剃刀のハンドル
【解決手段】ハンドル本体3で頭部6と尻部7との間に露出する把持部8よりも硬度の小さい指当体12を把持部8で露出させて設けている。指当体12は互いに分離されて複数分割された分割片13,14をハンドル本体3の長手方向に対する周方向へ互いに並べたものであって、指当体12において周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部は周方向で互いに圧接されて連続している。
【効果】把持部8内で各分割片13,14を互いに連続させる成形空間を必要とせず、指当体12や把持部8を形成するための成形型の構造が簡単になるとともに、指当体12や把持部8を形成する材料の分量が少なくなる。従って、ハンドル本体3で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設け、両分割片13,14の端縁部間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【効果】把持部8内で各分割片13,14を互いに連続させる成形空間を必要とせず、指当体12や把持部8を形成するための成形型の構造が簡単になるとともに、指当体12や把持部8を形成する材料の分量が少なくなる。従って、ハンドル本体3で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設け、両分割片13,14の端縁部間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンドル本体の表側で指当体を把持部から露出させて設けた剃刀のハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に示すように、剃刀のハンドルにおいては、頭部と尻部とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体(硬質樹脂)の表側で頭部と尻部との間に露出する把持部よりも硬度の小さい指当体(軟質樹脂)がこの把持部内で互いに連続して一体成形され、この指当体の一部が例えばハンドル本体の背側と腹側とで指当面として露出して周方向や長手方向へ互いに並べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−311048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、ハンドル本体で周方向へ互いに並べられて露出する複数の指当面を有する指当体が把持部内で互いに連続して一体成形されているので、把持部内で各指当面を互いに連続させる成形空間を必要とし、その成形空間を形成するための成形型の構造が複雑になるとともに、その成形空間に注入する軟質樹脂の量が多くなって材料コストが上がる問題があった。また、ハンドル本体内の収容室に錘を収容した剃刀のハンドルでは、収容室に錘を収容し易くするために錘と収容室との間に極僅かな隙間を持たせて錘を収容室に支持しているが、その隙間が製造誤差等で大きくなり過ぎると、錘の動きによりハンドル本体内で耳障りな音が生じるおそれがあった。
【0005】
この発明は、このような問題を解消して、ハンドル本体の表側で把持部から露出する指当体を簡単且つ安価に設けることができる剃刀のハンドルを提供することを目的としている。また、この発明は、ハンドル本体の表側で把持部から露出する指当体を利用して、ハンドル本体内に収容した錘の動きを緩衝して耳障りな音の発生を防止することができる剃刀のハンドルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜11)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる剃刀のハンドルにおいては、頭部6と尻部7とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体3の表側で頭部6と尻部7との間に露出する把持部8よりも硬度の小さい指当体12をこの把持部8で露出させて設けている。この指当体12は、互いに分離されて複数分割された分割片13,14をハンドル本体3の長手方向に対する周方向へ互いに並べたものである。この周方向とは、長手方向に交差する面上で把持部8の外周面が延びる方向である。ハンドル本体3の把持部8に対し分離して成形した各分割片13,14を互いに組み付けてもよいが、この指当体12の各分割片13,14をハンドル本体3の把持部8に対し一体成形してもよい。
【0007】
請求項1の発明では、互いに分離されて複数分割された分割片13,14をハンドル本体3の周方向へ互いに並べて指当体12を構成したので、把持部8内で各分割片13,14を互いに連続させる成形空間を必要とせず、その指当体12や把持部8を形成するための成形型の構造が従来技術の場合よりも簡単になるとともに、その指当体12や把持部8を形成する材料の分量を少なくすることができる。従って、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設けることができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記指当体12の各分割片13,14のうち周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40は接触面22,45により周方向で互いに接して連続している。請求項2の発明では、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12を広い円周角度範囲θ12に設けて指当体12としての機能を高めることができる。
【0009】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40は例えばその分割片13,14自体の弾性を利用して互いに圧接されている。この圧接方向は特に限定されず、例えばハンドル本体3において、接触面22,45間による周方向の圧接でも、接触面23,46間による長手方向の圧接でもよいし、接触面21,48間による幅方向の圧接でもよい。請求項3の発明では、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12において、両分割片13,14の端縁部16,40間の圧接により、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0010】
請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40のうち一方の端縁部16と他方の端縁部40とには、ハンドル本体3の長手方向に対し交差する幅方向で互いに接する接触面21,48を有している。請求項4の発明では、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12において、両分割片13,14の端縁部16,40の接触面21,48により、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0011】
請求項5の発明にかかる剃刀のハンドルにおいては、頭部6と尻部7とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体3の表側で頭部6と尻部7との間に露出する把持部8よりも硬度の小さい指当体12をこの把持部8で露出させて設けている。このハンドル本体3内に設けた収容室57に収容して支持した錘51に設けた挟持部51c,51a,51dと、この把持部8に設けた挟持部37,35,53,52,34bとの間に、この指当体12に設けた緩衝部32,28,44,27aを介在させている。この挟持部51c,51a,51dや挟持部37,35,53,52,34bや緩衝部32,28,44,27aについては、錘51や把持部8や指当体12に対し一体に設けるばかりでなく別部品を取着して設けてもよい。
【0012】
請求項5の発明では、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易くするために錘51をハンドル本体3内の収容室57に収容した場合でも、例えば指当体12自体の弾性を利用した緩衝部32,28,44,27aにより、収容室57に錘51を収容し易くするとともに、収容室57で錘51の動きを緩衝して錘51の動きにより生じる耳障りな音の発生を防止することができる。
【0013】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項2または請求項3または請求項4の発明を前提とする第6の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40は、異なる方向で両分割片13,14の端縁部16,40間の位置ずれを規制する複数の接触面21,22,23,45,46,48を有している。第6の発明では、複数の接触面21,22,23,45,46,48により、両分割片13,14の端縁部16,40間の位置ずれを各方向でなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0014】
第6の発明を前提とする第7の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40における接触面は、長手方向の位置ずれを規制する接触面23,46と、長手方向に対し交差する幅方向の位置ずれを規制する接触面21,48と、周方向の位置ずれを規制する接触面22,45である。第7の発明では、各接触面21,22,23,45,46,48により、両分割片13,14の端縁部16,40間の位置ずれを長手方向と幅方向と周方向とでなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0015】
