンピュータにおける券媒体の二次元コードに基づいた改札処理について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における改札システムの構成を概略的に示すブロック図である。
この改札システムは、改札機1と、改札機1に対する上位機器(あるいは外部機器)として機能するホストコンピュータ4と、を有している。改札機1とホストコンピュータ4とは、通信回線を介して各種情報の送受信を行うように構成されている。図示した例の改札システムにおいて、改札機1は、複数の駅にそれぞれ設置されており、また、ホストコンピュータ4は、例えば、複数の駅に設置された改札機1を管理・監視する鉄道会社の社局サーバなどに相当する。なお、改札機1とホストコンピュータ4との間には、各駅の駅サーバなどが介在していても良い。
【0016】
改札機1は、駅の改札口において利用者が通行可能な改札通路に沿って配置されている。この改札機1は、利用者が所持している券媒体の券情報に基づいて改札処理(つまり、駅構内に入場する際の入場処理や駅構内から出場する際の出場処理などの処理)を行う。このような改札処理では、改札機1は、券媒体から読み取った券情報に基づいて改札通路の通行の可否を判定する。
【0017】
このような改札機1で利用可能な券媒体としては、改札処理に必要な券情報(すなわち、固有の識別情報、有効区間、有効期間などの各種情報を含む)に対応した二次元コードを有するものである。有効区間とは、券媒体が発行される際に予め設定された発駅から着駅までの区間である。有効期間については、通常の券媒体では発行当日限り有効となるように設定されるが、有効区間(あるいは距離)や券媒体の種類などに応じて使用開始日から数日間にわたり有効となるように設定される場合もある。
【0018】
改札機1は、券情報に基づいて改札処理を行い、券媒体の有効性「有り」(つまり、利用者の改札通路の通過を許可する)と判定した場合には、改札済情報を生成する。この改札済情報は、券媒体の券情報に基づいて生成されるものであり、券情報と同一の固有の識別情報及び有効区間を含んでおり、改札済(つまり、入場済み、あるいは、出場済み)である旨の情報に相当する。このような改札済情報には、入場情報、出場情報、途中出場情報、再入場情報などがある。このような改札済情報は、ホストコンピュータ4に送信される。
【0019】
ホストコンピュータ4は、図示した改札システム上の改札機1などの下位機器を管理し、下位機器における処理データを集計したり、下位機器の動作状況を監視したりする。このホストコンピュータ4は、第1乃至第4配信手段として機能する制御部41、通信部42、メモリ43、ネガティブ情報生成部44などを有している。
【0020】
制御部41は、ホストコンピュータ4の制御のみならず、改札システム全体の制御を行う。通信部42は、下位機器との間で種々の情報の送受信を行うインターフェースである。メモリ43は、ホストコンピュータ4を制御するための制御データなどの各種データに加えて、下位機器から送信された各種情報を記憶している。また、メモリ43は、改札機1から送信された入場情報、出場情報、途中出場情報、再入場情報などの各種改札済情報を記憶している。
【0021】
ネガティブ情報生成部44は、改札機1から送信された改札済情報に基づいてネガティブ情報を生成する。このネガティブ情報とは、券媒体の二次元コードに基づいたによる改札処理を不許可とする旨の情報である。ネガティブ情報には、入場処理及び出場処理をともに不許可とするネガティブ情報(第1ネガティブ情報)、出場処理のみを不許可とするネガティブ情報(第2ネガティブ情報)、あるいは、入場処理のみを不許可とするネガティブ情報(第3ネガティブ情報)がある。このようなネガティブ情報は、改札済情報と同一の固有の識別情報(つまり、券情報と同一の識別情報)を含んでいる。
【0022】
このような構成のホストコンピュータ4において、制御部41は、改札済情報の有効区間に基づいて、ネガティブ情報生成部44により生成されたネガティブ情報を配信すべき駅を判断し、配信すべきと判断された駅の改札機1に対して、ネガティブ情報を配信する。
【0023】
次に、上述した改札システムに適用可能な改札機1の構成について説明する。
【0024】
図2は、改札機1の構成を概略的に示すブロック図である。
【0025】
すなわち、改札機1は、制御部11、通信部12、記憶手段として機能するメモリ13、表示部14、読取手段として機能する読取部15、ネガティブ情報判断手段として機能するネガティブ情報判断部16、有効区間判断手段として機能する有効区間判断部17、ドア制御部18、情報生成手段として機能する情報生成部19などを有している。情報生成部19は、入場情報生成手段、出場情報生成手段、途中出場情報生成手段、及び、再入場情報生成手段としても機能する。
【0026】
