説明

剃刀

【解決手段】刃体を有する剃刀ヘッドをホルダの頭部に有する剃刀において、ホルダの腹側には剃刀ヘッドを有する頭部側から尻部側にわたり把持面16を設け、把持面16には長手方向と幅方向とでそれぞれ互いに間隔をあけて並ぶ複数の突起18を頭部側と尻部側とにわたり設けている。把持面16の頭部側領域Pの各突起18は、把持面16の尻部側領域Qの各突起18よりも小さい各突起18を多く含む。ホルダが尻部側領域Qよりも頭部側領域Pで細くなっている。使用時にホルダを把持した際に、ホルダを見なくても、ホルダを把持しただけで、把持面16の各突起18の大きさがホルダの長手方向で変化する感触を得て、ホルダの向きを容易に認識するとともに、腹面積の小さい小指側が尻部側領域Qの各突起18に接触し、把持面16に対する感触や安定性を良くしてホルダを把持し易い。
【効果】剃刀の使い勝手を良くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃体を有する剃刀ヘッドをホルダの頭部に有する剃刀に係り、特にホルダの把持面の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1では、ホルダの外周に設けられた把持面に複数の突起が頭部側と尻部側とにわたり長手方向と幅方向とでそれぞれ互いに略均一な間隔をあけて並設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1095173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、把持面の各突起の大きさや外形状が略同じであるため、使用時にホルダを把持した際に、ホルダを見ない限り、ホルダの向きを容易に認識することができず、剃刀の使い勝手が悪くなっていた。
【0005】
この発明は、剃刀の使い勝手を良くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜4)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる剃刀は、下記のように構成されている。
刃体2aを有する剃刀ヘッド2をホルダ3の頭部4に有している。ホルダ3の外周にはこの剃刀ヘッド2を有する頭部4側からその反対側になる尻部5a側にわたり把持面16を設けている。その把持面16には頭部4側と尻部5a側とを結ぶ長手方向とその長手方向に対し交差する幅方向とでそれぞれ互いに間隔をあけて並ぶ複数の突起18を頭部4側と尻部5a側とにわたり設けている。この把持面16をホルダ3の長手方向で頭部側領域Pと尻部側領域Qとに二区分し、この把持面16の頭部側領域Pに設けた各突起18とこの把持面16の尻部側領域Qに設けた各突起18とのうち、一方は他方よりも把持面16に沿う外周縁間最大寸法Dの小さい各突起18を多く含む。例えば、前記把持面16において頭端部16aと尻端部16bとの間の中央部16cよりも頭端部16a側を頭部側領域Pにするとともに尻端部16b側を尻部側領域Qにした。請求項1の発明では、把持面16の各突起18における外周縁間最大寸法Dがホルダ3の長手方向で変化するため、使用時にホルダ3を把持した際に、ホルダ3を見なくても、ホルダ3を把持しただけの感触によりホルダ3の向きを容易に認識することができる。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記把持面16の頭部側領域Pに設けた各突起18は、把持面16の尻部側領域Qに設けた各突起18よりも把持面16に沿う外周縁間最大寸法Dの小さい各突起18を多く含む。例えば、各突起18の外周縁間最大寸法Dについては、頭部側領域Pが尻部側領域Qよりも小さくなっている。請求項2の発明では、把持面16の頭部側領域Pで外周縁間最大寸法Dの小さい各突起18が把持面16の尻部側領域Qよりも多く集まっているため、使用時にホルダ3を把持した際に、ホルダ3を見なくても、ホルダ3を把持しただけの感触によりホルダ3の向きを容易に認識することができる。また、把持面16の尻部側領域Qで外周縁間最大寸法Dの大きい各突起18が把持面16の頭部側領域Pよりも多く集まっているため、使用時にホルダ3を把持した際に、腹面積の大きい親指側よりも腹面積の小さい小指側が尻部側領域Qの各突起18に接触し、把持面16に対する感触や安定性を良くしてホルダ3を把持し易い。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明にかかるホルダ3において、剃刀ヘッド2の刃体2aが露出する側を腹側とするとともにその腹側に対する反対側を背側とし、前記把持面16はホルダ3の腹側に設けられている。請求項3の発明では、使用時にホルダ3を把持した際に各指の腹面が接触し易いホルダ3の腹側に、各突起18を有する把持面16を設けたので、請求項1または請求項2の発明の効果を効率的に発揮させることができる。