請求項2または請求項3または請求項4の発明、または、第6の発明または第7の発明を前提とする第8の発明において、前記指当体12が周方向へ延びる円周角度範囲θ12(=θ15+θ14)は、180度を超えて360度以下に設定されている。第8の発明では、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12を180度を超えて360度以下に設定した広い円周角度範囲θ12に設けて指当体12としての機能を高めることができる。
【0016】
第8の発明を前提とする第9の発明において、前記指当体12の各分割片13,14が周方向へ延びる円周角度範囲θ15,θ14は、180度以下に設定されている。第9の発明では、それぞれの分割片13,14の円周角度範囲θ15,θ14を180度以下に抑えて各分割片13,14の成形を容易にしている。
【0017】
請求項2または請求項3または請求項4の発明、または、第6〜9の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第10の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40のうち一方の端縁部16の外周面19に露出させて設けた突部26と他方の端縁部40の外周面41に露出させて設けた突部50とを互いに連続させた。第10の発明では、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で突部26,50を互いに連続させて指当体12としての機能を高めることができる。
【0018】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜10の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第11の発明において、前記指当体12の各分割片13,14のうち少なくとも一つの分割片14は、周方向へ複数区画した区画部43と、周方向で互いに隣接する両区画部43を互いに連続させた架橋部44とを有し、前記把持部8に設けた係止部52でこの架橋部44を押えるとともに各区画部43を露出させた。第11の発明では、把持部8の係止部52により分割片14の両区画部43間の架橋部44を押えて分割片14を把持部8に保持することができる。
【0019】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜11の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第12の発明において、前記指当体12の各分割片13,14は樹脂により成形され、その成形時に分割片13から突出して生じるゲート部25を前記把持部8の内側に隠蔽した。第12の発明では、成形時に分割片13に生じるゲート部25を除去処理することなくまたはその除去処理を必要最小限に抑えて隠蔽することができる。
【0020】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜12の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第13の発明において、前記指当体12はハンドル本体3の把持部8でハンドル本体3の頭部6に近い頭部6側に設けられている。第13の発明では、ハンドル本体3の頭部6側で指当体12に指を当てがってハンドル本体3を把持することができる。
【0021】
第13の発明を前提とする第14の発明において、前記指当体12の各分割片13,14のうち少なくとも一つの分割片13は、ハンドル本体3の周方向へ並ぶ主体部15以外に、この主体部15から尻部7側へ延びる延設部17を有している。第14の発明では、指当体12の分割片13の主体部15以外にその延設部17にも指を当てがってハンドル本体3を把持することができる。
【0022】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜14の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第15の発明において、前記指当体12の分割片13は、前記把持部8に設けた係止部35,53により押えられる保持部29を有している。第15の発明では、指当体12の分割片13を把持部8の係止部35,53により保持することができる。
【0023】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜15の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第16の発明において、前記ハンドル本体3内に設けた収容室57に錘51を収容して支持した。第16の発明では、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易い。
【0024】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜15の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第17の発明において、前記ハンドル本体3内に設けた収容室57に収容して支持した錘51に設けた挟持部51c,51a,51dと、この把持部8に設けた挟持部37,35,53,52,34bとの間に、この緩衝部32,28,44,27aを介在させている。第17の発明では、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易くするために錘51をハンドル本体3内の収容室57に収容した場合でも、例えば指当体12自体の弾性を利用した緩衝部32,28,44,27aにより、収容室57に錘51を収容し易くするとともに、収容室57で錘51の動きを緩衝して錘51の動きにより生じる耳障りな音の発生を防止することができる。
【0025】
請求項5の発明または第17の発明を前提とする第18の発明において、前記指当体12の緩衝部32,28,44,27aは錘51の挟持部51c,51a,51dと把持部8の挟持部37,35,53,52,34bとの間で例えば指当体12自体の弾性を利用して圧縮されている。第18の発明では、緩衝部32,28,44,27aの圧縮により緩衝機能を向上させることができる。
【0026】
第18の発明を前提とする第19の発明において、前記指当体12の緩衝部32,28,44,27aは互いに離間して複数設けられている。第19の発明では、互いに離間した複数の緩衝部32,28,44,27aにより、錘51に対する緩衝機能を向上させることができる。
【0027】
第18の発明または第19の発明を前提とする第20の発明において、前記指当体12の緩衝部32,28,44,27aは錘51を挟む両側(ハンドル本体3の背側部品4の内側に面する錘51の背側とハンドル本体3の腹側部品5の内側に面する錘51の腹側や、錘51の幅方向両側)に設けられている。第20の発明では、錘51を挟む両側にある複数の緩衝部32,28,44,27aにより、錘51に対する緩衝機能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、剃刀1のハンドル2において、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設けることができる。また、本発明は、剃刀1のハンドル2において、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を利用して、ハンドル本体3内に収容した錘51の動きを緩衝して耳障りな音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)(b)はそれぞれ本実施形態にかかるハンドルを備えた剃刀を示す斜視図である。
【図2】(a)は指当体の背側分割片を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のA1−A1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のA2−A2線における横端面図であり、(f)は同じく(a)のA3−A3線における横端面図である。
【図3】(a)はハンドル本体の背側部品を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のB1−B1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のB2−B2線における横端面図であり、(f)は同じく(a)のB3−B3線における横端面図である。
【図4】(a)はハンドル本体の背側部品に指当体の背側分割片を組み付けた状態を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図である。
【図5】(a)は図4(a)のC1−C1線における縦断面図であり、(b)は図4(a)のC2−C2線における横端面図であり、(c)は図4(a)のC3−C3線における横端面図である。
【図6】(a)は指当体の腹側分割片を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のD1−D1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のD2−D2線における横端面図である。
【図7】(a)はハンドル本体の背側部品に指当体の背側分割片を組み付けた後に錘と指当体の腹側分割片とを組み付けた状態を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図である。
【図8】(a)は図7(a)のE1−E1線における縦断面図であり、(b)は図7(a)のE2−E2線における横端面図であり、(c)は図7(a)のE3−E3線における横端面図である。