制御部11は、券媒体による改札処理に際して、改札機1を構成する各部の制御を行うものである。通信部12は、上位のホストコンピュータ4との通信を行うインターフェースである。メモリ13は、改札機1の制御に必要な制御データや、改札処理を行うのに必要な各種データなどを記憶している。また、このメモリ13は、ホストコンピュータ4から配信されたネガティブ情報を記憶している。
【0027】
表示部14は、液晶表示器などで構成されている。この表示部14は、制御部11による制御に基づいて、改札機1を利用する利用者に対して操作を案内する画面や券媒体の有効性(つまり、利用者の改札通路の通行を許可するか否か)の判定結果などに対応した案内画面を表示する。
【0028】
読取部15は、制御部11による制御に基づいて、利用者が持参する券媒体から二次元コードを読み取る。この読取部15は、利用者によって翳された券媒体から二次元コードを読み取り可能な所定の読取エリアを有している。このような読取部15は、例えば、二次元コードを光学的に読み取るスキャナなどによって構成される。
【0029】
ネガティブ情報判断部16は、制御部11による制御に基づいて、読取部15により読み取られた二次元コードに基づき対応するネガティブ情報がメモリ13に記憶されているか否かを判断する。より具体的には、ネガティブ情報判断部16は、二次元コードから得られた券情報に含まれる識別情報を基に、メモリ13に記憶されているネガティブ情報を参照し、この中から該当する識別情報(つまり、読み取った券媒体から得た識別情報と同一の識別情報)を含むネガティブ情報が存在するか否かを判断する。
【0030】
有効区間判断部17は、制御部11による制御に基づいて、読取部15により読み取られた二次元コードに基づき当該改札機1が設置された当該駅が有効区間内であるか否かを判断する。より具体的には、有効区間判断部17は、二次元コードから得られた券情報に含まれる有効区間内に当該駅が含まれるか否かを判断する。
【0031】
ドア制御部18は、制御部11による制御に基づいて、改札機1に設けられているドア機構18Aの開閉を制御するものであり、有効性の判定結果に対応して改札通路を開放したり閉鎖したりする。ここでは、ネガティブ情報判断部16により対応するネガティブ情報がメモリ13に記憶されていないと判断され、且つ、有効区間判断部17により有効区間内であると判断された場合に、有効性「有り」と判定され、それ以外の場合には、有効性「無し」と判定される。ドア制御部18は、有効性「有り」と判定された場合に、利用者の改札通路の通行を許可するため、ドア機構18Aを駆動し、改札通路を開放する。また、ドア制御部18は、有効性「無し」と判定された場合に、利用者の改札通路の通行を不許可するため、ドア機構18Aを駆動し、改札通路を閉鎖する。
【0032】
情報生成部19は、制御部11による制御に基づいて、有効性の判定結果として、有効性「有り」と判定された場合に、改札済情報を生成する。より具体的には、情報生成部19は、読み取った二次元コードから得られた券情報に基づいて改札済情報を生成する。このような改札済情報は、上述した通り、券情報と同一の固有の識別情報、有効期間、有効区間などの各種情報を含でいる。
【0033】
このような情報生成部19は、有効区間内の入場駅における入場処理に際して、有効性「有り」と判定された場合に入場情報を生成する。また、情報生成部19は、有効区間の着駅における出場処理に際して、有効性「有り」と判定された場合に出場情報を生成する。また、情報生成部19は、入場駅と着駅との間の途中出場駅における出場処理に際して、有効性「有り」と判定された場合に途中出場情報を生成する。また、情報生成部19は、途中出場駅から着駅までの間の再入場駅における入場処理に際して、有効性「有り」と判定された場合に再入場情報を生成する。
【0034】
なお、このような改札機1は、必要に応じて、磁気式の券媒体を処理する磁気券処理部や無線式の券媒体を処理するカードリーダライタなどを備えていても良い。これらの磁気券処理部及びカードリーダライタについては説明を省略する。
【0035】
次に、二次元コードを有する券媒体を用いた改札処理について改札機1の各部の動作とともに説明する。
図3は、本実施形態における二次元コードを有する券媒体を用いた改札処理(つまり、入場処理または出場処理)を説明するためのフローチャートである。
【0036】
まず、制御部11は、券媒体が所定の読取エリアに翳されたと判定したのに基づいて(ST11、YES)、読取部15を制御して、券媒体から二次元コードを読み取る(ST12)。そして、読取部15は、二次元コードの読み取りが正常に完了したのに伴い、読取結果つまり読み取った二次元コードから得られた券情報(少なくとも識別情報及び有効区間を含む)をネガティブ情報判断部16、有効区間判断部17、及び、情報生成部19に出力する。
【0037】
そして、制御部11は、券媒体の二次元コードに基づいた改札処理を行う。ここに示した例では、当該券媒体の二次元コードに基づいた改札処理を不許可とするネガティブ情報の有無と、当該券媒体の有効区間とに基づいて、当該券媒体の有効性の有無を判定する改札処理について説明する。なお、このような改札処理では、詳述しないが、当該券媒体の有効期間を含めて有効性の有無を判定しても良く、券媒体の種類などに応じて改札処理に必要な項目を変更しても良い。