【0009】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記把持面16の幅方向寸法のうち、頭部側領域Pには最も小さい幅方向寸法WSを含み、尻部側領域Qには最も大きい幅方向寸法WBを含む。例えば、把持面16の幅方向寸法については、頭部側領域Pが尻部側領域Qよりも小さくなっている。請求項4の発明では、ホルダ3を幅方向において尻部側領域Qよりも頭部側領域Pで細くして頭部側領域Pよりも尻部側領域Qで太くすることができるため、尻部側領域Qを例えば手の平と薬指と小指とで包み込むように把持する際にも安定してしっかりと把持することができ、使用時にホルダ3を把持し易い。
【0010】
請求項4の発明を前提とする請求項5の発明において、前記ホルダ3の背側に設けた把持面17に対する前記腹側の把持面16の厚み方向寸法のうち、頭部側領域Pには最も小さい厚み方向寸法TSを含み、尻部側領域Qには最も大きい厚み方向寸法TBを含む。例えば、ホルダ3の厚み方向寸法については、頭部側領域Pが尻部側領域Qよりも小さくなっている。請求項5の発明では、ホルダ3を厚み方向でも尻部側領域Qよりも頭部側領域Pで細くして頭部側領域Pよりも尻部側領域Qで太くすることができるため、尻部側領域Qを例えば手の平と薬指と小指とで包み込むように把持する際にも安定してしっかりと把持することができ、使用時にホルダ3を把持し易い。
【0011】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項3または請求項4または請求項5の発明を前提とする第6の発明において、前記ホルダ3の腹側の把持面16は、前記ホルダ3の背側に設けた把持面17よりも軟質の樹脂により成形されている。第6の発明では、使用時にホルダ3を把持した際に各指の腹面が接触し易い腹側の把持面16が軟質の樹脂により成形されているため、把持面16に対する感触や安定性を良くしてホルダ3を把持し易い。
【0012】
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明、または第6の発明を前提とする第7の発明において、前記ホルダ3の頭部4には前記剃刀ヘッド2が操作部14により着脱可能に支持され、このホルダ3の頭部4は剃刀ヘッド2の刃体2aが露出する側である腹側とその腹側に対して反対側の背側との間で貫通する孔15を有し、この孔15の内周で囲まれた領域に前記操作部14を操作可能に露出させた。第7の発明では、頭部4の孔15の内側領域に操作部14があるため、操作部14に対する不用意な操作を防止することができる。
【0013】
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明、または第6の発明または第7の発明を前提とする第8の発明にかかる各突起18において、把持面16からの高さHは外周縁間最大寸法Dの小さい突起18ほど小さくなっている。第8の発明では、把持面16の尻部側領域Qで外周縁間最大寸法D及び高さHの大きい各突起18が把持面16の頭部側領域Pよりも多く集まっているため、使用時にホルダ3を把持した際に、腹面積の大きい親指側よりも腹面積の小さい小指側が尻部側領域Qの各突起18に接触し、把持面16に対する感触や安定性を良くしてホルダ3を把持し易い。
【0014】
請求項4または請求項5の発明を前提とする第9の発明において、前記把持面16の最大幅方向寸法WBの部分には外周縁間最大寸法Dが最も大きい突起18が設けられ、前記把持面16の最小幅方向寸法WSの部分には外周縁間最大寸法Dが最も小さい突起18が設けられている。第9の発明では、使用時に把持面16に対する感触や安定性を良くしてホルダ3を把持し易い。
【0015】
