説明

刺股用警報装置

【課題】暴漢等に対応するような緊迫した状況においても、警報ブザーを確実に作動させることのできる刺股用警報装置を提供する。
【解決手段】刺股1の柄2が略水平になるように刺股1を持って構えると、警報装置10の警報ブザーから警報音を出力するようにしたので、例えば学校等の施設に侵入した暴漢等を制圧する際、警報音によって相手を威嚇することができ、警報音で相手が怯んだ隙きに刺股1のアーム4で相手を拘束するなど、刺股自体の取扱いに不慣れであっても暴漢等を効果的に制圧することができる。この場合、壁等に立てかけておいた刺股1を柄2が略水平になるように持って構えると、傾斜スイッチがオンになって自動で警報ブザーが作動するようにしたので、手動のスイッチを用いる場合に比べ、暴漢等に対応するような緊迫した状況においても、警報ブザーを確実に作動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば学校その他各種施設の防犯または警備用の刺股に用いられる刺股用警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の刺股としては、両端側が左右方向に向かって二股状に延びるアームを長い柄の先端に取付け、暴漢や犯人を取り押さえる際、柄を把持して刺股本体を相手の胴体に押し付けることにより、抵抗する相手を制圧するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、アームを相手に押し付けるだけでは取り逃がしやすいため、開閉可能なアームにより相手を拘束するようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
ところで、前記刺股は、十分な訓練を受けた警察官や警備員等によって使用される場合が多いが、近年では学校等の一般施設に防犯用として配置されるものが増えている。しかしながら、取扱いに不慣れな学校の教職員や一般人では、抵抗する相手を効果的に制圧することが困難であった。
【0004】
そこで、刺股に警報ブザーを取付け、暴漢等に対応する際に警報ブザーを作動させることにより、相手を威嚇するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2001−289593号公報
【特許文献2】実用新案登録第3114292号公報
【特許文献3】特開2005−345082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記刺股では、警報ブザーを紐やボタンスイッチによって手動で作動させるようにしているため、暴漢等に対応するような緊迫した状況においては、警報ブザーの操作に手間取ったり、或いは緊張や恐怖感により操作することができない場合もあり、警報ブザーによる威嚇を確実に行うことができないという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、暴漢等に対応するような緊迫した状況においても、警報ブザーを確実に作動させることのできる刺股用警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、柄の先端に相手を拘束するためのアームを設けてなる刺股に取付けて使用される刺股用警報装置において、前記刺股に取付られる本体ケースと、本体ケースの傾斜を検知する傾斜検知手段と、刺股の柄が略水平になるように本体ケースが所定の向きまで傾斜したことを検知すると警報音を出力する警報ブザーとを備えている。
【0008】
これにより、例えば壁等に立てかけておいた刺股を柄が略水平になるように持って構えると、傾斜検知手段によって自動で警報ブザーが作動する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の刺股によれば、刺股の柄が略水平になるように刺股を持って構えると、警報ブザーから警報音が出力されるので、例えば学校等の施設に侵入した暴漢等を制圧する際、警報音によって相手を威嚇することができ、警報音で相手が怯んだ隙きに刺股のアームで相手を拘束するなど、刺股自体の取扱いに不慣れであっても暴漢等を効果的に制圧することができる。この場合、例えば壁等に立てかけておいた刺股を柄が略水平になるように持って構えると、自動で警報ブザーが作動するので、手動のスイッチを用いる場合に比べ、暴漢等に対応するような緊迫した状況においても、警報ブザーを確実に作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1乃至図8は本発明の一実施形態を示すもので、図1は刺股用警報装置の上面側斜視図、図2はその底面側斜視図、図3は制御系を示すブロック図、図4は刺股用警報装置の取付状態を示す斜視図、図5は刺股用警報装置を取付けた刺股の正面図、図6はその動作を示す正面図、図7及び図8はその使用状態を示す側面図である。