【0038】
まず、制御部11は、ネガティブ情報判断部16を制御して、読取部15から入力された券情報に基づいて対応するネガティブ情報がメモリ13に記憶されているか否かを判断する(ST13)。より具体的には、ネガティブ情報判断部16は、入力された券情報に含まれる識別情報を基に、メモリ13に記憶されているネガティブ情報を参照し、この中から該当する識別情報を含むネガティブ情報が存在するか否かを判断する。
【0039】
そして、制御部11は、有効区間判断部17を制御して、読取部15から入力された券情報に基づき、当該改札機1が設置された当該駅が券情報に含まれる有効区間内であるか否かを判断する(ST14)。より具体的には、有効区間判断部17は、入力された券情報に含まれる有効区間内に当該駅が含まれる否かを判断する。
【0040】
そして、制御部11は、ネガティブ情報判断部16による判断結果、及び、有効区間判断部17による判断結果に基づいて、有効性を判定する(ST15)。すなわち、制御部11は、ネガティブ情報判断部16により該当するネガティブ情報が存在しないとの判断がなされ、且つ、有効区間判断部17により当該駅が有効区間内であるとの判断がなされた場合に、有効性「有り」と判定し、利用者の改札通路の通行を許可すると判定する(ST15、YES)。そして、制御部11は、ドア制御部18を制御してドア機構18Aを駆動し、改札通路を開放する(ST16)。
【0041】
また、制御部11は、ネガティブ情報判断部16により該当するネガティブ情報が存在するとの判断がなされた場合、あるいは、有効区間判断部により当該駅が有効区間外であるとの判断がなされた場合に、有効性「無し」と判定し、利用者の改札通路の通行を許可しないと判定する(ST15、NO)。そして、制御部11は、ドア制御部18を制御してドア機構18Aを駆動し、改札通路を閉鎖する(ST17)。
【0042】
そして、制御部11は、有効性「有り」と判定したのに基づいて、情報生成部19を制御して改札済情報(少なくとも券情報と同一の識別情報及び有効区間を含む)を生成する(ST18)。そして、制御部11は、通信部12から通信回線を介して、情報生成部19によって生成された改札済情報をホストコンピュータ4に送信する(ST19)。
【0043】
以上のようなステップを経て二次元コードを有する券媒体による改札処理を終了する。
【0044】
次に、ネガティブ情報が改札機1に配信されるまでの配信処理についてホストコンピュータ4の各部の動作及び改札機1の各部の動作について説明する。
図4は、本実施形態におけるホストコンピュータ4及び改札機1でのネガティブ情報の処理を説明するためのフローチャートである。
【0045】
すなわち、ホストコンピュータ4の制御部41は、通信部42から通信回線を介して改札機1から改札済情報を受信したのに基づいて(ST21、YES)、受信した改札済情報をメモリ43に記憶する(ST22)。
【0046】
そして、制御部41は、ネガティブ情報生成部44を制御して、受信した改札済情報に基づいたネガティブ情報(少なくとも改札済情報と同一の識別情報を含む)を生成する(ST23)。そして、制御部41は、受信した改札済情報に含まれる有効区間に基づいて、生成したネガティブ情報を配信すべき駅を判断する(ST24)。
【0047】
そして、制御部41は、配信すべきと判断した駅の改札機1に対して、ネガティブ情報を配信する(ST25)。なお、このようなネガティブ情報は、ホストコンピュータ4から改札機1に対して直接配信されても良いが、ホストコンピュータ4から配信すべき駅に設置された駅サーバに配信された後に、駅サーバから改札機1に配信されても良い。
【0048】
一方、改札機1の制御部11は、通信部12から通信回線を介してホストコンピュータ4からネガティブ情報を受信したのに基づいて(ST26、YES)、受信したネガティブ情報をメモリ13に記憶する(ST27)。
以上のようなステップを経てネガティブ情報の配信処理を終了する。
【0049】
次に、より具体的な例を参照しながらネガティブ情報の配信について説明する。
≪ケース1≫
図5は、ケース1を説明するための図である。
ここでは、図示したように、一経路上に、A駅、B駅、C駅、D駅、E駅があり、各駅にはそれぞれ改札機が設置されている。A駅には複数の改札機A1、A2…が設置され、B駅には複数の改札機B1、B2…が設置され、C駅には複数の改札機C1、C2…が設置され、D駅には複数の改札機D1、D2…が設置され、E駅には複数の改札機E1、E2…が設置されている。
【0050】
