説明

刺込み形蒸気噴出装置

【課題】袋詰めされた土壌等の収容物の蒸気消毒が容易に行なえる刺込み形蒸気噴出装置を得る。
【解決手段】密閉かつ中空状のヘッド(11)と、該ヘッド(11)の下部に接続される接続管(15)と、該接続管(15)に接続されて下方に延びる刺込み管(16)とを強度の高い資材により形成し、前記ヘッド(11)は、側部にボイラ(1)に接続される蒸気導入口(12)を設けると共に、上端部に作業機械に懸垂支持される係止具(13)を設けてなり、前記刺込み管(16)は、下端部を先鋭に形成すると共に、下部外周に多数の噴出口(17)を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌、客土等に刺込み管を刺込み、該刺込み管から蒸気を噴出させて蒸気消毒する刺込み形蒸気噴出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土壌、客土等の収容物を袋詰めして需要先に納入したり、あるいは倉庫等に保管したりする際に、これらを蒸気消毒して収容袋に収容する場合がある。この場合、従来では、前記収容物を消毒する際に、底部が多孔板により仕切られた箱内に所定の収容物を収容し、該箱の底部に蒸気を供給し、この蒸気を前記多孔板から収容物に向けて流通させ、該収容物を蒸気消毒ようにしたもの、あるいはスパイラル羽根を有する回転ドラム内に収容物を投入し、該回転ドラム内に水蒸気を供給して前記収容物を蒸気消毒するようにしたものがあった。
【0003】
前記従来のものは、底部が多孔板により仕切られた箱、あるいはスパイラル羽根を有する回転ドラム等を使用して収容物を消毒するようにしていたので、装置が大型かつ構造が複雑になって設備費が嵩むとともに、処理工程が増えて収容物の消毒に手数及び労力を要するものであった。
【特許文献1】特開2004−33039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、袋詰めされた収容物の蒸気消毒が容易に行なえる新規な刺込み形蒸気噴出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、以下の如く構成したものである。即ち、請求項1に係る発明は、密閉かつ中空状のヘッドと、該ヘッドの下部に接続される接続管と、該接続管に接続されて下方に延びる刺込み管とを強度の高い資材により形成し、前記ヘッドは、側部にボイラに接続される蒸気導入口を設けると共に、上端部に作業機械に懸垂支持される係止具を設けてなり、前記刺込み管は、下端部を先鋭に形成すると共に、下部外周に多数の噴出口を設ける構成にしたものである。
請求項2に係る発明は、前記接続管の上端をヘッドの底壁よりも上方に配置し、前記接続管の上端よりも下方に位置するヘッドの底部に排水弁を設けたものである。
請求項3に係る発明は、前記ヘッドの直下に位置する接続管に半径方向外方に広がる蒸気遮蔽板を設けものである。
請求項4に係る発明は、前記接続管に複数の刺込み管を互いに間隔をおいて並列に接続するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明は、作業機械のフォーク爪、あるいはアームの先端部に係止具を連結して吊り上げると、刺込み管が下向きとなる。この状態で収容袋の上方に移動させた後、作業機械によって押し下げると、刺込み管が収容袋内の収容物に突き刺さることになる。この場合、刺込み管の下端部が先鋭に形成されているので、該刺込み管は前記収容物に小負荷で突き刺さることになる。
【0007】
そして、ボイラから、蒸気導入口を介してヘッドに蒸気を供給すると、該蒸気が接続管を介して刺込み管内を流通し、該刺込み管に設けた各噴出口から前記収容物に向かって噴出し、該収容物を蒸気によって加熱することになる。
請求項2に係る発明は、蒸気の一部がヘッド内で結露すると、該結露した水滴はヘッドの底部に滞留して刺込み管への流出が阻止され、収容物を効率よく蒸気によって加熱することになる。そして、前記ヘッドの底部に滞留した水は、排水弁を操作することによって外部に排出されることになる。
【0008】
請求項3に係る発明は、収容袋の上面部に到来した蒸気が、蒸気遮蔽板によって外側方に仕向けられることになる。このため、収容物を効率よく蒸気によって加熱することになる。
【0009】