【0011】
同図に示す刺股1は、パイプ状の部材からなる柄2と、柄2に軸方向に摺動自在に設けられたシャフト3と、一端をシャフト3に回動自在に連結された湾曲形状の一対のアーム4と、柄2の先端側と各アーム4とを連結する一対のリンク5とからなり、シャフト3の先端に設けられた押圧部3を前方の相手に押し付けると、シャフト3が後退するとともに、各アーム4が各リンク5によって内側に閉じて相手を拘束するようになっている。この場合、柄2の内部にはラッチ等からなるロック機構(図示せず)が設けられ、ロック機構によってシャフト3をロックすることにより、各アーム4が開く方向への回動を規制されるようになっている。
【0012】
本実施形態の警報装置10は、刺股1に取付られる本体ケース11と、本体ケース11の傾斜を検知する傾斜検知手段としての傾斜スイッチ12と、警報音を発する警報ブザー13と、刺股1の前方に向かって発光する発光部14とを備え、刺股1の柄2が水平になるように本体ケース11を所定の向きまで傾斜させると、警報ブザー13が警報音を出力し、発光部14が発光するようになっている。
【0013】
本体ケース11は前後方向(柄2の長手方向)に長い箱状に形成され、その上面には警報音出力用の複数の貫通孔11aが設けられている。本体ケース11は刺股1の柄2に固定するための固定具としての一対の止めベルト11bを有し、各止めベルト11bは本体ケース11の両側面下部を幅方向に貫通するように設けられている。止めベルト11bは一端側が他端側の係止孔11cに挿入されるように形成された周知の構成からなり、一端側を刺股1の柄2に巻き付けて係止孔11cに係止することにより、本体ケース11を柄2に固定するようになっている。また、本体ケース11の底面には刺股1の柄2に当接する一対の弾性部材11dが互いに幅方向に間隔をおいて設けられ、各弾性部材11dは本体ケース11の長手方向に延びるゴムやウレタン等の弾性材によって形成されている。
【0014】
傾斜スイッチ12は、例えば球体の転がりを利用したものなど、所定の角度以上傾くと電気的にスイッチをオンにする周知の機器からなり、制御回路12aに接続されている。即ち、傾斜スイッチ12は、本体ケース11が長手方向を鉛直方向に向けた状態ではオフとなり、本体ケース11が長手方向を略水平方向に向けた状態まで傾くとオンになるように設定されている。
【0015】
警報ブザー13は、例えば圧電ブザー素子を用いた周知の機器からなり、本体ケース11の貫通孔11aから警報音を出力するように設けられている。警報ブザー13は発振回路13a及び昇圧回路13bを介して制御回路12aに接続され、制御回路12aから発振回路13aに駆動信号が出力されると、図示しない電源から電圧が印加され、発振回路13aの警報出力信号を昇圧回路13bを介して圧電ブザー素子から出力するようになっている。
【0016】
発光部14は、例えば高輝度LED等の周知の発光素子からなり、本体ケース11の前面(柄2の先端側の面)に取付けられている。発光部14は制御回路12aに接続され、制御回路12aから駆動信号が出力されると、図示しない電源から電圧が印加されて発光するようになっている。
【0017】
以上のように構成された警報装置10は、図4に示すように本体ケース11を各止めベルト11bによって刺股1の柄2に固定することにより、本体ケース11の前面が柄2の先端側に臨むように取付けられる。その際、各止めベルト11bによって柄2を締め付けると、本体ケース11の各弾性部材11dが弾性変形して柄2に密着する。
【0018】
前記警報装置10が取付られた刺股1は、図7に示すように壁等に立てかけた状態で保管され、この状態では傾斜スイッチ12がオフとなっている。次に、刺股1を使用する際、図8に示すように柄2が略水平になるように使用者Aが刺股1を持って構えると、本体ケース11も長手方向が略水平方向に向くように傾くため、傾斜スイッチ12がオンになり、警報ブザー13から警報音が出力されるとともに、発光部14が前方に向かって発光する。
【0019】