請求項5の発明を前提とする第10の発明において、前記腹側の把持面16の最大幅方向寸法WBの部分は前記腹側の把持面16の最大厚み方向寸法TBの部分と一致している。第10の発明では、使用時に把持面16に対する感触や安定性を良くしてホルダ3を把持し易い。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、把持面16の各突起18における大きさがホルダ3の長手方向で変化するため、ホルダ3を見なくても、ホルダ3を把持しただけの感触によりホルダ3の向きを容易に認識して、剃刀の使い勝手を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本実施形態にかかる首振り式剃刀においてホルダの腹側を示す斜視図であり、(b)は同じくホルダの背側を示す斜視図である。
【図2】(a)は本実施形態にかかる首振り式剃刀の正面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく背面図であり、(d)は同じく平面図であり、(e)はこの首振り式剃刀において剃刀ヘッドを取り外したホルダの頭部を示す部分底面図であり、(f)は同じく部分平面図である。
【図3】(a)は図2(a)に示すホルダの腹側の把持面を示す部分拡大正面図であり、(b)は図2(b)に示すホルダの腹側の把持面を示す部分拡大側面図である。
【図4】(a)は本実施形態にかかる首振り式剃刀において側面側から見た縦断面図であり、(b)(c)はそれぞれ(a)の部分横断面図であり、(d)(f)はそれぞれ図3(a)の部分拡大図であり、(e)(g)はそれぞれ図4(a)の部分拡大図である。
【図5】(a)は第一参考例にかかる剃刀ケースを分解して示す斜視図であり、(b)は前記実施形態の首振り式剃刀を示す斜視図であり、(c)はその首振り式剃刀を保管する保管台である。
【図6】第一参考例の剃刀ケースの組付け手順の一例を示す斜視図である。
【図7】第一参考例の剃刀ケースの組付け手順の一例を示す斜視図である。
【図8】第一参考例の剃刀ケースの組付け手順の一例を示す斜視図である。
【図9】第一参考例の剃刀ケースの組付け手順の一例を示す斜視図である。
【図10】第一参考例の剃刀ケースの組付け斜視図である。
【図11】第一参考例の剃刀ケースの組付け斜視図である。
【図12】(a)は第二参考例にかかる剃刀ケースを分解して示す斜視図であり、(b)は前記実施形態の首振り式剃刀を示す斜視図であり、(c)はその首振り式剃刀を保管する保管台である。
【図13】第二参考例の剃刀ケースの組付け手順の一例を示す斜視図である。
【図14】第二参考例の剃刀ケースの組付け手順の一例を示す斜視図である。
【図15】第二参考例の剃刀ケースの組付け手順の一例を示す斜視図である。
【図16】第二参考例の剃刀ケースの組付け斜視図である。
【図17】第二参考例の剃刀ケースの組付け斜視図である。
【図18】前記実施形態の首振り式剃刀の保管状態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の一実施形態に係る首振り式剃刀について図1〜4を参照して説明する。
図1及び図2に示す首振り式剃刀1は、刃体2aが組み込まれた剃刀ヘッド2と、その剃刀ヘッド2が着脱可能に支持された頭部4からその頭部4に対して反対側になる尻部5aにわたり長手方向へ延びる把持部5を有するホルダ3とからなる。このホルダ3において、頭部4と把持部5とにわたり形成された金属製の本体6は、長手方向に対し直交する幅方向の両側で長手方向へ延びる側枠部6aと、この両側枠部6aが頭部4で互いに連続する頭枠部6bと、この両側枠部6aが尻部5aで互いに連続する尻枠部6cとからなる。この両側枠部6aと頭枠部6bと尻枠部6cとの間には図4(a)(b)(c)に示すように空間部6dが形成されている。
【0019】
前記ホルダ3の把持部5においては、長手方向及び幅方向に対し直交する厚み方向の両側のうち、剃刀ヘッド2の刃体2a側になる両側枠部6a間の腹側には樹脂製の把持部材7が嵌め込まれているとともに、その腹側に対して反対側になる両側枠部6a間の背側には樹脂製の把持部材8が嵌め込まれ、この腹側把持部材7の内側と背側把持部材8の内側とが空間部6dを介して相対向している。この腹側把持部材7は、互いに一体成形された内板部9と外板部10とにより二重構造をなしている。この腹側把持部材7の外板部10はこの背側把持部材8や腹側把持部材7の内板部9よりも軟質の樹脂、例えばエラストマ樹脂やシリコーン樹脂により成形されている。ちなみに、この軟質樹脂の硬度としては、ショアA30〜60が好ましく、実施形態ではショアA40程度に設定されている。
【0020】