請求項4に係る発明は、複数の刺込み管が間隔をおいて収容物に刺し込まれ、各刺込み管の噴出口から収容物に向けて蒸気が噴出することになる。このため、収容袋内の収容物を迅速かつ均等に蒸気によって加熱することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を図に基づいて説明する。図において、図1は本発明による第1実施例の使用状態を示す側面図、図2は図1の要部断面側面図、図3は図2の要部平面図、図4は本発明の第2実施例を示す要部断面側面図、図5は図4の要部平面図である。
【0011】
図1において、1は台車6に搭載された可搬式のボイラであり、罐体2の後部にバーナー3を有し、該バーナー3の燃焼熱を利用して蒸気を生成するようになっている。前記ボイラ1によって生成された蒸気は供給弁4、可撓性の蒸気供給ホース5を介して後述する刺込み形蒸気噴出装置10に供給される。7は台車6の後部側に取り付けた車輪、8は台車2の前部側に取り付けた脚である。
【0012】
前記刺込み形蒸気噴出装置10は、袋詰めされた収容物に刺し込んで蒸気を噴出し、該収容物21を蒸気消毒するようになっている。前記収容物は土壌、客土等からなり、不織布、ネット等の収容袋(フレキシブルコンテナ)20内に収容される。前記刺込み形蒸気噴出装置10は、強度の高い鉄鋼材、ステンレス鋼材等により形成され、図2に示すように、上下面が閉塞された中空状のヘッド11、接続管15、刺込み管16を主要部品として構成される。
【0013】
前記ヘッド11は、胴部11aを直径約140mm、長さ約500mmのパイプ材により形成するとともに、上面は軸心と直交する面にして天板11bにより閉塞し、下面は軸心に対して約45度となる傾斜面にして底板(底壁)11cにより閉塞する。また、前記胴部11aの側部に蒸気供給ホース5が接続される蒸気導入口12を取り付け、該胴部11aの上端部に作業機械に懸垂支持される係止具13を、また前記胴部11aの下端部に排水弁14をそれぞれ取り付ける。
【0014】
前記蒸気導入口12は、図3に示すように、胴部11aの周壁に接線方向から接続する。前記係止具13は、本例では、図2に示すように、倒立コ字形に屈曲させてフォークリフトの爪が嵌合できるようにする。また、前記排水弁14は、胴部11aの下端部、即ち、下り傾斜した傾斜部の下端部に取り付ける。
【0015】
前記接続管15及び刺込み管16は直径約60.5mm、長さ約1300mmのパイプ材により一体に形成し、接続管15は胴部11aの底板11cの中心部に下方から挿通するとともに、その上端15aを前記胴部11a内の上方に位置させて前記底板11cに溶接固定する。
【0016】
前記刺込み管16は胴部11aから約900mm下方に突出させるとともに、その下面16aは軸心に対して約60度となる如く傾斜させ、該下面16aを盲板16bにより閉塞する。また、前記刺込み管16の下部外周に、直径約6mmの噴出口17を多数、本例では70個形成する。なお、前記刺込み管16下端は倒立円錐状にしてもよい。
【0017】
前記ヘッド11の直下に位置する接続管15に蒸気遮蔽板18を上下調節可能に取り付ける。該蒸気遮蔽板18は鋼板等、耐熱性の板材により円板状、あるいは楕円状に形成されて収容袋20内の上面を閉塞するようになっている。
【0018】
なお、前述した胴部11a、接続管15、刺込み管16の各寸法、刺込み管16の下面16aの傾斜角度等は、消毒する収容物の種類、量等によって適宜設定する。
【0019】
次に、前記実施例の使用態様について説明する。まず、蒸気導入口12にボイラ1の蒸気供給ホース5を接続し、また、消毒すべ収容袋(フレキシブルコンテナ)20の口を開いておく。次いで、係止具13をフォークリフトの爪に嵌合させ、該フォークリフトによって刺込み形蒸気噴出装置10を吊り上げ、この状態で前記収容袋20の上方に移動させた後、フォークリフトの爪でヘッド11の上面を下方に押す。
【0020】
さすれば、先鋭となっている刺込み管16の下端部が収容袋20内の収容物21に突き刺さる。前記刺込み管16の収容物21への突き刺し深さ(量)は、本例では、蒸気遮蔽板18が収容袋20内の上面に位置する深さとし、この時点で前記フォークリフトによる降下を停止する。
【0021】
そして、収容袋20の口を閉じ、次いで、ボイラ1の供給弁4を開き、蒸気供給ホース5を介してヘッド11に蒸気を供給する。さすれば、前記蒸気が、接続管15を介して刺込み管16内を流通し、該刺込み管16の各噴出口17から前記収容物21に向かって噴出し、該収容物21を蒸気によって加熱することになる。このとき、収容袋20の上面部に到来した蒸気は蒸気遮蔽板18によって外側方に仕向けられ、収容物21を効率よく加熱することになる。
【0022】