このように、本実施形態によれば、刺股1の柄2が略水平になるように刺股1を持って構えると、警報装置10の警報ブザー13から警報音を出力するようにしたので、例えば学校等の施設に侵入した暴漢等を制圧する際、警報音によって相手を威嚇することができ、警報音で相手が怯んだ隙きに刺股1のアーム4で相手を拘束するなど、刺股自体の取扱いに不慣れであっても暴漢等を効果的に制圧することができる。この場合、壁等に立てかけておいた刺股1を柄2が略水平になるように持って構えると、傾斜スイッチ12がオンになって自動で警報ブザー13が作動するようにしたので、手動のスイッチを用いる場合に比べ、暴漢等に対応するような緊迫した状況においても、警報ブザー13を確実に作動させることができる。
【0020】
また、傾斜スイッチ12がオンになると、警報ブザー13と共に発光部14が前方に向かって発光するようにしたので、発光による眩しさによっても相手を威嚇することができ、威嚇効果を高めることができる。この場合、発光部14により相手を照らし出すことができるので、暗い場所でも刺股1の操作を確実に行うことができる。
【0021】
更に、本体ケース11に設けた止めベルト11bを刺股1の柄2に巻き付けることにより、本体ケース11を柄2に固定するようにしたので、警報装置10を備えていない従来の刺股であっても容易に取付けることができる。この場合、止めベルト11bを柄2に任意の長さで巻き付けることができるので、太さの異なる複数種類の柄2に固定することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0022】
また、本体ケース11の底面に刺股1の柄2との間に介在する弾性部材1dを設けたので、本体ケース11を柄2に固定する際、弾性部材11dを弾性変形させて柄2に密着させることができ、本体ケース11を柄2に緩みなく確実に固定することができる。
【0023】
尚、前記実施形態では、各アーム4が開閉する構造の刺股1に警報装置10を取付けたものを示したが、本実施形態の警報装置10はアームが開閉しない構造の刺股にも用いることができる。また、前記実施形態では、発光部14にLEDを用いたものを示したが、カメラ用のストロボ等、他の発光手段を用いるようにしてもよい。更に、前記実施形態では、本体ケース11を柄2に固定する固定具として止めベルト11bを示したが、例えばネジ止めによる固定具、粘着テープによる固定具等、他の構造の固定具を用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態を示す刺股用警報装置
【図2】刺股用警報装置の底面側斜視図
【図3】制御系を示すブロック図
【図4】刺股用警報装置の取付状態を示す斜視図
【図5】刺股用警報装置を取付けた刺股の正面図
【図6】刺股用警報装置を取付けた刺股の動作を示す正面図
【図7】刺股用警報装置を取付けた刺股の使用状態を示す側面図
【図8】刺股用警報装置を取付けた刺股の使用状態を示す側面図
【符号の説明】
【0025】
1…刺股、2…柄、4…アーム、10…警報装置、11…本体ケース、12…傾斜スイッチ、13…警報ブザー、14…発光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄の先端に相手を拘束するためのアームを設けてなる刺股に取付けて使用される刺股用警報装置において、
前記刺股に取付られる本体ケースと、
本体ケースの傾斜を検知する傾斜検知手段と、
刺股の柄が略水平になるように本体ケースが所定の向きまで傾斜したことを検知すると警報音を出力する警報ブザーとを備えた
ことを特徴とする刺股用警報装置。
【請求項2】
前記本体ケースが所定の向きまで傾斜したことが検知されると発光する発光手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の刺股用警報装置。
【請求項3】
前記本体ケースを刺股の柄に固定するための固定具を備え、
固定具を太さの異なる複数種類の柄に固定可能に形成した
ことを特徴とする請求項1または2記載の刺股用警報装置。
【請求項4】
前記本体ケースと刺股の柄との間に介在する弾性部材を備えた
ことを特徴とする請求項3記載の刺股用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−150601(P2009−150601A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328451(P2007−328451)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)