【図9】(a)はハンドル本体の腹側部品を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のF1−F1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のF2−F2線における横端面図であり、(f)は同じく(a)のF3−F3線における横端面図である。
【図10】(a)はハンドル本体の背側部品に指当体の背側分割片と錘と指当体の腹側分割片とを組み付けた後にハンドル本体の腹側部品を組み付けた状態を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図である。
【図11】(a)は図10(a)のG1−G1線における縦断面図であり、(b)は図10(a)のG2−G2線における横端面図であり、(c)は図10(a)のG3−G3線における横端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態にかかる剃刀のハンドルについて図面を参照して説明する。
図1に示す剃刀1のハンドル2において、図3に示す背側部品4と図9に示す腹側部品5とが互いに重合されて取り付けられたハンドル本体3は、頭部6と尻部7とを結ぶ長手方向へ延び、このハンドル本体3の表側で頭部6と尻部7との間に把持部8が露出している。この背側部品4と腹側部品5とは硬質樹脂により互いに分離して別々に成形されている。このハンドル本体3の頭部6内には図示しない開閉機構が内蔵され、その開閉機構の一部であるプッシャ9と支持アーム10とが頭部6の前端部の左右両側から突出して並んでいる。
【0031】
図1,10に示す剃刀1のハンドル2において、前記ハンドル本体3の頭部6の前端部には替刃ヘッド11が左右両支持アーム10により支持されているとともに左右両プッシャ9による弾性力により前方へ押圧されている。この替刃ヘッド11は左右両プッシャ9の弾性力に抗して左右両支持アーム10を中心に回動して頭部6に対し首振りし得る。この左右両支持アーム10の開閉に伴いこの替刃ヘッド11を頭部6に対し着脱させることができる。
【0032】
また、図1に示す剃刀1のハンドル2において、前記ハンドル本体3の把持部8で露出する指当体12は、図2に示す背側分割片13と、図6に示す腹側分割片14とからなり、この背側分割片13はこのハンドル本体3の背側部品4側に取り付けられ、この腹側分割片14はこのハンドル本体3の腹側部品5側に取り付けられている。この背側分割片13と腹側分割片14とは前記硬質樹脂より硬度の小さい軟質樹脂により互いに分離して別々に成形されている。この軟質樹脂は例えばエラストマーであって、ショアA硬度30〜ショアD硬度50に設定することが好ましい。
【0033】
図2に示すように、前記背側分割片13は、ハンドル本体3の長手方向に対する周方向両側の両端縁部16間で外周面19がなす円周角度範囲θ15が180度以下例えば180度に設定された主体部15と、ハンドル本体3の長手方向に対し直交する幅方向の両側でこの主体部15から尻部7側へ延びる延設部17とを有している。この主体部15の幅方向両端縁部16において、端面18と外周面19との間の隅部には切欠き20が形成されている。この切欠き20は、端面18から周方向へ連続して長手方向に沿って延びる交差面21(接触面)と、外周面19から幅方向へ連続して長手方向に沿って延びる交差面22(接触面)と、延設部17との境界付近でこの両交差面21,22に連続する交差面23(接触面)とにより区画され、これらの交差面21,22,23に面して開放されている。この主体部15の頭端部で幅方向両端縁部16から両側係止部24aが前方へ突設されているとともにこの両側係止部24a間で中間係止部24bが前方へ突設され、この中間係止部24bには成形時に生じるゲート部25が前方へ突出して残っている。この主体部15の外周面19には周方向へ延びる複数の指掛突条26(指掛突部)が幅方向両端縁部16間にわたり形成されて長手方向へ並設されている。
【0034】
前記幅方向両延設部17においては、前記主体部15から連続して長手方向へ延びる外壁27の内側で内壁28(緩衝部)が連結壁部29(保持部)を介して長手方向へ延び、この連結壁部29を挟む周方向両側でこの外壁27と内壁28との間に係止溝30,31が形成され、この内壁28の長手方向中間部で内壁28の端縁部から内側へ突板部32(緩衝部)が突出している。この外壁27の外面には周方向へ延びる複数の指掛突条33(指掛突部)が長手方向へ並設されている。また、主体部15と両内壁28との間で両外壁27の内側には環部27a(緩衝部)が突出している。
【0035】
図3に示すように、ハンドル本体3の背側部品4は、前記頭部6から連続する背側把持部8aと、この背側把持部8aから連続する背側尻部7aとからなる。この背側把持部8aにおいて、頭部6側には嵌着部34が頭部6に隣接して形成されているとともにこの嵌着部34の外側から幅方向両側にわたり主凹部34aが形成され、この主凹部34aの幅方向両側から背側尻部7a側へ延びる側壁部35(係止部,挟持部)の外側に隣接して延設凹部36が形成され、この背側把持部8aの内側に両側壁部35に隣接して挟持突条37(挟持部)が長手方向へ延設されている。この主凹部34aでその幅方向両側には頭部6の内側へ連通する係止凹部38aが形成されているとともにこの両係止凹部38a間には頭部6の内側へ連通する開口38bが形成されている。前記嵌着部34と両側壁部35との境で背側把持部8aの内側には雌軸部34b(挟持部)が形成されているとともにこの両雌軸部34b間で支持壁部39aが形成されている。また、前記背側尻部7aの内側にはコ字形状の支持壁部39bが形成されている。なお、この背側把持部8aの外側で背側尻部7a側には銘板39cが嵌着されている。
【0036】
図4,5に示すように、前記背側分割片13を前記背側部品4に取り付けた状態では、背側分割片13の主体部15が背側把持部8aの主凹部34aに外側から嵌め込まれ、背側分割片13の両延設部17において一方の係止溝30に背側把持部8aの側壁部35が係入されて連結壁部29に当てがわれ、外壁27がこの側壁部35の外側で背側把持部8aの延設凹部36に嵌め込まれて長手方向へ延びるとともに内壁28がこの側壁部35の内側で長手方向へ延びる。背側分割片13の両延設部17の両突板部32は背側把持部8aの両挟持突条37に当てがわれる。背側分割片13の主体部15の両係止部24aは背側把持部8aの主凹部34aの両係止凹部38aに係入される。背側分割片13の主体部15の係止部24bは背側把持部8aの主凹部34aの開口38bから頭部6の内側に隠蔽されるとともに係止され、その係止部24bにあるゲート部25がその主凹部34aの開口38bから頭部6の内側に隠蔽される。背側分割片13の両延設部17の環部27aは背側把持部8aの両雌軸部34bに当てがわれる。
【0037】
図6に示すように、前記腹側分割片14においては、ハンドル本体3の長手方向に対する周方向両側の両端縁部40間で外周面41がなす円周角度範囲θ14が、180度以下、例えば外周面41の溝部42の円周角度を含めて180度に設定され、外周面41に形成された溝部42により周方向両側で二区画されて互いに隣接する両区画部43がこの溝部42に面する架橋部44(緩衝部)により連続している。この腹側分割片14の幅方向両端縁部40は、外周面41から幅方向へ連続して長手方向に沿って延びる端面45(接触面)と、この端面45の尻部側から周方向へ連続する交差面46(接触面)と、この端面45の頭部側から周方向へ連続する交差面47と、この端面45から内側へ連続する交差面48(接触面)とを有している。この幅方向両端縁部40間には両交差面47間で架橋部44から連続して前方へ突出する係止板部49が形成されている。この両区画部43の外周面41には端縁部40と溝部42との間で周方向へ延びる複数の指掛突条50(指掛突部)が長手方向へ並設されている。
【0038】
図7,8に示すように、背側分割片13を取り付けた背側部品4の内側に金属製の錘51を嵌め込んで錘51の幅方向両側が背側分割片13の両延設部17の内壁28間に介在された状態では、両延設部17の突板部32が錘51の頭端部51a(挟持部)と尻端部51bとの間の中間部51c(挟持部)と背側把持部8aの両挟持突条37との間で挟持され、錘51の頭端部51aと中間部51cとの間で錘51の幅方向両側に形成されたくびれ部51d(挟持部)と背側把持部8aの両雌軸部34bとの間で背側分割片13の両環部27aが挟持される。また、錘51の頭端部51aが背側把持部8aの支持壁部39aに当てがわれるとともに錘51の尻端部51bが背側尻部7aの支持壁部39bに当てがわれ、両環部27aが両くびれ部51dに当てがわれて、錘51の長手方向の動きが規制される。
【0039】
さらに、図7,8に示すように、前記腹側分割片14を前記背側分割片13と背側部品4とに取り付けた状態では、腹側分割片14の両端縁部40が背側分割片13の主体部15の両端縁部16に当てがわれてその両端縁部16の切欠き20に嵌め込まれ、その両端縁部40の端面45がその両端縁部16の交差面22に、その両端縁部40の交差面48がその両端縁部16の交差面21に、その両端縁部40の交差面46がその両端縁部16の交差面23にそれぞれ当てがわれる。背側分割片13の各指掛突条26と腹側分割片14の各指掛突条50とはそれらの端縁部16,40で互いに連続する。また、腹側分割片14の架橋部44の内側が錘51の頭端部51aに当てがわれ、腹側分割片14の係止板部49が背側部品4の頭部6の内側に当てがわれる。
【0040】
図9に示すように、前記ハンドル本体3の腹側部品5は、頭部6の一部をなす腹板6aが連結橋部52(挟持部、係止部)を介して連結された腹側把持部8bと、この腹側把持部8bから連続する腹側尻部7bとからなる。この連結橋部52の幅方向両側で腹板6aと腹側把持部8bとの間に切欠き52aが形成されている。この腹側把持部8bの内側の幅方向両側にはこの切欠き52aと腹側尻部7bとの間で形成された側壁部53(係止部,挟持部)の外側に隣接して延設凹部54が形成されているとともにこの切欠き52aと側壁部53との間で雄軸部55が形成されている。また、腹側尻部7bの内側には押接壁部56が形成され、その押接壁部56の端部56aは山形状に尖っている。