前記収容物21が雑菌の死滅温度に上昇した時点、あるいは雑菌の死滅に至る温度が所定時間経過した時点で、前記ボイラ1の供給弁4を閉じ、刺込み形蒸気噴出装置10をフォークリフトにより吊り上げて収容袋20から離脱させ、収容袋20の口を閉じる。この蒸気消毒された収容物21は、これが収容されている収容袋20の吊り紐20aを前記フォークリフトの爪に掛け、該フォークリフトにより所定の場所に搬送する。以下同様にして他の袋詰めされた収容物21を順次蒸気消毒する。
【0023】
図4、図5は第2実施例を示す。図4において、15−1は接続管であり、胴部11aの底板11cの中心部に下方から挿通するとともに、その上端15aを前記胴部11a内の上方に位置させて底板11cに溶接固定する。前記接続管15−1の下部に4個の刺込み管16−1を互いに周方向に間隔をおいて並列に接続する。即ち、各刺込み管16−1は、その上端部16cをLに屈曲させ、各上端部16cを放射状に配置して接続管15−1の下端に接続する。これにより、各刺込み管16−1の主体部16dを周方向に間隔をおいて並列に垂下させる。
【0024】
また、各刺込み管16−1の下面16aは軸心に対して約60度となる如く傾斜させ、該下面16aを盲板16bにより閉塞する。17は各刺込み管16−1の主体部16dの下部に形成した多数の噴出口である。その他は、前述した第1実施例と略同様の構造となっている。
【0025】
前記第2実施例によれば、4個の刺込み管16−1が間隔をおいて収容物21に刺し込まれ、各刺込み管16−1の噴出口17から収容物21に向けて蒸気が噴出することになるので、収容袋20内の収容物21を迅速かつ均等に加熱することができる。なお、前記刺込み管16−1は2個、あるいは3個としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による第1実施例の使用状態を示す側面図である。
【図2】図1の要部断面側面図である。
【図3】図2の要部平面図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す要部断面側面図である。
【図5】図4の要部平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ボイラ
2 罐体
3 バーナ
4 供給弁
5 蒸気供給ホース
6 台車
7 車輪
8 脚
10 刺込み形蒸気噴出装置
11 ヘッド
11a 胴部
11b 天板
11c 底板(底壁)
12 蒸気導入口
13 係止具
14 排水弁
15 接続管
15a 上端
16 刺込み管
16a 下面
16b 盲板
16c 上端部
16d 主体部
17 噴出口
18 蒸気遮蔽板
20 収容袋
20a 吊り紐
21 収容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉かつ中空状のヘッド(11)と、該ヘッド(11)の下部に接続される接続管(15)と、該接続管(15)に接続されて下方に延びる刺込み管(16)とを強度の高い資材により形成し、前記ヘッド(11)は、側部にボイラ(1)に接続される蒸気導入口(12)を設けると共に、上端部に作業機械に懸垂支持される係止具(13)を設けてなり、前記刺込み管(16)は、下端部を先鋭に形成すると共に、下部外周に多数の噴出口(17)を設けてなることを特徴とする刺込み形蒸気噴出装置。
【請求項2】
接続管(15)の上端(15a)をヘッド(11)の底壁(11c)よりも上方に配置し、前記接続管(15)の上端よりも下方に位置するヘッド(11)の底部に排水弁(14)を設けたことを特徴とする請求項1記載の刺込み形蒸気噴出装置。
【請求項3】
ヘッド(11)の直下に位置する接続管(15)に半径方向外方に広がる蒸気遮蔽板(18)を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の刺込み形蒸気噴出装置。
【請求項4】
接続管(15)に複数の刺込み管(16−1)を互いに間隔をおいて並列に接続したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の刺込み形蒸気噴出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−39035(P2009−39035A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207407(P2007−207407)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(397063109)株式会社丸文製作所 (5)