利用者が有する券媒体は、A駅から、B駅、C駅、及び、D駅を経由して、E駅に至る有効区間を有している。つまり、A駅が発駅に相当し、E駅が着駅に相当し、B駅、C駅、及び、D駅が発駅と着駅との間の途中駅に相当する。なお、この有効区間は、方向性が定められている。つまり、このような有効区間を有する券媒体は、発駅(A駅)から着駅(E駅)に向かう方向のみ利用が可能であり、逆戻りつまり入場した駅から発駅側に戻る利用は認められない。
【0051】
まず、利用者が発駅(A駅)から途中駅(B駅、C駅、D駅)までのいずれかの駅から入場する場合について説明する。例えば、利用者がC駅から入場する場合、このC駅が入場駅に相当する。入場駅(C駅)に設置されたいずれかの改札機C1において、券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた場合、改札機C1の情報生成部19では、入場処理が行われた旨の改札済情報である入場情報を生成する。生成された入場情報には、二次元コードから得られた券情報のうちの識別情報及び有効区間が含まれている。改札機C1では、生成した入場情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0052】
ホストコンピュータ4では、改札機C1から入場情報を受信する。そして、ホストコンピュータ4では、改札機C1で生成された入場情報に基づいて、当該券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理をともに不許可とするネガティブ情報を生成する。このネガティブ情報には、受信した入場情報のうちの識別情報が含まれる。
【0053】
そして、ホストコンピュータ4では、受信した入場情報のうちの有効区間に基づいてネガティブ情報を配信すべき駅を判断する。ネガティブ情報を配信すべき駅は、発駅から入場駅までの各駅である。ここに示した例では、発駅であるA駅から入場駅であるC駅までの各駅、つまり、A駅、B駅、及び、C駅がネガティブ情報を配信すべき駅と判断される。
【0054】
そして、ホストコンピュータ4は、A駅に設置されたすべての改札機A1、A2…、B駅に設置されたすべての改札機B1、B2…、C駅に設置されたすべての改札機C1、C2…に対してネガティブ情報を配信する。ネガティブ情報を受信した各改札機は、それぞれのメモリ13にネガティブ情報を記憶する。
【0055】
このようなネガティブ情報の配信により、C駅から入場した上で、A駅やB駅から出場するといった発駅(A駅)側に戻る誤った利用を阻止することができる。
【0056】
なお、利用者がA駅から入場する場合、発駅であるA駅が入場駅に相当する。この場合、ネガティブ情報を配信すべき駅はA駅であると判断される。そして、A駅の改札機A1、A2…にネガティブ情報が配信される。
【0057】
続いて、利用者が着駅(E駅)から出場する場合について説明する。着駅(E駅)に設置されたいずれかの改札機E1において、券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた場合、改札機E1の情報生成部19では、出場処理が行われた旨の改札済情報である出場情報を生成する。生成された出場情報には、二次元コードから得られた券情報のうちの識別情報及び有効区間が含まれている。改札機E1では、生成した出場情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0058】
ホストコンピュータ4では、改札機E1から出場情報を受信する。そして、ホストコンピュータ4では、改札機E1で生成された出場情報に基づいて、当該券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理をともに不許可とするネガティブ情報を生成する。このネガティブ情報には、受信した出場情報のうちの識別情報が含まれる。
【0059】
そして、ホストコンピュータ4では、受信した出場情報のうちの有効区間に基づいてネガティブ情報を配信すべき駅を判断する。ネガティブ情報を配信すべき駅は、着駅、及び、入場駅と着駅との間の各駅である。ここに示した例では、着駅であるE駅と、入場駅(C駅)と着駅(E駅)との間の各駅、つまり、D駅とがネガティブ情報を配信すべき駅と判断される。
【0060】
そして、ホストコンピュータ4は、D駅に設置されたすべての改札機D1、D2…、E駅に設置されたすべての改札機E1、E2…に対してネガティブ情報を配信する。ネガティブ情報を受信した各改札機は、それぞれのメモリ13にネガティブ情報を記憶する。
【0061】
このようなネガティブ情報の配信により、E駅から出場した上で、A駅やB駅やC駅やD駅から再入場するといった誤った利用を阻止することができる。
【0062】
なお、利用者が着駅であるE駅より手前の駅、つまりB駅、C駅、D駅で出場した場合には、後述するケース2の途中出場に相当する。
また、ここでの「券媒体の二次元コードに基づいた入場処理」、及び、「券媒体の二次元コードに基づいた出場処理」とは、図3を参照して説明した改札処理に相当するので、説明を省略する。
【0063】
≪ケース2≫