【0041】
図10,11に示すように、前記腹側部品5を前記背側分割片13及び腹側分割片14と背側部品4とに取り付けた状態では、微細な超音波振動と圧力の付与による熱溶着により、背側部品4の背側把持部8aと腹側部品5の腹側把持部8bとが把持部8として互いに接合されるとともに背側部品4の背側尻部7aと腹側部品5の腹側尻部7bとが尻部7として互いに接合され、錘51が背側部品4と腹側部品5との間の収容室57で収容される。従って、指当体12が周方向へ延びる円周角度範囲θ12(=θ15+θ14)は、180度を超えて360度以下、例えば腹側分割片14の外周面41における溝部42の円周角度を含めて360度に設定されている。その際、腹側把持部8bの連結橋部52が腹側分割片14の溝部42に嵌め込まれて腹側分割片14の架橋部44がこの連結橋部52と錘51の頭端部51aとの間で挟持されるとともに、腹側分割片14の両区画部43がこの連結橋部52の両側の切欠き52aで露出し、この連結橋部52から連続する腹板6aが背側部品4の頭部6に接合されて腹側分割片14の係止板部49がこの腹板6aの内側で隠蔽される。背側分割片13の両延設部17において他方の係止溝31に腹側把持部8bの側壁部53が係入されて連結壁部29に当てがわれ、外壁27がこの側壁部53の外側で延設凹部54に嵌め込まれて長手方向へ延びるとともに内壁28がこの側壁部53の内側で長手方向へ延びる。この両内壁28は錘51の幅方向両側と背側把持部8aの両側壁部35及び腹側把持部8bの両側壁部53との間で挟持される。錘51の尻端部51bは背側尻部7aと腹側尻部7bの押接壁部56の端部56aと間で挟持される。前述した微細な超音波振動と圧力の付与に伴う熱溶着による背側部品4と腹側部品5との接合時に、端部56aにおける山形状尖端を若干潰すことにより、背側把持部8aと腹側把持部8bとの間における錘51の挟持状態を調節することができる。例えば、それらの挟持状態の緩みが大きい場合には端部56aの潰し量を小さくし、その緩みが小さい場合には端部56aの潰し量を大きくする。腹側把持部8bの両雄軸部55は背側分割片13の両環部27aを通して背側把持部8aの両雌軸部34bに挿着され、この環部27aが雌軸部34bと雄軸部55との間に挟持されて背側分割片13の両延設部17が背側把持部8aから外れにくくなる。
【0042】
なお、前記ハンドル2の重さは約30gに設定され、また、そのハンドル2のハンドル本体3において、頭部6から把持部8を経て尻部7に至る長手方向の全長は約135mmに設定されている。
【0043】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 互いに分離されて複数分割された分割片13,14をハンドル本体3の周方向へ互いに並べて指当体12を構成したので、把持部8内で各分割片13,14を互いに連続させる成形空間を必要とせず、その指当体12や把持部8を形成するための成形型の構造が従来技術の場合よりも簡単になるとともに、その指当体12や把持部8を形成する材料の分量を少なくすることができる。従って、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設けることができる。
【0044】
* ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14を互いに並べた指当体12において、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40は接触面(端縁部16の交差面22、端縁部40の端面45)により周方向で互いに接して連続しているので、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、指当体12を広い円周角度範囲に設けることができる。従って、指当体12としての機能を高めて使い勝手を良くすることができる。
【0045】
* ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12において、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40はその分割片13,14自体の弾性を利用して接触面(端縁部16の交差面22、端縁部40の端面45)により周方向で互いに圧接されている。また、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40の接触面(端縁部16の交差面21、端縁部40の交差面48)が幅方向で互いに接するとともに、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40の接触面(端縁部16の交差面23、端縁部40の交差面46)が長手方向で互いに接する。従って、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めて使い勝手を良くすることができる。
【0046】
* 上から下へ剃る順剃りでも下から上へ剃る逆剃りでも、ハンドル本体3の把持部8を把持する際に指が当てがわれる頭部6側に指当体12が設けられているので、使い勝手を良くすることができる。
【0047】
* 錘51をハンドル本体3内の収容室57に収容したので、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易くすることができる。
* ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12自体の弾性を利用した緩衝部(前記突板部32、内壁28、架橋部44、環部27a)を錘51の挟持部(中間部51c、頭端部51a、くびれ部51d)と把持部8の挟持部(挟持突条37、側壁部35、側壁部53、連結橋部52、雌軸部34b)との間に介在させたので、ハンドル本体3内の収容室57に錘51を収容し易くするとともに、収容室57で指当体12の緩衝部(前記突板部32、内壁28、架橋部44、環部27a)により錘51の動きを緩衝して錘51の動きにより生じる耳障りな音の発生を防止することができる。
【0048】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態ではハンドル本体3の頭部6に対し替刃ヘッド11を着脱可能に支持したが、ハンドル本体の頭部に替刃を一体的に組み付けてもよい。
【0049】
・ 前記実施形態では周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40を周方向で互いに接して連続させているが、その両分割片の端縁部間で間隔をあけて把持部を露出させてもよい。
【0050】
・ 前記実施形態では背側分割片13と腹側分割片14とによる二つの分割片により指当体12を構成したが、三つ以上の分割片により指当体を構成してもよい。
・ 前記実施形態の背側分割片13においては主体部15から両延設部17が連続して形成されているが、この両延設部17を省略してもよい。また、背側分割片13ばかりでなく腹側分割片にも両延設部を設けたり、背側分割片13の両延設部17を省略して腹側分割片にのみ両延設部を設けたりしてもよい。
【0051】
・ 前記実施形態では背側分割片13の主体部15と腹側分割片14とを周方向へ並べた指当体12の一部分が把持部8においてハンドル本体3の頭部6に近い頭部6側にのみ設けられているが、把持部8においてその頭部6側とハンドル本体3の頭部6と尻部7との間の中間部と尻部7側とのうち少なくともいずれかに設けたり、把持部8の全体に設けたりしてもよい。
【0052】
・ 前記実施形態ではハンドル本体3において背側部品4と腹側部品5との間に錘51を収容したが、錘を収容しない場合には背側部品と腹側部品とを一体的に設けてもよい。
・ ハンドル本体の背側部品に背側分割片を一体成形したものと、ハンドル本体の腹側部品に腹側分割片を一体成形したものとを互いに組み付けてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…剃刀、2…ハンドル、3…ハンドル本体、6…ハンドル本体の頭部、7…ハンドル本体の尻部、8…ハンドル本体の把持部、12…把持部の指当体、13…指当体の背側分割片、16…背側分割片の端縁部、14…指当体の腹側分割片、27a…環部(緩衝部)、28…内壁(緩衝部)、32…突板部(緩衝部)、34b…雌軸部(挟持部)、35…側壁部(挟持部)、37…挟持突条(挟持部)、40…腹側分割片の端縁部、44…架橋部(緩衝部)、51…錘、51a…錘の頭端部(挟持部)、51c…錘の中間部(挟持部)、51d…錘のくびれ部(挟持部)、52…連結端部(挟持部、係止部)、53…側壁部(挟持部)、57…ハンドル本体の収容室。
【技術分野】
【0001】
本発明はハンドル本体の表側で指当体を把持部から露出させて設けた剃刀のハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に示すように、剃刀のハンドルにおいては、頭部と尻部とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体(硬質樹脂)の表側で頭部と尻部との間に露出する把持部よりも硬度の小さい指当体(軟質樹脂)がこの把持部内で互いに連続して一体成形され、この指当体の一部が例えばハンドル本体の背側と腹側とで指当面として露出して周方向や長手方向へ互いに並べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−311048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、ハンドル本体で周方向へ互いに並べられて露出する複数の指当面を有する指当体が把持部内で互いに連続して一体成形されているので、把持部内で各指当面を互いに連続させる成形空間を必要とし、その成形空間を形成するための成形型の構造が複雑になるとともに、その成形空間に注入する軟質樹脂の量が多くなって材料コストが上がる問題があった。また、ハンドル本体内の収容室に錘を収容した剃刀のハンドルでは、収容室に錘を収容し易くするために錘と収容室との間に極僅かな隙間を持たせて錘を収容室に支持しているが、その隙間が製造誤差等で大きくなり過ぎると、錘の動きによりハンドル本体内で耳障りな音が生じるおそれがあった。