前記ホルダ3の頭部4において、頭枠部6bには支持機構(図示せず)が組み込まれた機構収容部11が取着され、この機構収容部11の前端部で幅方向両側にはこの支持機構の一部である支持腕12及びプッシャ13が互いに並んで突出しているとともに、この支持機構の一部である操作部14(押しボタン等)が空間部6dに露出して腹側把持部材7及び背側把持部材8の頭端部7a,8aに対向している。この頭端部7a,8aと機構収容部11と両側枠部6aとの間で空間部6dの一部が開放されて腹側と背側との間で孔15が貫通されている。この操作部14はこの孔15の内周で囲まれた領域で孔15に入れた指により操作可能に露出している。この頭端部7a,8aは孔15に入れた指を当てることができる指当部としても機能する。前記剃刀ヘッド2は、この操作部14により開閉可能な両支持腕12で着脱可能に支持され、両プッシャ13により押圧されて静止位置に保持されるとともに、その静止位置から両支持腕12を中心に両プッシャ13の弾性に抗して回動して首振りし得る。
【0021】
前記ホルダ3の把持部5の外周は、腹側把持部材7の外板部10の把持面16と、背側把持部材8の把持面17と、両側枠部6aの外面と、尻枠部6cの外面とからなる。腹側把持部材7の外板部10の把持面16は、図4(b)(c)に示すように、幅方向中央部ほど高くなるように曲面状に湾曲している。背側把持部材8の把持面17は略平坦になっている。背側把持部材8の把持面17には、柔らかい感触を持たせて指触りを良くしたり、滑り止め効果を高めたり、擦り傷を生じにくくしたり、汚れにくくするために、ウレタン塗料に硬化剤を混ぜた2液ウレタン塗料にシンナーを加えたものがスプレーや刷毛などにより塗布されている。
【0022】
腹側把持部材7の頭端部7aで内板部9に形成された屈曲部9aと外板部10に形成された屈曲部10aとが互いに重合されてホルダ3の頭部4の両側枠部6aに係止されているとともに、背側把持部材8の頭端部8aに形成された屈曲部17aが内板部9の屈曲部9aに重合されて係止されている。腹側把持部材7の尻端部7bで内板部9に形成された屈曲部9bと背側把持部材8の尻端部8bに形成された屈曲部17bとがそれぞれホルダ3の尻部5aの尻枠部6cに係止されている。腹側把持部材7及び背側把持部材8は、これらの屈曲部9b,17bを尻枠部6cに係止した後に、これらの屈曲部9a,10aを両側枠部6aに係止するとともに、これらの屈曲部9a,17aを互いに係止して、ホルダ3の本体6に嵌め込まれる。
【0023】
特に、腹側把持部材7の外板部10の把持面16は下記*のような形態的特徴を有している。
* 把持面16において頭端部16aと尻端部16bとの間の中央部16cよりも頭端部16a側を頭部側領域Pにするとともに尻端部16b側を尻部側領域Qにして二区分した場合、図3(a)に示すように、把持面16の正面視の外形状については、幅方向両側で線対称をなし、頭部側領域Pで頭端部16aと中央部16cとの間の部分が幅方向内側へ窪んでいるとともに、尻部側領域Qで中央部16cと尻端部16bとの間の部分が幅方向外側へ膨らんでいる。従って、把持面16の幅方向寸法のうち、頭部側領域Pには頭端部16aと中央部16cとの間の中央位置付近で最も小さい幅方向寸法WSが形成され、尻部側領域Qには中央部16cと尻端部16bとの間の中央位置付近で最も大きい幅方向寸法WBが形成されている。ちなみに、把持面16において、頭端部16aと尻端部16bとの間の長さは約90mm、幅方向寸法WSは約10mm、幅方向寸法WBは約17mmにそれぞれ設定されている。
【0024】
* 図3(b)に示すように、把持面16の側面視の外形状については、頭部側領域Pで頭端部16aと中央部16cとの間の部分が厚み方向へ窪んでいるとともに、尻部側領域Qで中央部16cと尻端部16bとの間の部分が厚み方向へ膨らんでいる。従って、図4(a)(b)(c)に示すようにホルダ3の背側に設けた把持面17に対する腹側の把持面16の厚み方向寸法のうち、頭部側領域Pには頭端部16aと中央部16cとの間の中央位置付近で最も小さい厚み方向寸法TSが形成され、尻部側領域Qには中央部16cと尻端部16bとの間の中央位置付近で最も大きい厚み方向寸法TBが形成されている。ちなみに、把持面16において、厚み方向寸法TSは約10mm、厚み方向寸法TBは約16mmにそれぞれ設定されている。
【0025】