図6は、ケース2を説明するための図である。
ここでは、ケース1と同様に、一経路上に、A駅、B駅、C駅、D駅、E駅があり、また、A駅には複数の改札機A1、A2…が設置され、B駅には複数の改札機B1、B2…が設置され、C駅には複数の改札機C1、C2…が設置され、D駅には複数の改札機D1、D2…が設置され、E駅には複数の改札機E1、E2…が設置されている。
【0064】
利用者が有する券媒体は、A駅から、B駅、C駅、及び、D駅を経由して、E駅に至る有効区間を有している。つまり、A駅が発駅に相当し、E駅が着駅に相当し、B駅、C駅、及び、D駅が発駅と着駅との間の途中駅に相当する。なお、この有効区間は、A駅からE駅に向かう方向のみ利用が可能であり、逆戻りつまり入場した駅からA駅側に戻る利用は認められない。
【0065】
まず、利用者が発駅(A駅)から途中駅(B駅、C駅、D駅)までのいずれかの駅から入場する場合について説明する。例えば、利用者がA駅から入場する場合、このA駅が入場駅に相当する。入場駅(A駅)に設置されたいずれかの改札機A1において、券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた場合、改札機A1の情報生成部19では、入場処理が行われた旨の改札済情報である入場情報を生成する。生成された入場情報には、二次元コードから得られた券情報のうちの識別情報及び有効区間が含まれている。改札機A1では、生成した入場情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0066】
ホストコンピュータ4では、改札機A1から入場情報を受信する。そして、ホストコンピュータ4では、改札機A1で生成された入場情報に基づいて、当該券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理をともに不許可とする第1ネガティブ情報を生成する。この第1ネガティブ情報には、受信した入場情報のうちの識別情報が含まれる。
【0067】
そして、ホストコンピュータ4では、受信した入場情報のうちの有効区間に基づいて第1ネガティブ情報を配信すべき駅を判断する。第1ネガティブ情報を配信すべき駅は、発駅から入場駅までの各駅である。ここに示した例では、発駅であり入場駅であるA駅が第1ネガティブ情報を配信すべき駅と判断される。
【0068】
そして、ホストコンピュータ4は、A駅に設置されたすべての改札機A1、A2…に対して第1ネガティブ情報を配信する。第1ネガティブ情報を受信した各改札機A1、A2…は、それぞれのメモリ13にネガティブ情報を記憶する。
【0069】
続いて、利用者が入場駅(A駅)と着駅(E駅)との間のいずれかの駅から途中出場する場合について説明する。例えば、利用者がC駅から出場する場合、このC駅が途中出場駅に相当する。途中出場駅(C駅)に設置されたいずれかの改札機C1において、券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた場合、改札機C1の情報生成部19では、出場処理が行われた旨の改札済情報である途中出場情報を生成する。生成された途中出場情報には、二次元コードから得られた券情報のうちの識別情報及び有効区間が含まれている。改札機C1では、生成した出場情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0070】
ホストコンピュータ4では、改札機C1から途中出場情報を受信する。そして、ホストコンピュータ4では、改札機C1で生成された途中出場情報に基づいて、当該券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理をともに不許可とする第1ネガティブ情報を生成するとともに、当該券媒体の二次元コードに基づいた入場処理を許可とする一方で当該券媒体の二次元コードに基づいた出場処理を不許可とする第2ネガティブ情報を生成する。これらの第1ネガティブ情報及び第2ネガティブ情報には、受信した途中出場情報のうちの識別情報が含まれる。
【0071】
そして、ホストコンピュータ4では、受信した途中出場情報のうちの有効区間に基づいて第1ネガティブ情報及び第2ネガティブ情報を配信すべき駅を判断する。第1ネガティブ情報を配信すべき駅は、入場駅と途中出場駅との間の各駅である。ここに示した例では、入場駅(A駅)と途中出場駅(C駅)との間の各駅、つまり、B駅が第1ネガティブ情報を配信すべき駅と判断される。第2ネガティブ情報を配信すべき駅は、途中出場駅であり、ここに示した例では、C駅が第2ネガティブ情報を配信すべき駅と判断される。
【0072】
そして、ホストコンピュータ4は、B駅に設置されたすべての改札機B1、B2…に対して第1ネガティブ情報を配信するとともに、C駅に設置されたすべての改札機C1、C2…に対して第2ネガティブ情報を配信する。第1ネガティブ情報を受信した各改札機B1、B2…は、それぞれのメモリ13に第1ネガティブ情報を記憶する。第2ネガティブ情報を受信した各改札機C1、C2…は、それぞれのメモリ13に第2ネガティブ情報を記憶する。