【0005】
この発明は、このような問題を解消して、ハンドル本体の表側で把持部から露出する指当体を簡単且つ安価に設けることができる剃刀のハンドルを提供することを目的としている。また、この発明は、ハンドル本体の表側で把持部から露出する指当体を利用して、ハンドル本体内に収容した錘の動きを緩衝して耳障りな音の発生を防止することができる剃刀のハンドルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜11)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる剃刀のハンドルにおいては、頭部6と尻部7とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体3の表側で頭部6と尻部7との間に露出する把持部8よりも硬度の小さい指当体12をこの把持部8で露出させて設けている。この指当体12は、互いに分離されて複数分割された分割片13,14をハンドル本体3の長手方向に対する周方向へ互いに並べたものである。この周方向とは、長手方向に交差する面上で把持部8の外周面が延びる方向である。ハンドル本体3の把持部8に対し分離して成形した各分割片13,14を互いに組み付けてもよいが、この指当体12の各分割片13,14をハンドル本体3の把持部8に対し一体成形してもよい。
【0007】
請求項1の発明では、互いに分離されて複数分割された分割片13,14をハンドル本体3の周方向へ互いに並べて指当体12を構成したので、把持部8内で各分割片13,14を互いに連続させる成形空間を必要とせず、その指当体12や把持部8を形成するための成形型の構造が従来技術の場合よりも簡単になるとともに、その指当体12や把持部8を形成する材料の分量を少なくすることができる。従って、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設けることができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記指当体12の各分割片13,14のうち周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40は接触面22,45により周方向で互いに接して連続している。請求項2の発明では、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12を広い円周角度範囲θ12に設けて指当体12としての機能を高めることができる。
【0009】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40は例えばその分割片13,14自体の弾性を利用して互いに圧接されている。この圧接方向は特に限定されず、例えばハンドル本体3において、接触面22,45間による周方向の圧接でも、接触面23,46間による長手方向の圧接でもよいし、接触面21,48間による幅方向の圧接でもよい。請求項3の発明では、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12において、両分割片13,14の端縁部16,40間の圧接により、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0010】
請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40のうち一方の端縁部16と他方の端縁部40とには、ハンドル本体3の長手方向に対し交差する幅方向で互いに接する接触面21,48を有している。請求項4の発明では、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12において、両分割片13,14の端縁部16,40の接触面21,48により、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0011】
請求項5の発明にかかる剃刀のハンドルにおいては、頭部6と尻部7とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体3の表側で頭部6と尻部7との間に露出する把持部8よりも硬度の小さい指当体12をこの把持部8で露出させて設けている。このハンドル本体3内に設けた収容室57に収容して支持した錘51に設けた挟持部51c,51a,51dと、この把持部8に設けた挟持部37,35,53,52,34bとの間に、この指当体12に設けた緩衝部32,28,44,27aを介在させている。この挟持部51c,51a,51dや挟持部37,35,53,52,34bや緩衝部32,28,44,27aについては、錘51や把持部8や指当体12に対し一体に設けるばかりでなく別部品を取着して設けてもよい。
【0012】
請求項5の発明では、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易くするために錘51をハンドル本体3内の収容室57に収容した場合でも、例えば指当体12自体の弾性を利用した緩衝部32,28,44,27aにより、収容室57に錘51を収容し易くするとともに、収容室57で錘51の動きを緩衝して錘51の動きにより生じる耳障りな音の発生を防止することができる。
【0013】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項2または請求項3または請求項4の発明を前提とする第6の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40は、異なる方向で両分割片13,14の端縁部16,40間の位置ずれを規制する複数の接触面21,22,23,45,46,48を有している。第6の発明では、複数の接触面21,22,23,45,46,48により、両分割片13,14の端縁部16,40間の位置ずれを各方向でなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0014】
第6の発明を前提とする第7の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40における接触面は、長手方向の位置ずれを規制する接触面23,46と、長手方向に対し交差する幅方向の位置ずれを規制する接触面21,48と、周方向の位置ずれを規制する接触面22,45である。第7の発明では、各接触面21,22,23,45,46,48により、両分割片13,14の端縁部16,40間の位置ずれを長手方向と幅方向と周方向とでなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めることができる。
【0015】
請求項2または請求項3または請求項4の発明、または、第6の発明または第7の発明を前提とする第8の発明において、前記指当体12が周方向へ延びる円周角度範囲θ12(=θ15+θ14)は、180度を超えて360度以下に設定されている。第8の発明では、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12を180度を超えて360度以下に設定した広い円周角度範囲θ12に設けて指当体12としての機能を高めることができる。
【0016】
第8の発明を前提とする第9の発明において、前記指当体12の各分割片13,14が周方向へ延びる円周角度範囲θ15,θ14は、180度以下に設定されている。第9の発明では、それぞれの分割片13,14の円周角度範囲θ15,θ14を180度以下に抑えて各分割片13,14の成形を容易にしている。
【0017】
請求項2または請求項3または請求項4の発明、または、第6〜9の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第10の発明において、周方向で互いに隣接する前記両分割片13,14の端縁部16,40のうち一方の端縁部16の外周面19に露出させて設けた突部26と他方の端縁部40の外周面41に露出させて設けた突部50とを互いに連続させた。第10の発明では、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で突部26,50を互いに連続させて指当体12としての機能を高めることができる。
【0018】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜10の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第11の発明において、前記指当体12の各分割片13,14のうち少なくとも一つの分割片14は、周方向へ複数区画した区画部43と、周方向で互いに隣接する両区画部43を互いに連続させた架橋部44とを有し、前記把持部8に設けた係止部52でこの架橋部44を押えるとともに各区画部43を露出させた。第11の発明では、把持部8の係止部52により分割片14の両区画部43間の架橋部44を押えて分割片14を把持部8に保持することができる。
【0019】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜11の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第12の発明において、前記指当体12の各分割片13,14は樹脂により成形され、その成形時に分割片13から突出して生じるゲート部25を前記把持部8の内側に隠蔽した。第12の発明では、成形時に分割片13に生じるゲート部25を除去処理することなくまたはその除去処理を必要最小限に抑えて隠蔽することができる。