* 図3(a)(b)に示すように、把持面16の尻部側領域Qにおいて、腹側の把持面16の最大幅方向寸法WBの部分付近は腹側の把持面16の最大厚み方向寸法TBの部分付近と一致している。
【0026】
* 図3(a)(b)に示すように、把持面16には長手方向と幅方向とでそれぞれ互いに間隔をあけて並ぶ複数の突起18が幅方向両側で非線対称をなして頭部4側と尻部5a側とにわたり形成されている。各突起18の表面については、球面の一部であって、図4(d)(f)に示すように把持面16の正面視の外形状が円形をなすとともに、図4(e)(g)に示すように把持面16の側面視の断面形状の外形状が円弧形をなす。
【0027】
* 図3(a)(b)及び図4(f)(g)に示すように把持面16の頭部側領域Pに形成された各突起18は、図3(a)(b)及び図4(d)(e)に示すように把持面16の尻部側領域Qに形成された各突起18よりも、把持面16に沿う外周縁間最大寸法Dの小さい各突起18を多く含む。また、頭部側領域Pの各突起18は、尻部側領域Qの各突起18よりも、把持面16に沿う間隔の広い各突起18を多く含む。
【0028】
* 図4(d)(e)(f)(g)に示すように、各突起18において、把持面16からの高さHは外周縁間最大寸法Dの小さい突起18ほど小さくなっている。
* 図3(a)及び図4(d)(f)に示すように、把持面16の最大幅方向寸法WBの部分付近には外周縁間最大寸法Dが最も大きい突起18が形成され、把持面16の最小幅方向寸法WSの部分付近には外周縁間最大寸法Dが最も小さい突起18が形成されている。
【0029】
ちなみに、外周縁間最大寸法Dが最も小さい突起18については、その外周縁間最大寸法Dに相当する直径が約0.8mm好ましくは0.3〜2.0mm、高さHが約0.3mm好ましくは0.1〜0.5mmにそれぞれ設定されている。また、外周縁間最大寸法Dが最も大きい突起18については、その外周縁間最大寸法Dに相当する直径が約2.4mm好ましくは1.0〜4.0mm、高さHが約0.5mm好ましくは0.3〜1.5mmにそれぞれ設定されている。
【0030】
* 腹側把持部材7の内板部9及び外板部10と背側把持部材8とはいずれも透明度の高い樹脂により成形されているため、把持面16の各突起18が背側把持部材8の外側から腹側把持部材7の内板部9及び外板部10を通してシャンパンの泡のように見える。
【0031】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 把持面16の頭部側領域Pで小さい各突起18が把持面16の尻部側領域Qよりも多く集まっているため、使用時にホルダ3を把持した際に、ホルダ3を見なくても、ホルダ3を把持しただけで、把持面16の各突起18における大きさがホルダ3の長手方向で変化する感触を得て、ホルダ3の向きを容易に認識することができる。従って、首振り式剃刀1の使い勝手を良くすることができる。
【0032】
(2) 把持面16の尻部側領域Qで大きい各突起18が把持面16の頭部側領域Pよりも多く集まっているため、使用時にホルダ3を把持した際に、腹面積の大きい親指側よりも腹面積の小さい小指側が尻部側領域Qの各突起18に接触し、把持面16に対する感触や安定性を良くしてホルダ3を把持し易い。
【0033】
(3) ホルダ3が尻部側領域Qよりも頭部側領域Pで細くなるため、使用時にホルダ3を把持し易い。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
【0034】
・ ホルダにおいて、各突起を有する把持面については、ホルダの腹側と背側と幅方向両側とのうち少なくともいずれかに設けたり、ホルダの外周全体に設けたりしてもよい。
・ ホルダの把持部の外周形状は実施形態以外の各種形状に変更してもよい。
【0035】
・ 把持部材の材質については、透明度の高い樹脂ばかりでなく不透明な樹脂であってもよく、また、それらの樹脂以外に、金属や皮革などに変更してもよい。
・ 各突起の表面の外形状については、前述したもの以外に、円柱形状や多角柱形状や円錐形状や多角錐形状などの種々のものに変更してもよい。
【0036】
・ 把持面の尻部側領域の各突起における外周縁間最大寸法と把持面の頭部側領域の各突起における外周縁間最大寸法との間の中間寸法を有する突起や、把持面の尻部側領域の各突起における高さと把持面の頭部側領域の各突起における高さとの間の高さを有する突起を、その尻部側領域及び頭部側領域でそれぞれ含んでいてもよい。
【0037】