【0073】
このような第1ネガティブ情報及び第2ネガティブ情報の配信により、C駅から途中出場した上で、A駅やB駅から再入場するといった誤った利用を阻止することができるとともに、C駅からの再入場を可能とすることができる。
【0074】
続いて、利用者が途中出場駅(C駅)から着駅(E駅)までのいずれかの駅(C駅、D駅、E駅)から再入場する場合について説明する。例えば、利用者がC駅から再入場する場合、このC駅が再入場駅に相当する。再入場駅(C駅)に設置されたいずれかの改札機C1において、券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた場合、改札機C1の情報生成部19では、入場処理が行われた旨の改札済情報である再入場情報を生成する。生成された再入場情報には、二次元コードから得られた券情報のうちの識別情報及び有効区間が含まれている。改札機C1では、生成した再入場情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0075】
ホストコンピュータ4では、改札機C1から再入場情報を受信する。そして、ホストコンピュータ4では、改札機C1で生成された再入場情報に基づいて、当該券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理をともに不許可とする第1ネガティブ情報を生成する。この第1ネガティブ情報には、受信した再入場情報のうちの識別情報が含まれる。
【0076】
そして、ホストコンピュータ4では、受信した再入場情報のうちの有効区間に基づいて第1ネガティブ情報を配信すべき駅を判断する。第1ネガティブ情報を配信すべき駅は、途中出場駅から再入場駅までの各駅である。ここに示した例では、途中出場駅であり再入場駅であるC駅が第1ネガティブ情報を配信すべき駅と判断される。なお、途中出場駅と再入場駅とが同一駅である場合、この途中出場駅には、出場処理のみを不許可とする第2ネガティブ情報がすでに配信されているため、さらに、入場処理のみを不許可とする第3ネガティブ情報を生成し、これを配信しても良い。
【0077】
そして、ホストコンピュータ4は、C駅に設置されたすべての改札機C1、C2…に対して第1ネガティブ情報を配信する。第1ネガティブ情報を受信した各改札機C1、C2…は、それぞれのメモリ13に第1ネガティブ情報を記憶する。
【0078】
続いて、利用者が着駅(E駅)から出場する場合について説明する。着駅(E駅)に設置されたいずれかの改札機E1において、券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた場合、改札機E1の情報生成部19では、出場処理が行われた旨の改札済情報である出場情報を生成する。生成された出場情報には、二次元コードから得られた券情報のうちの識別情報及び有効区間が含まれている。改札機E1では、生成した出場情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0079】
ホストコンピュータ4では、改札機E1から出場情報を受信する。そして、ホストコンピュータ4では、改札機E1で生成された出場情報に基づいて、当該券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理をともに不許可とする第1ネガティブ情報を生成する。この第1ネガティブ情報には、受信した出場情報のうちの識別情報が含まれる。
【0080】
そして、ホストコンピュータ4では、受信した出場情報のうちの有効区間に基づいて第1ネガティブ情報を配信すべき駅を判断する。第1ネガティブ情報を配信すべき駅は、着駅、及び、再入場駅と着駅との間の各駅である。ここに示した例では、着駅であるE駅と、再入場駅(C駅)と着駅(E駅)との間の各駅、つまり、D駅とが第1ネガティブ情報を配信すべき駅と判断される。
【0081】
そして、ホストコンピュータ4は、D駅に設置されたすべての改札機D1、D2…、E駅に設置されたすべての改札機E1、E2…に対して第1ネガティブ情報を配信する。第1ネガティブ情報を受信した各改札機は、それぞれのメモリ13に第1ネガティブ情報を記憶する。
【0082】
このような第1ネガティブ情報の配信により、E駅から出場した上で、A駅やB駅やC駅やD駅から再入場するといった誤った利用を阻止することができる。
【0083】
なお、ここでの「券媒体の二次元コードに基づいた入場処理」、及び、「券媒体の二次元コードに基づいた出場処理」とは、図3を参照して説明した改札処理に相当するので、説明を省略する。