【0020】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜12の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第13の発明において、前記指当体12はハンドル本体3の把持部8でハンドル本体3の頭部6に近い頭部6側に設けられている。第13の発明では、ハンドル本体3の頭部6側で指当体12に指を当てがってハンドル本体3を把持することができる。
【0021】
第13の発明を前提とする第14の発明において、前記指当体12の各分割片13,14のうち少なくとも一つの分割片13は、ハンドル本体3の周方向へ並ぶ主体部15以外に、この主体部15から尻部7側へ延びる延設部17を有している。第14の発明では、指当体12の分割片13の主体部15以外にその延設部17にも指を当てがってハンドル本体3を把持することができる。
【0022】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜14の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第15の発明において、前記指当体12の分割片13は、前記把持部8に設けた係止部35,53により押えられる保持部29を有している。第15の発明では、指当体12の分割片13を把持部8の係止部35,53により保持することができる。
【0023】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜15の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第16の発明において、前記ハンドル本体3内に設けた収容室57に錘51を収容して支持した。第16の発明では、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易い。
【0024】
請求項1から請求項4の発明のうちいずれか一つの請求項の発明、または、第6〜15の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする第17の発明において、前記ハンドル本体3内に設けた収容室57に収容して支持した錘51に設けた挟持部51c,51a,51dと、この把持部8に設けた挟持部37,35,53,52,34bとの間に、この緩衝部32,28,44,27aを介在させている。第17の発明では、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易くするために錘51をハンドル本体3内の収容室57に収容した場合でも、例えば指当体12自体の弾性を利用した緩衝部32,28,44,27aにより、収容室57に錘51を収容し易くするとともに、収容室57で錘51の動きを緩衝して錘51の動きにより生じる耳障りな音の発生を防止することができる。
【0025】
請求項5の発明または第17の発明を前提とする第18の発明において、前記指当体12の緩衝部32,28,44,27aは錘51の挟持部51c,51a,51dと把持部8の挟持部37,35,53,52,34bとの間で例えば指当体12自体の弾性を利用して圧縮されている。第18の発明では、緩衝部32,28,44,27aの圧縮により緩衝機能を向上させることができる。
【0026】
第18の発明を前提とする第19の発明において、前記指当体12の緩衝部32,28,44,27aは互いに離間して複数設けられている。第19の発明では、互いに離間した複数の緩衝部32,28,44,27aにより、錘51に対する緩衝機能を向上させることができる。
【0027】
第18の発明または第19の発明を前提とする第20の発明において、前記指当体12の緩衝部32,28,44,27aは錘51を挟む両側(ハンドル本体3の背側部品4の内側に面する錘51の背側とハンドル本体3の腹側部品5の内側に面する錘51の腹側や、錘51の幅方向両側)に設けられている。第20の発明では、錘51を挟む両側にある複数の緩衝部32,28,44,27aにより、錘51に対する緩衝機能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、剃刀1のハンドル2において、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設けることができる。また、本発明は、剃刀1のハンドル2において、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を利用して、ハンドル本体3内に収容した錘51の動きを緩衝して耳障りな音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)(b)はそれぞれ本実施形態にかかるハンドルを備えた剃刀を示す斜視図である。
【図2】(a)は指当体の背側分割片を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のA1−A1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のA2−A2線における横端面図であり、(f)は同じく(a)のA3−A3線における横端面図である。
【図3】(a)はハンドル本体の背側部品を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のB1−B1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のB2−B2線における横端面図であり、(f)は同じく(a)のB3−B3線における横端面図である。
【図4】(a)はハンドル本体の背側部品に指当体の背側分割片を組み付けた状態を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図である。
【図5】(a)は図4(a)のC1−C1線における縦断面図であり、(b)は図4(a)のC2−C2線における横端面図であり、(c)は図4(a)のC3−C3線における横端面図である。
【図6】(a)は指当体の腹側分割片を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のD1−D1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のD2−D2線における横端面図である。
【図7】(a)はハンドル本体の背側部品に指当体の背側分割片を組み付けた後に錘と指当体の腹側分割片とを組み付けた状態を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図である。
【図8】(a)は図7(a)のE1−E1線における縦断面図であり、(b)は図7(a)のE2−E2線における横端面図であり、(c)は図7(a)のE3−E3線における横端面図である。
【図9】(a)はハンドル本体の腹側部品を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図であり、(d)は同じく(a)のF1−F1線における縦断面図であり、(e)は同じく(a)のF2−F2線における横端面図であり、(f)は同じく(a)のF3−F3線における横端面図である。
【図10】(a)はハンドル本体の背側部品に指当体の背側分割片と錘と指当体の腹側分割片とを組み付けた後にハンドル本体の腹側部品を組み付けた状態を示す平面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく底面図である。
【図11】(a)は図10(a)のG1−G1線における縦断面図であり、(b)は図10(a)のG2−G2線における横端面図であり、(c)は図10(a)のG3−G3線における横端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態にかかる剃刀のハンドルについて図面を参照して説明する。
図1に示す剃刀1のハンドル2において、図3に示す背側部品4と図9に示す腹側部品5とが互いに重合されて取り付けられたハンドル本体3は、頭部6と尻部7とを結ぶ長手方向へ延び、このハンドル本体3の表側で頭部6と尻部7との間に把持部8が露出している。この背側部品4と腹側部品5とは硬質樹脂により互いに分離して別々に成形されている。このハンドル本体3の頭部6内には図示しない開閉機構が内蔵され、その開閉機構の一部であるプッシャ9と支持アーム10とが頭部6の前端部の左右両側から突出して並んでいる。
【0031】
図1,10に示す剃刀1のハンドル2において、前記ハンドル本体3の頭部6の前端部には替刃ヘッド11が左右両支持アーム10により支持されているとともに左右両プッシャ9による弾性力により前方へ押圧されている。この替刃ヘッド11は左右両プッシャ9の弾性力に抗して左右両支持アーム10を中心に回動して頭部6に対し首振りし得る。この左右両支持アーム10の開閉に伴いこの替刃ヘッド11を頭部6に対し着脱させることができる。
【0032】
また、図1に示す剃刀1のハンドル2において、前記ハンドル本体3の把持部8で露出する指当体12は、図2に示す背側分割片13と、図6に示す腹側分割片14とからなり、この背側分割片13はこのハンドル本体3の背側部品4側に取り付けられ、この腹側分割片14はこのハンドル本体3の腹側部品5側に取り付けられている。この背側分割片13と腹側分割片14とは前記硬質樹脂より硬度の小さい軟質樹脂により互いに分離して別々に成形されている。この軟質樹脂は例えばエラストマーであって、ショアA硬度30〜ショアD硬度50に設定することが好ましい。
【0033】