・ 把持面の尻部側領域に設けた各突起は、把持面の頭部側領域に設けた各突起よりも把持面に沿う外周縁間最大寸法の小さい各突起を多く含むようにしてもよい。
・ 首振り式剃刀以外に、剃刀ヘッドをホルダの頭部に固定した剃刀であってもよい。
【0038】
次に、第一参考例にかかる剃刀パッケージについて図5〜11を参照して説明する。
図5(a)に示すように、図1〜4及び図5(b)に示す首振り式剃刀1と、図5(c)に示すように吸盤26を有する保管台25とが収容される剃刀パッケージ21は、透明樹脂で成形された外ケース22と、各種説明文などが印刷された台紙23と、透明樹脂で成形された内ケース24と、透明樹脂で成形されたフィルム筒27とからなる。図6に示すように、台紙23は外ケース22の底台部28上に載置される。図7に示すように、内ケース24は台紙23上に載置される。その際、台紙23から突出した突部22aに内ケース24の突部24aが当接する。図8に示すように、首振り式剃刀1の孔15に保管台25の柱部29が挿入された状態で、その保管台25及び首振り式剃刀1が一緒に内ケース24内に収容される。また、保管台25のみを内ケース24内に収容した後に、首振り式剃刀1も内ケース24内に同様に収容してもよい。図9に示すように、外ケース22の蓋部30が外ケース22の底台部28上に被せられて台紙23と内ケース24と保管台25と首振り式剃刀1とが外ケース22内に収容され、蓋部30の係止舌片部30aが図11に示すように底台部28の両切込み30bに係入される。図10及び図11に示すように、外ケース22の蓋部30の両側に形成された一対の段差部31a間の凹み31をその段差部31aとともに覆うようにフィルム筒27が外ケース22の外周に巻かれ、そのフィルム筒27が熱により収縮して凹み31及びその段差部31aに密着するように嵌め込まれた状態で凹み31の各段差部31aに係止されてフィルム筒27の位置ずれが阻止される。フィルム筒27には商品名や宣伝文句などが印刷されているとともに両ミシン目27a及び舌片部27bが設けられている。その舌片部27bを摘んでフィルム筒27を両ミシン目27aに沿って切断して除去すると、剃刀パッケージ21を開くことができる。その舌片部27bは省略してもよい。図10に示すように、蓋部30の外側四隅部には突起部30cが形成され、複数の剃刀パッケージ21を重ねた際にその各突起部30cにより剃刀パッケージ21間に隙間を生じさせて剃刀パッケージ21の表面に生じ易い擦り傷などの損傷を防止する。
【0039】
次に、第二参考例にかかる剃刀パッケージについて図12〜17を参照して説明する。第一参考例の図5、図6〜8、図9、図10及び図11は、それぞれ、第二参考例の図12、図13〜14、図15、図16及び図17に対応し、第二参考例は下記の点で第一参考例と異なる。
【0040】
第一参考例において蓋部30の係止舌片部30aは底台部28の切込み30bに係入される一対の係止部を有する形状になっているが、第二参考例において図12,14に示す蓋部30の係止舌片部30aは底台部28の切込み30bに係入される一つの係止部を中央に有するおむすび形状になっている。図13に示すように、台紙23上に内ケース24を載置するとともに、首振り式剃刀1の孔15に保管台25の柱部29を挿入した状態でその保管台25及び首振り式剃刀1を一緒に内ケース24内に収容したセット物とする。図14に示すように、そのセット物を外ケース22の蓋部30の内側に収容する。図15に示すように、外ケース22の蓋部30と底台部28とを互いに閉じると、図12,14に示すように底台部28の両側に形成された舌片部22bが蓋部30の両側と内ケース24の両側との間に挿入される。その際、図12,13に示すように内ケース24の両側に形成された逃げ溝24bに対し、舌片部22bの両端部のうち外ケース22の蓋部30と底台部28との間のヒンジ部側の端部が対向するため、舌片部22bを挿入し易い。図16,17に示すように、外ケース22の蓋部30の両側に形成された一対の段差部31a間の凹み31内でフィルム筒27が外ケース22の外周に巻かれ、そのフィルム筒27が熱により収縮して凹み31及びその段差部31aに密着するように嵌め込まれた状態で凹み31の各段差部31aに係止されてフィルム筒27の位置ずれが阻止される。第一参考例においては図11に示すようにフィルム筒27の両ミシン目27aが蓋部30の係止舌片部30aに対し離間しているが、第二参考例においては図17に示すようにフィルム筒27の両ミシン目27aが蓋部30の係止舌片部30aに対し重なっている。フィルム筒27において舌片部27bの付近で両ミシン目27a間の帯部には切断方向を示す矢印が印刷されている。