また、ケース1及びケース2において、A駅、B駅、C駅、D駅、E駅のそれぞれの駅間に1つ以上の図示しない駅が介在していても良い。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、二次元コードを有する券媒体を用いて改札処理を行う券媒体処理システムにおいて、所定の有効区間を有する券媒体を用いて改札処理を行った際に、有効区間内の必要な駅のみに券媒体による改札処理(つまり、入場処理や出場処理)を不許可とするネガティブ情報が配信される。このため、複雑な制御を必要とすることなく利用者の誤った利用を阻止し、正常な運用に沿った改札処理を行うことが可能となる。また、システム上に配信される情報量も低減することが可能となる。
【0085】
特に、本実施形態によれば、券媒体が発行された際に、乗車区間に含まれるすべての駅に対して乗車券情報を配信し、入場が許可されたときに全入場可能駅にネガティブ情報を配信し、また、出場が許可されたときに全出場可能駅にネガティブ情報を配信するといった手法と比較して、改札機とホストコンピュータとの間での情報のやり取りが簡素化され、システム上の負荷を軽減することが可能となる。
【0086】
また、改札機では、配信済みのネガティブ情報の有無、券媒体から読み取った有効区間などに基づいて券媒体の有効性の有無を判断している。このため、券媒体の有効性の有無を判断するに際して、改札機からホストコンピュータへの問合せを行う必要がなく、速やかな改札処理を実現できる。
【0087】
また、改札機が利用者によって翳された券媒体から二次元コードを読み取る構成を適用した場合には、券媒体を機体内に取り込んで搬送するといった機構が不要であり、省資源化、装置本体のコストの低減、及び、システムの導入コストの低減が可能となる。
【0088】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0089】
本実施形態で適用可能な券媒体の種類として、乗り降り自由なフリーエリアを有効区間として有するいわゆるフリー切符や周遊券も含まれる。これらのフリーエリアを有効区間として有する券媒体の場合、フリーエリア内では入場処理や出場処理に際してネガティブ情報の配信は行われず、発駅からフリーエリアへの入口駅(着駅)までの区間内において上記した本実施形態のネガティブ情報の配信が行われる。
【符号の説明】
【0090】
1…改札機(券媒体処理装置)
11…制御部
13…メモリ(記憶手段)
15…読取部(読取手段)
16…ネガティブ情報判断部(ネガティブ情報判断手段)
17…有効区間判断部(有効区間判断手段)
18…ドア制御部 18A…ドア機構
19…情報生成部(情報生成手段;入場情報生成手段、出場情報生成手段、途中出場情報生成手段、及び、再入場情報生成手段)
4…ホストコンピュータ
41…制御部(第1乃至第4配信手段)
44…ネガティブ情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムであって、
発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成する入場情報生成手段と、
前記入場情報生成手段により生成された入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第1配信手段と、
着駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の出場情報を生成する出場情報生成手段と、
前記出場情報生成手段により生成された出場情報に基づいて、着駅及び入場駅と着駅との間の各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第2配信手段と、
を備えたことを特徴とする券媒体処理システム。
【請求項2】
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムであって、
発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成する入場情報生成手段と、
前記入場情報生成手段により生成された入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第1配信手段と、
入場駅と着駅との間のいずれかの途中出場駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の途中出場情報を生成する途中出場情報生成手段と、
前記途中出場情報生成手段により生成された途中出場情報に基づいて、途中出場駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信するとともに、入場駅と途中出場駅との間の各駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第2配信手段と、
を備えたことを特徴とする券媒体処理システム。
【請求項3】
さらに、途中出場駅から着駅までのいずれかの再入場駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の再入場情報を生成する再入場情報生成手段と、