図2に示すように、前記背側分割片13は、ハンドル本体3の長手方向に対する周方向両側の両端縁部16間で外周面19がなす円周角度範囲θ15が180度以下例えば180度に設定された主体部15と、ハンドル本体3の長手方向に対し直交する幅方向の両側でこの主体部15から尻部7側へ延びる延設部17とを有している。この主体部15の幅方向両端縁部16において、端面18と外周面19との間の隅部には切欠き20が形成されている。この切欠き20は、端面18から周方向へ連続して長手方向に沿って延びる交差面21(接触面)と、外周面19から幅方向へ連続して長手方向に沿って延びる交差面22(接触面)と、延設部17との境界付近でこの両交差面21,22に連続する交差面23(接触面)とにより区画され、これらの交差面21,22,23に面して開放されている。この主体部15の頭端部で幅方向両端縁部16から両側係止部24aが前方へ突設されているとともにこの両側係止部24a間で中間係止部24bが前方へ突設され、この中間係止部24bには成形時に生じるゲート部25が前方へ突出して残っている。この主体部15の外周面19には周方向へ延びる複数の指掛突条26(指掛突部)が幅方向両端縁部16間にわたり形成されて長手方向へ並設されている。
【0034】
前記幅方向両延設部17においては、前記主体部15から連続して長手方向へ延びる外壁27の内側で内壁28(緩衝部)が連結壁部29(保持部)を介して長手方向へ延び、この連結壁部29を挟む周方向両側でこの外壁27と内壁28との間に係止溝30,31が形成され、この内壁28の長手方向中間部で内壁28の端縁部から内側へ突板部32(緩衝部)が突出している。この外壁27の外面には周方向へ延びる複数の指掛突条33(指掛突部)が長手方向へ並設されている。また、主体部15と両内壁28との間で両外壁27の内側には環部27a(緩衝部)が突出している。
【0035】
図3に示すように、ハンドル本体3の背側部品4は、前記頭部6から連続する背側把持部8aと、この背側把持部8aから連続する背側尻部7aとからなる。この背側把持部8aにおいて、頭部6側には嵌着部34が頭部6に隣接して形成されているとともにこの嵌着部34の外側から幅方向両側にわたり主凹部34aが形成され、この主凹部34aの幅方向両側から背側尻部7a側へ延びる側壁部35(係止部,挟持部)の外側に隣接して延設凹部36が形成され、この背側把持部8aの内側に両側壁部35に隣接して挟持突条37(挟持部)が長手方向へ延設されている。この主凹部34aでその幅方向両側には頭部6の内側へ連通する係止凹部38aが形成されているとともにこの両係止凹部38a間には頭部6の内側へ連通する開口38bが形成されている。前記嵌着部34と両側壁部35との境で背側把持部8aの内側には雌軸部34b(挟持部)が形成されているとともにこの両雌軸部34b間で支持壁部39aが形成されている。また、前記背側尻部7aの内側にはコ字形状の支持壁部39bが形成されている。なお、この背側把持部8aの外側で背側尻部7a側には銘板39cが嵌着されている。
【0036】
図4,5に示すように、前記背側分割片13を前記背側部品4に取り付けた状態では、背側分割片13の主体部15が背側把持部8aの主凹部34aに外側から嵌め込まれ、背側分割片13の両延設部17において一方の係止溝30に背側把持部8aの側壁部35が係入されて連結壁部29に当てがわれ、外壁27がこの側壁部35の外側で背側把持部8aの延設凹部36に嵌め込まれて長手方向へ延びるとともに内壁28がこの側壁部35の内側で長手方向へ延びる。背側分割片13の両延設部17の両突板部32は背側把持部8aの両挟持突条37に当てがわれる。背側分割片13の主体部15の両係止部24aは背側把持部8aの主凹部34aの両係止凹部38aに係入される。背側分割片13の主体部15の係止部24bは背側把持部8aの主凹部34aの開口38bから頭部6の内側に隠蔽されるとともに係止され、その係止部24bにあるゲート部25がその主凹部34aの開口38bから頭部6の内側に隠蔽される。背側分割片13の両延設部17の環部27aは背側把持部8aの両雌軸部34bに当てがわれる。
【0037】
図6に示すように、前記腹側分割片14においては、ハンドル本体3の長手方向に対する周方向両側の両端縁部40間で外周面41がなす円周角度範囲θ14が、180度以下、例えば外周面41の溝部42の円周角度を含めて180度に設定され、外周面41に形成された溝部42により周方向両側で二区画されて互いに隣接する両区画部43がこの溝部42に面する架橋部44(緩衝部)により連続している。この腹側分割片14の幅方向両端縁部40は、外周面41から幅方向へ連続して長手方向に沿って延びる端面45(接触面)と、この端面45の尻部側から周方向へ連続する交差面46(接触面)と、この端面45の頭部側から周方向へ連続する交差面47と、この端面45から内側へ連続する交差面48(接触面)とを有している。この幅方向両端縁部40間には両交差面47間で架橋部44から連続して前方へ突出する係止板部49が形成されている。この両区画部43の外周面41には端縁部40と溝部42との間で周方向へ延びる複数の指掛突条50(指掛突部)が長手方向へ並設されている。
【0038】
図7,8に示すように、背側分割片13を取り付けた背側部品4の内側に金属製の錘51を嵌め込んで錘51の幅方向両側が背側分割片13の両延設部17の内壁28間に介在された状態では、両延設部17の突板部32が錘51の頭端部51a(挟持部)と尻端部51bとの間の中間部51c(挟持部)と背側把持部8aの両挟持突条37との間で挟持され、錘51の頭端部51aと中間部51cとの間で錘51の幅方向両側に形成されたくびれ部51d(挟持部)と背側把持部8aの両雌軸部34bとの間で背側分割片13の両環部27aが挟持される。また、錘51の頭端部51aが背側把持部8aの支持壁部39aに当てがわれるとともに錘51の尻端部51bが背側尻部7aの支持壁部39bに当てがわれ、両環部27aが両くびれ部51dに当てがわれて、錘51の長手方向の動きが規制される。
【0039】
さらに、図7,8に示すように、前記腹側分割片14を前記背側分割片13と背側部品4とに取り付けた状態では、腹側分割片14の両端縁部40が背側分割片13の主体部15の両端縁部16に当てがわれてその両端縁部16の切欠き20に嵌め込まれ、その両端縁部40の端面45がその両端縁部16の交差面22に、その両端縁部40の交差面48がその両端縁部16の交差面21に、その両端縁部40の交差面46がその両端縁部16の交差面23にそれぞれ当てがわれる。背側分割片13の各指掛突条26と腹側分割片14の各指掛突条50とはそれらの端縁部16,40で互いに連続する。また、腹側分割片14の架橋部44の内側が錘51の頭端部51aに当てがわれ、腹側分割片14の係止板部49が背側部品4の頭部6の内側に当てがわれる。
【0040】
図9に示すように、前記ハンドル本体3の腹側部品5は、頭部6の一部をなす腹板6aが連結橋部52(挟持部、係止部)を介して連結された腹側把持部8bと、この腹側把持部8bから連続する腹側尻部7bとからなる。この連結橋部52の幅方向両側で腹板6aと腹側把持部8bとの間に切欠き52aが形成されている。この腹側把持部8bの内側の幅方向両側にはこの切欠き52aと腹側尻部7bとの間で形成された側壁部53(係止部,挟持部)の外側に隣接して延設凹部54が形成されているとともにこの切欠き52aと側壁部53との間で雄軸部55が形成されている。また、腹側尻部7bの内側には押接壁部56が形成され、その押接壁部56の端部56aは山形状に尖っている。
【0041】
図10,11に示すように、前記腹側部品5を前記背側分割片13及び腹側分割片14と背側部品4とに取り付けた状態では、微細な超音波振動と圧力の付与による熱溶着により、背側部品4の背側把持部8aと腹側部品5の腹側把持部8bとが把持部8として互いに接合されるとともに背側部品4の背側尻部7aと腹側部品5の腹側尻部7bとが尻部7として互いに接合され、錘51が背側部品4と腹側部品5との間の収容室57で収容される。従って、指当体12が周方向へ延びる円周角度範囲θ12(=θ15+θ14)は、180度を超えて360度以下、例えば腹側分割片14の外周面41における溝部42の円周角度を含めて360度に設定されている。その際、腹側把持部8bの連結橋部52が腹側分割片14の溝部42に嵌め込まれて腹側分割片14の架橋部44がこの連結橋部52と錘51の頭端部51aとの間で挟持されるとともに、腹側分割片14の両区画部43がこの連結橋部52の両側の切欠き52aで露出し、この連結橋部52から連続する腹板6aが背側部品4の頭部6に接合されて腹側分割片14の係止板部49がこの腹板6aの内側で隠蔽される。背側分割片13の両延設部17において他方の係止溝31に腹側把持部8bの側壁部53が係入されて連結壁部29に当てがわれ、外壁27がこの側壁部53の外側で延設凹部54に嵌め込まれて長手方向へ延びるとともに内壁28がこの側壁部53の内側で長手方向へ延びる。この両内壁28は錘51の幅方向両側と背側把持部8aの両側壁部35及び腹側把持部8bの両側壁部53との間で挟持される。錘51の尻端部51bは背側尻部7aと腹側尻部7bの押接壁部56の端部56aと間で挟持される。前述した微細な超音波振動と圧力の付与に伴う熱溶着による背側部品4と腹側部品5との接合時に、端部56aにおける山形状尖端を若干潰すことにより、背側把持部8aと腹側把持部8bとの間における錘51の挟持状態を調節することができる。例えば、それらの挟持状態の緩みが大きい場合には端部56aの潰し量を小さくし、その緩みが小さい場合には端部56aの潰し量を大きくする。腹側把持部8bの両雄軸部55は背側分割片13の両環部27aを通して背側把持部8aの両雌軸部34bに挿着され、この環部27aが雌軸部34bと雄軸部55との間に挟持されて背側分割片13の両延設部17が背側把持部8aから外れにくくなる。
【0042】