【0041】
第一参考例及び第二参考例にかかる剃刀パッケージにおいては、台紙23を除いて外ケース22の蓋部30及び底台部28や内ケース24やフィルム筒27が透明樹脂により成形され、しかもそれらの外表面が湾曲せずにほぼ平坦に形成されているとともに、外周側面にはその底台部28と蓋部30との接合部などが図11,17に示すように形成されていないので、視界を邪魔することのないようになっている。そのため、外ケース22の外側から内ケース24内の首振り式剃刀1のホルダ3をありのまま見てそのホルダ3の把持面16の突起18を容易に確認することができる。従って、剃刀パッケージの購入者にホルダ3の把持に伴う剃刀の使い勝手の良さを伝えて、剃刀の購買意欲を高めることができる。
【0042】
図18に示すように、第一参考例及び第二参考例の剃刀パッケージ21から保管台25を取り出して吸盤26により壁32などに保持し、首振り式剃刀1の孔15に保管台25の柱部29を挿入して保管台25に首振り式剃刀1を引掛けて吊り下げることもできる。その場合、壁32と首振り式剃刀1との間には指入れ空間Sが生じる。このように首振り式剃刀1を保管台25に吊り下げた状態では、指が保管台25の柱部29により邪魔されて首振り式剃刀1の孔15の内側領域に入り難いため、操作部14に対する不用意な操作を防止することができる。壁32などに保持した保管台25から首振り式剃刀1を取り外す際には、前記実施形態で詳述したホルダ3の把持面16などの構成と相俟って、ホルダ3の把持部5をしっかりと把持した状態で首振り式剃刀1を取り扱うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1…首振り式剃刀、2…剃刀ヘッド、2a…刃体、3…ホルダ、4…ホルダの頭部、5a…ホルダの尻部、16…ホルダの腹側の把持面、17…ホルダの背側の把持面、18…腹側の把持面の突起、P…腹側の把持面の頭部側領域、Q…腹側の把持面の尻部側領域、D…突起の外周縁間最大寸法、WS…腹側の把持面の最小幅方向寸法、WB…腹側の把持面の最大幅方向寸法、TS…ホルダの最小厚み方向寸法、TB…ホルダの最大厚み方向寸法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃体を有する剃刀ヘッドをホルダの頭部に有する剃刀において、ホルダの外周にはこの剃刀ヘッドを有する頭部側からその反対側になる尻部側にわたり把持面を設け、その把持面には頭部側と尻部側とを結ぶ長手方向とその長手方向に対し交差する幅方向とでそれぞれ互いに間隔をあけて並ぶ複数の突起を頭部側と尻部側とにわたり設け、この把持面をホルダの長手方向で頭部側領域と尻部側領域とに二区分し、この把持面の頭部側領域に設けた各突起とこの把持面の尻部側領域に設けた各突起とのうち、一方は他方よりも把持面に沿う外周縁間最大寸法の小さい各突起を多く含むことを特徴とする剃刀。
【請求項2】
前記把持面の頭部側領域に設けた各突起は、把持面の尻部側領域に設けた各突起よりも把持面に沿う外周縁間最大寸法の小さい各突起を多く含むことを特徴とする請求項1に記載の剃刀。
【請求項3】
前記ホルダにおいて剃刀ヘッドの刃体が露出する側を腹側とするとともにその腹側に対する反対側を背側とし、前記把持面はホルダの腹側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の剃刀。
【請求項4】
前記把持面の幅方向寸法のうち、頭部側領域には最も小さい幅方向寸法を含み、尻部側領域には最も大きい幅方向寸法を含むことを特徴とする請求項3に記載の剃刀。
【請求項5】
前記ホルダの背側に設けた把持面に対する前記腹側の把持面の厚み方向寸法のうち、頭部側領域には最も小さい厚み方向寸法を含み、尻部側領域には最も大きい厚み方向寸法を含むことを特徴とする請求項4に記載の剃刀。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−167382(P2011−167382A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34570(P2010−34570)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)