前記再入場情報生成手段により生成された再入場情報に基づいて、途中出場駅から再入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第3配信手段と、
着駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の出場情報を生成する出場情報生成手段と、
前記出場情報生成手段により生成された出場情報に基づいて、着駅及び再入場駅と着駅との間の各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信する第4配信手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の券媒体処理システム。
【請求項4】
発駅から着駅までの各駅に設置された改札機は、
前記第1乃至第4配信手段から配信されたネガティブ情報を記憶する記憶手段と、
券媒体から二次元コードを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記二次元コードに基づき対応するネガティブ情報が前記記憶手段に記憶されているか否かを判断するネガティブ情報判断手段と、
当該改札機が設置された駅が前記読取手段により読み取られた前記二次元コードの有効区間内であるか否かを判断する有効区間判断手段と、
前記ネガティブ情報判断手段により対応するネガティブ情報が前記記憶手段に記憶されていないと判断され、且つ、前記有効区間判断手段により有効区間内であると判断されたのに基づいて、改札通路を開放するドア機構と、
を備え、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理または出場処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の券媒体処理システム。
【請求項5】
前記改札機は、さらに、入場情報生成手段、出場情報生成手段、途中出場情報生成手段、及び、再入場情報生成手段を含む情報生成手段を備え、
前記情報生成手段は、前記ネガティブ情報判断手段により対応するネガティブ情報が前記記憶手段に記憶されていないと判断され、且つ、前記有効区間判断手段により有効区間内であると判断されたのに基づいて、入場情報、出場情報、途中出場情報、及び、再入場情報を生成することを特徴とする請求項4に記載の券媒体処理システム。
【請求項6】
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムの券媒体処理方法であって、
発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成し、
生成した入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信し、
着駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の出場情報を生成し、
生成した出場情報に基づいて、着駅及び入場駅と着駅との間の各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信することを特徴とする券媒体処理方法。
【請求項7】
発駅から途中駅を経由して着駅に至る有効区間に対応した二次元コードを有する券媒体により、発駅から着駅までの各駅に設置された改札機によって入場処理及び出場処理を行う券媒体処理システムの券媒体処理方法であって、
発駅から途中駅までのいずれかの入場駅に設置された改札機において券媒体の二次元コードに基づいた入場処理が行われた旨の入場情報を生成し、
生成した入場情報に基づいて、発駅から入場駅までの各駅に設置された改札機に対して、前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信し、
途中駅と着駅との間のいずれかの途中出場駅に設置された改札機において前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理が行われた旨の途中出場情報を生成し、
生成した途中出場情報に基づいて、途中出場駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信するとともに、入場駅と途中出場駅との間の各駅に設置された改札機に対して前記券媒体の二次元コードに基づいた入場処理及び出場処理を不許可とするネガティブ情報を配信することを特徴とする券媒体処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−197825(P2011−197825A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61541(P2010−61541)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】