なお、前記ハンドル2の重さは約30gに設定され、また、そのハンドル2のハンドル本体3において、頭部6から把持部8を経て尻部7に至る長手方向の全長は約135mmに設定されている。
【0043】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 互いに分離されて複数分割された分割片13,14をハンドル本体3の周方向へ互いに並べて指当体12を構成したので、把持部8内で各分割片13,14を互いに連続させる成形空間を必要とせず、その指当体12や把持部8を形成するための成形型の構造が従来技術の場合よりも簡単になるとともに、その指当体12や把持部8を形成する材料の分量を少なくすることができる。従って、ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12を各分割片13,14ごとに簡単且つ安価に設けることができる。
【0044】
* ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14を互いに並べた指当体12において、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40は接触面(端縁部16の交差面22、端縁部40の端面45)により周方向で互いに接して連続しているので、指当体12を複数の分割片13,14に分割したにもかかわらず、指当体12を広い円周角度範囲に設けることができる。従って、指当体12としての機能を高めて使い勝手を良くすることができる。
【0045】
* ハンドル本体3の把持部8の周方向で各分割片13,14が互いに接して連続する指当体12において、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40はその分割片13,14自体の弾性を利用して接触面(端縁部16の交差面22、端縁部40の端面45)により周方向で互いに圧接されている。また、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40の接触面(端縁部16の交差面21、端縁部40の交差面48)が幅方向で互いに接するとともに、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40の接触面(端縁部16の交差面23、端縁部40の交差面46)が長手方向で互いに接する。従って、周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40間で隙間をなくして各分割片13,14を一体化させ、指当体12としての機能を高めて使い勝手を良くすることができる。
【0046】
* 上から下へ剃る順剃りでも下から上へ剃る逆剃りでも、ハンドル本体3の把持部8を把持する際に指が当てがわれる頭部6側に指当体12が設けられているので、使い勝手を良くすることができる。
【0047】
* 錘51をハンドル本体3内の収容室57に収容したので、ハンドル本体3の把持バランスを良くしてハンドル本体3を把持し易くすることができる。
* ハンドル本体3の表側で把持部8から露出する指当体12自体の弾性を利用した緩衝部(前記突板部32、内壁28、架橋部44、環部27a)を錘51の挟持部(中間部51c、頭端部51a、くびれ部51d)と把持部8の挟持部(挟持突条37、側壁部35、側壁部53、連結橋部52、雌軸部34b)との間に介在させたので、ハンドル本体3内の収容室57に錘51を収容し易くするとともに、収容室57で指当体12の緩衝部(前記突板部32、内壁28、架橋部44、環部27a)により錘51の動きを緩衝して錘51の動きにより生じる耳障りな音の発生を防止することができる。
【0048】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態ではハンドル本体3の頭部6に対し替刃ヘッド11を着脱可能に支持したが、ハンドル本体の頭部に替刃を一体的に組み付けてもよい。
【0049】
・ 前記実施形態では周方向で互いに隣接する両分割片13,14の端縁部16,40を周方向で互いに接して連続させているが、その両分割片の端縁部間で間隔をあけて把持部を露出させてもよい。
【0050】
・ 前記実施形態では背側分割片13と腹側分割片14とによる二つの分割片により指当体12を構成したが、三つ以上の分割片により指当体を構成してもよい。
・ 前記実施形態の背側分割片13においては主体部15から両延設部17が連続して形成されているが、この両延設部17を省略してもよい。また、背側分割片13ばかりでなく腹側分割片にも両延設部を設けたり、背側分割片13の両延設部17を省略して腹側分割片にのみ両延設部を設けたりしてもよい。
【0051】
・ 前記実施形態では背側分割片13の主体部15と腹側分割片14とを周方向へ並べた指当体12の一部分が把持部8においてハンドル本体3の頭部6に近い頭部6側にのみ設けられているが、把持部8においてその頭部6側とハンドル本体3の頭部6と尻部7との間の中間部と尻部7側とのうち少なくともいずれかに設けたり、把持部8の全体に設けたりしてもよい。
【0052】
・ 前記実施形態ではハンドル本体3において背側部品4と腹側部品5との間に錘51を収容したが、錘を収容しない場合には背側部品と腹側部品とを一体的に設けてもよい。
・ ハンドル本体の背側部品に背側分割片を一体成形したものと、ハンドル本体の腹側部品に腹側分割片を一体成形したものとを互いに組み付けてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…剃刀、2…ハンドル、3…ハンドル本体、6…ハンドル本体の頭部、7…ハンドル本体の尻部、8…ハンドル本体の把持部、12…把持部の指当体、13…指当体の背側分割片、16…背側分割片の端縁部、14…指当体の腹側分割片、27a…環部(緩衝部)、28…内壁(緩衝部)、32…突板部(緩衝部)、34b…雌軸部(挟持部)、35…側壁部(挟持部)、37…挟持突条(挟持部)、40…腹側分割片の端縁部、44…架橋部(緩衝部)、51…錘、51a…錘の頭端部(挟持部)、51c…錘の中間部(挟持部)、51d…錘のくびれ部(挟持部)、52…連結端部(挟持部、係止部)、53…側壁部(挟持部)、57…ハンドル本体の収容室。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と尻部とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体の表側で頭部と尻部との間に露出する把持部よりも硬度の小さい指当体をこの把持部で露出させて設けた剃刀のハンドルにおいて、この指当体は、互いに分離されて複数分割された分割片をハンドル本体の長手方向に対する周方向へ互いに並べたものであることを特徴とする剃刀のハンドル。
【請求項2】
前記指当体の各分割片のうち周方向で互いに隣接する両分割片の端縁部は周方向で互いに接して連続していることを特徴とする請求項1に記載の剃刀のハンドル。
【請求項3】
周方向で互いに隣接する前記両分割片の端縁部は互いに圧接されていることを特徴とする請求項2に記載の剃刀のハンドル。
【請求項4】
周方向で互いに隣接する前記両分割片の端縁部のうち一方の端縁部と他方の端縁部とには、ハンドル本体の長手方向に対し交差する幅方向で互いに接する接触面を有していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の剃刀のハンドル。
【請求項5】
頭部と尻部とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体の表側で頭部と尻部との間に露出する把持部よりも硬度の小さい指当体をこの把持部で露出させて設けた剃刀のハンドルにおいて、このハンドル本体内に設けた収容室に収容して支持した錘に設けた挟持部と、この把持部に設けた挟持部との間に、この指当体に設けた緩衝部を介在させたことを特徴とする剃刀のハンドル。
【請求項1】
頭部と尻部とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体の表側で頭部と尻部との間に露出する把持部よりも硬度の小さい指当体をこの把持部で露出させて設けた剃刀のハンドルにおいて、この指当体は、互いに分離されて複数分割された分割片をハンドル本体の長手方向に対する周方向へ互いに並べたものであることを特徴とする剃刀のハンドル。
【請求項2】
前記指当体の各分割片のうち周方向で互いに隣接する両分割片の端縁部は周方向で互いに接して連続していることを特徴とする請求項1に記載の剃刀のハンドル。
【請求項3】
周方向で互いに隣接する前記両分割片の端縁部は互いに圧接されていることを特徴とする請求項2に記載の剃刀のハンドル。
【請求項4】
周方向で互いに隣接する前記両分割片の端縁部のうち一方の端縁部と他方の端縁部とには、ハンドル本体の長手方向に対し交差する幅方向で互いに接する接触面を有していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の剃刀のハンドル。
【請求項5】
頭部と尻部とを結ぶ長手方向へ延びるハンドル本体の表側で頭部と尻部との間に露出する把持部よりも硬度の小さい指当体をこの把持部で露出させて設けた剃刀のハンドルにおいて、このハンドル本体内に設けた収容室に収容して支持した錘に設けた挟持部と、この把持部に設けた挟持部との間に、この指当体に設けた緩衝部を介在させたことを特徴とする剃刀のハンドル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−19558(P2011−19558A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164805(P2009−164805)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)
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